説明

インクジェットプリントヘッド及びその製造方法

【課題】本発明はインクジェットプリントヘッド及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明によるインクジェットプリントヘッドは、インク流路が形成されるインクジェット基板と、上記インクジェット基板から上記インク流路の外側に形成され、上記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離による切断面が形成される切断部と、上記切断部の一面から上記インクジェット基板の厚さ方向の内側に形成され、上記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離を補助する切断補助部を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリントヘッド及びその製造方法に関し、より詳細にはサイドシューター方式のインクジェットプリントヘッドの製造において、ノズルの開放及びインクジェットプリントヘッドのチップ単位の切断時に発生する異物がノズルに流入されることを防ぐインクジェットプリントヘッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にインクジェットプリントヘッドは、電気信号を物理的な力に変換し、小さなノズルを通じて、インクを液滴(droplet)の形態で吐出させる構造体である。このようなインクジェットプリントヘッドは、インクに加わる圧力の方向とインク液滴の吐出方向により、サイドシューター(Side Shooting)方式のインクジェットプリントヘッドとルーフシューター(Roof Shooting)方式のインクジェットプリントヘッドに分けることができる。
【0003】
上記サイドシューター方式のインクジェットプリントヘッドはインクに加わる圧力の方向とインク液滴の吐出方向が直角を成し、上記ルーフシューター方式のインクジェットプリントヘッドはインクに加わる圧力の方向とインク液滴の吐出方向が同一である。
【0004】
上記サイドシューター方式のインクジェットプリントヘッドはシリコンウェハーでヘッドの集積度を高め、多量のインクジェットプリントヘッドを製造することはできるが、ノズルを、ブレードダイシング、レーザーダイシングまたはレーザーカットなどのダイシング工程に形成するため、ダイシング時に発生するシリコン粒子などの異物がノズルに流入するという問題があり、ブレードによりノズルに物理的損傷が生ずるという問題がある。
【0005】
このように、異物の流入によりノズルが塞がったり、ノズルの形状が物理的に損傷されると、インクジェットプリントヘッドのインクの吐出時に、方向性の不良やウェッティング(wetting)を誘発し、インクジェットプリントヘッドの性能を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するためのもので、サイドシューター方式のインクジェットプリントヘッドの製造において、ノズルの開放及びインクジェットプリントヘッドの幅方向の側面の切断時に発生する異物がノズルに流入することを防ぐインクジェットプリントヘッド及びその製造方法を提供することに、その目的がある。
【0007】
本発明の他の目的は、インクジェットプリントヘッドのチップ単位の切断時に、切断が容易なインクジェットプリントヘッド及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドは、インク流路が形成されるインクジェット基板と、上記インクジェット基板の長さ方向の断面から上記インク流路の外側に形成され、上記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離により形成される切断面を有し、上記切断面には切断跡のような切断表示部が形成される切断部を含むことができる。
【0009】
また、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドにおける上記切断表示部は、表面粗さが上記長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成されることができる。
【0010】
また、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドにおける上記切断面は、上記切断表示部の外側に、上記切断表示部より表面粗さが小さい部分を含むことができる。
【0011】
また、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドにおける上記切断表示部内には、表面粗さが相対的に小さい部分が形成されることができる。
【0012】
また、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドは、上記切断部の一面から上記インクジェット基板の厚さ方向の内側に形成され、上記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離を補助する切断補助部をさらに含むことができる。
【0013】
一方、本発明の他の実施例によるインクジェットプリントヘッドは、インク流路が形成されるインクジェット基板と、上記インクジェット基板から上記インク流路の外側に形成され、上記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離による切断面が形成される切断部と、上記切断部の一面から上記インクジェット基板の厚さ方向の内側に形成され、上記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離を補助する切断補助部を含むことができる。
【0014】
また、本発明の他の実施例によるインクジェットプリントヘッドにおける上記切断補助部は、上記インクジェット基板の厚さを貫通する1つ以上の貫通ホールの形態であることができる。
【0015】
また、本発明の他の実施例によるインクジェットプリントヘッドにおける上記切断補助部は、上記切断部の一面から上記インクジェット基板の厚さ方向の内側に凹んだ1つ以上の溝の形態であることができる。
【0016】
