インクシートカートリッジ
【課題】部品点数を増加させることなく、インクシートおよび用紙の両面をクリーニングすることが可能なインクシートカートリッジを提供する。
【解決手段】このインクシートカートリッジ1では、インクシート収納ケース3に回動可能に取り付けられ、インクシート2および用紙10をクリーニングするための1つのクリーニング部材8を備えている。そして、クリーニング部材8は、インクシート2と用紙10との間に配置され、インクシート2および用紙10をクリーニングするクリーナ部材81と、軸部82aと、軸部82aと一体的に形成され、インクシート収納ケース3に回動可能に取り付けられるアーム部82bおよび82cとを有する取付部材82とを含み、クリーニング部材8の取付部材82は、クリーニング部材8を上方向に回動するように付勢するための板ばね部82dを含み、板ばね部の先端部は、インクシート収納ケース3に固定されている。
【解決手段】このインクシートカートリッジ1では、インクシート収納ケース3に回動可能に取り付けられ、インクシート2および用紙10をクリーニングするための1つのクリーニング部材8を備えている。そして、クリーニング部材8は、インクシート2と用紙10との間に配置され、インクシート2および用紙10をクリーニングするクリーナ部材81と、軸部82aと、軸部82aと一体的に形成され、インクシート収納ケース3に回動可能に取り付けられるアーム部82bおよび82cとを有する取付部材82とを含み、クリーニング部材8の取付部材82は、クリーニング部材8を上方向に回動するように付勢するための板ばね部82dを含み、板ばね部の先端部は、インクシート収納ケース3に固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクシートカートリッジに関し、特に、インクシートを収納するインクシート収納ケースを備えたインクシートカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に画像を転写するためのインクシートがインクシート収納ケースに収納されたインクシートカートリッジが知られている。また、従来では、インクシートなどの転写媒体や、用紙をクリーニングすることによって、印画の品質を向上させる技術が知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。なお、上記したインクシート(転写媒体)や用紙のクリーニングは、インクシートカートリッジが熱転写プリンタなどの画像形成装置に装着された状態で行われる。
【0003】
上記特許文献1には、インクシートをクリーニングするためのクリーニング部材が、取付板を介してインクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが開示されている。また、上記特許文献2には、中間転写媒体を介してインクシートにより用紙に像を転写する構成において、中間転写媒体をクリーニングするためのクリーニング部材がインクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが開示されている。また、上記特許文献3には、用紙をクリーニングするためのクリーニング部材が、インクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが開示されている。また、上記特許文献4には、インクシートカートリッジとは別個に設けられたクリーニング部材により、用紙のクリーニングを行う熱転写プリンタが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および2では、インクシートや中間転写媒体に付着した埃などをクリーニング処理により除去したとしても、用紙に埃などが付着していれば、その用紙に付着した埃などにより印画の品質が低下するという不都合が生じる。また、上記特許文献3および4では、用紙に付着した埃などをクリーニング処理により除去したとしても、インクシートに埃などが付着していれば、そのインクシートに付着した埃などにより印画の品質が低下するという不都合が生じる。
【0005】
そこで、従来では、インクシートをクリーニングするためのインクシート用クリーニング部材と、用紙をクリーニングするための用紙用クリーニング部材とが、インクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが提案されている(たとえば、特許文献5参照)。
【0006】
図13は、従来の提案されたインクシートカートリッジが熱転写プリンタに装着された状態を示した断面図である。図13を参照して、従来の提案されたインクシートカートリッジ101は、熱転写プリンタ120内に装着することが可能なように構成されている。また、インクシートカートリッジ101は、インクシート102を収納するためのインクシート収納ケース103と、インクシート102が巻き付けられる供給ボビン104および巻取ボビン105とを含む。インクシート収納ケース103は、供給ボビン104が収納される供給ボビン収納部103aと、巻取ボビン105が収納される巻取ボビン収納部103bとを有する。なお、インクシートカートリッジ101が熱転写プリンタ120内に装着された状態において、インクシート収納ケース103の供給ボビン収納部103aと巻取ボビン収納部103bとの間の空間領域は、インクシート102が露出される印画領域120aとなる。また、供給ボビン104および巻取ボビン105は、未使用のインクシート102を印画領域120aに供給し、かつ、使用済みのインクシート102を巻き取る機能を有する。
【0007】
また、従来の提案されたインクシートカートリッジ101は、用紙110をクリーニングするための用紙用クリーニングローラ106と、インクシート102をクリーニングするための一対のインクシート用クリーニングローラ107とをさらに含む。用紙用クリーニングローラ106は、インクシート収納ケース103の巻取ボビン収納部103bの下部側に、ばね部材108を介して取り付けられている。この用紙用クリーニングローラ106は、ばね部材108により下方側(用紙110側)に付勢されている。また、一対のインクシート用クリーニングローラ107は、インクシート収納ケース103の供給ボビン103aに設けられたインクシート供給口103cに、インクシート102を挟むように取り付けられている。
【0008】
また、図13に示した従来のインクシートカートリッジ101が装着された熱転写プリンタ120において、用紙110に対して印画を行う際には、まず、熱転写プリンタ120内に供給された用紙110が、用紙搬送ローラ123により印画領域120a(矢印F方向)に搬送される。この後、サーマルヘッド121の印字ヘッド121aが下方に移動することによって、印字ヘッド121aにより用紙110およびインクシート102がプラテンローラ122に押し付けられる。そして、用紙110およびインクシート102がプラテンローラ122に押し付けられた状態で用紙110を用紙搬送ローラ123により矢印G方向に移動させることによって、用紙110に対して印画が行われる。この際、使用済みのインクシート102が巻取ボビン105により巻き取られるとともに、未使用のインクシート102が供給ボビン104から印画領域120aに供給される。
【0009】
そして、図13に示した従来のインクシートカートリッジ101が装着された熱転写プリンタ120では、用紙110が矢印F方向に搬送される際に、用紙110側に付勢された用紙用クリーニングローラ106により、用紙110が印画前にクリーニングされる。また、インクシート102が供給ボビン104から供給される際に、インクシート102を挟むようにインクシート収納ケース103のインクシート供給口103cに取り付けられたインクシート用クリーニングローラ107により、インクシート102が印画前にクリーニングされる。
【特許文献1】特開平5−177914号公報
【特許文献2】特開平8−90880号公報
【特許文献3】特開平9−58078号公報
【特許文献4】特開2000−62286号公報
【特許文献5】特開2002−120446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図13に示した従来のインクシートカートリッジ101では、インクシート102および用紙110の両方をクリーニングすることができたとしても、用紙用クリーニングローラ106と、一対のインクシート用クリーニングローラ107とを用いてクリーニングするので、インクシート102および用紙110のいずれか一方のみをクリーニングする場合に比べて、部品点数が増加するという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数を増加させることなく、インクシートおよび用紙の両面をクリーニングすることが可能なインクシートカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の第1の局面におけるインクシートカートリッジは、インクシートと、インク
シートを収納するインクシート収納ケースとを備えたインクシートカートリッジにおいて、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材をさらに備える。また、クリーニング部材は、インクシートと用紙との間に配置され、インクシートおよび用紙をクリーニングするクリーナ部材と、クリーナ部材が脱着可能でかつ回動可能に取り付けられる軸部と、軸部と一体的に形成され、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、クリーニング部材の取付部材は、アーム部と一体的に形成され、アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、ばね部の先端部は、インクシート収納ケースに固定されており、印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧されることにより、クリーナ部材が用紙の印画される面とインクシートのインク側の面との両面に接触することによって、用紙およびインクシートのクリーニングが行われる。
【0013】
この第1の局面によるインクシートカートリッジでは、上記のように、インクシートお
