説明

イマチニブおよびその中間体の調製方法

本発明の目的は、4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンおよびその類似体、イマチニブ、すなわち4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミドの合成に有用な中間体の調製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、4−メチル−N−3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンおよびその類似体、イマチニブ、すなわち4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミドの合成に有用な中間体の調製方法である。
【背景技術】
【0002】
メシル酸イマチニブ、式9の分子は、慢性骨髄性白血病の治療に用いられる重要な薬物である。
【化1】

【0003】
その調製は、EP564409においてNovartisによって最初に記載されており、それを以下のスキーム1に要約する。この文献は、様々な調製操作の収率を報告していない。
【化2】

【0004】
しかし、WO2006/071130は、この合成方法により、イマチニブの総収率が15%を超えないことを報告している。さらに、多くのステップは長く困難な後処理を有し、そのため、工業用途には適していない。さらに、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールは高価な試薬であり、このことがこの合成方法をあまり経済的に有利でないものとしている。上掲の問題は、式8の中間体4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンの合成に特に当てはまる。
【化3】

【0005】
したがって、従来技術を考慮して解決すべき技術的問題は、高収率で進行し、工業的規模での製造が容易に可能であり、経済的に有利な、4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンおよびその類似体の調製方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
(発明の簡単な説明)
本発明は、β−オキソ−3−ピリジンプロパナール、その塩、もしくはそのエノールエーテルから出発するか、またはβ−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸もしくはそのエステルから出発する、4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンおよびその類似体の調製に関する。
【0007】
(発明の詳細な説明)
意外にも、式1の化合物の調製方法であって、
【化4】

[式中、Rは、アミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
は、アミン基の保護基を表す]
a)式17のβ−オキソ−3−ピリジンプロパナール、その塩、またはそのエノールエーテル
【化5】

[式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す]
を式3のアリールグアニジン
【化6】

[式中、Rは上記の意味を有する]
と反応させて、式19の化合物
【化7】

[式中、Rは上述の意味を有する]
を得るステップと、
b)式19の中間体を塩基の存在下で環化するステップ
とを含む方法が見出された。
【0008】
は、好ましくはアミノ、ニトロ、NH(CO)R、NHR、より好ましくはアミノまたはニトロを表し;
は、好ましくは水素、イソプロピルまたはn−ブチルを表し;
は、好ましくは4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し;
は、好ましくはカルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、より好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表す。
【0009】
がNH(CO)R基であり、ここでRが、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルを表し、ここで、アルコキシがC〜Cアルコキシを意味する場合、上記の合成によって、式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミン化合物より向上したイマチニブの合成の中間体が得られ、このような中間体は、文献で知られている様式に従ってイマチニブに変換することができる(WO2004/108699、EP52853、WO2005/005414、またはArch.Pharmacal Res.、27(11)、1093−1098(2004)参照)。
【0010】
がNH(CO)R基であり、ここで、Rが、4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す場合、上記の合成によってイマチニブが直接得られる。
【0011】
環化b)の反応には、好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムC〜Cアルコラート、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムC〜Cアルコラート、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムC〜Cアルコラート、水酸化セシウム、炭酸セシウム、アンモニアおよび4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択され、より好ましくは水酸化カリウムである塩基を使用することが必要である。塩基はステップa)には存在しなくてよく、またはステップa)においてさえ存在してもよい。
【0012】
上記の方法は、式19の中間体を単離する任意選択のステップを含み、但し、ステップa)はステップb)で用いられる塩基の存在下では実施されず、この場合、中間体19は高収率および高純度で得られる。この合成は、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒、より好ましくはイソプロパノール中で実施される。ステップa)は、好ましくは0℃から50℃の間の範囲の温度で、2時間から6時間の間実施され、ステップb)は、好ましくは80℃から140℃の間の範囲の温度で、6時間から24時間の間実施される。
【0013】
本発明の特に好ましい実施形態は、式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンの調製方法であって、
【化8】

a)式20のβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールのナトリウム塩(またはその互変異性体)
【化9】

を式21の(2−メチル−5−アミノフェニル)グアニジン
【化10】

と反応させて、式22の化合物
【化11】

を得るステップと、
b)式22の中間体を塩基の存在下で環化するステップ
とを含む方法である。
【0014】
実際に、(2−メチル−5−アミノフェニル)グアニジンはβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールと、(2−メチル−5−ニトロフェニル)グアニジンよりも速く反応する。
【0015】
式20のβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールのナトリウム塩と式21の(2−メチル−5−アミノフェニル)グアニジンとの混合物に室温で酸を加えた後、濾別することができる式22の生成物が沈殿する。
【0016】
未処理の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンは、トルエンから収率80%および純度99%超(HPLC)で適切に結晶化する。このような品質の生成物をEP564409に記載のイマチニブの合成に用いる。
【0017】
式17のβ−オキソ−3−ピリジンプロパナール、またはそのエノールエーテルは、酸をβ−オキソ−3−ピリジンプロパナール18の塩
【化12】

に加えることによって適切に生成し、
式中、Zは、アルカリまたはアルカリ土類金属、好ましくはナトリウムまたはカリウムを表す。式17の化合物のRが水素でない場合、その調製に用いられる溶媒は式ROHのアルコールである。酸は好ましくは塩酸または酢酸である。
【0018】
式20のβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールのナトリウム塩および式18のその類似体は、DE2125310の教示に従って調製することができ、単離することができるか、または「in situ」で用いることができる。
【0019】
式21の(2−メチル−5−アミノフェニル)グアニジンおよび式3のその類似体は、WO2004/110452の教示に従って調製することができる。
【0020】
本発明のさらなる目的は、式19の化合物
【化13】

