説明

イオン導入機能付き超音波美容器

【課題】 従来のイオン導入機能付き超音波美容器では、ヘッド部の振動板と肌のトリートメント部位との間の介在水分量が変化すると、イオン導入出力と超音波振動出力とのバランスが崩れ、効率のよい美容効果が達成できなくなる。
【解決手段】 イオン導入機能付き超音波美容器において、イオン導入回路20に該イオン導入回路20を流れる電流を一定に制御する定電流制御装置を設けているとともに、定電流制御装置による制御に連動して超音波発生回路10で発生させる超音波振動の出力を出力調整回路により自動調整することにより、上記介在水分量が変化しても、イオン導入出力及び超音波振動出力を肌の水分量に見合った好適な出力に自動調整でき、美容効率を一層良好にし得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、イオン導入による肌の美容と超音波振動による肌の美容を同時に行えるようにしたイオン導入機能付き超音波美容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、肌(特に顔肌)の美容用として、イオン導入器と超音波美容器とを兼用したハンディタイプのイオン導入機能付き超音波美容器が普及している。
【0003】
イオン導入器は、該振動板から皮膚深層部に化粧品の有効成分を浸透させたり肌のクレンジング(汚れ成分の除去)を行うものであり、超音波美容器は、ヘッド部に設けた振動板から肌に超音波振動を付与することで肌に対して主としてマッサージ機能を発生させるものである。
【0004】
又、イオン導入による美容と超音波による美容とを同時に行うと、美肌効果が増進することが知られている。尚、この種のイオン導入機能付き超音波美容器の一例として、特開2001−259045号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0005】
イオン導入による美容及び超音波による美容を行うには、ヘッド部の振動板と肌のトリートメント部位との間に水分(ジェル)を介在させる必要がある。尚、以下の説明では、ヘッド部の振動板と肌のトリートメント部位との間に介在される水分量を単に介在水分量ということがある。

即ち、イオン導入時には、人体を介してイオン導入回路が閉路される関係で、ヘッド部の振動板とトリートメント部位との間に水分が必要であり、他方、超音波振動は、トリートメント部位に水分が多いほど肌への浸透力が強くなる。
【0006】
そして、振動板からのイオン導入出力及び超音波振動出力は、共に上記介在水分量に影響される。即ち、イオン導入出力は、上記介在水分量が多いほどイオン導入回路を流れる電流値が大きくなって振動板からのイオン導入機能が大きくなるとともに、振動板からの超音波振動出力は、上記介在水分量が多いほど大きくなる。換言すればトリートメント部位の水分が少ないと、電気抵抗が大きくなってイオン導入回路を流れる電流値が小さくなる(振動板からのイオン導入機能が小さくなる)一方、超音波振動の肌への伝達効率が低くなる。
【0007】
ところで、イオン導入機能は、上記介在水分量が少ない部位ではイオン導入回路を流れる電流値が小さくなる(振動板からのイオン導入機能が小さくなる)が、公知のイオン導入器の中には、例えば特許文献2の特開2004−73613号公報に示されるように、上記介在水分量が変化してもイオン導入回路を流れる電流値を常に一定にする定電流制御装置を備えたものがある。
【0008】
即ち、この特許文献2のイオン導入器に採用されている定電流制御装置は、イオン導入回路を流れる実際電流値と制御器に設定されている設定電流値とを比較して、実際電流値が設定電流値に対して変化すると制御器から電圧調整器に対して電圧調整信号を出力し、該電圧調整器により超音波発生回路の電圧を調整することにより、実際電流値を設定電流値に自動で合致させる(近づける)ようにしたものである。尚、このように、イオン導入回路を流れる電流値を常時一定にしておくと、上記介在水分量の多少によっても振動板からの時間当たりのイオン導入能力が変化しなので、使い勝手が良好となる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−259045号公報
【特許文献2】特開2004−73613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来のイオン導入機能付き超音波美容器では、イオン導入と超音波振動とを同時に機能させる際に、上記特許文献2の定電流制御装置を採用すると上記介在水分量が少ないトリートメント部位でもイオン導入機能が低下しないものの、該トリートメント部位に介在水分量が少ないと肌に対して超音波振動の出力(浸透力)が低下してしまう。
【0011】