よび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材を設けることによって、インクシートをクリーニングするためのクリーニング部材と用紙をクリーニングするためのクリーニング部材とを別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。これにより、部品点数を増加させることなくインクシートおよび用紙の両方をクリーニングすることができる。また、クリーニング部材をインクシート収納ケースに設けることによって、インクシートカートリッジを交換する際にクリーニング部材も交換されるので、繰り返しクリーニングを行うことによるクリーニング部材のクリーニング品質の低下を容易に抑制することができる。また、印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧されることにより、クリーナ部材を用紙の印画される面とインクシートのインク側の面との両面に接触させて用紙およびインクシートのクリーニングを行うことによって、用紙の印画される面およびインクシートのインク側の面に付着した塵埃を印画前にクリーナ部材によって取り除くことができるので、高品質の印画を安定して行うことができる。また、取付部材を、アーム部と一体的に形成され、アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含むように構成するとともに、ばね部の先端部を、インクシート収納ケースに固定することによって、印画時(クリーニング時)に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧された場合にも、印画終了後に用紙ガイド部材が上昇すればばね部の付勢力によりクリーニング部材は元の位置に戻るため、インクシートカートリッジを装置本体から抜き出す際にクリーニング部材が下降していることにより抜き出せなくなるという不都合が発生するのを抑制することができる。また、クリーナ部材を、取付部材に脱着可能に取り付けることによって、汚れがひどい場合などにクリーナ部材を容易に交換することができる。
【0014】
この発明の第2の局面によるインクシートカートリッジは、インクシートと、インクシートを収納するインクシート収納ケースと、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材とを備えている。
【0015】
この発明の第2の局面によるインクシートカートリッジでは、上記のように、インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材をインクシート収納ケースに設けることによって、インクシートをクリーニングするためのクリーニング部材と用紙をクリーニングするためのクリーニング部材とを別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。これにより、部品点数を増加させることなくインクシートおよび用紙の両方をクリーニングすることができる。また、インクシートカートリッジを交換する際にクリーニング部材も交換されるので、繰り返しクリーニングを行うことによる
クリーニング部材のクリーニング品質の低下を容易に抑制することができる。
【0016】
上記第2の局面によるインクシートカートリッジにおいて、好ましくは、クリーニング部材は、インクシートと用紙との間に配置され、インクシートおよび用紙をクリーニングするクリーナ部材と、クリーナ部材が回動可能に取り付けられる軸部と、軸部と一体的に形成され、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧されることによって、クリーナ部材が用紙の印画される面とインクシートのインク側の面との両面に接触することによって用紙およびインクシートのクリーニングが行われる。このように構成すれば、用紙の印画される面およびインクシートのインク側の面に付着した塵埃を印画前にクリーナ部材によって取り除くことができるので、高品質の印画を安定して行うことができる。
【0017】
上記第2の局面によるインクシートカートリッジにおいて、好ましくは、取付部材は、アーム部と一体的に形成され、アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、ばね部の先端部は、インクシート収納ケースに固定されている。このように構成すれば、印画時(クリーニング時)に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧された場合にも、印画終了後に用紙ガイド部材が上昇すればばね部の付勢力によりクリーニング部材は元の位置に戻るため、インクシートカートリッジを装置本体から抜き出す際にクリーニング部材が下降していることにより抜き出せなくなるという不都合が発生するのを抑制することができる。
【0018】
上記第2の局面によるインクシートカートリッジにおいて、好ましくは、クリーナ部材は、取付部材に脱着可能に取り付けられる。このように構成すれば、汚れがひどい場合などにクリーナ部材を容易に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジが熱転写プリンタ内に装着された状態を示した断面図である。図2は、本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジの構造を示した斜視図であり、図3は、図2に示した一実施形態によるインクシートカートリッジの分解斜視図である。図4〜図9は、図2に示した一実施形態によるインクシートカートリッジの構造の詳細を説明するための図である。まず、図1〜図9を参照して、本実施形態によるインクシートカートリッジの構造について説明する。
【0021】
本実施形態によるインクシートカートリッジ1は、図1に示すように、熱転写プリンタ20内に装着することが可能なように構成されている。また、インクシートカートリッジ1は、図2および図3に示すように、インクシート2を収納するためのインクシート収納ケース3と、インクシート2が巻き付けられる供給ボビン4および巻取ボビン5とを含む。インクシート収納ケース3は、上側部品31と、下側部品32とによって構成されている。インクシート収納ケース3の上側部品31は、供給ボビン4が収納される供給ボビン収納部31aと、巻取ボビン5が収納される巻取ボビン収納部31bとを有する。また、上側部品31の供給ボビン収納部31aおよび巻取ボビン収納部31bは、2つの連結部31cおよび31dにより連結されている。また、図3に示すように、上側部品31の供給ボビン収納部31aの内部には、供給ボビン保持部31eが形成されているとともに、巻取ボビン収納部31bの内部には、巻取ボビン保持部31fが形成されている。また、上側部品31の供給ボビン収納部31aの一方の側端面には、嵌合孔31gが設けられているとともに、巻取ボビン収納部31bの一方の側端面には、嵌合孔31hが設けられて
いる。また、上側部品31の供給ボビン収納部31aの他方の側端面近傍の部分には、下方に突出する爪部31iが設けられている。
【0022】
また、インクシート収納ケース3の下側部品32は、供給ボビン4が収納される供給ボビン収納部32aと、巻取ボビン5が収納される巻取ボビン収納部32bとを有する。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aおよび巻取ボビン収納部32bは、2つの連結部32cおよび32dにより連結されている。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aの内部には、供給ボビン保持部32eが形成されているとともに、巻取ボビン収納部32bの内部には、巻取ボビン保持部32fが形成されている。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aの一方の側端面には、上側部品31の嵌合孔31gに嵌合する突起部32gが設けられているとともに、巻取ボビン収納部32bの一方の側端面には、上側部品31の嵌合孔31hに嵌合する突起部32hが設けられている。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aの他方の側端面近傍の部分には、上側部品31の爪部31iが係合する係合孔32iが設けられている。
【0023】
そして、上側部品31の爪部31iが下側部品32の係合孔32iに係合し、かつ、上側部品31の嵌合孔31gおよび31hの各々に下側部品32の突起部32gおよび32hが嵌合することによって、上側部品31と下側部品32とが組み合わされている。また、図1および図2に示すように、インクシートカートリッジ1が熱転写プリンタ20内に装着された状態において、インクシート収納ケース3の供給ボビン収納部31a(32a)と巻取ボビン収納部31b(32b)との間の空間領域は、インクシート2が露出される印画領域20aとなる。
【0024】
また、図3に示すように、供給ボビン4は、インクシート供給側軸4aと、駆動側軸部4bと、従動側軸部4cと、一対のフランジ部4dとによって構成されている。なお、インクシート供給側軸4aには、未使用のインクシート2が巻き付けられている。駆動側軸部4bおよび従動側軸部4cは、それぞれ、インクシート供給側軸4aの一方および他方の端部に配置されている。また、一対のフランジ部4dは、それぞれ、インクシート供給側軸4aの一方および他方の端部よりも内側の部分に配置されている。また、供給ボビン4は、インクシート収納ケース3の供給ボビン保持部31e(32e)に回転可能に保持されている。また、インクシートカートリッジ1を熱転写プリンタ20(図1参照)内に装着した場合には、駆動側軸部4bが熱転写プリンタ20の駆動リール(図示せず)に連結される。このため、駆動リールが駆動することにより、駆動側軸部4bを介してインクシート供給側軸4aが回転される。
【0025】
また、巻取ボビン5は、インクシート巻取側軸5aと、駆動側軸部5bと、従動側軸部5cと、一対のフランジ部5dとによって構成されている。なお、インクシート巻取側軸5aには、使用済みのインクシート2が巻き付けられる。駆動側軸部5bおよび従動側軸部5cは、それぞれ、インクシート巻取側軸5aの一方および他方の端部に配置されている。また、一対のフランジ部5dは、それぞれ、インクシート巻取側軸5aの一方および他方の端部よりも内側の部分に配置されている。また、供給ボビン5は、インクシート収納ケース3の巻取ボビン保持部31f(32f)に回転可能に保持されている。また、インクシートカートリッジ1を熱転写プリンタ20(図1参照)内に装着した場合には、駆動側軸部5bが熱転写プリンタ20の駆動リール(図示せず)に連結される。このため、駆動リールが駆動することにより、駆動側軸部5bを介してインクシート巻取側軸5aが回転される。
【0026】
