説明

イオン注入装置

【課題】 ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができるイオン注入装置を提供する。
【解決手段】 このイオン注入装置は、注入室10と大気側との間でウエハ4を出し入れするための真空予備室20と、真空予備室20内のウエハ4の表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器80とを備えている。表面電位測定器80は、真空予備室20内に設けられていて、真空予備室20内においてウエハ4を静止した状態で支持する支持部を兼ねる弁体22上に支持されているウエハ4の表面に接近するように、かつウエハ4の面内において分散させて配置されていて、ウエハ4の表面の電位を非接触でそれぞれ検出する複数のプローブ82を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウエハにイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置に関し、より具体的には、ウエハのチャージアップ(帯電)状態を測定する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハにイオンビームを照射してイオン注入を行う注入室内において、ホルダに保持されているイオン注入後のウエハ表面の電位を、1個のチャージセンサを用いて測定することによって、ウエハのチャージアップ状態を非接触で測定する測定技術が、特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−54130号公報(段落0002、0003、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエハの表面は必ずしも一様な状態ではない。例えば、ウエハの表面には、電子デバイスや集積回路のパターンが様々なパターンで形成されていて、パターンが粗の所もあれば密の所もある。従って、ウエハの表面において、チャージアップの状態も必ずしも一様ではない。
【0005】
ウエハ表面のチャージアップ状態を精密に知るためには、ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定する必要があるけれども、上記従来の測定技術ではこれに応えることはできない。1個のチャージセンサを用いて測定するので、ウエハ表面の1箇所のチャージアップ状態しか測定することができないからである。
【0006】
そこでこの発明は、ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができるイオン注入装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るイオン注入装置の一つは、真空に排気される部屋であってウエハにイオン注入を行う注入室と、この注入室と大気側との間でウエハを出し入れするための真空予備室と、ウエハを大気側と注入室との間で真空予備室を経由して搬送する搬送装置と、真空予備室内においてウエハを静止した状態で支持する支持部とを備えるイオン注入装置において、ウエハの表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器であって、前記真空予備室内に設けられていて、真空予備室内において前記支持部に支持されているウエハの表面に接近するように、かつ当該ウエハの面内において分散させて配置されていて、ウエハの表面の電位を非接触でそれぞれ検出する複数のプローブを有している表面電位測定器を備えていることを特徴としている。
【0008】
このイオン注入装置によれば、真空予備室内において支持部に静止した状態で支持されているウエハ表面の電位を、上記表面電位測定器の分散配置された複数のプローブを用いてそれぞれ測定することができる。従って、ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができる。
【0009】
この発明に係るイオン注入装置の他のものは、真空に排気される部屋であってウエハにイオン注入を行う注入室と、この注入室と大気側との間でウエハを出し入れするための真空予備室と、ウエハを大気側と注入室との間で真空予備室を経由して搬送する搬送装置と、真空予備室内においてウエハを静止した状態で支持する支持部とを備えるイオン注入装置において、ウエハの表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器であって、前記真空予備室内に設けられていて、前記搬送装置によって前記支持部と大気側との間で搬送される際のウエハの表面に接近するように、かつ当該ウエハの搬送方向と交差するように並べて配置されていて、ウエハの表面の電位を非接触でそれぞれ検出する複数のプローブを有している表面電位測定器を備えていることを特徴としている。
【0010】
