説明

インクジェットプリンタ及びカートリッジ装着ユニット

【課題】筐体を大型化することなく、装着されたインクカートリッジやインクの導出針の破損を防止することが可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ100は、印刷を行う本体部108と、本体部108に着脱可能なカートリッジ装着ユニット110を備える。カートリッジ装着ユニット110の筐体111内には、8本のインクカートリッジ1が夫々装着可能なホルダが8個設けられている。インクカートリッジ1は、ホルダに案内され、ホルダの奥側に配置されたインクの導出針に接続される。ホルダの挿入口は、筐体111の開口112に連通する。筐体111には、最も左側のホルダの挿入口に対して筐体111の外縁側となる開口112の左側に、カートリッジ1の露出部の左側面に対向するように、露出部とほぼ同じ長さだけ筐体111から前方に突出する枠状の保護部材120が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジから供給されるインクによって印刷を行うインクジェットプリンタ及びインクカートリッジが装着されるカートリッジ装着ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリンタには、印刷ヘッドにインクを供給するために、ケース内にインク袋が収容されたインクカートリッジが使用される。そのため、インクジェットプリンタは、インクカートリッジが所定の装着位置に着脱可能に構成されている。例えば、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、本体カバーの側面の左右の端部に、収容凹部を有するインク収納手段が設けられており、インクカートリッジは、収容凹部内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−162812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、インクカートリッジは、その一端部が収容凹部には収まりきらず、インク収納手段から外部へ突出し露出している。従って、例えば、インクジェットプリンタの周囲を移動する作業者が、インクカートリッジの露出部にぶつかる可能性がある。インクジェットプリンタは、通常、装着されたインクカートリッジのインク袋の口栓からインクを導出するための導出針を備えている。従って、装着されたインクカートリッジの露出部が衝撃を受けると、インクカートリッジのケースや、インクジェットプリンタの導出針が破損する可能性がある。特に、インクカートリッジの露出部の外部方向への端部側に作業者がぶつかると、インクカートリッジの露出部のインク収納手段に近い側にぶつかったときよりも、インクジェットプリンタの導出針が大きな衝撃を受ける。このような可能性を低減するために、カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジが露出しないように、筐体をインクカートリッジの長さに合わせて構成することが考えられる。しかし、インクカートリッジが長くなるほど、筐体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、筐体を大型化することなく、装着されたインクカートリッジやインクの導出針の破損を防止することが可能なインクジェットプリンタを提供することを目的とする。また、本発明は、インクジェットプリンタに着脱可能で、筐体を大型化することなく、装着されたインクカートリッジやインクジェットプリンタのインクの導出針の破損を防止することが可能なカートリッジ装着ユニットを提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係るインクジェットプリンタは、カートリッジ装着部と、筐体と、導出針と、第一突出部とを備えている。前記カートリッジ装着部は、インクを収容するインクカートリッジが着脱可能に構成されている。前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジを着脱方向に沿って案内する。前記筐体は、前記カートリッジ装着部の前記インクカートリッジが挿脱される挿入口に連通する開口を有する。前記導出針は、前記カートリッジ装着部に対して前記開口とは反対側に、前記開口から、前記インクカートリッジの長さよりも短い距離だけ離間して配置されている。前記導出針は、前記カートリッジ装着部に装着された前記インクカートリッジに接続されて前記インクを導出可能である。前記第一突出部は、前記筐体から突出する突出部である。前記第一突出部は、前記挿入口に隣接して、前記挿入口に対して前記筐体の上下方向以外の方向にある外縁側に設けられている。前記第一突出部は、前記インクカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された場合に前記開口から突出して前記筐体の外部に露出する部分である露出部と少なくともほぼ同じ長さだけ突出している。前記第一突出部は、少なくとも前記着脱方向に前記挿入口を平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域と干渉しないように配置されている。
【0007】
筐体の開口と導出針との距離よりも長いインクカートリッジがカートリッジ装着部に装着された場合、インクカートリッジの一部が、筐体の開口から外部に突出して露出する。このような場合、例えば、筐体の周囲を移動する作業者が、このインクカートリッジの露出部にぶつかる可能性がある。すなわち、インクカートリッジに筐体の外縁方向から衝撃が加わり、インクカートリッジのケースや、インクジェットプリンタのインクの導出針が破損してしまう可能性がある。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタには、カートリッジ装着部の挿入口に対して筐体の上下方向以外の方向にある外縁側に、インクカートリッジの露出部と少なくともほぼ同じ長さだけ筐体から突出する第一突出部が設けられている。よって、作業者がインクカートリッジの露出部にぶつかることを防止することができる。特に、第一突出部はインクカートリッジの露出部とほぼ同じ長さだけ突出しているので、インクカートリッジの露出部端部側に作業者がぶつかり、導出針へ比較的大きな衝撃がかかるのを防止して、導出針が破損する可能性を低減することができる。従って、第一突出部を設けることで、筐体を大型化することなく、カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジを保護し、インクカートリッジのケースや、インクカートリッジからインクを導出するための導出針が破損する可能性を低減することができる。
【0009】
また、第一突出部は、インクカートリッジの着脱方向に挿入口を平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域、つまり、インクカートリッジの露出部が配置されうる空間領域及びインクカートリッジの着脱時の経路と干渉しないように配置されている。従って、第一突出部は、筐体から突出するインクカートリッジの一部に干渉したり、インクカートリッジが着脱される際、邪魔になったりすることがない。
【0010】
前記上下方向における前記第一突出部の長さは、前記上下方向における前記挿入口の長さ以上であってもよい。この場合、筐体の上下方向において、筐体の外縁側にある第一突出部が挿入口の長さ以上に亘って設けられているので、インクカートリッジの露出部の上端または下端が、上下方向において第一突出部から突出して、作業者がぶつかることを防止できる。従って、インクカートリッジのケースや、インクカートリッジからインクを導出するための導出針が破損する可能性をより確実に低減することができる。
【0011】
前記第一突出部は、前記筐体に対して着脱可能に構成されていてもよい。この場合、インクジェットプリンタにインクカートリッジが装着されていない時には第一突出部を取り外すことができる。このように、作業者は、必要な場合にのみ第一突出部を装着してインクカートリッジを保護しつつ、不要な場合には第一突出部を取り外して作業者がぶつかることを防止し、筐体周りの移動スペースを広くすることができる。
【0012】
前記第一突出部は、前記筐体からの突出長さを変更可能に構成されていてもよい。例えば、インクジェットプリンタに対して、長さが異なる複数種類のインクカートリッジが装着可能な場合がある。つまり、装着されるインクカートリッジによって、筐体からの突出長さが異なる場合がある。この場合、作業者は、使用するインクカートリッジの長さに応じて、第一突出部の突出長さを適切に変更することで、インクカートリッジを保護しつつ、筐体周りの移動スペースをできるだけ広くすることができる。
【0013】