他の側面において、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法は、複数のインクジェットヘッドが連続的にアレイされているウェハーを形成するために上部基板及び下部基板に複数のインク流路を形成する段階と、上記インク流路の端部であるノズルが露出するように上記インク流路の端部を上記インクジェットヘッドの長さ方向にエッチングするが、上記インク流路の外側に連結部を形成させる段階と、上記上部基板及び上記下部基板を接合して上記ウェハーを形成する段階と、上記インクジェットヘッドの長さ方向の側面が露出するように上記ウェハーを切開する段階と、上記連結部を切断する段階を含むことができる。
【0017】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法は、上記連結部に上記連結部の切断が容易になるように上記連結部の一部をエッチングするが、上記インクジェットプリントヘッドの厚さを貫通する貫通ホールが形成されるようにエッチングする段階をさらに含むことができる。
【0018】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法は、上記連結部に上記連結部の切断が容易になるように上記連結部の一部をエッチングするが、上記インクジェットプリントヘッドの厚さ方向の内側に凹む溝が形成されるようにエッチングする段階をさらに含むことができる。
【0019】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法における上記ウェハーを形成する段階は、上記上部基板と上記下部基板のシリコン直接接合(SDB)により行われることができる。
【0020】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法における上記段階は、順次行われることができる。
【0021】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法における上記ウェハーを切開する段階は、ダイシング工程により行われることができる。
【0022】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法における上記連結部を切断する段階は、上記連結部の切断面に切断跡のような切断表示部が形成されるように行われることができる。
【0023】
また、本発明によるインクジェットプリントヘッドの製造方法における上記連結部を切断する段階は、上記連結部の切断面に形成される切断表示部の表面粗さが上記インクジェットプリントヘッドの長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成されるように行われることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるインクジェットプリントヘッド及びその製造方法によれば、ノズルの開放及びインクジェットプリントヘッドの幅方向の側面の切断時に発生する異物がノズルに流入することを防ぐことができる。
【0025】
また、エッチングによりノズルの開放を行うことで、ノズルの形状に物理的な損傷を与えることを防ぐことができる。
【0026】
従って、インクジェットプリントヘッドのインクの吐出方向性または濡れ性などのインク吐出特性が向上するという効果がある。
【0027】
また、インクジェットプリントヘッドに切断補助部を形成することで、インクジェットプリントヘッドをチップ単位に切断する時、切断を容易にし、切断面を滑らかに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図である。
【図3】本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、下部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図である。
【図4】本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部基板と下部基板を接合する工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部に圧電アクチュエータを形成する工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、長さ方向の側面を切開する工程を示す平面図である。
【図7】本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの連結部の構造を示す部分平面図である。
【図8】本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドの連結部の構造を示す部分平面図である。
【図10】本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図である。
【図11】本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図である。
【図12】本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、下部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図である。
【図13】本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部基板と下部基板を接合する工程を示す断面図である。
【図14】本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部に圧電アクチュエータを形成する工程を示す断面図である。
【図15】本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、長さ方向の側面を切開する工程を示す平面図である。
【図16】本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドの連結部の構造を示す部分平面図である。
【図17】本発明の第4実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同じ思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除などを通じて、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0030】
