説明

インクジェット印刷のコンピュータ・トゥ・プレート用金属基板の製造方法

金属基板をアノード酸化又は非アノード酸化(例えば、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング)によって処理し、次いで親水性ポリマー塗料を金属基板の表面上に塗布することを含む、インクジェットCTP用金属基板の作成方法。親水性ポリマー塗料中にナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子が存在するために、金属基板は高い比表面エネルギーを有し、一方、金属基板はある程度の粗度を有し、従って金属基板はインク吸収性及び良好な研磨材耐性を有する。金属基板はインク滴の拡散を減少させることができ、より良好な解像度及び鮮明度を有する印刷画像を作成する。非アノード酸化法は、アノード酸化法の酸廃棄物及びアルカリ廃棄物によって起こる環境汚染を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷版の分野に関し、インクジェット・コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)用の金属基板の作成方法、特に、アノード酸化処理された若しくはされていない金属基板上に親水性ポリマー塗料を塗布することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットCTP技術は、インクジェット印刷装置を用いて金属基板又はポリマー基板上に直接画像をスプレーする技術である。製版用金属基板は、亜鉛板、銅板、又はアルミニウム板であってもよい。金属基板の耐久性及び解像度を改善するために、通常、金属基板をその表面上をある程度の粗さまで粗面化する(中国特許出願公開第CN85100875を参照)。現在のところ、粗面化法は、アノード酸化を利用する方法とアノード酸化を利用しない方法とに分類することができる。アノード酸化プロセスは成熟し、広く利用されている。通常、アノード酸化処理後の金属基板表面の粗度パラメータRaは、Ra=0.6〜0.9μmである(Raは高さパラメータ、すなわちプロファイルの算術平均偏差である)。しかし、大量の酸又はアルカリ廃液によって起こり得る重大な環境汚染や、完成板の全体的な製造コストの増大を回避するために、アノード酸化を使用しない方法を用いて金属基板を処理することもできる。
【0003】
本発明の主な目的は、アノード酸化によって若しくはアノード酸化を利用しない方法によって金属基板を粗面化し、次いで親水性ポリマー塗料を金属基板の表面上に塗布するか、又は金属基板の表面上に親水性ポリマー塗料を直接塗布することによって、適切な粗度並びに高い吸収性及び耐久性を有し、インクジェットCTPに使用できる金属基板を作成することである。本発明において、金属基板塗料の原料は安価であり、金属基板の作成方法は簡単である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第CN85100875
【特許文献2】中国特許出願第CN200510132249.9
【特許文献3】中国特許出願第CN200410000322.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、インクジェットCTP用金属基板の作成方法を提供することである。
【0006】
本発明の第2の目的は、アノード酸化によって若しくはアノード酸化を使用しない方法によって金属基板を粗面化し、次いで金属基板の表面上に親水性ポリマー塗料を塗布することによって、インクジェットCTP用金属基板を作成する方法を提供することである。
【0007】
本発明の第3の目的は、インクジェットCTP用金属基板用親水性ポリマー塗料を提供することである。
【0008】
本発明の第4の目的は、インクジェットCTP用金属基板用親水性ポリマー塗料を調製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来のアノード酸化法又はアノード酸化を利用しない方法、例えばサンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングを用いて金属基板を処理するプロセスを含む。
【0010】
本発明において提供されるインクジェットCTP用金属基板を作成する方法は:
アノード酸化によってインクジェットCTP用金属基板を処理し、親水性ポリマー及びナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子を含む親水性ポリマー塗料をアノード酸化された金属基板の表面上に均一に塗布し、乾燥して、インクジェットCTP用金属基板を得るか、又は
アノード酸化されていないインクジェットCTP用金属基板をサンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングによって直接処理し、親水性ポリマー及びナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子を含む親水性ポリマー塗料を、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングによって処理された金属基板の表面上に均一に塗布し、次いで乾燥して、インクジェットCTP用金属基板を得るか、又は
親水性ポリマー及びナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子を含む親水性ポリマー塗料をアノード酸化されていないインクジェットCTP用金属基板上に均一に(例えば、スピンコーティングによって)直接塗布し、次いで乾燥して、インクジェットCTP用金属基板を得ることを含む。
【0011】
インクジェットCTP用金属基板上の親水性ポリマー塗料のコーティング量は1〜2.5g/mである。
【0012】
表面上を親水性ポリマー塗料で均一にコーティングされた金属基板と速乾性製版インクとの間の接触角は、2〜75度の範囲内、好ましくは20〜40度の範囲内である。
【0013】
本発明は、インク吸収を促進するために適切な粗度を得るために、親水性ポリマーの接着特性を利用してナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子を金属基板の表面上に接着するため、アノード酸化されていない金属基板がサンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングなどで処理されていない場合でも満足できる金属基板を得ることができる。しかし、コーティングされたフィルムと金属基板との間の接着強度は、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングによって金属基板を処理することによって著しく増大させることができ、これによって耐久性を改善することができるので、親水性ポリマー塗料を塗布する前に、アノード酸化されていないインクジェットCTP用金属基板をサンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングによって直接処理することが好ましい。
【0014】
親水性ポリマー塗料は、従来のアノード酸化技術で処理することによって得られるある程度の粗度を有する金属基板の表面(通常、アノード酸化によって処理された金属基板の表面粗度パラメータRaはRa=0.6〜0.9μmである)又はサンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング、アセトン及び水での洗浄並びに乾燥によって得られるある程度の粗度を有するアノード酸化されていない金属基板の表面上にスピンコーティングによって均一に塗布することができ、この場合、乾燥温度は100〜200℃であり、乾燥期間は0.5〜12時間である。
【0015】
サンドペーパーバニッシング処理は、20〜200μmの粒子サイズを有するサンドペーパーを用いて横方向及び縦方向に金属基板の表面を均一に研磨することである(0.5〜2.5KPaのバニッシング圧下)。
【0016】
サンドブラスティング処理は、ドライサンドブラスター又はリキッドサンドブラスターを用いることによって、10〜220μmの粒子サイズを有する石英砂又はアルミナ粒子を金属基板の表面上に噴射することであり、この場合、噴射速度及び噴射量は、あらかじめ設定されたRa値に従って調節することができる。
【0017】
ポリッシング処理は、ポリッシングホイールを用いて横方向及び縦方向に均一に金属基板の表面を研磨することであり、この場合、10〜100μmの粒子サイズを有する酸化クロム粉末のエマルジョンを、ポリッシングホイールと金属基板の表面との間のポリッシング媒体として用い、ポリッシングホイールの回転速度は20〜30m/sである。
【0018】
酸化クロム粉末のエマルジョンは、酸化クロム粉末を2〜25質量%の濃度で含む(酸化クロム粉末及びエマルジョンの合計質量を基準とした場合)。
【0019】
エマルジョンは、油(例えば、鉱油)及び界面活性剤から調製され、この場合、油の含有量は5〜25重量%である(エマルジョンの合計重量を基準とした場合)。油は、動物油(例えば、豚脂、牛脂、鶏脂、及び羊脂のうちの少なくとも1つ)、植物油(例えば、ヒマワリ種子油、菜種油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、大豆油、マツ油、ヤシ油、ヒマシ油、及びオリーブ油のうちの少なくとも1つ)、脂肪酸、脂肪酸せっけん、及び脂肪族アルコールから選択される少なくとも1つであり、界面活性剤は、石油スルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムせっけん、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、及びアルケニルコハク酸から選択される少なくとも1つである。