そして、熱転写プリンタ20(図1参照)により印画を行う際には、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転することによって、供給ボビン4に巻き付けられた未使用のインクシート2が印画領域20a(図1参照)に供給される。また、印画領域20aに供給され
た使用済みのインクシート2は、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転することによって、巻取ボビン5により巻き取られる。
【0027】
また、供給ボビン4の従動側軸部4c側には、供給ボビン4を回転軸の延びる方向に付勢するための圧縮ばね7aが装着されているとともに、巻取ボビン5の従動側軸部5c側には、巻取ボビン5を回転軸の延びる方向に付勢するための圧縮ばね7bが装着されている。この圧縮ばね7aおよび7bにより供給ボビン4および巻取ボビン5を回転軸の延びる方向に付勢することによって、インクシートカートリッジ1が熱転写プリンタ20(図1参照)内から取り外されたときに、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転しにくくなる。このため、インクシートカートリッジ1が熱転写プリンタ20内から取り外されたときに、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転してインクシート2が緩んだ状態になるのが抑制される。
【0028】
ここで、本実施形態では、インクシート2を収納するためのインクシート収納ケース3に、インクシート2および用紙10(図1参照)の両方を同時にクリーニングするための1つのクリーニング部材8が取り付けられている。このクリーニング部材8は、図6および図7に示すように、クリーナ部材81と、取付部材82とによって構成されている。
【0029】
クリーニング部材8のクリーナ部材81は、導電性の不織布や網目状のポリエステルなどからなる。また、クリーナ部材81は、クリーナ部材81の短手方向の一方の端部の厚みが、短手方向の他方の端部の厚みよりも小さくなるように形成されている。また、クリーナ部材81には、クリーナ部材81の長手方向に延びる取付穴81aと、小さい厚みを有する端部側から取付穴81aに達する切込部81bとが形成されている。
【0030】
また、クリーニング部材8の取付部材82は、ポリスチレンやABSなどの樹脂からなる。また、取付部材82は、軸部82aと、アーム部82bおよび82cと、板ばね部82dとを含む。なお、板ばね部82dは、本発明の「ばね部」の一例である。アーム部82bおよび82cは、軸部82aの一方および他方の端部の各々に一体的に形成されている。また、板ばね部82dは、アーム部82cの軸部82aとは反対側の端部に一体的に形成されている。また、アーム部82bおよび82cの軸部82aとは反対側の端部には、それぞれ、軸部82aが延びる方向に突出する凸部82eおよび82fが一体的に形成されている。また、板ばね部82dの先端部には、フック部82gが一体的に形成されている。
【0031】
そして、図7に示すように、クリーナ部材81は、取付部材82の軸部82aを支点として回動することが可能なように、取付部材82に脱着可能に取り付けられている。具体的には、取付部材82の軸部82aが、クリーナ部材81の取付穴81aに嵌め込まれている。なお、取付部材82の軸部82aにクリーナ部材81の取付穴81aを嵌め込む際には、クリーナ部材81の切込部81bを介して軸部82aを取付穴81aに挿入する。
【0032】
また、図3、図8および図9に示すように、インクシート収納ケース3には、クリーニング部材8を取り付けるための取付部(凹部32j、32kおよび係合孔32l)が形成されている。具体的には、下側部品32の供給ボビン収納部32aの一方および他方の内側面に、それぞれ、凹部32jおよび32kが形成されている。そして、クリーニング部材8は、取付部材82の凸部82eおよび82fの各々が下側部品32の凹部32jおよび32kに嵌め込まれることによって、インクシート収納ケース3に取り付けられている。これにより、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、下側部品32の凹部32j(32k)を支点として回動される。また、図4および図5に示すように、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、印画領域20a(図1参照)であるインクシート収納ケース3の供給ボビン収納部31a(32a)と巻取ボビン収納
部31b(32b)との間の空間領域に配置される。
【0033】
また、図3および図8に示すように、インクシート収納ケース3の下側部品32の供給ボビン収納部32aの底面には、クリーニング部材8を構成する取付部材82のフック部82gが係合する係合孔32lが形成されている。また、図10に示すように、下側部品32の係合孔32lにクリーニング部材8のフック部82g(図1参照)を係合させることにより、フック部82gと一体的に形成された樹脂製の板ばね部82dに付勢力が発生する。このため、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、板ばね部82dにより上方向(矢印E方向)に付勢されている。また、図3および図9に示すように、下側部品32の供給ボビン収納部32aの一方および他方の側端面近傍の底面には、それぞれ、切欠部32mおよび32nが形成されている。この下側部品32の切欠部32mおよび32nは、クリーニング部材8が回動したときに、クリーニング部材8のアーム部82bおよび82cが下側部品32の底面に接触するのを防止するために設けられている。
【0034】
また、本実施形態のインクカートリッジ1が装着される熱転写プリンタ20は、図1に示すように、サーマルヘッド21と、プラテンローラ22と、用紙搬送ローラ23とを備えている。
【0035】
熱転写プリンタ20のサーマルヘッド21は、アーム部材21aと、軸21bと、印字ヘッド21cと、用紙ガイド部材21dとを含む。アーム部材21aの一方の端部は、軸21bに取り付けられている。これにより、アーム部材21aは、軸21bを支点としてA方向に回動可能となっている。また、印字ヘッド21cおよび用紙ガイド部材21dは、アーム部材21aの回動支点とは反対の端部側に取り付けられている。また、印字ヘッド21cは、アーム部材21aが図1の状態からA方向に回動したときに、後述する印字位置20bに対応する領域において、インクシート2および用紙10を下方に押圧して印字位置20bに移動させることが可能なように配置されている。また、用紙ガイド部材21dは、アーム部材21aが図1の状態からA方向に回動したときに、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、インクシート2を介して、クリーニング部材8のクリーナ部材81を下方に押圧することが可能なように配置されている。すなわち、アーム部材21aが図1の状態からA方向に回動したときには、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、クリーナ部材81が、インクシート2のインク側の面と、用紙10の印画される面との両面に接触する。
【0036】
また、プラテンローラ22は、印画領域20aに搬送される用紙10よりも下方に配置されている。そして、プラテンローラ22と用紙10とが接触する部分が、用紙10に対して印画が行われる印字位置20bである。また、用紙搬送ローラ23は、図1中の矢印B方向および矢印C方向に用紙10を搬送することが可能なように配置されている。
【0037】
図11は、本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのクリーニング部材により行われるクリーニング動作を説明するための断面図である。図12は、図11に示したインクカートリッジのクリーニング部材周辺の拡大図である。次に、図1、図11および図12を参照して、本実施形態のインクシートカートリッジ1のクリーニング部材8によりインクシート2および用紙10をクリーニングする際の動作について説明する。
【0038】
まず、図1に示すように、インクシートカートリッジ1が装着された熱転写プリンタ20内に供給された用紙10は、用紙搬送ローラ23により矢印B方向に搬送される。そして、熱転写プリンタ20内の所定の位置に設けられた用紙検出センサ(図示せず)により用紙10が印画領域20aに到着したことが検出されると、用紙搬送ローラ23による用紙10の矢印B方向への搬送が停止される。
【0039】
この後、サーマルヘッド21のアーム部材21aを軸21bを支点としてA方向に回動させることによって、印字ヘッド21cおよび用紙ガイド部材21dを印字位置20b側に下降させる。これにより、図11および図12に示すように、用紙10の印字される面とインクシート2のインク側の面とが接触した状態で、用紙10およびインクシート2が印字ヘッド21cによりプラテンローラ22に押し付けられる。
【0040】
そして、用紙10およびインクシート2がプラテンローラ22に押し付けられた状態で、用紙10を用紙搬送ローラ23により矢印C方向に移動させることによって、用紙10に対する印画が行われる。このとき、使用済みのインクシート2が巻取ボビン5により巻き取られるとともに、未使用のインクシート2が供給ボビン4から印画領域20aに供給される。
【0041】
この際、本実施形態では、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、用紙ガイド部材21dが印字ヘッド21cと共に下降するので、インクシート2が用紙ガイド部材21dにより下方に移動される。このため、クリーニング部材8のクリーナ部材81が、インクシート2のインク側の面に接触する。このとき、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、クリーナ部材81が、インクシート2を介して用紙ガイド部材21dにより押圧されて下方に移動する。このため、クリーナ部材81のインクシート2とは反対側の部分が用紙10の印画される面に接触する。これにより、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、印画前にインクシート2のインク側の面と、用紙10の印画される面との両面が、クリーナ部材8により同時にクリーニングされる。
【0042】
