説明

イムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の精製方法

本発明は1つまたはそれよりも多くのイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の精製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、1つまたはそれより多くのイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばヒト成長ホルモン、ヒトプロテインC凝固因子VIIおよびIL−18BPが含まれる多数のヒトおよびその他哺乳類のタンパク質は、宿主細胞をこれらタンパク質をコードするDNAで形質転換させ、そしてタンパク質の発現に好ましい条件下で組換え細胞を増殖させることでこれら宿主細胞において産生されている。組換えタンパク質はトランスジェニック動物によっても産生され、そして乳汁として分泌される。組換えタンパク質は細胞から細胞培養培地へ、乳汁へ分泌されるか、または細胞溶解物に存在し、そして細胞老廃物、細胞残骸およびタンパク質のようなほかの細胞成分、またはその他回収された物質から分離しなければならない。タンパク質の精製は通常あるタイプのクロマトグラフィー分離が必要とされる(コンスタンス(Constans)ら(2002年)の総説を参照)。
【0003】
次に示すクロマトグラフィー分離は広く用いられている:ゲルろ過(GF)、イオン交換(IEX)、疎水性相互作用(HI)クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよびHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)。
【0004】
タンパク質の精製は通常3段階で行われる:捕獲工程(a capture step)、ここでは目的のタンパク質がDNAおよびRNAのようなその他の細胞構成要素から分離される;中間の工程(intermediate step)、ここではサイズまたはその他物理的/化学的性質が類似するコンタミナント(contaminants)からタンパク質が単離される;そして最後の磨き工程(polishing step)。各精製段階は精製される特定のタンパク質に最も適した特定のクロマトグラフィー技術およびビーズサイズを用いる。
【0005】
最初の捕獲工程は典型的には粗精製(crude)の細胞溶解物または細胞培養培地からのタンパク質の単離を含んでおり、そしてこの工程は高いキャパシティーおよび速い流速(high flow rate)の樹脂を必要とする。大きなビーズサイズおよび大きなビーズサイズ範囲(範囲は平均ビーズサイズにより幅広く変わりうる)を有する「ファストフロー(fast flow)」樹脂はこの目的に適している。
【0006】
イムノグロブリン(Ig)は任意の構造細胞抗原レセプター(structural cell antigen receptors)として定義される;これは構造および生物学的活性に基づいて5つのクラス(IgM、IgG、IgA、IgDおよびIgE)に分けられる。イムノグロブリン分子の基本構造単位は、モノマーに関すれば、それぞれ4つのドメイン(1つの可変VHドメインおよび3つの定常CHドメイン)を有する2つの重(H)鎖およびそれぞれ2つのドメイン(1つの可変VLドメインおよび1つの定常CLドメイン)を有する2つの軽(L)鎖から構成されるY形の分子である。VHおよびVLが抗原結合部位を構成する。イムノグロブリンドメインの基本的なパターンは、疎水性側鎖によってきつくまとめられている内部の大きな塊(internal volume)(すなわち、疎水性コア)を取り囲む2つのねじれたアンチパラレルβ−シートからなる。シートの湾曲程度(degree of curvature)に依存してドメインの全体形状はシリンダー(β−バレル)または2層が直線であればサンドイッチ様構造のいずれかで説明される。2つのβ−シートは、強くしかし厳格ではなく保存された鎖内ジスルフィド架橋の共有結合でつながっている(エンサイクロペディア・オブ・イムノロジー・エドス・ロイト・アンド・デルベス(Encyclopedia of Immunology Eds Roitt and Delves)(1992年)、92〜93頁および476〜477頁)。
【0007】
Ig−様ドメインは真核生物および原核生物を含む多様な界由来のタンパク質から同定されており、ウイルス、カビおよび植物も含まれる(ハラビー(Halaby)ら(1998年))。Ig−様ドメインは多くのタンパク質において発見されており、例えばバクテリア酵素であるβ−ガラクトシダーゼおよびキチナーゼA(chitinase A)において、成長ホルモン受容体などのヒト受容体において、IL−1受容体(マクマハン(McMahan)ら(1991年))、IL−6受容体(ボルマー(Vollmer)ら(1999年))およびヒト組織因子(HFT)受容体(ハラビーら(1999年))などのサイトカイン受容体において、成長因子依存的シグナルを細胞内環境に導入する(transduce)チロシンキナーゼ受容体において(ワイマン(Weimann)ら(2000年))、CD4のようなイムノグロブリン関連タンパク質において、およびフィブロネクチンタイプIIIのような細胞外マトリックスタンパク質において(ハラビーら(1999年))発見されている。
【0008】
典型的には、イムノグロブリン様(Ig−様)ドメインは、7〜10のβ−鎖から構成されており、特定のトポロジーおよび接続性を有する2つのシートの間に分布する。イムノグロブリン折り畳みファミリー(immunoglobulin fold family)(IgFF)を網羅する52個のIg−様ドメインの三次元構造が比較され(ハラビーら(1999年))、ほとんどのIg−様ドメインは10%以下の配列相同性を示すことが結果として示され、しかもIg−様ドメインにおいて共通のコアを形成しているほとんどの残基が疎水性であることが示された。したがって、Ig−様ドメインは配列というより構造的類似性を有する。疎水性コアは、Ig折り畳みの独自性および安定性に重要な影響を与える。Ig−様ドメインの広範な配列多様性にもかかわらず、Ig折り畳みの維持は水素結合の保存された配置(conserved geometry)によって促進されているようである。一部のタンパク質は1より多くのIg−様ドメインを有しており、たとえば成熟タイプIIのIL−1受容体は3つのイムノグロブリン様ドメインを(マクマハンら(1991年))および接着分子VCAMは7つのIg−様ドメインを有する(オスボーン(Osborn)ら(1994年))。
【0009】
次にIg−様ドメインを有する重要なタンパク質の例を挙げる:NCAM(5つのIg−様ドメイン)、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチン(titin)およびカドヘリンなどの接着分子、ニューロカン(neurocan)、LIFR、CNTFR、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFRおよびOSMRなどのサイトカイン受容体の細胞外ドメイン、血管内皮成長因子(VEGF)受容体(7つのIg−様ドメイン)、繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体、ヒト血小板由来成長因子(hPDGF)受容体などの成長因子受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(CSF−1R)、ミクログロブリン−β、CTLA4 B7分子に対するT細胞の受容体(2つのIg−様ドメイン)、B7 T細胞の増殖を制御するB細胞活性因子などの免疫関連受容体、およびニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase)およびIL−18結合タンパク質などのその他のタンパク質。
【0010】
サイトカイン結合タンパク質は、通常それぞれの細胞表面サイトカイン受容体の細胞外リガンド結合ドメインからなる(可溶性サイトカイン受容体)。可溶性受容体は細胞表面受容体の選択的なスプライシングまたはタンパク質分解切断のどちらかにより産生される。これら可溶性受容体は過去において述べられている:たとえば、IL−6およびIFN−γ(ノビック(Novick)ら(1989年))、TNF(エンゲルマン(Engelmann)ら(1989年)およびエンゲルマンら(1990年))、IL−1およびIL−4(マリゼウスキー(Maliszewski)ら(1990年))ならびにIFN−α/β(ノビックら(1994年)およびノビックら(1992年))の可溶性受容体。ひとつのサイトカイン結合タンパク質として、有名なオステオプロテゲリン(osteoprotegerin)(OPG、オステオクラスト(osteoclast)阻害因子−OCIFとしても知られている)は、TNFR/Fasファミリーのメンバーであり、分泌タンパク質としてのみ存在する可溶性受容体の最初の例と思われる(アンダーソン(Anderson)ら(1997年)、シモネット(Simonet)ら(1997年)、ヤスダら(1998年))。
【0011】
インターロイキン−18結合タンパク質(IL−18BP)は、インビトロにおいてIFN−γのIL−18誘導およびNF−κBのIL−18活性化を廃止させることが知られている(ノビックら(1999年))。IL−18BPは可溶性受容体であり、分泌タンパク質としてのみ存在する。IL−18BPは1つのIg−様ドメインを有し、Ig−様ドメインを含むサイトカイン受容体の細胞外セグメントに類似する。
【0012】
Ig−様ドメインを含む他の非イムノグロブリンタンパク質はインターロイキン−6受容体(IL−6R)である。文献においてインターロイキン−6は、前炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの両方として働くことが提案されている(ハインリッヒ(Heinrich)らによる総説(1998年)、ジョン(Jones)ら(2001年)およびペダーセン(Pedersen)ら(2001年))。IL−6の生物学的活性を媒介する受容体複合体は2つの別個の膜結合糖タンパク質からなり、ひとつは80kDaの同族受容体サブユニット(IL−6R)でありもうひとつは130KDaのシグナル−変換エレメント(gp130、CD130)である。gp130の発現は遍在しており、対照的に、IL−6Rの細胞分布は限定されており大部分は幹細胞および白血球亜集団(subpopulations)に限られている。膜結合受容体に加えて、IL−6Rの可溶性型(sIL−6R)はヒト血清および尿から精製されている。この可溶性受容体はIL−6に結合し、IL−6の血漿での半減期を引き延ばす。さらに重要なことには、sIL−6R/IL−6複合体はgp130と相互作用することにより細胞を活性化しうる。この特徴は、gp130を発現しているが本質的にIL−6自体には応答しない細胞タイプに対しsIL−6R/IL−6複合体をアゴニストとさせる。それ故にsIL−6Rは、IL−6に応答できる細胞のタイプのレパートリーを広げることが可能である。
【0013】
可溶性IL−6受容体(sIL−6R)をコードするcDNAの完全なコーディング領域をIL−6と融合させることにより組換えIL6−IL6Rキメラはヒト細胞において作製された(チェバス(Chebath)ら(1997年))。このIL6−IL6Rキメラは促進されたIL−6タイプの生物学的活性を有しており、そしてインビトロにおいてgp130鎖にIL−6とsIL−6Rとの混合物よりも非常に高い効率で結合する(コレット(Kollet)ら(1999年))。
【発明の開示】
【0014】