【0020】
ブラッシング処理は、ナイロンブラシを用いて横方向及び縦方向で均一に金属基板の表面をウェットブラッシングすることであり、この場合、水及び20〜50μmの粒子サイズを有するアルミナ砂、20〜50μmの粒子サイズを有する軽石粉、又は20〜50μmの粒子サイズを有するケイ酸アルミニウム砂から調製された研磨材を、ナイロンブラシと金属基板の表面との間の媒体として使用し、ナイロンブラシを直径0.2〜0.5mm、長さ30〜60mmのナイロンワイヤから製造する。
【0021】
サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングで処理された金属基板の表面の粗度パラメータRaは、Ra=0.6〜3μmであり、ここでパラメータRaは高さパラメータ、すなわちプロファイルの算術平均偏差である。Ra値は、次式に従い、図6を参照して計算され、Ra=0.6〜3μmである。
【0022】
【数1】

【0023】
親水性ポリマー塗料を、アノード酸化されたか若しくはアノード酸化されていない金属基板の表面上に均一に塗布し、ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子を塗料中の親水性高分子ポリマーの接着特性によって金属基板の表面上に接着させて、適切な粗度を得て、インク吸収を促進する。
【0024】
インクジェットCTP用金属基板に使用される親水性ポリマー塗料の成分及び含有量は次のとおりである(塗料の合計重量を基準とした場合):
親水性高分子ポリマー 0.95〜15重量%
ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子 0.05〜15重量%
添加剤 0〜1重量%
溶媒 残余
親水性ポリマー塗料は、親水性高分子ポリマー、ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子、添加剤、及び溶媒を混合し、室温でのボールミル粉砕又は超音波分散によって分散させることによって調製し、この場合、塗料は0.95〜15重量%の親水性高分子ポリマー、0.05〜15重量%のナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子、0〜1重量%の添加剤、及び溶媒(残余含有量)を含む。
【0025】
親水性高分子ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ゼラチン、ポリアクリルアミド樹脂、及びポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1つであるか、又は水溶性フェノール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリル樹脂エステル、ポリメタクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアセタール、セルロースポリマー、アクリル酸とアクリレートとのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリレートとのコポリマーから選択される少なくとも1つであってもよい。
【0026】
ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子は10〜3,000nmの粒子サイズを有し、シリカ、アルミナ、及びチタニアのうちの1つであってもよく、好ましくはシリカである。
【0027】
溶媒は、水又は水と低級アルコールとの混合物であるか(ここで、混合物中の低級アルコールの濃度は1〜10重量%である)、又は溶媒は、アセトン、ブタノン、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つであってもよい。
【0028】
低級アルコールは、メタノール、無水エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブチルアルコール、及び2−メチル−2−プロピルアルコールのうちの1つであってもよい。
【0029】
添加剤は、カチオン性固定剤、消泡剤、及び酸化防止剤のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0030】
水性インクを印刷に用いる場合、カチオン性固定剤を塗料中に添加してもよい。カチオン性固定剤は、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、及びポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0031】
消泡剤は、オルガノシロキサン又はポリエーテルであってもよい。
【0032】
酸化防止剤は多価アルコールエステルであってもよい。
【0033】
金属基板は、亜鉛板、銅板、又はアルミニウム板であってもよく、好ましくはアルミニウム板である。
【0034】
速乾性製版インクの成分及び調製方法は様々なものであってもよく、例えば、中国特許出願第CN200510132249.9で記載されているように、速乾性製版インクは、1〜10重量%のナノメートル顔料粒子、1〜15重量%の親油性樹脂、10〜40重量%の速乾性溶媒、1〜8重量%の保湿剤、及び50〜85重量%の主溶媒を含む。
【0035】
中国特許出願第CN200510132249.9に記載される調製法を用いて、速乾性製版インクが0.01〜5重量%のナノメートル顔料粒子、4〜45重量%の親油性樹脂、10〜40重量%の速乾性溶媒、0.1〜5重量%の保湿剤、及び40〜85重量%の主溶媒を含むように、速乾性製版インクの成分及び含有量をさらに調製することができる。
【0036】
速乾性製版インク中のナノメートル顔料粒子は、20〜200nm、好ましくは50〜100nmの粒子サイズを有し得る。ナノメートル顔料粒子は、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって調製することができる(中国特許出願第CN200410000322.2(標題:インクジェット印刷に用いられるインク用のナノサイズ無機顔料カラーペースト)に記載される方法を参照)。ナノメートル顔料の色合いは限定されず、青色ナノメートル顔料、黒色ナノメートル顔料、赤色ナノメートル顔料、黄色ナノメートル顔料、及び緑色ナノメートル顔料のいずれであってもよい。
【0037】
特に、青色ナノメートル顔料では、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又はウルトラマリンブルー、コバルトブルー、若しくはブリリアントブルーなどの無機顔料が好適であり、黒色ナノメートル顔料では、スートカーボンが好適であり、赤色ナノメートル顔料では、オーガニックレッドなどの有機顔料又は酸化鉄赤などの無機顔料が好適であり、黄色ナノメートル顔料では、オーガニックイエローなどの有機顔料又は酸化鉄黄若しくはチタン黄などの無機顔料が好適であり、緑色ナノメートル顔料では、フタロシアニングリーンなどの有機顔料が好適である。
【0038】
さらに好ましくは、C.I.フタロシアニンブルー15:4、有機フタロシアニンブルーが用いられ、さらに好ましくは、C.I.スートカーボン6が用いられ、さらに好ましくは、C.I.ピグメントレッド122が用いられ、さらに好ましくは、C.I.ピグメントイエロー138、オーガニックイエローが用いられ、さらに好ましくは、C.I.フタロシアニングリーンG、有機フタロシアニングリーンが用いられる。
【0039】
速乾性製版インク中に添加されるナノメートル顔料は、このナノメートル顔料が粒子サイズの要件を満たし、系中で均一に分散され得る限り、任意のナノメートル顔料であってもよく、前述のナノメートル顔料に限定されるものではない。
【0040】
速乾性製版インク中の親油性樹脂は、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、親油性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、及びグリセロールフタル酸樹脂のうちの1つであってもよい。
【0041】
速乾性製版インク中の速乾性溶媒は、無水エチルアルコール、ジエチルエーテル、及びエチレングリコールのうちの1つであってもよい。
【0042】
速乾性製版インク中の保湿剤は、グリセロール、プロピレングリコール、又はソルビトールであってもよい。
【0043】
速乾性製版インク中の主溶媒は、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであってもよい。
【0044】
本発明で開示するインクジェットCTP用金属基板を作成する方法は:金属基板を、従来のアノード酸化法又はサンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、若しくはブラッシングなどのアノード酸化を利用しない方法で処理し、次いで親水性ポリマー塗料を処理された金属基板の表面上に塗布することを含む。親水性ポリマー塗料中にナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子が存在することで、金属基板は高い比表面エネルギー及び適切な粗度、並びに高い吸収性及び耐久性を有する。非アノード酸化法を導入することによって、アノード酸化プロセスで排出される酸又はアルカリ廃棄物により起こる環境汚染を回避することができる。本発明において提供される方法を用いて得られる金属基板をインクジェットCTP用金属基板として用いることができ、インクジェットCTP機械を用いて直接印刷することができ、従って、処理後の処置は省略され、加えて、金属基板は、インク滴の拡散を軽減することができ、従って印刷された画像はより高い解像度と鮮明さとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1において、バニッシングにより処理され、塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面のSEM写真(倍率1,500倍)を示す図である。