また、各実施形態の図面に示した同じ思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一、若しくは類似する参照符号を用いて説明する。
【0031】
図1は本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図である。図1を参照すると、本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドはインク流路が形成される上部基板10及び下部基板20と、上部基板10の上面に形成される圧電アクチュエータ30を含む。
【0032】
上部基板10には複数の圧力チャンバ(不図示)が形成され、下部基板20にはインクが流入されるインク流入口(不図示)と、インク流入口に流入されるインクを複数の圧力チャンバのそれぞれに移送するマニホールド(不図示)と、インクを吐出する複数のノズル25を含むことができる。マニホールドと圧力チャンバの間には、インクが吐出される時、圧力チャンバのインクがマニホールドに逆流することを抑制するために、複数のリストリクター(不図示)が形成されることができる。
【0033】
このとき、上部基板10は単結晶シリコン基板やSOI基板であることができ、下部基板20も単結晶シリコン基板やSOI基板から成ることができる。また、本発明はこれに限らず、さらに多くの基板を用いてインク流路を構成することができ、場合によっては1つの基板で具現することもできる。インク流路を形成する構成要素も例示的なものに過ぎず、求められる条件及び設計仕様により多様な構成のインク流路を設けることができる。
【0034】
圧電アクチュエータ30は上部基板10の圧力チャンバに対応するように上部基板10の上部に形成され、圧力チャンバに流入されたインクをノズル25に吐出するための駆動力を提供する。例えば、圧電アクチュエータ30は共通電極の役割をする下部電極と、電圧の印加により変形される圧電膜と、駆動電極の役割をする上部電極を含んで構成されることができる。
【0035】
下部電極は上部基板10の全表面に形成されることができ、1つの導電性金属物質から成ることもできるが、チタン(Ti)と白金(Pt)から成る2つの金属薄膜層から成ることが好ましい。下部電極は共通電極の役割をする上、圧電膜と上部基板10の間の相互拡散を防ぐ拡散防止層としての役割もする。圧電膜は下部電極上に形成され、複数の圧力チャンバのそれぞれの上部に位置するように配置される。このような圧電膜は圧電物質、好ましくはPZT(Lead Zirconate Titanate)セラミック材料から成ることができる。上部電極は圧電膜上に形成され、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質の何れか1つの物質から成ることができる。
【0036】
本実施例では圧電アクチュエータ30を用いた圧電駆動方式によりインクが吐出される構成を例に挙げて説明しているが、インクの吐出方式により本発明が制限されたり、限定されるのではなく、求められる条件によって熱駆動方式などの多様な方式でインクが吐出されるように構成されることができる。
【0037】
本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドは、インク流路の外側に形成され、インクジェットプリントヘッドのヘッドチップ単位の分離による切断面が形成される切断部40を含む。すなわち、切断部40はインクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側に形成され、切断部40の一面からインクジェットプリントヘッドの厚さ方向の内側に形成され、上記ヘッドチップ単位の分離を補助する切断補助部42を含むことができる。
【0038】
一方、方向に対する用語を定義すると、厚さ方向は図1において、複数の圧電アクチュエータ30の1つから他の1つに向かう方向を意味し、厚さ方向は上部基板10から下部基板20に向かう方向またはその逆方向を意味し、幅方向は圧力チャンバからノズル25へのインク吐出方向またはその逆方向を意味する。
【0039】
本実施例における切断補助部42は切断部40の一面からインクジェットプリントヘッドの厚さを貫通する1つ以上の貫通ホールの形態であるが、これは例示的なものに過ぎず、インクジェットプリントヘッドの厚さ方向の内側に凹んで形成される溝の形態であることもでき、その他に、隣接した他のインクジェットプリントヘッドとの切断時に切断を容易にする構成を含むことができる。
【0040】
また、本実施例ではインクジェットプリントヘッドの幅方向の一側であるノズル側に切断補助部42が形成されることを説明しているが、インクジェットプリントヘッドの幅方向の他側にも多様な形態の切断補助部が形成されることができる。
【0041】
インクジェットプリントヘッドの幅方向の側面である上記切断部40の切断面には、ウェハー上で隣接した他のインクジェットプリントヘッドとの機械的切断時に発生し得る切断跡44が形成されることができる。すなわち、ウェハー上で隣接した他のインクジェットプリントヘッドとの切断時に切断面が滑らかに形成されることが最も好ましいが、機械的切断による切断跡44が生じ、これにより切断面が凹凸に形成されることがある。
【0042】
また、本実施例ではインクジェットプリントヘッドの幅方向の側面のうち、ノズル側の切断面に切断跡44が形成されることを説明しているが、インクジェットプリントヘッドの幅方向の側面のうち、ノズル側の切断面と対向する側面の切断面にも切断跡が形成されることができる。
【0043】
以下では上記の構成を有する本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を説明する。
【0044】
先ず、本実施例の好ましい製造方法を概略的に説明すると、上部基板及び下部基板に複数のインクジェットプリントヘッドがアレイされるようにインク流路を形成し、上部基板及び下部基板を接合し、複数のインクジェットプリントヘッドをチップ単位に切断することで、本発明によるインクジェットプリントヘッドが製造される。一方、上部基板及び下部基板にインク流路を形成する段階は順序に関らず行われることができる。すなわち、上部基板及び下部基板の何れか1つにインク流路が先に形成されることも、上部基板及び下部基板に同時にインク流路が形成されることもできる。但し、以下では説明の便宜上、上部基板にインク流路を形成する工程を先に説明する。また、インク流路を形成する段階は、一般的に1つ以上の基板で行われる段階であり、以下では説明の便宜上、インク流路を形成する段階に対する詳細な説明は省略する。