メルカプト−エチル−ピリジン(MEP)HyperCel(バイオセプラ(BioSepra)社製)は、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)樹脂である。この樹脂はイムノグロブリンを捕獲するために特別にデザインされたものである(ボスチェッティ(Boschetti)ら(2000年)およびライフテクノロジーズ・インコーポレーテッド製(2000年))。中性pHにおいては脂肪族−疎水性スペーサーおよび中性(荷電していない)ピリジン環の両方による疎水性捕獲がHICI樹脂においておこる。HIクロマトグラフィーとは対照的に、HCIC樹脂においては、いくらかのpHまたはイオン強度の調整も必要とせずに細胞培養上清から抗体を吸着することが成し遂げられた。一度pHがpH7.2からpH4に下げられると、樹脂中のピリジン環および結合している抗体は正電荷を帯びるようになり、電荷反発によりイムノグロブリンは引き離れ、そしてカラムから溶出される。このクロマトグラフィーの手法はイムノグロブリンの捕獲に使われているが、Ig−様ドメインを有する非イムノグロブリンタンパク質の捕獲に働くではあろうことは予測されなかった、何故ならばイムノグロブリンは独特の配列を有するからであり、そしてさらには52個の異なる非イムノグロブリンタンパク質中のIg−様ドメインは10%未満の配列相同性を持っていたからである(ハラビーら(1999年))。
【0015】
本発明は生物学的液体(biological fluid)からIg−様ドメインを有する非イムノグロブリンタンパク質の精製方法に関する。
【0016】
本発明は、
a)目的のタンパク質を含有する生物学的液体に疎水性電荷クロマトグラフィー(HCIC)樹脂を接触させる工程、
b)アンバウンド(unbound)のコンタミナントを除去するために樹脂を洗う工程、
c)酸性pHを有する溶液または有機溶媒を含む溶液により樹脂を処理することにより目的のタンパク質を溶出させる工程
を含む、生物学的液体から1と10の間のイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを有する目的の非イムノグロブリンタンパク質の精製または捕獲方法に関する。
【0017】
本発明の1つの態様によれば、HCIC樹脂は、MEP−HyperCel樹脂である。
【0018】
本発明の別の態様によれば、工程c)で用いられる有機溶媒はプロピレングリコールであって、溶液中のプロピレングリコール濃度が、約25%と50%の間にあることが好ましい。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、工程a)は、酸性のpHで実施され、pHが約3と6.8の間にあることが好ましい。
【0020】
本発明のさらに2つめの態様によれば、洗浄工程b)は、酸性のpHを有する溶液で実施され、pHは約3と6.8の間にあることが好ましい。
【0021】
本発明の1つの側面(aspect)によれば、生物学的液体は、細胞調製培養培地、細胞溶解物、細胞抽出物、組織抽出物、血漿、血清、乳汁、尿、腹水、脳脊髄液、野菜ジュース、植物抽出物または初期クロマトグラフィー分離工程由来のフラクションから選択される。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、目的のタンパク質は、1〜7のIg−様ドメインを有する。
【0023】
本発明は、IL−18BP、NCAM、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチン、カドヘリン、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−1R、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFR、OSMR、VEGF受容体、FGF受容体、hPDGF受容体、T細胞受容体、MHCタンパク質、ミクログロブリン−β、CTLA4、B7活性化因子、ニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、IL6−IL6R、β−ガラクトシダーゼおよびスーパーオキシドディスムターゼ、好ましくはIL−18BP、IL6−IL6Rキメラおよびβ−ガラクトシダーゼまたは少なくとも1つのIg−様ドメインを含むそれらのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体またはフラグメントなど目的のタンパク質の精製または捕獲方法を提供する。
【0024】
1つの態様によれば、本発明の方法は、精製因子が11倍と94倍との範囲で、好ましくは約94倍で精製タンパク質を得ることができる。
【0025】
さらなる態様によれば、本発明は濃縮因子が1.5倍と3.1倍との範囲で、好ましくは3.1倍で精製タンパク質を得ることができる。
【0026】
また本発明の方法は、収率が73%と98%との範囲で、好ましくは約85%で精製タンパク質を得ることができる。
【0027】
加えて、本発明は
a)目的のタンパク質を含有する生物学的液体に疎水性電荷クロマトグラフィー(HCIC)樹脂を接触させる工程、
b)アンバウンドのコンタミナントを除去するために樹脂を洗う工程、
c)酸性pHを有する溶液または有機溶媒を含む溶液により樹脂を処理することにより目的のタンパク質を溶出させる工程
を含む生物学的液体から1と10の間のイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを有する目的の非イムノグロブリンタンパク質を捕獲するためのHCICの使用を提供する。
【0028】
1つの側面によれば、本発明は1と10の間までのイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを有する目的の非イムノグロブリンタンパク質を含む精製タンパク質調製品であって、本発明の方法によって生物学的液体から精製または捕獲された精製タンパク質調製品を提供する。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、精製タンパク質調製品はIL−18BP、NCAM、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチン、カドヘリン、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−1R、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFR、OSMR、VEGF受容体、FGF受容体、hPDGF受容体、T細胞受容体、MHCタンパク質、ミクログロブリン−β、CTLA4、B7活性化因子、ニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、IL6−IL6R、β−ガラクトシダーゼおよびスーパーオキシドディスムターゼ、好ましくはIL−18BP、IL6−IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼ、または少なくとも1つのIg−様ドメインを含むそれらのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体またはフラグメントから選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、1つまたはそれより多くのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質が、イムノグロブリンの捕獲に典型的に用いられる樹脂であるMEP HyperCel樹脂によって効率よく生物学的液体から捕獲されるという知見に基づいている。
【0031】
したがって、本発明は
a)目的のタンパク質を含有する生物学的液体に疎水性電荷クロマトグラフィー(HCIC)樹脂を接触させる工程、
b)アンバウンドのコンタミナントを除去するために樹脂を洗う工程、
c)酸性pHを有する溶液または有機溶媒を含む溶液により樹脂を処理することにより目的のタンパク質を溶出させる工程
を含む、生物学的液体から1と10の間のイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを有する目的の非イムノグロブリンタンパク質の精製および/または捕獲に関する。
【0032】
メルカプト−エチル−ピリジン(MEP)HyperCel(バイオセプラ社製)は、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)樹脂である。この樹脂はイムノグロブリンを捕獲するために特別にデザインされた(ボスチェッティら(2000年)およびライフテクノロジーズ・インコーポレーテッド製(2000年))。中性pHにおいては脂肪族−疎水性スペーサーおよび中性(荷電していない)ピリジン環の両方による疎水性捕獲がHCIC樹脂においておこる。HIクロマトグラフィーとは対照的に、HCIC樹脂においては、いくらかのpHまたはイオン強度の調整も必要とせずに細胞培養上清から抗体を吸着することが成し遂げられる。一度pHがpH7.2からpH4に下げられると、樹脂中のピリジン環および結合している抗体は正電荷を帯びるようになり、電荷反発によりイムノグロブリンは引き離れ、そしてカラムから溶出される。このクロマトグラフィーの手法はイムノグロブリンの捕獲に使われているが、Ig−様ドメインを有する非イムノグロブリンタンパク質の捕獲に働くではあろうことは予測されなかった、何故ならばイムノグロブリンは独特の配列を有するからであり、そしてさらには52個の異なる非イムノグロブリンタンパク質中のIg−様ドメインは10%未満の配列相同性を持っていたからである(ハラビーら(1999年))。
【0033】
本発明の1つの態様によれば、HCIC樹脂であるMEP HyperCelを用いてIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質を捕獲する可能性は、IL−18BPを用いて実証された。IL−18BPは高度にグリコシル化されており、結果としてイムノグロブリンと比較してより酸性であり(等電点は約3)、そして疎水性が低い。一方では、MEP HyperCelへのイムノグロブリンの結合は疎水性に基づいており、イムノグロブリンとは対照的に、IL−18BPはそれほど疎水性ではない。他方では、もしIL−18BPがそのような樹脂に結合したとしても、抗体を溶出するために推奨されている条件はIL−18BPには作用しないことが期待される。なぜなら、pHをpH7.2からpH4に変化させてもIL−18BPを正に荷電させることはなく、したがって、IL−18BPはそのようなpH条件下ではカラムに結合したままであることが期待されるからである。したがって、IL−18BPの捕獲にMEP HyperCel樹脂を用いることは、当業者によってタンパク質の物理化学的特徴ならびに樹脂の結合および溶出原理から不適当であると考えられるであろう。
【0034】
1つの態様によれば、IL−18BPを含有する濃縮粗精製物(CMM)(実施例1、図1)は、プレ平衡化されたMEP HyperCelカラム(緩衝液(PBS)pH7.2)に適用された。カラムをアンバウンドタンパク質を除去するために同じ緩衝液で洗浄した。イムノグロブリン(等電点は6〜6.5の範囲)とIL−18BP(等電点は約3)との物理化学的性質の差異を利用して、そしてイムノグロブリン精製の製造説明書に従って、イムノグロブリンのコンタミナントを、pHを4.5にまで低下させることによりカラムから洗浄除去した。このpHでは、IL−18BPは樹脂に結合したままである。最終的に、カラムからIL−18BPを回収するために、プロピレングリコールを含有するpH8.4の溶液(リン酸緩衝液中、約35%のプロピレングリコール)が首尾よく使用された。
【0035】
IL−18BPは効率よくMEP HyperCel樹脂に結合し、そのタンパク質は別個のピークとして溶出されることが得られた結果により示されている。
【0036】
下記の実施例で示されるように、流速、緩衝液組成、ローディング物のpH、カラムキャパシティー等のようなクロマトグラフィーのパラメーターを変化させることによって、Ig−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質のMEP HyperCelカラム上への捕獲は最適化されうることが示された。たとえば、イムノグロブリンフラクションがMEP HyperCelカラムから酸性pHにおいて溶出される(pH4、ボスチェッティら(2000年)およびライフテクノロジーズ・インコーポレーテッド製(2000年))という特徴は、IL−18BPのローディングカラムキャパシティーを増加させるために利用された。ローディング工程におけるカラムへのイムノグロブリンの吸着をより少なく、r−hIL−18BPの吸着をより多くするように、そして、可能な限りコンタミするイムノグロブリンを除去するように、ローディング物のpHをより酸性なpH(たとえばpH6.1)に調整できる。下記の実施例において、低いpHで粗精製物をロードすることによりIL−18BPのキャパシティーは約2倍以上に上昇した。
