説明

アンバランス原因診断装置及び方法

【課題】ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について容易、かつ、詳細に診断するアンバランス原因診断装置及び方法を提供すること。
【解決手段】アンバランス原因診断装置10は、ECO出口ガスのO2濃度測定箇所610と、バーナ110の位置とを対応付けた対応バーナDB32を備え、アンバランス監視装置41から異常警報を受信すると共に、O2濃度の分布データを受信し、受信したO2濃度の分布データのうち異常を示すデータのO2濃度測定箇所610を抽出し、抽出したO2濃度測定箇所610に対応するバーナ110の位置を、対応バーナDB32に基づいて特定し、特定した位置のバーナ110の油圧データを受信し、受信したバーナの油圧データと、バーナ油圧DB31によって記憶された当該バーナの油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナの異常であると診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンバランス原因診断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発電所の運転管理は、各種の運転を実行する運転員の経験によって行われることが多い。そこで、発電所の運転を効率よく行うために、コンピュータに運転データを管理させて、異常の有無や異常の度合を評価するシステムが開発されている。
【0003】
例えば、発電所における各種運転データの異常の有無や異常の度合を容易に評価できる特許文献1に開示されたデータ管理システムが知られている。
【0004】
特許文献1に開示されたデータ管理システムは、発電所において、正常運転状態における所定時点での複数種類の運転データのそれぞれを複数種類の基準運転データとして、任意の運転状態における所定時点での複数種類の運転データのそれぞれと、の比率を算出し、複数の運転設備にそれぞれ応じた比率を1画面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−148091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたデータ管理システムは、複数種類の運転データを一元的に管理し、運転データの異常の有無や異常の度合を容易に評価するためのシステムであるので、運転データの異常の原因について具体的に診断しない。例えば、データ管理システムは、発電所において、ECO出口ガスO2の評価を容易に行うが、燃焼悪化等の事態を引き起こすO2アンバランスが発生した場合に、発生したO2アンバランスの原因を具体的に特定しない。
【0007】
そこで、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について容易、かつ、詳細に診断する装置が求められている。
【0008】
本発明は、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について容易、かつ、詳細に診断するアンバランス原因診断装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
(1) ペントハウスを有するボイラから排出されるECO出口ガスのO2濃度を測定し、O2アンバランスを監視するアンバランス監視装置から異常警報を受信して、O2アンバランスの発生原因について診断するアンバランス原因診断装置であって、前記ボイラに流入する排ガスを燃焼する複数のバーナの油圧データを、定期的に受信するバーナ油圧受信手段と、前記バーナ油圧受信手段によって受信された前記複数のバーナの油圧データを記憶するバーナ油圧記憶手段と、前記ECO出口ガスのO2濃度の測定箇所と、前記複数のバーナの位置とを対応付けた対応バーナ記憶手段と、前記アンバランス監視装置から前記異常警報を受信すると共に、前記ECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信する分布データ受信手段と、前記分布データ受信手段によって受信された前記O2濃度の分布データのうち異常を示すデータの測定箇所を抽出し、抽出した測定箇所に対応するバーナの位置を、前記対応バーナ記憶手段に基づいて特定する対応バーナ特定手段と、前記対応バーナ特定手段によって特定された位置の前記バーナの油圧データを前記バーナ油圧受信手段によって受信し、受信された前記バーナの油圧データと、前記バーナ油圧記憶手段によって記憶された当該バーナの油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナの異常であると診断する診断手段と、を備えるアンバランス原因診断装置。
【0011】
(1)の構成によれば、本発明に係るアンバランス原因診断装置は、ボイラに流入する排ガスを燃焼する複数のバーナの油圧データを、定期的に受信し、受信した複数のバーナの油圧データをバーナ油圧記憶手段に記憶させる。また、アンバランス原因診断装置は、ECO出口ガスのO2濃度の測定箇所と、複数のバーナの位置とを対応付けた対応バーナ記憶手段を備える。そして、アンバランス原因診断装置は、アンバランス監視装置から異常警報を受信すると共に、ECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信し、受信したO2濃度の分布データのうち異常を示すデータの測定箇所を抽出し、抽出した測定箇所に対応するバーナの位置を、対応バーナ記憶手段に基づいて特定する。次に、アンバランス原因診断装置は、特定した位置のバーナの油圧データを受信し、受信したバーナの油圧データと、バーナ油圧記憶手段によって記憶された当該バーナの油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナの異常であると診断する。
【0012】