【0045】
図2は本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図であり、図3は下部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図であり、図4は上部基板と下部基板を接合する工程を示す断面図であり、図5は上部基板の上部に圧電アクチュエータを形成する工程を示す断面図であり、図6は長さ方向の側面を切開する工程を示す平面図である。
【0046】
先ず、図2の(a)に図示されたように、単結晶シリコン基板やSOIウェハーから成る上部基板10を用意する。フォトリソグラフィー(photolithography)工程、エッチング(etching)工程などのような微細加工(micromaching)技術を用いて所望するインク流路をより微細なサイズで、精密、かつ容易に形成することができる。
【0047】
特に、SOIウェハーは2つのシリコン層の間に絶縁層が形成された構造であり、上記絶縁層がエッチング停止層としての役割をし、圧力チャンバの高さを正確に調節することができる。
【0048】
一方、上部基板10の厚さは約50〜200μmであり、これは圧力チャンバ12の高さによって適切に決まる。このとき、上部基板10の下面を化学・機械的研磨(CMP)工程などにより所望する厚さに調節することができる。
【0049】
次に、図2の(b)に図示されたように、上部基板10の下面をエッチングして複数の圧力チャンバ12を形成する。図2は隣接した2つのインクジェットプリントヘッドに対し上部基板10にインク流路を形成することを図示しているが、これは説明の便宜のためであり、アレイされた複数のインクジェットプリントヘッドに対して上部基板10にインク流路が形成されることができる。
【0050】
一方、上部基板10の下面をエッチングして圧力チャンバ12を形成する方法は、フォトレジスト(photoresist)をエッチングマスクとしてエッチングする公知の方法を用いることができる。すなわち、上部基板10の下面にフォトレジストを塗布し、これを現像して圧力チャンバ12を形成するための開口部を形成し、フォトレジストをエッチングマスクとして用い、開口部を通じて露出した部分を乾式または湿式エッチングにより除去することで、圧力チャンバ12を形成することができる。後述する基板のエッチング工程にもこのような方法を用いることができる。
【0051】
次に、図2の(c)に図示されたように、幅方向に隣接しているインクジェットプリントヘッドのノズルを形成するために、上部基板10の厚さを貫通するようにエッチングして上側開放部14を形成する。上側開放部14は図2の(d)に図示されたように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向において、上側連結部140を除いた部分をエッチングして形成する。
【0052】
このとき、上側連結部140を部分的にエッチングして上側切断補助部142を形成することができ、上側切断補助部142は上部基板10の厚さを貫通する貫通ホールの形態または上部基板10の一面から厚さ方向の内側に凹む溝の形態で形成されることができる。
【0053】
次に、図3を参照して下部基板20にインク流路を形成する工程を説明する。図3の(a)に図示されたように、単結晶シリコン基板やSOIウェハーから成る下部基板20を用意する。
【0054】
下部基板20として2つのシリコン層の間に絶縁層が形成された構造のSOIウェハーを用いると、上記絶縁層がエッチング停止層としての役割をするため、マニホールド、リストリクター、ダンパなどの高さを正確に調節することができる。一方、下部基板20の厚さは約50〜200μmであり、これは所望する厚さによって適切に決める。
【0055】
図3の(b)に図示されたように、下部基板20の上面をエッチングしてリストリクター22を形成し、ダンパ(不図示)及びノズル25が形成される流路21を形成する。このとき、下部基板20がSOIウェハーであると、絶縁層がエッチング停止層としての役割をするため、リストリクター22と、ダンパ及びノズル25が形成される流路21の高さを正確に調整できる。また、下部基板20のエッチングは上述のように、フォトレジストをエッチングマスクとし、乾式または湿式方法によって行うことができる。
【0056】
次に、図3の(c)に図示されたように、下部基板20の下面をエッチングしてインク流入口(不図示)及びマニホールド23を形成する。インク流入口に流入されたインクはマニホールド23からリストリクター22を経て圧力チャンバ12に移送される。
【0057】
次に、図3の(d)に図示されたように、幅方向に隣接しているインクジェットプリントヘッドのノズルを形成するために下部基板20の厚さを貫通するようにエッチングして下側開放部24を形成する。下側開放部24は図3の(e)に図示されたように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向において、下側連結部240を除いた部分をエッチングして形成する。このように、ノズル25の開放がエッチングにより行われるため、ノズル25の形状に物理的損傷が加わらない上、機械的加工によりノズル25を開放する時発生する異物がノズル25に流入することを防ぐことができる。
【0058】
このとき、下側連結部240を部分的にエッチングして下側切断補助部242を形成することができ、下側切断補助部242は下部基板20の厚さを貫通する貫通ホールの形態または下部基板20の一面から厚さ方向の内側に凹む溝の形態に形成されることができる。
【0059】
次に、図4に図示されたように、上部基板10及び下部基板20を接合し、複数のインクジェットプリントヘッドがアレイされたウェハーを形成する。上部基板10と下部基板20の接合はシリコン直接接合(SDB)により行われることができる。すなわち、上部基板10及び下部基板20を密着させた状態で熱処理、例えばアニーリング(annealing)することにより上記2つの基板を接着剤を使用せず、直接接合させる。
【0060】
一方、本実施例では、上部基板10及び下部基板20にそれぞれ上側開放部14及び下側開放部24を形成してノズル25を開放した後、上部基板10及び下部基板20を接合する段階を行うと説明しているが、本発明は上記段階の順序に限らず、上部基板10及び下部基板20を接合した後、これらの基板をエッチングしてノズル25を開放することもできる。このように、ノズル25を開放するために、上記接合された上部基板10及び下部基板20をエッチングする時、上側連結部140及び下側連結部240を部分的にエッチングして上側及び下側切断補助部142、242を形成することができる。
