説明

イオン検出器

【課題】気体に含まれるイオンの濃度の検出精度を向上させることが可能なイオン検出器を提供する。
【解決手段】このイオン検出器1は、内側電極2と、内側電極2の直径D1よりも大きい内径D2を有する円筒状の外側電極3と、内側電極2および外側電極3の間に電圧を印加するDC電源5と、イオン電流またはイオン濃度を検出する電流計6および処理・表示装置7と、を備える。外側電極3の内側に流入する気体に含まれる一極性のイオンの内側電極2への衝突が回避されるように、内側電極2が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、イオン検出器に関し、特に、気体に含まれるイオンの濃度を検出するためのイオン検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気(気体)に含まれるイオンの濃度を測定する方法として、例えばゲルディエン法が知られている。具体的には、ゲルディエン法を用いたイオン検出器は、円筒状の内側電極と、内側電極の外周を覆う円筒状の外側電極とを備えている。内側電極が接地され、外側電極に所定の電圧が印加されることにより、内側電極と外側電極との間に電界が形成される。この状態で内側電極と外側電極との間に空気を通過させると、空気に含まれる一極性のイオンは外側電極に引き寄せられ、他極性のイオンは内側電極に引き寄せられる。内側電極にイオンが引き寄せられ捕捉されると、内側電極とGNDとの間にイオン電流が流れる。このイオン電流を測定することにより、空気に含まれる他極性のイオンの濃度が算出される。
【0003】
本明細書および特許請求の範囲において、一極性とはプラスおよびマイナスのうちの一方の極性のことをいい、他極性とは他方の極性のことをいう。
【0004】
なお、ゲルディエン法を用いたイオン検出器は、例えば特許文献1および2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−300837号公報
【特許文献2】特開2008−102038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本願発明者がゲルディエン法を用いたイオン発生器について種々検討した結果、以下の問題点が存在することを見出した。具体的には、プラスイオンおよびマイナスイオンの両方が含まれる気体のイオン電流を測定すると、例えばマイナスイオンによるイオン電流のみを測定したい場合であってもプラスイオンによるイオン電流も検出されてしまうことを見出した。すなわち、イオン検出器で出力される値は、マイナスイオンによるイオン電流値とプラスイオンによるイオン電流値との和(マイナスイオン量とプラスイオン量との差分値)であり、マイナスイオンの濃度を正確に測定できないという問題点が存在することを見出した。
【0007】
以下、この問題点を見出すに至った実験について簡単に説明する。19mmの直径を有する内側電極と52mmの内径を有する外側電極との間にイオンを含む気体を通過させて、内側電極とGNDとの間に流れるイオン電流を測定した。気体に含まれるイオンがプラスイオンのみである場合、マイナスイオンのみである場合、プラスイオンおよびマイナスイオンの両方である場合について、外側電極に約−90V〜90Vの電圧を印加して測定を行った。なお、気体の風速は約4m/sにした。その結果を図15に示す。
【0008】
本明細書および特許請求の範囲において、GNDとはグラウンド(接地)のことをいう。
【0009】
図15に示すように、約−50V以下または約50V以上の電圧を印加すると、イオン電流値が飽和していることが分かる。ここで、気体に含まれるイオンがプラスイオンのみである場合において、外側電極に−50V以下の電圧を印加すると、理想的には検出されるイオン電流値は0nAになる。しかし、本願発明者の実験では、1nA程度のイオン電流が検出された。これは、気体に含まれるプラスイオンの一部が内側電極に衝突するためであると考えられる。逆に、気体に含まれるイオンがマイナスイオンで、外側電極に50V以上の電圧を印加した場合、理想的には検出されるイオン電流値は0nAになるが、−1nA程度のイオン電流が検出された。これは、気体に含まれるマイナスイオンの一部が内側電極に衝突するためであると考えられる。
【0010】
このイオン検出器を用いて、プラスイオンおよびマイナスイオンの両方を含む気体に含まれるプラスイオンおよびマイナスイオンの一方を測定しようとしても、両方のイオン電流値の和が測定され、イオン濃度を正確に測定できないという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、気体に含まれるイオンの濃度の検出精度を向上させることが可能なイオン検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、この発明のイオン検出器は、略円筒状の内側電極と、内側電極の直径よりも大きい内径を有する円筒状の外側電極と、内側電極および外側電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、イオンを含む気体が内側電極および外側電極の間を通過することにより、イオン電流またはイオン濃度を検出する検出部と、を備え、外側電極の内側に流入する気体に含まれる一極性のイオンの内側電極への衝突が回避されるように、内側電極が形成されている。
【0013】