前記第一突出部は、前記筐体から突出する一対の棒状の延出部と、前記一対の延出部を接続する棒状の接続部で形成されていてもよい。そして、前記一対の延出部は、前記上下方向に互いに離間して配置され、各々の一端が前記筐体に接続され、他端が前記接続部に接続されていてもよい。この場合、一対の延出部と接続部で形成される第一突出部は枠状である。従って、作業者は、第一突出部を把持することができる。また、作業者は、筐体の外縁方向から枠内を通してインクカートリッジを視認することができる。
【0014】
前記一対の延出部及び前記接続部は、夫々、断面が円形または楕円形を有する棒状の部材であってもよい。この場合、作業者が一対の延出部及び接続部のいずれかを把持した場合、作業者の手と接触する面は曲面であるため、把持しやすい。
【0015】
前記インクジェットプリンタは、第二突出部を更に備えてもよい。前記第二突出部は、前記挿入口の下方において前記筐体から突出する突出部である。前記第二突出部は、前記筐体の前記上下方向において、前記挿入口の下端部がある位置から前記着脱方向に延びる面部を有する。この場合、インクジェットプリンタは、カートリッジ装着部の挿入口に対して上下方向以外の外縁側にある第一突出部に加え、挿入口の下方に第二突出部を備える。従って、インクカートリッジの露出部に対して、外縁方向からの衝撃だけでなく、下方から何らかの衝撃が加わって、インクカートリッジのケースや、インクカートリッジからインクを導出するための導出針が破損する可能性を低減することができる。また、カートリッジ装着部の挿入口が筐体の内部に位置する場合でも、面部にインクカートリッジを載置してカートリッジ装着部に向けて案内することで、インクカートリッジの下端部を、挿入口の下端部に適切に位置合わせして、スムーズに装着案内することができる。
【0016】
前記インクジェットプリンタは、前記第二突出部の下方に設けられ、前記筐体に開口し、前記筐体内部に延びる凹部である収容部を更に備えてもよい。この場合、収容部には、使用しないインクカートリッジ等の物品が収容されうるので、作業者が物品の出し入れをする際、下方からインクカートリッジの露出部に物品がぶつかる可能性がより高くなる。このような場合でも、収容部の上方に第二突出部が位置することで、インクカートリッジの露出部に物品がぶつかる可能性を低減できる。
【0017】
前記面部は、前記筐体に接続する側と反対側にある先端部が、先端に向けて下方に傾斜する曲面部として形成されていてもよい。この場合、先端部の曲面部は先端に向けて下方に傾斜しているので、作業者はインクカートリッジを挿入しやすく、また、インクカートリッジを曲面部に沿ってスムーズに面部に載置し、カートリッジ装着部に案内することができる。
【0018】
前記第二突出部は、前記筐体から略水平に突出する板状の支持部と、前記支持部から上方に突出し、前記着脱方向に沿って延びる2本のレールとを含んでもよい。そして、前記面部は、前記2本のレールの上端部に設けられていてもよい。この場合、面部を2本のレールの上端部に設けることで、支持部の上端部全体を面部として構成する場合に比べ、面部の加工時の寸法精度を向上することができる。また、支持部の上端部全体を面部として構成する場合に比べ、インクカートリッジとの間に生じる摩擦を抑制することができ、よりスムーズにインクカートリッジを案内することができる。
【0019】
本発明の第二の態様に係るカートリッジ装着ユニットは、インクジェットプリンタに着脱可能である。前記カートリッジ装着ユニットは、カートリッジ装着部と、筐体と、第一突出部とを備えている。前記カートリッジ装着部は、インクを収容するインクカートリッジが着脱可能に構成されている。前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジを着脱方向に沿って案内する。前記筐体は、前記カートリッジ装着部の前記インクカートリッジが挿脱される挿入口に連通する開口を有する。前記第一突出部は、前記挿入口に隣接して、前記挿入口に対して前記筐体の上下方向以外の方向にある外縁側に設けられた、前記筐体から突出する突出部である。前記第一突出部は、前記インクカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された場合に前記開口から突出して前記筐体の外部に露出する部分である露出部と少なくともほぼ同じ長さだけ突出している。前記第一突出部は、前記着脱方向に前記挿入口を平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域と干渉しないように配置されている。
【0020】
カートリッジ装着ユニットがインクジェットプリンタに装着された状態で、インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着された場合、インクカートリッジの一部が、筐体の開口から外部に突出して露出する場合がある。このような場合、例えば、カートリッジ装着ユニットの周囲を移動する作業者が、このインクカートリッジの露出部にぶつかる可能性がある。すなわち、インクカートリッジに筐体の外縁方向から衝撃が加わり、インクカートリッジのケースが破損してしまう可能性がある。また、インクカートリッジがインクジェットプリンタのインクの導出針に接続されている場合には、導出針が破損してしまう可能性がある。
【0021】
本発明のカートリッジ装着ユニットには、カートリッジ装着部の挿入口に対して筐体の上下方向以外の方向にある外縁側に、インクカートリッジの露出部と少なくともほぼ同じ長さだけ筐体から突出する第一突出部が設けられている。よって、作業者は、インクカートリッジの露出部ではなく、第一突出部にぶつかることになる。従って、第一突出部を設けることで、筐体を大型化することなく、カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジを保護し、インクカートリッジのケースや、インクカートリッジからインクを導出するための導出針が破損する可能性を低減することができる。
【0022】
また、第一突出部は、インクカートリッジの着脱方向に挿入口を平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域、つまり、インクカートリッジの露出部が配置されうる空間領域及びインクカートリッジの着脱時の経路と干渉しないように配置されている。従って、第一突出部は、筐体から突出するインクカートリッジの一部に干渉したり、インクカートリッジが着脱される際、邪魔になったりすることがない。
【0023】
前記カートリッジ装着ユニットは、夫々が異なる数の印刷ヘッドを有する複数種類のインクジェットプリンタに着脱可能であってもよい。この場合、前記カートリッジ装着部は、複数設けられ、前記第一突出部は、前記筐体に対して着脱可能に構成され、前記筐体は、前記インクジェットプリンタが有する前記印刷ヘッドの数に応じて定められた、前記複数のカートリッジ装着部のいずれかの前記挿入口に対応する位置に、前記第一突出部が着脱可能に固定される固定部を複数備えていてもよい。
【0024】
この場合、カートリッジ装着ユニットは、複数種類のインクジェットプリンタに汎用的に使用することができる。通常、インクジェットプリンタの印刷ヘッドの数によって、使用されるインクカートリッジの数は変動する。筐体には、印刷ヘッドの数に応じて定められた、カートリッジ装着部の挿入口に対応する位置に、第一突出部を着脱可能に固定するための固定部が複数設けられている。従って、作業者は、カートリッジ装着ユニットが装着されたインクジェットプリンタの印刷ヘッドの数に応じて、第一突出部をこれら複数の固定部のいずれかに付け替えることで、インクカートリッジを適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】インクジェットプリンタ100の外観を示す斜視図である。
【図2】インクカートリッジ1を左後方から見た斜視図である。
【図3】インクカートリッジ1を右前方から見た斜視図である。
【図4】インクカートリッジ1の内部構造を説明する断面図である。
【図5】インクカートリッジ10を左後方から見た斜視図である。
【図6】保護部材120を長く突出させた状態のカートリッジ装着ユニット110の斜視図である。
【図7】保護部材120を短く突出させた状態のカートリッジ装着ユニット110の斜視図である。
【図8】案内部140周辺の部分拡大図である。
【図9】ホルダユニット150の斜視図である。
【図10】ホルダユニット150の正面図である。
【図11】ホルダ159の斜視図である。
【図12】接続部180に接続されたインクカートリッジ1の口栓72及び周辺部の拡大部分断面図である。
【図13】インクカートリッジ1が装着されたカートリッジ装着ユニット110の斜視図である。
【図14】インクカートリッジ1が装着されたカートリッジ装着ユニット110の左側面図である。
【図15】インクカートリッジ10が装着されたカートリッジ装着ユニット110の斜視図である。
