説明

イオン噴霧装置

【課題】本発明は、カビやぬめりを抑制する効果が高い金属イオン噴霧機能をもつ浴室環境改善機器を提供すること。
【解決手段】給水口2から給水した水に、酸化還元電位の異なる2種類以上の金属を導通させた金属イオン供給手段3によって、抗菌性の金属イオンを水中に溶出させる。金属イオン供給手段3の後段に金属イオン検知手段6を設け、濃度の上昇を検知したとき、金属イオンを含んだ水を噴霧ノズル4によって微細化し、対象物表面に噴霧して、対象物表面に発生する微生物を抑制することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌、防カビを行なうイオン噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の噴霧装置として、抗菌作用がある銀イオンを溶出して噴霧する浴室自動洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。以下、その浴室自動洗浄装置について図2を参照しながら説明する。
【0003】
図2は、浴室自動洗浄装置101の構成であるが、水道水に接続され、銀イオンを供給する銀イオン供給手段102と、銀イオンを含ませた水を温める熱交換器103と、銀イオンを含む湯水を噴射する噴霧手段104を備えている。銀イオンは電気分解によって固体の銀から溶出させ、電圧を制御することで濃度の調整を行なっている。銀イオン濃度は、浴室内に発生するぬめりを抑制するために必要な濃度として、1ミリリットルあたり2ミリグラムになるように調整されている。この銀イオンを含む湯水を噴霧手段104であるノズルから浴室内に噴射し、浴室内の壁面などの抗菌を行なうというものである。
【特許文献1】特開2007−271127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の浴室自動洗浄装置では、電気分解により銀イオンを溶出させるため、水中に電圧を印加する必要がある。そこで漏電や感電を防止するために、例えば、人の接触防止対策として、人の存在や、周辺領域まで含んだ人の接触を精度よく検知することが求められ、構成が複雑になるという課題がある。また、電気分解のための制御回路を設置するための設置スペースを必要とするなどの課題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、電気分解によらずに抗菌性の金属イオンを発生させることで、簡便な構成をもつイオン噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の浴室乾燥機は、上記目的を達成するために、装置外から配管を通じて給水する給水手段と、前記給水手段より給水された水に金属イオンを供給する金属イオン供給手段と、金属イオンを含む水を対象物に噴霧する噴霧手段とを備え、金属イオンによって対象物の表面に発生する微生物を抑制することを特徴とするイオン噴霧装置としたものである。
【0007】
これにより、対象物の表面を抗菌性の金属イオンでコートして対象物の抗菌性を高めることができるイオン噴霧装置を提供することができる。
【0008】
また、他の手段は、金属イオン供給手段は、酸化還元電位の異なる2種類以上の金属を導通したものであることを特徴とする請求項1に記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0009】
これにより、金属イオンを溶出する手段として、電気分解のように電圧の印加を行なわずに、簡便な構成とすることができるイオン噴霧装置を提供することができる。
【0010】
また、他の手段は、金属イオン供給手段は、CuまたはPtまたはAuからなる一群と、AlまたはZnまたはNiからなる一群からそれぞれ少なくとも一つずつ選択され構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0011】
これにより、抗菌性の金属イオンであるAl(アルミニウムイオン)や、Zn(亜鉛イオン)、Ni(ニッケルイオン)を、Cu(銅)やPt(白金)、Au(金)などの金属と導通させることで電池構造をとることができ、外部電源なしに金属イオンを溶出させることができ、簡便な構造でかつ効果の高いイオン噴霧装置を提供することができる。
【0012】
また、他の手段は、金属イオン供給手段は、酸化還元電位の高い金属を導通させた酸化還元電位の低い金属板を流路と平行に複数配置させたものとすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0013】
これにより、金属板の水への接触面積を増やすことで、水中に効率的に金属イオンを溶出させることができ、また流路と平行にすることで配管内の圧力損失を抑えることができるため、噴霧力の高いイオン噴霧装置を提供することができる。
【0014】
また、他の手段は、給水手段の下流側で主流路から分岐した副流路上に金属イオン供給手段を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0015】
