説明

インキローラの冷却水の処理装置

【課題】インキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着を防止することにより、長期間使用してもインキローラ等の交換を不要とすることが可能なインキローラの冷却水の処理装置の提供。
【解決手段】インキローラ1内に循環させる冷却水の水処理装置4であり、直径0.5μm以上の異物を除去するフィルタ装置6と、誘電体からなる管状部材の外周面に導電体が配置され、管状部材内に流通させる冷却水を活性化する水活性化装置7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキ元ローラ、インキ伝達ローラ、インキ練りローラやインキ往復ローラ等のインキローラを冷却する冷却水の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機におけるインキの温度管理は極めて重要であり、高品質の印刷のためには目標温度に対してプラスマイナス数度の温度範囲内に維持されなければならない。インキの温度が上昇するとインキの粘度が下がり、印刷物の絵柄の網点が肥大化したり、絵柄の光沢が下がったりして、印刷品質が落ちる原因となる。
【0003】
インキつぼから版胴までのインキの供給は、インキ元ローラ、インキ伝達ローラ、インキ練りローラやインキ往復ローラ等のインキローラを順次移転して行われるが、これらの各インキローラの表面に熱が発生して蓄積されるので、この蓄積する熱を取り除くためにインキローラの冷却装置が用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、印刷機の両側のフレームにより回転可能に支持されて各フレームの内側に位置するインキローラと、このインキローラの軸に設けた給水路および排水路と、これらの給排水路にフレームの内側で接続する給水管および排水管とにより構成されたインキローラが記載されている。このインキローラでは、冷却水をインキローラの内部に給排水することで、インキローラの表面を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−195673号公報
【特許文献2】特許第3097813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記インキローラの冷却水には、一般的に水道水が用いられているが、この水道水に含まれる塩素等によってインキローラの内部にスケールが蓄積してしまい、長期間使用すると正常な冷却ができなくなってしまうという問題がある。そのため、従来、定期的にインキローラの交換が必要となっている。
【0007】
そこで、本発明においては、インキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着を防止することにより、長期間使用してもインキローラ等の交換を不要とすることが可能なインキローラの冷却水の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインキローラの冷却水の処理装置は、インキローラ内に循環させる冷却水の処理装置であって、直径0.5μm以上の異物を除去するフィルタと、誘電体からなる管状部材の外周面に導電体が配置され、管状部材内に流通させる冷却水を活性化する水活性化装置とを有するものである。
【0009】
本発明のインキローラの冷却水の処理装置によれば、フィルタによって冷却水中の直径0.5μm以上の固形分が除去されるとともに、水活性化装置によって冷却水を活性化することで冷却水の溶解成分がイオン化され、再結晶化が防止されるので、インキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着が防止される。なお、水活性化装置では、管状部材内に冷却水が流通することによって管状部材と冷却水との摩擦により生じた静電気が、この管状部材の外周面に配置された導電体に集められ、この導電体から管状部材内の冷却水中に放射されることで、冷却水中の溶解成分がイオン化される。
【0010】
ここで、フィルタは、ゼータ電位の吸着作用を利用した電位吸着フィルタであることが望ましい。これにより、フィルタによって除去できなかった微粒子をゼータ電位によって吸着、除去することができるので、さらにインキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着が防止される。特に、このような電位吸着作用を利用した電位吸着フィルタでは、冷却水に圧力を掛けることなく微粒子成分を除去することが可能である。
【0011】