【図16】インクカートリッジ10が装着されたカートリッジ装着ユニット110の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、インクカートリッジ(以下、単にカートリッジという)1を使用して、Tシャツ等の布帛に印刷を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)100について説明する。
【0027】
図1を参照して、プリンタ100の概略構成について説明する。プリンタ100は、カートリッジ1から供給されたインクを用いて、印刷ヘッド(図示略)によって印刷媒体である布帛に印刷を行うことが可能なプリンタである。図1の上下方向、右斜め下方向、左斜め上方向、左斜め下方向、右斜め上方向が、夫々、プリンタ100及びカートリッジ1の上下方向、前方向、後ろ方向、左方向、右方向である。
【0028】
図1に示すように、プリンタ100は、略直方体形状の本体部108と、本体部108よりも小さい略直方体形状のカートリッジ装着ユニット110とを含む。本体部108は、主に、布帛を移送しながら印刷ヘッドによって印刷を行う部位であり、公知の布帛印刷用のインクジェットプリンタと同様の構成を有する。カートリッジ装着ユニット110は、インクを供給するカートリッジ1が装着される部位である。カートリッジ装着ユニット110は、本体部108の左側下部に、取り外し可能に装着されている。
【0029】
本体部108は、筐体101を備えている。本体部108の左右方向中央部には、プラテン駆動機構106が設けられている。プラテン駆動機構106は、プラテン102、トレイ103、駆動ベルト104、一対のガイドレール(図示略)、プラテン駆動モータ(図示略)等を含む。
【0030】
駆動ベルト104は、本体部108の前方と後方に配置されたプーリ(図示略)に架け渡されている。矩形板状のプラテン102及びトレイ103は、駆動ベルト104の上方に固定された支柱(図示略)に支持されている。プラテン102は、その上面に、例えばTシャツなどの布帛を載置するためのものである。プラテン102の下方に略平行に配置されたトレイ103は、プラテン102より一回り大きい板状体である。トレイ103は、プラテン102に載置されたTシャツのそで等が下方に落ちることを防止する。一対のガイドレールは、駆動ベルト104の上方で前後方向に延び、プラテン102及びトレイ103を案内する。プラテン駆動モータは、前述のプーリを介して駆動ベルト104を駆動する。プラテン駆動モータが駆動ベルト104を駆動すると、支柱を介し、プラテン102とトレイ103が、ガイドレールに沿って前後方向に移動する。筐体101の前面中央部には開口が設けられており、プラテン102とトレイ103はこの開口を介して筐体101に出入りする。
【0031】
図示は省略するが、本体部108の筐体101内部では、前後方向略中央、且つ、プラテン102の上方に、左右方向に延びる一対のガイドレール(図示略)が、キャリッジを支持している。キャリッジの下部には印刷ヘッドが固定されている。印刷ヘッドの数は、インクジェットプリンタの種類によって異なるが、プリンタ100の印刷ヘッドの数は8個である。キャリッジは、キャリッジ駆動モータやベルト伝達機構を含むキャリッジ駆動機構によって、ガイドレールに沿って左右方向に移動される。8個の印刷ヘッドには、夫々、チューブ182(図12参照)を介して、カートリッジ装着ユニット110に装着された8本のカートリッジ1からインクが供給される。各印刷ヘッドの底面には複数個の微細なノズルが設けられており、圧電素子の駆動によりノズルから下向きにインクの液滴が吐出されることで、プラテン102上に載置された布帛に印刷が行われる。
【0032】
本体部108の前面右下部には、操作部105が設けられている。操作部105には、様々な情報を表示するディスプレイ、プリンタ100の様々な動作に対する指示を入力するためのボタン等が設けられている。
【0033】
カートリッジ装着ユニット110には、合計8本のカートリッジ1が装着可能である。8本のカートリッジ1として、通常、白インクのカートリッジ1が4本と、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの4色のカートリッジ1が1本ずつ使用される。カートリッジ1は、筐体111の前面上部に設けられた開口112を通してカートリッジ装着ユニット110内のホルダユニット150(図9参照)に着脱される。カートリッジ装着ユニット110の詳細な構成については後述する。
【0034】
図2〜図4を参照して、カートリッジ装着ユニット110に装着され、プリンタ100で使用されるカートリッジ1の構成について説明する。カートリッジ1は、前後方向を長手方向とする薄型略箱状の樹脂性のケース2と、ケース2に収容されたインクパック7(図4参照)とを備えている。以下に、ケース2とインクパック7の構成について、順に説明する。なお、白、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの5色のカートリッジ1は、インクパック7に収容される液体のインクの色と、後述する脚部303及び304の配置が異なるのみで、他の構成は全て同じである。
【0035】
まず、図2及び図3を参照して、ケース2について説明する。図2及び図3に示すように、ケース2は、全体として、前後方向に長く左右方向に薄い直方体の後端部下側にある角が斜めに切り取られたような形状を有する。ケース2は、本体部3及び蓋部4を含む。本体部3は、ケース2の左側面、底面、上面、背面及び前面を夫々形成する薄板状の左壁30、底壁31、上壁32、後壁33、及び前壁34を含む。後壁33は、上壁32と直角を成すように接続する背面部331と、底壁31と背面部331とを斜めに繋ぐ斜面部332を含む。左壁30に対向し、ケース2の右側面を形成する蓋部4は、本体部3の左壁30に対応する略五角形状の薄板部材である。左壁30と蓋部4が互いに対向するように蓋部4が本体部3に接合されることで、ケース2が形成される。
【0036】
ケース2の左壁30には、外面(ケース2の左側面)から突出する5つの脚部301〜305が設けられている。具体的には、左壁30の後端部において、斜面部332と接続する部分及び背面部331と接続する部分に、夫々、脚部301及び302が設けられている。脚部301及び302から前方(図2の右上方向)に離間した位置に、夫々、脚部303及び304が設けられている。左壁30の前端部近傍には、脚部305が設けられている。なお、脚部301〜305はいずれも、カートリッジ1が後述するホルダ159(図11参照)に装着された場合に、ホルダ159の上レール部161及び下レール部171のいずれとも干渉しない位置に設けられている。
【0037】
脚部301〜305は全て、左壁30の外面(ケース2の左側面)から同じ長さだけケース2の外側方向へ突出し、突出端は全て同一平面上にある平面部を有する。従って、脚部301〜305は、左壁30を下にした状態で、カートリッジ1が平面上に載置された場合、カートリッジ1を左壁30全体が平面から離間した状態で安定して支持する機能を有する。
【0038】
また、脚部303及び304は、ケース2内のインクパック7に収容されたインクの色を示す色指標部として機能する。具体的には、左壁30において、脚部303及び304が設けられる範囲は、インクの色に応じて予め定められている。本実施形態では、カートリッジ1は、インクの色が白の場合と、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのいずれかの色の場合の二種類に分類されており、白の場合とその他の色の場合とで、脚部303及び脚部304が設けられる範囲が異なっている。従って、作業者は、脚部303及び304の配置を確認することで、ケース2の内部に収容されているインクの色が白なのかその他の色なのかを判別することができる。
【0039】
図2に示すように、ケース2の後壁33のうち斜面部332には、脚部301に対応する位置に、開口335が設けられている。開口335は、ケース2内に収容されたインクパック7(図4参照)からインクを導出するための開口部であり、インクパック7は、口栓72(図4参照)が開口335に臨むようにケース2内に配置される。開口335に隣接する脚部301は、口栓72の収納空間を形成する壁部としても機能する。脚部301には、突出端の平面部の中央部付近に矩形状の係合孔307が設けられている。係合孔307は、インクパック7の口栓72を本体部3に対して位置決めし、固定するための開口部である。
【0040】
図2及び図3に示すように、ケース2の前端部の右上角部(図3では蓋部4の左上の角部)には、把手部40が設けられている。把手部40は、ケース2の外面よりも内側方向に凹んだ凹部41と、凹部41から突出する突出部42を含む。把手部40は、図1に示すように、僅かな隙間を空けてカートリッジ装着ユニット110に装着されている状態で、作業者が任意の一つのカートリッジ1を取り出す場合に使用される。具体的には、作業者は、ケース2の前端部の右上の角部に凹部41によって確保される隙間に指を差し込み、突出部42に指を掛けてカートリッジ1を引き出すことで、カートリッジ1を容易に取り外すことができる。
