説明

インクジェットヘッド

【課題】アクチュエータの電極に電流を供給する配線部の電気抵抗を低減できるインクジェットヘッドを得ることにある。
【解決手段】インクジェットヘッドは、ノズルプレート、ヘッド本体、複数のアクチュエータおよび複数の中継電極を備えている。複数のノズルがノズルプレートに形成されている。ヘッド本体は、ノズルプレートに積層されているとともに、ノズルに個々に連通されたインク圧力室を有している。各アクチュエータは、圧電素子に電気的に接続された第1の電極および第2の電極と、第1の電極および第2の電極から引き出された配線部とを有し、第1および第2の電極から圧電素子に電圧が印加された時に、インク圧力室に供給されたインクを加圧してノズルから吐出させる。中継電極は、第1の電極の配線部および第2の電極の配線部の少なくともいずれか一方に電気的に接続されている。中継電極は、ヘッド本体を厚み方向に貫通してヘッド本体の外に露出された端子部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数のノズルから記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェットヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドは、複数のノズルと、個々のノズルに対応した複数のアクチュエータと、を備えている。
【0003】
アクチュエータは、例えばシリコン基板のような母材の上に設けられている。アクチュエータは、圧電素子と、圧電素子に電圧を印加する共通電極および個別電極と、を有している。共通電極は、全ての圧電素子に共通して繋がっており、全ての圧電素子に一定の電圧を印加する。個別電極は、圧電素子に個別に繋がっており、個々の圧電素子を独立して動作させる。
【0004】
共通電極および個別電極は、シリコン基板の上に形成された複数の導体パターンに電気的に接続されている。導体パターンは、隣り合うアクチュエータの間を通してシリコン基板の外周縁に導かれているとともに、テープキャリアパッケージに電気的に接続されている。テープキャリアパッケージは、アクチュエータを駆動する駆動回路を搭載している。
【0005】
駆動回路からアクチュエータの圧電素子に電界が印加されると、圧電素子が変形してインクを加圧する。加圧されたインクの一部はインク滴となってノズルから記録媒体に向けて吐出し、記録媒体の上に画像を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−96128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インクジェットヘッドは、画像の解像度を高めるため、数多くのノズルを高密度に配置することが求められている。ノズルを高密度に配置した場合、アクチュエータの共通電極および個別電極から引き出された複数の導体パターンを配線するスペースをシリコン基板の上に確保することが困難となる。
【0008】
この結果、導体パターンの引き回し経路が複雑化して導体パターンが長くなるとともに、導体パターンの幅が狭くなるのを避けられない。したがって、導体パターンの電気抵抗が増大し、印字信号の高速化を図る上で好ましくないものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、インクジェットヘッドは、ノズルプレート、ヘッド本体、複数のアクチュエータおよび複数の中継電極を備えている。
【0010】
複数のノズルが前記ノズルプレートに形成されている。前記ヘッド本体は、前記ノズルプレートに積層されているとともに、前記ノズルに個々に連通された複数のインク圧力室を有している。前記各アクチュエータは、圧電素子と、前記圧電素子に電気的に接続された第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極および前記第2の電極から引き出された配線部と、を有している。前記各アクチュエータは、前記第1および第2の電極から前記圧電素子に電圧が印加された時に、前記インク圧力室に供給されたインクを加圧して前記ノズルから吐出させる。
【0011】
前記中継電極は、前記第1の電極の前記配線部および前記第2の電極の前記配線部の少なくともいずれか一方に電気的に接続されている。さらに、前記中継電極は、前記ヘッド本体を厚み方向に貫通するとともに、前記ヘッド本体の外に露出された通電用の端子部を有している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態において、複数のノズル列がノズルプレートのノズル面に配列された状態を示すインクジェットヘッドの平面図。
【図2】第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図。
【図3】図2のF3−F3線に沿う断面図。
【図4】第1の実施形態において、複数のアクチュエータと複数の中継電極との位置関係を示すインクジェットヘッドの断面図。
【図5】第1の実施形態において、保護層を構成するベースに振動板を積層した状態を示す断面図。
【図6】第1の実施形態において、振動板の上に第1の電極の基となる薄膜を形成した状態を示す断面図。
【図7】第1の実施形態において、振動板の上に第1の電極を形成した状態を示す断面図。
【図8】第1の実施形態において、圧電体膜で振動板および第1の電極を覆った状態を示す断面図。
【図9】第1の実施形態において、第1の電極の上に圧電体層を形成した状態を示す断面図。
【図10】第1の実施形態において、圧電体層の上に第2の電極の基となる薄膜を形成した状態を示す断面図。