【0061】
次に、図5に図示されたように、上部基板10の上面の圧力チャンバ12に対応する位置に圧電アクチュエータ30を形成する。圧電アクチュエータ30を形成する方法は、スクリーンプリンティングなどの厚膜工程を用いて形成する方法と、バルクセラミック素材をヘッドチップ単位で接着する方法などを用いることができる。
【0062】
次に、図6に図示されたように、ウェハー上に行と列にアレイされている複数のインクジェットプリントヘッドにおいて、1つの行にアレイされている複数のインクジェットプリントヘッドの長さ方向の側面を切開して複数のインクジェットプリントヘッドを行毎に分離する。上記切開はブレードダイシング、レーザーダイシングまたはレーザーカットなどのダイシングにより行われることができる。
【0063】
このとき、エッチングにより開放されたノズル25にダイシングにより発生する異物などが流入されることを確実に防ぐために、ダイシングする前にウェハーの上下面にUVフィルムやダイシング用フィルムなどの保護用フィルムを塗布してパッシベーション(passivation)することが好ましい。
【0064】
このように、ダイシングによりインクジェットプリントヘッドの長さ方向の側面を露出させる場合、本実施例ではインクジェットプリントヘッドの長さ方向において、両側に連結部340が形成されているため、上記ダイシング時に発生する異物がノズル25に流入されることを防ぐことができる。
【0065】
次に、図6の連結部340を切断してインクジェットプリントヘッドをチップ単位に分離すると、図1に図示されたインクジェットプリントヘッドが完成する。ダイシングする前にパッシベーションが行われた場合は、上記保護用フィルムを除去した後にチップ単位の分離が行われるべきである。連結部340の切断は機械的加工により行われることができ、連結部340の中間部分に切断面が形成されることができる。
【0066】
図7は本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの連結部の構造を示す部分平面図である。図7は4つの隣接したインクジェットプリントヘッドの連結部を示したもので、第1連結部540と第2連結部640の間にはダイシングライン50が形成され、第1連結部540を共有する第1及び第2インクジェットプリントヘッド100、200の間には第1エッチングライン54が形成される。上記第1エッチングライン54で第1及び第2インクジェットプリントヘッド100、200の何れか1つのヘッド側にノズルが開放される。
【0067】
第2連結部640を共有する第3及び第4インクジェットプリントヘッド300、400の間に第2エッチングライン64が形成され、上記第2エッチングライン64で第3及び第4インクジェットプリントヘッド300、400の何れか1つのヘッド側にノズルが開放される。
【0068】
第1連結部540には第1インクジェットプリントヘッド100側、第2インクジェットプリントヘッド200側、及び第1エッチングライン54に対応する部分に1つ以上の第1切断補助部542が形成されている。第1切断補助部542はウェハーの厚さを貫通する貫通ホールの形態で形成されるが、その他にもウェハーの一面から厚さ方向の内側に向かって凹む溝の形態で形成されることもできる。
【0069】
同様に、第2連結部640には第3インクジェットプリントヘッド300側、第4インクジェットプリントヘッド400側、及び第2エッチングライン64に対応する部分に1つ以上の第2切断補助部642が形成されている。
【0070】
このように、本実施例では1つ以上の貫通ホールの形態から成る第1及び第2切断補助部542、642が形成されているため、第1及び第2インクジェットプリントヘッドの切断、第3及び第4インクジェットプリントヘッドの切断時に切断が容易に行われることができ、切断面を最大限滑らかに形成することができる。
【0071】
以上で本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を説明した。本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法の工程は上部基板10にインク流路を形成する段階と、上部基板10をエッチングして上側開放部14を形成する段階と、下部基板20にインク流路を形成する段階と、下部基板20をエッチングして下側開放部24を形成する段階と、上部基板10及び下部基板20を接合する段階と、上部基板10の上面に圧電アクチュエータ30を形成する段階と、ウェハーをダイシングする段階と、チップ単位に切断する段階を含む。これらの段階は説明の便宜上順次行われると記載しているが、本発明はこれに限らず、各工程で求められる条件に従って多様な順序で行われることができる。例えば、上部基板及び下部基板にエッチングして開放部を形成する工程は、インク流路を形成する工程と同時に行われることも、上部基板及び下部基板を接合した後に行われることもできる。
【0072】
図8は本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図であり、図9は本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドの連結部の構造を示す部分平面図である。
【0073】
図8及び図9に図示された本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドは、切断補助部が切断跡のような切断表示部を有する切断部の外側に形成されるという点で、図1に図示された本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの連結部の構造と異なる。従って、以下では、説明の便宜上、異なる構成に対して具体的に説明する。
【0074】
図8に図示されたように、本発明の第2実施例によるインクジェットプリントヘッドは長さ方向の断面からインク流路の外側に形成され、切断跡のような切断表示部を有する切断部40の外側に切断補助部42が形成される。切断補助部42は切断表示部が形成された切断部40より表面粗さが小さい部分を含む。
【0075】