また、水活性化装置は、フィルタの下流側に配置されたものであることが望ましい。これにより、水活性化装置内に流入する冷却水は、フィルタによって直径0.5μm以上の固形分が除去されたものであり、冷却水中の固形分をほぼ除去したものであるため、水活性化装置による冷却水中の溶解成分のイオン化がより効率よく行われる。
【0012】
また、本発明のインキローラの冷却水の処理装置は、フィルタの上流側に圧力センサを有し、さらに圧力センサにより検出した圧力値が所定値を超えると警報を発する警報手段を有することが望ましい。これにより、フィルタが目詰まりした際には、フィルタの上流側の圧力値が上昇して所定値を超えることで検出され、警報が発せられる。
【発明の効果】
【0013】
(1)直径0.5μm以上の異物を除去するフィルタと、誘電体からなる管状部材の外周面に導電体が配置され、管状部材内に流通させる冷却水を活性化する水活性化装置とを有することにより、冷却水中の直径0.5μm以上の固形分が除去されるとともに、冷却水の溶解成分がイオン化され、再結晶化が防止されるので、インキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着が防止され、長期間使用してもインキローラ等の交換は不要となる。
【0014】
(2)フィルタがゼータ電位の吸着作用を利用した電位吸着フィルタであることにより、フィルタによって除去できなかった微粒子をゼータ電位によって吸着、除去して、さらにインキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着を防止することができ、インキローラ等を交換することなくさらに長期間使用することが可能となる。特に、このような電位吸着作用を利用した電位吸着フィルタでは、冷却水に圧力を掛けることなく微粒子成分を除去することが可能であるため、冷却水を循環させて冷却する際の妨げとならない。
【0015】
(3)水活性化装置がフィルタの下流側に配置されたものであることにより、水活性化装置内に流入する冷却水は、固形分がほぼ除去されたものとなり、水活性化装置による冷却水中の溶解成分のイオン化がより効率よく行われ、さらにインキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着を防止することができる。
【0016】
(4)フィルタの上流側に圧力センサを有し、さらに圧力センサにより検出した圧力値が所定値を超えると警報を発する警報手段を有することにより、フィルタが目詰まりした際には警報が発せされるので、フィルタの交換時期を容易に知ることができ、フィルタの目詰まりによる故障等を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態を示すインキローラの冷却水の処理装置のブロック図である。
【図2】図1の電位吸着カートリッジを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は1セルの断面図である。
【図3】図1の水活性化装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示すインキローラの冷却水の処理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1実施形態を示すインキローラの冷却水の処理装置の構成を示すブロック図である。図2は図1の電位吸着カートリッジを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は1セルの断面図である。図3は図1の水活性化装置の概略構成を示す断面図である。
【0019】
図1において、本発明の第1実施形態におけるインキローラの冷却水の処理装置は、印刷機のインキローラ1内に循環させる冷却水を冷却する冷却装置2と、インキローラ1内と冷却装置2との間で冷却水を循環させる循環配管3a,3bと、冷却装置2からインキローラ1に至る循環配管3aの途中に3方電磁弁5を介して設けられた水処理装置4とを有する。
【0020】
冷却装置2は、冷却水を適切な温度に維持するための制御水槽2aと、制御水槽2a内の冷却水を冷却する冷却機としてのチーリングユニット2bと、制御水槽2aとチーリングユニット2bとの間で冷却水を循環させる循環配管2c,2dとを備える。
【0021】
水処理装置4は、循環配管3aの途中に設けられた3方電磁弁5を通じて分岐される配管5aによって接続されている。配管5aは水処理装置4の入水口4aに接続される。また、水処理装置4の出水口4bは配管5bによって循環配管3aの3方電磁弁5の先に接続されている。
【0022】