そして、印画終了後には、サーマルヘッド21のアーム部材21aを矢印D方向に回動させることによって、印字ヘッド21cおよび用紙ガイド部材21dを上昇させる。このとき、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、板ばね部82dの付勢力により矢印E方向に回動する。これにより、図1に示したように、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分が、印字開始前の位置に移動される。
【0043】
本実施形態では、上記のように、インクシート2および用紙10をクリーニングするための1つのクリーニング部材8をインクシート収納ケース3に設けることによって、インクシート2をクリーニングするためのクリーニング部材と用紙10をクリーニングするためのクリーニング部材とを別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。これにより、部品点数を増加させることなくインクシート2および用紙10の両方をクリーニングすることができる。また、インクシートカートリッジ1を交換する際にクリーニング部材8も交換されるので、繰り返しクリーニングを行うことによるクリーニング部材8のクリーニング品質の低下を容易に抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、印画時に印字ヘッド21cの下面側に取り付けられる用紙ガイド部材21dが印字ヘッド21cとともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材21dによりクリーニング部材8が下方に押圧されることにより、クリーナ部材81を用紙10の印画される面とインクシート2のインク側の面との両面に接触させて用紙10およびインクシート2のクリーニングを行うことによって、用紙10の印画される面およびインクシート2のインク側の面に付着した塵埃を印画前にクリーナ部材81によって取り除くことができるので、高品質の印画を安定して行うことができる。また、取付部材82を、アーム部82bおよび82cと一体的に形成され、アーム部82bおよび82cを上方向に回動するように付勢するための板ばね部82dを含むように構成するとともに、板ばね部82dの先端部を、インクシート収納ケース3に固定することによって、印画時(クリーニング時)に、用紙ガイド部材21dによりクリーニング部材8が下方に押圧された場
合にも、印画終了後に用紙ガイド部材21dが上昇すれば板ばね部82dの付勢力によりクリーニング部材8は元の位置に戻るため、インクシートカートリッジ1を熱転写プリンタ20から抜き出す際にクリーニング部材8が下降していることにより抜き出せなくなるという不都合が発生するのを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、クリーナ部材81を、取付部材82に脱着可能に取り付けることによって、汚れがひどい場合などにクリーナ部材81を容易に交換することができる。
【0046】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
たとえば、上記実施形態では、熱転写プリンタに装着されるインクシートカートリッジに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、熱転写プリンタ以外の画像形成装置に装着されるインクシートカートリッジにも適用可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、インクシート収納ケースの供給ボビン収納部にクリーニング部材を取り付ける例を示したが、本発明はこれに限らず、印画前にインクシートおよび用紙の両方にクリーナ部材を接触させることができれば、インクシート収納ケースの供給ボビン収納部以外の領域にクリーニング部材を取り付けてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、サーマルヘッドの用紙ガイド部材を下降させるとともに、クリーニング部材のクリーナ部材を用紙ガイド部材により押圧して下方に移動させることによって、インクシートのインク側の面と、用紙の印画される面との両面にクリーナ部材を接触させるようにしたが、本発明はこれに限らず、クリーニング部材のアーム部を所定の押圧手段を用いて押圧することにより、クリーナ部材を下方に移動させてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、クリーニング部材を構成する取付部材の2つのアーム部のうち1つのみに板ばね部を設けることによって、取付部材の軸部に取り付けられるクリーナ部材に対応する部分を1つの板ばね部により上方向に付勢するようにしたが、本発明はこれに限らず、取付部材の2つのアーム部の両方に板ばね部を設けることによって、取付部材の軸部に取り付けられるクリーナ部材に対応する部分を2つの板ばね部により付勢するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、クリーナ部材と取付部材とを含むとともに、クリーナ部材が取付部材に脱着可能に取り付けられたインクシートカートリッジについて説明したが、本発明はこれに限らず、クリーナ部材が取付部材に取り付けられたインクシートカートリッジにおいて、クリーナ部材が取付部材から取り外せなくてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、クリーニング部材を構成するクリーナ部材を上方向に移動させることによって、インクシートのインク側の面と、用紙の印画される面との両面にクリーナ部材を接触させるようにしたが、本発明はこれに限らず、クリーニング部材を構成するクリーナ部材を下方向に移動させることによって、インクシートのインク側の面と、用紙の印画される面との両面にクリーナ部材を接触させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態によるインクシートおよび用紙のクリーニング時の状態を説明するための断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジの構造を示した斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジの全体構成を示した分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのインクシートを取り外した状態の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのインクシートを取り外した状態の平面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるクリーニング部材の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態によるクリーニング部材の側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による下側部品の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による下側部品にクリーニング部材を取り付けた状態の平面図である。
【図10】本発明の一実施形態による下側部品にクリーニング部材を取り付けた状態の斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのクリーニング部材により行われるクリーニング動作を説明するための断面図である。
【図12】図11に示したインクカートリッジのクリーニング部材周辺の拡大図である。
【図13】従来の一例によるインクシートおよび用紙のクリーニング時の状態を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0054】
2 インクシート
21c 印字ヘッド部材
21d 用紙ガイド部材
3 インクシート収納ケース
8 クリーニング部材
10 用紙
81 クリーナ部材
82 取付部材
82b、82c アーム部
82a 軸部
82d 板ばね部(ばね部)
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクシートカートリッジに関し、特に、インクシートを収納するインクシート収納ケースを備えたインクシートカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に画像を転写するためのインクシートがインクシート収納ケースに収納されたインクシートカートリッジが知られている。また、従来では、インクシートなどの転写媒体や、用紙をクリーニングすることによって、印画の品質を向上させる技術が知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。なお、上記したインクシート(転写媒体)や用紙のクリーニングは、インクシートカートリッジが熱転写プリンタなどの画像形成装置に装着された状態で行われる。
【0003】
上記特許文献1には、インクシートをクリーニングするためのクリーニング部材が、取付板を介してインクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが開示されている。また、上記特許文献2には、中間転写媒体を介してインクシートにより用紙に像を転写する構成において、中間転写媒体をクリーニングするためのクリーニング部材がインクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが開示されている。また、上記特許文献3には、用紙をクリーニングするためのクリーニング部材が、インクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが開示されている。また、上記特許文献4には、インクシートカートリッジとは別個に設けられたクリーニング部材により、用紙のクリーニングを行う熱転写プリンタが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および2では、インクシートや中間転写媒体に付着した埃などをクリーニング処理により除去したとしても、用紙に埃などが付着していれば、その用紙に付着した埃などにより印画の品質が低下するという不都合が生じる。また、上記特許文献3および4では、用紙に付着した埃などをクリーニング処理により除去したとしても、インクシートに埃などが付着していれば、そのインクシートに付着した埃などにより印画の品質が低下するという不都合が生じる。
【0005】
そこで、従来では、インクシートをクリーニングするためのインクシート用クリーニング部材と、用紙をクリーニングするための用紙用クリーニング部材とが、インクシート収納ケースに取り付けられたインクシートカートリッジが提案されている(たとえば、特許文献5参照)。