これは幅方向に隣接しているインクジェットプリントヘッドのノズルを形成するために上部基板10及び下部基板20の厚さを貫通するようにエッチングする時、上記切断補助部42が形成される部分をエッチングして形成することができる。
【0076】
図9に図示されたように、第1及び第2インクジェットプリントヘッド100、200の間に第1連結部540が形成され、第3及び第4インクジェットプリントヘッド300、400の間に第2連結部640が形成される。第1連結部540と第2連結部640の間にはダイシングライン50が形成され、第1及び第2インクジェットプリントヘッド100、200の間には第1エッチングライン54が形成され、第3及び第4インクジェットプリントヘッド300、400の間に第2エッチングライン64が形成される。
【0077】
第1連結部540には第1エッチングライン54に対応する所に第1切断補助部542が形成されており、第2連結部640には第2エッチングライン64に対応する所に第2切断補助部642が形成されている。このとき、切断補助部542、642はウェハーの厚さを貫通する貫通ホールの形態で形成されるが、その他にもウェハーの一面から厚さ方向の内側に向かって凹む溝の形態で形成されることもできる。
【0078】
図10は本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図である。図10を参照すると、本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドはインク流路が形成される上部基板10及び下部基板20と、上部基板10の上面に形成される圧電アクチュエータ30を含む。
【0079】
上部基板10及び下部基板20のインク流路の構成と、圧電アクチュエータ30は、本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドとその構成が実質的に同一であるため、説明の便宜上、これらの構成に対する具体的な説明は省略する。
【0080】
本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドは長さ方向の断面からインク流路の外側に形成され、切断表示部が形成された切断部40を含む。上記切断部40は表面粗さが上記長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成される切断表示部を含む。すなわち、切断表示部はウェハー上で隣接した他のインクジェットプリントヘッドとの機械的切断時に発生し得る切断跡である。
【0081】
ウェハー上で隣接した他のインクジェットプリントヘッドとの切断時に切断面が滑らかに形成されることが最も好ましいが、機械的切断による切断跡が生じ、これにより切断面が凹凸に形成されることができる。本実施例では、切断表示部が上記長さ方向の断面の残りの部分より突出した状態で凹凸に形成されたものを説明し、図示しているが、これは例示的なものに過ぎず、切断表示部の表面粗さが上記長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成される多様な形態を有することができる。
【0082】
本実施例では、インクジェットプリントヘッドの幅方向の一側であるノズル側に切断表示部が形成されるものを説明しているが、インクジェットプリントヘッドの幅方向の他側にも切断表示部が形成されることができる。
【0083】
以下では、上記の構成を有する本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法を説明する。
【0084】
図11は本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドのウェハー単位の製造方法において、上部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図であり、図12は下部基板にインク流路を形成する工程を示す工程図であり、図13は上部基板と下部基板を接合する工程を示す断面図であり、図14は上部に圧電アクチュエータを形成する工程を示す断面図であり、図15は長さ方向の側面を切開する工程を示す平面図である。
【0085】
本実施例によるインクジェットプリントヘッドの上部基板及び下部基板にインク流路を形成する工程と、圧電アクチュエータを形成する工程は、本発明の第1実施例によるインクジェットプリントヘッドの製造方法と実質的に同一であるため、説明の便宜上、工程の具体的な説明は省略する。以下では差異点を主に説明する。
【0086】
先ず、図11の(a)に図示されたように、単結晶シリコン基板やSOIウェハーから成る上部基板10を用意する。
【0087】
次に、図11の(b)に図示されたように、上部基板10の下面をエッチングして複数の圧力チャンバ12を形成する。
【0088】
次に、図11の(c)に図示されたように、幅方向に隣接しているインクジェットプリントヘッドのノズルを形成するために上部基板10の厚さを貫通するようにエッチングして上側開放部14を形成する。上側開放部14は図11の(d)に図示されたように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向において、上側連結部140を除いた部分をエッチングして形成する。
【0089】
次に、図12の(a)に図示されたように、単結晶シリコン基板やSOIウェハーから成る下部基板20を用意する。
【0090】
次に、図12の(b)に図示されたように、下部基板20の上面をエッチングしてリストリクター22を形成し、ダンパ(不図示)及びノズル25が形成される流路21を形成する。
【0091】
次に、図12の(c)に図示されたように、下部基板20の下面をエッチングしてインク流入口(不図示)及びマニホールド23を形成する。
【0092】
次に、図12の(d)に図示されたように、幅方向に隣接しているインクジェットプリントヘッドのノズルを形成するために下部基板20の厚さを貫通するようにエッチングして下側開放部24を形成する。下側開放部24は図12の(e)に図示されたように、インクジェットプリントヘッドの長さ方向において、下側連結部240を除いた部分をエッチングして形成する。このように、エッチングによりノズル25の開放が行われるため、ノズル25の形状に物理的損傷が加わらない上、機械的加工によりノズル25を開放する時発生する異物がノズル25に流入することを防ぐことができる。
【0093】