この発明に係るイオン注入装置の更に他のものは、真空に排気される部屋であってウエハにイオン注入を行う注入室と、この注入室と大気側との間でウエハを出し入れするための真空予備室と、ウエハを大気側と注入室との間で真空予備室を経由して搬送する搬送装置とを備えるイオン注入装置において、ウエハの表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器であって、前記真空予備室内に設けられていて、前記搬送装置によって搬送される際のウエハの表面に接近するように、かつ当該ウエハの搬送方向と交差するように並べて配置されていて、ウエハの表面の電位を非接触でそれぞれ検出する複数のプローブを有している表面電位測定器を備えていることを特徴としている。
【0011】
これらのイオン注入装置によれば、搬送装置によって搬送される際のウエハ表面の電位を、上記表面電位測定器の並べて配置された複数のプローブを用いてそれぞれ測定することができる。従って、ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、真空予備室内において支持部に静止した状態で支持されているウエハ表面の電位を、表面電位測定器の分散配置された複数のプローブを用いてそれぞれ測定することができるので、ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、搬送装置によって大気側と真空予備室内との間で搬送される際のウエハ表面の電位を、表面電位測定器の並べて配置された複数のプローブを用いてそれぞれ測定することができるので、ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができる。しかも、複数のプローブとウエハの搬送とを併用して測定することができるので、プローブ数よりも多い箇所においてチャージアップ状態を測定することも可能である。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、搬送装置によって搬送される際のウエハ表面の電位を、表面電位測定器の並べて配置された複数のプローブを用いてそれぞれ測定することができるので、ウエハ表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができる。しかも、複数のプローブとウエハの搬送とを併用して測定することができるので、プローブ数よりも多い箇所においてチャージアップ状態を測定することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、この発明に係るイオン注入装置の一実施形態を示す平面図である。図2は、図1中の線A−Aに沿って真空予備室周りを拡大して示す断面図である。
【0016】
このイオン注入装置は、真空に排気される部屋であってウエハ4にイオンビーム2を照射してイオン注入を行う注入室10と、この注入室10と大気側との間でウエハ4を出し入れするための第1および第2の真空予備室20および30を備えている。両真空予備室20、30は、ロードロック室またはエアロック室とも呼ばれる。注入室10、真空予備室20および30は、図示しない真空排気装置によってそれぞれ所定の真空度に真空排気される。
【0017】
注入室10内には、ウエハ4を保持するホルダ12が設けられている。このホルダ12は、ウエハ4にイオン注入を行うときは起立状態にされ、ウエハ4を着脱するときは水平状態にされる。このホルダ12は、プラテンとも呼ばれる。
【0018】
ウエハ4を大気側と注入室10との間で真空予備室20、30を経由して搬送する搬送装置として、この実施形態では、各真空予備室20、30の外側の大気側にそれぞれ設けられた第1および第2の搬送装置40および50と、注入室10内に設けられた第3の搬送装置60とを有している。搬送装置40、50は、それぞれ、ウエハ4を載置して搬送するアーム42、52および昇降・回転の複数の自由度を有する搬送ロボットである。搬送装置60は、ウエハ4をその周縁部で支持して搬送する2本のアーム62、64および回転の自由度を有する搬送ロボットである。
【0019】
両搬送装置40、50の手前側には、この実施形態では、複数枚のウエハ4をそれぞれ収納するカセット6を二つずつ装着することができる。
【0020】
両搬送装置40、50の間には、この実施形態では、ウエハ4のノッチまたはオリエンテーションフラットの位置合せを行う位置合せ装置70が設けられている。
【0021】
真空予備室20周りと真空予備室30周りとは互いに同じ構造であるので、真空予備室20周りを例に説明すると、図2に示すように、真空予備室20と大気側との間には、図5も参照して、ウエハ4を載置した搬送装置40のアーム42が矢印Lで示すように出入りできる出入り口26が設けられており、当該出入り口26は矢印Kで示すように開閉する真空弁(例えばフラップ弁)28によって開閉される。
【0022】
真空予備室20と注入室10とは、昇降軸23によって矢印Jで示すように昇降させられる弁体22によって仕切られる。即ちこの弁体22が真空弁の働きをする。32は真空シール軸受、34〜37はOリング等のパッキンである。弁体22の上部にウエハ4を載置することができる。この弁体22は、真空予備室20内においてウエハ4を静止した状態で支持する支持部を兼ねている。
【0023】