【0037】
SDS−PAGE(実施例5)解析、RP−HPLC(実施例7)および固相酵素免疫検定法(ELISA)(実施例6)で示されるように、MEP HyperCelカラム捕獲工程は、IL−18BPに関して良いローディングキャパシティー(1ml樹脂あたり約6mgのIL−18BP)、高い回収率(85%以上)および精製効果を示した。一方で、精製されたr−hIL−18BPのフラクションは幅の狭いピークとして溶出された。IL−18BP捕獲におけるMEP HyperCel樹脂の高い性能は、おそらく以下の理由に起因する:樹脂に対するr−hIL−18BPの選択的結合、酸性pHでの効率よい洗浄工程および選ばれた溶出条件(PGを用いた溶出)。
【0038】
さらに、r−hIL−18BPの捕獲において様々なMEP HyperCel樹脂を用いることで、バッチ間の一貫性が示された。
【0039】
無血清培地または血清添加培地において産生された物質を用いたとき、MEP HyperCelカラムは似通った性能を示すことを付加的な実験で示している。
【0040】
したがって、原料または粗精製収穫物中の血清の有無はタンパク質のMEP HyperCelカラムに対する結合に影響しない。
【0041】
本発明の他の態様によれば、MEP HyperCel樹脂によるIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質捕獲の可能性は、CHO細胞により産生されたr−hIL6−IL6Rキメラによって評価された。hIL6−IL6Rキメラ(または「IL6R/IL6」もしくは「IL−6キメラ」とも呼ばれる)は、インターロイキン6に融合された、Ig−様ドメインを有するインターロイキン6受容体の可溶性部位からなる。
【0042】
カラムに適用した物質は2%のFBSを含む組換えCHO細胞によって産生された粗精製収穫物であり、浄化(clarification)および20倍濃縮後に得られた(実施例8)。
【0043】
さらに具体的には、CHO細胞により産生されたr−hIL6−IL6Rキメラの粗精製収穫物はPBSで平衡化されたMEP HyperCelカラムにロードされた。カラムを洗浄した後、捕獲された物質は35%PGで溶出された。溶出されたフラクション中のタンパク質量はELISAおよびSDS−PAGEにより分析された。MEP HyperCelカラムは1ml樹脂あたり2mg以上のr−hIL6−IL6Rキャパシティーを有し、r−hIL6−IL6R捕獲の収率はおよそ72%および精製因子は約94倍である。
【0044】
SDS−PAGE(図5)で示されるように、r−hIL6−IL6Rキメラは粗精製収穫物において基本的に検出不可能であり(図5)、MEP HyperCel溶出フラクションにおける1つの主要なバンドであることが明らかとなった(94倍に精製、ELISAによる)。
【0045】
r−hIL6−IL6Rキメラ中のIg−様ドメインのMEP HyperCelカラムへの結合に対する寄与を調べるために、MEP HyperCelカラムにIL−6単独での結合が評価された。この目的のため、組換えCHO細胞の粗精製収穫物をMEP HyperCelカラムに完全キメラと類似の条件で適用した。IL−6自体は、Ig−様ドメインを含有するIL6−IL6Rキメラとは対照的にカラムに結合しなかった。
【0046】
Ig−様含有非イムノグロブリンタンパク質捕獲のためのMEP HyperCel樹脂の使用は、バクテリア由来の酵素であるr−β−ガラクトシダーゼを用いるさらなる態様において行われた。この酵素はIg−様ドメインタイプC3を含有する(ハラビーら(1999年))。r−β−ガラクトシダーゼは無血清培地(実施例9)に加えておき、MEP HyperCelカラムに適用した。カラムの洗浄後、捕獲された物質は35%のPGで溶出された。アンバウンドおよび溶出された物質のフラクションは回収され、SDS−PAGEで分析された。得られた結果から、MEP HyperCel樹脂が溶液からβ−ガラクトシダーゼを効率よく捕獲することが示された。
【0047】
上記の実験はHyperCel樹脂がIg−様ドメインを含む種々の非イムノグロブリンタンパク質の精製に使用できることを示す。
【0048】
本発明は、MEP HyperCelまたはMEP HyperCelと同じかまたは類似の特徴からなるHCIC樹脂により、1つまたはそれより多くのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の捕獲に関するのであって、それにより1つまたはそれより多くのIg−様ドメインを含むタンパク質の捕獲を可能とする。本発明はまた、天然においてはIg−様ドメインを有しないが組換え手法によりそのようなドメインが融合された非イムノグロブリンタンパク質の捕獲にも関する。
【0049】
Ig−様ドメイン含有タンパク質はMEP HyperCelのようなHCIC樹脂を用いることで生物学的液体または細胞溶解物から捕獲されうる。一般的な意味において、捕獲は、目的のIg−様ドメイン含有タンパク質を含む生物学的液体または細胞抽出物にMEP HyperCelなどのHCIC樹脂を接触させ、アンバウンドのコンタミナントを除去するために樹脂を洗浄し、そしてpH環境を変化させること、または特定の態様で述べたようにイソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールなどの有機溶媒および/または、たとえばグリセロール、ポリエチレングリコールなどのポリアルコール(約25〜50%の間)を適用することにより結合した物質を溶出させることを含む。
【0050】
生物学的液体または細胞抽出物をHCICに接触させることは粗精製収穫物のpHまたは中性のpHまたはもうひとつの方法として、接触させる前にカラムおよび粗精製収穫物のpHを酸性のpH、たとえばIL−18BP精製のように3〜6.8の間のpHまたは塩基性のpHに調整させることで行われうる。
【0051】
樹脂を洗浄し、アンバウンドのコンタミナントを除去するために、ロードした物と同じpHの溶液(例えばpH7.2のPBS)および/または中性pHの溶液が使用でき、および/または酸性(たとえばpH3〜6.8)または塩基性pHが使用できる。Ig−様ドメインを含有する組換えタンパク質はそのようなタンパク質をコードするベクターで形質転換されたバクテリアまたは真核生物(たとえばCHO)の培養宿主細胞において、またはトランスジェニック動物または植物において産生されうる。トランスジェニック動物を用いたときは特に異種(heterologous)タンパク質をそれらの乳汁に産生させる利点がある。ウシ、羊およびヤギなど日常の動物がしたがって好ましいホストである。たとえば国際公開第88/00239号パンフレット、第90/05188号パンフレット、第91/02318号パンフレットおよび第92/11757号パンフレット;および米国特許明細書番号第4,873,191号明細書、第4,873,316号明細書および第5,304,489号明細書参照。これらの番号を参照することによってこれら全体はここに組み込まれる。
【0052】
したがって、Ig−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質は、少なくとも1つのIg−様ドメインを保持する条件でそれらのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体またはフラグメントも含めて、組換え細胞の培地から、細胞溶解物、トランスジェニック動物の乳汁から、トランスジェニック植物、尿、腹水、野菜ジュース、植物抽出物などから本発明の手法を用いて捕獲されうる。
【0053】
よって、本発明にしたがって、目的の非イムノグロブリンタンパク質の精製方法を使用することにより、NCAM(5つのIg−様ドメイン)、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチンおよびカドヘリン、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL6−IL6R、IL−12R、GM−CSFRおよびOSMRなどのサイトカイン受容体の細胞外ドメイン、血管内皮成長因子(VEGF)受容体(7つのIg−様ドメイン)、繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体、ヒト血小板由来成長因子(hPDGF)受容体などの成長因子受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質、ミクログロブリン−β、CTLA4 B7分子に対するT細胞の受容体(2つのIg−様ドメイン)、B7 T細胞の増殖を制御するB細胞活性因子などの免疫関連受容体、およびニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、スーパーオキシドディスムターゼおよびIL−18BPなどのその他のタンパク質の精製されたタンパク質調製品を得ることが可能である。
【0054】
好ましくは、本発明によれば、1つまたはそれより多くのIg−様ドメインを有する非イムノグロブリンタンパク質の捕獲および/または精製においては、得られたタンパク質の精製因子は11〜94倍の範囲、より好ましくは約94倍であり、得られたタンパク質の濃縮因子は1.5〜3.1倍の範囲、より好ましくは約5倍であり、得られたタンパク質の収率は73〜85%の範囲、より好ましくは約98%である。
【0055】
典型的には、イムノグロブリン様(Ig−様)ドメインは、7〜10のβ−鎖から構成されており、特定のトポロジーおよび接続性を有する2つのシートの間に分布する。イムノグロブリン折り畳みファミリー(IgFF)を網羅する52個のIg−様ドメインの三次元構造が比較され(ハラビーら(1999年))、ほとんどのIg−様ドメインは10%以下の配列相同性を示すことが結果として示され、しかもIg−様ドメインにおいては、共通のコアを構成するほとんどの残基が疎水性であることが示された。したがって、Ig−様ドメインは配列というより構造的類似性を有する。疎水性コアは、Ig折り畳みの独自性および安定性に重要な影響を与える。Ig−様ドメインの広範な配列多様性にもかかわらず、Ig折り畳みの維持は水素結合の保存された配置によって促進されているようである。一部のタンパク質は1つより多くのIg−様ドメインを有しており、たとえば成熟タイプIIのIL−1受容体は3つのイムノグロブリン様ドメインを(マクマハンら(1991年))および接着分子VCAMは7つのIg−様ドメインを有する(オスボーンら(1994年))。
【0056】
次にIg−様ドメインを有する重要なタンパク質の例を挙げる:NCAM(5つのIg−様ドメイン)、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチンおよびカドヘリンなどの接着分子、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFRおよびOSMRなどのサイトカイン受容体の細胞外ドメイン、血管内皮成長因子(VEGF)受容体(7つのIg−様ドメイン)、繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体、ヒト血小板由来成長因子(hPDGF)受容体などの成長因子受容体、T細胞受容体などの免疫関連受容体、主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(CSF−1R)、ミクログロブリン−β、CTLA4 B7分子に対するT細胞の受容体(2つのIg−様ドメイン)、B7 T細胞の増殖を制御するB細胞活性因子、およびニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、スーパーオキシドディスムターゼおよびIL−18結合タンパク質などのその他のタンパク質。
