説明

イメージスケール作成方法、その装置、及びイメージスケール作成プログラム

【課題】刺激に対するイメージスケールを容易に作成する。
【解決手段】イメージスケール作成装置1は、複数のコード進行における各コード進行間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表コード進行を受け付けて取り込むデータ取得部101と、代表コード進行に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果を受け付けて取り込み、かつ因子得点算出部103で所要数の因子における因子得点に変換し、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出する第1マッピング処理部104と、残りのコード進行の各々について各代表コード進行との印象情報と、イメージスケール上の各代表コード進行の座標値とから、残りのコード進行のそれぞれについてイメージスケールの空間上の座標値を算出する第2マッピング処理部105とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、因子分析法に多次元尺度法を適用して多数の刺激をイメージスケールにマッピングするイメージスケール作成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽は、環境やその場の雰囲気に大きく影響を与える。いかに優れた音楽であっても、周りの雰囲気と調和しなければ環境を台無しにすることもある。音楽の印象を定量化、尺度化できれば、環境やその場の雰囲気に相応しい音楽を効果的にデザインすることができると期待される。色に対する物差しであるカラーイメージスケールは、多くの業界の製品デザイン、マーケッティングに利用されている。一方、音楽等の完成情報の物差しとなるサウンドイメージスケールに対しても、オーディオ情報提供システム、音楽検索システム、自動作曲・編曲システム構築等のため、いくつかの検討がなされている。曲想など音楽の印象を決定する要素であるコード進行に対しても、コード進行と感性語の対応の対応付けがアンケート方式による因子分析によって検討されている。
【0003】
非特許文献1には、コード進行のパターンと感性語の対応について、42個のコード進行パターンを準備し、それぞれに12個の形容詞対を用いてアンケートを行い、その結果から因子分析によってコード進行と感性語との関連性を感性空間上に表示したものが記載されている。
【0004】
特許文献1には、商業空間や公共空間にBGM音楽を提供するべく、楽曲等の物理的特徴と印象空間座標値と書誌事項よりなるオーディオ情報と因子分析や主成分分析などを用いて決定される印象表現言語などを用いた入力インターフェースを有するオーディオ情報適用システムが提案されている。すなわち、商業空間の印象を表現する複数の言葉のうちの代表尺度に基づいて心理学的評価を施して商業空間用印象空間を定義し、次いで、オーディオ情報である楽曲を上記商業空間用印象空間を表す座標系に写像するための写像関数を決定する。サンプルとなる複数の楽曲について、上記商業空間イメージの主観評価の場合と同一の代表尺度と評価者によって主観評価を行い、上記商業空間用印象空間を表す座標系における印象空間座標値を算出し、一方、これらサンプルとなる複数の楽曲の物理的特徴を算出する。算出された印象空間座標値と物理的特徴との関係から、楽曲を商業空間用印象空間を表す座標系に写像するための写像関数を重回帰分析などの数学的手法を用いることにより決定するものである。
【0005】
非特許文献2には、音楽作品の感情価による分類分析の試みが記載されている。すなわち、対象曲の全てに対するアンケート結果に対して、形容詞の妥当性を検証するべく因子分析法で共通因子を抽出してクラスタリングを行い、次に、個人差を考慮するべく、感情価に基づく個人の分類を行うものが記載されている。
【特許文献1】特開2002−333892号公報
【非特許文献1】木村真理、山中信一、徳丸正孝、村中徳明、今西茂著、“コード進行のパターンと感性語の対応について”,A−15−21,P299,2000年電子情報通信学会総合大会
【非特許文献2】岸原万梨子、辻光宏著、“音楽作品の感情価による分類分析のこころみ”,P37〜P38,2006年,日本計算機統計学会大会論文集
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コード進行と感性語とをイメージスケール上に展開する場合、コード及びその進行の種類は、規定された周知のものの他、種々の音楽ジャンルを世界的規模から見れば、さらに種々のコードの存在が考えられ、それに応じてコード進行も勢い増大し、さらには種々のコード進行の印象評価を行うための形容詞の種類も増大すると考えられる。従って、非特許文献1のように、因子分析法のためのアンケートを必要とする因子分析法では、実用的なスケールの構築には限界があった。
【0007】
特許文献1では、多変量解析手法(多次元尺度法)が用いられているが、同じ尺度で評価された各楽曲を商業空間上に写像するものであり、またコード進行に関するものではない。非特許文献2では、因子分析法が採用されているに過ぎず、またコード進行に関するものではない。
【0008】
