イオン検出装置
【課題】 正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることができるイオン検出装置を提供する。
【解決手段】 イオン検出装置1は、正イオン及び負イオンを進入させるイオン進入口3が設けられたチャンバ2と、チャンバ2内に配置され、負電位が印加されるコンバージョンダイノード8と、チャンバ2内に配置され、コンバージョンダイノード8と対向しかつコンバージョンダイノード8から放出された二次電子が入射する電子入射面11aを有するシンチレータ11と、電子入射面11aに形成され、正電位が印加される導電層13と、二次電子の入射に応じてシンチレータ11で発せられた光を検出する光電子増倍管15と、を備えている。
【解決手段】 イオン検出装置1は、正イオン及び負イオンを進入させるイオン進入口3が設けられたチャンバ2と、チャンバ2内に配置され、負電位が印加されるコンバージョンダイノード8と、チャンバ2内に配置され、コンバージョンダイノード8と対向しかつコンバージョンダイノード8から放出された二次電子が入射する電子入射面11aを有するシンチレータ11と、電子入射面11aに形成され、正電位が印加される導電層13と、二次電子の入射に応じてシンチレータ11で発せられた光を検出する光電子増倍管15と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正イオン及び負イオンを検出するイオン検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のイオン検出装置として、イオンの衝突により二次電子を放出するコンバージョンダイノードと、コンバージョンダイノードから放出された二次電子の入射により光を発するシンチレータと、シンチレータで発せられた光を検出する光検出器と、を備えるものが知られている(例えば特許文献1,2参照)。ここで、正イオン及び負イオンを検出するために、負電位が印加される正イオン用のコンバージョンダイノードと、正電位が印加される負イオン用のコンバージョンダイノードとが別々に設けられる場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−326315号公報
【特許文献2】仏国特許出願公開第2658361号明細書(FR2658361A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、正イオン用のコンバージョンダイノードと負イオン用のコンバージョンダイノードとが別々に設けられたイオン検出装置にあっては、負イオン用のコンバージョンダイノードにて、負イオンの引付け及び二次電子の放出の両立を図ることは技術的に困難であり、負イオンから二次電子への変換効率も低下することから、負イオンの検出効率が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることができるイオン検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のイオン検出装置は、正イオン及び負イオンを検出するイオン検出装置であって、正イオン及び負イオンを進入させるイオン進入口が設けられた筐体と、筐体内に配置され、負電位が印加されるコンバージョンダイノードと、筐体内に配置され、コンバージョンダイノードと対向しかつコンバージョンダイノードから放出された二次電子が入射する電子入射面を有するシンチレータと、電子入射面に形成され、正電位が印加される導電層と、二次電子の入射に応じてシンチレータで発せられた光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このイオン検出装置では、イオン進入口を介して筐体内に正イオンが進入すると、当該正イオンは、負電位が印加されたコンバージョンダイノードに向かって進行し、コンバージョンダイノードに衝突する。この正イオンの衝突によりコンバージョンダイノードから二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位が印加された導電層に向かって進行し、導電層を透過した後、電子入射面を介してシンチレータに入射する。この二次電子の入射によりシンチレータで光が発せられると、当該光は、光検出器で検出される。一方、イオン進入口を介して筐体内に負イオンが進入すると、当該負イオンは、正電位が印加された導電層に向かって進行し、導電層に衝突する。この負イオンの衝突により導電層から正イオンが放出され、当該正イオンは、負電位が印加されたコンバージョンダイノードに向かって進行し、コンバージョンダイノードに衝突する。この正イオンの衝突によりコンバージョンダイノードから二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位が印加された導電層に向かって進行し、導電層を透過した後、電子入射面を介してシンチレータに入射する。この二次電子の入射によりシンチレータで光が発せられると、当該光は、光検出器で検出される。このように、筐体内に正イオンが進入した場合には勿論、筐体内に負イオンが進入した場合にも、当該負イオンが導電層で正イオンに変換されるので、負電位が印加されたコンバージョンダイノードにて正イオンから二次電子への変換が実現され、その結果、正イオン及び負イオンから二次電子への変換効率の低下が抑制される。よって、このイオン検出装置によれば、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることが可能となる。
【0008】
ここで、コンバージョンダイノードと導電層とを結ぶ基準線に略直交する所定の面がイオン進入口の中心線を含むように、イオン進入口に対してコンバージョンダイノード及び導電層が位置しており、コンバージョンダイノードによって形成される負の等電位面と導電層によって形成される正の等電位面とが所定の面に関して略対称となるように、コンバージョンダイノードに負電位が印加されると共に導電層に正電位が印加されてもよい。これによれば、コンバージョンダイノードへの正イオンの軌道、導電層への負イオンの軌道、及びシンチレータへの二次電子の軌道を収束し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率、導電層における負イオンの入射効率、及びシンチレータにおける二次電子の入射効率を向上させることができる。
【0009】
また、イオン進入口には、正電位及び負電位が選択的に印加される第1のメッシュが張られていてもよい。これによれば、筐体内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合には、第1のメッシュに負電位を印加することで、イオン進入口内への正の電界の形成を抑制し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率をより一層向上させることができる。一方、筐体内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合には、第1のメッシュに正電位を印加することで、イオン進入口内への負の電界の形成を抑制し、導電層における負イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0010】
さらに、イオン進入口には、第1のメッシュに対して外側に位置するように第2のメッシュが張られており、第2のメッシュには、第1のメッシュに印加される電位よりも絶対値が小さくなるように、かつ第1のメッシュに印加される電位と極性が逆となるように、正電位及び負電位が選択的に印加されてもよい。これによれば、筐体内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合には、第2のメッシュに正電位を印加することで、エネルギーの比較的低い正イオンを追い返して、エネルギーの比較的高い正イオンのみを通過させることができる。このとき、負イオンは、負電位が印加された第1のメッシュによって追い返される。一方、筐体内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合には、第2のメッシュに負電位を印加することで、エネルギーの比較的低い負イオンを追い返して、エネルギーの比較的高い負イオンのみを通過させることができる。このとき、正イオンは、正電位が印加された第1のメッシュによって追い返される。ノイズとなるイオンのエネルギーは、検出すべきイオンのエネルギーに比べて低いことが多い。従って、エネルギーの比較的低いイオンの筐体内への進入を防止することで、イオン検出装置のS/N比を向上させることが可能となる。
【0011】
また、シンチレータには、正電位が印加される電極層が導電層を包囲するように形成されていてもよい。これによれば、筐体内に負イオンが進入した場合に、負イオンの衝突により導電層から放出された正イオンの発散を抑制し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0012】
また、筐体内には、コンバージョンダイノード及び導電層に対してイオン進入口側に位置するように、かつ、イオン進入口側から見た場合に、コンバージョンダイノードと導電層とが対向する方向に略直交する方向においてイオン進入口を挟むように、筐体と同電位とされる一対の電極部材が配置されていてもよい。これによれば、例えば一対の電極部材が対向する方向を長手方向とする断面形状を有するようにイオン進入口が形成されていても、コンバージョンダイノードへの正イオンの軌道、及び導電層への負イオンの軌道を収束し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率、及び導電層における負イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0013】
また、筐体には、シンチレータが接続された一端、及び光検出器が接続された他端を有するライトガイドが貫通しており、ライトガイドにおける一端側の第1の部分は、第1の導電膜に覆われ、ライトガイドにおける他端側の第2の部分は、第2の導電膜に覆われ、ライトガイドにおける第1の部分と第2の部分との間の第3の部分は、絶縁膜に覆われていてもよい。これによれば、第1及び第2の導電膜によって、外部からライトガイドに光が入射するのを防止することができる。さらに、絶縁膜によって、第1の導電膜と第2の導電膜とを絶縁することができる。
【0014】
さらに、第3の部分は、絶縁膜を介して第3の導電膜に覆われていてもよい。これによれば、絶縁膜の遮光性が低い場合であっても、第3の導電膜によって、外部からライトガイドに光が入射するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態のイオン検出装置の縦断面図である。