によって表され、
式中、Rは上記の意味を有する。特に好ましいのは式22の化合物である。
【0021】
本発明のさらなる態様は、β−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸またはそのエステルから出発する4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンおよびその類似体の調製の第2の方法である。
【0022】
意外にも、式1’の化合物の調製方法であって、
【化14】

[式中、Rは、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
Xは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシまたはORを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
は、アミン基の保護基を表し、
は、ヒドロキシル基の活性化基を表す]
式2のβ−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸またはそのエステル
【化15】

[式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す]
を式3のアリールグアニジン
【化16】

[式中、Rは上記の意味を有する]
と反応させることを含む方法が見出された。
【0023】
は、好ましくはニトロ、アミノ、NH(CO)R、NHR、より好ましくはニトロまたはアミノを表し;
Xは、好ましくは水素、塩素、臭素またはヒドロキシを表し;
は、好ましくはメチル、エチルまたはイソプロピルを表し;
は、好ましくは4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し;
は、好ましくはカルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、より好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表し;
は、好ましくはカルボン酸エステルまたはスルホン酸エステル、より好ましくは−CO−アルキル(C〜C)または−SO基を表し、ここで、Rは、メチル、トリフルオロメチル、フェニル、4−メチルフェニル、4−ニトロフェニル、4−ブロモフェニルから選択される。
【0024】
本発明のさらなる態様は、式1’の化合物
【化17】

に関し、
式中、Rは上述の意味を有し、
Xは、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシまたはORを表す。
【0025】
Xは、好ましくは塩素、臭素またはヒドロキシを表す。
【0026】
Xが、ヒドロキシル基を表す場合、式1’の化合物(エノール形態で上記した)は互変異性体のケトン形態であることができる。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態は、式4の6−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの調製方法であって、
【化18】

エチルβ−オキソ−3−ピリジンプロピオナート5
【化19】

を式6の(2−メチル−5−ニトロフェニル)グアニジン
【化20】

と反応させることを含む方法である。
【0028】
反応は、好ましくは、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、イソプロパノール、2−メトキシエチルエーテル、ジメチルスルホキシドからなる群から選択される溶媒、より好ましくはN−メチルピロリドン中、好ましくは100℃から160℃の間の範囲の温度で、好ましくは6時間から18時間の間の範囲の時間実施される。
【0029】
反応は、高温を使用することによって促進され、これは、縮合、ならびにアルコール、水、および反応中に形成する副生成物の留去を進行させる。
【0030】
式2のβ−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸またはそのエステルは好ましくは、式3のアリールグアニジンに対して1.2:1から2:1の間の範囲のモル比で用いられる。
【0031】
エチルβ−オキソ−3−ピリジンプロピオナート5および、類推で式2の化合物は、Arch.Pharm.、291、12−22(1958)およびJ.Am.Chem.Soc.、63、490−492(1941)の教示に従って調製することができる。
【0032】
本発明に従って操作することにより、式4の6−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンを70%超の収率および95%超の純度で得ることが可能である。このような生成物は、本明細書で以下に記載した6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの合成に用いる。
【0033】
上記の方法は、式1’の化合物(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表し、Rは上述の意味を有する)を調製するために任意選択のハロゲン化ステップを含み、式1’の化合物(Xは、ヒドロキシルまたはORを表し、Rは上述の意味を有する)をハロゲン化剤と反応させることを含む。
【0034】
本発明の特に好ましい実施形態は、式7の6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの調製方法であって、
【化21】

6−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンをハロゲン化剤と反応させることを含む方法である。
【0035】
ハロゲン化剤は、好ましくはオキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、オキシ臭化リン、三臭化リン、五臭化リンおよび三ヨウ化リンからなる群から選択され、より好ましくはオキシ塩化リンである。
【0036】
反応は、好ましくは1〜3当量の量で加えられた、好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムからなる群から選択される塩基、より好ましくは炭酸カリウムを使用することによって促進される。
【0037】
反応は、好ましくはトルエンおよびキシレンから選択される溶媒中または溶媒の不存在下で、より好ましくは溶媒の不存在下で実施される。反応は、20℃から100℃の間の範囲の温度で、3時間から18時間の間実施されるのが好ましい。
【0038】
反応は、式1’の化合物に対して過剰量の、好ましくは8:1から20:1の間のモル比のハロゲン化剤を使用することによって促進され、このような過剰量の試薬は反応の進行を促進し、これは続いて減圧蒸留によって回収することができる。
【0039】
式1’の化合物(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表す)は、結晶化によって、または好ましくは水、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルおよびイソプロパノールからなる群から選択され、より好ましくは水およびトルエンから選択される1種または複数の溶媒から粉砕することによって精製することができる。
【0040】
本発明に従って操作することにより、未処理の6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミン塩酸塩を定量的収率および75%超の純度で得ることが可能である。このような品質の生成物は、本明細書で以下に記載したN−(2−メチル−5−アミノフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの合成に用いる。
【0041】
上記の方法は、式1’の化合物(式中、Xは水素を表し、Rは上述の意味を有する)を調製するために任意選択の還元ステップを含み、式1’の化合物(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素、または−OSOを表し、Rは上述の意味を有する)を還元剤と反応させることを含む。
【0042】
がニトロ基を表す場合、還元は、ピリミジン環からのハロゲンの除去、およびベンゼン環のニトロ基のアミノ基への還元を同時に実施することを可能にする。本発明の特に好ましい実施形態は、式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンの調製方法であって、
【化22】