また、近年、色彩の分野において、日本カラーデザイン研究所が色彩イメージを形容詞に置き換えることを主眼として作成した「カラーイメージスケール」が知られている(小林重順著、“カラーイメージスケール”,オーム社出版,2001年)。このカラーデザイン研究所が開発したカラーイメージスケールを音楽における特徴抽出に用いる可能性については、音楽と色彩に関するイメージが全く同じ形容詞のイメージスケールで抽出できるとは考えにくい。すなわち、カラーイメージスケールは、デザイン分野でのイメージ評価のために作成されたものであり、ネガティブなイメージについて評価できるフィールドは設定されているものの実際には使われていない一方、音楽ではネガティブなイメージ表現も非常に重要であり、さらにコード進行というようなコードの組合せは、種々の音楽ジャンル、また、世界的規模でみれば、無限にあり、これらについて全てをアンケートすることは不可能に近い。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、複数の刺激の各刺激間の類似性に関する印象アンケートと、代表刺激に対する形容詞による印象アンケートに基づいてイメージスケールを容易に作成し得るイメージスケール作成方法、その装置、及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、複数の刺激における各刺激間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表刺激を受け付けてコンピュータに取り込み、前記代表刺激に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果を受け付けて前記コンピュータに取り込み、かつ前記コンピュータによって、所要数の因子における因子得点に変換し、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出し、前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との印象情報と、前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値とから、前記コンピュータによって、前記残りの刺激のそれぞれについて前記イメージスケールの空間上の座標値を算出することを特徴とするイメージスケール作成方法である。
【0011】
請求項7記載の発明は、複数の刺激における各刺激間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表刺激を受け付けて取り込む手段と、前記代表刺激に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果を受け付けて取り込み、かつ所要数の因子における因子得点に変換し、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出する手段と、前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との印象情報と、前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値とから、前記残りの刺激のそれぞれについて前記イメージスケールの空間上の座標値を算出する手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするイメージスケール作成プログラムである。
【0012】
請求項8記載の発明は、複数の刺激における各刺激間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表刺激を受け付けて取り込む手段と、前記代表刺激に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果を受け付けて取り込み、かつ所要数の因子における因子得点に変換し、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出する手段と、前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との印象情報と、前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値とから、前記残りの刺激のそれぞれについて前記イメージスケールの空間上の座標値を算出する手段とを備えたことを特徴とするイメージスケール作成装置である。
【0013】
これらの発明によれば、複数の刺激における各刺激間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表刺激が受け付けられ、コンピュータ等に取り込まれ、次いで、前記代表刺激に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果が受け付けられて前記コンピュータ等に取り込まれ、かつアンケート評価結果は所要数の因子における因子得点に変換され、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出される。そして、前記代表刺激以外の残りの刺激の各々については、前記各代表刺激との印象情報と、前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値とから、前記残りの刺激のそれぞれについて前記イメージスケールの空間上の座標値が算出され、これにより前記複数の刺激がイメージスケール上にマッピング可能となる。従って、刺激の数が多い場合に、前記形容詞も増大するが、全ての刺激についてアンケートを行う作業を不要にして、複数の刺激における各刺激間の印象についてのアンケート作業のみで、全刺激に対するイメージスケールを構築することが可能となる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のイメージスケール作成方法において、前記印象情報は、多次元尺度法によって得られた距離情報であることを特徴とする。この構成によれば、印象情報は、多次元尺度法によって得られた距離情報であるので、印象の差を顕在化することが可能となり、残りの刺激のイメージスケール上でのマッピング座標値がより精度良く算出される。