【図2】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された図1のイオン検出装置の縦断面図である。
【図3】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図4】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図5】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図6】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図7】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のイオン検出装置の縦断面図である。
【図9】図8のイオン検出装置のIX−IX線に沿っての断面図である。
【図10】イオン及び二次電子の軌道が表された図8のイオン検出装置の縦断面図である。
【図11】イオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態のイオン検出装置の縦断面図である。
【図13】イオンの軌道が表された図12のイオン検出装置の縦断面図である。
【図14】各実施形態のイオン検出装置のライトガイドの縦断面図である。
【図15】各実施形態のイオン検出装置の他のライトガイドの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0018】
図1に示されるように、イオン検出装置1は、SUS(ステンレス鋼)からなる直方体箱状のチャンバ(筐体)2を備えている。チャンバ2の側壁2aには、正イオン及び負イオンを進入させる断面円形状のイオン進入口3が設けられている。側壁2aと対向するチャンバ2の側壁2bには、イオン進入口3と対向する開口4が設けられている。チャンバ2の外表面は、側壁2aを除いて、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)樹脂からなる絶縁部材5で覆われている。絶縁部材5には、チャンバ2の開口4と重なるように開口6が設けられている。絶縁部材5の底壁5bは、外向きフランジ状に形成されている。底壁5bには、例えば真空引きされる装置内(質量分析装置内等)の所定の位置にイオン検出装置1を取り付けるための取付け板7がねじ等により固定されている。
【0019】
チャンバ2内には、SUSからなる円柱状のコンバージョンダイノード8(以下、本実施形態では、単に「ダイノード8」という)が配置されている。ダイノード8は、チャンバ2の天壁2cに設けられた開口を介して、絶縁部材5の天壁5aにねじ等により固定されている。さらに、チャンバ2内には、プラスチックシンチレータからなる円柱状のシンチレータ11が配置されている。シンチレータ11は、チャンバ2の底壁2dを貫通するライトガイド12の一端12aに接続されている。ライトガイド12は、チャンバ2の底壁2d、絶縁部材5の底壁5b及び取付け板7を貫通した状態で、取付け板7にねじ等により固定されている。
【0020】
シンチレータ11は、ダイノード8と対向しかつダイノード8から放出された二次電子が入射する電子入射面11aを有している。電子入射面11aには、いわゆるメタルバックとして、アルミニウムからなる膜状(例えば厚さ50nm〜60nm)の導電層13が形成されている。ここで、ダイノード8の中心点と導電層13の中心点とを結ぶ基準線RLは、イオン進入口3の中心線CLと略直交している。換言すれば、基準線RLに略直交しかつ中心線CLを含む所定の面を基準面RPとすると、基準線RLに略直交する基準面RPが中心線CLを含むように、イオン進入口3に対してダイノード8及び導電層13が位置している。
【0021】
シンチレータ11の側面11bには、導電層13を包囲するように、SUSからなる電極層14が形成されている。電極層14は、導電層13に電気的に接続されている。ライトガイド12の他端12bには、シンチレータ11で発せられた光を電気信号に変換して検出する光電子増倍管(光検出器)15が接続されている。また、チャンバ2内には、側壁2aの内表面に沿うように、SUSからなるメッシュ(第1のメッシュ)16が配置されている。メッシュ16は、イオン進入口3の内側に張られている。さらに、チャンバ2内には、側壁2bの内表面に沿うように、SUSからなるメッシュ17が配置されている。メッシュ17は、開口4の内側に張られている。
【0022】
以上のように構成されたイオン検出装置1では、チャンバ2及びメッシュ17が接地されて0Vに維持される。ダイノード8には、チャンバ2及びメッシュ17対して負電位(例えば−5kV)が印加される。一方、導電層13及び電極層14には、チャンバ2及びメッシュ17対して正電位(例えば+5kV)が印加される。メッシュ16には、チャンバ2及びメッシュ17対して正電位(例えば+0.3kV)及び負電位(例えば−0.3kV)が選択的に印加される。
【0023】
これにより、ダイノード8によって形成される負の等電位面と導電層13によって形成される正の等電位面とが基準面RPの面に関して略対称とされる。つまり、少なくとも基準面RPと基準線RLとの交点近傍(すなわち、イオン進入口3の中心線CLと基準線RLとの交点近傍)は、略0Vとされる。
【0024】
イオン検出装置1において正イオンを検出する場合、メッシュ16には負電位(例えば−0.3kV)が印加される。そして、イオン進入口3を介してチャンバ2内に正イオンが進入すると、当該正イオンは、負電位(例えば−5kV)が印加されたダイノード8に向かって進行し、ダイノード8に衝突する。この正イオンの衝突によりダイノード8から二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位(例えば+5kV)が印加された導電層13に向かって進行し、導電層13を透過した後、電子入射面11aを介してシンチレータ11に入射する。この二次電子の入射に応じてシンチレータ11で光が発せられると、当該光は、ライトガイド12を介して光電子増倍管15で検出される。
【0025】
一方、イオン検出装置1において負イオンを検出する場合、メッシュ16には正電位(例えば+0.3kV)が印加される。そして、イオン進入口3を介してチャンバ2内に負イオンが進入すると、当該負イオンは、正電位(例えば+5kV)が印加された導電層13に向かって進行し、導電層13に衝突する(負イオンは、二次電子に比べ大きいため、導電層13を透過しない)。この負イオンの衝突により導電層13から正イオンが放出され、当該正イオンは、負電位(例えば−5kV)が印加されたダイノード8に向かって進行し、ダイノード8に衝突する。この正イオンの衝突によりダイノード8から二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位(例えば+5kV)が印加された導電層13に向かって進行し、導電層13を透過した後、電子入射面11aを介してシンチレータ11に入射する。この二次電子の入射に応じてシンチレータ11で光が発せられると、当該光は、ライトガイド12を介して光電子増倍管15で検出される。
【0026】
以上のように、イオン検出装置1では、チャンバ2内に負イオンが進入した場合に、当該負イオンが導電層13で正イオンに変換される。そのため、チャンバ2内に正イオンが進入した場合には勿論、チャンバ2内に負イオンが進入した場合にも、ダイノード8にて正イオンから二次電子への変換が実現され、その結果、正イオン及び負イオンから二次電子への変換効率の低下が抑制される。よって、イオン検出装置1によれば、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることが可能となる。
【0027】
つまり、イオン検出装置1では、導電層13で覆われたシンチレータ11を負イオン用のコンバージョンダイノードのように機能させることで、ダイノード8が1つで済み、かつダイノード8に印加する電位の極性を変化させることが不要となる。しかも、ダイノード8に負電位が印加されると共に導電層13に正電位が印加されるので、その差分の大きな加速電圧(±5kVの場合、10kVの加速電圧)が得られる。
【0028】
また、イオン検出装置1では、ダイノード8によって形成される負の等電位面と導電層13によって形成される正の等電位面とが基準面RPの面に関して略対称とされている。これにより、ダイノード8への正イオンの軌道、導電層13への負イオンの軌道、及びシンチレータ11への二次電子の軌道が収束され、ダイノード8における正イオンの入射効率、導電層13における負イオンの入射効率、及びシンチレータ11における二次電子の入射効率が向上させられている。
【0029】
また、イオン検出装置1では、チャンバ2内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合に、メッシュ16に負電位が印加される。これにより、イオン進入口3内への正の等電位面(正の電界)の形成が抑制される。従って、チャンバ2内に正イオンが進入する場合におけるメッシュ16への負電位の印加は、ダイノード8における正イオンの入射効率の向上に寄与する。一方、イオン検出装置1では、チャンバ2内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合に、メッシュ16に正電位が印加される。これにより、イオン進入口3内への負の等電位面(負の電界)の形成が抑制される。従って、チャンバ2内に負イオンが進入する場合におけるメッシュ16への正電位の印加は、導電層13における負イオンの入射効率の向上に寄与する。
【0030】
さらに、イオン検出装置1では、正電位が印加される電極層14が導電層13を包囲するようにシンチレータ11に形成されている。これにより、チャンバ2内に負イオンが進入した場合に、負イオンの衝突により導電層13から放出された正イオンの発散が抑制される。従って、電極層14は、チャンバ2内に負イオンが進入する場合において、ダイノード8における正イオンの入射効率の向上に寄与する。
【0031】
なお、イオン検出装置1では、イオン進入口3と対向する位置に開口4及び開口6が設けられており、開口4の内側に張られたメッシュ17が0Vに維持される。これにより、ダイノード8及び導電層13に収束する静電レンズが形成されるので、ニュートラル等に起因したノイズの発生が防止される。
【0032】