なお、円筒状の内側電極は、中実形状であってもよいし、中空形状であってもよい。また、本明細書および特許請求の範囲において、「イオン電流またはイオン濃度を検出する」とは、イオン電流およびイオン濃度の一方を検出する場合だけでなく、イオン電流からイオン濃度を検出(算出)する場合も含む。
【0014】
このイオン検出器では、上記のように、外側電極の内側に流入する気体に含まれる一極性のイオンの内側電極への衝突が回避されるように、内側電極が形成されている。これにより、気体に含まれる他極性のイオンの濃度を測定する場合に、実質的に他極性のイオンによるイオン電流値のみを測定することができる。これにより、気体に含まれるイオンの濃度の検出精度を向上させることができる。
【0015】
上記イオン検出器において、好ましくは、気体の流入側に位置する内側電極の部分の直径をD1[mm]とし、内側電極および外側電極の間を通過する気体の風速をv[m/s]とした場合、内側電極は以下の式(1)を満たすように形成されている。
D1[mm]<−4.58×Loge(v[m/s])+19・・・(1)
このように構成すれば、気体に含まれる一極性のイオンが内側電極に衝突しないような内側電極の寸法を容易に求めることができる。
【0016】
上記イオン検出器において、好ましくは、内側電極は異なる直径を有する複数の円筒をその軸方向に連結した形状に形成されており、気体の流入側に位置する内側電極の部分の直径は、気体の流出側に位置する内側電極の部分の直径よりも小さい。このように構成すれば、気体に含まれる一極性のイオンが内側電極に衝突しないように、内側電極を容易に形成することができる。
【0017】
上記イオン検出器において、好ましくは、内側電極は中空形状に形成されており、内側電極の内面のうちの少なくとも気体の流入側の端部は、誘電体で覆われている。このように、内側電極を中空形状に形成することによって、気体の流入側に位置する内側電極の端面の面積を小さくすることができ、気体に含まれる一極性のイオンの内側電極の端面への衝突を減らすことができる。また、内側電極の内面のうちの少なくとも気体の流入側の端部を誘電体で覆うことによって、気体に含まれる一極性のイオンが内側電極の内面に衝突するのを抑制することができる。これらにより、一極性のイオンの内側電極への衝突を容易に回避することができる。
【0018】
上記イオン検出器において、好ましくは、気体の流入側に位置する内側電極の端面を覆うように、誘電体が設けられている。このように構成すれば、内側電極の端面に向かう一極性のイオンは誘電体に衝突し、内側電極には衝突しない。誘電体に衝突した一極性のイオンはイオン電流として検出されないので、他極性のイオンによるイオン電流のみを測定することができる。これにより、イオン濃度の検出精度を容易に向上させることができる。
【0019】
上記イオン検出器において、好ましくは、内側電極および外側電極の一方はGND電位を有し、気体の流入側に位置する内側電極の端面は、気体の流入側に位置する外側電極の端面よりも気体の流出側に配置されている。このように、気体の流入側において、内側電極の端面を外側電極の端面よりも引っ込んだ位置に配置することによって、一極性のイオンが外側電極に引き寄せられる前に内側電極の端面に衝突するのを抑制することができる。これにより、一極性のイオンの内側電極への衝突を容易に回避することができる。
【0020】
この場合、好ましくは、気体の流入側に位置する内側電極の端面は、気体の流入側に位置する外側電極の端面から25mm以上気体の流出側に配置されている。
【0021】
上記イオン検出器において、好ましくは、外側電極はGND電位を有し、内側電極はGND電位とは異なる電位を有する。このように構成すれば、使用者が誤って外側電極に触れた場合であっても、安全性を確保することができる。これにより、イオン検出器を覆うカバー部材等を設ける必要がなくなる。
【0022】
この発明のイオン検出器は、円筒状の内側電極と、内側電極の直径よりも大きい内径を有する円筒状の外側電極と、内側電極および外側電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、イオンを含む気体が内側電極および外側電極の間を通過することにより、イオン電流またはイオン濃度を検出する検出部と、を備え、内側電極は複数の電極部に分割されており、複数の電極部は互いに電気的に絶縁されている。
【0023】
このイオン検出器では、上記のように、内側電極は複数の電極部に分割されており、複数の電極部は互いに電気的に絶縁されている。これにより、電極部とGNDとの間に流れるイオン電流を各電極部毎に検出部で測定することができる。このため、測定したイオン電流値の全てまたは一部を用いてイオン濃度を求めることができる。すなわち、例えば、気体に含まれる一極性のイオンが電極部に衝突しない条件では、測定したイオン電流値の全ての和を用いてイオン濃度を求めることができる。一方、気体に含まれる一極性のイオンが一部の電極部に衝突する条件では、測定したイオン電流値の一部の和を用いてイオン濃度を求めることができる。これにより、イオン濃度の検出精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、気体に含まれるイオンの濃度の検出精度を向上させることが可能なイオン検出器を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図2】風速6.0m/sにおけるイオン電流特性(外側電極に対する印加電圧とイオン電流との関係)を示した図である。