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のイメージスケール作成方法において、前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について、前記各代表刺激との距離情報が求められ、かつ該残りの刺激の前記イメージスケール上の仮想座標値と前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値との距離の差分の総和が最小となる座標値を該残りの刺激の前記イメージスケールの空間上の座標値とすることを特徴とする。この構成によれば、前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との距離情報と、該残りの刺激について前記イメージスケール上の仮想座標値が仮定され、この仮想座標値と前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値との距離の差分の総和が最小となる座標値が該残りの刺激の前記イメージスケールの空間上の座標値とされる。なお、前記差分は、1次元での距離(すなわち絶対値)の総和でもよく、また2乗したものの総和でもよい。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のイメージスケール作成方法において、全ての刺激の座標値を用いて前記イメージスケール上に全刺激値をマッピングすることを特徴とする。この構成によれば、全ての刺激の座標値が用いられて前記イメージスケール上に全刺激がマッピングされる。マッピング結果は、画像表示部に表示されてもよいし、記録紙にプリントアウトされてもよい。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のイメージスケール作成方法において、前記複数の形容詞の前記因子に対する負荷量を算出し、得られた各因子の負荷量を用いて、前記複数の形容詞を前記イメージスケール上にマッピングすることを特徴とする。この構成によれば、各刺激と各形容詞とが同一イメージスケール上に併記表示されるので、各刺激について形容詞との印象の関連性の視認が容易となる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のイメージスケール作成方法において、前記刺激は、楽音のコード進行であり、前記印象は、2つの前記コード進行間の類似度合いについての情報であることを特徴とする。この構成によれば、例えば環境にマッチングしたコード進行を有する楽曲の選出、及び作曲、編曲が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,7,8記載の発明によれば、刺激の数が多い場合に、前記形容詞も増大するが、全ての刺激についてアンケートを行う作業を不要にして、複数の刺激における各刺激間の印象についてのアンケート作業のみで、全刺激に対するイメージスケールを構築することができることとなる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、印象情報を、多次元尺度法によって得られた距離情報としたので、印象の差を顕在化することが可能となり、残りの刺激のイメージスケール上でのマッピング座標値をより精度良く算出できる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との距離情報と、該残りの刺激について前記イメージスケール上の仮想座標値を仮定し、この仮想座標値と前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値との距離の差分の総和を最小とする座標値を該残りの刺激の前記イメージスケールの空間上の座標値として得ることができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、全ての刺激の座標値が用いられて前記イメージスケール上に全刺激をマッピングすることができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、各刺激と各形容詞とを同一イメージスケール上に併記表示することで、各刺激についての形容詞との印象の関連性を容易に視認乃至は認識することが可能となる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、例えば環境にマッチングしたコード進行を有する楽曲の選出、及び作曲、編曲を容易化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を、スケーリング対象である刺激の一例としてコード進行を採用した場合の実施形態で説明する。先ず、コード進行について説明する。コード進行は、2〜8個のコードの時系列的表現であり、コードの組合せにより構築される。代表的には、コード進行スタイルブック(成瀬正樹著,“コード進行スタイルブック”,リットーミュージック出版, 2001年)に掲載されている。本実施形態では、そのうち、Cのコードから始まり、所定数、例えば合計4つのコードが並んだ進行を採用した。表1に19種類のコード進行の一例を示す。
【0026】
【表1】

【0027】
また、本実施形態では、コード進行は以下の通り統一して作成している。すなわち、音色は、ピアノであり、速さは、四分音符(=100)であり、音の高さ(ボイシング)は通常の方法で設定されているものとする。コード音源は、生演奏によるものや音声記録手段に記録されたものでもよいし、あるいは例えばMIDI(Musical Instrument Digital Interface)データで再生可能に形成されたものでもよい。
【0028】