【0041】
図4を参照して、インクパック7について説明する。図4に示すように、インクパック7は、インクを収容するインク袋71と、インク袋71に設けられた口栓72を備えている。インク袋71は、例えば、可撓性を有する2枚の長方形状の樹脂性シートを、シートの一面同士が対向した状態で重ね合わせ、4辺に沿った周囲部を熱溶着(熱シール)することで形成された袋状の容器である。
【0042】
口栓72は、略円筒状の本体部721と、本体部721の一端側において外周面から互いに反対方向に突出する2つの羽根状の連結部722とを備えている。本体部721は略円筒状であるが、本体部721の連結部722が設けられているのとは反対側の先端部の外形は、矩形ブロック状に形成されている。口栓72は、連結部722を含む本体部721の一端部が、インク袋71を形成する2枚のシートの間に挿入され、インク袋71の周囲部と一体的に溶着されることで、インク袋71に固定されている。周囲部と溶着されていない本体部721の他の部分は、インク袋71の長手方向にある一端部からインク袋71の外方へ突出している。
【0043】
本体部721は、その内部に円筒状の中空部700を有する。中空部700のインク袋71とは反対側の端部には、円柱状のゴム栓723が挿入されている。つまり、口栓72の先端側の開口は、ゴム栓723で塞がれている。このように、インクは、密閉状態のインク袋71内に収容されている。また、本体部721の矩形ブロック状に形成された部分には、周方向外側に突出する角柱状の係合突起725が設けられている。係合突起725が前述した脚部301の係合孔307に嵌合されることで、インクパック7をケース2の本体部3に対して位置決めされ、固定される。
【0044】
図5を参照して、図2〜図4に示したカートリッジ1とは異なる形状のカートリッジ10について説明する。カートリッジ10は、ケース2の長手方向(前後方向)の長さを、カートリッジ1よりも短くしたものである。カートリッジ10の長さは、カートリッジ1の長さの約半分である。一方、幅(左右方向の長さ)と高さ(上下方向の長さ)は、カートリッジ1と同一である。よって、内部に収容されるインクの量も、カートリッジ1に比べて半量程度である。
【0045】
カートリッジ10には、カートリッジ1とは異なり、左壁30の前壁34の近傍には、脚部305は設けられていない。これは、カートリッジ1のような長尺のケース2では、その寸法バランス上、脚部301〜304のみでは、左壁30全体が載置面から離間した状態でカートリッジ1全体を支持するのは難しいのに対し、カートリッジ10では、脚部301〜304のみで支持できる可能性が高いからである。上記以外のカートリッジ10の構成は、カートリッジ1の構成と基本的に同じである。プリンタ100(図1参照)のカートリッジ装着ユニット110には、カートリッジ1及び10のいずれも装着が可能である。
【0046】
図6〜図12を参照して、カートリッジ1、10が装着可能なカートリッジ装着ユニット110の詳細について説明する。図6に示すように、カートリッジ装着ユニット110は、筐体111を備えている。図示は省略するが、筐体111の右側は開放されており、カートリッジ装着ユニット110を本体部108(図1参照)に取り外し可能に固定するための固定部が設けられている。カートリッジ装着ユニット110は、例えば、固定部を介してネジで本体部108の受け部(図示略)に固定される。カートリッジ装着ユニット110は、プリンタ100に限らず、8個以外の数の印刷ヘッドを有する他の種類のインクジェットプリンタにも着脱可能な汎用型のユニットとして構成されている。
【0047】
また、筐体111は、前面の上部に、左右方向に長い略矩形状の開口112を有する。開口112の奥側、つまり、筐体111の内部には、8本のカートリッジ1、10を装着可能なホルダユニット150(図9参照)が配置されている。カートリッジ1、10は、開口112を通して内部のホルダユニット150(より詳細にはホルダ159)に着脱される。ホルダユニット150の奥側には、インクを導出するための接続部180(図12参照)が設けられている。開口112の左側には、筐体111の前面から前方へ突出する保護部材120が取り付けられている。開口112の下端部に沿って、筐体111の前面から前方へ突出する案内部140が設けられている。開口112及び案内部140の下方には、筐体111の前面に開口113を有する収容部114が設けられている。以下、カートリッジ装着ユニット110の各部分の詳細な構成について説明する。
【0048】
まず、図9〜図11を参照して、筐体111内のホルダユニット150の構成について説明する。なお、図9及び図10では、ホルダユニット150にカートリッジ1が1本装着されている例を図示しており、図の簡単化のため、筐体101を含むカートリッジ装着ユニット110の他の部分の図示は省略されている。
【0049】
図9及び図10に示すように、ホルダユニット150は、フレーム151と、フレーム151に左右方向に等間隔で固定された8個のホルダ159とを備えている。なお、図10の上下方向、左右方向、及び紙面表面側が、夫々、ホルダユニット150、フレーム151及びホルダ159の上下方向、左右方向及び正面(前端部)側である。
【0050】
まず、フレーム151の構成について説明する。フレーム151は、金属性の板状部材から形成されており、図9に示すように、第一当接部152と、第二当接部154と、載置部155とを含む。第一当接部152及び第二当接部154は、ホルダ159に装着されたカートリッジ1、10の後端部の背面部331及び斜面部332(図2参照)が夫々当接する部位である。載置部155は、8個のホルダ159(詳細には、図11に示す下案内部172)が載置される部位である。
【0051】
載置部155は、筐体101の開口112(図6参照)の下端部のすぐ背後から、カートリッジ装着ユニット110の後方(奥側)へ向かって水平方向に対して僅かに下方向に傾斜して延びている。第二当接部154は、載置部155の後端から後方へ向かって斜め上方に延びている。第一当接部152は、第二当接部154の後端から上方へ向かって、上下方向に対して僅かに後方に傾斜して延びている。なお、第一当接部152の伸展方向は、載置部155の伸展方向に対しては略垂直である。フレーム151には、ホルダ159をフレーム151に固定するネジが螺合される複数のネジ穴と、フレーム151を筐体111内に設けられた台座部(図示略)に固定するネジが螺合される複数のネジ穴とが設けられている。
【0052】
また、図10に示すように、第二当接部154の下部には、固定される8個のホルダ159に対応して、第二当接部154を貫通する8個の円形の開口部157が等間隔で設けられている。開口部157の位置は、ホルダ159にカートリッジ1、10が装着された場合に、カートリッジ1、10の斜面部332に設けられた開口335(図2参照)に対向する位置である。なお、図10では、一番左の開口部157は、装着されたカートリッジ1によって隠されている。開口部157は、カートリッジ1、10からインクを導出するための接続部180(図12参照)の導出針183を通すための開口である。接続部180については後述する。
【0053】
図11を参照して、ホルダ159の構成の詳細について説明する。ホルダ159は、カートリッジ1、10を保持し、適切な装着位置に案内する部材である。そこで、ホルダ159は、金属製の板状部材から、カートリッジ1、10に対応した形状に形成されている。図11に示すように、ホルダ159は、右案内部160と、上レール部161と、下レール部171とを含む。
【0054】
右案内部160は、カートリッジ1、10がホルダ159に装着される場合に、ケース2の右端部(より詳細には、蓋部4(図9参照)の外面)を案内する部位である。右案内部160は、カートリッジ1の蓋部4後部の側面視形状に対応する略五角形状の板部である。つまり、右案内部160は、横長長方形の下側にある角の一つが斜めに切り取られたような形状を有している。よって、右案内部160の後端部は、上方部分が上辺に直交して延びる直線部131、下方部分が傾斜部132とされている。右案内部160は、その板面がカートリッジ装着ユニット110(図6参照)の上下方向に延びる。右案内部160の長手方向の長さ(直線部131から後述する右受け部167までの長さ)は、図5に示す短い方のカートリッジ10の背面部331から把手部40までの距離よりやや短い程度である。つまり、カートリッジ10がホルダ159に装着された場合、把手部40を含むカートリッジ10の前端部がホルダ159の前端部から突出する長さとされている。
【0055】
