説明

アーモンドの処理方法

【課題】食用油を使用することなく、ベトつきのない芯まで焼き上げることができるアーモンドの処理方法を提供する。
【解決手段】(1)アーモンドを塩水に浸漬する浸漬工程、(2)アーモンドを水切りし、余分な水分を除去する水分除去工程、(3)余分な水分を除去したアーモンドを一昼夜放置して塩分を浸透させる塩分浸透工程、(4)塩分を浸透させたアーモンドを回転釜の加熱により焼く焼き工程、(5)焼いたアーモンドを回転釜から出して予熱で蒸らす蒸らし工程、(6)蒸らしたアーモンドを前冷却する前冷却工程、(7)前冷却したアーモンドを自然冷却する自然冷却工程によりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用油を使用しないで焼き上げた油のベト付きのないアーモンドを得るためのアーモンドの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アーモンドは、悪玉コレステロールを抑制するオレイン酸が多く含まれ、さらに細胞の老化防止に役立つビタミンEが多く含まれることから、脳梗塞やぼけの防止に役立つ食品として注目されている。
【0003】
従来から、アーモンドは、原料である生のアーモンドをローストして乾燥させることにより製造され、そのまま、酒のつまみやおやつなどに、あるいはスライスや粉末にしてお菓子にトッピングするなどして広く食されている。
【0004】
加熱処理には、生のアーモンドを油脂中で加熱してローストするオイルロースト法が知られている(特許文献1〜3参照)。通常、塩風味のアーモンドは、アーモンドを油で揚げ、その後に食塩をまぶして製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−099678号公報
【特許文献2】特開2005−278446号公報
【特許文献3】特開平06−181690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オイルローストしたアーモンドは、表面に付着している油のベトつきがあるため、手を汚すという欠点がある。
【0007】
そこで、本発明は、食用油を使用することなく、ベトつきのない芯まで焼き上げることができるアーモンドの処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、下記(1)〜(7)の工程からなることを特徴とするアーモンドの処理方法である。(1)アーモンドを塩水に浸漬する浸漬工程、(2)浸漬工程で塩水に浸漬したアーモンドを水切りし、余分な水分を除去する水分除去工程、(3)前記水分除去工程で余分な水分を除去したアーモンドを一昼夜放置して塩分を浸透させる塩分浸透工程、(4)前記塩分浸透工程で塩分を浸透させたアーモンドを回転釜の加熱により焼く焼き工程、(5)前記焼き工程で焼いたアーモンドを回転釜から出して予熱で蒸らす蒸らし工程、(6)前記蒸らし工程で蒸らしたアーモンドを前冷却する前冷却工程、(7)前記前冷却工程で前冷却したアーモンドを自然冷却する自然冷却工程。
【0009】
請求項2の発明は、前記浸漬工程の塩水に深層岩盤水を使用することを特徴とする請求項1記載のアーモンドの処理方法である。
【0010】
請求項3の発明は、前記水分除去工程において、底にざら紙を敷いた木箱にアーモンドを拡げて水分を除去することを特徴とする請求項1又は2記載のアーモンドの処理方法である。
【0011】
請求項4の発明は、前記焼き工程で130℃に焼き上げた後、釜から出した130℃のアーモンドを木箱に移し替えて蒸らすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアーモンドの処理方法である。
【0012】
請求項5の発明は、前冷却工程において、蒸らしたアーモンドを冷却器により前冷却してアーモンドの温度を90℃に冷却することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアーモンドの処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、食用油を使用することなく、回転釜と蒸らしによりアーモンドを焼き上げるので、油のベト付きがないサラッとして手を汚すことなく食することができる。
【0014】
また、本発明は、塩水を浸透させたアーモンドを回転釜で焼き上げ、釜から出して予熱で蒸らすことにより時間をかけて芯まで焼き上げ、さらに自然冷却することで、アーモンド本来のカッリとした食感と香ばしさのあるアーモンドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、図1に示すように、(1)アーモンドを塩水に浸漬する浸漬工程、(2)浸漬工程で塩水に浸漬したアーモンドを水切りし、余分な水分を除去する水分除去工程、(3)前記水分除去工程で余分な水分を除去したアーモンドを一昼夜放置して塩分を浸透させる塩分浸透工程、(4)前記塩分浸透工程で塩分を浸透させたアーモンドを回転釜の加熱により焼く焼き工程、(5)前記焼き工程で焼いたアーモンドを回転釜から出して予熱で蒸らす蒸らし工程、(6) 前記蒸らし工程で蒸らしたアーモンドを前冷却する前冷却工程、(7)前記前冷却工程で前冷却したアーモンドを自然冷却する自然冷却工程によりアーモンドを処理する。
【実施例1】
【0017】
(1)生アーモンドを塩水に浸す浸漬工程