次に、図13に図示されたように、上部基板10及び下部基板20を接合して複数のインクジェットプリントヘッドがアレイされたウェハーを形成する。上部基板10と下部基板20の接合はシリコン直接接合(SDB)により行われることができる。すなわち、上部基板10及び下部基板20を密着させた状態で熱処理、例えば、アニーリング(annealing)することにより上記2つの基板を接着剤を使用せず、直接接合させる。
【0094】
次に、図14に図示されたように、上部基板10の上面の圧力チャンバ12に対応する位置に圧電アクチュエータ30を形成する。圧電アクチュエータ30を形成する方法はスクリーンプリンティングなどの厚膜工程を用いて形成する方法と、バルクセラミック素材をヘッドチップ単位で接着する方法などを用いることができる。
【0095】
次に、図15に図示されたように、ウェハー上に行列にアレイされている複数のインクジェットプリントヘッドにおいて、1つの行にアレイされている複数のインクジェットプリントヘッドの長さ方向の側面を切開して複数のインクジェットプリントヘッドを行毎に分離する。上記切開はブレードダイシング、レーザーダイシングまたはレーザーカットなどのダイシングにより行われることができる。
【0096】
このとき、エッチングにより開放されたノズル25にダイシングにより発生する異物などが流入されることを確実に防ぐために、ダイシングする前にウェハーの上下面にUVフィルムやダイシング用フィルムなどの保護用フィルムを塗布してパッシベーション(passivation)することが好ましい。
【0097】
このように、ダイシングによりインクジェットプリントヘッドの長さ方向の側面を露出させる場合、本実施例ではインクジェットプリントヘッドの長さ方向において、両側に連結部340が形成されているため、上記ダイシング時に発生する異物がノズル25に流入することを防ぐことができる。
【0098】
次に、図15の連結部340を切断してインクジェットプリントヘッドをチップ単位に分離すると、図10に図示されたインクジェットプリントヘッドが完成する。ダイシングする前にパッシベーションが行われた場合は、上記保護用フィルムを除去した後にチップ単位の分離が行われるべきである。連結部340の切断は、機械的加工により行われることができ、連結部340の中間部分に切断面が形成されることができる。
【0099】
上記連結部340の切断面には、表面粗さが上記インクジェットプリントヘッドの長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成される切断跡のような切断表示部が形成されることができる。
【0100】
図16は本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドの連結部の構造を示す部分平面図である。
【0101】
図16に図示されたように、第1及び第2インクジェットプリントヘッド100、200の間に第1連結部540が形成され、第3及び第4インクジェットプリントヘッド300、400の間に第2連結部640が形成される。第1連結部540と第2連結部640の間にはダイシングライン50が形成され、第1及び第2インクジェットプリントヘッド100、200の間には第1エッチングライン54が形成され、第3及び第4インクジェットプリントヘッド300、400の間に第2エッチングライン64が形成される。
【0102】
本実施例における第1連結部540及び第2連結部640には切断補助部が形成されない。第1連結部540及び第2連結部640はインクジェットプリントヘッドの長さ方向において、その幅がμm単位であるため、第1連結部540及び第2連結部640の切断時に問題はないと把握される。
【0103】
勿論、切断の容易性及び切断面の平坦性においては、図7に図示された連結部の構造が図16に図示された連結部の構造より優れるが、図16に図示された連結部の構造は、その製造工程が図7に図示された連結部の構造よりも簡潔になるという利点がある。
【0104】
図17は本発明の第4実施例によるインクジェットプリントヘッドを示す斜視図である。図17に図示された本発明の第4実施例によるインクジェットプリントヘッドは切断部の切断面内に切断補助部が形成されるという点で、図10に図示された本発明の第3実施例によるインクジェットプリントヘッドの構造と異なる。従って、以下では、説明の便宜上、異なる構成に対して具体的に説明する。
【0105】
図17に図示されたように、本発明のさらに他の実施例によるインクジェットプリントヘッドは、長さ方向の断面からインク流路の外側に形成される切断部40の切断面内に切断補助部42を含むことができる。
【0106】
ここで、切断部40の切断面内には表面粗さが上記長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成される切断表示部が形成される。切断表示部内に表面粗さが相対的に小さい部分が形成される。
【0107】
また、上記切断補助部42は表面粗さが切断表示部内で相対的に小さい部分である。
【0108】
これは幅方向に隣接しているインクジェットプリントヘッドのノズルを形成するために上部基板及び下部基板の厚さを貫通するようにエッチングする時、上記切断補助部42が形成されるように長さ方向の断面からインク流路の外側を部分的にエッチングして形成することができる。このとき、上記切断補助部42は上部基板及び下部基板の厚さを貫通するようにエッチングして形成することができるが、ウェハーの一面から厚さ方向の内側に向かって凹む溝が形成されるようにエッチングして形成することもできる。
【0109】
本実施例では上記切断補助部42が切断表示部内に1ヵ所形成されることを図示して説明しているが、これは例示的なものに過ぎず、切断表示部内に複数個所形成されることができる。
【0110】
このように本発明によるインクジェットプリントヘッドを構成する場合、インクジェットプリントヘッドのノズル部分はエッチングにより開放されるため、ノズルの形状に物理的損傷が加わらず、また、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側に連結部を備え、長さ方向の側面のダイシング工程による切断時に発生する異物などがノズルに流入することを防ぐことができる。
【0111】
<比較例>
比較例によるインクジェットプリントヘッドは本発明と同様に、サイドシューター方式で製造され、流路が形成された上部基板と下部基板を接合した後にダイシング工程によりノズルを開放したものである。比較例によるインクジェットプリントヘッドのノズルはダイシング工程により開放されるため、ダイシングブレードによりノズルの形状が物理的に損傷されて壊れる。