水処理装置4は、上流側(入水口4a側)に配置されたゼータ電位の吸着作用を利用したフィルタ装置6と、フィルタ装置6の下流側(出水口4b側)に配置された水活性化装置7とを有する。
【0023】
図2に示すように、フィルタ装置6は、ハウジング(図示せず。)内に交換可能な電位吸着フィルタとしての電位吸着カートリッジ60を収容したものである。電位吸着カートリッジ60は、主に、セルロース、天然珪藻土、パーライトやバインダーによって構成されたフィルタシート61、ポリプロピレン製セパレータ62およびポリプロピレン製内部サポート63からなる複数のセル64を、ポリプロピレン製リングシール65を挟みながらステンレス鋼製アダプタ66で組み立てたものである。
【0024】
一般に異相の接触する界面にはある電位差を生じ、粒子界面に生じた電気二重層による電位のうち、動的な役割を演じない部分(固定層)と、動的な役割を演ずる部分(拡散層)がある。異相間において、相対運動がある場合にのみ、その界面に起こる電気的な現象を界面動電現象といい、そこに存在する電位は界面動電位またはゼータ電位といわれる。
【0025】
ゼータ電位は、チンダル現象やブラウン運動と同様、微細粒子の特性による物理現象であり、一般に液体中で微粒子や微生物等はマイナスの電位を示す。フィルタ装置6内のフィルタシート61は、プラスのゼータ電位を持つ性質があるため、直径0.2μm以上の異物を除去可能なメンブランフィルタによっても除去できない冷却水中の微粒子を吸着し、除去することができる。なお、このような電位吸着作用によれば、フィルタ装置6を通過させる冷却水に圧力を掛けることなく微粒子成分を除去することが可能である。
【0026】
図3に示すように、水活性化装置7は、導電体としての真鍮からなるケーシング70と、誘電体(例えば、PC(ポリカーボネート)やエポキシFRP(繊維強化プラスチック)等の強化プラスチック)からなり内部に冷却水を流通させる管状部材71と、管状部材71の外周面に電気化学的電位の異なる2種の導電体からなる集合電極72とから構成される。
【0027】
ケーシング70は、管状部材71の外周面と集合電極72からなる電極室を完全に密封状態にするためのものである。管状部材71は、その流路内を流通する冷却水との摩擦によって静電気を発生させるものである。集合電極72は、電気化学的電位の異なる2種の導電体として、例えば炭素(正極)とアルミニウム(負極)とをそれぞれリング状にして組み合わせて複合電極としたものである。
【0028】
このような水活性化装置7では、外部電源を用いることなく電位差が生じ、冷却水を管状部材71内に流通させることによって、冷却水を介して正極の炭素と負極のアルミニウムとの導電結合が生じる。すなわち、管状部材71の外側にマイナス静電気(e-)が発生し、一次静電場が形成される。正極の炭素は、この静電場より自由電子(e-)を吸収し、マイナスに荷電される。一方、負極のアルミニウムは、マイナス静電場で自由電子(e-)を放出してプラスに荷電される。
【0029】
いずれの電極も瞬時に飽和され、炭素電極から自由電子(e-)が冷却水中に放電される。そして、自由電子(e-)を失った負極には冷却水中の自由電子(e-)が飛び込み、いずれの電極も元の中性に戻る。この充放電の繰り返しが、冷却水中に静電子の薄膜を形成し、働きのない水分子集団を、イオン形成能力を持つ本来の水分子に戻すので、冷却水およびその溶解成分がイオン化される。この水活性化装置7としては、例えば特許文献2に記載の液体の処理装置を用いることができる。
【0030】
また、電位吸着フィルタ6の上流側には、圧力センサ8を有している。圧力センサ8の出力は、制御装置9に入力されている。制御装置9は警報手段としての警告ランプ10を備えている。制御装置9は圧力センサ8により検出した圧力値が所定値を超えると、3方電磁弁5を作動させて配管5aへ冷却水が流れないようにし、水処理装置4をバイパスするとともに、警告ランプ10を点灯する。
【0031】
上記構成のインキローラの冷却水の処理装置では、冷却装置2において制御水槽2a内の冷却水を循環配管2c,2dによりチーリングユニット2bに循環させ、冷却水を適切な温度に冷却して維持する。そして、この冷却装置2において適切な温度に維持された冷却水を循環配管3a,3bによりインキローラ1に循環させ、インキローラ1の表面を冷却し、適切な温度に維持する。
【0032】
ここで、水処理装置4の正常運転時には、3方電磁弁5は循環配管3aの冷却水が水処理装置4を経由するように切り換えられている。そのため、循環配管3aの冷却水は、配管5aを通じて水処理装置4の入水口4aから導入され、フィルタ装置6および水活性化装置7を通過して、出水口4bから配管5bを通じて循環配管3aに戻る。