【0057】
本明細書において使用される用語「ムテイン」はIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の類似体を意味し、該類似体においては、たとえばIL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなどのタンパク質の1つまたはそれより多くのアミノ酸残基が、IL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼと比較して結果として生じる産物の活性の著しい変化がなく、および/または少なくとも1つのIg−様ドメインが保持される条件で、異なるアミノ酸残基によって置換され、または欠失され、または1つもしくはそれより多くのアミノ酸残基がそれらに付加される。さらに詳しくは、30より少ないが1つまたはそれよりも多くのタンパク質中のアミノ酸、好ましくは20より少なく、さらに好ましくは10より少なく、最も好ましくは1つまたは2つのアミノ酸が他のアミノ酸によって置換され、または欠失(eliminated)され、または付加されうる。これらのムテインは公知の合成方法によっておよび/または部位特異的突然変異誘発技術によって、またはそれらにとって適したどんなほかの技術によってでも調製される。
【0058】
本発明のムテインは、IL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなど少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質をコードするDNAまたはRNAと、本発明にしたがって、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAまたはRNAなどの核酸によってコードされるタンパク質を含む。用語「ストリンジェントな条件」とは、当業者が従来から「ストリンジェント」と呼ぶ、ハイブリダイゼーションおよびその後の洗浄条件を意味する。上記アウスベル(Ausubel)らによるカレント プロトコル イン モレキュラー バイオロジー、インターサイエンス、ニューヨーク、章6.3および6.4(1987年、1992年)および前記サンブロック(Sambrook)らを参照。限定なしで、ストリンジェントな条件の例は、試験下のハイブリッドの推定Tm値の12〜20℃低い洗浄条件を含む、たとえば、2×SSCおよび0.5%SDSを5分間、2×SSCおよび0.1%SDSを15分間;37℃で0.1×SSCおよび0.5%SDSを30〜60分間、そして68℃で0.1×SSCおよび0.5%SDSを30〜60分間。当業者はストリンジェントな条件はDNA配列、オリゴヌクレオチドプローブ(10〜40塩基など)または混合オリゴヌクレオチドプローブの長さにも依存することを理解する。混合プローブを用いる場合は、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)をSSCのかわりに使うことが好ましい。前記アウスベルを参照。
【0059】
そのような任意のムテインは、好ましくは、IL−18BP、IL6−IL6R、IL−6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなど、少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質のアミノ酸配列と、IL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなどと充分に類似した活性を有するほど、および/または少なくとも1つのIg−様ドメインを保持している条件で、充分に重複する。
【0060】
好ましい1つの態様としては、そのような任意のムテインは、例えばIL−18BP、IL6−IL6R、IL−6Rおよびβ−ガラクトシダーゼのアミノ酸配列と少なくとも40%の相同性を有している。より好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または最も好ましくはそれらと少なくとも90%の相同性を有している。
【0061】
本発明において精製されるムテインまたはそれらをコードする核酸は、本明細書中で示される教示および指図に基づいて、過度の実験をすることなく、当業者によって日常的に得られる置換されたペプチドまたはポリヌクレオチドとして実質的に対応する配列の有限のセットを含む。
【0062】
本発明によるムテインの好ましい変化は「保存的(conservative)」置換として知られるものである。IL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなど、少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の保存的アミノ酸置換は、グループのメンバー間の置換は、分子の生物学上の機能を保存するという充分に類似した物理化学的性質を有し(グランザム(Grantham)ら(1974年))、および/または少なくとも1つのIg−様ドメインが保持される条件で有しうる。特に、挿入または欠失が、わずかなアミノ酸のみ、たとえば30個以下、そして好ましくは10個以下のアミノ酸を包含し、そして機能的配座、たとえばシステイン残基などに重要であるアミノ酸を除去または置換しない場合、アミノ酸の挿入および欠失も、それの機能を改変せずに、上で定義された配列で行われうることも明らかである。このような欠失および/または挿入により産生されるタンパク質およびムテインは、本発明の範囲内になる。
【0063】
好ましくは、同義のアミノ酸基は、表Aで定義されるものである。さらに好ましくは、同義のアミノ酸基は、表Bで定義されるものである;そして最も好ましくは、同義のアミノ酸基は、表Cで定義されるものである。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
本発明で使用するためのムテインを得るために使用されうる例えばIL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなど、Ig−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質におけるアミノ酸置換の生成の例は、マーク(Mark)らによる米国特許第4,959,314号明細書、第4,588,585号明細書および第4,737,462号明細書;コス(Koths)らによる第5,116,943号明細書、ナメン(Namen)らによる第4,965,195号明細書;チョン(Chong)らによる第4,879,111号明細書およびリー(Lee)らによる第5,017,691号明細書に示されるものおよび米国特許第4,904,584号明細書(ショウ(Shaw)ら)に示されるリシン置換タンパク質のような、あらゆる既知方法工程が挙げられる。
【0068】
用語「融合タンパク質」は、他の非イムノグロブリンタンパク質と融合された、例えば体液中での長期の滞留時間を有するもう1つの非イムノグロブリンタンパク質と融合された、例えばIL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼまたはそれらのムテインまたはフラグメントなどのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質を意味する。したがって、例えばIL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼは他の非イムノグロブリンタンパク質、ポリペプチドなどと融合されうる。
【0069】
本明細書において使用されるところの「機能性誘導体(functional derivative)」は、本技術分野において既知の方法によってアミノ酸部分の側鎖に、またはN−またはC−末端に存在する官能基から作製されうるIg−様ドメイン含有タンパク質、例えばIL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼおよびそれらのムテインおよび融合タンパク質の誘導体を意味し、薬学的に許容しうる場合、すなわち、それらが、例えばIL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼの活性と充分に類似するおよび/または少なくとも1つのIg−様ドメインが保持される条件でタンパク質活性を破壊しないか、またはそれらを含有する医薬組成物に毒性を与えない場合に、本発明に含まれる。
【0070】
このような誘導体としては、たとえば抗原部位をマスクしそして体液中での滞留を引き伸ばすポリエチレングリコール側鎖が含まれる。他の誘導体としては、カルボキシル基の脂肪族エステルまたはアンモニアまたは一級もしくは二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、およびアシル部分(moiety)(例えばアルカノイルまたはアロイル基など)と形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体またはアシル部分と形成される遊離水酸基(例えばセリンまたはスレオニン残基)のO−アシル誘導体が挙げられる。
【0071】
Ig−様ドメインを含むタンパク質および/またはムテインおよび融合タンパク質の「フラグメント」として、該フラクションがIL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなどのタンパク質と実質的に同様の活性を有する条件および/または該フラクションが少なくとも1つのIg−様ドメインを保持する条件において、本発明は、単独のタンパク質分子のポリペプチド鎖の任意のフラグメントまたは前駆体、または結合した関連分子または残基(たとえば糖またはリン酸塩残基、もしくはタンパク質分子または糖残基自身の集合体)を伴うタンパク質のポリペプチド鎖の任意のフラグメントまたは前駆体を網羅する。
【0072】
本発明は、IL−18BP、IL6−IL6R、IL6Rおよびβ−ガラクトシダーゼなどIg−様ドメインを含むタンパク質、または少なくとも1つのIg−様ドメインが保持される条件でそれらのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性フラクションまたは環状にて入れ替えられた誘導体(circularly permutated derivative)に関する。
【0073】
次にIg−様ドメインを有する重要なタンパク質の例を挙げる:NCAM(5つのIg−様ドメイン)、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチンおよびカドヘリンなどの接着分子、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFRおよびOSMRなどのサイトカイン受容体の細胞外ドメイン、血管内皮成長因子(VEGF)受容体(7つのIg−様ドメイン)、繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体、ヒト血小板由来成長因子(hPDGF)受容体などの成長因子受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質、ミクログロブリン−β、CTLA4 B7分子に対するT細胞の受容体(2つのIg−様ドメイン)、B7 T細胞の増殖を制御するB細胞活性因子などの免疫関連受容体、およびニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、スーパーオキシドディスムターゼおよびIL−18BP(1つのIg−様ドメイン)などのその他のタンパク質。
【0074】
