説明

アームバンド

【課題】長期間に亘って使用した場合でも皮膚に悪影響を与えることがない上、人体との密着度合いが変化せず、抗菌や血行の促進等の効果を効率良く発現させることが可能であり、長期間に亘って良好な外観を呈する装身具を提供する。
【解決手段】アームバンド1は、長尺帯状に形成されており長手方向と直交する方向の断面が円弧状となるように湾曲した金属板3と、光触媒物質(二酸化チタン)が付着された布状体4と、金属板3および布状体4を収納するための収納ケース2とによって構成されている。そして、布状体4が、収納ケース2内で、金属板3の外向きに凸な面上に積層された状態になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒機能を有する物質を用いた装身具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽光線や蛍光灯の紫外線が当たると光触媒反応を起こして雑菌等を分解する機能を有する光触媒物質の存在が知られており、そのような光触媒物質として、二酸化チタン等の物質が知られている。また、かかる光触媒物質については、血行の促進等、人体に対する良好な影響も報告されている。それゆえ、光触媒物質を人体に作用させるべく、二酸化チタン薄膜をコーティングしたネックレスやブレスレット等の装身具が考案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3116965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した二酸化チタン薄膜をコーティングしたネックレスやブレスレットを用いた場合には、長時間に亘って使用すると、皮膚に対して悪影響を及ぼすおそれがある。また、使用中には、それらの装身具と人体との密着度合いが大きく変化するため、抗菌や血行の促進等の効果を効率良く発現させることが困難である。さらに、二酸化チタン薄膜をコーティングしたネックレスやブレスレットを長時間に亘って使用した場合には、コーティングされた二酸化チタンの薄膜が脱離してしまい、外観が悪くなるばかりか、抗菌や血行の促進等の効果を発揮し得なくなる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の光触媒物質を利用した装身具が有する問題点を解消し、長期間に亘って使用した場合でも皮膚に悪影響を与えることがない上、人体との密着度合いが変化せず、抗菌や血行の促進等の効果を効率良く発現させることが可能であり、長期間に亘って良好な外観を呈する装身具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明は、長尺帯状に形成されており、長手方向と直交する方向の断面が円弧状となるように湾曲した金属板と、光触媒物質が付着された布状体と、前記金属板および前記布状体を収納するための収納ケースからなり、前記布状体が、前記収納ケース内で前記金属板の外向きに凸な面上に積層された状態になっていることを特徴とするアームバンドである。
【0007】
本発明における光触媒物質とは、光(紫外線)を吸収するとマイナスイオンを発生させる二酸化チタン等の物質のことを言う(以下、この光触媒物質が有する光の吸収によりマイナスイオンを発生させる作用を光触媒作用という)。また、光触媒物質を付着させる方法としては、金属またはセラミックスの表面に向けてチタンまたはチタン合金からなる粉体を高速で噴射し、金属等の表面と衝突して加熱された粉体を不織布に付着させて不織布上にチタニア被膜を形成させる方法を好適に用いることができる。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、布状体が、2枚の不織布を積層したものであり、それらの不織布同士の間に光触媒物質が挟み込まれた状態になっていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、収納ケースの外面(金属板の外向きに凹な面と同じ側の外面)に蛍光塗料が塗布されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のアームバンドは、光触媒物質を付着させた不織布が収納ケースに内蔵されているため、長期間に亘って使用した場合でも皮膚に悪影響を与えることがない。また、内蔵された光触媒物質と人体との密着度合いが変化せず、抗菌や血行の促進等の効果を効率良く発現させることが可能である。さらに、光触媒物質が収納ケースに内蔵された状態になっているため、長期間に亘って使用した場合でも外観が悪化したりしない。加えて、請求項1に記載のアームバンドは、内蔵された金属板が、直線状からコイル状へ変化する板バネとして機能するため、金属板の外向きに凸な面が下側になるように片端縁を把持して、手首(あるいは足首)と交差するように適度な力で押し当てることによって、手首(あるいは足首)の周囲に容易に装着することができる。さらに、請求項1に記載のアームバンドは、内蔵された金属板がコイル状となって手首や足首に装着されるものであるため、手首や足首の太さに関係なく、良好なフィット感を供与することができる。
【0011】
また、請求項2に記載のアームバンドは、2枚の不織布同士の間に光触媒物質が挟み込まれているので、長期間に亘って使用した場合でも光触媒物質が不織布の間から脱落したりしないので、良好な光触媒作用を保持することができる。
【0012】
一方、請求項3に記載のアームバンドは、収納ケースの外面に塗布された蛍光塗料が夜間に発光するため、装着者が交通事故に巻き込まれる事態を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のアームバンドについて、図面に基づいて詳細に説明する。図1、図2は、それぞれ、本発明に係るアームバンドの斜視図、分解斜視図である。アームバンド1は、長尺帯状の金属板3と、光触媒物質(二酸化チタン)を付着させた布状体4と、それらの金属片3および布状体4を収納する収納ケース2とによって構成されている。
【0014】
金属板3は、約15μmの厚さを有する鉄板を切断することによって、長さが約285mmで幅が約25mmの長尺な帯状に形成されている。また、図3は、アームバンド1の幅方向(長手方向と直交する方向)の断面を示したものであり、金属板3は、幅方向の断面が円弧状となるように全体が湾曲した状態になっている。
【0015】