次に、ダイノード8における正イオンの入射効率(以下、「ダイノード8での入射効率」という)、導電層13における負イオンの入射効率(以下、「導電層13での入射効率」という)、及びシンチレータ11における二次電子の入射効率(以下、「シンチレータ11での入射効率」という)、並びに正イオン及び負イオンの検出効率(以下、「イオンの検出効率」という)の解析結果について説明する。
【0033】
上述したイオン検出装置1については、表1の解析結果が得られた。このイオン検出装置1では、図2に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離と、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離とを略等しくした。ここで、距離Lは14mmである。また、チャンバ2及びメッシュ17を接地して0Vに維持した。ダイノード8には、−5kVの負電位を印加した。一方、導電層13及び電極層14には、+5kVの正電位を印加した。メッシュ16には、図2(a)に示されるように正イオンを検出する場合には、−0.3kVの負電位を印加し、図2(b)に示されるように負イオンを検出する場合には、+0.3kVの正電位を印加した。
【表1】
【0034】
表1に示されるように、イオン検出装置1では、いずれの入射効率及び検出効率も99%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。ここで、導電層13での入射効率とは、「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した負イオン」に対する「導電層13に到達した負イオン」の割合である。ダイノード8での入射効率とは、「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した正イオン」に対する「ダイノード8に到達した正イオン」の割合(図2(a)の場合)、或いは「導電層13から放出された正イオン」に対する「ダイノード8に到達した正イオン」の割合(図2(b)の場合)である。シンチレータ11での入射効率とは、「ダイノード8から放出された二次電子」に対する「シンチレータ11に到達した二次電子」の割合である。イオンの検出効率とは、「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した正イオン」に対する「シンチレータ11に到達した二次電子」の割合(図2(a)の場合)、或いは「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した負イオン」に対する「シンチレータ11に到達した二次電子」の割合(図2(b)の場合)である。
【0035】
図3のイオン検出装置1Aについては、表2の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Aは、図3に示されるように、メッシュ16が設けられていない点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表2に示されるように、イオン検出装置1Aでは、メッシュ16が設けられていなくても、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が60%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が50%を超えるという、良好な解析結果が得られた。表1の解析結果と表2の解析結果とを比較すると、正イオンを検出する場合におけるメッシュ16への負電位の印加がダイノード8での入射効率の向上に寄与し、一方、負イオンを検出する場合におけるメッシュ16への正電位の印加が導電層13での入射効率の向上に寄与していることが分かる。
【表2】
【0036】
図4のイオン検出装置1Bについては、表3の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Bは、図4に示されるように、電極層14が設けられていない点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表3に示されるように、イオン検出装置1Bでは、電極層14が設けられていなくても、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が99%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が60%を超えるという、良好な解析結果が得られた。表1の解析結果と表3の解析結果とを比較すると、負イオンを検出する場合において電極層14がダイノード8での入射効率の向上に寄与していることが分かる。なお、電極層14は、導電層13を包囲するように配置されていれば複数に分割されていてもよい。
【表3】
【0037】
図5のイオン検出装置1Cについては、表4の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Cは、図5に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離よりも1mmだけ長い点、及びダイノード8に−6kVの負電位を印加した点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表4に示されるように、イオン検出装置1Cでは、いずれの入射効率及び検出効率も99%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。
【表4】
【0038】
図6のイオン検出装置1Dについては、表5の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Dは、図6に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離よりも2mmだけ長い点、及びダイノード8に−6kVの負電位を印加した点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表5に示されるように、イオン検出装置1Dでは、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が99%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が90%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。
【表5】
【0039】
図7のイオン検出装置1Eについては、表6の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Eは、図7に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離よりも3mmだけ長い点、及びダイノード8に−6kVの負電位を印加した点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表6に示されるように、イオン検出装置1Eでは、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が99%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が80%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。
【表6】
【0040】
ここで、図5〜図7のイオン検出装置1C〜1Eについての表4〜表6の解析結果から次のことがいえる。すなわち、基準線RLに略直交する基準面RPがイオン進入口3の中心線CLを含むように、イオン進入口3に対してダイノード8及び導電層13を位置させ、かつ、ダイノード8によって形成される負の等電位面と導電層13によって形成される正の等電位面とが基準面RPに関して略対称となるように、ダイノード8に負電位を印加すると共に導電層13に正電位を印加すればよいといえる。具体的には、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が大きくなるほど、ダイノード8に印加する負電位の絶対値を大きくし、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離が大きくなるほど、導電層13に印加する正電位の絶対値を大きくすればよい。
[第2の実施形態]
【0041】
図8及び図9に示されるように、イオン検出装置10は、イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入する正イオン及び負イオンの軌道を収束するための一対の電極部材18がチャンバ2内に配置されている点で、上述したイオン検出装置1と主に相違している。
【0042】
一対の電極部材18は、イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入する正イオン及び負イオンの進行方向において、メッシュ16の下流側かつダイノード8及び導電層13の上流側(ここでは、メッシュ16の直後)に位置している。つまり、一対の電極部材18は、ダイノード8及び導電層13に対してイオン進入口3側に位置している。さらに、一対の電極部材18は、イオン進入口3側から見た場合に、ダイノード8と導電層13とが対向する方向に略直交する方向(すなわち、基準線RL及び中心線CLに略直交する方向)においてイオン進入口3を挟んでいる。
【0043】
各電極部材18は、矩形状の断面形状を有する柱状の部材であり、例えばSUS等の金属からなる。各電極部材18は、チャンバ2の側壁2eの内表面に接触した状態で、チャンバ2の天壁2cと底壁2dとの間に掛け渡されており、チャンバ2と物理的かつ電気的に接続されている。これにより、各電極部材18は、チャンバ2と同電位(すなわち、0V)とされる。なお、電極部材18の断面形状は、矩形状に限定されず、円形状等であってもよい。また、ダイノード8と導電層13とが対向する方向における電極部材18の長さは、当該方向におけるイオン進入口3の幅以上であればよい。
【0044】
ここで、イオン進入口3は、一対の電極部材18が対向する方向(すなわち、基準線RL及び中心線CLに略直交する方向)を長手方向とする矩形状の断面形状を有するように形成されている。なお、イオン進入口3の断面形状は、一対の電極部材18が対向する方向を長手方向とする断面形状であれば、楕円形状や長円形状等であってもよい。
【0045】