アーモンドに塩味をつけるために生のアーモンドを塩水が満たされた容器に入れて浸漬する。塩水の塩分濃度は、水約10リットルに対して塩を約1.7kg入れた程度の濃度が適している。水はミネラルウォーターが好ましく、例えば、天然の深層岩盤水を使用する。天然の深層岩盤水は、岩盤をくり抜いてわき出た水であり、カルシウムとマグネシウムのバランスがよい。
【0018】
浸漬により生アーモンド表面に塩水を付着させ、浸透させる。浸漬時間は約5分間程度である。塩水への浸漬により、後工程の回転式丸釜で1時間かけて焙煎することで前半は、蒸し状態となりアーモンドに塩分が浸透する。
【0019】
(2)アーモンドを水切りし、余分な水分を除去する水分除去工程
アーモンドを塩水の容器から取り出して水切りした後、水切りしたアーモンドを底板にざら紙が敷いてある木箱に入れて一様に拡げ、ざら紙でアーモンド表面の余分な水分を吸収して除去する。木箱は上部が開放され、底板には3枚のざら紙を敷いて吸水する。
【0020】
(3)塩分を浸透させる塩分浸透工程
上部が開放された木箱に入れた状態でアーモンドを一昼夜放置させる。放置しておくことにより塩分をアーモンド表面から内部へ浸透させていく。一昼夜放置させることによりアーモンドの表面の水分がほとんどなくなり、湿った状態になる。
【0021】
(4)回転釜で焼く焼き工程
一昼夜置いたアーモンドを回転釜(例えば、西田鉄工株式会社製豆煎り機)に投入して焼き上げる。回転釜は22回転/分で回転させ、温度は1時間で焼き上がるように設定する。前半は、蒸し状態となりアーモンドに塩分が浸透する。焼き上がりの温度は、約130℃が適している。
【0022】
1時間かけて焼くことにより、塩分がじっくりと浸透して軽い塩味となり、アーモンドの味が引き立つ。
【0023】
(5)釜から出して予熱で蒸らす工程
釜から出した約130℃のアーモンドを木箱に移し替えてそのままの状態に置いて約5分程度蒸らすことにより、予熱によりアーモンドが芯までこんがりと焼き上がる。
【0024】
予熱を利用して蒸らすことにより、豆の芯までじっくりと焼き上がり、カリーとした食感に仕上がる。
【0025】
(6)前冷却工程
蒸らしたアーモンドを冷却器により前冷却してアーモンドの温度を90℃くらいまで下げる。冷却器は木箱の上方に通風窓が形成され、下方に通風用の換気扇が設けられ、通風窓の上に蒸らしたアーモンドを入れた網箱を載せ、換気扇の通風により冷却する。冷却器の換気扇のオンオフにより、15分間で90℃くらいまで冷却する。
【0026】
(7)自然冷却工程
温度を90℃くらいまで下がったところで木箱に入れる。木箱は、予熱や水分を吸収して発散することで冷却する。木箱の板の厚みや箱の大きさ、保管時の箱と箱の空間を3cm空けることでほどよく発散できる。
【0027】
一昼夜掛けて自然に冷やしており、アーモンド本来の風味と香ばしさを引き出すことができる。
【0028】
以上の工程により、油のベト付きがなく、カッリとした食感と香ばしさのある、塩味(ナトリウム換算約160mg)控えめのアーモンドの製造が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(7)の工程からなることを特徴とするアーモンドの処理方法。
(1)アーモンドを塩水に浸漬する浸漬工程、
(2)浸漬工程で塩水に浸漬したアーモンドを水切りし、余分な水分を除去する水分除去工程、
(3)前記水分除去工程で余分な水分を除去したアーモンドを一昼夜放置して塩分を浸透させる塩分浸透工程、
(4)前記塩分浸透工程で塩分を浸透させたアーモンドを回転釜の加熱により焼く焼き工程、
(5)前記焼き工程で焼いたアーモンドを回転釜から出して予熱で蒸らす蒸らし工程、
(6)前記蒸らし工程で蒸らしたアーモンドを前冷却する前冷却工程、
(7)前記前冷却工程で前冷却したアーモンドを自然冷却する自然冷却工程。
【請求項2】
前記浸漬工程の塩水に深層岩盤水を使用することを特徴とする請求項1記載のアーモンドの処理方法。
【請求項3】
前記水分除去工程において、底にざら紙を敷いた木箱にアーモンドを拡げて水分を除去することを特徴とする請求項1又は2記載のアーモンドの処理方法。
【請求項4】
前記焼き工程で130℃に焼き上げた後、釜から出した130℃のアーモンドを木箱に移し替えて蒸らすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアーモンドの処理方法。
【請求項5】
前冷却工程において、蒸らしたアーモンドを冷却器により前冷却してアーモンドの温度を90℃に冷却することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアーモンドの処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−231748(P2012−231748A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103014(P2011−103014)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【特許番号】特許第4815022号(P4815022)
【特許公報発行日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(596127716)株式会社 豆一番 (2)
【Fターム(参考)】