式7の6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンを還元剤と反応させることを含む方法である。
【0043】
還元剤は、好ましくは水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム、二塩化スズ、スズ、塩化ニッケル、ニッケル、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、次亜硫酸ナトリウムからなる群から選択され、より好ましくは水素である。水素、シクロヘキサジエンおよびギ酸アンモニウムを用いる場合、反応は、好ましくはパラジウムまたはニッケル系、より好ましくはパラジウム炭素、パラジウム/硫酸バリウムおよびパラジウム/炭酸カルシウムからなる群から選択される触媒の存在下で実施される。触媒は、還元する化合物に対してモルで0.02から0.1の間の量で用いられることが好ましい。反応は、好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムからなる群から選択される塩基、より好ましくはトリエチルアミンの存在下で実施されるのが好ましい。
【0044】
還元は、好ましくはエタノール、メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドからなる群から選択される溶媒、より好ましくはエタノール中で実施され、20℃から80℃の間の範囲の温度で、2時間から18時間の間実施されるのが好ましい。
【0045】
試薬として用いられる式1’の化合物(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素である)は、遊離塩基として、または塩として使用することができる。上記の塩基の添加は、反応の間に形成する酸を中和することを可能にし、これが塩形態である場合には、式1’の試薬を可溶化する。
【0046】
還元によって得られた式1’の化合物(式中、Xは水素を表す)は、好ましくはトルエンまたはメタノールから、結晶化により適切に精製される。本発明に従って操作することにより、式8の未処理の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンを高収率および高純度で得ることが可能である。未処理の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンは、トルエンまたはメタノールから再結晶化することにより、収率80%および純度99%超(HPLC)で適切に精製される。このような品質の生成物をEP564409に記載のイマチニブの合成に用いる。
【0047】
別法として、ハロゲン化ステップの前に還元ステップを実施することができる。この場合、上記の方法は、式1’の化合物(式中、Rはアミノ基を表し、XはヒドロキシまたはORを表し、Rは上述の意味を有する)を調製するために、任意選択の還元ステップを含み、式1’の化合物(式中、Rはニトロ基を表す)を還元剤と反応させることを含む。しかし、式8の化合物4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンを調製するためには、ハロゲン化ステップの後にさらなる還元ステップが続いて、X基を除去する必要がある。
【0048】
がNHR基(Rはアミン基の保護基を表す)を表すか、またはXがOR基(Rはヒドロキシル基の活性化基を表す)を表す場合、式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミン化合物を得るために、保護基または活性化基のさらなる導入ステップおよび除去ステップを実施する必要がある。特に、式1’の化合物(式中、Xは−OSO基を表し、Rは上述の意味を有する)の合成方法は、式1’の化合物(式中、Xはヒドロキシを表す)をスルホニル化剤、好ましくはRSOY(Yは、塩素、臭素、ヨウ素、−OSOを表す)と反応させることを含む。
【0049】
がNH(CO)R基であり、ここで、Rが、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルを表し、ここで、アルコキシがC〜Cアルコキシを意味する場合、上記の合成によって、式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミン化合物より向上したイマチニブの合成の中間体が得られる。
【0050】
がNH(CO)R基であり、ここで、Rが、4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す場合、上記の合成によってイマチニブが直接得られる。
【0051】
本発明のさらなる態様は、β−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸またはそのエステルから出発する4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンおよびその類似体の調製の第3の方法である。
【0052】
意外にも、式1の化合物の調製方法であって、
【化23】

[式中、Rは、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
はアミン基の保護基を表す]
a)式2のβ−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸またはそのエステル
【化24】

[式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す]
を式HC(OR(式中、Rは、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す)のオルトホルマートと反応させて、式10のエノールエーテル
【化25】

[式中、RおよびRは上記の意味を有する]
を得るステップと、
b)式10のエノールエーテルを式3のアリールグアニジン
【化26】

[式中、Rは上記の意味を有する]
と反応させて、式11の化合物
【化27】

[式中、RおよびRは上記の意味を有する]
を得るステップと、
c)COOR基を除去するステップ
とを含む方法が見出された。
【0053】
は、好ましくはニトロ、アミノ、NH(CO)R、NHR、より好ましくはニトロまたはアミノを表し;
は、好ましくはメチル、エチルまたはイソプロピルを表し;
は、好ましくは4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し;
は、好ましくはカルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、より好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表し;
は、好ましくはメチル、エチルまたはフェニルを表す。
【0054】
本発明のさらなる態様は、式10の化合物に関し、
【化28】

式中、RおよびRは、上述の意味を有する。本発明のさらなる態様は、式11の化合物に関し、
【化29】

式中、Rは上記の意味を有し、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニル、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属を表す。
【0055】
は、好ましくは水素、メチル、エチル、イソプロピル、ナトリウムまたはカリウムを表す。
【0056】
本発明の特に好ましい実施形態は、式13のN−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの調製方法であって、
【化30】

a)エチル β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート5
【化31】

を式HC(OEt)のオルトギ酸トリエチルと反応させて、式12のエチル α−(エトキシメチレン)−β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート
【化32】