以上のように構成されたイオン検出装置10によれば、上述したイオン検出装置1と同様の効果に加え、次のような効果が奏される。すなわち、イオン検出装置10によれば、一対の電極部材18が対向する方向を長手方向とする断面形状を有するようにイオン進入口3が形成されていても、ダイノード8への正イオンの軌道、及び導電層13への負イオンの軌道を収束し、ダイノード8における正イオンの入射効率、及び導電層13における負イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0046】
次に、ダイノード8における正イオンの入射効率(以下、「ダイノード8での入射効率」という)、及びシンチレータ11における二次電子の入射効率(以下、「シンチレータ11での入射効率」という)、並びに正イオンの検出効率の解析結果について説明する。なお、導電層13における負イオンの入射効率、及び負イオンの検出効率の解析結果については、正イオンの場合と同等であるため、省略する。
【0047】
ここでは、図10に示されるように、上述したイオン検出装置10を準備した。このイオン検出装置10においては、一対の電極部材18が対向する方向を長手方向とする矩形状の断面形状を有するようにイオン進入口3を形成し、その長手方向におけるイオン進入口3の幅をダイノード8及び電極層14の外径の約1.6倍とした。また、図11に示されるように、電極部材18が設けられていない点でのみイオン検出装置10と相違するイオン検出装置10Aを準備した。そして、チャンバ2及びメッシュ17(イオン検出装置10では、さらに電極部材18)を接地して0Vに維持した。ダイノード8には、−5kVの負電位を印加した。一方、導電層13及び電極層14には、+5kVの正電位を印加した。メッシュ16には、−0.5kVの負電位を印加した。
【0048】
その結果、イオン検出装置10,10Aのそれぞれについて、表7の解析結果が得られた。表7に示されるように、イオン検出装置10Aでは、電極部材18が設けられていないものの、ダイノード8での入射効率が90%を超えるという、良好な解析結果が得られた。これに対し、イオン検出装置10では、ダイノード8での入射効率及び正イオンの検出効率が99%を超えるという、さらに良好な解析結果が得られた。これらの解析結果を比較すると、電極部材18の存在が、ダイノード8での入射効率、延いては正イオンの検出効率の向上に寄与していることが分かる(導電層13における負イオンの入射効率、及び負イオンの検出効率についても、同様である)。図10(c)と図11(c)とを比較しても、図10(c)に示された正イオンの軌道においてはその外側の部分もダイノード8に収束しているのに対し、図11(c)に示された正イオンの軌道においてはその外側の部分がダイノード8に収束していないことが分かる。
【表7】
[第3の実施形態]
【0049】
図12に示されるように、イオン検出装置20は、イオン進入口3にメッシュ(第2のメッシュ)19が張られている点で、上述したイオン検出装置1と主に相違している。
【0050】
メッシュ19は、SUSからなり、チャンバ2の側壁2aの外表面に沿うようにイオン進入口3の外側に張られている。つまり、メッシュ19は、メッシュ16に対して外側に位置している。メッシュ19には、メッシュ16に印加される電位よりも絶対値が小さくなるように、かつメッシュ16に印加される電位と極性が逆となるように、正電位及び負電位が選択的に印加される。例えば、正イオンを検出する場合には、内側のメッシュ16に−300Vの負電位を印加し、外側のメッシュ19に+20Vの正電位を印加する。一方、負イオンを検出する場合には、内側のメッシュ16に+300Vの正電位を印加し、外側のメッシュ19に−20Vの負電位を印加する。
【0051】
以上のように構成されたイオン検出装置20によれば、上述したイオン検出装置1と同様の効果に加え、次のような効果が奏される。すなわち、イオン検出装置20によれば、チャンバ2内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合には、外側のメッシュ19に正電位を印加することで、図13(a)に示されるように、エネルギーの比較的低い正イオンPI(l)を追い返して、エネルギーの比較的高い正イオンPI(h)のみを通過させることができる。このとき、負イオンNIは、負電位が印加された内側のメッシュ16によって追い返される。一方、チャンバ2内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合には、外側のメッシュに負電位を印加することで、図13(b)に示されるように、エネルギーの比較的低い負イオンNI(l)を追い返して、エネルギーの比較的高い負イオンNI(h)のみを通過させることができる。このとき、正イオンPIは、正電位が印加された内側のメッシュ16によって追い返される。このように、検出すべきイオンのうちエネルギーの比較的低いイオンのチャンバ2内への進入を防止することができるため、イオン検出装置20のS/N比を向上させることが可能となる。
【0052】
なお、正イオンを検出する場合に外側のメッシュ19に印加する電圧の値は、ノイズとして追い返すべき負イオンのエネルギーの最大値に応じて、例えば+5V〜+100Vという範囲で適宜調整することができる。同様に、負イオンを検出する場合に外側のメッシュ19に印加する電圧の値は、ノイズとして追い返すべき正イオンのエネルギーの最大値に応じて、例えば−5V〜−100Vという範囲で適宜調整することができる。
【0053】
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、二次電子の入射に応じてシンチレータ11で発せられた光を検出することができるものであれば、光電子増倍管15に代えて、他の光検出器を用いてもよい。
【0054】
また、図14に示されるように、ライトガイド12における一端12a側の部分(第1の部分)121を導電膜(第1の導電膜)21で覆い、ライトガイド12における他端12b側の部分(第2の部分)122を導電膜(第2の導電膜)22で覆い、ライトガイド12における部分121と部分122との間の部分(第3の部分)123を絶縁膜23で覆ってもよい。さらに、部分123を、絶縁膜23を介して導電膜(第3の導電膜)24で覆ってもよい。ここでは、導電膜24は、導電膜22と一体的に形成されている。つまり、導電膜24は、導電膜22に接続されている一方で、導電膜21から分離されている。なお、導電膜21,22,24は、例えばアルミニウム等の金属からなり、絶縁膜23は、例えばポリイミド等の樹脂からなる。
【0055】
このように構成されたライトガイド12によれば、導電膜21,22,24によって、外部からライトガイド12に光が入射するのを防止することができ、また、ライトガイド12内の光が外部に漏れるのを防止して当該光を光電子増倍管15に伝播することができる。さらに、絶縁膜23によって、導電膜21と導電膜22とを絶縁することができる。このように、導電膜21と導電膜22を絶縁することで、光電子増倍管15をシンチレータ11(導電層13)に対して電気的に独立させることができる。
【0056】
なお、導電膜24は、導電膜21と一体的に形成されていてもよい。つまり、導電膜24は、導電膜21に接続されている一方で、導電膜22から分離されていてもよい。或いは、図15(a)に示されるように、導電膜24は、導電膜21及び導電膜22の両方から分離されていてもよい。また、図15(b)に示されるように、絶縁膜23が十分な遮光性を有する場合には、部分123を絶縁膜23のみで覆ってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,10,20…イオン検出装置、2…チャンバ(筐体)、3…イオン進入口、8…コンバージョンダイノード、11…シンチレータ、11a…電子入射面、12…ライトガイド、12a…一端、12b…他端、121…部分(第1の部分)、122…部分(第2の部分)、123…部分(第3の部分)、13…導電層、14…電極層、15…光電子増倍管(光検出器)、16…メッシュ(第1のメッシュ)、18…電極部材、19…メッシュ(第2のメッシュ)、21…導電膜(第1の導電膜)、22…導電膜(第2の導電膜)、23…絶縁膜、24…導電膜(第3の導電膜)、RL…基準線、CL…中心線、RP…基準面(所定の面)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、正イオン及び負イオンを検出するイオン検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のイオン検出装置として、イオンの衝突により二次電子を放出するコンバージョンダイノードと、コンバージョンダイノードから放出された二次電子の入射により光を発するシンチレータと、シンチレータで発せられた光を検出する光検出器と、を備えるものが知られている(例えば特許文献1,2参照)。ここで、正イオン及び負イオンを検出するために、負電位が印加される正イオン用のコンバージョンダイノードと、正電位が印加される負イオン用のコンバージョンダイノードとが別々に設けられる場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−326315号公報
【特許文献2】仏国特許出願公開第2658361号明細書(FR2658361A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、正イオン用のコンバージョンダイノードと負イオン用のコンバージョンダイノードとが別々に設けられたイオン検出装置にあっては、負イオン用のコンバージョンダイノードにて、負イオンの引付け及び二次電子の放出の両立を図ることは技術的に困難であり、負イオンから二次電子への変換効率も低下することから、負イオンの検出効率が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることができるイオン検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のイオン検出装置は、正イオン及び負イオンを検出するイオン検出装置であって、正イオン及び負イオンを進入させるイオン進入口が設けられた筐体と、筐体内に配置され、負電位が印加されるコンバージョンダイノードと、筐体内に配置され、コンバージョンダイノードと対向しかつコンバージョンダイノードから放出された二次電子が入射する電子入射面を有するシンチレータと、電子入射面に形成され、正電位が印加される導電層と、二次電子の入射に応じてシンチレータで発せられた光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このイオン検出装置では、イオン進入口を介して筐体内に正イオンが進入すると、当該正イオンは、負電位が印加されたコンバージョンダイノードに向かって進行し、コンバージョンダイノードに衝突する。