右案内部160の前端には、右受け部167が接続している。右受け部167は、右案内部160の前端から前方へ向かってやや右方へ延びる部位である。右案内部160の直線部131の上端部には、ネジ穴を有し、右方に突出する第一固定片169が接続している。
【0056】
上レール部161は、右案内部160の上端部に沿って左側に突出する部位である。上レール部161は、右案内部160の上端部から左方へ略垂直に延びる上案内部162と、上案内部162の左端部から下方へ略垂直に延びる左上案内部163とを含む。上案内部162は、カートリッジ1、10がホルダ159に装着される場合に、ケース2の上端部(より詳細には、上壁32の外面)を案内する部位である。左上案内部163は、カートリッジ1、10がホルダ159に装着される場合に、ケース2の左端部(より詳細には、左壁30の外面)の上部を案内する部位である。
【0057】
上案内部162の幅(左右方向の長さ)は、ケース2の幅(左側面から右側面までの距離)とほぼ同一である。なお、上案内部162の前後方向中央部付近に、上バネ部179が設けられている。上バネ部179は、ホルダ159に装着されたカートリッジ1、10を下方に押圧して押える板バネを備えている。左上案内部163の幅(上下方向の長さ)は、上案内部162の幅よりやや短い。なお、左上案内部163は、前後方向中央から後方寄りの一部が途切れており、そこに、上バネ部168が設けられている。上バネ部168は、ホルダ159に装着されたカートリッジ1、10を右方に押圧して押える板バネを備えている。
【0058】
上案内部162の前端には、上受け部164が接続している。上受け部164は、上案内部162の前端から前方へ向かってやや上方に延びる部位である。上案内部162の上面の上受け部164の背後には、ネジ穴を有し、上方に突出する第二固定片166が設けられている。左上案内部163の前端には、左上受け部165が接続している。左上受け部165は、左上案内部163の前端から前方へ向かって一旦やや左方へ延びた後、斜め後方へ屈曲する、ホルダ159上方から見た場合、V字状をなす部位である。
【0059】
下レール部171は、右案内部160の下端部に沿って左側に突出する部位である。下レール部171は、右案内部160の下端部から左方へ略垂直に延びる下案内部172と、下案内部172の左端部から上方へ略垂直に延びる左下案内部173とを含む。下案内部172は、カートリッジ1、10がホルダ159に装着される場合に、ケース2の下端部(より詳細には、底壁31の外面)を案内する部位である。左下案内部173は、カートリッジ1、10がホルダ159に装着される場合に、ケース2の左端部(より詳細には、左壁30の外面)の下部を案内する部位である。
【0060】
下案内部172は、上案内部162に対向して平行に延びている。上案内部162と下案内部172との離間距離は、ケース2の上下方向の高さ(上面から底面までの距離)とほぼ同一である。下案内部172の幅(左右方向の長さ)は、ケース2の幅(左側面から右側面までの長さ)とほぼ同一である。左下案内部173の幅(上下方向の長さ)は、上案内部162の幅よりやや短い。なお、左下案内部173は、前後方向中央から後方寄りの一部が途切れており、そこに、上バネ部168と同様の下バネ部178が設けられている。下バネ部178も、ホルダ159に装着されたカートリッジ1、10を右方に押圧して押える板バネを備えている。
【0061】
下案内部172の前端部の右端には、ネジ穴(図示略)を有し、右方に突出する第三固定片176が設けられている。また、下案内部172の、下バネ部178の後部に対応する位置には、ネジ穴を有し、左方に突出する第四固定片177が設けられている。左下案内部173の前端には、左下受け部174が接続している。左下受け部174は、左下案内部173の前端から前方へ向かって一旦やや左方へ延びた後、斜め後方へ屈曲する、ホルダ159上方から見た場合、V字状をなす部位である。
【0062】
ホルダ159にカートリッジ1、10が装着される場合、最初にカートリッジ1、10の後端部がホルダ159の前端部から挿入され、右案内部160、上レール部161及び下レール部171によって、夫々、ケース2の右側面(蓋部4の外面)、上面(上壁32の外面)、及び下面(底壁31の外面)が案内されながら、ホルダユニット150の奥側に向けて移動する。ホルダ159からカートリッジ1、10が取り外される場合の移動方向は、装着時とは逆方向である。つまり、右案内部160の長手方向、及び上レール部161、下レール部171の伸展方向が、カートリッジ装着ユニット110におけるカートリッジ1、10の着脱方向である。
【0063】
また、上案内部162の装着方向上流側にある前端には上受け部164が接続しているので、ホルダ159の前端部では、上受け部164と下案内部172との上下方向の離間距離は、装着方向の下流側から上流側に向けて広くなる。更に、左上案内部163、左下案内部173の前端には、夫々、左上受け部165、左下受け部174が接続しており、右案内部160には右受け部167が接続している。従って、ホルダ159の前端部では、左上受け部165、左下受け部174と右受け部167との左右方向の離間距離も、装着方向上流側ほど広くなる。このように、ホルダ159の前端部は、カートリッジ1、10を装着しやすくするために、全体的に装着方向上流側ほどホルダ159に囲まれる領域(カートリッジ1、10の挿入口)が広がっている。
【0064】
ホルダ159のフレーム151への固定について説明する。図9に示すように、8個のホルダ159は、夫々、下レール部171の下案内部172(図11参照)が載置部155に載置され、上レール部161の後端と右案内部160の直線部131(図11参照)とが第一当接部152に当接し、下レール部171の後端と右案内部160の傾斜部132(図11参照)とが第二当接部154に当接するように、フレーム151の所定位置に等間隔で配置される。前述したホルダ159の第一固定片169、第三固定片176、第四固定片177(図11参照)には、夫々、ネジ穴が設けられている。また、フレーム151の第一当接部152と載置部155には、各固定部に対応する位置にネジ穴が設けられている。各固定部のネジ穴及びフレーム151のネジ穴にネジが順次締結されることで、ホルダ159がフレーム151に固定される。
【0065】
更に、上案内部162の上方に突出する第二固定片166は、8個のネジ穴を有する固定板158に固定される。具体的には、フレーム151に固定された8個のホルダ159の第二固定片166に後方から当接するように、フレーム151の左右方向の長さと同じ長さを有する固定板158が配置され、各固定部のネジ穴及び固定板158のネジ穴にネジが順次締結されることで、ホルダ159が固定板158に固定される。このようにして、8個のホルダ159がフレーム151に固定され、更に固定板158に固定されることで、図9に示すホルダユニット150が完成する。ホルダユニット150は、載置部155の前端が、筐体111の開口112(図6参照)の下端部に沿って配置された状態で、開口112の奥側に設置された台座部(図示略)に固定される。よって、各ホルダ159の前端部(カートリッジ1、10の挿入口)は、開口112に連通するよう配置される。
【0066】
図10及び図12を参照して、ホルダユニット150奥側に設けられた接続部180について説明する。図12に示すように、接続部180は、円筒状の固定部181と、固定部181に接続されたチューブ182と、インクを導出するための導出針183とを含む。なお、実際には、固定部181は筐体111内で固定されているが、固定部分の図示は省略されている。接続部180は、8個のホルダ159に対応して、8個設けられている。図10を参照して前述したように、第二当接部154は、8個の円形の開口部157を有する。固定部181の前端側の一部は、開口部157を通って第二当接部154よりも前方へ突出している。固定部181の前端中央部から、導出針183が突出している。チューブ182の一端は、固定部181の後端側に接続されている。チューブ182は、筐体111右側の開口(図示略)を介して、本体部108(図1参照)の内部に延び、その他端は、印刷ヘッド(図示略)に接続されている。
【0067】
カートリッジ1、10がホルダ159に案内され、ホルダユニット150に装着される過程で、第二当接部154の開口部157から前方へ突出する導出針183と固定部181の一部は、カートリッジ1、10の斜面部332に設けられた開口335からケース2内部に進入する。そして、導出針183がゴム栓723の中心部に刺さることで、接続部180がカートリッジ1に接続される。図12に示すように、カートリッジ1、10の背面部331が第一当接部152に当接し、斜面部332が第二当接部154に当接すると、カートリッジ1、10のホルダユニット150への装着が完了する。このとき、導出針183はゴム栓723を貫通し、その先端部が中空部700内に配置された状態となる。導出針183の先端部にはインクが流通する孔が設けられており、インク袋71内のインクは、中空部700、導出針183、及びチューブ182を通って、印刷ヘッドに供給可能となる。