このように、イオン導入と超音波振動とを同時に機能させる際に、イオン導入出力と超音波振動出力とのバランスが崩れると(イオン導入出力が通常であっても超音波振動出力が低下すると)、効率のよい美容効果が達成できなくなるという問題がある。
【0012】
そこで、本願発明は、イオン導入機能付き超音波美容器において、ヘッド部の振動板と肌のトリートメント部位との間の介在水分量が変化した際にも(特に、該介在水分量が少なくなったときでも)、イオン導入と超音波振動とを自動でバランスよく出力させ得るようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、イオン導入機能付き超音波美容器を対象にしている。
【0014】
本願発明のイオン導入機能付き超音波美容器は、器体ケースのヘッド部に設けた振動板を超音波発生回路によって超音波振動させる一方、イオン導入回路によって振動板から肌に対してイオンによる美容を行えるようにしたものである。尚、この種のイオン導入機能付き超音波美容器は、主として直流電流で作動させる。
【0015】
イオン導入回路には、該イオン導入回路を流れる電流を一定に制御する定電流制御装置を設けている。この定電流制御装置としては、例えば上記特許文献2に使用されている定電流制御装置を採用できる。
【0016】
又、本願のイオン導入機能付き超音波美容器では、上記定電流制御装置による制御に連動して超音波発生回路で発生させる超音波振動の出力を出力調整回路により自動調整するようにしている。
【0017】
超音波発生回路による超音波振動の出力(肌への超音波振動浸透力)は、基本的に超音波発生回路中の電圧調整器による印加電圧で増減されるが、このほかにヘッド部の振動板と肌のトリートメント部位との間に介在される水分量(以下、介在水分量という)によっても増減する。
【0018】
又、超音波発生回路による超音波振動の出力調整回路は、イオン導入回路の定電流制御装置の制御器から超音波発生回路の電圧調整器に対して電圧調整信号を出力するものである。
【0019】
ところで、本願のイオン導入機能付き超音波美容器を使用するときには、肌のトリートメント部位にジェル(粘性のある化粧水)を塗布しておくが、トリートメント部位によってはジェル塗布量にバラツキがあったり、あるいは時間経過により塗布したジェルが蒸発したりして、トリートメント部位とヘッド部の振動板間に介在される水分量にバラツキが生じることが多々ある。
【0020】
本願のイオン導入機能付き超音波美容器は次のように機能する。即ち、このイオン導入機能付き超音波美容器で超音波振動による美容とイオン導入による美容とを併用して行う場合には、上記介在水分量が少ない(イオン導入回路を流れる電流値が低くなる)と定電流制御装置が働いて(具体的にはイオン導入回路中に印加される電圧を高くする)、該イオン導入回路を流れる電流値を設定電流値まで高める制御が行われる。尚、介在水分量が少ないときには、上記のようにイオン導入回路を流れる電流値を設定電流値まで高める制御が行われるが、そのままでは超音波発生回路による超音波振動の出力は低下する。
【0021】
そこで、本願発明のイオン導入機能付き超音波美容器では、上記定電流制御装置が働くと、それに連動して出力調整回路が作動し、超音波発生回路中の電圧調整器に対して定電流制御装置による電流値(電圧値)調整量に見合う電圧調整を行うようになっている。尚、超音波発生回路中の電圧調整器に対する電圧調整は、例えば12V(低電圧)、16V(中電圧)、20V(高電圧)の3段階程度の調整でよい。
【0022】
このように、本願発明のイオン導入機能付き超音波美容器では、上記介在水分量が変化するのに合わせて、超音波発生回路で発生させる超音波振動出力(具体的には超音波発生回路中の電圧調整)を自動調整できる。
【0023】
尚、ヘッド部の振動板が上記介在水分量の少ない部位から多い部位に移動したときには、イオン導入回路中に流れる電流値が一時的に高くなるが、そのときには上記定電流制御装置が働いて高くなった電流値を設定電流値に戻すとともに、出力調整回路により超音波発生回路の印加電圧を所定の低電圧に調整する制御が行われる。
【発明の効果】
【0024】
この種のイオン導入機能付き超音波美容器では、超音波振動による美容とイオン導入による美容とを併用して行う使用形態において、ヘッド部の振動板と肌のトリートメント部位との間に介在される水分量が少ない場合には、そのままではイオン導入回路を流れる電流値が低くなる一方、超音波発生回路によるトリートメント部位への超音波振動出力が低下するようになる。
【0025】
これに対して、本願発明のイオン導入機能付き超音波美容器では、上記介在水分量が少ないときには、定電流制御装置が働いてイオン導入回路を流れる電流値を設定電流値まで高める制御が行われるとともに、それに連動して超音波発生回路に対して出力調整回路により超音波振動出力を高めることができるようになっている。