を得るステップと、
b)式12の化合物を式6のアリールグアニジン
【化33】

と反応させて、式14のエチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラート
【化34】

を得るステップと、
c)COOEt基を除去するステップ
とを含む方法である。
【0057】
式2の化合物がβ−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸(R=H)である場合、式HC(ORのオルトホルマートと反応させることにより、式10の化合物(式中、RはRに等しい)が得られる。
【0058】
ステップa)は、好ましくは、しかし必ずしもではなく、無水物または酸の存在下で実施される。無水物は、好ましくは無水酢酸であり、酸は、好ましくはp−トルエンスルホン酸ピリジニウム、乾燥塩酸、乾燥臭化水素酸、スルホン酸(sulforic acid)、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸からなる群から選択され、より好ましくはp−トルエンスルホン酸ピリジニウムである。式2の化合物に対して、無水物は、1当量から3当量の間の範囲の量で用いられのが好ましく、一方、酸は、0.001当量から0.1当量の間の範囲の量で用いられるのが好ましい。
【0059】
オルトホルマートは、溶媒として、式2の化合物に対して1倍容から6倍容の間の過剰量で用いられるのが好ましく、この過剰量は反応の終わりに蒸留によって回収することができる。
【0060】
反応は、100℃から140℃の間の温度で、1時間から5時間の間、縮合中に生じるROHアルコールを蒸留することによって実施するのが好ましい。
【0061】
式12のエチル α−(エトキシメチレン)−β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート化合物は、定量的収率および80%超の純度で一般に得られる。このような品質の生成物をステップb)に用いる。
【0062】
ステップb)は、好ましくはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、酢酸イソプロピルからなる群から選択される高沸点有機溶媒中、さらにより好ましくはトルエン中で、好ましくは実施される。反応は、100℃から150℃の間の範囲の温度で、30分から5時間の間、反応の間に形成するアルコールおよび水を留去することによって実施されるのが好ましい。
【0063】
式10の化合物は、式3のアリールグアニジンに対してモル過剰量で用いられるのが好ましい。
【0064】
式11の化合物は、反応の終わりに、反応混合物を冷却し、結晶化した生成物を濾過することによって単離することができる。エチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−5−カルボキシラート14が、収率85%超および純度97%超(HPLC)で得られる。
【0065】
ステップc)は、
c1)式11の化合物を加水分解して式15の化合物を得るステップと、
【化35】

c2)COOH基を脱炭酸によって除去するステップ
とを含むことが好ましい。
【0066】
本発明の特に好ましい実施形態は、式13のN−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの調製方法であって、
c1)式14のエチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラートを加水分解して、式16の2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボン酸を得るステップと、
【化36】