すなわち、本発明に係るアンバランス原因診断装置は、複数のバーナの油圧データを、定期的に受信し、バーナ油圧記憶手段に記憶させ、ECO出口ガスのO2濃度の測定箇所と、複数のバーナの位置とを対応付けて対応バーナ記憶手段に記憶させている。よって、アンバランス原因診断装置は、アンバランス監視装置から受信したO2濃度の分布データのうち異常を示すデータの測定箇所に対応するバーナの油圧データの変動が所定の値以上であるか否かを対応バーナ記憶手段によって判断し、O2アンバランスの原因がバーナであるか否かの診断をする。したがって、本発明に係るアンバランス原因診断装置は、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について容易、かつ、詳細に診断することができる。
【0013】
(2) 前記ペントハウスのシーリングダンパの開度データを定期的に受信する開度受信手段と、前記開度受信手段によって受信された開度データを記憶する開度記憶手段と、をさらに備え、前記診断手段は、前記油圧差が所定の値以内である場合であって、前記開度受信手段によって受信されたダンパ開度データと、前記開度記憶手段によって記憶されたダンパ開度データとのダンパ開度差が所定の値以上である場合に、前記シーリングダンパ311の異常であると診断する、(1)に記載のアンバランス原因診断装置。
【0014】
(2)の構成によれば、アンバランス原因診断装置は、ペントハウスのシーリングダンパの開度データを定期的に受信し、受信した開度データを開度記憶手段に記憶させる。そして、アンバランス原因診断装置は、バーナの油圧差が所定の値以内である場合であって、受信したダンパ開度データによってダンパ開度差が所定の値以上である場合に、シーリングダンパの異常であると診断する。したがって、(2)に係るアンバランス原因診断装置は、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について、さらに詳細に診断することができる。
【0015】
(3) 前記開度受信手段は、エアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データを定期的に受信し、前記開度記憶手段に記憶させ、前記診断手段は、前記ダンパ開度差が所定の値以内である場合であって、前記開度受信手段によって受信されたエアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データと、前記開度記憶手段によって記憶されたエアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データとの開度差が所定の値以上である場合に、前記エアレジスタ及びNOPレジスタの異常であると診断する、(2)に記載のアンバランス原因診断装置。
【0016】
(3)の構成によれば、アンバランス原因診断装置は、シーリングダンパの異常でもないと診断した場合であって、受信したエアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データと、開度記憶手段によって記憶されたエアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データとの開度差が所定の値以上である場合に、前記エアレジスタ及びNOPレジスタの異常であると診断する。したがって、(3)に係るアンバランス原因診断装置は、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について、さらに詳細に診断することができる。
【0017】
(4) ペントハウスを有するボイラから排出されるECO出口ガスのO2濃度を測定し、O2アンバランスを監視するアンバランス監視装置から異常警報を受信して、O2アンバランスの発生原因について診断するアンバランス原因診断装置が実行する方法であって、前記ボイラに流入する排ガスを燃焼する複数のバーナの油圧データを、定期的に受信するステップと、受信された前記複数のバーナの油圧データをバーナ油圧記憶手段に記憶するステップと、前記アンバランス監視装置から前記異常警報を受信すると共に、前記ECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信するステップと、受信された前記O2濃度の分布データのうち異常を示すデータの測定箇所を抽出し、抽出した測定箇所に対応するバーナの位置を、前記ECO出口ガスのO2濃度の測定箇所と、前記複数のバーナの位置とを対応付けた対応バーナ記憶手段に基づいて特定するステップと、特定された位置の前記バーナの油圧データを受信し、受信された前記バーナの油圧データと、前記バーナ油圧記憶手段によって記憶された当該バーナの油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナの異常であると診断するステップと、を備える方法。
【0018】
したがって、本発明に係る方法は、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について容易、かつ、詳細に診断することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について容易、かつ、詳細に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置の特徴を示す図である。
【図2】ボイラにおける排ガスの流れを示す断面図である。
【図3】ボイラのA系統及びB系統における排ガスの流れを示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るバーナ油圧DBの例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る対応バーナDBの例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る開度DBの例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置の受信処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置の診断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置10の特徴を示す図である。図2はボイラ100における排ガス500の流れを示す断面図である。図3は、ボイラ100のA系統及びB系統における排ガス500の流れを示す断面図である。
