説明

アンフォルダ光電池インバータ用の準AC光電池モジュール

【課題】光電池(PV)エネルギ・システムを提供する。
【解決手段】PVエネルギ・システム(100)は、整流された公共電力網AC配電線路電圧に比例する非ゼロ平均値の電圧によって規定される脈動母線(102)を含む。PVエネルギ・システム(100)はまた、各々が対応するPV電圧を脈動電流(112)へ変換するように構成されているバッキング回路(108)を含んでいる複数のPVモジュール(106)を含み、脈動母線(102)は、複数のPVモジュール(106)により生成された脈動電流(112)を合算して、その結果の合成脈動電流が非ゼロ平均値電圧と同相で脈動母線(102)に注入されるように構成されている。電流アンフォールディング回路(104)が、合成脈動電流に応答して公共電力網に注入されるAC電流の量を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、電力変換に関し、より具体的には、アンフォルダ(unfolder)光電池インバータ用の準AC光電池(PV)モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光電池(PV)セルは直流(DC)電力を発生し、そのDC電流のレベルは太陽光照射量に依存し、且つDC電圧のレベルは温度に逆依存する。交流(AC)電力が望まれるとき、インバータを使用して、DCエネルギをACエネルギに変換する。典型的なPVインバータは電力処理のために2つの段を用い、第1の段は一定DC電圧を供給するために構成され、また第2の段は一定DC電圧をAC電流に変換するために構成される。しばしば、第1の段は昇圧コンバータを含み、また第2の段は単相又は三相インバータ・システムを含む。その二段インバータの効率はPVシステムの性能に影響を及ぼす重要なパラメータであり、個別の段の効率の積である。
【0003】
単相光電池インバータは、一般に、PVアレイの変化するDC電圧を電力網の固定周波数のAC電圧へ変換する二段変換電力回路を必要とする。伝統的なPVインバータは中間エネルギ蓄積段階としてDCリンクを使用し、これは、コンバータが先ずPVアレイ電圧を安定なDC電圧に変換し、次いで電力網に注入することのできる電流へ変換することを意味する。
【0004】
伝統的な単相PVインバータはまた、望ましくないことに、複数のスイッチング装置を使用して固定のスイッチング周波数により電力回路を制御し、これは全体のスイッチング損失に寄与する。スイッチング損失は、典型的には、伝統的なPVインバータを使用するときスイッチング周波数を低く保つことによって、可能な限り低く保たれる。
【0005】
光電池発電装置は、太陽光発電装置を形成するために直列及び並列に接続される多数のPVモジュールを含むことができる。PVモジュールは、高い物体、木の葉、塵埃、雪などによる日陰効果に起因して電力を発生する能力を失う虞がある。光電池発電装置は、適切な動作電圧最大電力点を選択することによって、その最大電力を送給する。しかしながら、最大電力点の追跡は、最適な日陰無しの状態の下でのみ首尾よく行える。PVモジュールの部品(1つのセルで充分である)が雪、塵埃、木の葉などによって覆われるや否や、PV発電装置はその電力のかなりの部分を失うことがある。
【0006】
伝統的なPVインバータに関連したものよりも据え付けが容易で、費用が少なく且つ効率が高い住宅用光電池(PV)エネルギ・システムを提供することは、有利で且つ有益であろう。また、PVエネルギ・システムが、DC切断機構がない場合でも動作することができたなら更に有利であろう。また、各々のPVモジュールがその日陰状態に依存した対応する動作点で動作できるようにPVエネルギ・システムを構成できたなら、更に有利であろう。
【0007】
様々な電力のモジュールを一システム内にたやすく組み合わせることができたなら、また各準ACモジュールがDC負荷電圧を供給されるときに後方適合性があって、一定の電力を流す三相システムに適するようにしたなら、更に有利であろう。
【0008】
各準ACモジュールが単純な入手可能な力率1の調整器ICを使用することによって制御可能であって、簡単さを確実にした場合には、更に有利であろう。
【0009】
このようなPVエネルギ・システムの追加の利点としては、制限するものではないが、一システム内で異なる電力モジュールを混合し、これによってエネルギ発生のための利用可能な屋根面積を最大にする能力、ACモジュールの概念についての効率向上、据え付けの際に出力を無電圧にして、据え付けを従来のシステムよりも安全すること、多方面に、例えば、イグルーの上に取り付けることのできるアレイの提供、及び各々が脈動電流を生成し且つ様々な構成が可能である、例えば、4セルあたり1つのコンバータなどが可能である複数の小形PVセル・コンバータを一モジュールに設けること、が挙げられよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4626983号