【0006】
図13は、従来の提案されたインクシートカートリッジが熱転写プリンタに装着された状態を示した断面図である。図13を参照して、従来の提案されたインクシートカートリッジ101は、熱転写プリンタ120内に装着することが可能なように構成されている。また、インクシートカートリッジ101は、インクシート102を収納するためのインクシート収納ケース103と、インクシート102が巻き付けられる供給ボビン104および巻取ボビン105とを含む。インクシート収納ケース103は、供給ボビン104が収納される供給ボビン収納部103aと、巻取ボビン105が収納される巻取ボビン収納部103bとを有する。なお、インクシートカートリッジ101が熱転写プリンタ120内に装着された状態において、インクシート収納ケース103の供給ボビン収納部103aと巻取ボビン収納部103bとの間の空間領域は、インクシート102が露出される印画領域120aとなる。また、供給ボビン104および巻取ボビン105は、未使用のインクシート102を印画領域120aに供給し、かつ、使用済みのインクシート102を巻き取る機能を有する。
【0007】
また、従来の提案されたインクシートカートリッジ101は、用紙110をクリーニングするための用紙用クリーニングローラ106と、インクシート102をクリーニングするための一対のインクシート用クリーニングローラ107とをさらに含む。用紙用クリーニングローラ106は、インクシート収納ケース103の巻取ボビン収納部103bの下部側に、ばね部材108を介して取り付けられている。この用紙用クリーニングローラ106は、ばね部材108により下方側(用紙110側)に付勢されている。また、一対のインクシート用クリーニングローラ107は、インクシート収納ケース103の供給ボビン103aに設けられたインクシート供給口103cに、インクシート102を挟むように取り付けられている。
【0008】
また、図13に示した従来のインクシートカートリッジ101が装着された熱転写プリンタ120において、用紙110に対して印画を行う際には、まず、熱転写プリンタ120内に供給された用紙110が、用紙搬送ローラ123により印画領域120a(矢印F方向)に搬送される。この後、サーマルヘッド121の印字ヘッド121aが下方に移動することによって、印字ヘッド121aにより用紙110およびインクシート102がプラテンローラ122に押し付けられる。そして、用紙110およびインクシート102がプラテンローラ122に押し付けられた状態で用紙110を用紙搬送ローラ123により矢印G方向に移動させることによって、用紙110に対して印画が行われる。この際、使用済みのインクシート102が巻取ボビン105により巻き取られるとともに、未使用のインクシート102が供給ボビン104から印画領域120aに供給される。
【0009】
そして、図13に示した従来のインクシートカートリッジ101が装着された熱転写プリンタ120では、用紙110が矢印F方向に搬送される際に、用紙110側に付勢された用紙用クリーニングローラ106により、用紙110が印画前にクリーニングされる。また、インクシート102が供給ボビン104から供給される際に、インクシート102を挟むようにインクシート収納ケース103のインクシート供給口103cに取り付けられたインクシート用クリーニングローラ107により、インクシート102が印画前にクリーニングされる。
【特許文献1】特開平5−177914号公報
【特許文献2】特開平8−90880号公報
【特許文献3】特開平9−58078号公報
【特許文献4】特開2000−62286号公報
【特許文献5】特開2002−120446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図13に示した従来のインクシートカートリッジ101では、インクシート102および用紙110の両方をクリーニングすることができたとしても、用紙用クリーニングローラ106と、一対のインクシート用クリーニングローラ107とを用いてクリーニングするので、インクシート102および用紙110のいずれか一方のみをクリーニングする場合に比べて、部品点数が増加するという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数を増加させることなく、インクシートおよび用紙の両面をクリーニングすることが可能なインクシートカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の第1の局面におけるインクシートカートリッジは、インクシートと、インク
シートを収納するインクシート収納ケースとを備えたインクシートカートリッジにおいて、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材をさらに備える。また、クリーニング部材は、インクシートと用紙との間に配置され、インクシートおよび用紙をクリーニングするクリーナ部材と、クリーナ部材が脱着可能でかつ回動可能に取り付けられる軸部と、軸部と一体的に形成され、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、クリーニング部材の取付部材は、アーム部と一体的に形成され、アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、ばね部の先端部は、インクシート収納ケースに固定されており、印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧されることにより、クリーナ部材が用紙の印画される面とインクシートのインク側の面との両面に接触することによって、用紙およびインクシートのクリーニングが行われる。
【0013】
この第1の局面によるインクシートカートリッジでは、上記のように、インクシートお
よび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材を設けることによって、インクシートをクリーニングするためのクリーニング部材と用紙をクリーニングするためのクリーニング部材とを別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。これにより、部品点数を増加させることなくインクシートおよび用紙の両方をクリーニングすることができる。また、クリーニング部材をインクシート収納ケースに設けることによって、インクシートカートリッジを交換する際にクリーニング部材も交換されるので、繰り返しクリーニングを行うことによるクリーニング部材のクリーニング品質の低下を容易に抑制することができる。また、印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧されることにより、クリーナ部材を用紙の印画される面とインクシートのインク側の面との両面に接触させて用紙およびインクシートのクリーニングを行うことによって、用紙の印画される面およびインクシートのインク側の面に付着した塵埃を印画前にクリーナ部材によって取り除くことができるので、高品質の印画を安定して行うことができる。また、取付部材を、アーム部と一体的に形成され、アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含むように構成するとともに、ばね部の先端部を、インクシート収納ケースに固定することによって、印画時(クリーニング時)に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧された場合にも、印画終了後に用紙ガイド部材が上昇すればばね部の付勢力によりクリーニング部材は元の位置に戻るため、インクシートカートリッジを装置本体から抜き出す際にクリーニング部材が下降していることにより抜き出せなくなるという不都合が発生するのを抑制することができる。また、クリーナ部材を、取付部材に脱着可能に取り付けることによって、汚れがひどい場合などにクリーナ部材を容易に交換することができる。
【0014】
この発明の第2の局面によるインクシートカートリッジは、インクシートと、インクシートを収納するインクシート収納ケースと、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材とを備えている。
【0015】
この発明の第2の局面によるインクシートカートリッジでは、上記のように、インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材をインクシート収納ケースに設けることによって、インクシートをクリーニングするためのクリーニング部材と用紙をクリーニングするためのクリーニング部材とを別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。これにより、部品点数を増加させることなくインクシートおよび用紙の両方をクリーニングすることができる。また、インクシートカートリッジを交換する際にクリーニング部材も交換されるので、繰り返しクリーニングを行うことによる
クリーニング部材のクリーニング品質の低下を容易に抑制することができる。
【0016】
上記第2の局面によるインクシートカートリッジにおいて、好ましくは、クリーニング部材は、インクシートと用紙との間に配置され、インクシートおよび用紙をクリーニングするクリーナ部材と、クリーナ部材が回動可能に取り付けられる軸部と、軸部と一体的に形成され、インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧されることによって、クリーナ部材が用紙の印画される面とインクシートのインク側の面との両面に接触することによって用紙およびインクシートのクリーニングが行われる。このように構成すれば、用紙の印画される面およびインクシートのインク側の面に付着した塵埃を印画前にクリーナ部材によって取り除くことができるので、高品質の印画を安定して行うことができる。
【0017】
上記第2の局面によるインクシートカートリッジにおいて、好ましくは、取付部材は、アーム部と一体的に形成され、アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、ばね部の先端部は、インクシート収納ケースに固定されている。このように構成すれば、印画時(クリーニング時)に、用紙ガイド部材によりクリーニング部材が下方に押圧された場合にも、印画終了後に用紙ガイド部材が上昇すればばね部の付勢力によりクリーニング部材は元の位置に戻るため、インクシートカートリッジを装置本体から抜き出す際にクリーニング部材が下降していることにより抜き出せなくなるという不都合が発生するのを抑制することができる。