c2)COOH基を脱炭酸によって除去するステップ
とを含む方法である。
【0067】
加水分解ステップc1)は、酸の存在下、および塩基の存在下の両方で実施され得る。
【0068】
酸は好ましくは、好ましくはスルホン酸(sulforic acid)、塩酸、臭化水素酸および過塩素酸からなる群から選択される無機酸であり、好ましくは塩酸である。
【0069】
塩基は好ましくは、好ましくは炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウムから選択される無機塩基であり、より好ましくは炭酸ナトリウムであり、式11のエステルに対して1:1から3:1の間のモル比で用いられるのが好ましい。
【0070】
ステップc1)は、水もしくはアルコール、またはその混合物中で実施するのが好ましい。アルコールは、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールからなる群から選択され、より好ましくはエタノールである。
【0071】
反応は、80℃から100℃の間の温度で、1時間から18時間の間、変換を完了するのに適した蒸留条件で実施されるのが好ましい。
【0072】
式15の化合物は、反応混合物を冷却することにより単離することができ、また、加水分解を実施するために塩基を使用する場合には、反応混合物を酸で酸性化することにより、結晶固体として生成物の沈殿を得、これは濾過によって再生することができる。別法として、とりわけ塩基性加水分解の場合には、式15の化合物を関連する塩として単離することが可能である。
【0073】
式16の2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボン酸は、収率95%超および純度95%超で得られる。
【0074】
脱炭酸ステップc2)は、ステップc1)と同様に、高温で、かつ酸の存在下で実施されるか、あるいは、好ましくは金属銅および酸化銅(II)からなる群から選択され、より好ましくは酸化銅(II)である銅系触媒の存在下で実施されるのが好ましい。触媒は、式15の試薬に対して0.01から0.1モルの間の量で用いられるのが好ましい。銅を用いることにより、反応がより良好に進行し、分解副反応を最小限にすることができる。
【0075】
脱炭酸は、キノリン、N−メチルピロリドンおよびスルホランからなる群から選択される溶媒中、さらにより好ましくはN−メチルピロリドン中で実施されるのが好ましい。反応は、160℃から200℃の間の温度で、0.5から4時間の間実施されるのが好ましい。
【0076】
ステップc1)およびc2)は、同じ反応条件下で、式11の化合物を酸、好ましくは塩酸で処理することにより実施し得る。
【0077】
式13のN−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンは、塩基性化および濾過の後、定量的収率および純度95%超で得られる。このような品質の生成物をEP564409に記載のイマチニブおよびその類似体の合成に用いる。
【0078】
式1の化合物(式中、Rはニトロ基を表す)から、上記の還元プロセスに従って、式1の化合物(式中、Rはアミノ基を表す)、詳細には式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンを得ることができる。
【0079】
最後に、本発明は、4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンおよびその類似体を製造する単純な方法を提供し、それは以下の利点を有する:
1)EP564409とは異なり、高価な出発物質であるN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールを使用しない;
2)記載されている手順は容易であり、生産プラントに容易に移すことができる;
3)過剰に使用した試薬の多くを回収および再利用することが可能であり、したがって生産コストに悪影響を与えることなく収量を増大させることが可能である;
4)β−オキソ−3−ピリジンプロパナール21の塩から出発する式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンの合成は、80%超の総収率を有し、エチル α−(エトキシメチレン)−β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート12から出発する式13のN−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの合成は、70%超の総収率を有し、エチル β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート5から出発する式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンの合成は、60%超の総収率を有し、したがってこれらのプロセスを、文献に記載のものの中で最も経済的に有利なものとする。
【0080】
本発明の方法のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として挙げられる好ましい例示的実施形態についての下記の記載から明らかとなろう。
【実施例】
【0081】
実施例1:4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミン 8
不活性雰囲気下において、16gのβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールのナトリウム塩(HPLC純度99%(A%)および25%の塩含量(焼成による残留物))、および11.7gの(2−メチル−5−アミノフェニル)グアニジンを115mLのn−ブタノール中に懸濁させる。9mLの酢酸を加え、混合物を室温で1時間撹拌する。6gの水酸化カリウムを少しずつ加え、混合物を18時間還流させ、ディーンスターク装置で水を除去する。変換が完了したら、懸濁液を冷却し、有機層を水で洗浄する。有機層を濃縮して小体積にし、トルエンを加える。沈殿物を濾過し、乾燥させて、15.5gの生成物をHPLC純度99.2%(A%)で得、LC−MSおよびH−NMRで同定する。
LC−MS:[M+1]=278。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ(ppm)2.02(s,3H);4.85(s,2H);6.31(d,1H);6.76(s,1H);6.84(d,1H);7.33(d,1H);7.50(m,1H);8.38(d,1H);8.43(d,1H);8.66(bs,1H);9.22(s,1H)。
【0082】
実施例2:1−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−3−[(3−オキソ−3−(3−ピリジニル)−1−プロプ−1−エニル]グアニジン 22
不活性雰囲気下において、10gのβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールのナトリウム塩(HPLC純度99%(A%)および25%の塩含量(焼成による残留物))を80mLのイソプロパノール中に懸濁させる。24mLの塩酸イソプロパノール15%溶液を加え、混合物を室温で1時間撹拌する。7gの(2−メチル−5−アミノフェニル)グアニジンを少しずつ加え、混合物を室温で12時間撹拌する。変換が完了したら、沈殿物を濾過し、乾燥させて、13.5gの生成物をHPLC純度98%(A%)および塩含量30%(焼成による残留物)で得、LC−MSで同定する。
LC−MS:[M+1]=296。
【0083】
実施例3:N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジンアミン 1(R=NO
不活性雰囲気下において、5gのβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールのナトリウム塩(HPLC純度99%(A%)および25%の塩含量(焼成による残留物))、および8mLの塩酸イソプロパノール溶液を50mLのトルエン中に懸濁させる。3.7gの(2−メチル−5−ニトロフェニル)グアニジンを加え、混合物を室温で1時間撹拌する。混合物を18時間還流させ、ディーン・スターク装置で水を除去する。変換が完了したら、懸濁液を10℃まで冷却し、沈殿物を濾過し、これを温水中で粉砕し、濾過および乾燥により、2.5gの生成物をHPLC純度96%(A%)で得、GC−MSで同定する。
MS m/e(相対強度):307(M+)(100);292(76);260(63);246(38)。
【0084】
実施例4:エチル α−(エトキシメチレン)−β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート 12
不活性雰囲気下において、20gのエチル β−オキソ−3−ピリジンプロピオナートを100mLのオルトギ酸トリエチル中に溶解させる。0.2gのp−トルエンスルホン酸ピリジニウムを加え、混合物を3時間還流させ、約13mLの副生成物を蒸留する。変換が完了したら、混合物を室温で冷却し、オルトギ酸トリエチルを減圧下で留去する。残留物を80mLのトルエンで再び処理し、混合物を脱色炭で処理する。溶液を減圧濃縮して残留物を得、26gの生成物を暗色油状物質として、HPLC滴定値80%(A%)で得る。生成物をGC−MSで同定する。
MS m/e(相対強度):249(M+)(8);204(28);192(22);174(30);159(100);115(38);106(100)。
【0085】