【特許文献2】米国特許第5473528号
【特許文献3】米国特許第5989585号
【特許文献4】米国特許第6201180号
【特許文献5】米国特許第6452289号
【特許文献6】米国特許第6465724号
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0111103号
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0165347号
【特許文献9】米国特許第7009859号
【特許文献10】米国特許第7339287号
【特許文献11】米国特許出願公開第2007/0103108号
【特許文献12】米国特許第7158395号
【特許文献13】米国特許第7319313号
【特許文献14】米国特許第6339538号
【特許文献15】米国特許第6919714号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、改良された光電池(PV)エネルギ・システムが提供されることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
簡略に述べると、一実施形態に従って、光電池(PV)エネルギ・システムは、イ)整流された公共電力網AC配電線路電圧に比例する非ゼロ平均値の電圧によって規定される脈動母線と、ロ)前記脈動母線に注入される脈動電流へPV電圧を変換するように構成されているコンバータを備えたPV発電装置を有する少なくとも1つのPVモジュールと、ハ)少なくとも1つのPVモジュールによって発生された電力が公共電力網へ転送されるように、前記注入される脈動電流に応じて公共電力網に注入されるAC電流の極性を制御するように構成された電流アンフォールディング(unfolding) 回路と、を有する。
【0013】
本発明のこれらの及び他の特徴、側面及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳しい説明を読めばより良く理解されよう。添付の図面では、図面全体を通じて同様な参照符号は同様な部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、当該技術分野で知られている光電池インバータ接続形態(topology)を例示する概略回路図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従った光電池エネルギ・システムを例示する概略回路図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従った公共電力網配電線路に関連した脈動DC母線によって生成されたヘイバーサイン(haver-sine)電圧波形及び力率1の電流を例示するグラフである。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従ったバック(buck)接続形態により集積化された光電池モジュールを例示する概略回路図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従って脈動DC母線についてのリップル仕様を維持しながら主バック・インダクタのサイズを低減するためにリップル電流相殺回路を含む光電池バック接続形態を例示する概略回路図である。
【図6】図6は、一連の光電池モジュールについての日陰の効果を例示するグラフである。
【図7】図7は、当該技術分野で知られている光電池アレイの一部分を例示する概略回路図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態に従った光電池エネルギ・システムを例示する概略回路図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に従った、大きさがピーク電力網配電線路電圧よりも常に大きいPV電圧を送給することのできる高電圧PVモジュールを構成するように配列された光電池セルについての動作領域を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の図面は様々な実施形態を示しているが、本書で述べるように、本発明の他の実施形態が考えられる。いずれにおいても、本書は、本発明の例示の実施形態を、制限ではなく代表として提示する。本発明の原理の精神及び範囲内に入る多数の他の修正及び実施形態を当業者によって考え出すことができる。
【0016】