弁体22を図2中に実線で示す位置に上昇させることによって、弁体22によって真空予備室20と注入室10との間を仕切ることができる。その状態で、真空予備室20内を真空排気したり、大気圧状態に戻したりする(即ちベントする)ことができる。大気圧状態で、真空弁28を開いて、搬送装置40のアーム42によって、ウエハ4を、弁体22と大気側との間で搬送(出し入れ)することができる。弁体22を図2中に破線で示す位置に下降させることによって、搬送装置60のアーム62(図1参照)によってウエハ4を弁体22とホルダ12との間で搬送することができる。
【0024】
このイオン注入装置は、更に、ウエハ4の表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器80を、真空予備室20および30に対してそれぞれ設けている。両表面電位測定器80は、互いに同じ構造をしているので、真空予備室20側のものを例に説明すると、表面電位測定器80は、この実施形態では、真空予備室20内に設けられた複数のプローブ82と、各プローブ82に対応するものであって真空予備室20外に設けられた複数の測定回路84とを有している。
【0025】
より具体的には、5個のプローブ82が、真空予備室20の天井24の内側に設けられている。しかも、プローブ82は、真空予備室20内においてウエハ4を静止した状態で支持する支持部を兼ねる弁体22上に支持されているウエハ4の表面(注入面)に接近するように、かつ当該ウエハ4の面内において分散させて配置されている。各プローブ82は、平面的に見てウエハ4の面内にできるだけ均等に分散配置するのが好ましい。この例では、プローブ82は、ウエハ表面の中央1箇所とその周辺4箇所の合計5箇所に、十字状に配置されている。各プローブ82は、絶縁物86によって天井24とは電気的に絶縁されている。各プローブ82は、ウエハ表面との間に静電容量を生じさせる検出電極を有しており、ウエハ4の表面の電位を非接触でそれぞれ検出することができる。
【0026】
各プローブ82からの検出信号は、真空予備室20外に設けられている測定回路84にそれぞれ与えられてそこで処理されて、各測定回路84から、各プローブ82で検出したウエハ表面の電位をそれぞれ出力することができる。これによって、ウエハ4の表面の電位を複数箇所において非接触で測定することができる。
【0027】
上記表面電位測定器80は、プローブ82および測定回路84を一つずつ有している複数の(この例では五つの)表面電位計で構成しても良い。また、上記複数の測定回路84を一つの測定回路内にまとめても良い。但しその場合でも、各プローブ82で検出したウエハ表面の電位をそれぞれ出力することができるようにしておく。
【0028】
このイオン注入装置の全体の動作例を説明する。一つの(例えば図1中の左端の)カセット6内に収納されている未注入のウエハ4を搬送装置40で取り出して矢印Cで示すように位置合せ装置70に搬送してそこでノッチ等の位置合せを行った後、搬送装置40で当該ウエハ4を矢印Dで示すように真空予備室20内に搬入して上昇位置にある弁体22上に載置する。その後、弁体22を下降位置に下降させて、弁体22上のウエハ4を、搬送装置60のアーム62によって矢印Eで示すように注入室10内のホルダ12へ搬送して,そこで当該ウエハ4にイオンビーム2を照射してイオン注入を行う。
【0029】
イオン注入後のウエハ4は、搬送装置60のアーム64によって矢印Fで示すように真空予備室30の下降位置にある弁体22へ搬送してその上に載置する。その後、弁体22を上昇位置に上昇させて、弁体22上のウエハ4を搬送装置50によって矢印Gで示すように真空予備室30から搬出して位置合せ装置70に搬送し、更に搬送装置40によって矢印Hで示すように元のカセット6内へ搬送する。
【0030】
上記の間に、真空予備室30内において弁体22上に静止した状態で支持されているイオン注入後のウエハ4の表面の電位を、表面電位測定器80の上記のように分散配置された複数のプローブ82を用いてそれぞれ測定することができる。従って、イオン注入後のウエハ4の表面の様々な箇所において(上記例では5箇所において)チャージアップ状態を一度に一括して測定することができる。即ち、ウエハ表面におけるチャージアップ電位の分布を測定することができる。これによって例えば、どのようなウエハ4にどのような注入条件でイオン注入を行ったときに、ウエハ表面内のどの箇所がどの程度の電位にチャージアップするかというデータを得ることもできる。
【0031】
また、ウエハ4は、このイオン注入装置に運ばれて来るまでに、例えば前処理工程や搬送途中において、表面がチャージアップしている場合もあり得る。そのようなイオン注入前のウエハ4のチャージアップをも、ウエハ4が真空予備室20または30内に搬入されたときに上記表面電位測定器80によって測定することもできる。イオン注入前のウエハ4のチャージアップ状態をも測定することによって、イオン注入後のチャージアップ状態と比較することが可能になり、それによって、チャージアップ不具合発生原因の究明が容易になる。
【0032】
表面電位測定器80によって測定したウエハ表面のチャージアップ状態のデータを、例えば、ウエハ4の搬送等を制御する制御装置(図示省略)に与えて、そこでチャージアップ状態の正常、異常を判断させて、異常と判断した場合は、警報を出す、またはその後の注入処理を停止する等の制御を行うようにしても良い。それによって、チャージアップによる不良発生を最小限に抑えることができる。
