説明

イミン中間体の製法

本発明は、式(II)で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンをモノメチルアミンと反応させることによる、式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンの製法に関し、該製法は、前記反応を、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で行うことを特徴とする。式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンは、貴重な製薬上の中間体である。
式(I)
【化1】


式(II)
【化2】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用な製薬上の中間体であるケチミン化合物の新規及び改良された製法に関する。さらに詳述すれば、本発明は、式(I)
【化1】

で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンの新規及び改良された製法に関する。
【0002】
式(I)で表される化合物は、非常に有効な抗うつ薬であるシス-(1S)(4S)-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン・塩酸塩(INN:セルトラリン)の調製のために、製薬工業において使用される貴重な中間体である。
【背景技術】
【0003】
式(I)で表される化合物の調製は、最初に、米国特許第4,536,518号に開示された。この米国特許によれば、式(II)
【化2】

で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンを、四塩化チタンの存在下、メチルアミンと結合させる。メチルアミンを6倍のモル過剰量で使用し、生成されたクロルヒドロキシメチルアミン及び二酸化チタンを、濾過によって、反応混合物から除去する。この方法の欠点は、四塩化チタンが、取り扱い困難な高度に腐食性の生成物であることである。
【0004】
米国特許第4,855,500号によれば、反応は、加圧下、モレキュラーシーブの存在下において、非プロトン性溶媒中で行われる。報告された収率は87%である。しかし、この方法は、モレキュラーシーブが非常に高価であり、反応がかなり遅いとの欠点を伴う。この理由のため、モレキュラーシーブを使用する方法は、所望の化合物の経済的な製造には適さない。
【0005】
ヨーロッパ特許第1,047,666号によれば、テトラロンを、プロトン性溶媒中、温度50〜110℃において、メチルアミンと反応させる。高い温度及び圧力が利用されるが、反応の変化率は95〜98%以下である。方法の重大な欠点は、反応が特殊な耐圧性装置において行われなければならないことである。
【0006】
国際公開第WO 00/26181号公報によれば、反応は、プロトン性溶媒中、スルホン酸又はゼオライト又はケイ酸塩を含有する触媒の存在下、脱水剤の存在下で行われる。得られる[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンの収率は66〜86%である。
【0007】
国際公開第WO 01/36377号公報によれば、溶媒中に4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オン75〜95%及び4-(2,3-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-ナフタレン-1-オン25〜5%を含有する混合物を、加圧下、温度50〜70℃において、スルホン酸又はゼオライト又はケイ酸塩を含有する触媒の存在下又は脱水剤の存在下、メチルアミンと反応させる。多くの溶媒が列挙されている。生成物を結晶化によって精製し、化合物 [4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンが、純度99%以上で得られる。
【0008】
国際公開第WO 02/096860号公報に記載された方法によれば、[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンは、4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンを、酸触媒作用条件下において、アミド含有溶媒中、メチルアミンと反応させることによって調製される。このような反応条件下では、反応はかなりゆっくりと進行し、10時間を要する。
【0009】
HU98/01024号によれば、4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンを、低級アルカノール中、メチルアミンと反応させて、[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを生成する。HU98/01025号は還元プロセスに関するものであり、これにより、[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンが、エーテルタイプの溶媒中、好ましくは、テトラヒドロフラン中で、N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンに還元される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、公知の方法の上記欠点を解消し、式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを製造するための工業的規模での新規な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、本発明の方法によって達成される。
【0012】
本発明によれば、式(II)で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンをモノメチルアミンと反応させることによって、式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを製造する方法であって、前記反応を、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で行うことを特徴とする[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンの製法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、公知の方法によって教示されるようなアルコールタイプの溶媒、四塩化チタン及びモレキュラーシーブを使用することなく反応を行う場合、4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンとモノメチルアミンとの反応を、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で行うことによって、式(I)で表される化合物が、非常に短い反応時間かつ99.5%の優れた収率で得られるとの驚くべき知見に基づくものである。
【0014】
エーテルタイプの溶媒として、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチル-第3級ブチルエーテル、特に、テトラヒドロフランが使用される。
【0015】
反応は、温度−30〜+40℃、好ましくは、−10〜+25℃で行われる。
【0016】
反応は、加熱することなく、大気圧下で行われる。反応時間は、このような温和な反応条件下であっても短く、0.5〜5時間、好ましくは、1〜3時間である。
【0017】
モノメチルアミンは、式(II)で表される化合物に対して過剰量、すなわち、一般に5〜15倍のモル過剰量、好ましくは、10〜12倍のモル過剰量で使用される。塩化チオニルは、式(II)で表される化合物1モル当り1.1〜5モル、好ましくは、1.5〜2モルの量で使用される。
【0018】
本発明の実施の1形態によれば、(+)-鏡像異性体を富有する式(I)で表される化合物の(+)-及び(−)-鏡像異性体の混合物を調製する方法であって、原料物質として、(+)-鏡像異性体を富有する式(II)で表される化合物の(+)-及び(−)-鏡像異性体の混合物を使用する、(+)-鏡像異性体を富有する式(I)で表される化合物の(+)-及び(−)-鏡像異性体の混合物の製法が提供される。
【0019】
このようにして得られた式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンは、所望により、触媒水素化によって、(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン(ラセミ体セルトラリン)に転化される。
【0020】