【図2】本発明の実施例1において、バニッシングにより処理され、塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面のSEM写真(倍率8,000倍)を示す図である。
【図3】本発明の実施例4において、サンドブラスティングにより処理され、塗料でコーティングされた亜鉛基板の表面のSEM写真(倍率20,000倍)を示す図である。
【図4】本発明の実施例10におけるインクジェット・プリンティング・ラインのSEM写真(倍率150倍)を示す図である。
【図5】本発明の実施例11におけるインクジェット・プリンティング・ラインのSEM写真(倍率35倍)を示す図である。
【図6】表面粗度Ra(高さパラメータ、プロファイルの算術平均偏差)の概略図であり、図中、Ra=プロファイルの算術平均偏差、n=プロファイル数、y=プロファイルの平均半値幅、L=試料の長さである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0046】
親水性ポリマー塗料の調製:0.975gのゼラチン及び0.025gのシリカ(粒子サイズ2〜3μm)を秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、49gの蒸留水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜10時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0047】
アルミニウム基板の表面を0.5Kpaの圧力下で20μmの粒子サイズを有するサンドペーパー(製造業者:Beijing Dongxin Abrasive Tools Co.,Ltd.)を用いて均一に研磨して、表1に示す表面粗度Raを得る。
【0048】
研磨されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を100〜200℃で0.5〜12時間乾燥する。スピンコーターを用いてスピンコーティングすることによって、研磨されたアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって、親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。アルミニウム基板を約1時間200℃で乾燥し、研磨され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角、及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表1及び表4に示す。研磨されコーティングされたアルミニウム基板の表面のSEM写真を図1(倍率:1,500倍、スケール:10μm/cm)及び図2(倍率:8,000倍、スケール:2μm/cm)に示す。
【0049】
速乾性製版インクは、0.01gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、4.09gのポリエステル樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.9gのグリセロール、及び85gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例2】
【0050】
親水性ポリマー塗料の調製:0.5gのポリビニルアルコール(重合度:2,500、アルコール分解度:88%)、0.5gのポリビニルピロリドン、3.75gのシリカ(粒子サイズ:10〜20nm)を秤量し、これらを50m1の三角フラスコに入れ、15.25gの蒸留水及び5gの無水エチルアルコールを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜8時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0051】
アルミニウム基板の表面を2.5Kpa圧下で200μmの粒子サイズを有するサンドペーパー片(製造業者:Beijing Dongxin Abrasive Tools Co.,Ltd.)を用いて均一に研磨して、表1に示す表面粗度Raを得る。
【0052】
研磨されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。親水性ポリマー塗料を、研磨されたアルミニウム基板上にスピンコーターを用いたスピンコーティングによって均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2.5g/mに制御する。アルミニウム基板を約0.5時間200℃で乾燥し、研磨され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表1及び表4に示す。
【0053】
速乾性製版インクは、5gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.ピグメントイエロー138、45gのポリエステル樹脂、10gの無水エチルアルコール、1gのプロピレングリコール、及び39gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例3】
【0054】
親水性ポリマー塗料の調製:2.5gのゼラチン、1.25gのポリアクリルアミド、及び1.25gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、18gの蒸留水及び2gのメタノールを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜10時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0055】
亜鉛基板の表面を2.5Kpaの圧力下、100μmの粒子サイズを有するサンドペーパー片(製造業者:Belting Dongxin Abrasive Tools Co.,Ltd.)を用いて均一に研磨して、表1に示す表面粗度Raを得る。
【0056】
研磨された亜鉛基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。親水性ポリマー塗料を、スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、研磨された亜鉛基板上に均一に塗布し、親水性ポリマー塗料のコーティング量を、スピンコーターの速度を制御することによって1g/mに制御する。亜鉛基板を約2時間110℃で乾燥し、研磨され親水性ポリマー塗料でコーティングされた亜鉛基板の表面と、速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料と亜鉛基板の表面との間の結合力を測定し、表1及び表4に示す。
【0057】
速乾性製版インクは、20〜200nmの粒子サイズを有する有機フタロシアニンブルー中の0.1gのC.I.フタロシアニンブルー15:4、4gのフェノール樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.9gのグリセロール、及び85gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例4】
【0058】
親水性ポリマー塗料の調製:2.5gのポリエチレングリコール、5gのセルロースアセテート、及び0.25gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)、及び0.25gのポリエチレンイミンを秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、42gのアセトンを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜5時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0059】
10μmの粒子サイズを有する精製石英砂を研磨材として選択し、研磨材を水中に浸漬し、リキッドブラスターを用いて亜鉛基板上でリキッドブラスティングを実施して、表1に示す表面粗度Raを得る。
【0060】
サンドブラスティングで処理した亜鉛基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥(100〜200℃の乾燥温度で0.5〜12時間)する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、処理された亜鉛基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。亜鉛基板を約3時間120℃で乾燥し、サンドブラスティングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされた亜鉛基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料と亜鉛基板の表面との間の結合力を測定し、表1及び表4に示す。サンドブラスティングによって処理され塗料でコーティングされた亜鉛基板の表面のSEM写真を図3に示す(倍率:20,000倍、スケール:0.5μm/cm)。