【0023】
図1において、ボイラ100は、排ガス500を燃焼するバーナ110FU、RU、FL、RL(以下、区別しない場合はバーナ110という)を備える。ここで、バーナ110FUは、バーナ110FUA、FUB、FUC、FUDを区別しない場合の総称である。バーナ110FUA、FUB、FUC、FUDは、図1において紙面手前から奥に向かって、それぞれ図2(1)のように、設置されている。図2(1)は、図1において中心線401における断面を紙面に向かって上から見た図である。同様に、バーナ110RUは、バーナ110RUA、RUB、RUC、RUDを区別しない場合の総称であり、バーナ110FLは、バーナ110FLA、FLB、FLC、FLDを区別しない場合の総称であり、バーナ110RLは、バーナ110RLA、RLB、RLC、RLDを区別しない場合の総称である。バーナ110FUA、FUB、FUC、FUDは、それぞれに対応して、燃焼用空気の供給を制御するエアレジスタ120FUA、FUB、FUC、FUDを備える(以下バーナ110と同様に、A,B,C及びDを区別しない場合はそれぞれをエアレジスタ120FU、RU、FL、RLといい、さらに、FU、RU、FL及びRLを区別しない場合はエアレジスタ120という)。また、ボイラ100は、NOxの供給を制御するNOPレジスタ130F(缶前)、R(缶後)(それぞれFA,FB,FC及びFDと、RA,RB,RC及びRDとがあり、以下、区別しない場合はNOPレジスタ130という)と、ペントハウス301とを備えている。ペントハウス301は、シーリングダンパ311を備えている。シーリングダンパ311には、シーリングダンパの開度を計測するダンパ開度計測器320が設けられている。
【0024】
バーナ110FUA、FUB、FUC、FUDには、それぞれの油圧を測定するバーナ油圧測定器210FUA、FUB、FUC、FUDが設けられている(以下バーナ110と同様に、A,B,C及びDを区別しない場合はそれぞれをバーナ油圧測定器210FU、RU、FL、RLといい、さらに、FU、RU、FL及びRLを区別しない場合はバーナ油圧測定器210という)。エアレジスタ120FUA〜RLDには、それぞれエアレジスタ120の開度を計測するエアレジスタ開度計測器121FUA〜RLDが設けられている。NOPレジスタ130FA〜FD及びRA〜RDには、それぞれNOPレジスタ130の開度を計測するNOPレジスタ開度計測器131FA〜FD及びRA〜RDが設けられている。
【0025】
アンバランス原因診断装置10は、バーナ油圧測定器210、ダンパ開度計測器320、エアレジスタ開度計測器121、NOPレジスタ開度計測器131及びO2アンバランスを監視するアンバランス監視装置41と通信可能に接続されている。
【0026】
ボイラ100内における排ガス500の流れは、図1において、バーナ110FUによって燃焼された排ガス500の流れFUと、バーナ110FLによって燃焼された排ガス500の流れFLと、バーナ110RLによって燃焼された排ガス500の流れRLと、バーナ110RUによって燃焼された排ガス500の流れRUとの4つの流れに概ね分かれる。ここで、排ガス500の流れを、図1において紙面に向かって上から見た断面図である図2(3)のように表わすと、4つの流れFU,FL,RL,RUのうち流れFUは、バーナ110FUAによる流れFUAと、バーナ110FUBによる流れFUBと、バーナ110FUCによる流れFUCと、バーナ110FUDによる流れFUDとで表わされ、さらに流れFUA及び流れFUBによるA系統550の流れと、流れFUC及び流れFUDによるB系統560の流れとに分かれる。
【0027】
ここで、図1において中心線402における断面を紙面に向かって右から見た図で表わすと、ECO出口付近の排ガス500の流れFU,FL,RL,RUは、図2(2)のように、バーナ110の垂直方向の位置を区別するためのFU、FL、RL及びRUという記号と、水平方向の位置を区別するためのA、B、C及びDという記号とによってマトリックスで表わされる。すなわち、図2(2)において、黒丸は紙面に向かって奥から手前への排ガス500の流れを示し、左上端の黒丸は、バーナ110FUAによる流れFUAを示している。同様に、右上端の黒丸は、バーナ110FUDによる流れFUDを示している。さらに同様に、左下端の黒丸は、バーナ110RUAによる流れRUAを示し、右下端の黒丸は、バーナ110RUDによる流れRUDを示している。
【0028】
排ガス500がA系統550の流れと、B系統560の流れとに分かれると、上述の図2(2)の流れFUA〜RUDは、図3の黒丸が示すように分かれて流れる。ここで、図3(1)は、図1において中心線403におけるA系統550の断面を紙面に向かって右から見た図である。図2(2)と同様に、図3(1)において、図の黒丸は、A系統550における、紙面に向かって奥から手前への排ガス500の流れを示し、左上端の黒丸は、バーナ110FUAによる流れFUAを示し、右上端の黒丸は、バーナ110FUBによる流れFUBを示し、左下端の黒丸は、バーナ110RUAによる流れRUAを示し、右下端の黒丸は、バーナ110RUBによる流れRUBを示している。同様に、図3(2)は、図1において中心線403におけるB系統560の断面を紙面に向かって右から見た図である。図3(1)と同様に、図3(2)において、図の黒丸は、B系統560における、紙面に向かって奥から手前への排ガス500の流れを示し、左上端、右上端、左下端及び右下端の黒丸は、それぞれ、バーナ110FUCによる流れFUC、バーナ110FUDによる流れFUD、バーナ110RUCによる流れRUC及びバーナ110RUDによる流れRUDを示している。
【0029】