【図11】第1の実施形態において、圧電体層の上に第2の電極を形成した状態を示す断面図。
【図12】第1の実施形態において、第2の電極および振動板の上に電極保護膜を積層した状態を示す断面図。
【図13】第1の実施形態において、振動板の上に第1の基板を積層するとともに、第1の基板にインク圧力室および貫通孔を形成した状態を示す断面図。
【図14】第1の実施形態において、第1の基板が積層された振動板から電極保護膜を除去した状態を示す断面図。
【図15】第1の実施形態において、第2の電極および振動板の上に保護層を積層した状態を示す断面図。
【図16】第1の実施形態において、保護層の上に撥液膜を形成するとともに、保護層および撥液膜にノズルを形成した状態を示す断面図。
【図17】第1の実施形態において、撥液膜の上にノズル保護膜を形成するとともに、貫通孔に中継電極を構成する導電性材料を充填した状態を示す断面図。
【図18】第1の実施形態において、第1の基板の上にインク流通室を有する第2の基板を接着するとともに、中継電極の端子部にフレキシブルプリント配線板を電気的に接続した状態を示す断面図。
【図19】第1の実施形態において、ノズル保護膜を剥離してノズルを露出させた状態を示す断面図。
【図20】第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図。
【図21】第2の実施形態において、複数のアクチュエータ、複数の中継電極およびフレキシブルプリント配線板の位置関係を示すインクジェットヘッドの断面図。
【図22】第3の実施形態において、複数のノズル列がノズルプレートのノズル面に配列された状態を示すインクジェットヘッドの平面図。
【図23】第3の実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図。
【図24】第3の実施形態において、複数のアクチュエータ、中継電極およびフレキシブルプリント配線板の位置関係を示すインクジェットヘッドの断面図。
【図25】第4の実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図。
【図26】第4の実施形態において、複数のアクチュエータ、複数の中継電極およびフレキシブルプリント配線板の位置関係を示すインクジェットヘッドの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図19を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図3は、例えばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッド1を示している。インクジェットヘッド1は、記録媒体の一例である用紙Sに画像を形成するためのものである。用紙Sは、インクジェット記録装置内の搬送路に沿って一定の方向に搬送される。用紙Sとしては、例えば無地の用紙、アート紙あるいはOHPシート等を用いることができる。
【0015】
インクジェットヘッド1は、用紙Sの搬送方向と直交する方向に延びる細長い形状を有している。図2に示すように、インクジェットヘッド1は、ノズルプレート2とヘッド本体3とで構成されている。ノズルプレート2は、振動板4、保護層5および撥液膜6を有する三層構造である。
【0016】
振動板4は、例えばシリコン酸化膜で形成されており、その厚さが概ね10μmである。第1の実施形態では、シリコン酸化膜は、熱酸化により基板温度を約1000℃として形成した。シリコン酸化膜の製法としては、CVD(化学的気相成長法)、RFマグネトロンスパッタリング法を用いることができる。
【0017】
保護層5は、振動板4に積層されている。保護層5は、例えばポリイミドのような樹脂材料で形成され、その厚さが6μmである。第1の実施形態では、保護層5は、スピンコーティングにより形成されている。保護層5の材料としては、例えばポリ尿素のような樹脂材料、SiOのような酸化膜を用いることも可能である。この場合、保護層5の膜厚は、概ね3〜20μmである。
【0018】
撥液膜6は、保護層5に積層されている。撥液膜6は、例えばフッ素樹脂のようなインクをはじく特性を有する材料で形成されている。第1の実施形態では、撥液膜6は、スピンコーティングにより形成され、その膜厚が概ね0.1〜5μm、好ましくは1μmである。撥液膜6は、ノズルプレート2の表面となるノズル面7を構成している。ノズル面7は、用紙Sの被印字面と向かい合うようにインクジェットヘッド1の外に露出されている。
【0019】
図1に示すように、複数のノズル列10がノズルプレート2に形成されている。ノズル列10は、矢印Xで示すインクジェットヘッド1の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。インクジェットヘッド1の長手方向とは、矢印Yで示す用紙Sの搬送方向と直交する方向のことを指しており、用紙Sの幅方向と一致する。
【0020】
各ノズル列10は、例えば10個のノズル11を有している。ノズル11は、用紙Sの搬送方向(Y方向)に対し一定の角度αを有する斜めの方向に互いに間隔を存して直線状に規則的に配列されている。
【0021】
ノズル11は、ノズルプレート2を厚み方向に貫通する孔であり、その直径が例えば20μmである。ノズル11は、ノズルプレート2のノズル面7およびノズル面7の反対側に位置された振動板4の表面4aに開口されている。
【0022】
第1の実施形態によると、ノズル列10は、用紙Sの搬送方向(Y方向)に沿って延びているとともに、用紙Sの搬送方向と直交するノズルプレート2の長手方向(X方向)に沿って120列に亘って配置されている。