本発明の他の態様によれば、(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンを調製する方法であって、式(II)で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンを、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で、モノメチルアミンと反応させ、その後、このようにして形成された式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを、同じ溶媒中で、触媒水素化に供する、(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンの製法が提供される。
【0021】
エーテルタイプの溶媒として、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチル-第3級ブチルエーテル、特に、テトラヒドロフランが使用される。
【0022】
触媒水素化は、好ましくは、パラジウム/炭素触媒の存在下で行われる。好ましくは、大気圧下、室温において行われる。
【0023】
このようにして得られたラセミ体セルトラリンは、任意に、薬学上許容されるその酸付加塩、好ましくは、塩酸塩に転化される。
【0024】
本発明のさらに他の態様によれば、シス-(1S)(4S)-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン及び薬学上許容される酸付加塩、好ましくは、その塩酸塩を調製する方法であって、式(II)で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンを、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で、モノメチルアミンと反応させ、その後、このようにして形成された式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを、同じ溶媒中で、触媒水素化に供し、このようにして得られた(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンをラセミ分割に供し、及び所望により、生成物を、薬学上許容される塩、好ましくはその塩酸塩に転化させる、シス-(1S)(4S)-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン及び薬学上許容される酸付加塩の製法が提供される。
【0025】
エーテルタイプの溶媒として、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチル-第3級ブチルエーテル、特に、テトラヒドロフランが使用される。
【0026】
ラセミ体セルトラリンのラセミ分割は、従来技術に記載された方法によって、好ましくは、光学的に活性なアミグダリン酸を使用することによって、公知の様式で行われる。
【0027】
本発明の実施の上記形態の重要な利点は、本発明によって調製された式(I)で表される化合物が、その調製によって得られた混合物において、溶媒を変更することなく同じ溶媒中で行われる触媒水素化によって、直接、ラセミ体セルトラリンに変換され、その後、それ自体公知の様式で行われるラセミ分割及び塩形成によって、シス-(1S)(4S)-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン・塩酸塩が調製されることである。従来技術に記載された方法と比べて、本発明の方法は、下記の利点を示す:
−式(I)で表されるケチミンの形成及び触媒還元反応が、同じ溶媒中で行われる;
−反応時間が極めて短く、これは、容積の観点から貴重な技術的利点を提供する;
−反応が、高圧及び高温を使用することなく実施される;
−変化率及び収率が極めて高い;
−高純度の生成物が得られる;及び
−方法が、工業的規模においても、簡単な様式で行われる。
【0028】
本発明の他の詳細は下記の実施例において見られるが、保護の範囲は実施例に限定されない。
【実施例1】
【0029】
[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンの調製プロセス
4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オン9g(30.8 mM)を、テトラヒドロフラン140 mlに溶解した。溶液を−10℃に冷却し、ガス状メチルアミン12.6g(400 mM)を導入した。−10℃の反応混合物に、攪拌下、塩化チオニル4.2ml(60mM)を添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温において攪拌した。反応をGCによって監視した。原料物質の量が0.3%以下に減少した時点で、反応混合物を得た。テトラヒドロフラン相を、沈殿したメチルアミン塩酸塩から分離し、蒸発させ、残渣を冷たいメタノール20ml中に懸濁させた。得られた結晶を、赤外線ランプの元で乾燥した。このようにして、所望の化合物8.7gが得られた(収率93%)。
【0030】
融点:147〜148℃
IR(KBr):1625, 1468, 1056, 764
1H NMR(CDCl3, i400):8.20 (1H, dd, J2=7.3 Hz, J2=1.9 Hz), 7.3 m (2H), 7.19 (1H, d, J=2.0 Hz), 6.89 m (2H), 4.15 (1H, dd, J1=4.5 Hz, J2=6.8 Hz), 3.17 s (3H), 2.52 m (2H), 2.28 m (1H), 2.13 m (1H)
【実施例2】
【0031】
(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンの調製
4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オン9g(30.8 mM)を、テトラヒドロフラン140 mlに溶解した。溶液を−10℃に冷却し、ガス状メチルアミン12.6g(400 mM)を導入した。反応混合物に、−10℃において、攪拌下、塩化チオニル4.2ml(60mM)を添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温において攪拌した。反応をGCによって監視した。原料物質の量が0.3%以下に減少した時点で、反応混合物を得た。部分蒸発によって、テトラヒドロフラン相を、メチルアミン−フリーとした。残留テトラヒドロフラン溶液に、塩化カリウム水溶液52ml及びメタノールの1:1混合物6.5ml及びその後、パラジウム/炭素触媒(Pd8%,C28%,H2O64%)1gを添加した。反応混合物を、攪拌下、窒素にてフラッシュし、その後、大気圧下、室温にて水素化した。[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンが消費されるまで、水素化を続けた。水素化の終了後、反応混合物を濾過し、濾液を、室温において、濃塩酸水溶液にて酸性化した。沈殿した結晶を濾過した。このようにして、所望の化合物8.6gが得られた(収率82%)。
【0032】
融点:280〜283℃
IR(KBr):3340, 3021, 1469, 1396, 878
1H NMR(CDCl3, i400):10.03 (1H, s), 9.93 (1H, s), 7.77 (1H, d, J=7.4 Hz), 7.41 (1H, d, 1.9 Hz), 7.36 (1H, d, J=8.2 Hz), 7.2 (3H, m), 6.87 (1H, d, J=7.5 Hz), 4.3 (1H, kv, J=4.9 Hz), 4.00 (1H, dd, J1=5.4 Hz, J2=8.4 Hz), 2.58 (3H, t, J=5.4 Hz), 2.3 (2H, m), 2.1 (2H, m)
【実施例3】
【0033】
シス-(1S)(4S)-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン・塩酸塩(セルトラリン塩酸塩)の調製
(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン・塩酸塩から塩基を遊離させ、その後、アミグダリン酸によるラセミ分割に供した。セルトラリン塩基を遊離させ、塩酸塩に転化させた。所望の化合物が、収率46%で得られた。
【0034】
融点:243〜245℃
旋光度:[α]D22=+37.7(c=2,メタノール)
IR(KBr):3340, 3021, 1469, 1396, 878
1H NMR(CDCl3, i400):10.03 (1H, s), 9.93 (1H, s), 7.77 (1H, d, J=7.4 Hz), 7.41 (1H, d, 1.9 Hz), 7.36 (1H, d, J=8.2 Hz), 7.2 (3H, m), 6.87 (1H, d, J=7.5 Hz), 4.3 (1H, kv, J=4.9 Hz), 4.00 (1H, dd, J1=5.4 Hz, J2=8.4 Hz), 2.58 (3H, t, J=5.4 Hz), 2.3 (2H, m), 2.1 (2H, m)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンをモノメチルアミンと反応させることによって、式(I)
【化2】