【図3】風速3.5m/sにおけるイオン電流特性(外側電極に対する印加電圧とイオン電流との関係)を示した図である。
【図4】風速とイオン電流との関係を示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図6】距離L1とイオン電流との関係を示した図である。
【図7】本発明の第3実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図8】本発明の第4実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図9】本発明の第4実施形態による内側電極および誘電体の構造を示した拡大図である。
【図10】本発明の第5実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図11】本発明の第6実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図12】本発明の第6実施形態による内側電極および絶縁体の構造を示した図である。
【図13】本発明の第7実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図14】本発明の第8実施形態によるイオン検出器の全体構成を示した図である。
【図15】ゲルディエン法を用いたイオン発生器の問題点を見出した実験の結果を示した図であり、イオン電流特性(外側電極に対する印加電圧とイオン電流との関係)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で示す数値は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0027】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態によるイオン検出器1の構造について説明する。
【0028】
本発明の第1実施形態によるイオン検出器1は図1に示すように、所謂2重同心円筒型のイオン検出器であり、円筒状の金属からなる内側電極2と、円筒状の金属からなる外側電極3と、風速計4と、DC電源5(電圧印加部)と、電流計6と、処理・表示装置7とによって構成されている。なお、電流計6および処理・表示装置7によって、本発明の「検出部」が構成されている。
【0029】
内側電極2は直径D1(例えば約3mm)を有し、外側電極3は約52mmの内径D2を有する。内側電極2および外側電極3の各々は、約200mmの長さを有する。内側電極2の後述する流入側(図1の左側)の端面と外側電極3の流入側の端面とは同一面内に配置されている。内側電極2の直径D1は約3mmである必要はなく、以下の式(1)を満たせばよい。なお、式(1)においてv[m/s]は内側電極2および外側電極3の間(後述する空気通路20)を通過する空気の風速である。
D1[mm]<−4.58×Loge(v[m/s])+19・・・(1)
【0030】
内側電極2の外面と外側電極3の内面との間は、イオンを含む空気(気体)が通過する空気通路20を形成しており、図1の左側が空気の流入側(導入側)となり、右側が空気の流出側(排出側)となっている。空気通路20の流入側(図1の左側)にはイオンを発生するイオン発生器(図示せず)と、イオン発生器の後方(図1の左側)に配置され、イオン発生器から送出された空気をイオン検出器1側に送風するファン(図示せず)とが設けられている。空気通路20の流出側の端部には空気通路20を通過する空気の風速を測定する風速計4が設けられている。
【0031】
また、内側電極2は電流計6を介してGNDに電気的に接続されており、GND電位となっている。電流計6は内側電極2からGNDに流れるイオン電流を測定する機能を有する。内側電極2と外側電極3との間にはDC電源5が接続されている。このDC電源5は、−400V〜400Vの範囲で外側電極3に電圧を印加できるように構成されている。
【0032】
処理・表示装置7は、風速計4、DC電源5および電流計6に接続されている。処理・表示装置7は内側電極2の直径D1と外側電極3の内径D2から空気通路20の面積を算出する機能を有しているとともに、算出した空気通路面積データを保存(格納)している。処理・表示装置7は風速計4が測定した風速と空気通路面積データとから空気通路20を通過した空気量を算出する機能を有する。また、処理・表示装置7は電流計6が測定したイオン電流値と算出した空気量からイオン濃度を算出する機能を有する。処理・表示装置7は検出したイオンの極性、算出したイオン濃度等を表示部(図示せず)に表示する機能を有する。この表示部はDC電源5が外側電極3に印加している電圧も表示する機能を有するとともに、使用者が表示部を操作することにより外側電極3に印加する電圧を設定することが可能である。また、使用者が表示部を操作することにより、内側電極2の直径D1と外側電極3の内径D2とを入力することが可能である。なお、イオン検出器1全体の動作は、図示しないマクロコンピュータを含む制御部によって制御される。
【0033】
次に、イオン検出器1の動作について説明する。
【0034】
空気に含まれる例えばマイナスイオンの濃度を測定する場合、使用者が表示部(図示せず)を操作することにより、外側電極3に後述する負の飽和電圧(例えば−300V以下)が印加される。これにより、内側電極2と外側電極3との間に電界が生じる。