用語「IL−18結合タンパク質」は「IL−18BP」と本明細書において同義に用いられる。IL−18結合タンパク質は国際公開第99/09063号パンフレットまたはノビックら(1999年)によって定義されたものを含み、キムら(2000年)によって定義されたIL18−結合タンパク質のスプライス(splice)変異体および/またはアイソフォームを含む。さらに詳しくは、IL−18BPのヒトアイソフォームaおよびcは本発明によれば有用である。本発明による有用なタンパク質はグリコシル化されまたはグリコシル化されず、それらは尿など天然の採取原(natural source)由来であってよく、またはそれらは組換えによって産生されることが好ましいであろう。組換え体の発現は大腸菌などの原核生物発現系または真核生物発現系、および好ましくは哺乳類の発現系によって実施されうる。
【0075】
「生物学的液体」は細胞、細胞成分または細胞産物由来のまたは含有する任意の液体を意味する。生物学的液体は限定されないが、細胞培養上清、細胞溶解物、透明になった(cleared)細胞溶解物、細胞抽出物、組織抽出物、血液、血漿、血清、乳汁、尿、腹水、野菜ジュース、植物抽出物およびそれらのフラクションおよび他のクロマトグラフィー分離工程由来のフラクションもまた含まれる。生物学的液体は少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンの捕獲工程において粗精製物として使用され、本発明によれば濃縮されても、濃縮されなくても、または希釈されてもよい。
【0076】
少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の捕獲工程において細胞培養上清または細胞調整培養培地は、本発明によれば胎児ウシ血清またはウマ血清など血清存在下増殖した細胞または無血清培地で増殖した細胞由来であってもよい。
【0077】
「細胞調整培養培地」は、細胞がそこで培養され、および細胞の産物を含有する栄養培地を意味する。
【0078】
細胞、細胞残骸などを含有する生物学的液体を用いて研究を行うときは、最初にこれら特定のコンタミナントを除去するために液体をろ過および/または遠心分離することが好ましい。
【0079】
少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の捕獲工程におけるHCIC樹脂の使用はスケールアップすることができ、純粋なタンパク質を得るために、イオン交換クロマトグラフィー、液体アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、限外ろ過および異相沈殿(differential precipitation)など他の精製および濃縮技術と有利に組み合せることができる。
【0080】
例えばヒト成長ホルモン、ヒトプロテインC、凝固因子VIIおよびIL−18BPなどを含む多数のヒトおよび他の哺乳類タンパク質は、宿主細胞にこれらタンパク質をコードするDNAを形質導入し、組換え細胞を増殖させ、そしてタンパク質を回収することで産生される。
【0081】
国際公開第99/09063号パンフレットは出願において哺乳類細胞におけるIL−18BPの産生を開示している。組換えタンパク質はトランスジェニック動物によって産生され乳汁に分泌される。
【0082】
組換えタンパク質は、細胞から細胞培養培地(細胞調整培養培地)に、乳汁に分泌されるか、または細胞溶解物中に存在し、細胞廃棄産物、細胞残骸およびタンパク質など他の細胞成分、または他の回収された物質から分離されなければならない。
【0083】
MEP−HyperCelによって捕獲されたIg−様含有非イムノグロブリンタンパク質は、さらにクロマトグラフィー分離によって精製されうる。次のクロマトグラフィー分離は広く使用されている:ゲルろ過(GF)、イオン交換(IEX)、および疎水性相互作用(HI)クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよびHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)。
【0084】
上述のように、タンパク質精製は通常3段階からなる:所望のタンパク質が粗精製の細胞溶解物からまたは細胞培養培地から単離される捕獲工程;タンパク質がサイズまたは他の物理的/化学的性質が類似するコンタミナントから単離される中間の工程;そして最後の磨き工程。それぞれの精製ステージは特定のタンパク質に最も適している決まったクロマトグラフィー技術およびビーズサイズを有する。
【0085】
中間の工程は、成分の適切な分離のためにより高度な分解能を必要とする。一般的にビーズサイズは分解能と逆に相関する;小さなビーズサイズはしたがってこのステージにおいてより適当である。IEXおよびHIのような吸着技術は一般的に最初の2つの精製工程において使用される。ゲルろ過は通常磨き工程のために用意されており、そこにおいては少量の高度に濃縮されたサンプルがカラムに適用される。
【0086】
溶出成分のピーク幅によって示されるように、樹脂を選択するための二つの考慮すべきファクターは、所望のタンパク質に対する選択性および効率性(efficiency)である。選択性は目的のタンパク質に相互作用し、そして結合する樹脂の能力を意味する。
【0087】
樹脂の効率性は、成分をブロードなピークとしてではなく別個のピークとして溶出するためのクロマトグラフィーマトリックスの能力を意味する。高い効率性は、近接して溶出するタンパク質を精製する場合に不可欠であり、高い選択性と高い効率性との組み合わせが高い分解能を生む。
【0088】
ゲルろ過(GF)(またはサイズ排除クロマトグラフィーと呼ぶ)は分子量にしたがって球状タンパク質を分離する(ポラス(Porath)ら(1959年))。GFは物理的および化学的条件の多様さに基づき実施され、通常綿密なプロトコルは含まれない(スミス(Smith)ら(1998年)アマシャム バイオサイエンス A(1998年))。タンパク質の水溶液は、溶出液の助けと共に標的タンパク質のサイズを基に選択されたポアサイズを含有する固相またはビーズから構成されるマトリックスを通過する。カラムによって「予測された(seen)」液体容量は、移動相(ビーズを取り囲む液体または「ボイド容量(void volume)」)および固定相(ビーズのポア内に含まれる液体)からなる。
【0089】
大きすぎてビーズポアに入らない分子はボイド容量のみと接触し、したがってカラムから最初に溶出される。しかしながら最も小さい分子はポア中に拡散され総カラム容量と接触し、そして最後に溶出され、中間のサイズの分子はボイド容量および総カラム容量の間において溶出される。
【0090】
GF媒体を選択するときに考慮すべき1つの要素はポアの排除限界または分子量限界である;この限界を超えたタンパク質は完全にポアから排除され、そして分離されない。いくつかの会社は架橋樹脂を提供しており、それは高圧条件において圧縮されず多孔性を失わないので高圧精製に有利である。GFは他のタイプの液体クロマトグラフィーよりも幾つかの利点を有する。1つ目はこの技術を用いて精製されうるタンパク質のサイズ上限が高いこと;2つ目はタンパク質を変性させる有機溶媒の使用を必要としないことである。
【0091】
GFクロマトグラフィーはしかしながら微調整が困難であろう。さらに、タンパク質の分解能はカラムに適用するサンプル容量に依存する。例えば、希釈されたサンプルはこの技術によって精製することが困難である。最後に、GFクロマトグラフィーは、分析からバルク精製レベルに直接的に拡大できない−大スケール精製にとって2つの不利点。
【0092】
イオン交換クロマトグラフィー(IEX)は、高度な制御と特異性を提供する。IEXは、目的のタンパク質と、通常、共有結合で荷電基(charged group)を結合したアガロース、デキストラン、架橋セルロースおよび架橋アガロースなどの樹脂から構成されるイオン交換マトリックスとの間の荷電相互作用に基づく(アマシャム バイオサイエンス B(1998年))。
【0093】
荷電基は種類(カチオン性およびアニオン性)および強度(強または弱)にしたがって分類され、強イオン交換媒体の電荷特性はpHによって変化しないが、弱イオン交換媒体ではサンプルのローディングキャパシティーが多様なpHにおいて失う電荷のために変化でき、タンパク質の結合を阻害する(アマシャム バイオサイエンス B(1998年))。最も広く使用されている荷電基は、弱アニオン性交換体のジエチルアミノエチル、弱カチオン性交換体のカルボキシメチル、強アニオン性交換体の四級アンモニウム、強カチオン性交換体の硫酸メチルが含まれる。他の荷電基も使用可能である。
【0094】
イオン交換樹脂は選択的に逆電荷のタンパク質を結合する;つまり、負に荷電した樹脂は正のネット電荷(net positive charge)を有するタンパク質を結合し、その逆も同様である。この技術は5つのステップからなる:標的タンパク質結合にとって理想的なpHおよびイオン強度へのカラムの平衡化;カウンターイオン置換によるサンプルのカラムへの可逆的吸着;結合したタンパク質を置換するために緩衝液のpHまたはイオン強度を変更する溶出条件の導入;結合強度の順序(弱く結合したタンパク質が最初に溶出される)によるカラムからの物質の溶出;そして次の精製のためのカラムの再平衡化。研究者は、IEXプロトコルを標的タンパク質が選択的にカラムに結合するように(コンタミナントは通過するように)またはコンタミナントが吸着し標的タンパク質が選択的に溶出するようにデザインすることができる(アマシャム バイオサイエンス B(1998年))。
【0095】
GFクロマトグラフィーのように、IEXは水溶性条件において実施され、有機溶媒は必要としない。しかしながら、GFとは異なりIEXは高度な選択性を有する。定常相(樹脂)および移動相(緩衝液)の両方は精製の必要性にあわせて仕立て得る。緩衝液のpHおよび化学的組成は目的のタンパク質の性質に応じて調整され得る。IEXの主な利点の1つは、拡張性である:IEXは小スケールからプロセススケールレベルまで直接アップグレードさせることが可能である。さらには、IEX樹脂は相対的に高価ではなくそしてバルク量で広く入手可能である。
【0096】
疎水性相互作用(HI)クロマトグラフィーは、タンパク質表面の露出した疎水性部分と樹脂に結合した疎水性リガンドとの間の相互作用に基づくものである。疎水性吸着の機構はよく理解されていないが、このプロセスを説明するためのいくつかの理論があり、それら理論の全てがそれらの核心においてタンパク質−リガンド複合体を取り囲んでいる水分子の構造の増加(アマシャム バイオサイエンス(1993年))を有する。
【0097】
HIのプロセスは、タンパク質をほぐし疎水性部位を露出させる高塩濃度緩衝液の使用を伴う。タンパク質はカラムの疎水性リガンドに保持され、塩濃度が低下しつつある緩衝液勾配にさらされる。塩濃度が低くなるとタンパク質はその自然な(native)構造に戻り結局カラムから溶出される。
【0098】
HI樹脂の選択性は疎水性リガンドの構造に依存する。直鎖アルキルリガンドおよびアリールリガンドが使用され、一般的にタンパク質の結合は鎖長の増加に伴って増加する(アマシャム バイオサイエンス(1993年))。理想的な樹脂の選択は標的タンパク質の化学に依存する。適切な疎水性リガンドを発見することは経験的なプロセスである。
【0099】
少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質は、他のクロマトグラフィー分離工程由来のフラクションを原料として用い、MEP HyperCel樹脂を用いて本発明により精製され得る。
【0100】
ポリペプチドまたはタンパク質に関して本明細書において使用される用語「精製された」は、絶対的な純度(absolute purity)(均質調製品(homogeneous preparation)など)のみを意味するのではなく;かわりに、ポリペプチドが天然の環境よりも相対的に純粋であることを意味する。好ましくは、ポリペプチドまたはタンパク質は、約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍または約100倍精製される。最も好ましくは、少なくとも一桁の精製、好ましくは2または3桁、そして、より好ましくは4または5桁が明確に期待される。
【0101】
