説明

インクカートリッジ

【課題】装着が簡単なインクカートリッジを提供する。
【解決手段】上壁11、底壁12及び上壁と底壁につながる複数の側壁41、42を含む容器1からなるインクカートリッジである。インク供給口は容器に備わる。弾性固定部材5は、複数の側壁の少なくとも一つに備わる。弾性固定部材5は、側壁41から容器1の輪郭最大限にまで外側に向かって延びる。このインクカートリッジは、直接または間接的に様々なタイプのプリンターで使用可能であり、合理的な構造、低価格そして簡易な組立/分解という利点を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクカートリッジ、特にインクジェットプリンターへインクを供給するインクカートリッジに関する。本出願は2009年9月12日に出願された中国特許出願第200910306927.7号に基づき、その内容は参照することにより本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現在、インクカートリッジは、主にインクを収納する貯蔵室付きの容器と、インクを供給するインク供給口を有する。インクカートリッジは、さらに留め具つき保持部材を有する。このような保持部材は構造が複雑で壊れやすく、また素材の要件も厳しい。使用者がプリンターのキャリッジからインクカートリッジを取り外す際に不便である。使用者が保持部材の構造をよく知らない場合、保持部材は簡単に壊れ、キャリッジ内からインクカートリッジが取り出せなくなる。使用者が無理に引っ張り出せば、インクカートリッジ全体が壊れる恐れがある。インクは漏れ、環境破壊を引き起こすだろう。ついにはプリンター自体が壊れてしまう。また、インクカートリッジがキャリッジへ装着される際、保持部材は一定の場所を取るため、容器に保持できるインク量が減少してしまう。さらに、複雑な構造をした保持部材は製造が困難で、費用もかさむ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は装着が簡単なインクカートリッジを提供することである。このインクカートリッジはキャリッジにぴたりとはまる。使用者はインクカートリッジの取り付けと取り外しを簡単に行うことができる。さらには費用の節約にもなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成する解決策として、本発明は容器を備えたインクカートリッジを提供する。この容器は上壁、底壁そして上壁と底壁につながる複数の側壁を含む。容器にはインク供給口が備わる。前記複数の側壁のうち一枚に弾性固定部材が備わる。弾性固定部材は側壁から前記容器の輪郭最大限にまで外側に向かって延びる。
【0005】
インクカートリッジはさらに前記複数の側壁の一枚に備わる、複数の接触電極のある回路基板含む。弾性固定部材は回路基板が備わるのと同じ側壁に備わる。
【0006】
インクカートリッジはさらに容器の外部面に備わる支持部材を含む。弾性固定部材は支持部材によって容器に固定される。
【0007】
インクカートリッジはさらに支持部材に備わる貫通孔を含む。貫通孔の一端は回路基板に備わる発光部材の真上に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施形態の正面図である。
【図2】本発明の第一実施形態の右側面図である。
【図3】本発明の第一実施形態の上面図である。
【図4】キャリッジに装着された本発明の第一実施形態の概略図である。
【図5】本発明の第二実施形態の正面図である。
【図6】本発明の第二実施形態の左側面図である。
【図7】本発明の第二実施形態の背面図である。
【図8】本発明の第三実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第一実施形態
図1から図3において、インクカートリッジはキャリッジ6に取り付け可能な容器1を含む。容器1は上壁11、底壁12、上壁11と底壁12につながる一対の幅の広い側壁41と一対の幅の狭い側壁42を有する。インク供給口は底壁12に備わり、接触電極3のある回路基板は、幅の狭い側壁42のうち一つに備わる。湾曲面のある弾性固定部材5は、幅の広い側壁41の外部面に備わる。弾性固定部材5はゴム素材からなっている。
【0010】
図2と図3において、弾性固定部材5の外部面は一方向へ向かう曲線を有する。しかしながら、弾性固定部材5は双方向へ向かう曲線を有することも可能である。弾性固定部材5は、インクカートリッジの最大の輪郭の一部を成す。つまりインクカートリッジ1は、従来のインクカートリッジに比べ、やや厚みがある。
【0011】
図4において、インクカートリッジ1がプリンターのキャリッジ6に装着されるとき、弾性固定部材5はキャリッジの内壁をきつく押す。この摩擦力がインクカートリッジをキャリッジにしっかりと固定する。図4においては、三つのインクカートリッジ1がキャリッジ6に装着されており、キャリッジ内の仕切り板が内側の空間を三つに分けている。仕切り板は取り外し可能である。この場合、インクカートリッジまたは弾性固定部材はやや厚めに設計することができる。それらは互いにきつく押し合い、キャリッジ内にしっかりと固定される。
【0012】
第二実施形態