【0026】
従って、本願のイオン導入機能付き超音波美容器によれば、上記介在水分量が変化しても(少なくなっても)、イオン導入と超音波振動とを自動でバランスよく出力させることができ、常時美容効率の良好な状態で使用できるという効果がある。
【実施例】
【0027】
図1〜図4を参照して本願実施例のイオン導入機能付き超音波美容器を説明する。尚、以下の説明では、本願のイオン導入機能付き超音波美容器を単に美容器と表現する。
【0028】
図1は本願実施例の美容器の下面図、図2は同美容器の上面図、図3は図1の長手方向断面図(III−III断面図)、図4はこの美容器の電気回路図である。
【0029】
この実施例の美容器は、図1〜図3に示すように細長い器体ケース1を用いたハンディタイプ式のものが採用されている。
【0030】
器体ケース1はプラスチック製で、その中央寄り部分に握り部2を有し、先端部に下面側に向けて突出するヘッド部3が設けられている。
【0031】
この美容器には、図4に示すように超音波発生回路10とイオン導入回路20とが組み込まれていて、後述するように肌に対してヘッド部3から超音波振動機能とイオン導入機能を付与し得るようになっている。
【0032】
器体ケース1のヘッド部3には、超音波発生回路10によって超音波振動させる振動板4が取付けられている。この振動板4には、導電性を有する材料(例えばステンレス鋼板)が使用されている。
【0033】
器体ケース1の握り部2の上面には、アース板(例えばステンレス鋼板製)5が取付けられている。このアース板5は、美容器使用時において器体ケース1を手で握ったときに手のひらが接触する位置にある。
【0034】
この美容器は、直流電源7で作動させるが、この実施例では、図3に示すように商業電源をA−D変換器(符号7部分)で直流に変換し、電気コードのコネクタ8を器体ケース1の接続口6に接続して、直流電流を美容器に給電するようにしている。尚、他の実施例では、美容器に使用される直流電源7として、乾電池を使用することもできる。
【0035】
超音波発生回路10は、図4に示すように、超音波を発生させる超音波発生器11と、振動板4に取付けた超音波振動子12と、超音波発生スイッチ13と、後述の電圧調整器14とを有している。超音波発生器11は、電圧調整器14で指定された電圧に対応した出力の超音波を発生する。尚、この実施例では、超音波発生回路10の全体が器体ケース1内に組み込まれているが、他の実施例では超音波発生回路10の超音波発生器11部分を器体ケース1外に設けてもよい。
【0036】
そして、この超音波発生回路10は、超音波発生スイッチ13をONにすると、超音波発生器11からの超音波出力が超音波振動子12に伝達されて振動板4を超音波振動させるようになっている。尚、この実施例の美容器では超音波振動の周波数を4.7MHZで行うようにしているが、この種の超音波美容器の一般的な超音波周波数は3〜6MHZの範囲であり、本願の場合も一般的な超音波周波数(3〜6MHZ)の範囲で適宜に設定できる。
【0037】
イオン導入回路20は、図4に示すように、振動板4に接続された振動板側電極端子21と、アース板5に接続されたアース側電極端子22と、イオン導入スイッチ23と、極性変換器24と、電圧調整器25と、電流計26と、後述の機能を有する制御器27とを有している。
【0038】
振動板側電極端子21とアース側電極端子22とは、人体を介して電気的に接続されるものである。即ち、イオン導入スイッチ23をONにし、器体ケース1の握り部2を手で握った状態(アース板5に手が接触する)で、ヘッド部3の振動板4を肌のトリートメント部位に接触させると、イオン導入回路20が閉路されて該イオン導入回路20を直流電流が流れるようになっている。
【0039】
イオン導入回路20の極性変換器24は、振動板側電極端子21とアース側電極端子22との極性を可逆的に切換えるもので、この実施例では、イオン導入スイッチ23部分で切換えを行うようにしている。即ち、イオン導入スイッチ23をOFF状態から1回押すと振動板側電極端子21が−極性となり、2回目を押すと該振動板側電極端子21が+極性に切換わり、もう1回(3回目)押すとOFFに戻るようになっている。尚、肌のクレンジングをする際には、汚れ成分が一般に+極性であるために振動板側電極端子21(振動板4)を−極性にして行い、化粧水の有効成分(+極性のものが多い)を皮膚内にイオン導入させる際には、振動板側電極端子21(振動板4)を+極性にして行う。
【0040】
器体ケース1の下面部には、図1に示すように各種スイッチ(超音波発生スイッチ13とイオン導入スイッチ23)や出力表示部30が設けられている。出力表示部30には、超音波振動機能時を示す超音波表示灯31と、その超音波出力レベルを3段階に表示する各レベル表示灯31a,31b,31cと、イオン導入機能時を示すイオン導入表示灯32と、そのイオン導入出力レベルを3段階に表示する各レベル表示灯32a,32b,32cと、イオン導入の極性表示灯33a,33bがそれぞれ設けられている。