【0023】
したがって、第1の実施形態のノズルプレート2は、1200個のノズル11を有している。これらノズル11は、少なくとも用紙Sの幅方向に沿う長さに亘って二次元的にマトリクス状に配列されたノズル群を構成している。
【0024】
ノズル面7に開口された全てのノズル11は、所望の解像度を得るために、ノズルプレート2の長手方向(X方向)に一定のピッチPで並べられている。
【0025】
ヘッド本体2は、第1の基板12および第2の基板13を有している。第1の基板12は、例えば単一のシリコン基板で形成され、その厚さが例えば675μmである。第1の基板12は、振動板4の表面4aに積層されて振動板4と一体化されている。
【0026】
ノズル11と同数のインク圧力室14が第1の基板12に形成されている。インク圧力室14は、例えば直径が250μmの円筒状であり、ノズル11と同軸となるように第1の基板12を厚み方向に貫通している。このため、ノズル11のピッチPは、各ノズル11に付随するインク圧力室14が、隣り合う他のノズル11のインク圧力室14と干渉することがない値に定められている。
【0027】
インク圧力室14の一方の開口端は、振動板4によって塞がれている。言い換えると、振動板4は、インク圧力室14に露出されている。インク圧力室14は、ノズル11に対応するように設けられており、各インク圧力室14の中央に各ノズル11が連通されている。
【0028】
第2の基板13は、ステンレスのような金属材料で構成され、その厚さが例えば4mmである。第2の基板13は、第1の基板12の表面12aに積層されているとともに、例えばエポキシ系の接着剤を用いて第1の基板12に固定されている。
【0029】
複数のインク流通室15が第2の基板13の内部に形成されている。インク流通室15は、第2の基板13の厚み方向に沿う深さが2mmの円筒状であり、画像形成用のインクがインク供給口16を通じてインクジェットヘッド1の外部から供給されるようになっている。
【0030】
インク流通室15は、連通口17を通じてインク圧力室14に通じている。連通口17は、ノズル11よりも小径な孔であって、ノズル11と同軸となるように第2の基板13に形成されている。そのため、インク供給口16からインク流通室15に分配されたインクは、連通口17を通じてインク圧力室14に供給される。
【0031】
第1の実施形態では、インク供給口16は、インク流通室15の中央に位置されている。さらに、連通口17にしてもインク流通室15の中央およびインク圧力室14の中央に位置されている。この結果、インクが複数のインク流通室15から複数のインク圧力室14に供給される際の流路抵抗が均等化されて、インク圧力室14に供給されるインク量のばらつきが抑制されている。
【0032】
第2の基板13は、ステンレスに限らず、例えばアルミニウム合金、チタンのようなその他の金属材料で形成してもよい。加えて、第2の基板13を形成する材料は金属に限らない。例えば、ノズルプレート2および第1の基板12との膨張係数の差異を考慮して、インク吐出圧力に影響を及ぼさない範囲内で他の材料を用いることができる。
【0033】
具体的には、セラミック材料としてのアルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸バリウムなどの窒化物・酸化物を用いることができる。さらに、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォンのようなプラスチック材料を用いることができる。
【0034】
図2および図3に示すように、第1の実施形態のノズルプレート2は、インクを加圧する複数のアクチュエータ20を内蔵している。アクチュエータ20は、ノズル11毎に設けられている。
【0035】
アクチュエータ20は、ノズル11を同軸状に取り囲むように振動板4の上にリング状に形成されているとともに、保護層5で覆われている。各アクチュエータ20は、圧電体層21、第1の電極22および第2の電極23を備えている。
【0036】
圧電体層21は、圧電素子の一例であり、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で構成されている。圧電体層21の材料としては、PTO(PbTiO:チタン酸鉛)、PMNT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO)、PZNT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO)、ZnO、AlN等を用いることも可能である。
【0037】
圧電体層21は、RFマグネトロンスパッタリング法により基板温度350℃で形成され、その膜厚が3μm、直径が250μmのリング形である。第1の実施形態では、圧電体層21を形成した後、圧電体層21に圧電性を付与するため、500℃で3時間に亘る熱処理を施している。これにより、圧電体層21は、良好な圧電性能を得ることができる。圧電体層21が形成されると、圧電体層21の厚み方向に沿う分極が発生する。
【0038】
圧電体層21の他の製法としては、CVD(化学的気相成長法)、ゾルゲル法、AD法(エアロゾルデポジション法)、水熱合成法等を用いることができる。この場合、圧電体層21の厚さは、概ね0.1μmから10μmの範囲内となる。
【0039】
第1の電極22および第2の電極23は、圧電体層21を駆動するための信号を伝送するためのものであって、例えばPt(白金)/Ti(チタン)の薄膜で形成されている。薄膜は、例えばスパッタリング法により形成され、その膜厚が0.5μmである。