【0035】
空気通路20にイオンを含む空気が流入すると、空気通路20内に生じた電界により、マイナスイオンは内側電極2に引き寄せられて捕捉され、プラスイオンは外側電極3に引き寄せられて捕捉される。これにより、内側電極2とGNDとの間にイオン電流が流れ、電流計6によりイオン電流が測定される。
【0036】
このとき、風速計4により空気通路20を通過した空気の風速が測定され、処理・表示装置7により空気通路20を通過した空気量が算出される。そして、処理・表示装置7により、算出された空気量と測定されたイオン電流値とからイオン濃度が算出され、イオン濃度が表示部に表示される。なお、風速計4はイオン濃度測定と同時に風速を測定してもよいし、風速が略一定の場合は最初に風速を測定しておいてもよい。
【0037】
空気に含まれるプラスイオンの濃度を測定する場合は、外側電極3に正の飽和電圧(例えば300V以上)を印加すればよい。
【0038】
本実施形態では、上記のように、内側電極2は上記式(1)を満たすように形成されている。これにより、空気に含まれる一極性のイオンの内側電極2への衝突が回避されるように、内側電極2を容易に形成することができる。すなわち、例えば、空気に含まれるマイナスイオンの濃度を測定する場合に、空気に含まれるプラスイオンが内側電極2に衝突しないような内側電極2の寸法を容易に求めることができる。また、空気に含まれるプラスイオンの濃度を測定する場合に、空気に含まれるマイナスイオンが内側電極2に衝突しないような内側電極2の寸法を容易に求めることができる。これにより、イオン濃度を測定しようとする極性のイオンによるイオン電流値のみを測定することができるので、イオン濃度の検出精度を向上させることができる。
【0039】
次に、図2〜図4を参照して、上記の効果を確認するために行った確認実験について説明する。この確認実験では、本実施形態に対応した実施例1〜4と、比較例1および2とを用いた。
【0040】
実施例1、2および比較例1の実験結果を図2に示す。
【0041】
実施例1では内側電極2の直径D1を約3mmとし、空気通路20を通過する空気の風速を約6.0m/sとした。また、イオン発生器(図示せず)からプラスイオンのみを発生させ、空気はマイナスイオンを含まずプラスイオンのみを含むようにした。その他の構成は上記実施形態と同様にした。
【0042】
実施例2では内側電極2の直径D1を約10mmとした。その他の構成は実施例1と同様にした。
【0043】
比較例1では内側電極2の直径D1を約19mmとした。その他の構成は実施例1と同様にした。
【0044】
そして、実施例1、2および比較例1について、外側電極3に印加する電圧を約−400Vから約400Vまで変化させて電流計6に流れるイオン電流を測定した。
【0045】
図2に示すように、実施例1および2では、外側電極3に印加する電圧が約−300V以下または約300V以上になるとイオン電流値が飽和することが判明した。このことは、外側電極3に印加する電圧が約−300V以下では空気通路20を通過する空気に含まれる全てのプラスイオンが外側電極3に捕捉され、約300V以上では空気通路20を通過する空気に含まれる全てのプラスイオンが内側電極2に捕捉されることを意味する。本明細書では、この約−300V以下の電圧を負の飽和電圧と呼び、約300V以上の電圧を正の飽和電圧と呼ぶ。すなわち、負(または正)の飽和電圧とは、負(または正)の電圧を大きくしていくとイオン電流特性が飽和する領域の電圧のことである。比較例1では、外側電極3に印加する電圧が約−200V以下または約200V以上になるとイオン電流値が飽和することが判明した。なお、比較例1の負の飽和電圧は約−200V以下であり、正の飽和電圧は約200V以上である。
【0046】
また、実施例1および2では負の飽和電圧を印加すると、イオン電流値が実質的に0nAになり、プラスイオンは内側電極2に実質的に衝突しないことが判明した。なお、図2では負の飽和電圧であっても0nA〜0.3nAのイオン電流を検出しているが、ノイズレベルであるため実質的に0nAと判断した。一方、比較例1では負の飽和電圧を印加しても、イオン電流値は2.3nA程度になった。すなわち、プラスイオンが内側電極2に捕捉されることが判明した。これは以下の理由によるものと考えられる。内側電極2と外側電極3との間に発生する電界によりプラスイオンは外側電極3に引き寄せられる。実施例1および2では空気に含まれるプラスイオンの全てが外側電極3に捕捉された。その一方、比較例1では実施例1および2に比べて内側電極2の直径が大きいので、外側電極3に引き寄せられるプラスイオン(一極性のイオン)の一部が内側電極2に衝突したためであると考えられる。
【0047】
このため、プラスイオンおよびマイナスイオンの両方を含む空気のイオン濃度を測定する場合、比較例1(内側電極2の直径が約19mm、風速が約6m/s)ではプラスイオンおよびマイナスイオンの両方が内側電極2に捕捉される。これにより、プラスのイオン電流値とマイナスのイオン電流値との和(プラスイオンとマイナスイオンとのイオン量の差分の電流値)が得られるにすぎず、プラスイオンおよびマイナスイオンの各々のイオン濃度を正確に測定することはできないことが判明した。
【0048】