【0041】
この実施例の美容器は、次の各操作でそれぞれの機能を実行させることができる。尚、超音波振動機能及びイオン導入機能を効率よく実行させるには、振動板4と肌面との間に水分を介在させておく必要があり、肌のトリートメント部位に予めジェル(粘性のある化粧水)を塗布しておく。
【0042】
まず、超音波振動で美容を行うには、超音波発生スイッチ13をONにする(イオン導入スイッチ23はOFFのまま)と、超音波発生器11によりヘッド部3の振動板4を超音波振動させ、その振動板4を肌のトリートメント部位に接触させることにより、肌にマッサージ機能を付与できる。尚、超音波振動機能時には、出力表示部30の超音波表示灯31と、そのときの超音波出力レベルを示すレベル表示灯(31a,31b,31cのいずれか、又はレベルに応じた個数)とが点灯する。
【0043】
又、イオン導入機能でクレンジングを行うには、イオン導入スイッチ23を1回押して(超音波発生スイッチ13はOFFのまま)、振動板側電極端子を−極性にした状態で、ヘッド部3の振動板4を肌のトリートメント部位に接触させることにより、肌の汚れ成分(+極性)を振動板4(−極性)側に電気的に吸引することができる。尚、クレンジング機能時には、出力表示部30のイオン導入表示灯32と、そのときのイオン導入出力レベルを示すレベル表示灯(32a,32b,32cのいずれか、又はレベルに応じた個数)と、イオン導入の−極性表示灯33aとが点灯する。
【0044】
又、イオン導入機能で化粧水の有効成分を皮膚内に浸透させる場合は、イオン導入スイッチ23を2回押して(超音波発生スイッチ13はOFFのまま)、振動板側電極端子21を+極性にした状態で、ヘッド部3の振動板4を肌のトリートメント部位に接触させることにより、化粧水の有効成分(+極性)を振動板4(+極性)による電気的反発作用により皮膚内に押込むことができる。尚、イオン導入機能時には、出力表示部30のイオン導入表示灯32と、そのときのイオン導入出力レベルを示すレベル表示灯(32a,32b,32cのいずれか、又はレベルに応じた個数)と、イオン導入の+極性表示灯33bとが点灯する。
【0045】
さらに、超音波振動機能とイオン導入機能とを併用する場合は、超音波発生スイッチ13とイオン導入スイッチ23とをそれぞれONにし、振動板側電極端子21を美容目的の極性にした状態で、ヘッド部3の振動板4を肌のトリートメント部位に接触させることにより、超音波振動により肌にマッサージ機能を付与できると同時にイオン導入機能(クレンジング又は化粧水有効成分の浸透)による美容が行える。尚、両機能を併用させた場合には、出力表示部30の所定の各表示灯が点灯する。
【0046】
このように、この実施例の美容器では、1台の美容器であっても、単にスイッチ操作のみで、超音波振動機能単独と、イオン導入機能単独と、両機能の併用とに切換えて使用することができ、使い勝手のよいイオン導入機能付き超音波美容器を提供できる。
【0047】
ところで、イオン導入機能を安定して実行させるには、イオン導入回路20を流れる電流値を一定にして行うことが好ましいが、振動板4が接する肌の状態によっては流れる電流値が変化してしまう。即ち、イオン導入機能によるトリートメント時には、振動板4部分を肌面に摺動させてトリートメント部位を順次変えていくが、そのとき振動板4が接する肌の水分量が変化すると電気抵抗が変化し、そのとき電圧が一定であると流れる電流値が変化する。例えば、振動板4を水分量の多い部位から少ない部位に移動させたとき、又は時間が経過して肌に塗布した水分が蒸発したとき等には、電気抵抗値が大きくなって流れる電流値が小さくなり、その結果、イオン導入機能が低下してしまう。
【0048】
そこで、この実施例の美容器では、イオン導入機能時にイオン導入回路20を流れる電流値を一定(例えば1ミリアンペア)にするための制御(定電流制御)を自動で行うようにしている。即ち、この実施例では、図4に示すように、イオン導入回路20を流れる電流値を電流計26で検出して、該電流計26での検出信号(検出電流値)を制御器27に常時出力している(図4の信号線S1)。他方、制御器27には、予めイオン導入機能に必要な所定の基準電流値(例えば1ミリアンペア)を設定している。そして、電流計26からの検出電流値が制御器27に設定している基準電流値の許容範囲から外れたときに(小さくなったときに)、制御器27から電圧調整器25に対して電圧調整信号S2(検出電流値が基準電流値に適合するような電圧値に補正する信号)を出力して、イオン導入回路20中を流れる電流値を上記基準電流値に適合させる(近づける)ような制御が自動で行われる。従って、この美容器では、イオン導入機能時にイオン導入回路20を流れる電流値を常時一定(基準電流値)にした状態で行えるようになっている。尚、この実施例では、電流計26と、制御器27と、イオン導入回路20中の電圧調整器25とで特許請求範囲中の定電流制御装置を構成している。