【0018】
上記第2の局面によるインクシートカートリッジにおいて、好ましくは、クリーナ部材は、取付部材に脱着可能に取り付けられる。このように構成すれば、汚れがひどい場合などにクリーナ部材を容易に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジが熱転写プリンタ内に装着された状態を示した断面図である。図2は、本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジの構造を示した斜視図であり、図3は、図2に示した一実施形態によるインクシートカートリッジの分解斜視図である。図4〜図9は、図2に示した一実施形態によるインクシートカートリッジの構造の詳細を説明するための図である。まず、図1〜図9を参照して、本実施形態によるインクシートカートリッジの構造について説明する。
【0021】
本実施形態によるインクシートカートリッジ1は、図1に示すように、熱転写プリンタ20内に装着することが可能なように構成されている。また、インクシートカートリッジ1は、図2および図3に示すように、インクシート2を収納するためのインクシート収納ケース3と、インクシート2が巻き付けられる供給ボビン4および巻取ボビン5とを含む。インクシート収納ケース3は、上側部品31と、下側部品32とによって構成されている。インクシート収納ケース3の上側部品31は、供給ボビン4が収納される供給ボビン収納部31aと、巻取ボビン5が収納される巻取ボビン収納部31bとを有する。また、上側部品31の供給ボビン収納部31aおよび巻取ボビン収納部31bは、2つの連結部31cおよび31dにより連結されている。また、図3に示すように、上側部品31の供給ボビン収納部31aの内部には、供給ボビン保持部31eが形成されているとともに、巻取ボビン収納部31bの内部には、巻取ボビン保持部31fが形成されている。また、上側部品31の供給ボビン収納部31aの一方の側端面には、嵌合孔31gが設けられているとともに、巻取ボビン収納部31bの一方の側端面には、嵌合孔31hが設けられて
いる。また、上側部品31の供給ボビン収納部31aの他方の側端面近傍の部分には、下方に突出する爪部31iが設けられている。
【0022】
また、インクシート収納ケース3の下側部品32は、供給ボビン4が収納される供給ボビン収納部32aと、巻取ボビン5が収納される巻取ボビン収納部32bとを有する。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aおよび巻取ボビン収納部32bは、2つの連結部32cおよび32dにより連結されている。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aの内部には、供給ボビン保持部32eが形成されているとともに、巻取ボビン収納部32bの内部には、巻取ボビン保持部32fが形成されている。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aの一方の側端面には、上側部品31の嵌合孔31gに嵌合する突起部32gが設けられているとともに、巻取ボビン収納部32bの一方の側端面には、上側部品31の嵌合孔31hに嵌合する突起部32hが設けられている。また、下側部品32の供給ボビン収納部32aの他方の側端面近傍の部分には、上側部品31の爪部31iが係合する係合孔32iが設けられている。
【0023】
そして、上側部品31の爪部31iが下側部品32の係合孔32iに係合し、かつ、上側部品31の嵌合孔31gおよび31hの各々に下側部品32の突起部32gおよび32hが嵌合することによって、上側部品31と下側部品32とが組み合わされている。また、図1および図2に示すように、インクシートカートリッジ1が熱転写プリンタ20内に装着された状態において、インクシート収納ケース3の供給ボビン収納部31a(32a)と巻取ボビン収納部31b(32b)との間の空間領域は、インクシート2が露出される印画領域20aとなる。
【0024】
また、図3に示すように、供給ボビン4は、インクシート供給側軸4aと、駆動側軸部4bと、従動側軸部4cと、一対のフランジ部4dとによって構成されている。なお、インクシート供給側軸4aには、未使用のインクシート2が巻き付けられている。駆動側軸部4bおよび従動側軸部4cは、それぞれ、インクシート供給側軸4aの一方および他方の端部に配置されている。また、一対のフランジ部4dは、それぞれ、インクシート供給側軸4aの一方および他方の端部よりも内側の部分に配置されている。また、供給ボビン4は、インクシート収納ケース3の供給ボビン保持部31e(32e)に回転可能に保持されている。また、インクシートカートリッジ1を熱転写プリンタ20(図1参照)内に装着した場合には、駆動側軸部4bが熱転写プリンタ20の駆動リール(図示せず)に連結される。このため、駆動リールが駆動することにより、駆動側軸部4bを介してインクシート供給側軸4aが回転される。
【0025】
また、巻取ボビン5は、インクシート巻取側軸5aと、駆動側軸部5bと、従動側軸部5cと、一対のフランジ部5dとによって構成されている。なお、インクシート巻取側軸5aには、使用済みのインクシート2が巻き付けられる。駆動側軸部5bおよび従動側軸部5cは、それぞれ、インクシート巻取側軸5aの一方および他方の端部に配置されている。また、一対のフランジ部5dは、それぞれ、インクシート巻取側軸5aの一方および他方の端部よりも内側の部分に配置されている。また、供給ボビン5は、インクシート収納ケース3の巻取ボビン保持部31f(32f)に回転可能に保持されている。また、インクシートカートリッジ1を熱転写プリンタ20(図1参照)内に装着した場合には、駆動側軸部5bが熱転写プリンタ20の駆動リール(図示せず)に連結される。このため、駆動リールが駆動することにより、駆動側軸部5bを介してインクシート巻取側軸5aが回転される。
【0026】
そして、熱転写プリンタ20(図1参照)により印画を行う際には、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転することによって、供給ボビン4に巻き付けられた未使用のインクシート2が印画領域20a(図1参照)に供給される。また、印画領域20aに供給され
た使用済みのインクシート2は、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転することによって、巻取ボビン5により巻き取られる。
【0027】
また、供給ボビン4の従動側軸部4c側には、供給ボビン4を回転軸の延びる方向に付勢するための圧縮ばね7aが装着されているとともに、巻取ボビン5の従動側軸部5c側には、巻取ボビン5を回転軸の延びる方向に付勢するための圧縮ばね7bが装着されている。この圧縮ばね7aおよび7bにより供給ボビン4および巻取ボビン5を回転軸の延びる方向に付勢することによって、インクシートカートリッジ1が熱転写プリンタ20(図1参照)内から取り外されたときに、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転しにくくなる。このため、インクシートカートリッジ1が熱転写プリンタ20内から取り外されたときに、供給ボビン4および巻取ボビン5が回転してインクシート2が緩んだ状態になるのが抑制される。
【0028】
ここで、本実施形態では、インクシート2を収納するためのインクシート収納ケース3に、インクシート2および用紙10(図1参照)の両方を同時にクリーニングするための1つのクリーニング部材8が取り付けられている。このクリーニング部材8は、図6および図7に示すように、クリーナ部材81と、取付部材82とによって構成されている。
【0029】
クリーニング部材8のクリーナ部材81は、導電性の不織布や網目状のポリエステルなどからなる。また、クリーナ部材81は、クリーナ部材81の短手方向の一方の端部の厚みが、短手方向の他方の端部の厚みよりも小さくなるように形成されている。また、クリーナ部材81には、クリーナ部材81の長手方向に延びる取付穴81aと、小さい厚みを有する端部側から取付穴81aに達する切込部81bとが形成されている。
【0030】
また、クリーニング部材8の取付部材82は、ポリスチレンやABSなどの樹脂からなる。また、取付部材82は、軸部82aと、アーム部82bおよび82cと、板ばね部82dとを含む。なお、板ばね部82dは、本発明の「ばね部」の一例である。アーム部82bおよび82cは、軸部82aの一方および他方の端部の各々に一体的に形成されている。また、板ばね部82dは、アーム部82cの軸部82aとは反対側の端部に一体的に形成されている。また、アーム部82bおよび82cの軸部82aとは反対側の端部には、それぞれ、軸部82aが延びる方向に突出する凸部82eおよび82fが一体的に形成されている。また、板ばね部82dの先端部には、フック部82gが一体的に形成されている。
【0031】
そして、図7に示すように、クリーナ部材81は、取付部材82の軸部82aを支点として回動することが可能なように、取付部材82に脱着可能に取り付けられている。具体的には、取付部材82の軸部82aが、クリーナ部材81の取付穴81aに嵌め込まれている。なお、取付部材82の軸部82aにクリーナ部材81の取付穴81aを嵌め込む際には、クリーナ部材81の切込部81bを介して軸部82aを取付穴81aに挿入する。
【0032】
また、図3、図8および図9に示すように、インクシート収納ケース3には、クリーニング部材8を取り付けるための取付部(凹部32j、32kおよび係合孔32l)が形成されている。具体的には、下側部品32の供給ボビン収納部32aの一方および他方の内側面に、それぞれ、凹部32jおよび32kが形成されている。そして、クリーニング部材8は、取付部材82の凸部82eおよび82fの各々が下側部品32の凹部32jおよび32kに嵌め込まれることによって、インクシート収納ケース3に取り付けられている。これにより、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、下側部品32の凹部32j(32k)を支点として回動される。また、図4および図5に示すように、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、印画領域20a(図1参照)であるインクシート収納ケース3の供給ボビン収納部31a(32a)と巻取ボビン収納
部31b(32b)との間の空間領域に配置される。
【0033】