なお、外側電極3に負の飽和電圧を印加した場合(空気に含まれるマイナスイオンの濃度を測定する場合)におけるプラスイオンは、本発明の「一極性のイオン」である。また、外側電極3に正の飽和電圧を印加した場合(空気に含まれるプラスイオンの濃度を測定する場合)におけるマイナスイオンは、本発明の「一極性のイオン」である。
【0049】
実施例3では内側電極2の直径D1を約3mmとし、空気通路20を通過する空気の風速を約3.5m/sとした。その他の構成は上記実施例1と同様にした。
【0050】
実施例4では内側電極2の直径D1を約10mmとした。その他の構成は実施例3と同様にした。
【0051】
比較例2では内側電極2の直径D1を約19mmとした。その他の構成は実施例3と同様にした。
【0052】
そして、実施例3、4および比較例2について、外側電極3に印加する電圧を約−400Vから約400Vまで変化させて電流計6に流れるイオン電流を測定した。その結果を図3に示す。
【0053】
図3に示すように、実施例3、4および比較例2の飽和電圧はそれぞれ、実施例1、2および比較例1の飽和電圧と同様であった。
【0054】
また、実施例3および4では負の飽和電圧を印加すると、イオン電流値が実質的に0nAになり、プラスイオンは内側電極2に実質的に衝突しないことが判明した。一方、比較例2では負の飽和電圧を印加しても、イオン電流値は1.9nA程度になった。すなわち、プラスイオンおよびマイナスイオンの両方を含む空気のイオン濃度を測定する場合、比較例2(内側電極2の直径が約19mm、風速が約3.5m/s)では比較例1と同様、プラスイオンおよびマイナスイオンの各々のイオン濃度を正確に測定することはできないことが判明した。
【0055】
なお、実施例1〜4においてイオン発生器(図示せず)からマイナスイオンのみを発生させた場合、図示しないが、正の飽和電圧を印加するとイオン電流値は実質的に0nAになり、マイナスイオンは内側電極2に衝突しなかった。すなわち、実施例1〜4では、空気がプラスイオンおよびマイナスイオンの両方を含む場合であっても、プラスイオンおよびマイナスイオンの各々のイオン濃度を正確に測定することができることが判明した。
【0056】
次に、図4を参照して、内側電極2の直径D1が約19mmの場合と約15mmの場合とにおいて、風速を変化させてイオン電流を測定した実験について説明する。
【0057】
この実験では、内側電極2の直径D1を約19mmまたは約15mmとし、空気通路20を通過する空気の風速を約0m/sから約6m/sまで変化させて電流計6に流れるイオン電流を測定した。なお、イオン発生器(図示せず)からプラスイオンのみを発生させ、空気はマイナスイオンを含まずプラスイオンのみを含むようにした。また、外側電極3に印加する電圧を負の飽和電圧(約−200V以下)にした。その他の構成は上記実施形態と同様にした。測定したイオン電流値を図4に示す。
【0058】
図4に示すように、イオン電流値は風速の影響を受けやすいことが判明した。また、内側電極2の直径D1が約15mmの場合、風速が約3m/s以下であればイオン電流値は十分に小さくなり、プラスイオンは内側電極2に実質的に衝突しないことが判明した。これにより、イオン濃度を十分に精度よく測定できることが判明した。また、内側電極2の直径D1が約19mmの場合であっても、風速が約1m/s以下であればイオン電流値は十分に小さくなり、プラスイオンは内側電極2に実質的に衝突しないことが判明した。これにより、イオン濃度を十分に精度よく測定できることが判明した。
【0059】
以上から、内側電極2の直径をD1[mm]とし、空気通路20を通過する空気の風速をv[m/s]とした場合、内側電極2の直径D1が上記式(1)を満たせば、イオン濃度を精度よく測定できることが判明した。なお、上記式(1)は図2〜図4の実験結果から導出した式である。
【0060】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるイオン検出器1では図5に示すように、空気の流入側に位置する内側電極2の端面は空気の流入側に位置する外側電極3の端面よりも距離L1だけ流出側(図5の右側)に位置している。内側電極2は約19mmの直径D1を有する。この場合、距離L1は25mm以上の値である。
【0061】
第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0062】
本実施形態では、上記のように、空気の流入側に位置する内側電極2の端面を、空気の流入側に位置する外側電極3の端面よりも流出側に配置する。すなわち、空気の流入側において、内側電極2の端面を外側電極3の端面よりも引っ込んだ位置に配置する。これにより、一極性のイオンが外側電極3に引き寄せられる前に内側電極2の端面に衝突するのを抑制することができる。このため、一極性のイオンの内側電極2への衝突を容易に回避することができるので、イオン濃度の検出精度を向上させることができる。
【0063】
また、上記のように、内側電極2の流入側の端面を、外側電極3の流入側の端面から25mm以上流出側に配置すれば、一極性のイオンが内側電極2に実質的に衝突しないようにすることができる。
【0064】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0065】