【0061】
速乾性製版インクは、0.01gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.フタロシアニンブルー15:4、45gのフェノール樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.99gのグリセロール、及び44gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例5】
【0062】
親水性ポリマー塗料の調製:0.475gのポリビニルブチラール(アセタール化度<50%)、0.275gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)、及び0.25gの多価アルコールエステルを秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、49gのブタノンを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって1〜3時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0063】
120μmの粒子サイズを有するアルミナを研磨材として選択し、研磨材を水中に浸漬し、アルミニウム基板上でリキッドブラスターを用いてリキッドブラスティングを実施して、表1に示す表面粗度Raを得る。
【0064】
サンドブラスティングによって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。処理されたアルミニウム基板上にスピンコーターを用いたスピンコーティングによって親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。アルミニウム基板を約12時間100℃で乾燥し、サンドブラスティングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表1及び表4に示す。
【0065】
速乾性製版インクは、0.2gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.フタロシアニンブルー15:4、19.7gのポリエステル樹脂、40gの無水エチルアルコール、0.1gのグリセロール、及び40gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例6】
【0066】
親水性ポリマー塗料の調製:5.225gのフェノール樹脂(スルホン化)及び0.025gのアルミナ(10〜20nmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、40gのエチレングリコールモノメチルエーテル及び4.75gの1−プロピルアルコールを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜4時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0067】
220μmの粒子サイズを有するアルミナを研磨材として選択し、研磨材を水中に浸漬し、リキッドブラスターを用いたリキッドブラスティングをアルミニウム基板上で実施して、表1に示す表面粗度Raを得る。
【0068】
サンドブラスティングによって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。処理されたアルミニウム基板上にスピンコーターを用いたスピンコーティングによって親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって、親水性ポリマー塗料のコーティング量を1.5g/mに制御する。アルミニウム基板を8〜9時間120〜150℃で乾燥し、サンドブラスティングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表1及び表4に示す。
【0069】
速乾性製版インクは、0.06gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.フタロシアニンブルー15:4、4gのポリエステル樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.94gのグリセロール、及び85gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例7】
【0070】
親水性ポリマー塗料の調製:5.225gのアクリル酸とブチルアクリレートとのコポリマー、2.5gのポリメタクリル樹脂、0.025gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)、及び0.5gのオルガノシロキサンを秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、41.75gの水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜5時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0071】
20〜30m/sの速度で動作するポリッシングホイールを用いることにより、10μmの粒子サイズを有する酸化クロム粉末の25重量%エマルジョンをポリッシングホイールと銅基板の表面との間のポリッシング媒体として用いて、銅基板の表面を横方向及び縦方向に均一に研磨し、この場合、エマルジョンは5重量%の大豆油及びポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテルから調製する。ポリッシング後の銅基板の表面粗度Raを表1に示す。
【0072】
ポリッシングによって処理された銅基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を100〜200℃で0.5〜12時間乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、処理された銅基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。銅基板を11〜12時間100℃で乾燥し、ポリッシングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされた銅基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料と銅基板の表面との間の結合力を測定して、表1及び表4に示す。
【0073】
速乾性製版インクは、5gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、40gのポリエステル樹脂、14gの無水エチルアルコール、1gのグリセロール、及び40gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例8】
【0074】
親水性ポリマー塗料の調製:5gのポリアクリル樹脂、2.5gのメタクリル酸とエチルメタクリレートとのコポリマー、及び7.5gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、35gの水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜5時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0075】
20〜30m/sの速度で動作するポリッシングホイールを用いることにより、50μmの粒子サイズを有する酸化クロム粉末の2重量%エマルジョンをポリッシングホイールとアルミニウム基板の表面との間のポリッシング媒体として用いて、アルミニウム基板の表面を横方向及び縦方向に均一に研磨し、この場合、エマルジョンは25重量%の豚脂及びオレイン酸ナトリウムせっけんから調製する。ポリッシング後のアルミニウム基板の表面粗度Raを表2に示す。
【0076】
ポリッシングによって処理したアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。処理されたアルミニウム基板上にスピンコーターを用いたスピンコーティングによって親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1.5g/mに制御する。アルミニウム基板を0.5時間200℃で乾燥し、ポリッシングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表2及び表4に示す。
【0077】
速乾性製版インクは、3gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、10gの親油性シリコーン樹脂、10gの無水エチルアルコール、2gのグリセロール、及び75gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例9】
【0078】