図1は、当該技術分野で知られている光電池インバータの接続形態を例示する。光電池(PV)インバータ10は、PVアレイ12の変化するDC電圧を電力網14用の固定周波数のAC電圧へ変換するために、二段電力回路を用いる。光電池インバータ10は、中間のエネルギ蓄積段階を具現化するためにDCリンク・コンデンサ16を使用する。これは、PVインバータ10が先ず、昇圧コンバータにより、不安定なPVDC電圧18を電力網の電圧よりも高い安定なDC電圧20へ変換し、その後、PWM回路24により安定なDC電圧20を電力網14に注入できる電流22へ変換することを意味する。光電池インバータ10の接続形態は5つのスイッチング装置44,46,48,50,52を用いており、これらのスイッチング装置は全て高周波数で開閉し、望ましくないことに、二段コンバータの全スイッチング損失に寄与する。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に従った光電池(PV)エネルギ・システム100を例示する。PVエネルギ・システム100は、図1に示されたシステム接続形態で達成可能であるものを超えて、据え付けを簡単化し、効率を改善し、且つコストを低減する接続形態を用いる。
【0018】
PVエネルギ・システム100は、整流された公共電力網AC配電線路電圧に比例する非ゼロ平均値電圧によって規定される脈動母線102を含み、これについては後で図3を参照して説明する。脈動母線102は、公共電力網配電線路に接続されたPVインバータ104による公共電力網配電線路電圧の整流によって導き出され、またPVモジュール106を介して母線102に注入される全ての電流はこの電圧と同相であって、電圧波形と密に整合する。PVインバータ104は単純にアンフォールディング回路になる。
【0019】
PVエネルギ・システム100の接続形態は、大きさが図9に一実施形態として示したピーク電力網配電線路電圧220よりも常に大きいPV電圧を送給することのできる高電圧PVモジュール106を構成するように光電池セルが配列されているときに、特に有利である。図9には、関心のあるPVモジュール動作領域222も例示している。各々のPVモジュール106は、対応するバッキング回路108と共に動作するように構成され、バッキング回路108はPVモジュール106の電圧(電力)を脈動電流へ変換し、該脈動電流は脈動母線102に注入される。
【0020】
ACモジュールと同様であるが、PVモジュール106は、その対応するバッキング回路108と一緒に、AC又はDCを生成せず、代わりに準ACを生成する。PVモジュール106は、脈動母線102上に電圧が存在しない場合には、エネルギを生成することができないように構成されているので、DC切断能力は何ら必要とされず、従ってPVモジュールはより安価であり且つ具現化するのが容易である。更に、切断部は中央に配置することができる(インバータ−アンフォルダ)。
【0021】
更に、各々がそれぞれのバッキング回路108と一体化されたPVモジュール106は、非常に低い電力と単一のスイッチング装置110のみを必要とする接続形態を提供する。各バッキング回路108の変換効率は非常に高く、生成する熱は非常に低い。各バッキング回路108はただ2つの能動装置を用いており、これらの装置は、随意選択により、従来よく用いられるSi装置よりも一層高い温度に耐えることのできるSiC装置を使用して具現化することができる。更に、バック・コンバータ108用の能動スイッチ110は、図4に示されているように、ゲート駆動及び制御回路を簡単化するためにPVモジュール106の負の線に配置することができる。
【0022】
本発明の一面によれば、大きさがピーク電力網配電線路電圧よりも常に大きいPV電圧を送給することのできる高電圧PVモジュール106を構成するように光電池セルが配列されているとき、動作最大電圧が常に電力網電圧のピークよりも高いので、高電圧モジュール106の場合には、昇圧回路が必要とされない。
【0023】
本発明の一面によれば、PVモジュール106により発生された複数の脈動電流112が合算されて、脈動母線102に合成脈動電流を生成する。この合成脈動電流は、次いで、PVインバータ/アンフォルダ回路104に供給され、PVインバータ/アンフォルダ回路104は、このアンフォルダ回路104が接続されている公共電力網へ注入されるACを制御する。インバータ/アンフォルダ104は、非常に効率よくすることができ(〜99%)、実質的に何ら冷却を必要とせず、且つ実現するのに非常に安価である接続形態を用いる。
【0024】
各PVモジュールは図4に示されているように構成されているとき最大電力で動作することができるので、特定の場所に合わせてPVアレイを設計する必要はない。従って、PVエネルギ・システム100は、従来よく用いられている接続形態に共通している日陰の負の効果を非常に受け難い。この固有の日陰無影響性により、高い変換効率が維持されて、従来のシステムを使用するときよりも多量のKW時が生成される。