この正イオンの衝突によりコンバージョンダイノードから二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位が印加された導電層に向かって進行し、導電層を透過した後、電子入射面を介してシンチレータに入射する。この二次電子の入射によりシンチレータで光が発せられると、当該光は、光検出器で検出される。一方、イオン進入口を介して筐体内に負イオンが進入すると、当該負イオンは、正電位が印加された導電層に向かって進行し、導電層に衝突する。この負イオンの衝突により導電層から正イオンが放出され、当該正イオンは、負電位が印加されたコンバージョンダイノードに向かって進行し、コンバージョンダイノードに衝突する。この正イオンの衝突によりコンバージョンダイノードから二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位が印加された導電層に向かって進行し、導電層を透過した後、電子入射面を介してシンチレータに入射する。この二次電子の入射によりシンチレータで光が発せられると、当該光は、光検出器で検出される。このように、筐体内に正イオンが進入した場合には勿論、筐体内に負イオンが進入した場合にも、当該負イオンが導電層で正イオンに変換されるので、負電位が印加されたコンバージョンダイノードにて正イオンから二次電子への変換が実現され、その結果、正イオン及び負イオンから二次電子への変換効率の低下が抑制される。よって、このイオン検出装置によれば、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることが可能となる。
【0008】
ここで、コンバージョンダイノードと導電層とを結ぶ基準線に略直交する所定の面がイオン進入口の中心線を含むように、イオン進入口に対してコンバージョンダイノード及び導電層が位置しており、コンバージョンダイノードによって形成される負の等電位面と導電層によって形成される正の等電位面とが所定の面に関して略対称となるように、コンバージョンダイノードに負電位が印加されると共に導電層に正電位が印加されてもよい。これによれば、コンバージョンダイノードへの正イオンの軌道、導電層への負イオンの軌道、及びシンチレータへの二次電子の軌道を収束し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率、導電層における負イオンの入射効率、及びシンチレータにおける二次電子の入射効率を向上させることができる。
【0009】
また、イオン進入口には、正電位及び負電位が選択的に印加される第1のメッシュが張られていてもよい。これによれば、筐体内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合には、第1のメッシュに負電位を印加することで、イオン進入口内への正の電界の形成を抑制し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率をより一層向上させることができる。一方、筐体内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合には、第1のメッシュに正電位を印加することで、イオン進入口内への負の電界の形成を抑制し、導電層における負イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0010】
さらに、イオン進入口には、第1のメッシュに対して外側に位置するように第2のメッシュが張られており、第2のメッシュには、第1のメッシュに印加される電位よりも絶対値が小さくなるように、かつ第1のメッシュに印加される電位と極性が逆となるように、正電位及び負電位が選択的に印加されてもよい。これによれば、筐体内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合には、第2のメッシュに正電位を印加することで、エネルギーの比較的低い正イオンを追い返して、エネルギーの比較的高い正イオンのみを通過させることができる。このとき、負イオンは、負電位が印加された第1のメッシュによって追い返される。一方、筐体内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合には、第2のメッシュに負電位を印加することで、エネルギーの比較的低い負イオンを追い返して、エネルギーの比較的高い負イオンのみを通過させることができる。このとき、正イオンは、正電位が印加された第1のメッシュによって追い返される。ノイズとなるイオンのエネルギーは、検出すべきイオンのエネルギーに比べて低いことが多い。従って、エネルギーの比較的低いイオンの筐体内への進入を防止することで、イオン検出装置のS/N比を向上させることが可能となる。
【0011】
また、シンチレータには、正電位が印加される電極層が導電層を包囲するように形成されていてもよい。これによれば、筐体内に負イオンが進入した場合に、負イオンの衝突により導電層から放出された正イオンの発散を抑制し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0012】
また、筐体内には、コンバージョンダイノード及び導電層に対してイオン進入口側に位置するように、かつ、イオン進入口側から見た場合に、コンバージョンダイノードと導電層とが対向する方向に略直交する方向においてイオン進入口を挟むように、筐体と同電位とされる一対の電極部材が配置されていてもよい。これによれば、例えば一対の電極部材が対向する方向を長手方向とする断面形状を有するようにイオン進入口が形成されていても、コンバージョンダイノードへの正イオンの軌道、及び導電層への負イオンの軌道を収束し、コンバージョンダイノードにおける正イオンの入射効率、及び導電層における負イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0013】
また、筐体には、シンチレータが接続された一端、及び光検出器が接続された他端を有するライトガイドが貫通しており、ライトガイドにおける一端側の第1の部分は、第1の導電膜に覆われ、ライトガイドにおける他端側の第2の部分は、第2の導電膜に覆われ、ライトガイドにおける第1の部分と第2の部分との間の第3の部分は、絶縁膜に覆われていてもよい。これによれば、第1及び第2の導電膜によって、外部からライトガイドに光が入射するのを防止することができる。さらに、絶縁膜によって、第1の導電膜と第2の導電膜とを絶縁することができる。
【0014】
さらに、第3の部分は、絶縁膜を介して第3の導電膜に覆われていてもよい。これによれば、絶縁膜の遮光性が低い場合であっても、第3の導電膜によって、外部からライトガイドに光が入射するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態のイオン検出装置の縦断面図である。
【図2】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された図1のイオン検出装置の縦断面図である。
【図3】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図4】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図5】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図6】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図7】等電位面並びにイオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のイオン検出装置の縦断面図である。
【図9】図8のイオン検出装置のIX−IX線に沿っての断面図である。
【図10】イオン及び二次電子の軌道が表された図8のイオン検出装置の縦断面図である。
【図11】イオン及び二次電子の軌道が表された他のイオン検出装置の縦断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態のイオン検出装置の縦断面図である。
【図13】イオンの軌道が表された図12のイオン検出装置の縦断面図である。
【図14】各実施形態のイオン検出装置のライトガイドの縦断面図である。
【図15】各実施形態のイオン検出装置の他のライトガイドの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
【0018】
図1に示されるように、イオン検出装置1は、SUS(ステンレス鋼)からなる直方体箱状のチャンバ(筐体)2を備えている。チャンバ2の側壁2aには、正イオン及び負イオンを進入させる断面円形状のイオン進入口3が設けられている。側壁2aと対向するチャンバ2の側壁2bには、イオン進入口3と対向する開口4が設けられている。チャンバ2の外表面は、側壁2aを除いて、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)樹脂からなる絶縁部材5で覆われている。絶縁部材5には、チャンバ2の開口4と重なるように開口6が設けられている。絶縁部材5の底壁5bは、外向きフランジ状に形成されている。底壁5bには、例えば真空引きされる装置内(質量分析装置内等)の所定の位置にイオン検出装置1を取り付けるための取付け板7がねじ等により固定されている。
【0019】
チャンバ2内には、SUSからなる円柱状のコンバージョンダイノード8(以下、本実施形態では、単に「ダイノード8」という)が配置されている。ダイノード8は、チャンバ2の天壁2cに設けられた開口を介して、絶縁部材5の天壁5aにねじ等により固定されている。さらに、チャンバ2内には、プラスチックシンチレータからなる円柱状のシンチレータ11が配置されている。シンチレータ11は、チャンバ2の底壁2dを貫通するライトガイド12の一端12aに接続されている。ライトガイド12は、チャンバ2の底壁2d、絶縁部材5の底壁5b及び取付け板7を貫通した状態で、取付け板7にねじ等により固定されている。
【0020】
シンチレータ11は、ダイノード8と対向しかつダイノード8から放出された二次電子が入射する電子入射面11aを有している。電子入射面11aには、いわゆるメタルバックとして、アルミニウムからなる膜状(例えば厚さ50nm〜60nm)の導電層13が形成されている。ここで、ダイノード8の中心点と導電層13の中心点とを結ぶ基準線RLは、イオン進入口3の中心線CLと略直交している。換言すれば、基準線RLに略直交しかつ中心線CLを含む所定の面を基準面RPとすると、基準線RLに略直交する基準面RPが中心線CLを含むように、イオン進入口3に対してダイノード8及び導電層13が位置している。