親水性ポリマー塗料の調製:1.25gのポリビニルアルコール(重合度:1,700、アルコール分解度:99%)及び3.75gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、20gの蒸留水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜8時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0079】
20〜30m/sの速度で動作するポリッシングホイールを用い、100μmの粒子サイズを有する酸化クロム粉末の10重量%のエマルジョンをポリッシングホイールとアルミニウム基板の表面との間のポリッシング媒体として用いて、アルミニウム基板の表面を横方向及び縦方向に均一に研磨し、この場合、エマルジョンは15重量%のヒマワリ種子油及び石油スルホネートから調製する。ポリッシング後のアルミニウム基板の表面粗度Raを表2に示す。
【0080】
ポリッシングによって処理したアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、処理されたアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2.5g/mに制御する。アルミニウム基板を約3時間100℃で乾燥し、ポリッシングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表2及び表4に示す。
【0081】
速乾性製版インクは、0.2gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、18gの親油性シリコーン樹脂、40gの無水エチルアルコール、1.8gのグリセロール、及び40gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例10】
【0082】
親水性ポリマー塗料の調製:0.975gのゼラチン及び0.025gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、49gの蒸留水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜10時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0083】
直径0.2mm、長さ60mmのナイロンワイヤで作られたナイロンブラシを用いることにより、水及び20μmの粒子サイズを有するアルミナ研磨材をナイロンブラシとアルミニウム基板との間のブラッシング媒体として用いて、アルミニウム基板の表面を横方向及び縦方向に均一にブラッシングして、表2に示す表面粗度Raを得る。
【0084】
ブラッシングによって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を100〜200℃で0.5〜12時間乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、ブラッシングされたアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。アルミニウム基板を約1時間200℃で乾燥し、ブラッシングされ親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表2及び表4に示す。ブラッシングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板上に速乾性製版インクで印刷する。インクジェット・プリンティング・ラインのSEM写真を図4に示す(倍率:150倍、スケール:100μm/cm)。
【0085】
速乾性製版インクは、0.01gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、45gの親油性シリコーン樹脂、10gの無水エチルアルコール、5gのグリセロール、及び39.99gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例11】
【0086】
親水性ポリマー塗料の調製:0.5gのポリビニルアルコール(重合度:2,500、アルコール分解度:88%)、0.5gのポリビニルピロリドン、3.75gのシリカ(粒子サイズ:10〜20nm)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、15.25gの蒸留水及び5gの無水エチルアルコールを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜8時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0087】
直径0.5mm、長さ30mmのナイロンワイヤで作られたナイロンブラシを用いることにより、水及び50μmの粒子サイズを有するアルミナ研磨材をナイロンブラシとアルミニウム基板との間のブラッシング媒体として用いて、アルミニウム基板の表面を横方向及び縦方向に均一にブラッシングして、表2に示す表面粗度Raを得る。
【0088】
ブラッシングによって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、ブラッシングされたアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2.5g/mに制御する。アルミニウム基板を0.5時間200℃で乾燥し、ブラッシングされ親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表2及び表4に示す。ブラッシングによって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板上に速乾性製版インクで印刷する。インクジェット・プリンティング・ラインのSEM写真を図5に示す(倍率:35倍、スケール:200μm/cm)。
【0089】
速乾性製版インクは、5gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、40gのフェノール樹脂、10gの無水エチルアルコール、5gのグリセロール、及び40gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例12】
【0090】
親水性ポリマー塗料の調製:0.5gのポリビニルアルコール(重合度:2,500、アルコール分解度:88%)、0.5gのポリビニルピロリドン、3.75gのシリカ(粒子サイズ:10〜20nm)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、15.25gの蒸留水及び5gの無水エチルアルコールを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜8時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0091】
直径0.3mm、長さ45mmのナイロンワイヤで作られたナイロンブラシを用いることにより、水及び40μmの粒子サイズを有するアルミナ研磨材をナイロンブラシとアルミニウム基板との間のブラッシング媒体として用いて、アルミニウム基板の表面を横方向及び縦方向に均一にブラッシングして、表2に示す表面粗度Raを得る。
【0092】
ブラッシングによって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、ブラッシングされたアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2.5g/mに制御する。アルミニウム基板を約0.5時間200℃で乾燥し、ブラッシングにより処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表2及び表4に示す。
【0093】
速乾性製版インクは、2gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.フタロシアニングリーンG、10gのフェノール樹脂、20gのポリエステル樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.1gのグリセロール、及び57.9gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例13】
【0094】
親水性ポリマー塗料の調製:0.975gのゼラチン及び0.025gのチタニア(2〜3μmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、49gの蒸留水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜10時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0095】
表2に示す表面粗度Raを有し、既存の技術によって得られるアノード酸化されたアルミニウム基板を選択する。
【0096】
アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いでこれらを100〜200℃で0.5〜12時間乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、アノード酸化されたアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。アルミニウム基板を約1時間200℃で乾燥し、アノード酸化によって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表2及び表4に示す。
【0097】