当業者は日常の実験で、溶液、緩衝液組成、イオン強度、およびpHを、MEP HyperCelなどのHCIC樹脂を用いて少なくとも1つのIg−様ドメインを含む非イムノグロブリンタンパク質の精製を向上させるために必要に応じて調整できることを認識するであろう。たとえば、タンパク質精製手法を発展させる場合を考慮するための重要な因子は、各個々の工程の拡張性であり、初めに多くのプロトコルが小スケール分析レベルで作成され、ついでバルク精製のためのプロセススケールに拡張される。HCICなどの多くの種類の樹脂がプロセススケール分離に使用できる。
【0102】
上述の手法および以下の実験的実施例はカラムクロマトグラフィーを利用しているが、当業者は、バッチプロセシングも使用できることを認識するであろう。
【0103】
ここまで本発明を説明したが、以下の実施例を参照することでより容易に理解されるであろう。この実施例は、説明の目的で提供され、本発明の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0104】
実施例1
r−hIL−18BPの捕獲工程。
r−hIL−18BPは、2%血清含有培養培地において組換えCHOクローンにより産生された。r−hIL−18BPは高度にグリコシル化されており、そして強酸性タンパク質である(等電点は約3)。
【0105】
MEP HyperCel(バイオセプラ社製)は、疎水性/荷電誘導クロマトグラフィー(HCIC)をベースとした樹脂である。この樹脂は抗体の精製のために特別にデザインされている(ボスチェッティら(2000年)およびライフテクノロジーズ・インコーポレーテッド(2000年))。中性のpHにおいて、抗体の疎水性捕獲(hydrophobic capture)は脂肪族−疎水性スペーサーと中性(荷電していない)ピリジン環との両方により生じる。その後pHが低下したとき(すなわちpH4まで)、リガンド中のピリジン環(pKaは4.8)および結合したイムノグロブリン(等電点は6〜6.5の範囲)の両方は正電荷を帯びるようになり、その結果電荷反発力が生じ、そしてカラムから抗体の溶出が生じる。IL−18BP中のイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインの存在により、MEP HyperCel樹脂によるIL−18BP捕獲の可能性が調査された。
【0106】
MEP HyperCelカラム(樹脂5ml)を、pH7.2のPBSでプレ平衡化(流速は3ml/min)した。r−hIL−18BPを含む濃縮された粗精製物(CCM)(0.5mg/mlのr−hIL−18BPおよび32mg/mlの総タンパク質)をプレ平衡化したMEP HyperCelカラムにロードした(流速は1ml/min)。ローディング後、カラムを最初にpH7.2のPBSでカラムから出てくるフラクション中にタンパク質が検出(検出はA280)されなくなるまで洗浄し、そして次にイムノグロブリンの溶出のために製造者が推奨している低いpHの緩衝液(pH4.5の50mM酢酸塩緩衝液、流速3ml/min)で洗浄した。最初の洗浄(pH7.2)後にカラムから回収された物質中にIL−18BPは検出されなかったことから、全てのIL−18BPはカラムに全て結合したことを示唆している。タンパク質のピークは低いpHでの洗浄後に検出された(図1、ピーク1)。低いpHでの洗浄により溶出されたタンパク質のピークは、おそらく主としてイムノグロブリンが含まれておりr−hIL−18BPはまったく含まれていなかった(ELISAにより監視)。IL−18BPがpH4.5で溶出されないのは、イムノグロブリンとは対照的にIL−18BPは強酸性(等電点は約3)であり、pH4.5はIL−18BPが正電荷を帯びるよう誘導するのに充分な酸性ではない(タンパク質は荷電していないかまたは負電荷を帯びているかのいずれかである)。従って、カラムからIL−18BPを溶出するために、タンパク質間の疎水性相互作用を弱めることができ、タンパク質の構造を安定化するために一般に使用されているプロピレングリコールをテストした。最初にカラムをインジェクション用の水(WFI)で洗浄し、次にプロピレングリコール(PG)(メルク社製、プリス(puris.)カタログ番号107478)を35%含有するpH8.4の20mMリン酸塩緩衝液で洗浄した(流速は1ml/min)。リン酸塩緩衝液を1リットル調製するためには、5.36グラムのリン酸水素2ナトリウム7水和物(分子量268.07、メルク社製、エクストラピュア、カタログ番号106574)、を0.8リットルのWFIに溶解した。得られた溶液は6M HCLでpH8.4±0.2まで滴定した。PG溶液をカラムに適用した後に、タンパク質のピーク、図1のピーク2(検出はA280)がカラムから溶出され、r−hIL−18BPが含まれることが明らかとなった(検出はELISA)。50%のPG溶液での付加的な溶出工程の適用によっては、カラムからのタンパク質のさらなる溶出は得られなかった。
【0107】
r−hIL−18BPを溶出するのに必要とされるプロピレングリコールの至適濃度は、次のスキーム中のひとつを用いて評価された:A−50%のPGを用いる1段階溶出、B−最初に35%のPGを用い、ついで50%のPGを用いる2段階溶出、C−最初に25%のPGを用い、ついで50%のPGを用いる2段階溶出。表3に要約される結果は、回収率(recovery)および精製因子が溶出工程において35%のPG溶液を用いることが最良であったことを示す(表3)。
【0108】
したがって、MEP HyperCel樹脂を用いたCCMからのIL−18BPの捕獲は、純度を向上させ(34%)そしてよい回収率(85%)の結果を示した。精製因子は22であり、そして精製したr−hIL−18BPフラクションは比較的に幅の狭いピークとして溶出されたので(約15ml)、容量測定濃度因子(volumetric concentration factor)は1.7倍に増加した(表3、図1)。IL−18BP捕獲の種々の工程からのフラクション、たとえばロードした物、アンバウンドフラクション、酸性の洗浄フラクション(pH4.5の50mM酢酸塩)、WFI洗浄フラクションおよび35%のPGで溶出されたピークはSDS−PAGEで分析された(実施例5)。SDS−PAGE分析(図2)により得られた結果は、ELISA/ブラフォード(ELISA over Braford)結果(表3)により得られた結果と一致しており、これは35%のPGで溶出したタンパク質のピークフラクションではr−hIL−18BPが高度に濃縮されていることを示唆している。
【0109】
観測された高度な濃縮および精製因子(図2、ライン5 溶出されたタンパク質、およびライン6 IL−18BPリファレンスタンパク質)は、おそらくIg−様ドメインを通した、MEP HyperCel樹脂へのr−hIL−18BPの選択的な結合、酸性pHでの効率のよい洗浄工程および選択的な溶出条件によるものである。
【0110】
捕獲のために使用した原料がSFM条件下で増殖させIL−18BPを産生させたCHO細胞の収穫物である場合に、IL−18BPの高度な濃縮および精製の同様の結果が得られた(データは示さず)。
【0111】
【表4】

【0112】
実施例2
r−hIL−18BP捕獲における種々のMEP HyperCel樹脂バッチの試験。
MEP HyperCel樹脂の性能のバッチ間(batch-to-batch)の一貫性を調べるために、3つの異なるMEP HyperCel樹脂バッチをr−hIL−18BP捕獲において試験した(バッチは#A112、#A113、#A130)。評価されたパラメーターは、a)樹脂キャパシティー、b)純度、およびc)精製因子である。カラム(5ml HR10カラム、ベッド高さは7cm)に1ml樹脂あたり2.5〜3.5mgのr−hIL−18BPであるIL−18BP濃度でCMMをロードした(実施例1のランニング条件を使用)。
【0113】
表4に示す結果は、3つのMEP HyperCel樹脂バッチは全て同様のr−hIL−18BPの純度レベル、精製因子および濃度因子を生じたということを示す。カラムキャパシティーもまた3つの樹脂バッチ全てで同様であった(樹脂1mlあたり約2mgのr−hIL−18BP、表4)。
【0114】
【表5】

【0115】
実施例3
IL−18BPの捕獲におけるMEP HyperCelカラムへの粗精製物のローディングに最適なpHの評価。
先に得られた実験上のキャパシティー(実施例2)は、樹脂1mlあたりr−hIL−18BPは2.1〜2.4mgの範囲であった(表4)。MEP HyperCelカラムを用いるとイムノグロブリンのフラクションはpH6.1で溶出しはじめ、pH4でカラムから完全に溶質される(文献1および2)のに対して、我々の予備実験によると、IL−18BPはそのようなpH範囲においてはカラムに結合したままである。我々は、この特徴はIL−18BPに対するカラムのキャパシティーを増加させるためにMEP−HyperCelカラムにCMMをロードする間に利用できる、すなわちイムノグロブリンの樹脂に対する吸着をより少なくし、結果として樹脂に対するr−hIL−18BPのより多くの吸着を可能とする、と推論した。したがって、pH7.2のかわりにpH6.1でCMMをロードすることの効果を調査した。r−hIL−18BPを含有するCMMのpHをMEP HyperCelカラムへの適用の前にpH6.1に調整した。また、ローディングの前に、カラムをpH6.1の緩衝液PBSで平衡化し、ローディングの後に同じ緩衝液で最初の洗浄を行った。
【0116】
これまでの実験において、ロードされたr−hIL−18BPの濃度は樹脂1mlあたり約2mgであったが、樹脂1mlあたり約6mgまでカラム中でのr−hIL−18BPの濃度を高めるためにカラムにロードするCCMの容量を議論した。
【0117】
表6に要約されている結果はIL−18BPに対する樹脂のキャパシティーは、CCMをpH6.1でローディングした場合pH7.2でローディングした場合のキャパシティーと比較して少なくとも2倍上昇した(表6)。IL−18BPは幅の狭いピークとして溶出されるので(図3を参照、各3mlの5つのフラクション)、濃度因子は2倍に増加した。
【0118】
これらの結果は pH6.1でのCCMのロードによりキャパシティーが増加し、そして溶出されるIL−BP18の濃度も増加することを示す。
【0119】
【表6】

【0120】
実施例4
MEP HyperCelカラムを用いたr−hIL−18BP捕獲におけるローディング速度の影響。
カラムへの粗精製物のローディング速度は、カラムの捕獲性能に影響し得るのであり、たとえば、高速でのローディングは操作においてはより便利であり、一方、低速でのローディングは収率を上昇させ得る。したがって、MEP HyperCelカラムでのr−hIL−18BP捕獲におけるローディング流速の影響を評価した。樹脂1mlあたり6mgのr−hIL−18BPを得るためにCMMをカラムにロードした(先の実施例を参照)。CMMは1つ目の実験においては流速0.5ml/min、2つ目の実験では3ml/minでロードされ、標準的な流速である1ml/minと比較された(表7)。流速3ml/minにおいては、流速1ml/minで回収したときと比較して、溶出フラクション中に回収したr−hIL−18BPは相当減少していた。流速0.5ml/minでのローディングは、流速1ml/minでのローディングと比較して、溶出フラクション中のr−hIL−18BPの量を顕著な増加はみられなかった。
【0121】
【表7】

【0122】
実施例5
SDS−PAGE分析
精製した5μgのr−hIL−18BPまたは20μlのクロマトグラフィーのフラクションをサンプル緩衝液4:1に希釈した。サンプルを95℃で5分間インキュベートし、還元条件下または非還元条件下、12%トリス−グリシン SDS−PAGE調製済みゲルで分離した。ゲルは20mAの定電流で〜1.5時間流され、クマシーブルーまたはゲルコード(GELCODE)染色された。
【0123】
サンプル緩衝液×4;50mlのpH6.8の0.15Mトリス(3.2.15、WFIで1:13.3で希釈し、pH6.8に調整(3.2.15 diluted 1:13.3 with WFI adjusted to pH 6.8))中に、4グラムのSDS(3.1.16)、20グラムのスクロース(3.1.32)、0.8 MのDTT(3.1.31)および20mgのブロモフェノールブルー(3.1.33)。