【0033】
上記矢印C〜Hと同様の流れによって、図1中の左から2番目のカセット6内のウエハ4に対するイオン注入およびチャージアップ測定を行うこともできる。
【0034】
また、図1中の右側二つのカセット6内のウエハ4を、装置の中心8に対して上記矢印C〜Hとは左右対称に(注入室10内に着目すれば、矢印E、Fと逆方向に)搬送して、即ちウエハ4を真空予備室30に搬入し、注入室10を経由して真空予備室20から搬出することによって、当該ウエハ4に対するイオン注入およびチャージアップ測定を行うこともできる。
【0035】
なお、この実施形態のように、二つの真空予備室20、30を有している場合は、しかもウエハ4を上記のように逆方向にも搬送する場合は、両方の真空予備室20、30について上記表面電位測定器80をそれぞれ設けるのが好ましいけれども、必要な一方の真空予備室20または30のみに上記表面電位測定器80を設けても良い。後述する他の実施形態においても同様である。
【0036】
また、この実施形態のように二つの真空予備室20、30および二つの搬送装置40、50等を備えていて、ウエハ4を上記のように逆方向にも搬送可能にしておけば、装置のスループットが向上するので好ましいけれども、必ずしもそのようにしなくても良い。一つの注入室10および一つの真空予備室20または30を備えていても良い。その場合は、表面電位測定器80はその真空予備室20または30について設ければ良い。位置合せ装置70も必須のものではない。後述する他の実施形態においても同様である。
【0037】
プローブ82の数や配置は、上記例のものに限られない。例えば図3に示す例のように、上記十字状配置のプローブ82の間に更に4個のプローブ82を追加して合計9個配置しても良い。複数のプローブ82は、平面的に見てウエハ4の面内にできるだけ均等に配置するのが好ましい。また、プローブ82の数を多くして密に配置するほど、より精密なチャージアップ測定を行うことができる。例えば、12インチのウエハ4を例に取ると、プローブ82は、上記例のように5個、またはそれ以上配置するのが好ましい。
【0038】
表面電位測定器80を構成する複数のプローブ82を、真空予備室20、30内に、上記のように配置する代わりに、搬送装置によって搬送される際のウエハ4の表面に接近するように、かつ当該ウエハ4の搬送方向と交差するように並べて配置しても良い。例えば図4〜図6に示す実施形態のように配置しても良い。以下においては、図1〜図3に示した実施形態と同一または相当する部分には同一符号を付し、当該実施形態との相違点を主体に説明する。
【0039】
この実施形態の場合も、真空予備室20側と真空予備室30側とは互いに同じ構造であるので真空予備室20側を例に説明すると、真空予備室20内に複数のプローブ82を、搬送装置40によって弁体22上と大気側との間で矢印Lで示すように実質的に水平方向に搬送される際のウエハ4の表面に、換言すれば矢印Lのように搬送される途中のウエハ4の表面に接近するように、かつ当該ウエハ4の搬送方向と交差するように並べて配置している(図6も参照)。
【0040】
より具体的には、複数のプローブ82を、弁体22上のウエハ4と出入り口26との間に、ウエハ4の搬送方向と実質的に直交するように直線状に並べて配置している。弁体22上のウエハ4の端部よりも内側にプローブ82を配置すると、ウエハ4を矢印Lのように搬送しても、ウエハ4の表面にはプローブ82の下を通過しない領域が生じるけれども、上記配置によってそれを防止することができる。
【0041】
各プローブ82に接続されている測定回路84については、上記実施形態の場合と同様であるので、ここでは重複説明を省略する。
【0042】
この実施形態の場合も、複数のプローブ82は、ウエハ4に対してできるだけ均等に配置するのが好ましい。また、プローブ82の数を多くして密に配置するほど、より精密なチャージアップ測定を行うことができる。例えば、12インチのウエハ4を例に取ると、プローブ82は、例えば5個またはそれ以上配置するのが好ましい。
【0043】
この実施形態の場合は、ウエハ4は、搬送装置40、50によって大気側と真空予備室20、30内との間で搬送される際に、上記のように並べて配置された複数のプローブ82の下を通過する。その通過中に、ウエハ4の表面の電位を各プローブ82を用いてそれぞれ測定することができる。従って、イオン注入後または注入前のウエハ4の表面の様々な箇所においてチャージアップ状態を測定することができる。即ち、ウエハ表面におけるチャージアップ電位の分布の測定をすることができる。しかも、複数のプローブ82とウエハ4の搬送とを併用して測定することができるので、プローブ数よりも多い箇所においてチャージアップ状態を測定することも可能である。
【0044】
これを図6を参照して説明すると、ウエハ4が矢印Lで示すように搬送されると、複数のプローブ82の下を通過するウエハ表面の領域4aは、図6中にハッチングを付して示したように複数の筋状になる。表面電位測定器80における検出データのサンプリングおよび処理の速度が、ウエハ4の搬送速度に比べて十分に速ければ、この筋状の領域4aの実質的に全域においてリアルタイムでチャージアップ状態を測定することができる。