【0040】
第1の電極22および第2の電極23を形成する他の材料としては、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Au(金)を用いることができるとともに、前記各種の金属を積層することも可能である。
【0041】
第1の電極22および第2の電極23を形成する方法としては、例えば蒸着、鍍金を用いることも可能である。この場合、第1の電極22および第2の電極23の望ましい膜厚は、0.01〜1μmである。
【0042】
図2に示すように、第1の電極22は、振動板4に形成されている。第1の電極22は、夫々電極部分24を備えている。電極部分24は、圧電体層21よりも小径のリング形である。電極部分24は、圧電体層21で同軸状に覆われているとともに、圧電体層21に電気的に接続されている。さらに、ノズル11は、電極部分24の中央部および圧電体層21の中央部を同軸状に貫通している。
【0043】
図1に示すように、アクチュエータ20の第1の電極22は、基幹配線25から分岐された複数の中継配線26を介して電気的に接続されている。基幹配線25および中継配線26は、振動板4に形成されて保護層5で覆われている。基幹配線25は、五番目のノズル11と六番目のノズル11との間を通してノズルプレート2の長手方向に直線状に配線されている。基幹配線25の配線幅は、概ね100μmである。
【0044】
したがって、第1の電極22は、全てのアクチュエータ20の圧電体層21に共通して繋がっており、全ての圧電体層21に一定の電圧を印加する共通電極として作用する。
【0045】
図2に示すように、第2の電極23は、夫々電極部分28と配線部29とを備えている。電極部分28は、圧電体層21よりも小径のリング形である。電極部分28は、圧電体層21に同軸状に積層されて、圧電体層21に電気的に接続されている。
【0046】
したがって、圧電体層21は、第1の電極22の電極部分24と第2の電極23の電極部分28との間で挟み込まれている。さらに、ノズル11は、電極部分28の中央部を貫通している。
【0047】
図2ないし図4に示すように、第2の電極23の配線部29は、電極部分28の外周縁から振動板4に沿って引き出されている。配線部29は、電極部分28と一緒に保護層5で覆われている。配線部29は、アクチュエータ20の外に直線状に導かれて、隣り合うノズル列10の間で互いに間隔を存して平行に並んでいる。配線部29の先端は、隣り合うノズル列10の間でインク圧力室14を外れた位置まで延びている。配線部29の幅は、概ね40μmである。
【0048】
そのため、第2の電極23は、圧電体層21に個別に繋がっており、個々の圧電体層21を独立して動作させる個別電極として作用する。
【0049】
図2に示すように、複数の中継電極31が第1の基板12に形成されている。中継電極31は、例えば銅のような導電性に優れた金属材料で構成されている。中継電極31は、例えば直径が100μmの円柱状であり、第1の基板12および振動板4を厚み方向に貫通している。このため、中継電極31は、第2の電極23の配線部29の幅よりも大きな直径を有している。
【0050】
図4に示すように、中継電極31は、隣り合うノズル列10の間に位置されているとともに、ノズル列10が延びる方向に互いに間隔を存して並んでいる。中継電極31の一端は、ノズルプレート2の内部で第2の電極23の配線部29の先端部に接している。
【0051】
そのため、中継電極31は、配線部29を介してアクチュエータ20の第2の電極23に電気的に接続されているとともに、当該アクチュエータ20と隣り合う位置に設けられている。
【0052】
さらに、中継電極31の他端は、通電用の端子部32を構成している。端子部32は、隣り合うノズル列10の間で第1の基板12の表面12aに位置されている。第1の実施形態では、第1の基板12に積層された第2の基板13は、ノズル列10の間に対応する位置にスリット状の開口部33を有している。開口部33は、ノズル列10に沿って延びている。
【0053】
この結果、中継電極31の端子部32は、第2の基板13の開口部33からヘッド本体3の外に露出されている。
【0054】
図2および図4に示すように、フレキシブルプリント配線板35が第2の基板13の開口部33に配置されている。フレキシブルプリント配線板35は、中継電極31の端子部32に対応する複数のパッド36を有している。パッド36は、フレキシブルプリント配線板35に形成された複数の導体パターンに導通されている。フレキシブルプリント配線板35のパッド36は、例えば半田付け等の手段により中継電極31の端子部32に電気的に接続されている。
【0055】
第1の実施形態によると、前記基幹配線25は、例えば振動板4の外周縁部でフレキシブルプリント配線板35に電気的に接続されている。さらに、フレキシブルプリント配線板35は、インクジェットヘッド1を駆動するための駆動回路を搭載している。
【0056】
駆動回路は、各アクチュエータ20の第1の電極22および第2の電極23に駆動電圧を印加する。圧電体層21の分極の方向と同じ向きの電界が第1および第2の電極22,23から圧電体層21に印加されると、アクチュエータ20が電界の向きと直交する方向に伸縮を繰り返そうとする。ここで、電界の向きと直交する方向とは、振動板4の表面4aに沿う方向のことを指している。
【0057】
アクチュエータ20は、振動板4の上に形成されているので、振動板4がアクチュエータ20の伸縮を妨げる働きをする。このため、アクチュエータ20と振動板4との接触部分に応力が発生し、発生した応力は振動板4を厚み方向に撓むように変形させる。
【0058】