図1において、ECO出口ガスO2の濃度測定は、O2濃度測定箇所610FU、FL、RL、RU(以下、区別しない場合はO2濃度測定箇所610という)において、4つの流れFU,FL,RL,RUについて行われる。このO2濃度測定箇所610は、図3(1)及び(2)の断面図において、白丸によって示される。すなわち、O2濃度測定箇所610は、A系統の流れと、B系統の流れとのそれぞれにおいて、12箇所(3×4箇所)ずつのO2濃度測定箇所610FUA1〜RUA1、FUA2〜RUA2、FUA3〜RUA3及びO2濃度測定箇所610FUB1〜RUB1、FUB2〜RUB2、FUB3〜RUB3において行われる。そして、図3(1)において、O2濃度測定箇所610FUA1〜RUA1及びO2濃度測定箇所610FUA2〜RUA2は、排ガス500の流れFUA〜RUAに対応し、O2濃度測定箇所610FUA3〜RUA3は、排ガス500の流れFUB〜RUBに対応するように設定されている。同様に、図3(2)において、O2濃度測定箇所610FUB1〜RUB1は、排ガス500の流れFUC〜RUCに対応し、O2濃度測定箇所610FUB2〜RUB2及びO2濃度測定箇所610FUB3〜RUB3は、排ガス500の流れFUD〜RUDに対応するように設定されている。
【0030】
このように、排ガス500の流れFU,FL,RL,RUを測定するO2濃度測定箇所610の位置と、排ガス500の流れFU,FL,RL,RUを発生させるバーナ110の位置とが対応する。よって、アンバランス監視装置41がO2濃度を測定することによって検出したECO出口ガスのO2アンバランスの原因は、O2濃度が異常である排ガス500の流れを発生させたバーナ110の異常(例えば、バーナ油圧の異常や、エアレジスタ120の開度の異常等)である可能性が高い。
【0031】
アンバランス原因診断装置10は、アンバランス監視装置41からO2濃度測定データを受信し、次のような診断を行う。ここで、アンバランス監視装置41は、例えば、負荷350MWにおいて、A系統とB系統のECO出口ガスO2の差が±0.5%以上である場合に、ECO出口ガスO2アンバランスの発生と判断する。そして、アンバランス原因診断装置10は、アンバランス監視装置41からO2アンバランスの異常警報を受信すると共に、O2濃度測定箇所610におけるO2濃度を受信する。次に、アンバランス原因診断装置10は、図3の関係に基づいて、O2濃度の異常を示すO2濃度測定箇所610に対応する位置関係にあるバーナ110の油圧が異常であるか否かを診断する。次に、アンバランス原因診断装置10は、バーナ110の油圧が異常でないと診断した場合に、シーリングダンパ311の開度が異常であるか否かを診断する。次に、アンバランス原因診断装置10は、シーリングダンパ311の開度が異常でないと診断した場合に、エアレジスタ120及びNOPレジスタ130の開度が異常であるか否かを診断する。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置10の機能を示す機能ブロック図である。アンバランス原因診断装置10は、バーナ油圧記憶手段としてバーナ油圧DB31と、対応バーナ記憶手段として対応バーナDB32と、バーナ油圧受信手段としてバーナ油圧受信部11と、開度受信手段として開度受信部12と、分布データ受信手段として分布データ受信部13と、対応バーナ特定手段として対応バーナ特定部14と、診断手段として診断部15と、開度記憶手段として開度DB33と、を備えている。そして、アンバランス原因診断装置10は、アンバランス監視装置41から異常警報を受信して、O2アンバランスの発生原因について診断する。このようなアンバランス原因診断装置10について各部ごとに詳述する。
【0033】
バーナ油圧受信部11は、ボイラ100に流入する排ガスを燃焼する複数のバーナ110の油圧データを、定期的に受信する。バーナ油圧DB31は、バーナ油圧受信部11によって受信された複数のバーナ110の油圧データを記憶する(後述する図6参照)。例えば、バーナ油圧受信部11は、バーナ油圧測定器210によって測定されたバーナ110の油圧データを定期的(例えば、8時間ごと)に受信し、既に受信して記憶されている油圧データを前回の油圧データとし、受信した油圧データを今回の油圧データとして、受信するごとにバーナ油圧DB31に記憶させる。
【0034】
対応バーナDB32は、ECO出口ガスのO2濃度測定箇所610と、複数のバーナ110の位置とを対応付けて記憶する。すなわち、対応バーナDB32は、図3のように、O2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及びO2濃度測定箇所610FUB1〜RUB3と、バーナ110FUA〜RUDとを対応付けて記憶している(後述する図7参照)。
【0035】
開度受信部12は、ペントハウス301のシーリングダンパ311の開度データを定期的に受信する。開度DB33は、開度受信部12によって受信された開度データを記憶する。さらに、開度受信部12は、エアレジスタ120の開度データ及びNOPレジスタ130の開度データを定期的に受信し、開度DB33に記憶させる(後述する図8参照)。例えば、開度受信部12は、ダンパ開度計測器320によって計測されたシーリングダンパ311の開度データと、エアレジスタ開度計測器121によって計測されたエアレジスタ120の開度データと、NOPレジスタ開度計測器131によって計測されたNOPレジスタ130の開度データとを定期的(例えば、8時間ごと)に受信する。そして、開度受信部12は、既に受信して記憶されている開度データを前回の開度データとし、受信した開度データを今回の開度データとして、受信するごとに開度DB33に記憶させる。
【0036】
分布データ受信部13は、アンバランス監視装置41から異常警報を受信すると共に、ECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信する。例えば、分布データ受信部13は、アンバランス監視装置41から、O2濃度測定箇所610において測定した排ガス500のO2濃度を、O2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3,610FUB1〜RUB3を示す位置データ及び異常であることを示すデータと共に受信する。