本発明は、3つのステップからなる。第1のステップは、予め準備された複数のコード進行のうちの、それぞれ2つのコード進行間の類似性に関するアンケート結果を多次元尺度法で展開するものである。第2のステップは、第1のステップの結果から代表として選出された所定数の代表コード進行に対して、印象を評価する各形容詞に関するアンケート結果を因子分析法で分析して因子得点を求め、その結果から因子項目を軸としたイメージスケール上にマッピングするものである。第3のステップは、第1、第2のステップの結果を利用して残りのコード進行を同イメージスケール上にマッピングするものである。
【0029】
このように、第2のステップで全てのコード進行について処理を行うのではなく、代表コード進行についてのみ処理を行い、第3ステップで、残りのコード進行に対するマッピングを第1のステップと第2のステップとの処理結果を利用して行うことで、全コード進行に対するマッピング処理の簡易化を図っている。また、第1のステップで2つのコード進行間の類似性を全組合せについて評価し、その処理結果を取得しておくことで、第3のステップのような簡素な処理を可能としている。
【0030】
以下、本発明を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るイメージスケール作成装置の一実施形態を示すハードウエア構成図である。
【0031】
図1に示すように、本イメージスケール作成装置1は、コンピュータを有し、CPU(Central processing unit)からなる制御部10、制御部10と接続され、本発明に係る情報処理を時候するための各処理プログラム、所要の描画プログラム等が格納されたROM11、処理データを一時的に保管するRAM12を備えている。また、イメージスケール作成装置1は作業者からの入力や指示を受け付けるキーボード、マウスを備えた操作部13、予め設定された形式(例えばイメージスケール)画像を表示したり、入力情報の確認画面を表示するための液晶パネルやプラズマディスプレイ等からなるモニタ14を備えている。また、必要に応じてモデム15が接続され、LAN(Local area network)やWAN(Wide area network;例えばインターネット)等のネットワークを介して、ネットワーク上に設置されたデータサーバに処理情報を保管したり、取り出す等のデータ通信を可能にしている。なお、前記データサーバは、IPアドレスを有し、格納された処理情報が、例えばインターネットを介してブラウザ機能を有する他のパーソナルコンピュータから必要に応じて検索されたり、情報取得されたりすることが可能な構成としてもよい。
【0032】
ROM11は、第1〜第3のステップを実行する処理プログラム、各表示画像の描画プログラム、及び処理に必要な所定の演算式、設定値、及びテーブルデータ等が格納されたものである。
【0033】
RAM12は、情報処理を行うワークエリアの他、第1ステップにおいて採用されるコード進行を文字表記した全情報、第1ステップで得られた結果であるそれぞれの距離情報(あるいは多次元尺度法で得られた結果情報)、及び全コード進行のうち、後述するようにして選出された代表コード進行を取り込んで記憶するコード進行情報記憶部121と、代表コード進行に対して第2のステップで得られた評価結果及び代表コード進行の因子得点を記憶する第2ステップ処理情報記憶部122等のメモリエリアを備えている。なお、RAM12内に第3のステップの処理結果を記憶する記憶部を有する態様としてもよいが、第3のステップは、いわば写像処理的なマッピング処理であるので、ROM11に射影関数(演算式)等が格納されていて、計算によってその都度、ワークエリアを利用してマッピング処理を行うようにしてもよい。
【0034】
制御部10は、操作部13からの操作情報を受け付けて、RAM12に一時的に格納するデータ取得部101、モニタ14に所要の画像(以下に説明する図表を含む)を描画させる画像表示制御部102、第2のステップで得られる因子得点を算出するための因子得点算出部103、算出された因子得点に基づいてイメージスケール上に代表コード進行のマッピングを施す第1マッピング処理部104、及び代表コード進行を除く残りのそれぞれであって、すなわち各対象コード進行及び全代表コード進行における第1ステップの多次元尺度法で得られた距離情報と代表コード進行のイメージスケール上の位置情報とから、各対象コード進行を同一イメージスケール上にマッピングする第2マッピング処理部105を備えている。制御部10の各機能は、ROM11内のプログラムがRAM12のワークエリアに必要に応じて読み出されることで実行される。
【0035】
続いて、各ステップについて説明する。まず、第1のステップである、各コード進行間の類似距離の取得、及び多次元尺度法によるコード進行の代表の選出についての一実施例を説明する。第1のステップに用いる代表コード進行の選出は、多次元尺度法を利用して行っている。
【0036】
まず、2個ずつのコード進行間の類似度合いの印象に関しての距離を求める。この距離に基づき、多次元尺度法を利用して、低次元の空間上へマッピングし、互いに離間した(互いの距離の大きな)位置関係にあるようなコード進行を、第2のステップで用いるための代表コード進行として所要数だけ選出する。多次元尺度法とは、刺激間の距離を刺激相互の類似度合いを(1次元の)指標として求める方法である。そして、多次元空間の次元数を決定し、各刺激がこの空間内で持つ距離および座標軸への投射を決定するものである。これによって、刺激、すなわちコード進行間の印象として似ているか似ていないか(という類似度合いについて)の1次元での指標(距離)を、多次元化することでより顕在化した分散性として求めることができる。
【0037】
ここでは、コード進行間の距離を求める手法は、コード進行について2個ずつの組合せ(対)を作り、それぞれの類似度の程度を評定尺度を用いて判断する評定尺度法を採用した。なお、コードの種類は周知のものでも100個近くあるため、本実施例では、そのうちの所定数のコード進行を例に取って説明する。すなわち、表1に示す19個のコード進行について2個ずつの組合せ(対)171個(=19)を作り、それぞれについて、聴いた印象が似ているか似ていないかを、“全く似ていない”から“非常に似ている”の範囲内で所定段階、本実施例では7段階の距離で評価した。171個をそれぞれ複数人数の被験者で評価した。