【0045】
表面電位測定器80における検出データのサンプリングおよび処理に、無視することができない所定の時間を要する場合は、その処理時間に相当する間隔ごとに離れた箇所4bにおいてチャージアップ状態を測定することができる。この場合、搬送装置40、50によるウエハ4の搬送速度を調整することによって、この測定箇所4bの数を変更(増減)することができる。例えば、ウエハ4の搬送速度を遅くすれば測定箇所4bの数を多くすることができる。
【0046】
なお、上記各実施形態のように二つの真空予備室20、30を有している場合、両真空予備室20、30内に設けるプローブ82の配置は、ウエハ4を上記のように逆方向にも搬送する場合にどちら向きの搬送においても同じようにチャージアップ状態を測定する観点からは、互いに同じ配置の方が好ましいけれども、必要に応じて、一方の真空予備室内に複数のプローブ82を図1に示すように配置し、他方の真空予備室内に複数のプローブ82を図4に示すように配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明に係るイオン注入装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1中の線A−Aに沿って真空予備室周りを拡大して示す断面図である。
【図3】図1、図2に示す実施形態における表面電位測定器のプローブの配置の他の例を示す平面図である。
【図4】この発明に係るイオン注入装置の他の実施形態を示す平面図である。
【図5】図4中の線B−Bに沿って真空予備室周りを拡大して示す断面図である。
【図6】図4、図5に示す実施形態において、ウエハが表面電位測定器のプローブの下を通過する領域の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
2 イオンビーム
4 ウエハ
10 注入室
20 真空予備室
22 弁体(支持部)
30 真空予備室
40 搬送装置
50 搬送装置
60 搬送装置
80 表面電位測定器
82 プローブ
84 測定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空に排気される部屋であってウエハにイオン注入を行う注入室と、この注入室と大気側との間でウエハを出し入れするための真空予備室と、ウエハを大気側と注入室との間で真空予備室を経由して搬送する搬送装置と、真空予備室内においてウエハを静止した状態で支持する支持部とを備えるイオン注入装置において、
ウエハの表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器であって、前記真空予備室内に設けられていて、真空予備室内において前記支持部に支持されているウエハの表面に接近するように、かつ当該ウエハの面内において分散させて配置されていて、ウエハの表面の電位を非接触でそれぞれ検出する複数のプローブを有している表面電位測定器を備えていることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項2】
真空に排気される部屋であってウエハにイオン注入を行う注入室と、この注入室と大気側との間でウエハを出し入れするための真空予備室と、ウエハを大気側と注入室との間で真空予備室を経由して搬送する搬送装置と、真空予備室内においてウエハを静止した状態で支持する支持部とを備えるイオン注入装置において、
ウエハの表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器であって、前記真空予備室内に設けられていて、前記搬送装置によって前記支持部と大気側との間で搬送される際のウエハの表面に接近するように、かつ当該ウエハの搬送方向と交差するように並べて配置されていて、ウエハの表面の電位を非接触でそれぞれ検出する複数のプローブを有している表面電位測定器を備えていることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項3】
真空に排気される部屋であってウエハにイオン注入を行う注入室と、この注入室と大気側との間でウエハを出し入れするための真空予備室と、ウエハを大気側と注入室との間で真空予備室を経由して搬送する搬送装置とを備えるイオン注入装置において、
ウエハの表面の電位を非接触で測定する表面電位測定器であって、前記真空予備室内に設けられていて、前記搬送装置によって搬送される際のウエハの表面に接近するように、かつ当該ウエハの搬送方向と交差するように並べて配置されていて、ウエハの表面の電位を非接触でそれぞれ検出する複数のプローブを有している表面電位測定器を備えていることを特徴とするイオン注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−146909(P2008−146909A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330420(P2006−330420)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(302054866)日新イオン機器株式会社 (161)
【Fターム(参考)】