【0037】
対応バーナ特定部14は、分布データ受信部13によって受信されたO2濃度の分布データのうち異常を示すデータの測定箇所を抽出し、抽出した測定箇所に対応するバーナの位置を、対応バーナDB32に基づいて特定する。例えば、対応バーナ特定部14は、O2濃度が異常であることを示すデータに対応するO2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及び610FUB1〜RUB3を抽出し、抽出したO2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及び610FUB1〜RUB3によって対応バーナDB32を検索し、検索したO2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及び610FUB1〜RUB3に対応付けられたバーナ110FUA〜RUDの位置を特定する。
【0038】
診断部15は、対応バーナ特定部14によって特定された位置のバーナ110の油圧データをバーナ油圧受信部11によって受信し、受信されたバーナ110の油圧データと、バーナ油圧DB31によって記憶された当該バーナ110の油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナ110の異常であると診断する。診断部15は、バーナ110の異常を報知すると共に、バーナチップの取付方向についても確認させるような指示を出力するとしてもよい。
【0039】
油圧差が所定の値以内である場合であって、開度受信部12によって受信されたダンパ開度データと、開度DB33によって記憶されたダンパ開度データとのダンパ開度差が、所定の値以上である場合に、診断部15は、シーリングダンパ311の異常であると診断する。
【0040】
ダンパ開度差が所定の値以内である場合に、診断部15は、エアレジスタ120又はNOPレジスタ130の開度が異常であるか否かの診断をする。エアレジスタ120の開度は、O2濃度測定箇所610とバーナ110との対応と同様に、O2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及び610FUB1〜RUB3に対応するエアレジスタ120FUA〜RUDの開度を計測するエアレジスタ開度計測器121FUA〜RUDから開度受信部12によって受信される。診断部15は、受信された開度データと、開度DB33に記憶された開度データとの差が所定の値以上である場合に、エアレジスタ120の異常であると診断する。NOPレジスタ130の開度は、O2濃度測定箇所610とバーナ110との対応と同様に、O2濃度測定箇所610FUA1〜A3、FUB1〜B3、FLA1〜A3、FLB1〜B3及びO2濃度測定箇所610RUA1〜A3、RUB1〜B3、RLA1〜A3、RLB1〜B3に対応するNOPレジスタ130FA〜FD及びNOPレジスタ130RA〜RDの開度を計測するNOPレジスタ開度計測器131FA〜FD及びNOPレジスタ開度計測器131RA〜RDから開度受信部12によって受信される。診断部15は、受信された開度データと、開度DB33に記憶された開度データとの差が所定の値以上である場合に、NOPレジスタ130の異常であると診断する。
【0041】
上述の診断の結果、正常であると診断した場合に、診断部15は、点検すべき箇所の指示を出力し、出力した指示に対する点検結果を受け付け、受け付けた当該点検結果に基づいて診断する。点検すべき箇所として、例えば、煙風道のリークや、ウィンドボックスO2とAH(空気予熱器)出入口ガス温度との比較等がある。診断部15は、点検結果として、測定データ(例えば、ガス温度や、ボイラメタル温度データ等)や、バーナ110や煙風道が正常か否かの入力を受け付ける。そして、診断部15は、例えば、入力されたボイラメタル温度によって、チューブにスラグが付着している可能性を診断したり、O2濃度測定器が異常である可能性を診断したりする。
【0042】
図5は、本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。アンバランス原因診断装置10は、CPU(Central Processing Unit)1000、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、I/Oコントローラ1070、ハードディスク1074、表示装置1080、入力装置1100及び入出力I/F装置2000を備え、バスライン1005により接続されている。
【0043】
CPU1000は、アンバランス原因診断装置10を統括的に制御する部分であり、ハードディスク1074に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0044】
通信I/F1040は、アンバランス原因診断装置10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して他のサーバ(例えば、アンバランス監視装置41)等と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。
【0045】
メインメモリ1050は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。BIOS1060は、アンバランス原因診断装置10の起動時にCPU1000が実行するブートプログラムや、アンバランス原因診断装置10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0046】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074等の記憶手段を接続することができる。ハードディスク1074は、アンバランス原因診断装置10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶しており、バーナ油圧DB31、対応バーナDB32、開度DB33等を記憶している。
【0047】