【0038】
なお、評価に当たっては、前記ボイシングによる影響をなくすため、被験者には音の高さや、一番耳に入り易いと思われる最高音の動きではなく、全体を聴いた印象が似ているか似ていないかで判断させた。
【0039】
得られた距離情報は、操作部13を介してデータ取得部101によってRAM12に書き込まれる。各コード進行を他の18個のコード進行との各距離を参照して、1次元ではなく、多次元尺度法を用いて、2軸、又は3軸上に展開し、各コード進行間の類似距離の相関を顕在化した。
【0040】
図2〜図5は、コード進行の類似度合いの、各コード進行間の距離情報を2次元と3次元のスケール(空間)上に展開したマッピング結果を示している。図2は、2次元で表示した場合の画面例であり、図3は、3次元(1−2軸)で表示した場合の画面例であり、図4は、3次元(1−3軸)で表示した場合の画面例であり、図5は、3次元(2−3軸)で表示した場合の画面例である。図2では、2軸(縦軸)の負の方向(第3、第4象限)に比較的明るい感じのコード進行があることが判る。また、第2象限にはベースが下がっていっているコード進行など少し複雑なものが集まっている。図3は、2次元で表した図2に比較的似ている。
【0041】
これらの結果より、図2〜図5に示すような空間内にプロットされたコード進行のうちから代表するコード進行を決定する。まず、コード進行の中でも代表といえる、CDm7 G7 Cを選んだ。また、これを含め、図2〜図5から、互いに距離の離れたコード進行として、所望数、本実施例では、以下の7個を代表として選出した。選出されたコード進行は、代表コード進行として操作部13を介してRAM2に格納される。
【0042】
「C Dm7 G7 C」、
「C Em/B Em7(b5)/Bb A7」、
「C Am Dm E7」、
「C Gm C7 F」、
「C G Am Em」、
「C Caug C6 Caug」、
「C C Δ 7/B C7/Bb A7」。
【0043】
なお、各コードの分散状態から所要数のグループ化を実行し、さらに、各グループ内の、例えば重心位置に近いコード進行を代表コード進行として、自動選出する処理プログラムを制御部10内に内蔵してもよい。この場合には、評定尺度の結果を操作部13を介してデータ取得部101によってRAM12内に取り込むことで、制御部10によって、代表コード進行を自動的に選出することが可能となる。
【0044】
次に、第2のステップである、SD法(Semantic Differential Method)と因子分析法とを用いての、コード進行個々の印象評価について説明する。ここでは、コード進行に対する印象評価の方法について説明する。
【0045】
第2のステップでは、SD法を用いてコード進行に対する印象の評価次元を明らかにする。また、その次元に基づき、空間上に形容詞をマッピングする。
【0046】
先ず、コード進行に対し複数の形容詞で評価する。なお、多くのコード進行に対し多くの形容詞で評価することは被験者の負担になる。そこで、第1のステップで選出された前記7個の代表コード進行を用いる。第1のステップで求めたコード進行の印象が互いに似ていないコード進行を代表コード進行として選んだため、コード進行に対する印象の評価次元を得られると考えられる。
【0047】
コード進行に関連する形容詞、及び音楽の印象に使われている形容詞から、所定数、例えば25個の形容詞対を選出した。評価方法としてはSD法を用い、各コード進行の印象について所定段階で、ここでは7段階で評価を求めた。用いた形容詞対は、例えば以下のものである。
【0048】
「不安定な−安定な」、「派手な−地味な」、「嫌いな−好きな」、「澄んだ−よどんだ」、「俗っぽい−神聖な」、「大胆な−臆病な」、「明るい−暗い」、「斬新な−古典的な」、「単純な−複雑な」、「弱々しい−力強い」、「豪華な−簡素な」、「緊張感のある−ゆるんだ」、「激しい−穏やかな」、「冷静な−情熱的な」、「不快な−快い」、「堅い−やわらかい」、「子供らしい−大人っぽい」、「くどい−あっさりした」、「素朴な−洗練された」、「陽気な−沈んだ」、「重厚な−軽快な」、「悲しい−嬉しい」、「おしゃれな−やぼったい」、「暖かい−冷たい」、「下品な−上品な」。
【0049】
所定数の被験者は、代表コード進行のそれぞれの印象について評価を行った。評価結果は、操作部13を介してデータ取得部101によってRAM12に取り込まれる。図6は、制御部10によって得られた、評価結果の平均値を示している。SD法によって得られたデータは、通常、「評価対象」×「形容詞対」×「被験者」の3次元であるが、因子分析法を適用するにはデータが2次元である必要がある。本実施例では、異なる評価対象についての各評価は互いに独立であるという仮定に基づいて、「評価対象」と「被験者」とを区別せずに一次元とし、それらと「形容詞対」との2次元データとして、因子分析(主因子法やバリマックス回転など)を行った。
【0050】
SD法で得られたデータについて、「被験者」を変量として、25対それぞれの「形容詞」間の相関係数(Pearsonの積率相関係数)を算出し、相関行列を構成する。相関行列を固有値分解することで、25対の固有値と固有ベクトルとが得られる。因子分析法では、それぞれの固有ベクトルは因子負荷量に相当し、固有ベクトルに対応する各固有値の大きさが因子としての重要性を示している。それぞれの固有値についてパーセント換算したものを寄与率、寄与率の値を大きなものから足したものを累積寄与率とよぶ。
【0051】
なお、バリマックス(nomalized varimax method)回転とは、因子の解釈を容易にするために行う直交回転の一つで、共通性で修正した因子負荷量の2乗の分散の和という「バリマックス基準」を最大とするように因子軸の回転を行うものである。