この結果、アクチュエータ20が電界の向きと直交する方向に伸縮を繰り返すことで、インク圧力室14に露出された振動板4が厚み方向に振動し、インク圧力室14内のインクの圧力を高める。したがって、インク圧力室14内で加圧されたインクの一部がインク滴となってノズル11から用紙Sに向けて吐出される。
【0059】
次に、前記のような構成を有するインクジェットヘッド1を製造する手順の一例について、図5ないし図19を参照して簡単に説明する。
【0060】
まず、図5に示すように、第1の基板12の基となるシリコン基板製のベース40に振動板4を積層した積層体41を形成する。この際、振動板4にフォトリソグラフィーおよびドライエッチングを施すことで、開口部42を形成する。
【0061】
この後、図6に示すように、振動板4の上に白金又はチタンの薄膜43をスパッタリング法により形成する。
【0062】
引き続いて、図7に示すように、薄膜43にフォトリソグラフィーおよびドライエッチングを施すことで、振動板4の上にリング状の第1の電極22を形成する。
【0063】
この後、図8に示すように、振動板4および第1の電極22の上にPZT製の圧電体膜44をスパッタリング法により形成する。引き続いて、圧電体膜44にフォトリソグラフィーおよびウエットエッチングを施すことで、振動板4の上に第1の電極22を覆う圧電体層21を形成する。(図9を参照)
この後、図10に示すように、振動板4および圧電体層21の上に白金又はチタンの薄膜45をCVD法又はスパッタリング法により形成する。引き続いて、薄膜45にフォトリソグラフィーおよびドライエッチングを施すことで、振動板4および圧電体層21の上にリング状の第2の電極23を形成する。この結果、振動板4の上にアクチュエータ20が形成される。(図11を参照)
この後、図12に示すように振動板4の上に電極保護膜46を形成し、この電極保護膜46でアクチュエータ20を被覆した中間成形物47を形成する。
【0064】
この後、図13に示すように中間成形物47を上下に反転させて、ベース40を上向きとする。この状態で、ベース40にDeep Reactive Ion Etching(シリコン深堀エッチング)を施すことで、ベース40にインク圧力室14を形成する。
【0065】
さらに、ベース40および振動板4にドライエッチングおよびアッシングを施すことで、通孔48を形成する。通孔48は、インク圧力室14に隣り合う位置でベース40および振動板4を厚み方向に貫通するとともに、第2の電極23の配線部29の先端部の上に開口されている。
【0066】
引き続いて、図14に示すように、再び中間成形物47を上下に反転させるとともに、電極保護膜46を除去する。これにより、振動板4およびアクチュエータ20が露出される。
【0067】
この後、図15に示すように、振動板4の上に保護層5となるノズル保護膜49をフォトリソグラフィーにより形成し、このノズル保護膜49でアクチュエータ20を被覆する。さらに、ノズル保護膜49の上に撥液膜6を例えば蒸着等の手段により積層する。この結果、アクチュエータ20を内蔵したノズルプレート2が形成される。
【0068】
この後、図16に示すように、ノズル保護膜49および撥液膜6にドライエッチングおよびアッシングを施すことで、ノズル保護膜49および撥液膜6を貫通する貫通孔50を形成する。貫通孔50は、振動板4の開口部42に同軸状に連通することでノズル11を構成する。
【0069】
引き続いて、図17に示すように、撥液膜6の上にノズル保護膜51を積層し、ノズル保護膜51でノズル11の開口端およびノズル面7を保護する。
【0070】
この後、図18に示すように中間成形物47を再び上下に反転させ、インク圧力室14および通孔48が形成されたベース40を上向きとする。この状態で、通孔48の内部に銅のような導電性材料を充填することで、第1の基板12の厚み方向に沿った中継電極31を形成する。中継電極31の一端は、第2の電極23の配線部29に電気的に接続された状態に保持されるとともに、中継電極31の他端の端子部32が第1の基板12の表面12aに露出される。
【0071】
さらに、予めインク流通室15、インク供給口16および連通口17が形成された第2の基板13を第1の基板12の上に接着する。これにより、第1の基板12と第2の基板13とが一体化されたヘッド本体3が形成される。
【0072】
この後、ノズル保護膜51を撥液膜6から剥離させてノズル面7を露出させるとともに、中間成形物47を予め決められた大きさに裁断する。
【0073】
最後に、第2の基板23の開口部33にフレキシブルプリント配線板35を挿入し、フレキシブルプリント配線板35のパッド36を中継電極31の端子部32に半田付けする。このことにより、一連のインクジェットヘッド1の成形工程が完了する。
【0074】
第1の実施形態によると、個別電極としての第2の電極23から引き出された配線部29は、当該配線部29に対応するアクチュエータ20と隣り合った位置で中継電極31に電気的に接続されている。
【0075】
中継電極31は、振動板4および第1の基板12を厚み方向に貫通するように立体的に配置されているとともに、第1の基板12の上でフレキシブルプリント配線板35に電気的に接続されている。
【0076】
このため、数多くのアクチュエータ20の第2の電極23から引き出された配線部29を、アクチュエータ20を避けるように振動板4の外周縁まで引き回す必要はなく、配線部29の配線長を短くできる。それとともに、数多くの配線部29が振動板4の上で密集することもなくなるので、配線部29の幅を充分に確保できる。
【0077】