アンバランス原因診断装置10に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、アンバランス原因診断装置10にインストールされ実行されてもよい。
【0048】
表示装置1080は、アンバランス原因診断装置10による演算処理結果の画面、オペレータの指示を受け付ける画面、警報する画面等を表示するものであり、ブラウン管表示装置、液晶表示装置等のディスプレイ装置を含む。入力装置1100は、アンバランス原因診断装置10のオペレータによる入力を行う装置であり、キーボード及びマウス等で構成される。
【0049】
入出力I/F装置2000は、アンバランス原因診断装置10に、バーナ油圧測定器210、ダンパ開度計測器320、エアレジスタ開度計測器121及びNOPレジスタ開度計測器131を接続する。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態に係るバーナ油圧DB31の例を示す図である。バーナ油圧DB31は、バーナ位置に対応して、前回のバーナ油圧の受信データと、今回のバーナ油圧の受信データとを記憶する。すなわち、バーナ油圧DB31は、バーナ油圧受信部11によって定期的に受信された油圧データについて、既に記憶している「バーナ油圧」の「今回」を「バーナ油圧」の「前回」として記憶し、受信された油圧データを「バーナ油圧」の「今回」に記憶する。なお、バーナ油圧DB31は、バーナ位置に対応して、前回よりも前、例えば前々回等のバーナ油圧の受信データを履歴として記憶してもよい。アンバランス原因診断装置10は、バーナ油圧の履歴を解析してO2アンバランスの原因について診断することができる。
【0051】
図7は、本発明の一実施形態に係る対応バーナDB32の例を示す図である。対応バーナDB32は、測定箇所の垂直方向の位置(FU〜RU)及び水平方向の位置(A1〜A3及びB1〜B3)に対応付けて、バーナ位置(バーナ110FUA〜RUD)を記憶している。例えば、対応バーナDB32は、図3のO2濃度測定箇所610と、バーナ110との対応のように、測定箇所に対応付けて、バーナ位置を記憶している。
【0052】
図8は、本発明の一実施形態に係る開度DB33の例を示す図である。開度DB33は、開度項目(ダンパ開度、エアレジスタ開度、NOPレジスタ開度等)に対応して、前回の開度データと、今回の開度データとを記憶する。すなわち、開度DB33は、開度受信部12によって定期的に受信された開度データについて、既に記憶している「開度」の「今回」を「開度」の「前回」として記憶し、受信された開度データを「開度」の「今回」に記憶する。なお、開度DB33は、開度項目に対応して、前回よりも前、例えば前々回等の開度の計測データを履歴として記憶してもよい。アンバランス原因診断装置10は、開度の履歴を解析してO2アンバランスの原因について診断することができる。
【0053】
図9は、本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置10の受信処理を示すフローチャートである。本処理は、定期的(例えば、8時間ごと)に開始する。
【0054】
ステップS101において、CPU1000(バーナ油圧受信部11)は、バーナ110の油圧データを受信し、バーナ油圧DB31に記憶させる。より具体的には、CPU1000は、バーナ油圧測定器210FUA〜RLDから油圧データを受信し、バーナ110FUA〜RLDの位置に対応付けてバーナ油圧DB31に記憶させる。その後、CPU1000は、処理をステップS102に移す。
【0055】
ステップS102において、CPU1000(開度受信部12)は、開度データを受信し、開度DB33に記憶させる。より具体的には、CPU1000は、ダンパ開度計測器320からペントハウス301のシーリングダンパ311のダンパ開度データを受信し、開度DB33に記憶させる。次に、CPU1000は、エアレジスタ開度計測器121からエアレジスタ120の開度データを受信し、開度DB33に記憶させる。そして、CPU1000は、NOPレジスタ開度計測器131からNOPレジスタ130の開度データを受信し、開度DB33に記憶させる。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0056】
図10は、本発明の一実施形態に係るアンバランス原因診断装置10の診断処理を示すフローチャートである。本処理は、開始指令により開始する。
【0057】
ステップS201において、CPU1000(分布データ受信部13)は、O2濃度の分布データを受信する。より具体的には、CPU1000は、アンバランス監視装置41から異常警報を受信すると共に、O2濃度測定箇所610において測定されたECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信する。その後、CPU1000は、処理をステップS202に移す。
【0058】
ステップS202において、CPU1000(対応バーナ特定部14及び診断部15)は、バーナ110の油圧が異常であるか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、O2濃度が異常であることを示すデータに対応するO2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及び610FUB1〜RUB3を抽出し、抽出したO2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及び610FUB1〜RUB3によって対応バーナDB32を検索し、検索したO2濃度測定箇所610FUA1〜RUA3及び610FUB1〜RUB3に対応付けられたバーナ110FUA〜RUDの位置を特定する。次に、CPU1000は、特定した位置のバーナの油圧データをバーナ油圧測定器210から受信し、受信したバーナの油圧データと、バーナ油圧DB31によって記憶された当該バーナの油圧データとの油圧差が所定の値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS203に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS204に移す。