【0052】
その結果、固有値1以上の5成分を抽出した。図7は、因子数、固有値及び寄与率との関係を示しており、最初の3つの因子で全分散の56.6%を説明できること、また、因子数と固有値との関係を示す図8からも判るように、スクリープロットを検討した結果、第3因子の固有値と第4因子の固有値との間にかなりの落差があること、さらにイメージスケールとして、因子数が少ない方が解釈が容易であり実用性が高いことなどから、本実施例では3因子構造とした。図9は、その結果の因子負荷量を示す図表である。
【0053】
ここで、因子の解釈を行う。第1因子は、「不快な−快い」、「下品な−上品な」、「好きな−嫌いな」、「澄んだ−よどんだ」〜「おしゃれな−やぼったい」などコード進行の評価にまつわるものであり、「評価因子」とした。第2因子は、「陽気な−沈んだ」、「悲しい−嬉しい」、「明るい−暗い」〜「子供らしい−大人っぽい」などから、「高揚因子」とした。第3因子は、「豪華な−簡素な」、「冷静な−情熱的な」、「大胆な−臆病な」〜「弱々しい−力強い」などから、「活動因子」とした。
【0054】
また、因子負荷行列より、形容詞を空間上にマッピングした結果を、図10〜図12に示す。図10は、評価因子と高揚因子とを直交スケールとする空間を示し、図11は、評価因子と活動因子とを直交スケールとした空間を示し、図12は、高揚因子と活動因子とを直交スケールとする空間を示している。
【0055】
さらに、図6及び図9から、因子得点算出部103によって各代表コード進行に対する因子得点を求めた。図13は、その結果を示している。第2のステップの結果から、コード進行の印象は、「評価」、「活動性」、「高揚」にまつわる3つの因子から構成されることが明らかとなった。また、因子負荷量よりコード進行の印象空間に形容詞をプロットした。
【0056】
なお、ここでは、環境にあった音のデザインのためのスケールを生成することが目的のひとつである。そこで、主観性が高いと予想される「評価」の因子を除いた「高揚因子」と「活動因子」とのスケールを用いて、以下説明する。
【0057】
第1、第2のステップの結果から、コード進行におけるイメージスケールを構築する方法を説明する。形容詞のスケールには、第2のステップで求めた「高揚因子」と「活動因子」とを軸にし、因子負荷量に基づき形容詞を配置した図を用いる。すなわち、軸を「warm-cool」と「active-passive」とに改めた。
【0058】
図14は、その結果を示す、因子得点による代表コード進行のマッピングの図である。すなわち、図14は、第2のステップの結果より、代表コード進行のマッピング処理において求めた各コード進行に対する因子得点(図13) より、「高揚因子」と「活動因子」(「warm-cool」と「active-passive」)に対して配置した結果を、第1マッピング処理部104によって、因子得点によるコード進行をマッピングした結果を表したものである。
【0059】
最後に、第2マッピング処理部105によって実行される、残りのコード進行のマッピングについて説明する。
【0060】
第2のステップで用いた7個の代表コード進行以外の、本実施例では12個のコード進行をコード進行のスケール上にマッピングする。因子得点によりマッピングした図14と、第1のステップでの多次元尺度法の結果より配置したコード進行の図3〜図5とを見比べた結果、図3のコード進行の配置が因子得点より算出した図に近いことから、ここでは多次元尺度法によるマッピング結果を改めて図15に示す。
【0061】
図15において、軸を所定角度だけ仮想的に回転して観察すると、因子得点の図14の位置関係に似ている。例えば、「CDm7 G7 C」はどちらの図においても、「active」 の軸付近で「active」と「warm」 との軸の間にある。「C C Δ 7/B C7/Bb A7」は少し離れているが、「C Em/B Em7(b5)/Bb A7」と「C Caug C6Caug」とは比較的近い位置にある。また,「C G Am Em」も「C Gm C7 F」もどちらの図においても「passive」の軸付近にある。さらに、「C Dm7 G7 C」も「warm」軸の近くにある。そこで,この距離関係を用いて残りのコード進行を配置(マッピング)する。
【0062】
本実施例では、以下の方法を用いて因子得点よりマッピングした図に、残りのコード進行を配置(マッピング)する。例えば、図16、図17を用いて、「CE7 Am C7」の位置の決め方を説明する。まず、「C E7 Am C7」と各7個の代表コード進行との距離を多次元尺度法より算出した値を用いて求める(図16の各線分を参照)。距離をそれぞれ、
dm[1],dm[2],・・・,dm[7]とする。
【0063】
次に、第2のステップで求めた因子得点表について、横軸の所定幅、例えば−1.5から+1.5までを所定間隔で、例えば0.05ずつ、縦軸の所定幅、例えば−1.5から+1.5までを所定間隔で、例えば0.05ずつ、点をとっていく。その点と7個の代表コード進行とのそれぞれの距離を因子得点より算出する(図17の各線分を参照)。求めた距離をそれぞれ、
di[1],di[2],・・・,di[7] とする。
【0064】
それぞれ求めた距離の差の二乗の総和を差分eとすると、数1に示すように
【0065】
【数1】

【0066】
で求まる。(但し、本実施形態では、n=7である。)かかる計算を、上述した横軸−1.5から+1.5まで、縦軸−1.5から+1.5までそれぞれ0.05間隔で順次実行する。そして、最終的に差分eが最少となるときの座標を該コード進行の配置位置として採用する。この処理を残りの全てのコード進行について実行する。
【0067】