で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを製造する方法であって、前記反応を、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で行うことを特徴とする、[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンの製法。
【請求項2】
エーテルタイプの溶媒として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチル-第3級ブチルエーテルを使用する、請求項1記載の製法。
【請求項3】
エーテルタイプの溶媒として、テトラヒドロフランを使用する、請求項2記載の製法。
【請求項4】
反応を温度−30〜+40℃で行う、請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
【請求項5】
反応を温度−10〜+25℃で行う、請求項4記載の製法。
【請求項6】
反応時間が0.5〜5時間である、請求項1記載の製法。
【請求項7】
反応時間が1〜3時間である、請求項6記載の製法。
【請求項8】
塩化チオニルを、式(II)で表される化合物1モル当り1.1〜5モルの量で使用する、請求項1記載の製法。
【請求項9】
塩化チオニルを、式(II)で表される化合物1モル当り1.5〜2モルの量で使用する、請求項8記載の製法。
【請求項10】
(+)-鏡像異性体を富有する式(I)で表される化合物の(+)-及び(−)-鏡像異性体の混合物を調製するため、原料物質として、(+)-鏡像異性体を富有する式(II)で表される化合物の(+)-及び(−)-鏡像異性体の混合物を使用する、請求項1〜9のいずれかに記載の製法。
【請求項11】
式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを、触媒水素化によって、(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン(ラセミ体セルトラリン)に転化させる、請求項1〜10のいずれかに記載の製法。
【請求項12】
(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンを調製するため、式(II)で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンを、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で、モノメチルアミンと反応させ、その後、このようにして形成された式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを、同じ溶媒中で、触媒水素化に供する、請求項1〜11のいずれかに記載の製法。
【請求項13】
エーテルタイプの溶媒として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチル-第3級ブチルエーテルを使用する、請求項12記載の製法。
【請求項14】
エーテルタイプの溶媒として、テトラヒドロフランを使用する、請求項13記載の製法。
【請求項15】
シス-(1S)(4S)-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミン及び薬学上許容される酸付加塩、好ましくは、その塩酸塩を調製するため、式(II)で表される4-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-オンを、塩化チオニルの存在下、エーテルタイプの溶媒中で、モノメチルアミンと反応させ;このようにして形成された式(I)で表される[4(S,R)-(3,4-ジクロロフェニル)-3,4-ジヒドロ-1(2H)-ナフタレン-1-イリデン]-メチル-アミンを、同じ溶媒中で、触媒水素化に供し;このようにして得られた(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンをラセミ分割に供し、及び所望により、(+/−)シス-N-メチル-4-(3,4-ジクロロフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレン-アミンを、薬学上許容される塩、好ましくは、その塩酸塩に転化させる、請求項1〜14のいずれかに記載の製法。
【請求項16】
エーテルタイプの溶媒として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチル-第3級ブチルエーテルを使用する、請求項15記載の製法。
【請求項17】
エーテルタイプの溶媒として、テトラヒドロフランを使用する、請求項16記載の製法。

【公表番号】特表2006−528167(P2006−528167A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520912(P2006−520912)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/HU2004/000078
【国際公開番号】WO2005/007611
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(591010077)
【氏名又は名称原語表記】EGIS GYOGYSZERGYAR
【Fターム(参考)】