【0059】
ステップS203において、CPU1000(診断部15)は、バーナ110の異常であると診断し、異常であると診断したバーナ110FUA〜RLDの位置を報知し、バーナチップの取付方向を確認させるための指示を出力する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0060】
ステップS204において、CPU1000(診断部15)は、シーリングダンパ311の開度が異常であるか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、ダンパ開度計測器320から受信したダンパ開度データと、開度DB33によって記憶されたシーリングダンパ311のダンパ開度データとのダンパ開度差が、所定の値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS205に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS206に移す。
【0061】
ステップS205において、CPU1000(診断部15)は、シーリングダンパ311の異常であると診断し、異常であると診断したシーリングダンパ311を報知する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0062】
ステップS206において、CPU1000(診断部15)は、エアレジスタ120の開度が異常であるか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、ステップS202において抽出したO2濃度測定箇所610に対応するエアレジスタ120に設けられたエアレジスタ開度計測器121から受信した開度データと、開度DB33によって記憶されたエアレジスタ120の開度データとの開度差が、所定の値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS207に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS208に移す。
【0063】
ステップS207において、CPU1000(診断部15)は、エアレジスタ120の異常であると診断し、異常であると診断したエアレジスタ120FUA〜RLDの位置を報知する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0064】
ステップS208において、CPU1000(診断部15)は、NOPレジスタ130の開度が異常であるか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、ステップS202において抽出したO2濃度測定箇所610に対応するNOPレジスタ130に設けられたNOPレジスタ開度計測器131から受信した開度データと、開度DB33によって記憶されたNOPレジスタ130の開度データとの開度差が、所定の値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS209に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS210に移す。
【0065】
ステップS209において、CPU1000(診断部15)は、NOPレジスタ130の異常であると診断し、異常であると診断したNOPレジスタ130FA〜RDの位置を報知する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0066】
ステップS210において、CPU1000(診断部15)は、点検すべき箇所の指示を出力し、出力した指示に対する点検結果を受け付け、受け付けた当該点検結果に基づいて診断する。より具体的には、CPU1000は、例えば、ウィンドボックスO2とAH(空気予熱器)出入口ガス温度データと、ボイラメタル温度データとの入力を受け付け、入力されたボイラメタル温度によって、チューブにスラグが付着している可能性と、測定器が異常である可能性とを診断し、診断結果を出力する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0067】
本実施形態によれば、アンバランス原因診断装置10は、ボイラ100に流入する排ガス500を燃焼する複数のバーナ110の油圧データを、定期的に受信し、受信した複数のバーナ110の油圧データをバーナ油圧DB31に記憶させる。また、アンバランス原因診断装置10は、ECO出口ガスのO2濃度測定箇所610と、複数のバーナ110の位置とを対応付けた対応バーナDB32を備える。さらに、アンバランス原因診断装置10は、ペントハウス301のシーリングダンパ311の開度データ、エアレジスタ120の開度データ及びNOPレジスタ130の開度データを定期的に受信し、開度DB33に記憶させる。そして、アンバランス原因診断装置10は、アンバランス監視装置41から異常警報を受信すると共に、ECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信し、受信したO2濃度の分布データのうち異常を示すデータのO2濃度測定箇所610を抽出し、抽出したO2濃度測定箇所610に対応するバーナ110の位置を、対応バーナDB32に基づいて特定する。次に、アンバランス原因診断装置10は、特定した位置のバーナ110の油圧データを受信し、受信したバーナ110の油圧データと、バーナ油圧DB31によって記憶された当該バーナ110の油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナ110の異常であると診断する。
【0068】
さらに、バーナ110の油圧差が所定の値以内である場合に、アンバランス原因診断装置10は、シーリングダンパ311の開度が異常であるか否かの診断をする。そして、アンバランス原因診断装置10は、受信したダンパ開度データによって、ダンパ開度差が所定の値以上である場合に、シーリングダンパ311の異常であると診断する。