図18は、差分eが最小となる時の各座標値を示している。全体として誤差は小さい。また、図19は、イメージスケール上にサンプルの19個のコード進行がマッピングされた状態を示す図である。図20は、イメージスケール上に、図19に示すコード進行と、図12に示す形容詞とを重ねた状態を示す図である。図20によれば、各刺激と各形容詞とを同一イメージスケール上に併記表示することで、各刺激についての形容詞との印象の関連性を容易に視認乃至は認識することが可能となる。
【0068】
以上のように、本発明では、コード進行の印象構造を明らかにすることと、コード進行間の印象の距離を測るため、まず多次元尺度法を用いて実験し、その結果より、コード進行の空間を構成し、印象評価の実験に使うコード進行を代表コード進行として選出した。次に、代表コード進行の印象構造を明らかにするため、代表コード進行を用いて因子分析法で分析し、コード進行の印象空間を、評価、活動性、高揚で構成されているものとした。ここでは、イメージスケールとして、活動性と高揚の次元を用い、これらの軸を「cool-warm」、「active-passive」(実質は同義である)とした。そして、因子負荷量より尺度(形容詞) をこの次元上に表した。また、代表コード進行に対する因子得点を求めることにより、代表コード進行もこの次元上に表した。最後に、多次元尺度法で求めた距離を用いて、代表コード進行以外の、残りのコード進行をこの次元上にマッピングし、コード進行におけるサウンドイメージスケールの構築を実現した。このようにして構築されたサウンドイメージスケールは、環境に合ったコード進行のデザイン設計において有用となる。
【0069】
以上のように、本発明は、音楽の印象、すなわちコード進行の印象を定量化、尺度化して提示する物差しを構築する方法等を提供するものである。音楽印象の物差しであるサウンドイメージスケールは、売り場、職場といった周りの環境と調和する音源の提供サービスにおける検索ツールとして、場に合う音楽を効果的にデザインする際のツールとなるものである。また、例えばWebサイト上に設置することで、音源検索サービス、提供サービス、自動編曲サービス等への適用も可能となる。
【0070】
なお、本発明は、コードCで始まるコード進行を例として説明したが、本発明は、これに限定されず、他のコードから、さらには全ての種類のコードから始まるコード進行のうちの所要数について各ステップを実行させても同様に成立するものである。全てのコードの例えば4つの組合せをアンケート対象とすることは無理であることから、所要数の組合せについて本発明の処理を実行し、新たなコード進行のイメージスケール上へのプロットは、該新たなコード進行の情報、及びこの新たなコード進行と前述の各代表コード進行との間の類似度合いについての印象のアンケート結果を取り込むことで、数1により、イメージスケール上の座標値を算出することができる。
【0071】
また、本発明は、以下の態様が採用可能である。
【0072】
(1)刺激の種類としては、コード進行に限られず、種々の刺激が採用可能である。例えば、楽曲のリズムパターンや音色、図形の色彩や形態にも提供可能である。すなわち、本発明は、刺激の種類とか、刺激の組合せの種類が甚大となるような事象を態様とする場合に、取りあえず所要数についてイメージスケール上でマッピングし、後からの新たな刺激については、前述したように各代表刺激との間の印象アンケートの結果を操作部13を介して取得すれば、該新たな刺激を同一イメージスケール上でマッピングすることが可能となり、極めて効率的にイメージスケールを作成することができる。
【0073】
(2)数1で得る差分eは、2乗に限定されず、例えば、一次元の絶対値の距離和でもよい。また、仮想的な座標値を0.05単位で設定したが、刺激及び利用目的に応じた精度で算出するようにすればよい。
【0074】
(3)本発明では、各コード進行を有する楽曲名、好ましくは楽曲情報を対応して記憶しておけば、コード進行の検索を通じて、代表的な楽曲名や楽曲情報を提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係るイメージスケール作成装置の一実施形態を示すハードウエア構成図である。
【図2】コード進行の類似度合いの、各コード進行間の距離情報を2次元と3次元のスケール(空間)上に展開したマッピング結果を示すもので、2次元で表示した場合の画面例である。
【図3】コード進行の類似度合いの、各コード進行間の距離情報を2次元と3次元のスケール(空間)上に展開したマッピング結果を示すもので、3次元(1−2軸)で表示した場合の画面例である。
【図4】コード進行の類似度合いの、各コード進行間の距離情報を2次元と3次元のスケール(空間)上に展開したマッピング結果を示すもので、3次元(1−3軸)で表示した場合の画面例である。
【図5】コード進行の類似度合いの、各コード進行間の距離情報を2次元と3次元のスケール(空間)上に展開したマッピング結果を示すもので、3次元(2−3軸)で表示した場合の画面例である。
【図6】代表コード進行のそれぞれの印象についての評価結果の平均値を示す図である。
【図7】因子数、固有値及び寄与率との関係を示す図である。
【図8】因子数と固有値との関係を示す図である。
【図9】因子分析(主因子法やバリマックス回転など)を行った結果の因子負荷量を示す図表である。
【図10】因子負荷行列より、形容詞を空間上にマッピングした結果を、評価因子と高揚因子とを直交スケールとする空間で示す図である。
【図11】因子負荷行列より、形容詞を空間上にマッピングした結果を、評価因子と活動因子とを直交スケールとした空間で示す図である。
【図12】因子負荷行列より、形容詞を空間上にマッピングした結果を、高揚因子と活動因子とを直交スケールとする空間で示す図である。
【図13】各代表コード進行に対する因子得点の図である。
【図14】因子得点による代表コード進行のマッピングの図である。
【図15】多次元尺度法によるマッピング結果を改めて示した図である。
【図16】残りのコード進行の配置(マッピング)を説明するための図である。