実施例5:エチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラート 14
不活性雰囲気下において、19gのエチル α−(エトキシメチレン)−β−オキソ−3−ピリジンプロピオナートおよび14.8gの(2−メチル−5−ニトロフェニル)グアニジン(それぞれの硝酸塩から、THF中の水性ソーダで処理することにより得た)を200mLのトルエン中に溶解させ、溶液を還流させて、約25mLの高揮発性成分(tops)を留去する。変換が完了したら、熱い溶液を脱色炭で処理し、0℃まで冷却し、沈殿物を濾過する。乾燥させて、25.5gの生成物をHPLC純度97%(A%)で得、GC−MSおよびH−NMRで同定する。
MS m/e(相対強度):379(M+)(100);364(37);350(60);332(23);304(18)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=1.20(t,J=7.1,3H);2.47(s,3H);4.25(q,J=7.1,2H);7.37(sa,1H);7.40(s,1H);7.46(m,1H);7.90(dd,J=8.4,J=2.4,2H);8.05(m,1H);8.71(dd,J=4.8,J=1.6,1H);9.01(s,1H);9.27(d,J=2.2,1H)。
融点=125〜130℃。
【0086】
実施例6:2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボン酸 16
150mLの水および150mLのエタノールで構成された混合物中に、23gのエチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラートおよび19gの炭酸ナトリウムを懸濁させる。それを3時間還流させ、エタノールを蒸留し、体積の損失量を水で補う。変換が完了したら、50℃まで冷却し、酢酸でpH6に調整する。懸濁液を濾過し、乾燥させて、20gの生成物をHPLC純度95%(A%)で得、H−NMRで同定する。
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ(ppm)=2.42(s,3H);3.3(sa,2H);7.49(m,1H);7.55(m,1H);7.98(m,2H);8.57(m,1H);8.65(dd,J=4.6,J=1.5,1H);8.73(d,J=1.7,1H);8.96(s,1H)。
融点=299.5〜302.0℃でガスの発生を伴う。
【0087】
実施例7:N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジンアミン 13
25mLのN−メチルピロリドンに、5.0gの2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボン酸および0.2gの酸化第二銅を加える。混合物を180℃まで2時間加熱し、次いで60℃まで冷却し、30%アンモニア水溶液1mLおよび50mLの水を加える。それを25℃まで冷却し、沈殿物を濾過し、乾燥させて、4.3gの生成物をHPLC純度97%(A%)で得、GC−MSで同定する。
MS m/e(相対強度):307(M+)(100);292(76);260(63);246(38)。
【0088】
実施例8:N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジニル)−2ピリミジンアミン 13
140gのエチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラートおよび109gの炭酸カリウムを1050mLの水および560mLのエタノールで構成された混合物中に懸濁する。混合物を1時間還流させ、次いで700mLの溶媒をゆっくりと蒸留する。変換が完了したら、混合物を80℃まで冷却し、それを95mLの酢酸でpH7に調整する。560mLのN−メチルピロリドンおよび0.9gのCuOを加える。存在する水を減圧蒸留し、混合物を175〜180℃まで2時間加熱する。変換が完了したら、混合物を80〜90℃まで冷却し、1000mLの水および5gのEDTAをゆっくりと加え、混合物を室温で撹拌し、生成物を濾過し、水で洗浄する。乾燥させて、108gの生成物をHPLC純度95%(A%)で得る。これを10倍容の95:5キシレン/N−メチルピロリドンから再結晶させて、生成物を純度98%(A%)、収率80%で得ることができる。
【0089】
実施例9:ナトリウム 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラート
1.0gのエチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラートおよび0.8gの炭酸ナトリウムを20mLのエタノールおよび4mLの水中に懸濁させる。エタノールを蒸留し、水で体積の損失量を補うことによって、混合物を4時間還流させる。混合物を室温で冷却し、沈殿物を濾過して、0.84gの生成物を得る。
融点=363℃で分解を伴う。
【0090】
実施例10:エチル α−(エトキシメチレン)−β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート 12
不活性雰囲気下において、100gのエチル β−オキソ−3−ピリジンプロピオナートを130gのオルトギ酸トリエチルおよび400mLのキシレン中に溶解させる。混合物を還流させ、約6時間撹拌し、高揮発性成分を蒸留する。変換が完了したら、混合物を室温まで冷却し、過剰量のオルトギ酸トリエチルを減圧留去する。残留物を50mLのキシレンで再び処理して、混合物を減圧濃縮して残留物を得、129gの生成物を油状物質としてHPLC滴定値85%(A%)で得る。
【0091】
実施例11:6−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミン 4
40gの(2−メチル−5−ニトロフェニル)グアニジンを160mLのN−メチルピロリドン中に溶解させる。混合物を150℃まで加熱し、エチル β−オキソ−3−ピリジンプロピオナートを合計50gまで5時間かけて少しずつ加え、約15gの副生成物を窒素流下で蒸留する。反応の終わりに、混合物を冷却し、エタノールで希釈する。沈殿物を濾過し、乾燥させて、46.4gの生成物をHPLC純度99%(A%)で得、LC−MSおよびH−NMRで同定する。
LC−MS:[M+1]=324。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ(ppm)=2.37(s,3H);6.59(s,1H);7.47(m,2H);7.85(dd,1H);8.36(dt,1H);8.40(s,1H);8.63(dd,1H);9.20(d,1H);9.30(s,1H)。
【0092】
実施例12:6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミン 7
不活性雰囲気下において、27gの6−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンを125mLのオキシ塩化リン中に懸濁させ、11.5gの炭酸カリウムを少しずつ加える。混合物を50℃まで6時間、撹拌しながら加熱する。反応の終わりに、懸濁液を濃縮して残留物を得、水で希釈し、冷却し、沈殿物を濾過する。乾燥させて、26.6gの生成物をHPLC純度80%(A%)で得、LC−MSおよびH−NMRで同定する。このような未処理の生成物はまた、副生成物を約15%(A%)の量で含有するが、次の還元反応の間、所望の生成物(4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミン)を依然として生成する。したがって、未処理の物質はそのまま実施例13で用いる。
LC−MS:[M+1]=342;[M+2+1]=344。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ(ppm)2.37(s,3H);7.49(d,1H);7.83(m,2H);7.92(dd,1H);8.6(s,1H);8.75(d,1H);8.84(s,1H);9.36(s,1H);9.80(s,1H)。
【0093】
実施例13:4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミン 8
オートクレーブに、5gの6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミン、0.5gのパラジウム木炭(5%;50%水湿潤品)、50mLのエタノール、および5mLのトリエチルアミンを装入する。混合物を5バールおよび室温で40時間水素化する。変換が完了したら、触媒を濾去し、濾液を真空濃縮する。残留物を再び、酢酸イソプロピルおよび炭酸水溶液に溶解させる。層を分離し、有機層を濃縮し、乾燥させて、3gの生成物をHPLC純度85%(A%)で得、LC−MSおよびH−NMRで同定する。
LC−MS:[M+1]=278。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ(ppm)2.02(s,3H);4.85(s,2H);6.31(d,1H);6.76(s,1H);6.84(d,1H);7.33(d,1H);7.50(m,1H);8.38(d,1H);8.43(d,1H);8.66(bs,1H);9.22(s,1H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物の調製方法であって、
【化1】