【0124】
ランニング緩衝液×10;pH8.3の500mlの水(7.10)中に、15グラムのトリス塩酸(4.2.66)、72グラムのグリシン(4.2.29)、5グラムのSDS(3.1.16)。
【0125】
実施例6
r−hIL−18BPを検出するためのELISA
4℃で一晩、コーティング緩衝液中IL−18BPに対し作製した5μg/mlのモノクローナル抗体(モノクローナルは国際公開第02/092008号パンフレットで記述したとおりに作製され、プロテインGカラムでアフィニティー精製された)でマイクロプレートをコートした。プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、ブロッキング緩衝液でブロックした(下記を参照)。洗浄後、100μlのr−hIL−18BPサンプルの等分(aliquots)をウエルに加え、振とうしながら37℃で1時間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、そしてアッセイ緩衝液で1:5000に希釈されたウサギ抗血清100μlを各ウエルに加えた。振とうしながら37℃で1時間インキュベートした後、洗浄工程を繰り返し、そして結合した抗体をアッセイ緩衝液で1:10000に希釈されたヤギ抗ウサギに結合された(cojugated)HRPで検出した。100μ/ウェルのHRP−コンジュゲート(HRP-conjugate)をプレートに加え、振とうしながら37℃で1時間インキュベートした。ついでプレートを洗浄し、発色反応(colour reaction)を125μl/ウェルのOPD基質溶液を加えることで展開した。125μl/ウェルの4N HClを加えることで反応を停止させた。吸光度はELISAリーダー中、492nmで測定された。免疫精製された(immunopurified)r−hIL−18BP−Hisのバッチ由来のサンプルを、このアッセイの展開中、リファレンスサンプルとして使用した。免疫精製したリファレンススタンダードのタンパク質含有量を吸収係数(extinction coefficient)1.26OD/mgを用いて分光法によりA280の波長で測定した。検量線は標準r−hIL−18BPをそれぞれのアッセイのためのアッセイ緩衝液において20ng/mlから0.3ng/mlまでの範囲でアッセイ緩衝液を用いて系列希釈することで作製した。
【0126】
ブロッキング緩衝液−BSA希釈物/ブロッキング溶液濃縮物(3.1.50)を1:10に希釈。
【0127】
アッセイ緩衝液−BSA希釈剤/ブロッキング溶液濃縮物(3.1.50)を1:15に希釈。
【0128】
実施例7
逆相HPLC(RP−HPLC)分析
r−hIL−18BPフラクションの同定および精製は、RP−HPLC(RP−HPLCカラム スーペルコシル(Supelcosil)LC308、カタログ番号5810、4.6mm、IDX5cm、ロット#C175、スーペルコ(Supelco)社製、米国)カラムを用いて次のように行った:20μgのr−hIL−18BPをカラムにインジェクトし、0.1%のTFA(トリフルオロ酢酸、ベーカー(Baker)社製、カタログ番号9470−01)中、10〜100%プロパノールのグラディエントを用い分離した。
【0129】
実施例8
MRP HyperCelカラムによるr−IL6−IL6Rキメラの捕獲
IL6−IL6Rキメラ(または「IL6R/IL6」もしくは「IL−6キメラ」とも呼ばれる)はキメラ分子であって、インターロイキン6に融合されたIg−様ドメインを有するインターロイキン6受容体の可溶性部位からなる(チェバスら(1997年)およびコレットら(1999年))。MEP HyperCelカラムへのr−hIL6−IL6Rキメラの結合を調査した。ローディングに用いた原料は、浄化および10kDaの膜による20倍濃縮後に得られた2%のFBS中CHOプロジューサー細胞の粗精製収穫物である(CCM)。
【0130】
CHO細胞により産生されたr−hIL6−IL6Rキメラの粗精製収穫物(CCM)を、PBSで平衡化されたMEP HyperCelカラム(ライフテクノロジーズ社製、カタログ番号12035)上にロードした。PBSでカラムを洗浄した後に捕獲された物質を2〜5カラムベッド(2-5 column)容量の35%プロピレングリコール(PG)を含有するpH8.4の20mMリン酸ナトリウム緩衝液で溶出した。ローディングおよび溶出条件はr−hIL−18BP捕獲工程と同様であった(下記を参照)。溶出されたフラクション中のタンパク質量はELISAおよび/またはSDS−PAGEにより分析した。
【0131】
より具体的には、1mlのカラムを20mlのPBSで平衡化し、4mlのr−hIL6−IL6Rキメラ粗精製収穫物をロードした。用いた流速は0.5ml/minであった。カラムを20mlのPBSで洗浄し、結合した物質をpH8.4の20mMリン酸塩中35%のプロピレングリコールを含む溶出緩衝液で溶出した。クロマトグラフィープロファイル(chromatography profile)は図4に示す。アンバウンドおよび溶出されたフラクションを回収し、ELISAおよびSDS−PAGEで分析した。クマシーブルーによるゲル染色を図5に描く。
【0132】
表1はクロマトグラフィーの結果を要約している。
【0133】
【表8】

【0134】
キャパシティーの結果となるこれらの条件は上記のml樹脂あたり2mgのr−hIL6−IL6Rで、収率はおよそ72%および精製因子は約94倍である。
【0135】
結果は、粗精製収穫物中においては基本的に検出不可能であるr−hIL6−IL6Rキメラ(図5)は、溶出フラクションにおける主要なバンドの1つである(ELISAで94倍精製)ことが明らかとなった。
【0136】
MEP HyperCelがr−hIL6−IL6R捕獲に適している樹脂であることが発見された。
【0137】
r−hIL6−IL6Rキメラ中Ig−様ドメインのMEP HyperCelカラムにおける寄与を評価するために、IL−6を産生するCHO細胞の粗精製収穫物を完全なr−hIL6−IL6Rキメラと同様の条件下でMEP HyperCelカラムにロードした。Ig−様ドメインを欠くIL−6はカラムMEP HyperCelカラムに結合しなかった。この結果は、Ig−様ドメインがMEP HyperCelカラムによる捕獲に必要不可欠であることを示す。
【0138】
実施例9
MEP HyperCelカラムによるr−β−ガラクトシダーゼの捕獲。
もう1つの実験において、Ig−様ドメインを有するバクテリアのタンパク質、β−ガラクトシダーゼのMEP HyperCelカラムへの結合を調べた。大腸菌β−ガラクトシダーゼ(ロッシュ・ダイアグノスティックス社製、カタログ番号567779)を、無血清培地(SFM)ProCHO−5に0.625mcg/mlで加えた。
【0139】
SFM中のβ−ガラクトシダーゼ4mlを20mlのPBSで平衡化した1mlのカラムにロードした。用いた流速は0.5ml/minであった。カラムを20mlのPBSで洗浄し、結合した物質をpH8.4の20mMリン酸塩中35%プロピレングリコールを含む溶出緩衝液を用いて溶出した。クロマトグラフィープロファイルは図6に示す。アンバウンドおよび溶出されたフラクションを回収し、SDS−PAGEで分析した。クロマトグラフィーの分離による種々のフラクション、リファレンス物質および分子量マーカーを含む図7に示されているゲルはクマシーブルーで染色される。結果は、β−ガラクトシダーゼが効率よくMEP HyperCelカラムに結合すること、およびβ−ガラクトシダーゼタンパク質が35%のPGにより効率よく溶出されることを示す。
【0140】
したがって、MEP HyperCelカラムはβ−ガラクトシダーゼの精製に適している。
【0141】
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【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】MEP HyperCelカラム上での2段階(35%〜50%)プロプレングリコール(PG)溶出におけるIL−18BPの捕獲において得られたクロマトグラムを示す。実行データ(Run Data):カラムベッド容量:5ml。平衡緩衝液:PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、10mM リン酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム、pH7.2、10×PBSの1:10希釈により調製される、IPLコード番号S88RD005−流速3ml/min。ロード:0.50mg/mlのr−hIL−18BP(ELISA)および32mg/ml総タンパク質(ブラフォード)を含有する濃縮粗精製物(CMM)−流速1ml/min。洗浄:1)PBS pH7.2、2)50mM酢酸塩 pH4.5(ピーク1)、3)インジェクション用の水(WFI)−全ての洗浄の流速は3ml/min。第1溶出:pH8.4の20mMリン酸塩緩衝液中35%のプロピレングリコール(ピーク2)−流速1ml/min。第2溶出:50%のPG中で。左の縦軸はA280での吸収(タンパク質のmAUユニット)を示し、右縦軸は伝導度(mS/crrユニット)を示し、横軸はカラムを通過して流れる容量(ml)を示す。
【図2】MEP HyperCelカラムを用いたIL−18BPの捕獲において得られたフラクションのSDS−PAGE分析を示す。分離したフラクション(resolved fractions)は図1に示される実験に由来する。レーン1)ロード、2)アンバウンド、3)pH4.5の50mM酢酸塩での洗浄、4)WFIでの洗浄、5)35%PGの溶出ピーク、6)リファレンスのrhIL18BP、7)分子量マーカー。長い矢印はr−hIL−18BPバンドを指し示す。
【図3】MEP HyperCelカラムのr−hIL−18BP溶出ピークの分別(fractionation)のクロマトグラムを示す。実行データ:カラムベッド容量:5ml。平衡緩衝液:pH6.1のPBS−流速3ml/min。ロード:pH6.1に滴定されたCMM CH008−流速3ml/min。洗浄:1)PBS pH6.1、2)50mM酢酸塩 pH4.1、3)WFI−全ての洗浄の流速は3ml/min。溶出:pH8.4の20mMリン酸塩緩衝液中35%のプロピレングリコール−流速1ml/min。図では溶出ピークの拡張を示しており、3mlフラクションごとに回収した。左の縦軸はA280(タンパク質のmAUユニット)での吸収を示し、右縦軸は伝導度(mS/crrユニット)を示し、横軸はカラムを通過して流れる容量(ml)を示す。
【図4】MEP HyperCelカラム上でのr−hIL6−IL6R捕獲のクロマトグラムを示す。実行データ:カラムベッド容量:1ml。平衡緩衝液:PBS−流速1ml/min。ロード:0.81mg/mlのr−hIL6−IL6Rを含有する粗精製収穫物(ELISA)−流速0.5ml/min。洗浄:PBS−流速0.5ml/min。溶出:pH8.4の20mMリン酸塩緩衝液中35%のプロピレングリコール−流速0.5ml/min。検出はA280。左の縦軸はA280(タンパク質のmAUユニット)での吸収を示し、右縦軸は伝導度(mS/crrユニット)を示し、横軸はカラムを通過して流れる容量(ml)を示す。
【図5】粗精製収穫物を含有するFBS中のr−hIL6−IL6RキメラをロードしたMEP HyperCelカラムからのロードおよび溶出フラクションとのSDS−PAGE分析を示す。フラクションはゲルにロードされた−20mcg/レーン。レーン1)−ロード、2)および3)−アンバウンド物質、4)−35%PGの溶出ピーク、5)リファレンスの精製r−hIL6−IL6R、5mcg/レーン、6)分子量(MW)マーカー。矢印はr−hIL6−IL6Rバンドを指し示す。