【0025】
PVエネルギ・システム100の接続形態により、据え付けのための専門の電気技術者を必要としないので据え付けの際のコストを更に節約することができ、またもはやDC切断も必要とされない。DC切断が必要とされないのは、DC源がPVモジュール106の中に含まれていて、外部に露出されないからである。
【0026】
多重PVモジュール・システム内のPVモジュール106は、有利なことに、PVエネルギ・システムを修正せずにPVモジュールの互換性を保持しながら、他のPVモジュールとは異なる電力定格を持つように構成して、PVエネルギ・システムがそのPVエネルギ・システムを取り付けるために使用される利用可能な屋根のスペースを最大限にするようにPVモジュールを互換できるようにすることができる。更に、複数のPVモジュールは、方向の相異なる配向を持つ複数のPVアレイを提供するように構成して、PVエネルギ・システムによる太陽追跡能力及びエネルギ生成能力を、全てのPVモジュールが同じ方向に配向された従来のPVエネルギ・システムで達成できるものよりも増大させることができる。
【0027】
一実施形態に従ったPVエネルギ・システムの構成では、各コンバータ108は電流アンフォールディング回路104とともに、従来のACモジュール・コンバータよりもエネルギ変換効率がよくなるように構成される。別の実施形態では、各コンバータは電流アンフォールディング回路と共に、それぞれ約99%のエネルギ変換効率を達成するように構成される。
【0028】
別の実施形態に従ったPVエネルギ・システムの構成では、各PVモジュールは、対応する電流アンフォールディング回路が脈動母線に電圧を供給するときのみ出力電流を生成するように構成される。また別の実施形態では、各PVモジュール・コンバータは、バック・コンバータ、昇圧コンバータ、隔離コンバータ、又はフライバック能力を持つ昇圧コンバータの内の少なくとも1つを有する。更に別の実施形態では、各PVモジュール・コンバータは、簡単で容易に入手可能な力率調整器ICにより制御されるように構成される。また更に別の実施形態では、各PVモジュールは、大きさがピーク公共電力網電圧よりも常に大きいPV電圧を送給するように構成される。また別の実施形態では、各PVモジュールと電流アンフォールディング回路とは一緒に、脈動母線がDCになる場合にエネルギ変換を行うためにACエネルギ・コンバータと適合性があるように構成される。更に別の実施形態では、各PVモジュールは、三相PVエネルギ・システムに使用するのに適した一定電力を供給するように構成される。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態に従った公共電力網配電線路に関連した脈動母線によって生成されたヘイバーサイン電圧波形120及び力率1の電流122を例示する。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態に従った共通電圧ノードPVモジュール・バック接続形態130を例示する概略回路図である。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に従って脈動母線上の高周波数のリップルを低減するためのリップル電流相殺回路142を含むPVバック接続形態140を例示する概略回路図である。リップル電流相殺回路142は、システムの出力リップル電流要件を損なうことなく主インダクタ144のサイズを小さくするための手段を提供する。リップル電流相殺回路142は、相対的に大きいインダクタにより達成可能なものよりも相対的に低損失である相対的に小さいインダクタ144の使用を可能にする。ソフト・スイッチング技術を用いることにより、スイッチング損失を更に低減することができる。
【0032】
図2を再び参照すると、光電池エネルギ・システム100の接続形態は、図1について前に述べたような中間エネルギ蓄積段階を具現化するためにDCリンクを用いる必要性を克服する。その理由は、バッキング回路108がPVアレイ12の電圧を直ちに準AC電流112に変換するからである。この特徴は、PVアレイ12の各脚部を大容量のコンデンサ34で補強し、DCリンクをPVアレイ12へ実効的に移し、これにより整流された電力網電流の生成の際にPVアレイ出力電圧を安定化することによって、具現化される。その後のインバータ段104は単に、電流112を電力網14へアンフォールドすることを必要とするに過ぎず、またこのことを、インバータ段のスイッチング装置54,56,58,60がゼロの電圧及び電流の交差点で公共電力網14の低い周波数でのみスイッチングするのでスイッチング損失無しに行う。