速乾性製版インクは、0.01gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、10.09gのフェノール樹脂、40gの親油性シリコーン樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.1gのグリセロール、19.8gのエチレングリコールモノエチルエーテル、及び20gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例14】
【0098】
親水性ポリマー塗料の調製:1gのポリビニルアルコール(重合度:2,500、アルコール分解度:88%)及び0.25gのチタニア(10〜20nmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、18.75gの蒸留水及び5gの無水エチルアルコールを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜8時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0099】
表2に示す表面粗度Raを有し、既存の技術によって得られるアノード酸化されたアルミニウム基板を選択する。
【0100】
アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、アノード酸化されたアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2.5g/mに制御する。アルミニウム基板を0.5時間200℃で乾燥し、アノード酸化によって処理され親水性ポリマー塗料でコーティングされたアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び親水性ポリマー塗料とアルミニウム基板の表面との間の結合力を測定し、表2及び表4に示す。
【0101】
速乾性製版インクは、0.01gの20〜200nmの粒子サイズを有するナノメートル顔料(スートカーボン6)、5gのポリエステル樹脂、40gの親油性シリコーン樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.1gのグリセロール、0.8gのプロピレングリコール、及び44gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例15】
【0102】
親水性ポリマー塗料の調製:1.25gのポリビニルアルコール(重合度:1,700、アルコール分解度:99%)及び3.75gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、20gの蒸留水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散することによって6〜8時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0103】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング等によって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによってアルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。アルミニウム基板を3時間100℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0104】
速乾性製版インクは、0.01gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.ピグメントレッド122、4gのエポキシ樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.99gのグリセロール、及び85gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例16】
【0105】
親水性ポリマー塗料の調製:1gのポリビニルアルコール(重合度:2,500、アルコール分解度:88%)、0.5gのポリビニルピロリドン、及び0.25gのシリカ(10〜20nmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、18.25gの蒸留水及び5gの無水エチルアルコールを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜8時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0106】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング等によって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、親水性ポリマー塗料をアルミニウム基板上に均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2.5g/mに制御する。アルミニウム基板を0.5時間200℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0107】
速乾性製版インクは、5gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.フタロシアニンブルー15:4、40gのエポキシ樹脂、10gの無水エチルアルコール、5gのグリセロール、及び40gのプロピレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例17】
【0108】
親水性ポリマー塗料の調製:2.5gのゼラチン、1.25gのポリアクリルアミド、及び1.25gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)を秤量し、これらを50mlの三角フラスコ中に入れ、20gの蒸留水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって6〜10時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0109】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングなどによって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、アルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2g/mに制御する。アルミニウム基板を約3時間110℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0110】
速乾性製版インクは、2gの20〜200nmの粒子サイズを有する無機酸化鉄赤、30gの尿素ホルムアルデヒド樹脂、40gの無水エチルアルコール、3gのグリセロール、及び25gのエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを含む。
【実施例18】
【0111】
親水性ポリマー塗料の調製:7.5gのポリビニルブチラール(アセタール化度<50%)、0.25gのシリカ(2〜3μmの粒子サイズを有する)、及び0.25gの多価アルコールエステルを秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、42gのアセトンを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって1〜3時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0112】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング等によって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、親水性ポリマー塗料をアルミニウム基板上に均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1.5g/mに制御する。アルミニウム基板を3時間100℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0113】
速乾性製版インクは、0.03gの20〜200nmの粒子サイズを有する有機フタロシアニングリーン、45gの親油性シリコーン樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.27gのグリセロール、及び44.7gのエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを含む。
【実施例19】
【0114】
親水性ポリマー塗料の調製:5gのフェノール樹脂及び0.25gの10〜20nmの粒子サイズを有するアルミナを秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、44.75gのエチレングリコールモノメチルエーテルを添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜4時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0115】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング等によって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、親水性ポリマー塗料をアルミニウム基板上に均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を2g/mに制御する。アルミニウム基板を8〜9時間120〜150℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0116】