【0112】
これに対し、本発明の一実施例によるインクジェットプリントヘッドのノズル部分はエッチングにより開放されるため、ノズルの形状に物理的損傷が加わらず、また、インクジェットプリントヘッドの長さ方向の両側に連結部を備え、長さ方向の側面のダイシング工程による切断時に発生する異物などがノズルに流入することを防ぐことができる。
【0113】
以上で本発明の好ましい実施例を詳しく説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、そこから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということは理解できる。例えば、本発明でインクジェットプリントヘッドのインク流路を形成する方法は、単なる例示に過ぎず、多様なエッチング方法が適用されることができ、製造方法の各段階の順序も例示されたものと異ならせることができる。従って、本発明の真の技術的保護範囲は添付の特許請求の範囲により決まるべきである。
【符号の説明】
【0114】
10 上部基板
12 圧力チャンバ
20 下部基板
21 ノズル形成流路
22 リストリクター
23 マニホールド
30 圧電アクチュエータ
34 開放部
40 切断部
42 切断補助部
44 切断跡
50 ダイシングライン
54、64 第1、第2エッチングライン
100、200、300、400 第1、第2、第3、第4インクジェットプリントヘッド
540、640 第1、第2連結部
542、642 切断補助部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク流路が形成されているインクジェット基板と、
前記インクジェット基板の長さ方向の断面から前記インク流路の外側に形成され、前記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離により形成される切断面を有し、前記切断面には切断跡のような切断表示部が形成されている切断部と
を含むインクジェットプリントヘッド。
【請求項2】
前記切断表示部は、表面粗さが前記長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項3】
前記切断面は、前記切断表示部の外側に前記切断表示部より表面粗さが小さい部分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項4】
前記切断表示部内には、表面粗さが相対的に小さい部分が形成されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項5】
前記切断部の一面から前記インクジェット基板の厚さ方向の内側に形成され、前記インクジェット基板のヘッドチップ単位の分離を補助する切断補助部をさらに含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項6】
前記切断補助部は、前記インクジェット基板の厚さを貫通する1つ以上の貫通ホールの形態であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項7】
前記切断補助部は、前記切断部の一面から前記インクジェット基板の厚さ方向の内側に凹んだ1つ以上の溝の形態であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項8】
複数のインクジェットプリントヘッドが連続的にアレイされているウェハーを形成するために上部基板及び下部基板に複数のインク流路を形成する段階と、
前記インク流路の端部であるノズルが露出するように前記インク流路の端部を前記インクジェットプリントヘッドの長さ方向にエッチングして、前記インク流路の外側に連結部を形成するようにする段階と、
前記上部基板及び前記下部基板を接合して前記ウェハーを形成する段階と、
前記インクジェットプリントヘッドの長さ方向の側面が露出するように前記ウェハーを切開する段階と、
前記連結部を切断する段階と
を含むインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記連結部に前記連結部の切断が容易になるように前記連結部の一部をエッチングして、前記インクジェットプリントヘッドの厚さを貫通する貫通ホールが形成されるようにエッチングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記連結部に前記連結部の切断が容易になるように前記連結部の一部をエッチングして、前記インクジェットプリントヘッドの厚さ方向の内側に凹む溝が形成されるようにエッチングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記ウェハーを形成する段階は、前記上部基板と前記下部基板のシリコン直接接合(SDB)により行われることを特徴とする請求項8から10の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記段階の各々は、順次行われることを特徴とする請求項8から11の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記ウェハーを切開する段階は、ダイシング工程により行われることを特徴とする請求項8から12の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記連結部を切断する段階は、前記連結部の切断面に切断跡のような切断表示部が形成されるように行われることを特徴とする請求項8から13の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記連結部を切断する段階は、前記連結部の切断面に形成される切断表示部の表面粗さが前記インクジェットプリントヘッドの長さ方向の断面の残りの部分より大きく形成されるように行われることを特徴とする請求項8から14の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−235629(P2011−235629A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24730(P2011−24730)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】