また、布状体4は、金属板3と略同一の大きさに形成されている。図4は、布状体4の鉛直断面を示したものであり、布状体4は、2枚の不織布シート4a,4bの間に、パウダー状の二酸化チタン(チタニア皮膜)6および二酸化チタンのペレット5,5・・を介在させてプレス(熱圧着)したものである。なお、上側の不織布シート4a、下側の不織布シート4bへの二酸化チタンのペレット5およびパウダー状の二酸化チタン6の付着は、金属またはセラミックスの表面に向けてチタンまたはチタン合金からなる粉体を高速で噴射し、金属等の表面と衝突して加熱した粉体を不織布シートに噴き付けることによってなされている。
【0016】
一方、収納ケース2は、天然の皮革によって金属板3より一回り大きな(長さ300mm×幅30mm)長尺帯状に形成された外側部材2aと、合成樹脂製の編み地(ニット)によって外側部材2aと略同一の大きさに形成された下側部材2bとによって構成されている。
【0017】
そして、アームバンド1は、図2、図3の如く、金属板3の下側(外向きに凸になっている面)に布状体4を重ね、それらの金属板3および布状体4を、上側部材2aと下側部材2bとによって挟み込み、上側部材2aと下側部材2bとを縫い合わせることによって形成されている。
【0018】
かかるアームバンド1を使用する場合には、内部の金属板3の下面(外向きに凸面)が下側になるように片端縁を把持して、手首(あるいは足首)と交差するように適度な力で押し当てる。そのように手首(あるいは足首)に押し当てることによって、内蔵された金属板3が、円弧状を解消して平坦状に変形しつつ下面を内側にして弾力的に巻回するため、アームバンド1は、手首(あるいは足首)の周囲で、図5の如きコイル状となる。
【0019】
上記の如く手首(あるいは足首)に装着されるアームバンド1は、光触媒物質(二酸化チタン5,6)を付着させた布状体4が収納ケース2に内蔵されているため、長期間に亘って使用した場合でも皮膚に悪影響を与えることがない。また、内蔵された光触媒物質と人体との密着度合いが変化せず、抗菌や血行の促進等の効果を効率良く発現させることが可能である。さらに、光触媒物質が収納ケース2に内蔵された状態になっているため、長期間に亘って使用した場合でも外観が悪化したりしない。加えて、アームバンド1は、内蔵された金属板3が、直線状の状態からコイル状の状態へ変化する板バネとして機能するため、内部の金属板3の下向きに凸な面が下向きとなるように片端縁を把持して、手首(あるいは足首)と交差するように適度な力で押し当てるだけで、手首(あるいは足首)の周囲に容易に装着することができる。さらに、アームバンド1は、内蔵された金属板3がコイル状となって手首や足首に装着されるものであるため、手首や足首の太さに関係なく、良好なフィット感を供与することができる(すなわち、アームバンド1は、所謂フリーサイズである)。
【0020】
また、アームバンド1は、光触媒物質を付着させた布状体4が、2枚の不織布シート4a,4bを積層したものであり、それらの不織布シート4a,4b同士の間に光触媒物質(二酸化チタン5,6)が挟み込まれた状態になっているので、長期間に亘って使用した場合でも光触媒物質が不織布シート4a,4bの間から脱落したりしないので、良好な光触媒作用を保持することができる。
【0021】
なお、本発明のアームバンドの構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、金属板、収納ケース、布状体等の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0022】
たとえば、収納ケースの素材は、上記実施形態の如き、天然皮革やニットに限定されず、織布や合成皮革等に変更することも可能である。また、収納ケースは、上記実施形態の如く、上側部材と下側部材との2つの部材によって構成されるものに限定されず、単一部材からなるものに変更することも可能である。さらに、光触媒物質を付着させる布状体は、上記実施形態の如き不織布に限定されず、織布や合成樹脂シート等に変更することも可能である。
【0023】
また、収納ケースの外面には、各種の装飾を施したり、水性インキや油性インキにより名前等を書き込み可能な印刷を施したりすることも可能である。加えて、収納ケースの外面には、蛍光塗料や蓄光塗料を塗布することも可能である。そのように収納ケースの外面に蛍光塗料や蓄光塗料を塗布した場合には、塗布された蛍光塗料や蓄光塗料が夜間に発光するため、装着者が交通事故に巻き込まれる事態を効果的に防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のアームバンドは、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、健康の増進目的を兼ねた装身具として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アームバンドの外観を示す斜視図である。
【図2】アームバンドを分解した状態を示す斜視図である。
【図3】アームバンドを幅方向に切断した断面図である。
【図4】不織布の鉛直断面を示す説明図である。
【図5】アームバンドの使用状態(コイル状に捲回した状態)を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1・・アームバンド、2・・収納ケース、3・・金属板、4・・布状体、4a,4b・・不織布シート、5・・光触媒物質(二酸化チタンのペレット)、6・・光触媒物質(パウダー状の二酸化チタン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状に形成されており、長手方向と直交する方向の断面が円弧状となるように湾曲した金属板と、
光触媒物質が付着された布状体と、
前記金属板および前記布状体を収納するための収納ケースとからなり、
前記布状体が、前記収納ケース内で前記金属板の外向きに凸な面上に積層された状態になっていることを特徴とするアームバンド。
【請求項2】
布状体が、2枚の不織布を積層したものであり、それらの不織布同士の間に光触媒物質が挟み込まれた状態になっていることを特徴とする請求項1に記載のアームバンド。
【請求項3】
収納ケースの外面に蛍光塗料が塗布されていることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載のアームバンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−113966(P2008−113966A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301952(P2006−301952)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(593075968)
【Fターム(参考)】