【0068】
なお、前述したように、短い方のカートリッジの10の背面部331から把手部40までの距離がホルダ159の長さよりも長く、載置部155の前端は開口112の下端部に沿って配置されているので、カートリッジ1、10はいずれも、ホルダユニット150への装着が完了した状態では、開口112から前端側の一部が必ず露出された状態となる。
【0069】
図6及び図7を参照して、保護部材120について説明する。図6に示すように、筐体111の開口112の上方には、3つの固定穴126が設けられ、開口112の下方、且つ、後述する案内部140の下方には、3つの固定部材127が設けられている。固定穴126及び固定部材127は、筐体111に対して着脱可能な保護部材120を固定するために使用される。
【0070】
より詳細には、3つの固定穴126は、夫々、開口112の背後に配置されたホルダユニット150の8個のホルダ159のうち、最も左側(右から8番目)に位置するホルダ159の挿入口の左上、右から6番目のホルダ159の挿入口の左上、及び右から4番目のホルダ159の挿入口の左上に設けられている。3つの固定穴126は、断面円形の、同一形状且つ同一サイズの穴である。3つの固定部材127は、3つの固定穴126に夫々対応して、最も左側に位置するホルダ159の挿入口の左下、右から6番目のホルダ159の挿入口の左下、及び右から4番目のホルダ159の挿入口の左下に設けられている。3つの固定部材127は、筐体111の前面から突出する同一形状且つ同一サイズの円筒部材であり、固定ネジ128用の切欠き部を有する。
【0071】
保護部材120は、カートリッジ装着ユニット110に装着されたカートリッジ1、10及び導出針183の破損防止のために、カートリッジ1、10が装着されるホルダ159の挿入口に対して筐体111の外縁側(本実施形態では左側)に取り付けられる部材である。よって、保護部材120は、対応する3組の固定穴126及び固定部材127のうち、カートリッジ装着ユニット110が固定されているインクジェットプリンタが有する印刷ヘッドの数、すなわちホルダ159に装着されるカートリッジ1、10の数に応じて、適切な1組に固定される。より具体的には、保護部材120は、装着されるカートリッジ1、10のうち、最も左のホルダ159に装着されたカートリッジ1の露出部(筐体111から突出して外部へ露出している部分)の左側面に対向するように、そのカートリッジ1が装着されるホルダ159の挿入口の左側に固定される。
【0072】
カートリッジ装着ユニット110には、右詰めにカートリッジ1、10が装着されるので、カートリッジ装着ユニット110が印刷ヘッドの数が4個のインクジェットプリンタに装着されている場合、保護部材120は、右から4番目のホルダ159の挿入口に対してすぐ左にある固定穴126と固定部材127に固定される。カートリッジ装着ユニット110が印刷ヘッドの数が6個のインクジェットプリンタに装着されている場合、保護部材120は、右から6番目のホルダ159の挿入口に対してすぐ左にある固定穴126と固定部材127に固定される。本実施形態のように、カートリッジ装着ユニット110が印刷ヘッドの数が8個のプリンタ100に装着されている場合、図6に示すように、保護部材120は、最も左側のホルダ159の挿入口に対してすぐ左にある固定穴126と固定部材127に固定される。
【0073】
図6に示すように、保護部材120は、略U字型に形成されており、略平行に離間して配置された一対の断面円形の棒状の延出部121、122と、延出部121、122の夫々の一端を接続する断面円形の棒状の接続部123を含む。図示は省略するが、延出部122には、接続部123と接続する一端部の近傍と、基端部(接続部123とは反対側の端部)の近傍の2箇所に、延出部121との対向方向とは反対側に開口するネジ穴が設けられている。作業者は、保護部材120を筐体111に装着する場合、延出部121の基端部(接続部123とは反対側の端部)を固定穴126に挿入し、延出部122の基端部を対応する固定部材127に挿入する。そして、固定部材127の切欠き部に固定ネジ128を挿入して、延出部122に設けられた2個のネジ穴のうち1つに締結することで、保護部材120を固定する。
【0074】
2個のネジ穴のうち、延出部122の基端部の近傍にあるネジ穴が使用された場合、保護部材120は、図6に示すように、延出部121、122の大部分が筐体111から前方に突出した状態となる。一方、接続部123と接続する一端部の近傍にあるネジ穴が使用された場合、図7に示すように、図6に示す場合よりも、保護部材120の突出長さは短くなる。このように、カートリッジ装着ユニット110が、保護部材120の筐体111前面からの突出長さが2段階に調節できるように構成されているのは、装着されるカートリッジ1、10の長さに応じて、カートリッジ1、10及び導出針183の破損防止に最適な突出長さとするためである。
【0075】
なお、どの固定穴126と固定部材127に固定される場合でも、また、突出長さがいずれの場合でも、保護部材120は、使用されるホルダ159の挿入口をカートリッジ1、10の着脱方向に平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域、つまり、カートリッジ1、10の露出部が配置されうる空間領域及びカートリッジ1、10の着脱時の経路と干渉しないように配置されている。装着されたカートリッジ1、10と保護部材120との配置関係については、後で詳述する。
【0076】
図6及び図8を参照して、案内部140について説明する。図6に示すように、案内部140は、開口112の下端部に沿って略水平に配置され、前方へ突出する板状の支持部146と、支持部146から上方に突出する9つの突起部141とを含む。支持部146の筐体111前面から前方への突出長さ(図14に示すL2)は、カートリッジ1、10の後端位置(背面部331)と底壁31の後端位置(底壁31と斜面部332との接続位置)との前後方向の距離(図3に示すL1)よりも長い。
【0077】
ホルダユニット150は、載置部155(図9参照)の前端が、開口112の下端部に沿って配置された状態で、開口112の奥側に固定されている。作業者は、カートリッジ1、10を、開口112を介して適切なホルダ159に挿入しなければならない。案内部140は、カートリッジ1、10が適切なホルダ159にスムーズに挿入されるよう、案内する部位である。そのため、9個の突起部141のうち、最も右側の突起部141は、その左端の左右方向位置が、8個のホルダ159のうち最も右側のホルダ159の右端の左右方向位置とほぼ一致するように配置されている。また、最も左側の突起部141は、その右端の左右方向位置が、最も左側のホルダ159の左端の左右方向位置とほぼ一致するように配置されている。残りの7個の突起部141は、その左端及び右端が、夫々、すぐ左側にあるホルダ159の右端の左右方向位置及びすぐ右側にあるホルダ159の左端の左右方向位置とほぼ一致するように配置されている。つまり、突起部141は、隣接する突起部141の間隔が、ホルダ159の左右方向の幅とほぼ同じになるように配置されている。
【0078】
図6に示すように、支持部146の上端部には、隣接する突起部141の間に、8つのレール部142が設けられている。図8に示すように、各レール部142は、支持部146の上面から上方へ突出し、且つ、前後方向に延びる2本のレール143を含む。ただし、レール143の支持部146上面からの突出高さは、突起部141よりも小さく、平面部であるレール143の上面は、上下方向において、ホルダ159の下端部(図11に示す下案内部172)とほぼ同一位置にある。また、レール143の上面は、ホルダ159に対するカートリッジ1、10の着脱方向に延びている。レール143の前端部(図8で見えている端部)は、角が丸く加工され、先端に向けて下方に傾斜する曲面部とされている。
【0079】
案内部140の下方には、開口113から筐体111の内部に延びる凹部である収容部114が設けられている。収容部114は、カートリッジ装着ユニット110の下部の大部分を占める空間であり、使用されていないカートリッジ1、10やその他のインクジェットプリンタ100の関連物品が収容される。
【0080】
以下に、図6及び図8を参照して、カートリッジ装着ユニット110にカートリッジ1が装着される場合の案内部140とカートリッジ1の関係について説明する。なお、カートリッジ10が装着される場合の案内部140とカートリッジ10の関係はこれと同様であるから、説明は省略する。
【0081】