加えて、中継電極31は、第1の基板12を厚み方向に貫通することで、インク圧力室14と同一の層に立体的に配置されている。このため、中継電極31を配置する上でのスペース的な制限が緩和され、中継電極31を第1の基板12に配置する上での自由度が増大する。この結果、中継電極31の直径を配線部29の幅よりも大きくすることが可能となり、第2の電極23に電流を供給する経路の配線抵抗を低減することができる。
【0078】
よって、アクチュエータ20に供給される印字信号の高速化を実現できるとともに、配線部29および中継電極31を構成する材料を選択する際の自由度が向上するといった利点がある。
【0079】
第1の実施形態では、10個のノズルによって構成されるノズル列を、用紙の搬送方向と直交するX方向に120列に亘って配置している。しかしながら、ノズル列の数および一つのノズル列が有するノズルの数(行数)は、第1の実施形態に特定されるものではなく、インクジェットヘッドに要求される画像の解像度に応じて適宜変更することができる。
【0080】
[第2の実施形態]
図20および図21は、第2の実施形態を開示している。第2の実施形態は、フレキシブルプリント配線板35を第2の基板13の上に配置した点が第1の実施形態と相違している。これ以外のインクジェットヘッド1の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
図21に示すように、中継電極31は、第1の基板12および第2の基板13を厚み方向に連続して貫通している。そのため、中継電極31は、ヘッド本体3に対し立体的に配置されて、その端子部32が第2の基板13の表面13aに位置されている。
【0082】
フレキシブルプリント配線板35は、例えば第2の基板13と略同じ大きさの矩形状である。そのため、フレキシブルプリント配線板35は、単純に第2の基板13の上に積層されて、そのパッド36が中継電極31の端子部32に半田付けされている。
【0083】
このような第2の実施形態によると、中継電極31は、ヘッド本体3を厚み方向に貫通することで、インク圧力室14およびインク流通室15と同一の層に立体的に配置されている。
【0084】
このため、第2の電極23から引き出された配線部29を、アクチュエータ20を避けるように振動板4の外周縁まで引き回す必要はなく、配線部29の配線長を短くできる。それとともに、数多くの配線部29が振動板4の上で密集することもなくなるので、配線部29の幅を充分に確保できる。
【0085】
よって、配線部29の電気抵抗を低減することができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
さらに、第2の実施形態によると、フレキシブルプリント配線板35は、単に第2の基板13の上に積層すればよい。そのため、第1の実施形態との比較において、フレキシブルプリント配線板35の形状を単純化することができる。
【0087】
言い換えると、第1の実施形態のように、フレキシブルプリント配線板35を第2の基板13に形成したスリット状の開口部33に入り込むような形状に加工する必要はないとともに、導体パターンのレイアウトを決定する上での自由度も高くなる。
【0088】
そのため、フレキシブルプリント配線板35の製造コストを低く抑えることができ、インクジェットヘッド1のコストを低減する上で好都合となる。
【0089】
[第3の実施形態]
図22ないし図24は、第3の実施形態を開示している。第3の実施形態は、共通電極としての第1の電極12に電流を供給するための構成が第1の実施形態と相違している。これ以外のインクジェットヘッド1の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0090】
図22に示すように、個別電極としての第2の電極23から引き出された複数の配線部29は、ノズル列10が延びる方向に沿うように振動板4の外周縁に向けて互いに間隔を存して平行に導かれている。
【0091】
そのため、ノズルプレート2の外周縁に隣接したアクチュエータ20に対応する配線部29の配線長が最も短く、用紙Sの搬送方向に沿うノズルプレート2の中央部に位置されたアクチュエータ20に対応する配線部29の配線長が最も長くなっている。複数の配線部29は、アクチュエータ20の周囲の限られたスペースを通して配線するため、その配線幅が概ね15μmである。
【0092】
図24に示すように、アクチュエータ20の第1の電極22の電極部分24は、ノズル列10毎に配線部60を介して電気的に接続されている。配線部60は、各ノズル列10の隣り合う電極部分24の間を結ぶように振動板4の上に形成されている。
【0093】
さらに、配線部60は、各ノズル列10の一端に位置されたアクチュエータ20の第1の電極22から振動板4の外周縁に向けて延びた延長部61を有している。延長部61の先端は、インク圧力室14を外れた位置に達している。延長部61を含めた配線部60の幅は、概ね40μmである。配線部60は、圧電体層21、第2の電極23の電極部分28および配線部29と一緒に保護層5で覆われている。
【0094】
図23および図24に示すように、中継電極62が各ノズル列10の一端に形成されている。中継電極62は、例えば銅のような導電性に優れた金属材料で構成されている。中継電極62は、例えば直径が100μmの円柱状であり、第1の基板12および振動板4を厚み方向に貫通している。このため、中継電極62は、第1の電極22の配線部60の幅よりも大きな直径を有している。
【0095】
中継電極62は、ノズル列10の配列方向に互いに間隔を存して並んでいる。中継電極62の一端は、ノズルプレート2の内部で配線部60の延長部61の先端部に接している。そのため、中継電極62は、ノズル列10毎に配線部60を介してアクチュエータ20の第1の電極22に電気的に接続されている。