【図6】MEP HyperCelカラム上へのβ−ガラクトシダーゼ捕獲のクロマトグラムを示す。実行データ:カラムベッド容量:1ml。平衡緩衝液:PBS−流速1ml/min。ロード:0.625mg/mlのβ−ガラクトシダーゼを含有する無血清培地(SFM)−流速0.5ml/min。洗浄:PBS−流速0.5ml/min。溶出:pH8.4の20mMリン酸塩緩衝液中35%のプロピレングリコール−流速0.5ml/min。検出はA280。左の縦軸はA280(タンパク質のmAUユニット)での吸収を示し、右縦軸は伝導度(mS/crrユニット)を示し、横軸はカラムを通過して流れる容量(ml)を示す。
【図7】SFM(ProCHO5)中のβ−ガラクトシダーゼをロードしたMEP HyperCelカラムからのロードおよび溶出フラクションのSDS−PAGE分析を示す。フラクションは総タンパク質に基づきゲルにロードされた−20mcg/レーン。レーン1)ロード、2)〜4)アンバウンド、5)35%PGの溶出ピーク、6)リファレンスの精製β−ガラクトシダーゼ、5mcg/レーン、7)分子量マーカー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)目的のタンパク質を含有する生物学的液体に疎水性電荷クロマトグラフィー(HCIC)樹脂を接触させる工程、
b)アンバウンドのコンタミナントを除去するために樹脂を洗う工程、
c)酸性pHを有する溶液または有機溶媒を含む溶液により樹脂を処理することにより目的のタンパク質を溶出させる工程
を含む、生物学的液体から1と10の間のイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを有する目的の非イムノグロブリンタンパク質の精製または捕獲方法。
【請求項2】
工程a)で用いられるHCIC樹脂が、MEP−HyperCel樹脂である請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程c)で用いられる有機溶媒が、プロピレングリコールである請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
溶液中のプロピレングリコール濃度が、約25%と50%の間にある請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程a)が、酸性のpHで実施される請求項1、2、3または4記載の方法。
【請求項6】
用いられるpHが、約3と6.8の間にある請求項5記載の方法。
【請求項7】
洗浄工程b)が、酸性のpHを有する溶液で実施される請求項1、2、3、4、5または6記載の方法。
【請求項8】
用いられるpHが、約3と6.8の間にある請求項7記載の方法。
【請求項9】
生物学的液体が、細胞調製培養培地、細胞溶解物、細胞抽出物、組織抽出物、血漿、血清、乳汁、尿、腹水、脳脊髄液、野菜ジュース、植物抽出物または初期クロマトグラフィー分離工程由来のフラクションから選択される請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の方法。
【請求項10】
目的のタンパク質が、1〜7のIg−様ドメインを有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の方法。
【請求項11】
目的のタンパク質が、IL−18BP、NCAM、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチン、カドヘリン、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−1R、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFR、OSMR、VEGF受容体、FGF受容体、hPDGF受容体、T細胞受容体、MHCタンパク質、ミクログロブリン−β、CTLA4、B7活性化因子、ニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、IL6−IL6R、β−ガラクトシダーゼおよびスーパーオキシドディスムターゼ、または少なくとも1つのIg−様ドメインを含むそれらのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体またはフラグメントから選択される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の方法。
【請求項12】
タンパク質が、IL−18結合タンパク質(IL−18BP)である請求項11記載の方法。
【請求項13】
タンパク質が、IL−6−IL6Rキメラである請求項11記載の方法。
【請求項14】
タンパク質が、β−ガラクトシダーゼである請求項11記載の方法。
【請求項15】
溶出タンパク質の精製因子が、11倍と94倍の範囲にある請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14記載の方法。
【請求項16】
溶出タンパク質の精製因子が、約94倍である請求項15記載の方法。
【請求項17】
溶出タンパク質の濃縮因子が、1.5倍と3.1倍の範囲にある請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16記載の方法。
【請求項18】
溶出タンパク質の濃縮因子が、約3.1倍である請求項17記載の方法。
【請求項19】
溶出タンパク質の収率が、73%と98%の範囲にある請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18記載の方法。
【請求項20】
溶出タンパク質の収率が、約85%である請求項19記載の方法。
【請求項21】
a)目的のタンパク質を含有する生物学的液体に疎水性電荷クロマトグラフィー(HCIC)樹脂を接触させる工程、
b)アンバウンドのコンタミナントを除去するために樹脂を洗う工程、
c)酸性pHを有する溶液または有機溶媒を含む溶液により樹脂を処理することにより目的のタンパク質を溶出させる工程、
からなる生物学的液体から1と10の間のイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを有する目的の非イムノグロブリンタンパク質を捕獲するためのHCICの使用。
【請求項22】
工程a)で用いられるHCIC樹脂が、MEP−HyperCel樹脂である請求項21記載の使用。
【請求項23】
工程c)で用いられる有機溶媒が、プロピレングリコールである請求項21または22記載の使用。
【請求項24】
溶液中のプロピレングリコール濃度が、約25%と50%の間にある請求項23記載の使用。
【請求項25】
工程a)が、酸性のpHで実施される請求項21、22、23または24記載の使用。
【請求項26】
用いられるpHが、約3と6.8の間にある請求項25記載の使用。
【請求項27】
洗浄工程b)が、酸性のpHを有する溶液で実施される請求項21、22、23、24、25または26記載の使用。
【請求項28】
用いられるpHが、約3と6.8の間にある請求項27記載の使用。
【請求項29】
生物学的液体が、細胞調製培養培地、細胞溶解物、細胞抽出物、組織抽出物、血漿、血清、乳汁、尿、腹水、脳脊髄液、野菜ジュース、植物抽出物または初期クロマトグラフィー分離工程由来のフラクションから選択される請求項21、22、23、24、25、26、27または28記載の使用。
【請求項30】
目的のタンパク質が、1〜7のIg−様ドメインを有する請求項21、22、23、24、25、26、27、28または29記載の使用。
【請求項31】
目的のタンパク質が、IL−18BP、NCAM、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチン、カドヘリン、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−1R、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFR、OSMR、VEGF受容体、FGF受容体、hPDGF受容体、T細胞受容体、MHCタンパク質、ミクログロブリン−β、CTLA4、B7活性化因子、ニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、IL6−IL6R、β−ガラクトシダーゼおよびスーパーオキシドディスムターゼ、または少なくとも1つのIg−様ドメインを含むそれらのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体またはフラグメントから選択される請求項21、22、23、24、25、26、27、28、29または30に記載の使用。
【請求項32】
タンパク質が、IL−18結合タンパク質(IL−18BP)である請求項31記載の使用。
【請求項33】
タンパク質が、IL−6−IL6Rキメラである請求項31記載の使用。
【請求項34】
タンパク質が、β−ガラクトシダーゼである請求項31記載の使用。
【請求項35】
溶出タンパク質の精製因子が、11倍と94倍の範囲にある請求項21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34記載の使用。
【請求項36】
溶出タンパク質の精製因子が、約94倍である請求項35記載の使用。
【請求項37】
溶出タンパク質の濃縮因子が、1.5倍と3.1倍の範囲にある請求項21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36記載の使用。
【請求項38】
溶出タンパク質の濃縮因子が、約3.1倍である請求項37記載の使用。
【請求項39】
溶出タンパク質の収率が、73%と98%の範囲にある請求項21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37または38記載の使用。
【請求項40】
溶出タンパク質の収率が、約85%である請求項39記載の使用。
【請求項41】
1と10の間のイムノグロブリン様(Ig−様)ドメインを有する目的の非イムノグロブリンタンパク質であって請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の方法によって生物学的液体から精製または捕獲されたものを含む精製タンパク質調製品。
【請求項42】
目的のタンパク質が、IL−18BP、NCAM、フィブロネクチンタイプIII、ICAM−1、madCAM−1、PE CAM−1、VCAM−1、タイチン、カドヘリン、ニューロカン、LIFR、CNTFR、IL−1R、IL−3R、IL5R、IL−6R、IL−12R、GM−CSFR、OSMR、VEGF受容体、FGF受容体、hPDGF受容体、T細胞受容体、MHCタンパク質、ミクログロブリン−β、CTLA4、B7活性化因子、ニューレグリン、凝集因子XIII、NF−kB、IL6−IL6R、β−ガラクトシダーゼおよびスーパーオキシドディスムターゼまたはアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体または少なくとも1つのIg−様ドメインを含むそれらのフラグメントから選択される請求項41記載の精製タンパク質調製品。
【請求項43】
タンパク質が、IL−18BPである請求項42記載のタンパク質調製品。
【請求項44】
タンパク質が、IL−6−IL6Rである請求項42記載のタンパク質調製品。
【請求項45】
タンパク質が、β−ガラクトシダーゼである請求項42記載のタンパク質調製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−523882(P2007−523882A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522496(P2006−522496)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000732
【国際公開番号】WO2005/014621
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(303066954)アプライド・リサーチ・システムズ・エイアールエス・ホールディング・ナムローゼ・フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】