【0033】
各バッキング回路108は、またバイパス・ダイオード114も含んでいることが分かる。各バイパス・ダイオード114は、日陰が生じて、PVモジュール106がバッキング回路のスイッチング装置110を動作させるのに必要な所要量のエネルギを生成することができない動作条件の際に、その対応するPVモジュール106を保護するように動作する。バイパス・ダイオード114は、日陰状態の際に、日陰による悪影響を受けていないPVモジュール106に関連した動作状態に悪影響を及ぼすことなく、PVモジュール電流が機能していないPVモジュール106及び対応するバッキング回路108をバイパスできるようにすることによって、PVモジュール106を保護する。
【0034】
要約して説明すると、脈動母線102が、バック・コンバータ108を含む高電圧PVモジュール106に接続され、バック・コンバータ108は、脈動母線電圧と同相で母線102に注入され且つ電圧波形と密に整合する脈動電流を生成する。バック・コンバータ108は、2つの能動装置を持つ簡単な回路である。本発明の一面によれば、動作最大電圧が常に電力網電圧のピークよりも高いとき、昇圧回路が何ら必要とされない。バック・コンバータ108用の能動スイッチは、ゲート駆動及び制御回路を簡単化するためにPVモジュール106の負の線に配置することができる。
【0035】
PVエネルギ・システム100によって提供される利点には、制限するものではないが、確実にバック・コンバータ108のインダクタ144を小さくできるようにし且つ確実に高周波数の電流が脈動母線上で充分に減衰するようにするリップル電流相殺回路を設けることが含まれる。更に、PVインバータ/アンフォルダ104は、非常に高い変換効率を持つ簡単なアンフォルダ回路に簡単化される。PVモジュール106のためのバック・コンバータ108は、前に述べたように、Si装置よりも一層高い温度に耐えることのできるSiC装置を使用して具現化することができる。
【0036】
別の利点としては、制限するものではないが、1)高電圧PVアレイ・システムのためのコンデンサ・エネルギ蓄積要件が、バック・コンバータ108のフロント・エンド上にフィルム・コンデンサのような信頼性のより高いコンデンサを選択することができるように大幅に低減されること、2)PVインバータ/アンフォルダ104に接地故障検出を依然として設けることができること、3)コンバータがバック−昇圧動作を行うことができる場合、或いはバック・コンバータ108がそのコンバータの一部として変圧器を持っている場合、PVエネルギ・システム100が、線路電圧よりも小さい電圧を持つ光電池モジュール106で動作すること、が挙げられる。
【0037】
更に別の利点としては、制限するものではないが、1)従来のシステムよりも実施するのがより簡単であると云う概念、2)従来のシステムで可能であるよりも高いエネルギ生成能力、3)DC配線のような据え付けコストが低減され、また据え付けのための専門の電気技術者を必要とすることが排除されたこと、4)(PVモジュール内に埋め込まれる)PVアレイの寸法決定が簡単化されたこと、及び5)PVインバータ104が非常に効率がよく、従って従来のシステムと比べたとき、よりコンパクトで且つより信頼性があること、が挙げられる。
【0038】
ここで図6を参照すると、図1にPVアレイ12として示されたような一連の従来の光電池モジュールについての日陰の効果を示す。PVインバータは2つのタスクを持ち、それらは、PV発電装置をその最大電力点で動作させること、及びDC電力をAC電力へ変換することを含む。しかしながら、最大電力点の追跡は、最適な日陰のない状態でのみ、良好に作用する。PVモジュールの部分(1つのセルで充分)が雪、塵埃、木の葉などで覆われるや否や、PV発電装置はその電力の一部分(或る特定の条件下では15%まで)を失う。この状態が生じたとき、バイパス・ダイオード(図7に参照数字150で表す)が、日陰状態の際にPVモジュールを損傷する虞のある高い逆電圧レベルに曝されないようにPVモジュールを保護する。
【0039】
図8は、本発明の別の実施形態に従った光電池エネルギ・システム200を例示する。PVエネルギ・システム200は、直列に接続された複数のPVモジュール204を有するPVアレイ202を含み、各PVモジュール204の両端間にはDC/DC昇圧コンバータ206が接続される。各PVモジュール204は、1つのPVセル、1つのPVセル・アレイ、又は複数のPVセル・アレイを含むことができる。PVエネルギ・システム200の接続形態は、全ての各々のPVモジュール204について個別の動作点を可能にして、PVアレイ202について常に最大電力が達成されることを確実にする。もしスイッチング・トランジスタ(例えば、MOSFET)210が故障した場合、ボディ・ダイオード212及び外部ダイオード214が、図7に示された接続形態に通常関連したような、通常通りの動作上の挙動を行う。