【0096】
さらに、中継電極62の他端は、通電用の端子部63を構成している。端子部63は、第1の基板12の表面12aに位置されている。第3の実施形態では、第1の基板12に積層された第2の基板13は、ノズル列10の間に対応する位置にスリット状の開口部64を有している。開口部64は、ノズル列10に沿って延びているとともに、第2の基板13の外周縁に開口されている。
【0097】
この結果、中継電極62の端子部63は、第2の基板13の開口部64からヘッド本体3の外に露出されている。
【0098】
図23および図24に示すように、フレキシブルプリント配線板65が第2の基板13の開口部64に配置されている。フレキシブルプリント配線板65は、中継電極62の端子部63に対応する複数のパッド66を有している。パッド66は、フレキシブルプリント配線板65に形成された複数の導体パターンに導通されている。フレキシブルプリント配線板65のパッド66は、例えば半田付け等の手段により中継電極62の端子部63に電気的に接続されている。
【0099】
このような第3の実施形態によると、共通電極としての第1の電極22は、電極部分24が配線部60を介して互いに接続されている。配線部60は、ノズル列10の一端から振動板4の外周縁に向けて延びた延長部61を有し、この延長部61が中継電極62に電気的に接続されている。
【0100】
中継電極62は、振動板4および第1の基板12を厚み方向に貫通するように立体的に配置されているとともに、第1の基板12の上でフレキシブルプリント配線板65に電気的に接続されている。
【0101】
このため、第1の電極22を互いに接続する配線部60を、アクチュエータ20を避けるように振動板4に沿って引き回す必要はなく、配線部60の配線を短くできる。
【0102】
しかも、中継電極62は、振動板4および第1の基板12を厚み方向に貫通することで、インク圧力室14と同一の層に立体的に配置されている。このため、中継電極65を配置する上でのスペース的な制限が緩和され、中継電極65を第1の基板12に配置する上での自由度が増大する。
【0103】
この結果、中継電極65の直径を延長部61の幅よりも大きくすることが可能となり、第1の電極22に電流を供給する経路の配線抵抗を低減することができる。
【0104】
[第4の実施形態]
図25および図26は、第4の実施形態を開示している。第4の実施形態は、第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせたものであって、インクジェットヘッド1の基本的な構成は、第1および第3の実施形態と同様である。そのため、第4の実施形態において、第1および第3の実施形態と同一の構成部分については同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0105】
図25に示すように、第1の電極22に接続された中継電極62および第2の電極23に接続された中継電極31は、インク圧力室14の周囲で振動板4および第1の基板12を厚み方向に貫通している。中継電極62の端子部63および中継電極31の端子部32は、第1の基板12の表面12aに位置されている。
【0106】
フレキシブルプリント配線板71が第1の基板12の上に配置されている。フレキシブルプリント配線板71は、ノズル列10毎に中継電極31の端子部32に対応する複数の第1のパッド72と、中継電極62の端子部63に対応する一つの第2のパッド73とを備えている。
【0107】
第1のパッド72は、フレキシブルプリント配線板71に形成された複数の導体パターンに導通されているとともに、半田付け等の手段により中継電極31の端子部32に電気的に接続されている。同様に、第2のパッド73は、フレキシブルプリント配線板71に形成された導体パターンに導通されているとともに、半田付け等の手段により中継電極62の端子部63に電気的に接続されている。
【0108】
このような第3の実施形態によると、第1の電極22に対応する中継電極62および第2の電極23に対応する中継電極31は、振動板4および第1の基板12を厚み方向に貫通するように立体的に配置されているとともに、第1の基板12の上でフレキシブルプリント配線板71に電気的に接続されている。
【0109】
このため、第1の電極22を互いに接続する配線部60の配線長および第2の電極23から引き出された配線部29の配線長を共に短くできる。
【0110】
それとともに、中継電極31,62は、インク圧力室14と同一の層に立体的に配置されている。このため、中継電極31,65を配置する上でのスペース的な制限が緩和され、中継電極31,65を第1の基板12に配置する上での自由度が増大する。この結果、中継電極31,65の直径を配線部29,60よりも大きくすることが可能となり、第1の電極22および第2の電極23に電流を供給する経路の配線抵抗を低減することができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
1…インクジェットヘッド、2…ノズルプレート、3…ヘッド本体、11…ノズル、14…インク圧力室、20…アクチュエータ、21…圧電素子(圧電体層)、22…第1の電極(共通電極)、23…第2の電極(個別電極)、29,60…配線部、31,62…中継電極、32,63…端子部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが形成されたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに積層され、前記ノズルに個々に連通された複数のインク圧力室を有するヘッド本体と、