速乾性製版インクは、1gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.ピグメント・スート・カーボン6、20gのフェノール樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.2gのグリセロール、及び68.8gのエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。
【実施例20】
【0117】
親水性ポリマー塗料の調製:2.5gのポリエチレングリコール、5gのヒドロキシプロピルセルロース、0.25gの2〜3μmの粒子サイズを有するシリカ、及び0.25gのポリエチレンイミンを秤量し、100mlの三角フラスコ中にこれらを入れ、42gの蒸留水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜5時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0118】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシングサンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング等によって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、親水性ポリマー塗料をアルミニウム基板上に均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1.2g/mに制御する。アルミニウム基板を約3時間120℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0119】
速乾性製版インクは、0.05gの20〜200nmの粒子サイズを有するC.I.ピグメントイエロー138、10gのポリエステル樹脂、20gの無水エチルアルコール、0.25gのグリセロール、及び69.7gのプロピレングリコールモノメチルエーテルを含む。
【実施例21】
【0120】
親水性ポリマー塗料の調製:5gのアクリル酸とブチルアクリレートとのコポリマー、2.5gのポリメタクリル樹脂、0.25gの2〜3μmの粒子サイズを有するシリカ、及び0.5gのオルガノシロキサンを秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、41.75gの水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜5時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0121】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング等によって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、アルミニウム基板上に親水性ポリマー塗料を均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって親水性ポリマー塗料のコーティング量を1g/mに制御する。アルミニウム基板を11〜12時間100℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0122】
速乾性製版インクは、2.5gの20〜200nmの粒子サイズを有する無機酸化鉄赤、30gフェノール樹脂、10gの無水エチルアルコール、0.5gのグリセロール、及び57gのエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを含む。
【実施例22】
【0123】
親水性ポリマー塗料の調製:5gのポリアクリル樹脂、2.5gのメタクリル酸とエチルメタクリレートとのコポリマー、及び0.25gの2〜3μmの粒子サイズを有するシリカを秤量し、これらを100mlの三角フラスコ中に入れ、42.25gの水を添加し、ボールミル粉砕分散又は超音波分散によって2〜5時間分散させて、親水性ポリマー塗料を得る。
【0124】
アノード酸化、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシング等によって処理されていないアルミニウム基板を選択し、アノード酸化によって処理されたアルミニウム基板を10×10cm片に切り出し、この試験片をアセトン及び蒸留水で連続して洗浄し、次いで試験片を乾燥する。スピンコーターを用いたスピンコーティングによって、親水性ポリマー塗料をアルミニウム基板上に均一に塗布し、スピンコーターの速度を制御することによって、親水性ポリマー塗料のコーティング量を2g/mに制御する。アルミニウム基板を0.5時間200℃で乾燥し、アルミニウム基板の表面粗度パラメータRa並びにアルミニウム基板の表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び接着力を測定し、表3及び表5に示す。
【0125】
速乾性製版インクは、3gの20〜200nmの粒子サイズを有する無機酸化鉄赤、40gのグリセロールフタル酸樹脂、20gの無水エチルアルコール、2gのグリセロール、及び35gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む。
【0126】
異なった処理が施され、親水性ポリマー塗料でコーティングされた実施例1〜22の金属基板のそれぞれの接触角及び表面粗度Raが測定される。金属基板と速乾性製版インクとの間の接触角が20〜40度であるならば、インク滴は鮮明なエッジ及び小さな拡散領域を有し、印刷された画像の解像度及び鮮明さを改善することができ、金属基板と速乾性製版インクとの間の接触角が0〜20度又は40〜60度であるならば、インク滴はエッジで若干拡散し、ドットが若干拡大する。加えて、結合力の測定結果は、基板上の塗料の耐久性を意味する。基板上のナノメートル粒子によって形成されるミクロ構造は、基板の吸収性を改善する。
【0127】
【表1】

表1.親水性ポリマー塗料でコーティングされた金属表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び金属表面のRaの測定結果
【0128】
【表2】


表2.親水性ポリマー塗料でコーティングされた金属表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び金属表面のRaの測定結果
【0129】
【表3】


表3.親水性ポリマー塗料でコーティングされた金属表面と速乾性製版インクとの間の接触角及び金属表面のRaの測定結果
注:親水性ポリマー塗料のコーティング膜は、金属基板の表面粗度Raに対してほとんど影響を及ぼさない。
【0130】
親水性ポリマー塗料をコーティングすることによって得られるフィルムと、アルミニウム基板、亜鉛基板、及び銅基板との間の結合力値を、塗料フィルムスクライバー(製造業者:Tianjin Dongwenya Material Testing Machine Co.,Ltd.)を用いて測定する。結合力が高いほど、耐久性が高い。0〜5のレベルは、結合力の強いものから弱いものの順に示す。結果を表4及び表5に示す。
【0131】
【表4】

表4.親水性ポリマー塗料フィルムと金属基板との間の結合力の測定結果
【0132】
【表5】

表5.親水性ポリマー塗料フィルムと金属基板との間の結合力の測定結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットCTP用金属基板をアノード酸化によって処理し、親水性ポリマー及びナノサイズ又はマイクロメートルサイズの酸化物粒子を含む親水性ポリマー塗料を前記アノード酸化された金属基板の表面上に均一に塗布し、乾燥してインクジェットCTP用金属基板を得るか、又は
アノード酸化されていないインクジェットCTP用金属基板をサンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングによって直接処理し、親水性ポリマー及びナノサイズ又はマイクロメートルサイズの酸化物粒子を含む親水性ポリマー塗料を、サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングによって処理された前記金属基板の表面上に均一に塗布し、次いで乾燥して、インクジェットCTP用金属基板を得るか、又は
親水性ポリマー及びナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子を含む親水性ポリマー塗料をアノード酸化されていないインクジェットCTP用金属基板上に直接均一に塗布し、次いで乾燥して、インクジェットCTP用金属基板を得ることを含む、インクジェットCTP用金属基板の作成方法。
【請求項2】
