説明

アンモニアボランからの水素の製造方法

本開示は、配位子安定化均一系金属触媒を使用し、式(I)R1R2HNBHR3R4の化合物を加水分解または加溶媒分解することによって水素を発生させるプロセスおよび方法に関する。



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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの配位子安定化金属触媒を含む溶液と、少なくとも1つの式(I)
R1R2HNBHR3R4 (I)
の化合物とを、式(I)の化合物の加溶媒分解のための条件下で、溶媒中で接触させる工程であって、
式中、R1、R2、R3およびR4が、各々、同時にまたは独立して、H、分枝もしくは非分枝鎖のフルオロ置換C1-20アルキル、分枝もしくは非分枝鎖のC1-20アルキル、およびC6-14アリールより選択されるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか2つが、連結されて分枝もしくは非分枝鎖のC2-10アルキレンを形成し、これが、それらが結合している窒素および/またはホウ素原子と一緒に環を形成する、工程;および
(b)任意で、式(I)の化合物の加溶媒分解において生成された水素を回収する工程
を含む、水素の製造方法。
【請求項2】
R1〜R4が異なる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
R1、R2、R3およびR4が、各々、同時にまたは独立して、H、分枝もしくは非分枝鎖のフルオロ置換C1-10アルキル、分枝もしくは非分枝鎖のC1-10アルキル、およびC6-10アリールより選択されるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか2つが、連結されて分枝もしくは非分枝鎖のC2-6アルキレンを形成し、これが、それらが結合している窒素および/またはホウ素原子と一緒に環を形成する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
さらなる態様において、別の態様において、R1、R2、R3およびR4が、各々、同時にまたは独立して、H、分枝もしくは非分枝鎖のフルオロ置換C1-6アルキル、分枝もしくは非分枝鎖のC1-6アルキル、およびフェニルより選択されるか、またはR1とR2とが、および/もしくはR3とR4とが、連結されて分枝もしくは非分枝鎖のC2-6アルキレンを形成し、これが、それらが結合している窒素および/またはホウ素原子と一緒に環を形成する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
R1、R2、R3およびR4が、各々Hである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
溶液が、水と水混和性溶媒との混合物である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
水と水混和性溶媒との体積比が、約90:10〜約10:90である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記体積比が50:50である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
水混和性溶媒がエーテルまたはアルコールである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
エーテルがテトラヒドロフランである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
アルコールがエタノールである、請求項9記載の方法。
【請求項12】
溶液がアルコールである、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
アルコールがC1-10アルコールである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
アルコールC1-4アルコールである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
アルコールが、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールまたは2-ブタノールである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
金属触媒がアルカリ金属を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
アルカリ金属が、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)またはフランシウム(Fr)である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
金属触媒がアルカリ土類金属を含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
アルカリ土類金属が、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)またはラジウム(Ra)である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
金属触媒がp-ブロック金属を含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
p-ブロック金属が、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、またはビスマス(Bi)である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
金属触媒が、d-ブロック金属または遷移金属を含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
d-ブロック金属または遷移金属が、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)または水銀(Hg)である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
遷移金属が、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)またはイリジウム(Ir)である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
金属触媒がランタニドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
ランタニドが、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)またはルテチウム(Lu)である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
金属触媒がアクチニドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
アクチニドが、アクチニウム(Ac)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)、ウラン(U)、ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)、バークリウム(Bk)、カリホルニウム(Cf)、アインスタイニウム(Es)、フェルミウム(Fm)、メンデレビウム(Md)、ノーベリウム(No)またはローレンシウム(Lr)である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