[式中、Rは、アミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
は、アミン基の保護基を表す]
a)式17のβ−オキソ−3−ピリジンプロパナール、その塩、またはそのエノールエーテル
【化2】

[式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す]
を式3のアリールグアニジン
【化3】

[式中、Rは上記の意味を有する]
と反応させて、式19の化合物
【化4】

[式中、Rは上述の意味を有する]
を得るステップと、
b)式19の中間体を塩基の存在下で環化するステップ
とを含む方法。
【請求項2】
が、アミノ、ニトロ、NH(CO)R、NHR、好ましくはアミノまたはニトロを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、水素、イソプロピルまたはn−ブチルを表す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
が、4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
が、カルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表す、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)で用いられる塩基が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウム C〜Cアルコラート、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウム C〜Cアルコラート、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウム C〜Cアルコラート、水酸化セシウム、炭酸セシウム、アンモニアおよび4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択され、好ましくは水酸化カリウムである、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基がステップa)においても存在する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基がステップa)においては存在せず、式19の中間体を単離するステップを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
合成が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒、好ましくはイソプロパノール中で実施される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンの調製方法であって、
【化5】

a)式20のβ−オキソ−3−ピリジンプロパナールのナトリウム塩(またはその互変異性体)
【化6】

を式21の(2−メチル−5−アミノフェニル)グアニジン
【化7】

と反応させて、式22の化合物
【化8】

を得るステップと、
b)式22の中間体を塩基の存在下で環化するステップ
とを含む方法。
【請求項11】
式19の化合物
【化9】

[式中、Rは、アミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
は、アミン基の保護基を表す]。
【請求項12】
が、アミノ、ニトロ、NH(CO)R、NHR、好ましくはアミノまたはニトロ、より好ましくはアミノを表す、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す、請求項11または12に記載の化合物。
【請求項14】
が、カルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表す、請求項11から13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
式1’の化合物の調製方法であって、
【化10】

[式中、Rは、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
Xは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシまたはORを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
は、アミン基の保護基を表し、
は、ヒドロキシル基の活性化基を表す]
式2のβ−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸またはそのエステル
【化11】

[式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す]
を式3のアリールグアニジン
【化12】

[式中、Rは上記の意味を有する]
と反応させることを含む方法。
【請求項16】
が、カルボン酸エステルまたはスルホン酸エステル、好ましくは−CO−アルキル(C〜C)、または−SO基を表し、Rは、メチル、トリフルオロメチル、フェニル、4−メチルフェニル、4−ニトロフェニル、4−ブロモフェニルから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
が、ニトロ、アミノ、NH(CO)R、NHR、好ましくはニトロまたはアミノを表す、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
Xが、水素、塩素、臭素またはヒドロキシを表す、請求項15から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
が、メチル、エチルまたはイソプロピルを表す、請求項15から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
が、4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す、請求項15から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
が、カルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表す、請求項15から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
式1’の化合物(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表し、Rは請求項15に記載の意味を有する)を調製するためにハロゲン化ステップをさらに含み、式1’の化合物(式中、Xは、ヒドロキシルまたはORを表し、Rは請求項15に記載の意味を有する)をハロゲン化剤と反応させることを含む、請求項15から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ハロゲン化剤が、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、オキシ臭化リン、三臭化リン、五臭化リンおよび三ヨウ化リンからなる群から選択され、好ましくはオキシ塩化リンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ハロゲン化ステップが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムからなる群から選択される塩基、好ましくは炭酸カリウムの存在下で実施される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
式1’の化合物(式中、Xは水素を表し、Rは請求項15に記載の意味を有する)を調製するために還元ステップをさらに含み、式1’の化合物(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素または−OSOを表し、Rは請求項2に記載の意味を有する)を還元剤と反応させることを含む、請求項15から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
がニトロ基である場合に、前記還元ステップが、ピリミジン環からのハロゲンの除去、およびベンゼン環のニトロ基のアミノ基への還元を同時に引き起こす、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記還元剤が、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸アンモニウム、二塩化スズ、スズ、塩化ニッケル、ニッケル、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、次亜硫酸ナトリウムからなる群から選択され、好ましくは水素である、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
水素、シクロヘキサジエンおよびギ酸アンモニウムを使用する場合に、反応が、好ましくはパラジウム系またはニッケル系、より好ましくはパラジウム炭素、パラジウム/硫酸バリウムおよびパラジウム/炭酸カルシウムからなる群から選択される触媒の存在下で実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記還元ステップが、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムからなる群から選択される塩基、好ましくはトリエチルアミンの存在下で実施される、請求項25から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
試薬として用いられる前記式1’の化合物(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表す)が、遊離塩基として、または塩形態で使用される、請求項25から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
式1’の化合物(式中、Rはアミノ基を表し、XはヒドロキシまたはORを表し、Rは請求項15に記載の意味を有する)を調製するために還元ステップをさらに含み、式1’の化合物(式中、Rはニトロ基を表す)を還元剤と反応させることを含む、請求項15から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
式1’の化合物(式中、Rはアミノ基を表し、XはヒドロキシまたはORを表し、Rは請求項15に記載の意味を有する)を請求項22から24のいずれか1項に記載のハロゲン化ステップと、続いて、さらなる還元ステップとにかけて、式1’の化合物(式中、Rはアミノ基であり、Xは水素である)を得る、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
がNHR基(Rはアミン基の保護基を表す)を表し、またはXがOR基(Rは、ヒドロキシル基の活性化基を表す)を表す場合に、式1’の化合物(式中、Rはアミノ基であり、Xはヒドロキシルである)を得るために、保護基または活性化基のさらなる導入および除去ステップを含む、請求項15から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
式4の6−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの調製方法であって、
【化13】

エチル β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート 5
【化14】

を式6の(2−メチル−5−ニトロフェニル)グアニジン
【化15】

と反応させることを含む方法。
【請求項35】
式7の6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの調製方法であって、
【化16】

式4の6−ヒドロキシ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンをハロゲン化剤と反応させることを含む方法。
【請求項36】
式8の4−メチル−N3−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−1,3−ベンゼンジアミンの調製方法であって、
【化17】