図5から図7において、インクカートリッジは側壁4に備わる接触電極3を有した回路基板を含む。弾性固定部材5は、同じ側壁4に備わる。側壁4は、滑面はもとより湾曲面または不規則な面であることも可能である。弾性固定部材5は、支持部材7によって側壁41に固定される。溝72のある半閉鎖した穴71が支持部材7に備わる。溝72からの延長部分がその一部をなす弾性固定部材5は、穴71にぴたりとはまり、その外側の部分はインクカートリッジ1の輪郭の最大限をなす。つまり、弾性固定部材5により本インクカートリッジは標準的なインクカートリッジよりやや幅広になるのである。インクカートリッジ1がキャリッジに装着されるとき、それは前述の実施形態と同じようにキャリッジの内壁を押す。これによりインクカートリッジ1はキャリッジにしっかりと固定される。この実施形態の場合、弾性固定部材5はシリコン素材からなっている。
【0013】
第三実施形態
図8において、右側の側壁は複数の不規則な壁を含んでいる。回路基板の接触電極3よりも高い位置にある弾性固定部材5は、支持部材7によって狭い側壁42に備わる。貫通孔は支持部材7に備わり、その一端は回路基板の発光部材31の真上に位置する。貫通孔は発光部材から発せられる光信号を伝達するために用いられる。この場合、インクカートリッジは特定のプリンターにおいても使用可能である。さらに、容器1の上壁11から外側へ向かって延びる連結ピン9が、キャリッジからのインクカートリッジの取り外しを容易にする。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明のインクカートリッジは、弾性固定部材により容易かつ正確にキャリッジに装着することが可能となる。同時に、インクカートリッジとキャリッジ間の圧力が、インクカートリッジ上の接触電極とキャリッジ上の電極との間の安定した接触を維持する。さらに、このようなタイプの弾性固定部材は環境的な制限が少ない。インク供給口と、キャリッジと密着した接触電極さえあれば良いのである。
【0015】
本発明には先行技術に比べさらに利点がある。まず、先行技術においてはインクカートリッジがキャリッジへ装着される際、保持部材が一定の空間を要する。また保持部材は簡単に壊れやすい。しかし、本発明は保持部材の代わりに弾性固定部材を用いる。弾性固定部材はインクカートリッジとキャリッジ間の電極の接触を安定させ、またインクカートリッジの容量を拡大させる。実際、弾性固定部材は壊れにくい。
【0016】
さらに本発明のインクカートリッジは、光信号の通路または弾性固定部材を支える支持部材を含むことも可能である。この場合、インクカートリッジは直接または間接的に様々なタイプのプリンターで使用することが可能となる。本発明のインクカートリッジは合理的な構造、低価格そして簡易な組立/分解という利点を持つ。
【符号の説明】
【0017】
1 容器
3 接触電極
4 側壁
5 弾性固定部材
6 キャリッジ
7 支持部材
9 連結ピン
11 上壁
12 底壁
31 発光部材
41 幅の広い側壁
42 幅の狭い側壁
71 穴
72 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁、底壁及び前記上壁と前記底壁につながる複数の側壁を含む容器と、該容器に備えられたインク供給口と、前記複数の側壁の少なくとも一つの外部面に備えられた弾性固定部材とを有するインクカートリッジであって、
前記弾性固定部材は、側壁から前記容器の輪郭最大限にまで外側に向かって延びることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
接触電極のある回路基板が弾性固定部材と同じ側壁に備えられたことを特徴とする請求項1記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記弾性固定部材が支持部材によって前記複数の側壁の少なくとも一枚に備えられたことを特徴とする請求項1または2記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記回路基板がさらに発光部材を有し、前記支持部材に貫通孔が備えられ、前記貫通孔の一端は前記発光部材の真上に位置することを特徴とする請求項3記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
連結ピンが前記容器の上壁から外側へ向かって延びることを特徴とする請求項1または2記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
連結ピンが前記容器の上壁から外側へ向かって延びることを特徴とする請求項3記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
連結ピンが前記容器の上壁から外側へ向かって延びることを特徴とする請求項4記載のインクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−520191(P2012−520191A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500041(P2012−500041)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/CN2009/076111
【国際公開番号】WO2011/029256
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(510031534)
【氏名又は名称原語表記】SUN,Ronghua
【住所又は居所原語表記】No.1, Huimin Industrial Park,Jiashan County Zhejiang 314112 Jiaxing City China
【Fターム(参考)】