次に、図6を参照して、上記の効果を確認するために行った確認実験について説明する。この確認実験では、内側電極2の流入側の端面から外側電極3の流入側の端面までの深さ方向(内側電極2の軸方向)の距離L1を約0mmから約25mmまで変化させて電流計6に流れるイオン電流を測定した。なお、空気通路20を通過する空気の風速を約3.5m/sとし、イオン発生器(図示せず)からプラスイオンのみを発生させた。また、外側電極3には負の飽和電圧(例えば約−200V)を印加した。測定したイオン電流値を図6に示す。
【0066】
図6に示すように、距離L1を大きくするにしたがって、イオン電流値が低減することが判明した。すなわち、内側電極2の流入側の端面を外側電極3の流入側の端面よりも流出側にするにしたがって、内側電極2に衝突するプラスイオンの量が低減することが判明した。また、上記の条件では、距離L11を約25mm以上にすることによって、プラスイオン(一極性のイオン)が内側電極2に実質的に衝突しなくなり、イオン濃度を十分に精度よく測定できることが判明した。
【0067】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるイオン検出器1では図7に示すように、内側電極2は異なる直径を有する2つの円筒をその軸方向に連結した形状に形成されており、流入側に配置された小径部2aと流出側に配置された大径部2bとを有する。小径部2aは約10mmの直径D11を有し、大径部2bは約19mmの直径D12を有する。例えば、小径部2aは約25mm以上の長さを有していてもよい。なお、小径部2aは本発明の「気体の流入側に位置する内側電極の部分」の一例であり、大径部2bは本発明の「気体の流出側に位置する内側電極の部分」の一例である。
【0068】
第3実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
本実施形態では、上記のように、空気の流入側に位置する内側電極2の小径部2aの直径D11は、空気の流出側に位置する内側電極2の大径部2bの直径D12よりも小さい。これにより、空気に含まれる一極性のイオンが内側電極2に衝突しないように、内側電極2を容易に形成することができる。
【0070】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0071】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態によるイオン検出器1では図8および図9に示すように、内側電極2は中空形状に形成されている。内側電極2の内面上には誘電体8が設けられている。この誘電体8は、内側電極2の内面のうちの少なくとも流入側の端部を覆うように配置されている。誘電体8は内側電極2の流入側の端面から少なくとも内側電極2の内径程度の深さまで形成されていることが好ましい。なお、誘電体8は内側電極2の内面全面に形成されていてもよい。
【0072】
第4実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
本実施形態では、上記のように、内側電極2を中空形状に形成することによって、空気の流入側に位置する内側電極2の端面の面積を小さくすることができ、一極性のイオンの内側電極2の端面への衝突を減らすことができる。また、内側電極2の内面のうちの少なくとも流入側の端部を誘電体8で覆うことによって、一極性のイオンが内側電極2の内面に衝突するのを抑制することができる。これらにより、一極性のイオンの内側電極2への衝突を容易に回避することができる。
【0074】
第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態によるイオン検出器1では図10に示すように、空気の流入側に位置する内側電極2の端面を覆うように誘電体9が設けられている。この誘電体9は、内側電極2の直径D1と同程度以上の長さL2を有することが好ましい。
【0076】
第5実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態では、上記のように、空気の流入側に位置する内側電極2の端面を覆うように、誘電体9が設けられている。これにより、内側電極2の端面に向かう一極性のイオンは誘電体9に衝突し、内側電極2には衝突しない。誘電体9に衝突した一極性のイオンはイオン電流として検出されないので、他極性のイオンによるイオン電流のみを測定することができる。これにより、イオン濃度の検出精度を容易に向上させることができる。
【0078】
第5実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0079】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態によるイオン検出器1では図11および図12に示すように、内側電極2は複数の電極部2c、2dおよび2eに分割されている。この複数の電極部2c、2dおよび2eの間には、絶縁体10aおよび10bが配置されている。これにより、複数の電極部2c、2dおよび2eは互いに電気的に絶縁されている。
【0080】
電極部2c、2d、2eおよび絶縁体10a、10bの各々は、約19mmの直径D1を有する。電極部2cは約15mmの長さL3を有し、電極部2dは約10mmの長さL4を有し、電極部2eは約173mmの長さL5を有する。絶縁体10aおよび10bの各々は約1mmの長さを有する。
【0081】
図11に示すように、各電極部2c、2dおよび2eはそれぞれ電流計6a、6bおよび6cを介してGNDに電気的に接続されており、GND電位となっている。なお、電流計6a〜6cおよび処理・表示装置7によって、本発明の「検出部」が構成されている。