【0069】
さらに、ダンパ開度差が所定の値以内である場合に、アンバランス原因診断装置10は、エアレジスタ120及びNOPレジスタ130の開度が異常であるか否かの診断をする。そして、アンバランス原因診断装置10は、受信した開度データによって、開度差が所定の値以上である場合に、エアレジスタ120又はNOPレジスタ130の異常であると診断する。
【0070】
さらに、エアレジスタ120及びNOPレジスタ130の開度差が所定の値以内である場合に、アンバランス原因診断装置10は、点検すべき箇所の指示を出力し、出力した指示に対する点検結果を受け付け、受け付けた当該点検結果に基づいて診断する。したがって、アンバランス原因診断装置10は、ECO出口ガスのO2アンバランスが発生した場合に、O2アンバランスの発生原因について容易、かつ、詳細に診断することができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
10 アンバランス原因診断装置
11 バーナ油圧受信部
12 開度受信部
13 分布データ受信部
14 対応バーナ特定部
15 診断部
31 バーナ油圧DB
32 対応バーナDB
33 開度DB
41 アンバランス監視装置
120 エアレジスタ
121 エアレジスタ開度計測器
130 NOPレジスタ
131 NOPレジスタ開度計測器
210 バーナ油圧測定器
301 ペントハウス
311 シーリングダンパ
320 ダンパ開度計測器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペントハウスを有するボイラから排出されるECO出口ガスのO2濃度を測定し、O2アンバランスを監視するアンバランス監視装置から異常警報を受信して、O2アンバランスの発生原因について診断するアンバランス原因診断装置であって、
前記ボイラに流入する排ガスを燃焼する複数のバーナの油圧データを、定期的に受信するバーナ油圧受信手段と、
前記バーナ油圧受信手段によって受信された前記複数のバーナの油圧データを記憶するバーナ油圧記憶手段と、
前記ECO出口ガスのO2濃度の測定箇所と、前記複数のバーナの位置とを対応付けて記憶する対応バーナ記憶手段と、
前記アンバランス監視装置から前記異常警報を受信すると共に、前記ECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信する分布データ受信手段と、
前記分布データ受信手段によって受信された前記O2濃度の分布データのうち異常を示すデータの測定箇所を抽出し、抽出した測定箇所に対応するバーナの位置を、前記対応バーナ記憶手段に基づいて特定する対応バーナ特定手段と、
前記対応バーナ特定手段によって特定された位置の前記バーナの油圧データを前記バーナ油圧受信手段によって受信し、受信された前記バーナの油圧データと、前記バーナ油圧記憶手段によって記憶された当該バーナの油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナの異常であると診断する診断手段と、
を備えるアンバランス原因診断装置。
【請求項2】
前記ペントハウスのシーリングダンパの開度データを定期的に受信する開度受信手段と、
前記開度受信手段によって受信された開度データを記憶する開度記憶手段と、をさらに備え、
前記診断手段は、前記油圧差が所定の値以内である場合であって、前記開度受信手段によって受信されたダンパ開度データと、前記開度記憶手段によって記憶されたダンパ開度データとのダンパ開度差が所定の値以上である場合に、前記シーリングダンパの異常であると診断する、請求項1に記載のアンバランス原因診断装置。
【請求項3】
前記開度受信手段は、エアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データを定期的に受信し、前記開度記憶手段に記憶させ、
前記診断手段は、前記ダンパ開度差が所定の値以内である場合であって、前記開度受信手段によって受信されたエアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データと、前記開度記憶手段によって記憶されたエアレジスタの開度データ及びNOPレジスタの開度データとの開度差が所定の値以上である場合に、前記エアレジスタ及びNOPレジスタの異常であると診断する、請求項2に記載のアンバランス原因診断装置。
【請求項4】
ペントハウスを有するボイラから排出されるECO出口ガスのO2濃度を測定し、O2アンバランスを監視するアンバランス監視装置から異常警報を受信して、O2アンバランスの発生原因について診断するアンバランス原因診断装置が実行する方法であって、
前記ボイラに流入する排ガスを燃焼する複数のバーナの油圧データを、定期的に受信するステップと、
受信された前記複数のバーナの油圧データをバーナ油圧記憶手段に記憶するステップと、
前記アンバランス監視装置から前記異常警報を受信すると共に、前記ECO出口ガスのO2濃度の分布データを受信するステップと、
受信された前記O2濃度の分布データのうち異常を示すデータの測定箇所を抽出し、抽出した測定箇所に対応するバーナの位置を、前記ECO出口ガスのO2濃度の測定箇所と、前記複数のバーナの位置とを対応付けた対応バーナ記憶手段に基づいて特定するステップと、
特定された位置の前記バーナの油圧データを受信し、受信された前記バーナの油圧データと、前記バーナ油圧記憶手段によって記憶された当該バーナの油圧データとの油圧差が、所定の値以上である場合に当該バーナの異常であると診断するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−141083(P2012−141083A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293200(P2010−293200)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】