【0049】
他方、超音波発生回路10による振動板4からの出力(肌への超音波振動浸透力)も、トリートメント部位の水分量によって変動する性質がある。即ち、振動板4が接触するトリートメント部位の水分量が多いと超音波振動出力が大きくなり、逆に該トリートメント部位の水分量が少ないと超音波振動出力が小さくなる性質がある。
【0050】
そこで、この実施例の美容器では、図4に示すように、上記イオン導入回路20を流れる電流値(電流計26で検出されている)が上記基準電流値より許容範囲を超えて小さくなって制御器27からイオン導入回路20側の電圧調整器25に対して上記電圧調整信号S2を発したときに、同時に該制御器27から超音波発生回路10側の電圧調整器14に対して超音波発生器11の出力を高い側に調整するような電圧調整信号S3を発するようにしている。尚、この実施例では、制御器27と、超音波発生回路10の電圧調整器14と、電圧調整信号線(符号S3)とで特許請求範囲中の出力調整回路を構成している。
【0051】
この実施例では、超音波発生回路10側の電圧調整器14は、超音波振動出力を低(12V)、中(16V)、高(20V)の3段階で調整できるようになっており、上記のように制御器27からイオン導入回路20の電圧調整器25に対して電圧調整信号S2が発せられたときに、該制御器27から超音波発生回路10側の電圧調整器14に対して、上記3段階(低、中、高)の超音波振動出力の中から、イオン導入回路20側の電圧調整器25への電圧補正量に見合った出力に相当する電圧調整信号S3を出力するようにしている。
【0052】
このように、超音波発生回路10からの超音波振動出力を、イオン導入回路20に流れる電流値の変化(具体的には振動板4と肌のトリートメント部位間の水分量)に対応して自動調整し得るようにすると、超音波振動出力を肌の水分量に見合った好適な出力に自動調整でき、美容効率を一層良好にし得るという機能が付加される。
【0053】
尚、ヘッド部3の振動板4が上記介在水分量の少ない部位から多い部位に移動したときには、イオン導入回路20中に流れる電流値が一時的に高くなるが、そのときには電流計26からの電流値信号S1を受けて制御器27から電圧調整器25に対して印加電圧を下げる制御が行われる(高くなった電流値を設定電流値に戻す)とともに、制御器27から超音波発生回路10中の電圧調整器14に対しても印加電圧を下げる制御が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願発明の実施例に係るイオン導入機能付き超音波美容器の下面図である。
【図2】図1の美容器の上面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1の美容器の電気回路図である。
【符号の説明】
【0055】
1は器体ケース、2は握り部、3はヘッド部、4は振動板、5はアース板、7は直流電源、10は超音波発生回路、11は超音波発生器、12は超音波振動子、13は超音波発生スイッチ、14は電圧調整器、20はイオン導入回路、21は振動板側電極端子、22はアース側電極端子、23はイオン導入スイッチ、24は極性変換器、25は電圧調整器、26は電流計、27は制御器である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器体ケース(1)のヘッド部(2)に設けた振動板(4)を超音波発生回路(10)によって超音波振動させる一方、イオン導入回路(20)によって前記振動板(4)から肌に対してイオン導入による美容を行えるようにしたイオン導入機能付き超音波美容器であって、
前記イオン導入回路(20)には、該イオン導入回路(20)を流れる電流を一定に制御する定電流制御装置(26,27,25)を設けているとともに、
該定電流制御装置(26,27,25)による制御に連動して前記超音波発生回路(10)で発生させる超音波振動の出力を出力調整回路(27,14)により自動調整するようにしている、
ことを特徴とするイオン導入機能付き超音波美容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−17325(P2010−17325A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179926(P2008−179926)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(504316300)健康コーポレーション株式会社 (1)
【Fターム(参考)】