【0082】
第6実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
このイオン検出器1では、電流計6a、6bおよび6cで測定されたイオン電流値の全てまたは一部が測定条件に応じて選択され、空気通路20を通過した空気に含まれるイオンの濃度が算出される。具体的には、図4で示したように、内側電極2の直径D1が約19mmで外側電極3に負の飽和電圧を印加した場合、風速が約1m/s以下であれば電極部2c、2dおよび2eに衝突するプラスイオンは無いことが予め分かっている。このため、風速が約1m/s以下の条件下で空気に含まれるイオンの濃度を測定する場合には、電流計6a、6bおよび6cで測定されたイオン電流値の和を用いて、イオン濃度が算出される。
【0084】
その一方、例えば風速が約2m/sの条件下で空気に含まれるイオンの濃度を測定する場合、電極部2c、2dおよび2eにプラスイオンが衝突するか否かが分かっていない。このため、予め、イオン発生器からプラスイオンのみを発生させ、風速が約2m/sの条件で電極部2c、2dおよび2eにプラスイオンが衝突するか否かを確認しておく。例えば、風速が約2m/sにおいて、電極部2cにはプラスイオンが衝突し、電極部2dおよび2eにはプラスイオンが衝突しなかったとする。この場合、風速が約2m/sの条件下においてプラスイオンおよびマイナスイオンの両方を含む空気に含まれるプラスイオンの濃度を測定する場合には、電流計6aで測定されたイオン電流値は用いず、電流計6bおよび6cで測定されたイオン電流値の和を用いて、イオン濃度が算出される。
【0085】
本実施形態では、上記のように、内側電極2を電極部2c、2dおよび2eに分割し、電極部2c、2dおよび2eを互いに電気的に絶縁している。これにより、電極部2c、2dおよび2eとGNDとの間に流れるイオン電流を電流計6a、6b、6cにより、各電極部2c、2dおよび2e毎に測定することができる。このため、測定したイオン電流値の全てまたは一部を用いてイオン濃度を求めることができる。すなわち、風速等の測定条件に応じて、測定した3つのイオン電流値の全てまたは一部を用いて、イオン濃度を算出することができる。これにより、イオン濃度の検出精度を向上させることができる。
【0086】
第6実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0087】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態によるイオン検出器1では図13に示すように、外側電極3はGNDに電気的に接続されており、GND電位となっている。内側電極2と外側電極3との間には電流計6およびDC電源5が接続されている。このDC電源5は、例えば−350V〜350Vの範囲で内側電極2に電圧を印加できるように構成されている。そして、内側電極2はGND電位とは異なる電位となっている。
【0088】
第7実施形態のその他の構造は、上記第1〜第6実施形態と同様である。
【0089】
このイオン検出器1では、内側電極2に例えば正の飽和電圧を印加するとプラスイオンは外側電極3に引き寄せられて捕捉され、マイナスイオンは内側電極2に引き寄せられて捕捉される。
【0090】
本実施形態では、上記のように、外側電極3はGND電位を有する。これにより、使用者が誤って外側電極3に触れた場合であっても、安全性を確保することができる。これにより、イオン検出器1を覆うカバー部材等を設ける必要がなくなる。
【0091】
なお、第7実施形態のその他の効果は、上記第1〜第6実施形態と同様である。
【0092】
(第8実施形態)
この第8実施形態では上記第7実施形態と異なり、内側電極2をGND電位にしながら、安全性を向上させる場合について説明する。
【0093】
本発明の第8実施形態によるイオン検出器1では図14に示すように、上記第1〜第6実施形態と同様、内側電極2は電流計6を介してGNDに電気的に接続されており、GND電位となっている。内側電極2と外側電極3との間にはDC電源5が接続されている。
【0094】
第8実施形態では、外側電極3の外周面を覆うように円筒状の金属からなるカバー部材11が設けられている。このカバー部材11はGNDに電気的に接続されており、GND電位となっている。また、カバー部材11の流入側(図14の左側)の端面は、外側電極3の流入側の端面と同一面内に配置されているか、または外側電極3の流入側の端面よりも流出側に配置されていることが好ましい。このように構成すれば、外側電極3とカバー部材11との間で発生する電界により、空気が空気通路20に流入する前に空気に含まれるイオンがカバー部材11に引き寄せられて捕捉されるのを抑制することが可能である。これにより、イオン濃度の検出精度が低下するのを抑制することが可能である。
【0095】
第8実施形態のその他の構造は、上記第1〜第6実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態では、上記のように、外側電極3の外周面を覆うようにカバー部材11を設けることによって、使用者が誤って外側電極3に触れるのを抑制することができるので、安全性を確保することができる。
【0097】
第8実施形態のその他の効果は、上記第1〜第6実施形態と同様である。