【0021】
シンチレータ11の側面11bには、導電層13を包囲するように、SUSからなる電極層14が形成されている。電極層14は、導電層13に電気的に接続されている。ライトガイド12の他端12bには、シンチレータ11で発せられた光を電気信号に変換して検出する光電子増倍管(光検出器)15が接続されている。また、チャンバ2内には、側壁2aの内表面に沿うように、SUSからなるメッシュ(第1のメッシュ)16が配置されている。メッシュ16は、イオン進入口3の内側に張られている。さらに、チャンバ2内には、側壁2bの内表面に沿うように、SUSからなるメッシュ17が配置されている。メッシュ17は、開口4の内側に張られている。
【0022】
以上のように構成されたイオン検出装置1では、チャンバ2及びメッシュ17が接地されて0Vに維持される。ダイノード8には、チャンバ2及びメッシュ17対して負電位(例えば−5kV)が印加される。一方、導電層13及び電極層14には、チャンバ2及びメッシュ17対して正電位(例えば+5kV)が印加される。メッシュ16には、チャンバ2及びメッシュ17対して正電位(例えば+0.3kV)及び負電位(例えば−0.3kV)が選択的に印加される。
【0023】
これにより、ダイノード8によって形成される負の等電位面と導電層13によって形成される正の等電位面とが基準面RPの面に関して略対称とされる。つまり、少なくとも基準面RPと基準線RLとの交点近傍(すなわち、イオン進入口3の中心線CLと基準線RLとの交点近傍)は、略0Vとされる。
【0024】
イオン検出装置1において正イオンを検出する場合、メッシュ16には負電位(例えば−0.3kV)が印加される。そして、イオン進入口3を介してチャンバ2内に正イオンが進入すると、当該正イオンは、負電位(例えば−5kV)が印加されたダイノード8に向かって進行し、ダイノード8に衝突する。この正イオンの衝突によりダイノード8から二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位(例えば+5kV)が印加された導電層13に向かって進行し、導電層13を透過した後、電子入射面11aを介してシンチレータ11に入射する。この二次電子の入射に応じてシンチレータ11で光が発せられると、当該光は、ライトガイド12を介して光電子増倍管15で検出される。
【0025】
一方、イオン検出装置1において負イオンを検出する場合、メッシュ16には正電位(例えば+0.3kV)が印加される。そして、イオン進入口3を介してチャンバ2内に負イオンが進入すると、当該負イオンは、正電位(例えば+5kV)が印加された導電層13に向かって進行し、導電層13に衝突する(負イオンは、二次電子に比べ大きいため、導電層13を透過しない)。この負イオンの衝突により導電層13から正イオンが放出され、当該正イオンは、負電位(例えば−5kV)が印加されたダイノード8に向かって進行し、ダイノード8に衝突する。この正イオンの衝突によりダイノード8から二次電子が放出されると、当該二次電子は、正電位(例えば+5kV)が印加された導電層13に向かって進行し、導電層13を透過した後、電子入射面11aを介してシンチレータ11に入射する。この二次電子の入射に応じてシンチレータ11で光が発せられると、当該光は、ライトガイド12を介して光電子増倍管15で検出される。
【0026】
以上のように、イオン検出装置1では、チャンバ2内に負イオンが進入した場合に、当該負イオンが導電層13で正イオンに変換される。そのため、チャンバ2内に正イオンが進入した場合には勿論、チャンバ2内に負イオンが進入した場合にも、ダイノード8にて正イオンから二次電子への変換が実現され、その結果、正イオン及び負イオンから二次電子への変換効率の低下が抑制される。よって、イオン検出装置1によれば、正イオン及び負イオンの検出効率を向上させることが可能となる。
【0027】
つまり、イオン検出装置1では、導電層13で覆われたシンチレータ11を負イオン用のコンバージョンダイノードのように機能させることで、ダイノード8が1つで済み、かつダイノード8に印加する電位の極性を変化させることが不要となる。しかも、ダイノード8に負電位が印加されると共に導電層13に正電位が印加されるので、その差分の大きな加速電圧(±5kVの場合、10kVの加速電圧)が得られる。
【0028】
また、イオン検出装置1では、ダイノード8によって形成される負の等電位面と導電層13によって形成される正の等電位面とが基準面RPの面に関して略対称とされている。これにより、ダイノード8への正イオンの軌道、導電層13への負イオンの軌道、及びシンチレータ11への二次電子の軌道が収束され、ダイノード8における正イオンの入射効率、導電層13における負イオンの入射効率、及びシンチレータ11における二次電子の入射効率が向上させられている。
【0029】
また、イオン検出装置1では、チャンバ2内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合に、メッシュ16に負電位が印加される。これにより、イオン進入口3内への正の等電位面(正の電界)の形成が抑制される。従って、チャンバ2内に正イオンが進入する場合におけるメッシュ16への負電位の印加は、ダイノード8における正イオンの入射効率の向上に寄与する。一方、イオン検出装置1では、チャンバ2内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合に、メッシュ16に正電位が印加される。これにより、イオン進入口3内への負の等電位面(負の電界)の形成が抑制される。従って、チャンバ2内に負イオンが進入する場合におけるメッシュ16への正電位の印加は、導電層13における負イオンの入射効率の向上に寄与する。
【0030】
さらに、イオン検出装置1では、正電位が印加される電極層14が導電層13を包囲するようにシンチレータ11に形成されている。これにより、チャンバ2内に負イオンが進入した場合に、負イオンの衝突により導電層13から放出された正イオンの発散が抑制される。従って、電極層14は、チャンバ2内に負イオンが進入する場合において、ダイノード8における正イオンの入射効率の向上に寄与する。
【0031】
なお、イオン検出装置1では、イオン進入口3と対向する位置に開口4及び開口6が設けられており、開口4の内側に張られたメッシュ17が0Vに維持される。これにより、ダイノード8及び導電層13に収束する静電レンズが形成されるので、ニュートラル等に起因したノイズの発生が防止される。
【0032】
次に、ダイノード8における正イオンの入射効率(以下、「ダイノード8での入射効率」という)、導電層13における負イオンの入射効率(以下、「導電層13での入射効率」という)、及びシンチレータ11における二次電子の入射効率(以下、「シンチレータ11での入射効率」という)、並びに正イオン及び負イオンの検出効率(以下、「イオンの検出効率」という)の解析結果について説明する。
【0033】
上述したイオン検出装置1については、表1の解析結果が得られた。このイオン検出装置1では、図2に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離と、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離とを略等しくした。ここで、距離Lは14mmである。また、チャンバ2及びメッシュ17を接地して0Vに維持した。ダイノード8には、−5kVの負電位を印加した。一方、導電層13及び電極層14には、+5kVの正電位を印加した。メッシュ16には、図2(a)に示されるように正イオンを検出する場合には、−0.3kVの負電位を印加し、図2(b)に示されるように負イオンを検出する場合には、+0.3kVの正電位を印加した。
【表1】
【0034】
表1に示されるように、イオン検出装置1では、いずれの入射効率及び検出効率も99%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。ここで、導電層13での入射効率とは、「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した負イオン」に対する「導電層13に到達した負イオン」の割合である。ダイノード8での入射効率とは、「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した正イオン」に対する「ダイノード8に到達した正イオン」の割合(図2(a)の場合)、或いは「導電層13から放出された正イオン」に対する「ダイノード8に到達した正イオン」の割合(図2(b)の場合)である。シンチレータ11での入射効率とは、「ダイノード8から放出された二次電子」に対する「シンチレータ11に到達した二次電子」の割合である。イオンの検出効率とは、「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した正イオン」に対する「シンチレータ11に到達した二次電子」の割合(図2(a)の場合)、或いは「イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入した負イオン」に対する「シンチレータ11に到達した二次電子」の割合(図2(b)の場合)である。
【0035】
図3のイオン検出装置1Aについては、表2の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Aは、図3に示されるように、メッシュ16が設けられていない点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表2に示されるように、イオン検出装置1Aでは、メッシュ16が設けられていなくても、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が60%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が50%を超えるという、良好な解析結果が得られた。表1の解析結果と表2の解析結果とを比較すると、正イオンを検出する場合におけるメッシュ16への負電位の印加がダイノード8での入射効率の向上に寄与し、一方、負イオンを検出する場合におけるメッシュ16への正電位の印加が導電層13での入射効率の向上に寄与していることが分かる。
【表2】
【0036】