【0033】
これにより、冷却水中の微粒子はフィルタ装置6によって除去されるとともに、水活性化装置7によって活性化され、冷却水の溶解成分がイオン化される。したがって、冷却水の再結晶化が防止されることになり、インキローラ1内部やその冷却水の循環配管3a,3b内部への錆やスケール等の付着が防止され、長期間使用してもインキローラ1等の交換は不要となる。
【0034】
なお、フィルタ装置6が目詰まりすると、このフィルタ装置6の上流側に配置された圧力センサ8により検出され、制御装置9が3方電磁弁5を作動させて配管5aへ冷却水が流れないようにし、水処理装置4をバイパスするとともに、警告ランプ10を点灯する。この場合、フィルタ装置6の電位吸着カートリッジ60を交換して、再度運転を再開することができる。
【0035】
(実施の形態2)
図4は本発明の第2実施形態を示すインキローラの冷却水の処理装置の構成を示すブロック図である。なお、図4において第1実施形態と同じ構成部分については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0036】
図4に示すように、本発明の第2実施形態においては、水処理装置11と冷却装置2の制御水槽2aとの間で循環配管12a,12bにより冷却水を循環させるものである。この場合、水処理装置11内にポンプ装置13を備えている。制御装置9は圧力センサ8により検出した圧力値が所定値を超えると、ポンプ装置13を停止して水処理装置11へ冷却水が流れないようにするとともに、警告ランプ10を点灯する。
【0037】
このような構成においても、制御水槽2a内の冷却水を循環配管12a,12bにより水処理装置11へ循環させて、冷却水中の微粒子をフィルタ装置6によって除去するとともに、水活性化装置7によって冷却水の溶解成分をイオン化し、冷却水の再結晶化を防止することができる。これにより、インキローラ1内部やその冷却水の循環配管3a,3b内部への錆やスケール等の付着が防止され、長期間使用してもインキローラ1等の交換は不要となる。
【0038】
なお、上記第1および第2実施形態においては、フィルタ装置6として、ゼータ電位の吸着作用を利用した電位吸着フィルタを使用した例について説明したが、通常の濾過方式のフィルタを使用することも可能である。この場合、直径0.5μm以上の異物を除去可能なフィルタを使用する。これにより、冷却水中の直径0.5μm以上の固形分が除去されるとともに、水活性化装置7によって冷却水の溶解成分がイオン化され、再結晶化が防止されるので、インキローラ1内部やその冷却水の循環配管3a,3b内部への錆やスケール等の付着が防止される。
【実施例】
【0039】
上記水処理装置4による実証試験を行った。試験結果を表1に示す。なお、表1においてBS−3は水処理装置4を示す。補給水は、冷却装置2の制御水槽2a内に補給した水(水道水)の水質分析結果である。試料は、水処理装置4の設置前、設置3日後、設置4ヶ月後に採取した。
【0040】
【表1】

【0041】
なお、表1において各分析項目が示すものは、以下の通りである。
<pH>
pHが6.5以下の水は、腐食性が強い。pHが6.0以下の地下水では、遊離炭酸を含むことが多く、遊離炭酸水となる。これは極めて腐食性が強く、ステンレスや銅も腐食する。pHが8.2を超える水は、カルシウムスケールが生成しやすい。水処理装置4による処理では、原則としてpHの変化はない。
<電気伝導率>
水に含まれる無機イオン成分に比例して数値が高くなる。80mS/mを超えた水は、スケールが生成する確率が高い。また、pHが高い(8.2以上)水や、シリカが多い(50mg/L以上)水では、80mS/m以下であっても、スケールの発生率が高くなる。
【0042】
<酸消費量pH4.8>
pHが4.8になるまでに加えた酸の消費量をCaCO3に換算した値。この値が高いとカルシウムスケールが析出しやすい。
<全硬度>
水に溶解しているカルシウムイオンとマグネシウムイオンを、それぞれCaCO3に換算して足したもの。200mg/L以上含まれるとスケールが析出しやすい。ただし、pHや共存シリカの影響を受け、200mg/L以下であってもpHが高い水ではスケールとなることがある。
【0043】
<カルシウム硬度>
一般に水垢と言われる白いスケールは、カルシウムスケール(CaCO3)である。150mg/L以上あるとカルシウムスケールが生成しやすくなる。高いpHでは、150mg/リットル以下でもスケールとなることがある。
<塩化物イオン>
200mg/Lを超えると腐食性が高い水となる。
<硫酸イオン>
200mg/L以上であれば腐食性が強い水となる。