また、図3および図8に示すように、インクシート収納ケース3の下側部品32の供給ボビン収納部32aの底面には、クリーニング部材8を構成する取付部材82のフック部82gが係合する係合孔32lが形成されている。また、図10に示すように、下側部品32の係合孔32lにクリーニング部材8のフック部82g(図1参照)を係合させることにより、フック部82gと一体的に形成された樹脂製の板ばね部82dに付勢力が発生する。このため、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、板ばね部82dにより上方向(矢印E方向)に付勢されている。また、図3および図9に示すように、下側部品32の供給ボビン収納部32aの一方および他方の側端面近傍の底面には、それぞれ、切欠部32mおよび32nが形成されている。この下側部品32の切欠部32mおよび32nは、クリーニング部材8が回動したときに、クリーニング部材8のアーム部82bおよび82cが下側部品32の底面に接触するのを防止するために設けられている。
【0034】
また、本実施形態のインクカートリッジ1が装着される熱転写プリンタ20は、図1に示すように、サーマルヘッド21と、プラテンローラ22と、用紙搬送ローラ23とを備えている。
【0035】
熱転写プリンタ20のサーマルヘッド21は、アーム部材21aと、軸21bと、印字ヘッド21cと、用紙ガイド部材21dとを含む。アーム部材21aの一方の端部は、軸21bに取り付けられている。これにより、アーム部材21aは、軸21bを支点としてA方向に回動可能となっている。また、印字ヘッド21cおよび用紙ガイド部材21dは、アーム部材21aの回動支点とは反対の端部側に取り付けられている。また、印字ヘッド21cは、アーム部材21aが図1の状態からA方向に回動したときに、後述する印字位置20bに対応する領域において、インクシート2および用紙10を下方に押圧して印字位置20bに移動させることが可能なように配置されている。また、用紙ガイド部材21dは、アーム部材21aが図1の状態からA方向に回動したときに、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、インクシート2を介して、クリーニング部材8のクリーナ部材81を下方に押圧することが可能なように配置されている。すなわち、アーム部材21aが図1の状態からA方向に回動したときには、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、クリーナ部材81が、インクシート2のインク側の面と、用紙10の印画される面との両面に接触する。
【0036】
また、プラテンローラ22は、印画領域20aに搬送される用紙10よりも下方に配置されている。そして、プラテンローラ22と用紙10とが接触する部分が、用紙10に対して印画が行われる印字位置20bである。また、用紙搬送ローラ23は、図1中の矢印B方向および矢印C方向に用紙10を搬送することが可能なように配置されている。
【0037】
図11は、本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのクリーニング部材により行われるクリーニング動作を説明するための断面図である。図12は、図11に示したインクカートリッジのクリーニング部材周辺の拡大図である。次に、図1、図11および図12を参照して、本実施形態のインクシートカートリッジ1のクリーニング部材8によりインクシート2および用紙10をクリーニングする際の動作について説明する。
【0038】
まず、図1に示すように、インクシートカートリッジ1が装着された熱転写プリンタ20内に供給された用紙10は、用紙搬送ローラ23により矢印B方向に搬送される。そして、熱転写プリンタ20内の所定の位置に設けられた用紙検出センサ(図示せず)により用紙10が印画領域20aに到着したことが検出されると、用紙搬送ローラ23による用紙10の矢印B方向への搬送が停止される。
【0039】
この後、サーマルヘッド21のアーム部材21aを軸21bを支点としてA方向に回動させることによって、印字ヘッド21cおよび用紙ガイド部材21dを印字位置20b側に下降させる。これにより、図11および図12に示すように、用紙10の印字される面とインクシート2のインク側の面とが接触した状態で、用紙10およびインクシート2が印字ヘッド21cによりプラテンローラ22に押し付けられる。
【0040】
そして、用紙10およびインクシート2がプラテンローラ22に押し付けられた状態で、用紙10を用紙搬送ローラ23により矢印C方向に移動させることによって、用紙10に対する印画が行われる。このとき、使用済みのインクシート2が巻取ボビン5により巻き取られるとともに、未使用のインクシート2が供給ボビン4から印画領域20aに供給される。
【0041】
この際、本実施形態では、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、用紙ガイド部材21dが印字ヘッド21cと共に下降するので、インクシート2が用紙ガイド部材21dにより下方に移動される。このため、クリーニング部材8のクリーナ部材81が、インクシート2のインク側の面に接触する。このとき、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、クリーナ部材81が、インクシート2を介して用紙ガイド部材21dにより押圧されて下方に移動する。このため、クリーナ部材81のインクシート2とは反対側の部分が用紙10の印画される面に接触する。これにより、印字位置20bよりも矢印C方向に対して上流側の領域において、印画前にインクシート2のインク側の面と、用紙10の印画される面との両面が、クリーナ部材8により同時にクリーニングされる。
【0042】
そして、印画終了後には、サーマルヘッド21のアーム部材21aを矢印D方向に回動させることによって、印字ヘッド21cおよび用紙ガイド部材21dを上昇させる。このとき、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分は、板ばね部82dの付勢力により矢印E方向に回動する。これにより、図1に示したように、クリーニング部材8のクリーナ部材81に対応する部分が、印字開始前の位置に移動される。
【0043】
本実施形態では、上記のように、インクシート2および用紙10をクリーニングするための1つのクリーニング部材8をインクシート収納ケース3に設けることによって、インクシート2をクリーニングするためのクリーニング部材と用紙10をクリーニングするためのクリーニング部材とを別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。これにより、部品点数を増加させることなくインクシート2および用紙10の両方をクリーニングすることができる。また、インクシートカートリッジ1を交換する際にクリーニング部材8も交換されるので、繰り返しクリーニングを行うことによるクリーニング部材8のクリーニング品質の低下を容易に抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、印画時に印字ヘッド21cの下面側に取り付けられる用紙ガイド部材21dが印字ヘッド21cとともに印字位置に下降する際に、用紙ガイド部材21dによりクリーニング部材8が下方に押圧されることにより、クリーナ部材81を用紙10の印画される面とインクシート2のインク側の面との両面に接触させて用紙10およびインクシート2のクリーニングを行うことによって、用紙10の印画される面およびインクシート2のインク側の面に付着した塵埃を印画前にクリーナ部材81によって取り除くことができるので、高品質の印画を安定して行うことができる。また、取付部材82を、アーム部82bおよび82cと一体的に形成され、アーム部82bおよび82cを上方向に回動するように付勢するための板ばね部82dを含むように構成するとともに、板ばね部82dの先端部を、インクシート収納ケース3に固定することによって、印画時(クリーニング時)に、用紙ガイド部材21dによりクリーニング部材8が下方に押圧された場
合にも、印画終了後に用紙ガイド部材21dが上昇すれば板ばね部82dの付勢力によりクリーニング部材8は元の位置に戻るため、インクシートカートリッジ1を熱転写プリンタ20から抜き出す際にクリーニング部材8が下降していることにより抜き出せなくなるという不都合が発生するのを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、クリーナ部材81を、取付部材82に脱着可能に取り付けることによって、汚れがひどい場合などにクリーナ部材81を容易に交換することができる。
【0046】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
たとえば、上記実施形態では、熱転写プリンタに装着されるインクシートカートリッジに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、熱転写プリンタ以外の画像形成装置に装着されるインクシートカートリッジにも適用可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、インクシート収納ケースの供給ボビン収納部にクリーニング部材を取り付ける例を示したが、本発明はこれに限らず、印画前にインクシートおよび用紙の両方にクリーナ部材を接触させることができれば、インクシート収納ケースの供給ボビン収納部以外の領域にクリーニング部材を取り付けてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、サーマルヘッドの用紙ガイド部材を下降させるとともに、クリーニング部材のクリーナ部材を用紙ガイド部材により押圧して下方に移動させることによって、インクシートのインク側の面と、用紙の印画される面との両面にクリーナ部材を接触させるようにしたが、本発明はこれに限らず、クリーニング部材のアーム部を所定の押圧手段を用いて押圧することにより、クリーナ部材を下方に移動させてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、クリーニング部材を構成する取付部材の2つのアーム部のうち1つのみに板ばね部を設けることによって、取付部材の軸部に取り付けられるクリーナ部材に対応する部分を1つの板ばね部により上方向に付勢するようにしたが、本発明はこれに限らず、取付部材の2つのアーム部の両方に板ばね部を設けることによって、取付部材の軸部に取り付けられるクリーナ部材に対応する部分を2つの板ばね部により付勢するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、クリーナ部材と取付部材とを含むとともに、クリーナ部材が取付部材に脱着可能に取り付けられたインクシートカートリッジについて説明したが、本発明はこれに限らず、クリーナ部材が取付部材に取り付けられたインクシートカートリッジにおいて、クリーナ部材が取付部材から取り外せなくてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、クリーニング部材を構成するクリーナ部材を上方向に移動させることによって、インクシートのインク側の面と、用紙の印画される面との両面にクリーナ部材を接触させるようにしたが、本発明はこれに限らず、クリーニング部材を構成するクリーナ部材を下方向に移動させることによって、インクシートのインク側の面と、用紙の印画される面との両面にクリーナ部材を接触させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態によるインクシートおよび用紙のクリーニング時の状態を説明するための断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジの構造を示した斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジの全体構成を示した分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのインクシートを取り外した状態の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのインクシートを取り外した状態の平面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるクリーニング部材の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態によるクリーニング部材の側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による下側部品の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による下側部品にクリーニング部材を取り付けた状態の平面図である。
【図10】本発明の一実施形態による下側部品にクリーニング部材を取り付けた状態の斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態によるインクシートカートリッジのクリーニング部材により行われるクリーニング動作を説明するための断面図である。
【図12】図11に示したインクカートリッジのクリーニング部材周辺の拡大図である。
【図13】従来の一例によるインクシートおよび用紙のクリーニング時の状態を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0054】
2 インクシート
21c 印字ヘッド部材
21d 用紙ガイド部材
3 インクシート収納ケース
8 クリーニング部材
10 用紙
81 クリーナ部材
82 取付部材
82b、82c アーム部
82a 軸部
82d 板ばね部(ばね部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクシートと、前記インクシートを収納するインクシート収納ケースとを備えたインクシートカートリッジにおいて、
前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、前記インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材をさらに備え、
前記クリーニング部材は、
前記インクシートと前記用紙との間に配置され、前記インクシートおよび前記用紙をクリーニングするクリーナ部材と、
前記クリーナ部材が脱着可能でかつ回動可能に取り付けられる軸部と、前記軸部と一体的に形成され、前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、
前記クリーニング部材の取付部材は、前記アーム部と一体的に形成され、前記アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、前記ばね部の先端部は、前記インクシート収納ケースに固定されており、
印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が前記印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、前記用紙ガイド部材により前記クリーニング部材が下方に押圧されることにより、前記クリーナ部材が前記用紙の印画される面と前記インクシートのインク側の面との両面に接触することによって、前記用紙および前記インクシートのクリーニングが行われる、インクシートカートリッジ。
【請求項2】
インクシートと、
前記インクシートを収納するインクシート収納ケースと、
前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、前記インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材とを備えた、インクシートカートリッジ。
【請求項3】
前記クリーニング部材は、
前記インクシートと前記用紙との間に配置され、前記インクシートおよび前記用紙をクリーニングするクリーナ部材と、
前記クリーナ部材が回動可能に取り付けられる軸部と、前記軸部と一体的に形成され、前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、
印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が前記印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、前記用紙ガイド部材により前記クリーニング部材が下方に押圧されることにより、前記クリーナ部材が前記用紙の印画される面と前記インクシートのインク側の面との両面に接触することによって、前記用紙および前記インクシートのクリーニングが行われる、請求項2に記載のインクシートカートリッジ。
【請求項4】
前記取付部材は、前記アーム部と一体的に形成され、前記アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、
前記ばね部の先端部は、前記インクシート収納ケースに固定されている、請求項2または3に記載のインクシートカートリッジ。
【請求項5】
前記クリーナ部材は、前記取付部材に脱着可能に取り付けられる、請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクシートカートリッジ。
【請求項1】
インクシートと、前記インクシートを収納するインクシート収納ケースとを備えたインクシートカートリッジにおいて、
前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、前記インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材をさらに備え、
前記クリーニング部材は、
前記インクシートと前記用紙との間に配置され、前記インクシートおよび前記用紙をクリーニングするクリーナ部材と、
前記クリーナ部材が脱着可能でかつ回動可能に取り付けられる軸部と、前記軸部と一体的に形成され、前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、
前記クリーニング部材の取付部材は、前記アーム部と一体的に形成され、前記アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、前記ばね部の先端部は、前記インクシート収納ケースに固定されており、
印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が前記印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、前記用紙ガイド部材により前記クリーニング部材が下方に押圧されることにより、前記クリーナ部材が前記用紙の印画される面と前記インクシートのインク側の面との両面に接触することによって、前記用紙および前記インクシートのクリーニングが行われる、インクシートカートリッジ。
【請求項2】
インクシートと、
前記インクシートを収納するインクシート収納ケースと、
前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられ、前記インクシートおよび用紙をクリーニングするための1つのクリーニング部材とを備えた、インクシートカートリッジ。
【請求項3】
前記クリーニング部材は、
前記インクシートと前記用紙との間に配置され、前記インクシートおよび前記用紙をクリーニングするクリーナ部材と、
前記クリーナ部材が回動可能に取り付けられる軸部と、前記軸部と一体的に形成され、前記インクシート収納ケースに回動可能に取り付けられるアーム部とを有する取付部材とを含み、
印画時に印字ヘッド部材の下面側に取り付けられる用紙ガイド部材が前記印字ヘッド部材とともに印字位置に下降する際に、前記用紙ガイド部材により前記クリーニング部材が下方に押圧されることにより、前記クリーナ部材が前記用紙の印画される面と前記インクシートのインク側の面との両面に接触することによって、前記用紙および前記インクシートのクリーニングが行われる、請求項2に記載のインクシートカートリッジ。
【請求項4】
前記取付部材は、前記アーム部と一体的に形成され、前記アーム部を上方向に回動するように付勢するためのばね部を含み、
前記ばね部の先端部は、前記インクシート収納ケースに固定されている、請求項2または3に記載のインクシートカートリッジ。
【請求項5】
前記クリーナ部材は、前記取付部材に脱着可能に取り付けられる、請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクシートカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−315362(P2006−315362A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142350(P2005−142350)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]