これにより、同一の配管を利用して金属イオンの噴霧と金属イオンを含まない水の噴霧の両方を、簡便な構成で行なうことができるイオン噴霧装置を提供することができる。
【0016】
また、他の手段は、金属イオン供給手段を設けない主流路上に流量を制御する流量制御手段を設けることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0017】
これにより、流量制御手段で流量を制御することで、金属イオンの噴霧か、金属イオンを含まない水の噴霧かを簡便に変更することができるイオン噴霧装置を提供することができる。
【0018】
また、他の手段は、主流路の開口面積を副流路の開口面積よりも大きくすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0019】
これにより、流路を分岐して、流量を制御して金属イオンを含む水の噴霧と金属イオンを含まない水の噴霧の制御を行なう場合、給水された水を直接噴霧するときに、供給水への金属イオンの混入を防止できるイオン噴霧装置を提供することができる。
【0020】
また、他の手段は、噴霧手段の上流側で副流路を主流路と接続することを特徴とする請求項1から7のいずれか記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0021】
これにより、同一の噴霧手段を利用して金属イオンの噴霧と金属イオンを含まない水の噴霧の両方を行なうことができ、簡便な構成をもつイオン噴霧装置を提供することができる。
【0022】
また、他の手段は、金属イオン供給手段の下流側に水中の金属イオンの量を検知する金属イオン検知手段を備え、噴霧手段は、前記金属イオン検知手段によって微生物を抑制する量の金属イオンが検知されているときに金属イオンの噴霧を行なうことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0023】
これにより、金属イオンの濃度を抗菌効果が得られる値まで高めてから噴霧することができるため、効果の高いイオン噴霧装置を提供することができる。
【0024】
また、他の手段は、浴室内の壁面または天井面に設置して浴室内に金属イオンを噴霧することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0025】
これにより、浴室内の壁面や天井面、床面に繁殖する微生物を抑制することで清潔性の高い浴室を与えることができるイオン噴霧装置を提供することができる。
【0026】
また、他の手段は、人の有無を検知する人検知手段を設け、人検知手段によって人の存在が検知されたときに金属イオンの噴霧を停止することを特徴とする請求項10に記載のイオン噴霧装置としたものである。
【0027】
これにより、金属イオンによる人体への悪影響を簡便に防止することができるイオン噴霧装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カビやぬめりの発生リスクを軽減して浴室を清潔な状態で維持することができるという効果が得られる。
【0029】
また、人検知手段を用いることで、人が金属イオンを浴びることなく人体への影響を防止することができるという効果が得られる。
【0030】
また、カビの発生を抑制することで、浴室の掃除を軽減できるという効果が得られる。
【0031】
また、カビの発生による浴室や浴室内の機器の汚損を抑制することができるという効果が得られる。
【0032】
また、漏電対策が不要で装置を小型化できるため、狭い場所でも設置でき微生物を抑制できるという効果が得られる。
【0033】
また、配管内の微生物の発生を抑制して、清潔な水の噴霧を行なうことができるという効果が得られる。
【0034】
また、金属イオンの供給に電源を必要としないため、消費電力を削減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明を実施するための最良の形態として、請求項1記載の発明は、装置外から配管を通じて給水する給水手段と、前記給水手段より給水された水に金属イオンを供給する金属イオン供給手段と、金属イオンを含む水を対象物に噴霧する噴霧手段とを備え、金属イオンによって対象物の表面に発生する微生物を抑制することを特徴とするイオン噴霧装置としたものであり、給水された水に抗菌性の金属イオンを溶出させ、配管内に発生する微生物を抑制することができるという作用を有し、抗菌性の金属イオンを噴霧することで、対象物の表面に発生する微生物を抑制することができるという作用を有する。
【0036】
また、請求項2記載の発明は、金属イオン供給手段は、酸化還元電位の異なる2種類以上の金属を導通したものであることを特徴とする請求項1に記載のイオン噴霧装置としたものであり、電気分解のための電源装置や制御回路などを不要として装置を小型化することができるという作用を有し、電気分解を行なわないため、消費電力を低減することができるという作用を有する。
【0037】