【0098】
なお、カバー部材11の流入側に誘電体を設けたり、カバー部材11全体を誘電体により構成しても、安全性を向上させることができる。
【0099】
また、カバー部材11の流入側の端面を、外側電極3の流入側の端面よりも上流側(図14の左側)にまで配置してもよい。このように構成すれば、安全性をより向上させることができる。また、この場合、カバー部材11をGNDに接続せず浮遊電位にしたり、カバー部材11全体を誘電体に構成してもよい。
【0100】
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0101】
例えば、上記実施形態では、空気通路の流出側の端部に風速計を設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、空気通路内の風速が略一定となるように吸気ファンを設けてもよい。
【0102】
また、上記第4実施形態では、内側電極の内面上のみに誘電体を設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、内側電極の流入側の端面上にも誘電体を設けてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 イオン検出器
2 内側電極
2a 小径部(気体の流入側に位置する内側電極の部分)
2b 大径部(気体の流出側に位置する内側電極の部分)
2c、2d、2e 電極部
3 外側電極
5 DC電源(電圧印加部)
6、6a、6b、6c 電流計(検出部)
7 処理・表示装置(検出部)
8、9 誘電体
D1、D11、D12 直径
D2 内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の内側電極と、
前記内側電極の直径よりも大きい内径を有する円筒状の外側電極と、
前記内側電極および前記外側電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、
イオンを含む気体が前記内側電極および前記外側電極の間を通過することにより、イオン電流またはイオン濃度を検出する検出部と、
を備え、
前記外側電極の内側に流入する前記気体に含まれる一極性のイオンの前記内側電極への衝突が回避されるように、前記内側電極が形成されていることを特徴とするイオン検出器。
【請求項2】
前記気体の流入側に位置する前記内側電極の部分の直径をD1[mm]とし、前記内側電極および前記外側電極の間を通過する前記気体の風速をv[m/s]とした場合、前記内側電極は以下の式(1)を満たすように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン検出器。
D1[mm]<−4.58×Loge(v[m/s])+19・・・(1)
【請求項3】
前記内側電極は異なる直径を有する複数の円筒をその軸方向に連結した形状に形成されており、
前記気体の流入側に位置する前記内側電極の部分の直径は、前記気体の流出側に位置する前記内側電極の部分の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のイオン検出器。
【請求項4】
前記内側電極は中空形状に形成されており、
前記内側電極の内面のうちの少なくとも前記気体の流入側の端部は、誘電体で覆われていることを特徴とする請求項1に記載のイオン検出器。
【請求項5】
前記気体の流入側に位置する前記内側電極の端面を覆うように、誘電体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のイオン検出器。
【請求項6】
前記内側電極および前記外側電極の一方はGND電位を有し、
前記気体の流入側に位置する前記内側電極の端面は、前記気体の流入側に位置する前記外側電極の端面よりも前記気体の流出側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン検出器。
【請求項7】
前記気体の流入側に位置する前記内側電極の端面は、前記気体の流入側に位置する前記外側電極の端面から25mm以上前記気体の流出側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のイオン検出器。
【請求項8】
前記外側電極はGND電位を有し、
前記内側電極はGND電位とは異なる電位を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオン検出器。
【請求項9】
略円筒状の内側電極と、
前記内側電極の直径よりも大きい内径を有する円筒状の外側電極と、
前記内側電極および前記外側電極の間に電圧を印加する電圧印加部と、
イオンを含む気体が前記内側電極および前記外側電極の間を通過することにより、イオン電流またはイオン濃度を検出する検出部と、
を備え、
前記内側電極は複数の電極部に分割されており、
前記複数の電極部は互いに電気的に絶縁されていることを特徴とするイオン検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−15482(P2013−15482A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149942(P2011−149942)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】