【0040】
図8に関して上述したDC/DC昇圧コンバータの接続形態は、図2に示された各PVモジュール106を具現化するために個々のPVセル又はPVセル群の両端間に容易に用いることができる。その結果のアーキテクチャは、大きさがピーク電力網配電線路電圧よりも常に大きいPV電圧を送給することのできる高電圧PVモジュール106に光電池セルが配列されることを確実にする。
【0041】
前に述べた全ての実施形態において、AC公共電力網電圧は、高調波の存在により純粋に正弦波でないことがある。このような場合、アンフォールディング回路の作用は脈動母線上にヘイバーサイン波形を生じさせないが、むしろAC公共電力網電圧の絶対値を表す波形を生じさせる。
【0042】
AC公共電力網電圧が非正弦波である一事例では、PVモジュールによって母線に注入される電流は、脈動母線電圧に比例させることができる。
【0043】
AC公共電力網電圧が非正弦波である別の事例では、PVモジュールによって母線に注入される電流は、脈動母線電圧のフィルタ処理後の電圧に比例させることができる。このフィルタは、或る周波数帯域を阻止し、他の周波数帯域は通過させる。このようなフィルタの一例は、DCと線路周波数の2倍に等しい周波数を通過させ、随選択によりその有限数の高調波を通過させる。
【0044】
AC公共電力網電圧が非正弦波である一事例では、PVモジュールによって母線に注入される電流は、AC公共電力網電圧のフィルタ処理後の電圧の絶対値に比例させることができる。この場合、フィルタは、DCを阻止する能力を含めて、信号を帯域制限するように構成することができる。フィルタは、AC線路の基本周波数における信号のみを通すように構成することができる。いずれの場合も、フィルタはまた、アンフォールディング回路によって公共電力網に注入される電流の基本周波数成分がAC公共電力網電圧波形の基本周波数成分に比例するように構成することができる。
【0045】
上記のことはまた、PVモジュール自体が母線電圧から公共電力網電圧波形のコピーを生成することができるように、脈動母線電圧の信号レベル表現をアンフォールドすることによって達成することができる。次いで、これを上記の態様でフィルタ処理することができる。このことの利点は、モジュールが公共電力網電圧の直接的なサンプルを必要とせずに自己完結することできることである。ここで、母線電圧をアンフォールドするとき、実際の線路基準が利用できない場合、AC線路に対して180°の位相誤差が起こり得ることに留意されたい。しかしながら、この表現のDC成分が、典型的には公共電力網電圧野場合に生じるようにゼロに近づく場合、或いはこのようなDC成分がフィルタによって除去される場合、この位相シフトは、一旦フィルタ処理後の信号の絶対値を求めると、180度の位相誤差は重要でなくなるので、許容される。
【0046】
上記のフィルタ処理技術を使用する利点は、所望のAC線路電圧周波数成分にのみ応答できるようにすることによって、システムの安定性を改善できることである。これは、任意の負荷に起因した不安定性の可能性を制限する。
【0047】
上記のフィルタ処理技術を使用する別の利点は、AC線路電圧周波数成分の基本周波数にのみ応答できるようにすることによって、システムの安全性を改善できることである。そこで、公共電力網AC線路電圧が存在しないとき、コンバータは何ら出力を生成しないで、例えば、単独運転防止能力を提供する。
【0048】
これまで本発明の特定の特徴のみを例示して説明したが、当業者には多数の修正及び変更を行えよう。従って、特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内に入る全てのこのような修正及び変更を包含することを理解されたい。
【符号の説明】
【0049】
10 光電池(PV)インバータ
12 PVアレイ
14 電力網
16 DCリンク・コンデンサ
18 不安定なPVDC電圧
20 安定なDC電圧
22 電流
24 PWM回路
34 コンデンサ
44 スイッチング装置
46 スイッチング装置
48 スイッチング装置
50 スイッチング装置
52 スイッチング装置
54 スイッチング装置
56 スイッチング装置
58 スイッチング装置
60 スイッチング装置
100 PVエネルギ・システム
102 脈動母線
104 PVインバータ
106 PVモジュール
108 バッキング回路
110 スイッチング装置
112 脈動電流
114 バイパス・ダイオード
120 ヘイバーサイン電圧波形
122 力率1の電流
130 PVモジュール・バック接続形態
140 PVバック接続形態