【図17】残りのコード進行の配置(マッピング)を説明するための図である。
【図18】差分eが最小となる時の各座標値を示す図である。
【図19】イメージスケール上にサンプルの19個のコード進行がマッピングされた状態を示す図である。
【図20】イメージスケール上に、図19に示すコード進行と、図12に示す形容詞とを重ねた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 イメージスケール作成装置
10制御部
11 ROM
12 RAM
13 操作部
14 モニタ14
101 データ取得部
102 画像表示制御部
103 因子得点算出部
104 第1マッピング処理部
105 第2マッピング処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の刺激における各刺激間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表刺激を受け付けてコンピュータに取り込み、
前記代表刺激に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果を受け付けて前記コンピュータに取り込み、かつ前記コンピュータによって、所要数の因子における因子得点に変換し、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出し、
前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との印象情報と、前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値とから、前記コンピュータによって、前記残りの刺激のそれぞれについて前記イメージスケールの空間上の座標値を算出することを特徴とするイメージスケール作成方法。
【請求項2】
前記印象情報は、多次元尺度法によって得られた距離情報であることを特徴とする請求項1記載のイメージスケール作成方法。
【請求項3】
前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との距離情報と、該残りの刺激の前記イメージスケール上の仮想座標値と前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値との距離の差分の総和が最小となる座標値を該残りの刺激の前記イメージスケールの空間上の座標値とすることを特徴とする請求項2記載のイメージスケール作成方法。
【請求項4】
全ての刺激の座標値を用いて前記イメージスケール上に全刺激値をマッピングすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイメージスケール作成方法。
【請求項5】
前記複数の形容詞の前記因子に対する負荷量を算出し、得られた各因子の負荷量を用いて、前記複数の形容詞を前記イメージスケール上にマッピングすることを特徴とする請求項4記載のイメージスケール作成方法。
【請求項6】
前記刺激は、楽音のコード進行であり、前記印象は、2つの前記コード進行間の類似度合いについての情報であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイメージスケール作成方法。
【請求項7】
複数の刺激における各刺激間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表刺激を受け付けて取り込む手段と、
前記代表刺激に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果を受け付けて取り込み、かつ所要数の因子における因子得点に変換し、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出する手段と、
前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との印象情報と、前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値とから、前記残りの刺激のそれぞれについて前記イメージスケールの空間上の座標値を算出する手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするイメージスケール作成プログラム。
【請求項8】
複数の刺激における各刺激間のアンケートにより得られた印象情報及び該印象情報から得られた代表としての所要数の代表刺激を受け付けて取り込む手段と、
前記代表刺激に対して得られた複数の形容詞に対するアンケート評価結果を受け付けて取り込み、かつ所要数の因子における因子得点に変換し、さらに該所要数の因子に基づくイメージスケールの空間上の座標値として算出する手段と、
前記代表刺激以外の残りの刺激の各々について前記各代表刺激との印象情報と、前記イメージスケール上の前記各代表刺激の座標値とから、前記残りの刺激のそれぞれについて前記イメージスケールの空間上の座標値を算出する手段とを備えたことを特徴とするイメージスケール作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−49548(P2010−49548A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214048(P2008−214048)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 関西学院大学理工学部情報科学科 2007年度卒業研究発表会(G3) 主催者名 関西学院大学 開催日 平成20年2月26日 要旨集発行日 平成20年2月26日
【出願人】(503092180)学校法人関西学院 (71)
【Fターム(参考)】