式7の6−クロロ−N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンを還元剤と反応させることを含む方法。
【請求項37】
式1’の化合物
【化18】

[式中、Rは、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
Xは、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシまたはORを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
はアミン基の保護基を表し、
はヒドロキシル基の活性化基を表す]。
【請求項38】
が、カルボン酸エステルまたはスルホン酸エステル、好ましくは−CO−アルキル(C〜C)、または−SO基を表し、ここで、Rは、メチル、トリフルオロメチル、フェニル、4−メチルフェニル、4−ニトロフェニル、4−ブロモフェニルから選択される、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
が、ニトロ、アミノ、NH(CO)R、NHR、好ましくはニトロまたはアミノを表す、請求項37または38に記載の化合物。
【請求項40】
Xが、水素、塩素、臭素またはヒドロキシを表す、請求項37から39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
が、メチル、エチルまたはイソプロピルを表す、請求項37から40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
が、4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す、請求項37から41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
が、カルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表す、請求項37から42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
式1の化合物の調製方法であって、
【化19】

[式中、Rは、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
はアミン基の保護基を表す]
a)式2のβ−オキソ−3−ピリジンプロピオン酸またはそのエステル
【化20】

[式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す]
を式HC(OR(式中、Rは、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す)のオルトホルマートと反応させて、式10のエノールエーテル
【化21】

[式中、RおよびRは上記の意味を有する]
を得るステップと、
b)式10のエノールエーテルを式3のアリールグアニジン
【化22】

[式中、Rは上記の意味を有する]
と反応させて、式11の化合物
【化23】

[式中、RおよびRは上記の意味を有する]
を得るステップと、
c)COOR基を除去するステップ
とを含む方法。
【請求項45】
が、ニトロ、アミノ、NH(CO)R、NHR、好ましくはニトロまたはアミノを表す、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
が、メチル、エチルまたはイソプロピルを表す、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
が、4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す、請求項44から46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
が、カルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表す、請求項44から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
が、メチル、エチルまたはフェニルを表す、請求項44から48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記ステップa)が、無水物または酸の存在下で実施される、請求項44から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記ステップc)が、
c1)式11の化合物
【化24】

を加水分解して、式15の化合物
【化25】

を得るステップと、
c2)COOH基を脱炭酸によって除去するステップ
とを含む、請求項44から50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記加水分解ステップc1)が、酸の存在下、および塩基の存在下の両方で実施され得る、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記酸が、スルホン酸(sulforic acid)、塩酸、臭化水素酸および過塩素酸からなる群から選択される無機酸であり、好ましくは塩酸であり、前記塩基が、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウムから選択される無機塩基、好ましくは炭酸ナトリウムである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記脱炭酸ステップc2)が、酸または銅系触媒の存在下で実施される、請求項51から53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記銅系触媒が、金属銅および酸化銅(II)からなる群から選択され、好ましくは酸化銅(II)である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
c1)ステップおよびc2)ステップが、式11の化合物を酸、好ましくは塩酸で処理することによる同じ反応条件で実施される、請求項51から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
式13のN−(2−メチル−5−ニトロフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミンの調製方法であって、
【化26】

a)エチル β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート 5
【化27】

を式HC(OEt)のオルトギ酸トリエチルと反応させて、式12のエチル α−(エトキシメチレン)−β−オキソ−3−ピリジンプロピオナート
【化28】

を得るステップと、
b)式12の化合物を式6のアリールグアニジン
【化29】

と反応させて、式14のエチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラート
【化30】

を得るステップと、
c)COOEt基を除去するステップ
とを含む方法。
【請求項58】
ステップc)が、
c1)式14のエチル 2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボキシラートを加水分解して、式16の2−[(2−メチル−5−ニトロフェニル)アミノ]−4−(3−ピリジニル)ピリミジン−5−カルボン酸
【化31】

を得るステップと、
c2)COOH基を脱炭酸によって除去するステップ
とを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
式10の化合物
【化32】

[式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表し、
は、C〜Cアルキル、ベンジルまたはフェニルを表す]。
【請求項60】
が、メチル、エチルまたはイソプロピルを表す、請求項59に記載の化合物。
【請求項61】
が、メチル、エチルまたはフェニルを表す、請求項59または60に記載の化合物。
【請求項62】
式11の化合物
【化33】

[式中、Rは、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、NH(CO)R、NHRを表し、
は、4−(ハロ−メチル)フェニル、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−((4−メチルピペラジニル)カルボニル)フェニル、4−(アルコキシカルボニル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表し、ここで、アルコキシはC〜Cアルコキシを意味し、
は、アミン基の保護基を表し、
は、水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニル、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属を表す]。
【請求項63】
が、ニトロ、アミノ、NH(CO)R、NHR、好ましくはニトロまたはアミノを表す、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
が、水素、メチル、エチル、イソプロピル、ナトリウムまたはカリウムを表す、請求項62または63に記載の化合物。
【請求項65】
が、4−(クロロメチル)フェニルまたは4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルを表す、請求項62から64のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項66】
が、カルボキサミド、スルホンアミドまたはカルバマートを表し、好ましくはCOCH、(CO)OBn、(CO)O−t−Bu、(SO)Ph、(SO)(4−Me−Ph)基を表す、請求項62から65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項67】
請求項1から10、15から36、または44から58のいずれか1項に記載のステップを含む、イマチニブまたはメシル酸イマチニブの合成方法。

【公表番号】特表2010−510203(P2010−510203A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536868(P2009−536868)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000804
【国際公開番号】WO2008/059551
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506399631)
【Fターム(参考)】