圧電素子と、前記圧電素子に電気的に接続された第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極および前記第2の電極から引き出された配線部と、を有し、前記第1および第2の電極から前記圧電素子に電圧が印加された時に、前記インク圧力室に供給されたインクを加圧して前記ノズルから吐出させる複数のアクチュエータと、
前記第1の電極の前記配線部および前記第2の電極の前記配線部の少なくともいずれか一方に電気的に接続され、前記ヘッド本体を厚み方向に貫通するとともに、前記ヘッド本体の外に露出された通電用の端子部を有する複数の中継電極と、
を具備したインクジェットヘッド。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記各アクチュエータは、前記各ノズルを取り囲むように前記ノズルプレートに内蔵されたインクジェットヘッド。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記ノズルプレートは、前記アクチュエータが形成された振動板を有し、この振動板の上に前記ヘッド本体が積層されているとともに、前記中継電極は、前記振動板を貫通して前記配線部に電気的に接続されたインクジェットヘッド。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、前記中継電極は、当該中継電極が電気的に接続された前記アクチュエータと隣り合う位置に設けられたインクジェットヘッド。
【請求項5】
請求項1の記載において、前記ヘッド本体は、前記インク圧力室が形成された第1の基板と、前記第1の基板に積層され、前記インク圧力室に連通されたインク流路を有する第2の基板と、を備えたインクジェットヘッド。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記中継電極は、前記第1の基板を厚み方向に貫通するとともに、前記中継電極の前記端子部が前記第1の基板の表面から前記ヘッド本体の外に露出されたインクジェットヘッド。
【請求項7】
請求項5の記載において、前記中継電極は、前記第1の基板および前記第2の基板を厚み方向に連続して貫通するとともに、前記中継電極の前記端子部が前記第2の基板の表面から前記ヘッド本体の外に露出されたインクジェットヘッド。
【請求項8】
請求項1の記載において、前記中継電極の端子部に電気的に接続された配線板をさらに備えたインクジェットヘッド。
【請求項9】
複数のノズルが形成されたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに積層され、前記ノズルに個々に連通された複数のインク圧力室を有するヘッド本体と、
圧電素子と、前記圧電素子に電気的に接続された共通電極と、前記圧電素子に電気的に接続された個別電極と、を有し、前記共通電極および前記個別電極から前記圧電素子に電圧が印加された時に、前記インク圧力室に供給されたインクを加圧して前記ノズルから吐出させる複数のアクチュエータと、
前記アクチュエータの前記個別電極から引き出された配線部に電気的に接続され、前記ヘッド本体を厚み方向に貫通するとともに、前記ヘッド本体の外に露出された通電用の端子部を有する複数の中継電極と、
を具備したインクジェットヘッド。
【請求項10】
請求項9の記載において、前記中継電極は、当該中継電極が電気的に接続された前記個別電極を有する前記アクチュエータと隣り合う位置に設けられたインクジェットヘッド。
【請求項11】
請求項9の記載において、前記中継電極の前記端子部に電気的に接続された配線板をさらに備えており、前記配線板は、前記ヘッド本体の上に配置されたインクジェットヘッド。
【請求項12】
請求項9の記載において、前記各アクチュエータは、前記各ノズルを取り囲むように前記ノズルプレートに内蔵されたインクジェットヘッド。
【請求項13】
複数のノズルが形成されたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに積層され、前記ノズルに個々に連通された複数のインク圧力室を有するヘッド本体と、
圧電素子と、前記圧電素子に電気的に接続された共通電極と、前記圧電素子に電気的に接続された個別電極と、を有し、前記共通電極および前記個別電極から前記圧電素子に電圧が印加された時に、前記インク圧力室に供給されたインクを加圧して前記ノズルから吐出させる複数のアクチュエータと、
前記アクチュエータの前記共通電極の間を接続する配線部に電気的に接続され、前記ヘッド本体を厚み方向に貫通するとともに、前記ヘッド本体の外に露出された通電用の端子部を有する複数の中継電極と、
を具備したインクジェットヘッド。
【請求項14】
請求項13の記載において、前記各アクチュエータは、前記各ノズルを取り囲むように前記ノズルプレートに内蔵されたインクジェットヘッド。
【請求項15】
請求項13の記載において、前記中継電極の前記端子部に電気的に接続された配線板をさらに備えており、前記配線板は、前記ヘッド本体の上に配置されたインクジェットヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−59915(P2013−59915A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199923(P2011−199923)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】