また、請求項3記載の発明は、金属イオン供給手段は、CuまたはPtまたはAuからなる一群と、AlまたはZnまたはNiからなる一群からそれぞれ少なくとも一つずつ選択され構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン噴霧装置としたものであり、微生物の抑制効果の高い金属イオンを電気分解せずに電池構造によって溶出させることができるという作用を有する。
【0038】
また、請求項4記載の発明は、金属イオン供給手段は、酸化還元電位の高い金属を導通させた酸化還元電位の低い金属板を流路と平行に複数配置させたものとすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものであり、水への接触面積を増やすことで短時間のうちに金属イオンを溶出させることができるという作用を有し、また圧力損失を抑えて噴霧するための圧力を高め、噴霧力を高めて金属イオンの噴霧範囲を広げることができるという作用を有する。
【0039】
また、請求項5記載の発明は、給水手段の下流側で主流路から分岐した副流路上に金属イオン供給手段を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものであり、専用の配管を別に設けることなく、流路を切り替えることで、金属イオンの噴霧と金属イオンを含まない水の噴霧の両方を行なうことができ、小型化できるという作用を有する。
【0040】
また、請求項6記載の発明は、金属イオン供給手段を設けない主流路上に流量を制御する流量制御手段を設けることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものであり、流量を制御することで、金属イオンの噴霧か金属イオンを含まない水の噴霧を簡便に変更することができ、小型化することができるという作用を有する。
【0041】
また、請求項7記載の発明は、主流路の開口面積を副流路の開口面積よりも大きくすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものであり、流路を分岐させて金属イオンを含まない水と金属イオンを含む水の噴霧を切り替えたい場合、供給水直結である主流路への副流路からの金属イオンの混入を防止することができるという作用を有する。
【0042】
また、請求項8記載の発明は、噴霧手段の上流側で副流路を主流路と接続することを特徴とする請求項1から7のいずれか記載のイオン噴霧装置としたものであり、同一の噴霧手段を用いて金属イオンの噴霧と金属イオンを含まない水の噴霧を行なうことができるため、装置を小型化することができるという作用を有する。
【0043】
また、請求項9記載の発明は、金属イオン供給手段の下流側に水中の金属イオンの量を検知する金属イオン検知手段を備え、噴霧手段は、前記金属イオン検知手段によって微生物を抑制する量の金属イオンが検知されているときに金属イオンの噴霧を行なうことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものであり、金属イオン濃度を抗菌性が得られるまで高めてから噴霧することができ、抗菌効果を高めることができるという作用を有する。
【0044】
また、請求項10記載の発明は、浴室内の壁面または天井面に設置して浴室内に金属イオンを噴霧することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のイオン噴霧装置としたものであり、浴室内に発生するカビやぬめりを抑制することができるという作用を有する。
【0045】
また、請求項11記載の発明は、人の有無を検知する人検知手段を設け、人検知手段によって人の存在が検知されたときに金属イオンの噴霧を停止することを特徴とする請求項10に記載のイオン噴霧装置としたものであり、金属イオンを人体に噴霧することによる悪影響を簡便な構造で防止することができるという作用を有する。
【0046】
(実施の形態1)
図1は、本発明のイオン噴霧装置1の構成を示す図である。噴霧するための水は、装置外部の上水配管や給湯器などから配管され、給水手段である給水口2から装置内部へ給水される。配管は、給水口2以降で、金属イオンを供給しない主流路と、金属イオンを供給する副流路に分岐される。副流路内に設置された金属イオン供給手段3から金属イオンが溶出した水は、噴霧手段である噴霧ノズル4によって、抗菌したい対象物の表面に金属イオンを含んだ水を微細化して噴霧する。
【0047】
抗菌する対象として、例えば、台所周辺では、台所のシンク、排水口、調理台、床面、壁面などの台所およびその周辺、食器、包丁、まな板、鍋、フライパンなどの調理器具、冷蔵庫、食器洗浄器、オーブン、電子レンジ、ブレンダーなどの家電、サニタリー周辺では、洗面台、流し、排水口や、洗濯機、衣類乾燥機、空調機の内部、浴室内の壁面、床面、天井面、排水口や、浴槽、洗面器、玩具などであるが、水周りにあって微生物によるヌメリ、カビ汚れ、臭いなど微生物汚染が発生する場所であればこの限りにない。イオン噴霧装置1は、対象物によって、ポータブル式、または据付式とし、給水、排水のための配管を接続した専用の個室を設けても良い。尚、浴室のように排水のための配管や、換気の手段が備えられている場合、これを利用しても良い。
【0048】
金属イオンを供給する副流路は、複数分岐して設けてもよく、例えば噴霧間隔が短い場合には、短時間で金属イオン水を作製できるように、流路を多く分岐させることが好ましい。