図4のイオン検出装置1Bについては、表3の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Bは、図4に示されるように、電極層14が設けられていない点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表3に示されるように、イオン検出装置1Bでは、電極層14が設けられていなくても、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が99%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が60%を超えるという、良好な解析結果が得られた。表1の解析結果と表3の解析結果とを比較すると、負イオンを検出する場合において電極層14がダイノード8での入射効率の向上に寄与していることが分かる。なお、電極層14は、導電層13を包囲するように配置されていれば複数に分割されていてもよい。
【表3】
【0037】
図5のイオン検出装置1Cについては、表4の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Cは、図5に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離よりも1mmだけ長い点、及びダイノード8に−6kVの負電位を印加した点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表4に示されるように、イオン検出装置1Cでは、いずれの入射効率及び検出効率も99%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。
【表4】
【0038】
図6のイオン検出装置1Dについては、表5の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Dは、図6に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離よりも2mmだけ長い点、及びダイノード8に−6kVの負電位を印加した点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表5に示されるように、イオン検出装置1Dでは、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が99%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が90%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。
【表5】
【0039】
図7のイオン検出装置1Eについては、表6の解析結果が得られた。このイオン検出装置1Eは、図7に示されるように、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離よりも3mmだけ長い点、及びダイノード8に−6kVの負電位を印加した点で、上述したイオン検出装置1と異なっている。表6に示されるように、イオン検出装置1Eでは、正イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が99%を超え、負イオンを検出する場合にはイオンの検出効率が80%を超えるという、極めて良好な解析結果が得られた。
【表6】
【0040】
ここで、図5〜図7のイオン検出装置1C〜1Eについての表4〜表6の解析結果から次のことがいえる。すなわち、基準線RLに略直交する基準面RPがイオン進入口3の中心線CLを含むように、イオン進入口3に対してダイノード8及び導電層13を位置させ、かつ、ダイノード8によって形成される負の等電位面と導電層13によって形成される正の等電位面とが基準面RPに関して略対称となるように、ダイノード8に負電位を印加すると共に導電層13に正電位を印加すればよいといえる。具体的には、基準面RPからダイノード8のイオン衝突面8aまでの距離が大きくなるほど、ダイノード8に印加する負電位の絶対値を大きくし、基準面RPから導電層13のイオン衝突面13aまでの距離が大きくなるほど、導電層13に印加する正電位の絶対値を大きくすればよい。
[第2の実施形態]
【0041】
図8及び図9に示されるように、イオン検出装置10は、イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入する正イオン及び負イオンの軌道を収束するための一対の電極部材18がチャンバ2内に配置されている点で、上述したイオン検出装置1と主に相違している。
【0042】
一対の電極部材18は、イオン進入口3を介してチャンバ2内に進入する正イオン及び負イオンの進行方向において、メッシュ16の下流側かつダイノード8及び導電層13の上流側(ここでは、メッシュ16の直後)に位置している。つまり、一対の電極部材18は、ダイノード8及び導電層13に対してイオン進入口3側に位置している。さらに、一対の電極部材18は、イオン進入口3側から見た場合に、ダイノード8と導電層13とが対向する方向に略直交する方向(すなわち、基準線RL及び中心線CLに略直交する方向)においてイオン進入口3を挟んでいる。
【0043】
各電極部材18は、矩形状の断面形状を有する柱状の部材であり、例えばSUS等の金属からなる。各電極部材18は、チャンバ2の側壁2eの内表面に接触した状態で、チャンバ2の天壁2cと底壁2dとの間に掛け渡されており、チャンバ2と物理的かつ電気的に接続されている。これにより、各電極部材18は、チャンバ2と同電位(すなわち、0V)とされる。なお、電極部材18の断面形状は、矩形状に限定されず、円形状等であってもよい。また、ダイノード8と導電層13とが対向する方向における電極部材18の長さは、当該方向におけるイオン進入口3の幅以上であればよい。
【0044】
ここで、イオン進入口3は、一対の電極部材18が対向する方向(すなわち、基準線RL及び中心線CLに略直交する方向)を長手方向とする矩形状の断面形状を有するように形成されている。なお、イオン進入口3の断面形状は、一対の電極部材18が対向する方向を長手方向とする断面形状であれば、楕円形状や長円形状等であってもよい。
【0045】
以上のように構成されたイオン検出装置10によれば、上述したイオン検出装置1と同様の効果に加え、次のような効果が奏される。すなわち、イオン検出装置10によれば、一対の電極部材18が対向する方向を長手方向とする断面形状を有するようにイオン進入口3が形成されていても、ダイノード8への正イオンの軌道、及び導電層13への負イオンの軌道を収束し、ダイノード8における正イオンの入射効率、及び導電層13における負イオンの入射効率をより一層向上させることができる。
【0046】
次に、ダイノード8における正イオンの入射効率(以下、「ダイノード8での入射効率」という)、及びシンチレータ11における二次電子の入射効率(以下、「シンチレータ11での入射効率」という)、並びに正イオンの検出効率の解析結果について説明する。なお、導電層13における負イオンの入射効率、及び負イオンの検出効率の解析結果については、正イオンの場合と同等であるため、省略する。
【0047】
ここでは、図10に示されるように、上述したイオン検出装置10を準備した。このイオン検出装置10においては、一対の電極部材18が対向する方向を長手方向とする矩形状の断面形状を有するようにイオン進入口3を形成し、その長手方向におけるイオン進入口3の幅をダイノード8及び電極層14の外径の約1.6倍とした。また、図11に示されるように、電極部材18が設けられていない点でのみイオン検出装置10と相違するイオン検出装置10Aを準備した。そして、チャンバ2及びメッシュ17(イオン検出装置10では、さらに電極部材18)を接地して0Vに維持した。ダイノード8には、−5kVの負電位を印加した。一方、導電層13及び電極層14には、+5kVの正電位を印加した。メッシュ16には、−0.5kVの負電位を印加した。
【0048】
その結果、イオン検出装置10,10Aのそれぞれについて、表7の解析結果が得られた。表7に示されるように、イオン検出装置10Aでは、電極部材18が設けられていないものの、ダイノード8での入射効率が90%を超えるという、良好な解析結果が得られた。これに対し、イオン検出装置10では、ダイノード8での入射効率及び正イオンの検出効率が99%を超えるという、さらに良好な解析結果が得られた。これらの解析結果を比較すると、電極部材18の存在が、ダイノード8での入射効率、延いては正イオンの検出効率の向上に寄与していることが分かる(導電層13における負イオンの入射効率、及び負イオンの検出効率についても、同様である)。図10(c)と図11(c)とを比較しても、図10(c)に示された正イオンの軌道においてはその外側の部分もダイノード8に収束しているのに対し、図11(c)に示された正イオンの軌道においてはその外側の部分がダイノード8に収束していないことが分かる。
【表7】
[第3の実施形態]
【0049】
図12に示されるように、イオン検出装置20は、イオン進入口3にメッシュ(第2のメッシュ)19が張られている点で、上述したイオン検出装置1と主に相違している。
【0050】
メッシュ19は、SUSからなり、チャンバ2の側壁2aの外表面に沿うようにイオン進入口3の外側に張られている。つまり、メッシュ19は、メッシュ16に対して外側に位置している。メッシュ19には、メッシュ16に印加される電位よりも絶対値が小さくなるように、かつメッシュ16に印加される電位と極性が逆となるように、正電位及び負電位が選択的に印加される。例えば、正イオンを検出する場合には、内側のメッシュ16に−300Vの負電位を印加し、外側のメッシュ19に+20Vの正電位を印加する。一方、負イオンを検出する場合には、内側のメッシュ16に+300Vの正電位を印加し、外側のメッシュ19に−20Vの負電位を印加する。
【0051】
以上のように構成されたイオン検出装置20によれば、上述したイオン検出装置1と同様の効果に加え、次のような効果が奏される。すなわち、イオン検出装置20によれば、チャンバ2内に正イオンを進入させて当該正イオンを検出する場合には、外側のメッシュ19に正電位を印加することで、図13(a)に示されるように、エネルギーの比較的低い正イオンPI(l)を追い返して、エネルギーの比較的高い正イオンPI(h)のみを通過させることができる。このとき、負イオンNIは、負電位が印加された内側のメッシュ16によって追い返される。一方、チャンバ2内に負イオンを進入させて当該負イオンを検出する場合には、外側のメッシュに負電位を印加することで、図13(b)に示されるように、エネルギーの比較的低い負イオンNI(l)を追い返して、エネルギーの比較的高い負イオンNI(h)のみを通過させることができる。このとき、正イオンPIは、正電位が印加された内側のメッシュ16によって追い返される。このように、検出すべきイオンのうちエネルギーの比較的低いイオンのチャンバ2内への進入を防止することができるため、イオン検出装置20のS/N比を向上させることが可能となる。