表面上を親水性ポリマー塗料で均一にコーティングされた前記金属基板と、速乾性製版インクとの間の接触角が、2〜75度の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表面上を親水性ポリマー塗料で均一にコーティングされた前記金属基板と、前記速乾性製版インクとの間の接触角が20〜40度の範囲内である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンドペーパーバニッシングが、20〜200μmの粒子サイズを有するサンドペーパーを用いて横方向及び縦方向に均一に前記金属基板の表面をバニッシングすることを含み、
前記サンドブラスティングが、10〜220μmの粒子サイズを有する石英砂又はアルミナ粒子を、ドライサンドブラスター又はリキッドサンドブラスターを用いることによって前記金属基板の表面に噴射することを含み、
前記ポリッシングが、ポリッシングホイールを用いて横方向及び縦方向に均一に前記金属基板の表面をバニッシングすることを含み、この場合、10〜100μmの粒子サイズを有する酸化クロム粉末のエマルジョンを前記ポリッシングホイールと前記金属基板の表面との間のポリッシング媒体として使用し、
前記ブラッシングが、ナイロンブラシを用いて横方向及び縦方向に均一に前記金属基板の表面をウェットブラッシングすることを含み、この場合、水及び20〜50μmの粒子サイズを有するアルミナ砂、20〜50μmの粒子サイズを有する軽石粉、又は20〜50μmの粒子サイズを有するケイ酸アルミニウム砂から調製された研磨材を、前記ナイロンブラシと前記金属基板の表面との間の媒体として使用し、前記ナイロンブラシを直径0.2〜0.5mm、長さ30〜60mmのナイロンワイヤから製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
サンドペーパーバニッシング、サンドブラスティング、ポリッシング、又はブラッシングによって処理された前記金属基板の表面粗度パラメータRaが0.6〜3μmであり、Raが高さパラメータ、つまりプロファイルの算術平均偏差である、請求項1又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリッシングホイールの回転速度が20〜30m/sであり、
前記酸化クロム粉末のエマルジョンが2〜25質量%の酸化クロム粉末を含み、前記エマルジョンを油成分及び界面活性剤から調製し、前記油成分の含有量は5〜25質量%であり、
前記油成分が、動物油、植物油、脂肪酸、脂肪酸せっけん、及び脂肪族アルコールから選択される少なくとも1つであり、前記界面活性剤が、石油スルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムせっけん、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、及びアルケニルコハク酸から選択される少なくとも1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記インクジェットCTP用金属基板上の親水性ポリマー塗料のコーティング量が1〜2.5g/mである、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記親水性ポリマー塗料の成分及び含有量が:
親水性ポリマー 0.95〜15重量%
ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子 0.05〜15重量%
添加剤 0〜1重量%
溶媒 残余
であり、前記親水性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ゼラチン、ポリアクリルアミド樹脂、及びポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1つであるか、又は水溶性フェノール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリル樹脂エステル、ポリメタクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアセタール、セルロースポリマー、アクリル酸とアクリレートとのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリレートとのコポリマーから選択される少なくとも1つであり、
前記ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子が10〜3,000nmの粒子サイズを有し、シリカ、アルミナ、及びチタニアから選択される1つである、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項9】
前記親水性ポリマー塗料の成分及び含有量が:
親水性ポリマー 0.95〜15重量%
ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子 0.05〜15重量%
添加剤 0〜1重量%
溶媒 残余
であり、前記親水性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ゼラチン、ポリアクリルアミド樹脂、及びポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1つであるか、又は水溶性フェノール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリル樹脂エステル、ポリメタクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアセタール、セルロースポリマー、アクリル酸とアクリレートとのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリレートとのコポリマーから選択される少なくとも1つであり、
前記ナノサイズ又はミクロンサイズの酸化物粒子が10〜3,000nmの粒子サイズを有し、シリカ、アルミナ、及びチタニアから選択される1つである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、水又は水と低級アルコールとの混合物から選択され、前記混合物中の低級アルコールの濃度が1〜10重量%であるか、又は前記溶媒が、アセトン、ブタノン、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つであり、
前記低級アルコールが、メタノール、無水エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブチルアルコール、及び2−メチル−2−プロピルアルコールのうちの1つであり、
前記添加剤が少なくとも1つのカチオン性固定剤、消泡剤、及び酸化防止剤のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記カチオン性固定剤が、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、及びポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドから選択される少なくとも1つであり、
前記消泡剤がオルガノシロキサン又はポリエーテルであり、
前記酸化防止剤が多価アルコールエステルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、水又は水と低級アルコールとの混合物から選択され、前記混合物中の低級アルコールの濃度が1〜10重量%であるか、又は前記溶媒が、アセトン、ブタノン、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つであり、
前記低級アルコールが、メタノール、無水エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブチルアルコール、及び2−メチル−2−プロピルアルコールのうちの1つであり、
前記添加剤が、カチオン性固定剤、消泡剤、及び酸化防止剤のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記カチオン性固定剤が、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、及びポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドから選択される少なくとも1つであり、
前記消泡剤が、オルガノシロキサン又はポリエーテルであり、
前記酸化防止剤が多価アルコールエステルである、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−505772(P2012−505772A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531334(P2011−531334)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/CN2009/073586
【国際公開番号】WO2010/043139
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511096558)中国科学院化学研究所 (2)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF CHEMISTRY, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No. 2, Zhongguancun North First Street, Haidian District, Beijing, 100190, P. R. China
【Fターム(参考)】