【0049】
副流路内に設置された金属イオン供給手段3は、酸化還元電位の異なる2種類以上の金属を組み合わせ、外部電源により電圧を与えることなく、電池構造を形成させて2種類の金属の電位差を利用して金属イオンを水中に溶出させるためのものである。金属の種類として、例えば、Al、Zn、Niからなる一群と、Cu、Pt、Auからなる一群から少なくとも一つずつ選択して組み合わせて用いることで降下が得られるが、好ましくは、酸化還元電位の差を2V以下となるような金属の組み合わせとすることで水の電気分解に伴うガスの発生を防ぐことができるため都合がよく、例えば、Zn(標準電位−0.76V)とCu(標準電位0.34V)を組み合わせて用いると、電位差は1.1Vであり、ガスの発生がなく、抗菌性の金属イオンであるZnイオンが溶出しやすくてよい。また。Znは、例えば、板、線、粒子などを板状に加工したものを用いる。表面積を増やすために、線を編みこんだ金網や、多孔体の表面に固定化させて用いてもよい。板状に加工したZnは、複数枚設置すると水に接触する面積を増加することができ、溶出量を増加させることができる。板状のZn材料は、流路に対して平行になるように配置する。これによって、副流路内の圧力損失を抑えることができ、効率よく金属イオンを含んだ水を供給することができる。一方、Cuは、内部に銅の材料として、例えば、板や線、粉末からなる材料を設けるが、配管などの周辺部材がCuであった場合、Znと短絡させて代用してもよい。副流路の容積は、噴霧対象によって設定し、それに合わせてZnとCuの使用量を決める。表1はZnイオンの濃度と、抗菌効果の有無を示した表である。
【0050】
【表1】

【0051】
これによると、Znイオンの濃度は、抗菌性が得るために、20ppm以上、好ましくは40ppm以上になるように水量とZnの量、表面積を設定する。尚、上限値は、不溶性の塩の形成を抑制するため、300ppm以下が好ましい。Znの溶出量は、形状や表面積などによっても異なるため、あらかじめ実験によって求める。表2は時間と溶出量を示した表である。
【0052】
【表2】

【0053】
大きさが、縦10cm、横5cm、厚さ0.5mmのZn板を使用し、対極に表面積が1/2であるCu板を接続した場合の、Znイオンの溶出量を測定した結果は、1時間あたり約10mgであった。この場合、副流路の容積を1L、Zn板を3枚配置すると、1時間でZnイオン30ppmを含んだ水を1L作製することができると考えられた。
【0054】
主流路側には、流量制御手段である流量制御弁5を設ける。流量制御弁5によって主流路側の流量を小さくすると、副流路側の流量を大きくすることができ、また、主流路と副流路の開口部分の面積は、副流路よりも主流路の方を大きくとることで、金属イオンを含まない水を噴霧するときに、金属イオンの混入を防ぐことができ、必要なときのみ金属イオンを含ませることができるため好ましい。
【0055】
分岐させた主流路と副流路は、噴霧ノズル4の手前で接続することで、同一の噴霧ノズル4から、金属イオンを含む水と含まない水を両方噴霧させることができ、ノズルの数を最小化できる。
【0056】
噴霧ノズル4は、金属イオンを含む水を微細化して噴霧するためのノズルであり、高圧の水を1乃至複数のノズル孔から噴霧する手段である。できるだけ広範囲に噴霧するため、粒子径は小さいことが必要であり、直径は0.1mm以下、好ましくは0.05mm以下である。尚、下限値は、空気中で気化しにくい大きさがあればよく、0.001mm以上とする。また、噴霧ノズル4から噴霧する角度は、対象物に対して十分に大きくとることが重要である。例えば、浴室の天井に設置して、浴室全面に噴霧する場合、噴霧角度は75度から165度の範囲のものが好ましいが、ノズル孔を異なる方向に複数設けた場合にはこの限りになく、角度が小さいものも使用できる。また、流量は、例えば、毎分0.1から1Lの範囲のものが好ましい。
【0057】
金属イオン供給手段3の下流側には、溶出した金属イオン濃度を検知して、制御に反映するための金属イオン検知手段6を設ける。金属イオン検知手段6によって、金属イオンが微生物を抑制できる濃度、例えば、Znイオンの場合、50ppmまで上昇したときに噴霧する、という制御を行なうことで、金属イオン濃度を常に抗菌効果が得られる値で使用することができる。金属イオンを検知する手段としては、例えば、選択的補足剤(キレート剤)や錯体を用いた金属イオンセンサ、光学式の吸光度センサ、が使用できる。また、特定の金属を測定するものではないが、導電率計や電位計などによっても、金属イオンの溶出を間接的に知ることができる。例えば、導電率計を用いた場合、水道水に金属イオンを溶出させ、導電率を測定し、また別の手段で金属イオン濃度を求めておく。導電率が一定値まで上昇したときに金属イオン濃度が目標値まで達したとして、噴霧を行なう。
【0058】
イオン噴霧装置1は、水周りの、特に浴室内部の壁面や天井面に設置することで、浴室の壁面や床面、天井面、浴槽といった浴室内部のぬめりやカビ汚れの発生を防止することができる。尚、天井面や壁面に設置する浴室用換気扇や浴室乾燥機、ミストサウナ装置などに組み込んでも良く、これにより、金属イオン噴霧後に、直ちに付着水を乾燥させ、金属イオン濃度を高めることができ、抗菌効果を高めることができる。