カートリッジ1をカートリッジ装着ユニット110に装着する場合、作業者は、開口112に臨むホルダ159のいずれかの挿入口からカートリッジ1を挿入する必要がある。図6及び図8に示すように、案内部140の隣接する2つの突起部141の間にあるレール部142がホルダ159に対応しているので、作業者は、開口112の背後にあるホルダ159の夫々の位置を容易に把握することができる。作業者は、カートリッジ1(図2参照)を、底壁31を下側にした状態で、後壁33側から所望のホルダ159に対応するレール部142に載置する。
【0082】
前述のように、後壁33の下部は斜面部332として形成されている。また、レール143の前端部には、曲面部が形成されている。従って、カートリッジ1の底壁31が、レール143の上面よりも下方にある場合でも、曲面部に斜面部332が当接し、作業者がカートリッジ1を後方へ押し込むにつれ、カートリッジ1は、斜面部332が曲面部に沿って案内され、レール143の上面にスムーズに乗り上げる。カートリッジ1は左右から突起部141に挟まれた状態となるので、安定した姿勢でレール143上を案内される。
【0083】
また、前述したように、支持部146の突出長さ(図14に示すL2)、つまりレール143の長さは、カートリッジ1の後端位置(背面部331)と底壁31の後端位置(底壁31と斜面部332との接続位置)との前後方向の距離(図3に示すL1)よりも長い。よって、斜面部332がレール143の上面に沿って乗り上げていくと、カートリッジ1の背面部331が開口112に到達する前に、底壁31がレール143の上面に載置された状態となる。従って、カートリッジ1は、カートリッジ1の前後方向がホルダ159に対する着脱方向とほぼ一致した姿勢で、ホルダ159に挿入可能な状態となる。
【0084】
その後、更にカートリッジ1が押し込まれ、ホルダ15の挿入口からカートリッジ1が挿入されると、カートリッジ1は、ホルダ159の右案内部160、上レール部161、下レール部171(図11参照)に沿って、装着方向下流側(カートリッジ装着ユニット110の奥側)にスムーズに案内されていく。そして、図12の状態になると、カートリッジ1の装着が完了する。なお、カートリッジ1を案内する面部を2本のレール143の上面に設けることで、レール143を設けずに支持部146の上端部全体を面部として構成する場合に比べ、面部の加工時の寸法精度を向上することができる。また、カートリッジ1との間に生じる摩擦を抑制することができ、よりスムーズにカートリッジ1を案内することができる。
【0085】
図13〜図16を参照して、カートリッジ装着ユニット110に装着されたカートリッジ1、10と保護部材120との配置関係について説明する。図13及び図14に示すように、カートリッジ装着ユニット110に装着された長い方のカートリッジ1は、前端側の約半分が開口112から露出する。よって、保護部材120がなければ、例えば、筐体111の周囲を移動する作業者が、カートリッジ1の露出部にぶつかる可能性がある。この場合、カートリッジ1に対して筐体111の外縁方向から衝撃が加わり、カートリッジ1のケース2や、カートリッジ装着ユニット110の奥側でカートリッジ1の口栓72に接続された導出針183(図12参照)が破損してしまう可能性がある。特に、カートリッジ1の露出部のうち、開口112からより離れた前端部(露出部の先端部)に衝撃が加わるほど、反対側にある後端部に作用する力は大きくなり、導出針183への負荷が大きくなる。
【0086】
そこで、作業者は、延出部122の基端部の近傍にあるネジ穴を使用して、保護部材120を筐体111に固定する。この場合、保護部材120は、上下方向において、装着されたカートリッジ1の露出部の上端位置から下端位置までを含む範囲をカバーする。また、保護部材120の前後方向における筐体111からの突出長さは、カートリッジ1の露出部の長さとほぼ等しく、実質的には、露出部の前端位置までの範囲をカバーする。従って、筐体111の周囲を移動する作業者は、カートリッジ1の露出部ではなく、保護部材120にぶつかることになる。従って、カートリッジ1のケース2や、導出針183が破損する可能性を低減することができる。特に、露出部の先端部まで保護部材120が延びているので、衝撃により、導出針183に最も大きな負荷がかかることを防止できる。
【0087】
一方、図15及び図16に示すように、カートリッジ装着ユニット110に装着された短い方のカートリッジ10は、前端側の把手部40を含む一部が開口112から露出する。よって、この場合も、保護部材120がなければ、作業者が、カートリッジ10の露出部にぶつかる可能性がある。そこで、作業者は、延出部122の接続部123側の端部の近傍にあるネジ穴を使用して、保護部材120を筐体111に固定する。この場合、保護部材120は、上下方向において、装着されたカートリッジ10の露出部の上端位置から下端位置までを含む範囲をカバーする。また、保護部材120の前後方向における筐体111からの突出長さは、カートリッジ10の露出部の長さとほぼ等しく、実質的には、露出部の前端位置までの範囲をカバーする。従って、この場合も、保護部材120は、カートリッジ1のケース2や、導出針183が破損する可能性を低減することができる。
【0088】
いずれの場合も、保護部材120は、使用される8個のホルダ159の挿入口をカートリッジ1、10の着脱方向に平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域、つまり、カートリッジ1、10の露出部が配置されうる空間領域及びカートリッジ1、10の着脱時の経路と干渉しないように配置されている。従って、保護部材120は、筐体111から突出するカートリッジ1、10の露出部に干渉したり、カートリッジ1、10が着脱される際、邪魔になったりすることがない。
【0089】
このように、長い方のカートリッジ1を使用する場合も、短い方のカートリッジ10を使用する場合も、作業者は、共通のカートリッジ装着ユニット110に対して、同じ保護部材120を異なるネジ穴を用いて固定するだけで、筐体111を大型化することなく、カートリッジ1や導出針183を保護することができる。いずれの場合も、保護部材120は、上下方向、前方向において、露出部よりも大幅に突出しないので、カートリッジ1や導出針183を保護しつつ、作業者の邪魔にならない。また、保護部材120は枠状であるため、作業者は、枠内を通してカートリッジ1を視認することができる。また、保護部材120を容易に把持して固定又は取り外し作業を行うことができる。保護部材120の延出部121、122及び接続部123はいずれも断面円形の棒状部材であるため、手に接触する部分が曲面であり、角のある部材に比べてより把持しやすい。
【0090】
更に、カートリッジ1、10を使用しない(印刷を行わない)時には、作業者は、保護部材120を筐体111から取り外すことができる。つまり、作業者は、必要な場合にのみ保護部材120を筐体111に装着してカートリッジ1や導出針183を保護しつつ、不要な場合には保護部材120を筐体111から取り外して保護部材120に作業者がぶつかることを防止し、筐体111周りの移動スペースを広くすることができる。
【0091】
また、本実施形態のカートリッジ装着ユニット110は、保護部材120に加え、開口112の下端部に沿って略水平に前方へ突出する案内部140を備えている。従って、カートリッジ1、10の露出部に対して、外縁方向からの衝撃だけでなく、下方から何らかの衝撃が加わって、カートリッジ1、10のケース2や、導出針183が破損する可能性を低減することができる。特に、カートリッジ装着ユニット110のように、案内部140の下方に収容部114が設けられている場合、収容部114には、使用しないカートリッジ1、10等の物品が収容されうるので、作業者が物品の出し入れをする際、下方から露出部に物品がぶつかる可能性がより高くなる。このような場合でも、収容部114の上方に案内部140が位置することで、露出部に物品がぶつかる可能性を低減できる。
【0092】
本実施形態では、ホルダ159は、本発明の「カートリッジ装着部」に相当する。保護部材120は、「第一突出部」に相当する。案内部140は、「第二突出部」に相当する。固定穴126及び固定部材127は、「固定部」に相当する。
【0093】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態に加えうる変更の例について説明する。例えば、カートリッジ装着ユニット110は、必ずしも複数種類のインクジェットプリンタに着脱可能な汎用型ユニットとして構成されていなくてもよく、インクジェットプリンタと一体的に設けられていてもよい。この場合、ホルダユニット150に設けられるホルダ159の数は、インクジェットプリンタの印刷ヘッドの数に応じて定められればよい。また、この場合、使用されるカートリッジ1、10の数は常に同じであるから、固定穴126と固定部材127は、その数に対応する位置に1組だけ設けられればよい。また、カートリッジ装着ユニット110は、必ずしもインクジェットプリンタの左側に配置される必要はなく、例えば、右側に取り付けられてもよい。この場合、保護部材120は、ホルダ159の挿入口に対して、外縁側である右側に取り付けられればよい。