142 リップル相殺回路
144 主インダクタ
150 バイパス・ダイオード
200 PVエネルギ・システム
202 PVアレイ
204 PVモジュール
206 DC/DC昇圧コンバータ
210 スイッチング・トランジスタ
212 ボディ・ダイオード
214 外部ダイオード
220 ピーク電力網配電線路電圧
222 関心のあるPVモジュール動作領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流された公共電力網AC配電線路電圧に比例する非ゼロ平均値の電圧によって規定される脈動母線と、
前記脈動母線に注入される脈動電流へPV電圧を変換するように構成されているコンバータ(108)を備えたPV発電装置(106)を有する少なくとも1つのPVモジュールと、
前記少なくとも1つのPVモジュール(106)によって発生された電力が公共電力網へ転送されるように、前記注入される脈動電流(112)に応じて公共電力網に注入されるAC電流の極性を制御するように構成された電流アンフォールディング回路(104)と、
を有する光電池(PV)エネルギ・システム(100)。
【請求項2】
前記脈動電流(112)は、純粋に正弦波ではないAC公共電力網電圧に応じて公共電力網AC電圧の絶対値に比例するヘイバーサイン波形によって規定され、その振幅が前記PV発電装置(106)からの有能電力とAC電圧の振幅とによって規定されている、請求項1記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項3】
前記脈動電流(112)は、非正弦波であるAC公共電力網電圧に応じて公共電力網AC電圧の絶対値に比例し、その振幅が前記PV発電装置(106)からの有能電力とAC電圧の振幅とによって規定されている、請求項1記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項4】
前記脈動電流(112)は非正弦波公共電力網電圧に応じて脈動母線電圧に比例しており、その振幅が前記PV発電装置(106)からの有能電力とAC電圧の振幅とによって規定されている、請求項1記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項5】
前記脈動電流(112)は、非正弦波公共電力網電圧に応じて脈動母線電圧のフィルタ処理後の電圧に比例しており、その振幅が前記PV発電装置(106)からの有能電力とAC電圧の振幅とによって規定されている、請求項1記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項6】
前記脈動電流(112)は、公共電力網電圧波形の基本波成分に比例する基本波成分を有し、その振幅が前記PV発電装置(106)からの有能電力とAC電圧の振幅とによって規定されている、請求項1記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項7】
前記脈動電流(112)は、非正弦波公共電力網電圧に応じて公共電力網電圧のフィルタ処理後の電圧の絶対値に比例し、その振幅が前記PV発電装置(106)からの有能電力とAC電圧の振幅とによって規定されている、請求項1記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項8】
前記非正弦波公共電力網電圧は、前記脈動母線(102)の電圧に基づいた公共電力網電圧の表現を有している、請求項7記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項9】
前記コンバータ(108)は、対応するPV発電装置(106)の各PVセル(204)又は対応するPV発電装置(106)のセル(204)群のために細分割することができる、請求項1記載のPVエネルギ・システム(100)。
【請求項10】
前記コンバータ(108)は、バック又は逆並列ダイオード(212,214)を含むバッキング又は昇圧回路を有し、該ダイオードは、それが接続された少なくとも1つのPVセル又はPVセル群(204)を、日陰の際に前記発電装置(106)内の残りのPVセル(204)からの過大な電圧に曝されないように構成されたバイパス・ダイオードとしても機能するように構成されている、請求項9記載のPVエネルギ・システム(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−74161(P2010−74161A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208809(P2009−208809)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】