【0059】
浴室内に設置した場合、浴室内に人が入浴しているときに金属イオンを噴霧すると、吸引や付着などにより悪影響が発生する懸念がある。そのため、人検知手段として人感センサ7を設け、浴室内に人が入っているときには金属イオンの噴霧停止や、運転を開始させないなどの制御を行なうことが好ましい。人感センサ7は、イオン噴霧装置1を天井面に設置した場合、天井面のパネル上に設け、浴室内の人の存在を検知する。人感センサ7として、赤外線センサなどが使用できるが、結露の影響による誤検知を防止するためポリエチレンやシリコーン樹脂など赤外線を透過する材料で保護カバーを設けることが好ましい。
【0060】
金属イオン供給手段3によって、外部より電力を供給せずに抗菌性の金属イオンを水中に溶出し、噴霧することができるため、従来の浴室洗浄装置に比較して、構造を単純化でき、省スペースで、消費電力を抑えた浴室の環境改善機器として、イオン噴霧装置を提供することができる。これにより、浴室内のカビやぬめりの発生を抑制することができ、浴室内の環境改善に貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
カビやぬめり抑制効果をもった金属イオンを含む水を噴霧することによって、浴室のカビやぬめりによる衛生状態の悪化を抑制する環境改善機器としてイオン噴霧装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1のイオン噴霧装置の構成を示す図
【図2】従来の浴室自動洗浄装置を示す図
【符号の説明】
【0063】
1 イオン噴霧装置
2 給水口
3 金属イオン供給手段
4 噴霧ノズル
5 流量制御弁
6 金属イオン検知手段
7 人感センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外から配管を通じて給水する給水手段と、前記給水手段より給水された水に金属イオンを供給する金属イオン供給手段と、金属イオンを含む水を対象物に噴霧する噴霧手段とを備え、金属イオンによって対象物の表面に発生する微生物を抑制することを特徴とするイオン噴霧装置。
【請求項2】
金属イオン供給手段は、酸化還元電位の異なる2種類以上の金属を導通したものであることを特徴とする請求項1に記載のイオン噴霧装置。
【請求項3】
金属イオン供給手段は、CuまたはPtまたはAuからなる一群と、AlまたはZnまたはNiからなる一群からそれぞれ少なくとも一つずつ選択され構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン噴霧装置。
【請求項4】
金属イオン供給手段は、酸化還元電位の高い金属を導通させた酸化還元電位の低い金属板を流路と平行に複数配置させたものとすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のイオン噴霧装置。
【請求項5】
給水手段の下流側で主流路から分岐した副流路上に金属イオン供給手段を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のイオン噴霧装置。
【請求項6】
金属イオン供給手段を設けない主流路上に流量を制御する流量制御手段を設けることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のイオン噴霧装置。
【請求項7】
主流路の開口面積を副流路の開口面積よりも大きくすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のイオン噴霧装置。
【請求項8】
噴霧手段の上流側で副流路を主流路と接続することを特徴とする請求項1から7のいずれか記載のイオン噴霧装置。
【請求項9】
金属イオン供給手段の下流側に水中の金属イオンの量を検知する金属イオン検知手段を備え、噴霧手段は、前記金属イオン検知手段によって微生物を抑制する量の金属イオンが検知されているときに金属イオンの噴霧を行なうことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のイオン噴霧装置。
【請求項10】
浴室内の壁面または天井面に設置して浴室内に金属イオンを噴霧することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のイオン噴霧装置。
【請求項11】
人の有無を検知する人検知手段を設け、人検知手段によって人の存在が検知されたときに金属イオンの噴霧を停止することを特徴とする請求項10に記載のイオン噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−63965(P2010−63965A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230790(P2008−230790)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】