【0094】
保護部材120は、取り外しや突出長さの変更が可能な構成とされなくてもよい。例えば、カートリッジ装着ユニット110で使用されるインクカートリッジの長さが1種類の場合、保護部材120は、その突出長さは変更可能でなくてもよい。また、装着可能なインクカートリッジは、前述のカートリッジ1、10に限られない。装着可能なインクカートリッジの長さが複数種類ある場合でも、保護部材120は、最も長いインクカートリッジが装着された場合の露出部とほぼ同じ長さだけ筐体111前面から突出するように構成されてもよい。また、保護部材120の筐体111前面からの突出長さは、露出部以上であってもよい。
【0095】
実施形態では、保護部材120の突出長さは、延出部122に設けられたネジ穴を用いて2段階に調節可能であるが、装着可能なインクカートリッジの長さが3種類以上ある場合、より多くのネジ穴を設け、3段階以上に調節可能としてもよい。また、保護部材120は、ネジ穴は用いずに、カートリッジ装着ユニット110に装着可能なインクカートリッジの長さに応じて、任意の突出長さに調節可能な構成としてもよい。
【0096】
保護部材120は、枠状でなくてもよい。例えば、保護部材120で囲まれる領域に対応する大きさの板状部材で構成することも可能である。また、保護部材120を枠状とする場合でも、延出部121、122及び接続部123は、必ずしも断面円形の棒状に形成される必要はなく、その他の断面形状を有する部材でもよい。例えば、延出部121、122及び接続部123断面楕円形の棒状とすれば、断面円形の場合と同様、作業者が保護部材120を把持する場合に、手と接触する面は曲面であるため、把持しやすい。
【0097】
保護部材120を固定するための構造は、固定穴126と固定部材127の組合せに限られない。例えば、開口112の上方にも、固定穴126に代えて固定部材127と同様の固定部材を設け、保護部材120をネジ留めしてもよい。ネジ留めせず、2つの固定穴に嵌めこむだけの構成とされてもよい。取り外しや突出長さの変更が可能とされていない場合、保護部材120は、例えば溶接によって、筐体111に固定されていてもよい。
【0098】
カートリッジ装着ユニット110には、案内部140は必ずしも設けられなくてもよい。案内部140は、必ずしも2本のレール143の上面にカートリッジ1、10が載置される構成でなくてもよい。例えば、支持部146の上面を平面部としてカートリッジ1、10が載置される構成であってもよいし、1本、または3本以上のレールで支持される構成とされてもよい。また、カートリッジ1、10が載置される面部は、平面である必要はなく、例えば、上方に膨らむ曲面であってもよい。案内部140は突起部141を備えなくてもよい。
【0099】
カートリッジ装着ユニット110には、収容部114は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0100】
インクカートリッジを着脱方向に沿って導出針183まで案内する構成は、ホルダ159を備えたホルダユニット150に限られない。例えば、各インクカートリッジを着脱方向に案内可能な通路が筐体111内に設けられているだけでもよい。
【符号の説明】
【0101】
1、10 インクカートリッジ
100 インクジェットプリンタ
101 筐体
110 カートリッジ装着ユニット
111 筐体
112 開口
114 収容部
120 保護部材
121、122 延出部
123 接続部
126 固定穴
127 固定部材
140 案内部
143 レール
146 支持部
150 ホルダユニット
159 ホルダ
183 導出針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインクカートリッジが着脱可能に構成され、前記インクカートリッジを着脱方向に沿って案内するカートリッジ装着部と、
前記カートリッジ装着部の前記インクカートリッジが挿脱される挿入口に連通する開口を有する筐体と、
前記カートリッジ装着部に対して前記開口とは反対側に、前記開口から、前記インクカートリッジの長さよりも短い距離だけ離間して配置され、前記カートリッジ装着部に装着された前記インクカートリッジに接続されて前記インクを導出可能な導出針と、
前記挿入口に隣接して、前記挿入口に対して前記筐体の上下方向以外の方向にある外縁側に設けられた、前記筐体から突出する突出部であって、前記インクカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された場合に前記開口から突出して前記筐体の外部に露出する部分である露出部と少なくともほぼ同じ長さだけ突出し、少なくとも前記着脱方向に前記挿入口を平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域と干渉しないように配置された第一突出部とを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記上下方向における前記第一突出部の長さは、前記上下方向における前記挿入口の長さ以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記第一突出部は、前記筐体に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記第一突出部は、前記筐体からの突出長さを変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記第一突出部は、
前記筐体から突出する一対の棒状の延出部と、
前記一対の延出部を接続する棒状の接続部で形成され、
前記一対の延出部は、前記上下方向に互いに離間して配置され、各々の一端が前記筐体に接続され、他端が前記接続部に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記一対の延出部及び前記接続部は、夫々、断面が円形または楕円形を有する棒状の部材であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記挿入口の下方において前記筐体から突出する突出部であって、前記筐体の前記上下方向において、前記挿入口の下端部がある位置から前記着脱方向に延びる面部を有する第二突出部を更に備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記第二突出部の下方に設けられ、前記筐体に開口し、前記筐体内部に延びる凹部である収容部を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記面部は、前記筐体に接続する側と反対側にある先端部が、先端に向けて下方に傾斜する曲面部として形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
前記第二突出部は、
前記筐体から略水平に突出する板状の支持部と、
前記支持部から上方に突出し、前記着脱方向に沿って延びる2本のレールとを含み、
前記面部は、前記2本のレールの上端部に設けられていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項11】
インクジェットプリンタに着脱可能なカートリッジ装着ユニットであって、
インクを収容するインクカートリッジが着脱可能に構成され、前記インクカートリッジを着脱方向に沿って案内するカートリッジ装着部と、
前記カートリッジ装着部の前記インクカートリッジが挿脱される挿入口に連通する開口を有する筐体と、
前記挿入口に隣接して、前記挿入口に対して前記筐体の上下方向以外の方向にある外縁側に設けられた、前記筐体から突出する突出部であって、前記インクカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された場合に前記開口から突出して前記筐体の外部に露出する部分である露出部と少なくともほぼ同じ長さだけ突出し、前記着脱方向に前記挿入口を平行移動した場合の軌跡で規定される空間領域と干渉しないように配置された第一突出部とを備えたことを特徴とするカートリッジ装着ユニット。
【請求項12】
前記カートリッジ装着ユニットは、夫々が異なる数の印刷ヘッドを有する複数種類のインクジェットプリンタに着脱可能であって、
前記カートリッジ装着部は、複数設けられ、
前記第一突出部は、前記筐体に対して着脱可能に構成され、
前記筐体は、前記インクジェットプリンタが有する前記印刷ヘッドの数に応じて定められた、前記複数のカートリッジ装着部のいずれかの前記挿入口に対応する位置に、前記第一突出部が着脱可能に固定される固定部を複数備えたことを特徴とする請求項11に記載のカートリッジ装着ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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