触媒が、少なくとも1つの配位原子を有する1つまたは複数の配位子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項30】
配位原子が、リン、窒素、酸素、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、イオウ、セレンまたはヒ素である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
配位子が、ホスフィン、アルシン、ジホスフィン、イミン、ピリジン、アミン、カルベン、アミノホスフィン、ジアミン、アミノジホスフィン、ジアミノジホスフィン、ジカルベン、アミノカルベン、ホスフィノカルベン、アルコール、エーテル、アミノエーテル、ホスフィノエーテル、アミノアルコールまたはアミノチオール基を含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
配位子が、以下(a)〜(h)のうち1つまたは複数より選択される、請求項29記載の方法:
(a)式(II)のホスフィン
PR5R6R7 (II)
これらは、二座または三座であり、キラルまたはアキラル単座ホスフィン配位子であり、式中、R5、R6およびR7は、同時にまたは独立して、非置換もしくは置換C1-10アルキル、非置換もしくは置換C2-10アルケニル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル、非置換もしくは置換C6-14アリール、OR8およびN(R8)2より選択され、R8は、同時にまたは独立して、非置換もしくは置換C1-10アルキル、非置換もしくは置換C2-10アルケニル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル、非置換もしくは置換C6-14アリールより選択され、またはR5、R6、R7およびR8のうちの2つが一緒に結合し、該基が結合しているリン、窒素および/または酸素原子を含む4〜8個の原子を有する非置換もしくは置換環を形成する;
(b)式(III)のビス(ホスフィノ)二、三または四座配位子
R9R10P-Q1-PR11R12 (III)
式中、R9、R10、R11およびR12は、独立して、R5、R6およびR7について定義される通りであり、Q1は、非置換もしくは置換C1-10アルキレンおよび非置換もしくは置換C1-10アルケニレンより選択され、ここで、Q1上の隣接またはジェミナル置換基は、一緒に連結されて、それらが結合している原子を含めて、1つもしくは複数の非置換もしくは置換5〜14員単環式、多環式、ヘテロ環式、炭素環式、飽和、不飽和もしくはメタロセニル環系を形成し、かつ/または、Q1中の炭素原子の1つまたは複数が、O、S、NHおよびN(C1-6アルキル)より選択されるヘテロ部分に置き換えられてもよく、Q1はキラルまたはアキラルである;
(c)式(IV)の二座配位子
R13R14P-Q2-NR15R16 (IV)
式中、R13およびR14は、独立して、R5〜R7について定義される通りであり、Q2は、Q1について定義される通りであり、R15およびR16は、独立して、H、C6-14アリール、C1-10アルキルおよびC3-12シクロアルキルより選択され、該C6-14アリールおよびC3-12シクロアルキルは置換されていてもよい;
(d)式(V)のヘテロ環式配位子
Hy-Q3-Hy (V)
これらは、二または三座配位子であり、式中、Hyは、3〜10個の原子を含有する非置換もしくは置換された芳香族もしくは非芳香族ヘテロ環であり、該原子のうちの1〜3個が、O、S、N、NHおよびNC1-6アルキルより選択されるヘテロ部分であり、残りの原子がCであり、Q3は、Q1について定義される通りである;
(e)式(VI)または(VII)のジアミノホスフィン
R17R18N-Q4-P(R19)-Q5-NR20R21 (VI)または
R17NH-Q4-P(R19)-Q5-NHR20 (VII)
式中、R17〜R21は、独立して、R15およびR16について定義される通りであり、R19は、R5について定義される通りであり、Q4およびQ5は、Q1について定義される通りである;
(f)式(VIII)または(IX)のジアミン
R22R23N-Q6-NR24R25 (VIII)または
R22NH-Q6-NHR24 (IX)
式中、R22〜R24は、独立して、R15およびR16について定義される通りであり、Q6は、Q1について定義される通りである;
(g)式(X)のチオフェン
T-Q7-NH2 (X)
これらは二座であり、式中、Tは、非置換または置換チオフェンであり、Q7は、Q1について定義される通りである;
ならびに
(h)式(XI)のアミン
R25S-Q8-NH2 (XI)
これらは二座であり、式中、R25は、R5、R6またはR7について定義される通りであり、Sはイオウであり、Q8は、Q1について定義される通りである。
【請求項33】
約20℃〜約60℃の温度で行う、請求項1〜32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
40℃の温度で行う、請求項39記載の方法。
【請求項35】
触媒を水と水混和性溶媒との混合物に溶解し、均一性混合物を形成する、請求項6記載の方法。
【請求項36】
式(I)の化合物を均一性混合物へ直接添加する、請求項35記載の方法。
【請求項37】
配位子安定化金属触媒が前記溶液に可溶性である、請求項1記載の方法。
【請求項38】
不活性雰囲気下において行う、請求項1記載の方法。
【請求項39】
アルゴン雰囲気下において行う、請求項38記載の方法。
【請求項40】
式(I)の化合物の加水分解のための条件下で、水の存在下において、式(I)の化合物と少なくとも1つの配位子安定化金属触媒とを接触させる工程を含む、請求項1に定義される式(I)の化合物を加水分解するための方法。
【請求項41】
式(I)の化合物の加溶媒分解のための条件下で、溶媒の存在下において、式(I)の化合物と少なくとも1つの配位子安定化金属触媒とを接触させる工程を含む、請求項1に定義される式(I)の化合物を加水分解するための方法。
【請求項42】
請求項1に定義される少なくとも1つの式(I)のアミンボランと、少なくとも1つの配位子安定化金属触媒と、加溶媒分解性および/または加水分解性溶媒とを含む、水素発生システム。
【請求項43】
少なくとも1つの式(I)のアミンボランを含む第1区画と、少なくとも1つの配位子安定化金属触媒を含む第2区画と、第1区画および第2区画の内容物を合わせるための手段とを含み、
これにより、該内容物が合わせられると水素が発生し、
該第1または第2区画が前記溶媒をさらに含む、
請求項42記載の水素発生システム。
【請求項44】
少なくとも1つの触媒または少なくとも1つのアミンボランの流量を制御するための、少なくとも1つのフローコントローラをさらに含む、請求項43記載の水素発生システム。
【請求項45】
プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)へ流体的に接続されている、請求項42〜44のいずれか一項記載の発生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−527316(P2010−527316A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507775(P2010−507775)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000943
【国際公開番号】WO2008/141439
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509317944)カナタ ケミカル テクノロジーズ インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】