【0052】
なお、正イオンを検出する場合に外側のメッシュ19に印加する電圧の値は、ノイズとして追い返すべき負イオンのエネルギーの最大値に応じて、例えば+5V〜+100Vという範囲で適宜調整することができる。同様に、負イオンを検出する場合に外側のメッシュ19に印加する電圧の値は、ノイズとして追い返すべき正イオンのエネルギーの最大値に応じて、例えば−5V〜−100Vという範囲で適宜調整することができる。
【0053】
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、二次電子の入射に応じてシンチレータ11で発せられた光を検出することができるものであれば、光電子増倍管15に代えて、他の光検出器を用いてもよい。
【0054】
また、図14に示されるように、ライトガイド12における一端12a側の部分(第1の部分)121を導電膜(第1の導電膜)21で覆い、ライトガイド12における他端12b側の部分(第2の部分)122を導電膜(第2の導電膜)22で覆い、ライトガイド12における部分121と部分122との間の部分(第3の部分)123を絶縁膜23で覆ってもよい。さらに、部分123を、絶縁膜23を介して導電膜(第3の導電膜)24で覆ってもよい。ここでは、導電膜24は、導電膜22と一体的に形成されている。つまり、導電膜24は、導電膜22に接続されている一方で、導電膜21から分離されている。なお、導電膜21,22,24は、例えばアルミニウム等の金属からなり、絶縁膜23は、例えばポリイミド等の樹脂からなる。
【0055】
このように構成されたライトガイド12によれば、導電膜21,22,24によって、外部からライトガイド12に光が入射するのを防止することができ、また、ライトガイド12内の光が外部に漏れるのを防止して当該光を光電子増倍管15に伝播することができる。さらに、絶縁膜23によって、導電膜21と導電膜22とを絶縁することができる。このように、導電膜21と導電膜22を絶縁することで、光電子増倍管15をシンチレータ11(導電層13)に対して電気的に独立させることができる。
【0056】
なお、導電膜24は、導電膜21と一体的に形成されていてもよい。つまり、導電膜24は、導電膜21に接続されている一方で、導電膜22から分離されていてもよい。或いは、図15(a)に示されるように、導電膜24は、導電膜21及び導電膜22の両方から分離されていてもよい。また、図15(b)に示されるように、絶縁膜23が十分な遮光性を有する場合には、部分123を絶縁膜23のみで覆ってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,10,20…イオン検出装置、2…チャンバ(筐体)、3…イオン進入口、8…コンバージョンダイノード、11…シンチレータ、11a…電子入射面、12…ライトガイド、12a…一端、12b…他端、121…部分(第1の部分)、122…部分(第2の部分)、123…部分(第3の部分)、13…導電層、14…電極層、15…光電子増倍管(光検出器)、16…メッシュ(第1のメッシュ)、18…電極部材、19…メッシュ(第2のメッシュ)、21…導電膜(第1の導電膜)、22…導電膜(第2の導電膜)、23…絶縁膜、24…導電膜(第3の導電膜)、RL…基準線、CL…中心線、RP…基準面(所定の面)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正イオン及び負イオンを検出するイオン検出装置であって、
前記正イオン及び前記負イオンを進入させるイオン進入口が設けられた筐体と、
前記筐体内に配置され、負電位が印加されるコンバージョンダイノードと、
前記筐体内に配置され、前記コンバージョンダイノードと対向しかつ前記コンバージョンダイノードから放出された二次電子が入射する電子入射面を有するシンチレータと、
前記電子入射面に形成され、正電位が印加される導電層と、
前記二次電子の入射に応じて前記シンチレータで発せられた光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とするイオン検出装置。
【請求項2】
前記コンバージョンダイノードと前記導電層とを結ぶ基準線に略直交する所定の面が前記イオン進入口の中心線を含むように、前記イオン進入口に対して前記コンバージョンダイノード及び前記導電層が位置しており、
前記コンバージョンダイノードによって形成される負の等電位面と前記導電層によって形成される正の等電位面とが前記所定の面に関して略対称となるように、前記コンバージョンダイノードに負電位が印加されると共に前記導電層に正電位が印加されることを特徴とする請求項1記載のイオン検出装置。
【請求項3】
前記イオン進入口には、正電位及び負電位が選択的に印加される第1のメッシュが張られていることを特徴とする請求項1又は2記載のイオン検出装置。
【請求項4】
前記イオン進入口には、前記第1のメッシュに対して外側に位置するように第2のメッシュが張られており、
前記第2のメッシュには、前記第1のメッシュに印加される電位よりも絶対値が小さくなるように、かつ前記第1のメッシュに印加される電位と極性が逆となるように、正電位及び負電位が選択的に印加されることを特徴とする請求項3記載のイオン検出装置。
【請求項5】
前記シンチレータには、正電位が印加される電極層が前記導電層を包囲するように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のイオン検出装置。
【請求項6】
前記筐体内には、前記コンバージョンダイノード及び前記導電層に対して前記イオン進入口側に位置するように、かつ、前記イオン進入口側から見た場合に、前記コンバージョンダイノードと前記導電層とが対向する方向に略直交する方向において前記イオン進入口を挟むように、前記筐体と同電位とされる一対の電極部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のイオン検出装置。
【請求項7】
前記筐体には、前記シンチレータが接続された一端、及び前記光検出器が接続された他端を有するライトガイドが貫通しており、
前記ライトガイドにおける前記一端側の第1の部分は、第1の導電膜に覆われ、
前記ライトガイドにおける前記他端側の第2の部分は、第2の導電膜に覆われ、
前記ライトガイドにおける前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分は、絶縁膜に覆われていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のイオン検出装置。
【請求項8】
前記第3の部分は、前記絶縁膜を介して第3の導電膜に覆われていることを特徴とする請求項7記載のイオン検出装置。
【請求項1】
正イオン及び負イオンを検出するイオン検出装置であって、
前記正イオン及び前記負イオンを進入させるイオン進入口が設けられた筐体と、
前記筐体内に配置され、負電位が印加されるコンバージョンダイノードと、
前記筐体内に配置され、前記コンバージョンダイノードと対向しかつ前記コンバージョンダイノードから放出された二次電子が入射する電子入射面を有するシンチレータと、
前記電子入射面に形成され、正電位が印加される導電層と、
前記二次電子の入射に応じて前記シンチレータで発せられた光を検出する光検出器と、を備えることを特徴とするイオン検出装置。
【請求項2】
前記コンバージョンダイノードと前記導電層とを結ぶ基準線に略直交する所定の面が前記イオン進入口の中心線を含むように、前記イオン進入口に対して前記コンバージョンダイノード及び前記導電層が位置しており、
前記コンバージョンダイノードによって形成される負の等電位面と前記導電層によって形成される正の等電位面とが前記所定の面に関して略対称となるように、前記コンバージョンダイノードに負電位が印加されると共に前記導電層に正電位が印加されることを特徴とする請求項1記載のイオン検出装置。
【請求項3】
前記イオン進入口には、正電位及び負電位が選択的に印加される第1のメッシュが張られていることを特徴とする請求項1又は2記載のイオン検出装置。
【請求項4】
前記イオン進入口には、前記第1のメッシュに対して外側に位置するように第2のメッシュが張られており、
前記第2のメッシュには、前記第1のメッシュに印加される電位よりも絶対値が小さくなるように、かつ前記第1のメッシュに印加される電位と極性が逆となるように、正電位及び負電位が選択的に印加されることを特徴とする請求項3記載のイオン検出装置。
【請求項5】
前記シンチレータには、正電位が印加される電極層が前記導電層を包囲するように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のイオン検出装置。
【請求項6】
前記筐体内には、前記コンバージョンダイノード及び前記導電層に対して前記イオン進入口側に位置するように、かつ、前記イオン進入口側から見た場合に、前記コンバージョンダイノードと前記導電層とが対向する方向に略直交する方向において前記イオン進入口を挟むように、前記筐体と同電位とされる一対の電極部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のイオン検出装置。
【請求項7】
前記筐体には、前記シンチレータが接続された一端、及び前記光検出器が接続された他端を有するライトガイドが貫通しており、
前記ライトガイドにおける前記一端側の第1の部分は、第1の導電膜に覆われ、
前記ライトガイドにおける前記他端側の第2の部分は、第2の導電膜に覆われ、
前記ライトガイドにおける前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分は、絶縁膜に覆われていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のイオン検出装置。
【請求項8】
前記第3の部分は、前記絶縁膜を介して第3の導電膜に覆われていることを特徴とする請求項7記載のイオン検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−49110(P2012−49110A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148871(P2011−148871)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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