【0044】
<シリカ>
シリカ単独でも析出して難溶性のスケールになるが、マグネシウムやカルシウムと反応してケイ酸マグネシウム(MgSiO3)またはケイ酸カルシウムスケールを生じる。
<全鉄>
水中に剥離した錆(酸化鉄)とイオン状に溶解している鉄を合わせた濃度。一般に鉄分はこの全鉄を指す。
<溶解性鉄分>
全鉄値より固形の鉄分を差引いた、溶解鉄分。錆が進行中の水は、この溶解鉄が高い。
<濁度>
全鉄値やCOD値が高いと、上昇する。スライムを含む水は濁度が高い。
【0045】
以上を踏まえると、表1の所見は以下の通りとなる。
(1)電気伝導率、酸消費量、りん酸イオンおよび亜硝酸イオンの低下は、鉄錆とカルシウムイオンと反応してできた懸濁成分とがフィルタ装置6によって除去されていると判断できる。
(2)濁度の減少についても同様である。
(3)マグネシウム硬度(全硬度−カルシウム硬度)およびシリカイオンについては、水活性化装置7の効果によって安定な状態を維持していると推察される。
(4)全鉄分の上昇については濁度が減少していることから、添加薬剤によって溶解鉄化合物に変化しているため、フィルタ装置6では除去できない状態で循環水に含まれているものと考えている。
【0046】
以上の結果から、水処理装置4の設置により、長期的にインキローラ内部やその冷却水の循環配管内部への錆やスケール等の付着が防止されることが実証された。したがって、長期間使用してもインキローラ等の交換は不要となる。また、上記試験では冷却水に薬剤を添加しているため、鉄錆の一部が薬剤と一緒になって溶解性の鉄分として冷却水に溶け続けているが、この薬剤の使用を中止することで、全鉄分および濁度が共に減少し、系内がより安定するものと予測される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、インキ元ローラ、インキ伝達ローラ、インキ練りローラやインキ往復ローラ等のインキローラを冷却する冷却水の処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 インキローラ
2 冷却装置
2a 制御水槽
2b チーリングユニット
2c,2d 循環配管
3a,3b 循環配管
4 水処理装置
5 3方電磁弁
6 フィルタ装置
60 電位吸着カートリッジ
61 フィルタシート
7 水活性化装置
70 ケーシング
71 管状部材
72 集合電極
8 圧力センサ
9 制御装置
10 警告ランプ
11 水処理装置
12a,12b 循環配管
13 ポンプ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキローラ内に循環させる冷却水の処理装置であって、
直径0.5μm以上の異物を除去するフィルタと、
誘電体からなる管状部材の外周面に導電体が配置され、前記管状部材内に流通させる前記冷却水を活性化する水活性化装置と
を有するインキローラの冷却水の処理装置。
【請求項2】
前記フィルタは、ゼータ電位の吸着作用を利用した電位吸着フィルタである請求項1記載のインキローラの冷却水の処理装置。
【請求項3】
前記水活性化装置は、前記フィルタの下流側に配置されたものである請求項1または2に記載のインキローラの冷却水の処理装置。
【請求項4】
前記フィルタの上流側に圧力センサを有し、
さらに前記圧力センサにより検出した圧力値が所定値を超えると警報を発する警報手段を有する請求項1から3のいずれかに記載のインキローラの冷却水の処理装置。
【請求項5】
さらに、前記インキローラ内に循環させる冷却水を冷却する冷却装置を有し、
前記フィルタおよび水活性化装置は、前記冷却装置から前記インキローラへ前記冷却水を送る配管の途中に配置されたものである
請求項1から4のいずれかに記載のインキローラの冷却水の処理装置。
【請求項6】
さらに、前記インキローラ内に循環させる冷却水を冷却する冷却装置と、
前記冷却装置と前記フィルタおよび水活性化装置との間で前記冷却水を循環させる循環配管とを有する
請求項1から4のいずれかに記載のインキローラの冷却水の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−194678(P2011−194678A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63128(P2010−63128)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(598092775)エスティエンジニアリング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】