説明

インクジェット印字方法

【課題】比較的簡単かつ迅速に、高画質化することができ、塗膜層材料費を節減できるインクジェット記録を提供すること、さらに、非画像部には媒体(素材)の風合を残したインクジェット記録を、比較的簡単かつ迅速に実現できるインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】媒体に前処理液の塗膜層を形成し、前記塗膜層に、インクジェットによりマークを形成するインクジェット印字方法において、前記塗膜層が、インクジェットにより中間転写体上の任意の領域に選択的に形成され、更に、当該中間転写体から当該素材に転写することにより、次段階で印字されるインクジェット印字領域に形成されることを特徴とするインクジェット印字方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は前処理液による塗膜層を用いたインクジェットプリント方法に関し、詳しくは塗膜層の形成方法に関するものである。また、本発明は、液体塗布方法および装置に応用することができる。
【背景技術】
【0002】
オンデマンドな印刷手段であるインクジェットプリンタを用いた技術では、通常水性のインクが用いられるが、画質の向上のためのドット形状の制御手段として凝集処理剤などの前処理液が使われる場合がある。
一方、溶剤を用いず、定着乾燥に要するエネルギーが低く環境負荷が少ない上に、堅牢性に優れた画像を高い生産性(高速)で得る手段として、活性エネルギー線硬化型インクジェットプリンタが特許文献1の特開昭60−132767号公報にて提案されている。
しかし、活性エネルギー線硬化型インクジェットプリンタではインクの混色を防ぐため、充分なレベリングがなされないままドットを硬化するため、画像表面が凸凹になり乱反射による「色とび」が生じやすい。
また、従来より、オフセット印刷などで表面を平滑にするため、活性エネルギー線硬化型のOPニスをオーバーコーティングする方法が提案されている。環境負荷、生産性の点からOPニスはインク同様の活性エネルギー線硬化型のものが用いられるが、活性エネルギー線照射を二度行うため装置コストが上がり、消費電力も増えてしまう。
またさらに、インクの付着性を得るため、媒体に活性エネルギー線硬化性前処理液を施し、活性エネルギー線硬化性インクを吐出した後に活性エネルギー線で硬化する記録方法も特許文献2の特開平03−222748号公報、特許文献3の特開平03−222749号公報にて提案されている。
また、媒体の影響を受けずに高速に滲みのない画像を得る方法として、媒体に活性エネルギー線硬化性前処理液をインクジェットで施し前処理液を活性エネルギー線で半硬化/硬化した後に、活性エネルギー線硬化性インクを吐出し更に活性エネルギー線で硬化する記録方法も特許文献4の特許第3372681号公報及び特許文献5の特許第4289099号公報にて提案されている。しかし、媒体への浸透による滲みを低減する効果は得られているが、表面の平滑性は充分ではなく、活性エネルギー線照射を二度行うため装置コストが上がり、消費電力も増えてしまったりしている。
【0003】
活性エネルギー線硬化性前処理液は、基本的にプリントされた画像の画質の向上に寄与するものである。すなわち、活性エネルギー線硬化性前処理液により媒体上の活性エネルギー線硬化性インクが吐出される部分に塗膜層として設けられ、これにより、活性エネルギー線硬化性インクの色材を活性エネルギー線硬化性前処理液の塗膜層内に生じさせて、平坦なドットを得る。
そして、このようにして塗膜層内に生じさせた平坦なドットは乱反射がなく、プリント画像の光沢性と濃度が向上する。
【0004】
ここでは、前処理液の塗布方法としては、一般的には特許文献6の特開昭61−010483号公報及び特許文献11の特開2009−082835号公報記載技術のようにローラで塗布する方法があるが、全面への塗布となり材料コストが掛かってしまう。また、非印刷部分は媒体(素材)の風合を残したいという要望も満足しない。
選択的に塗布するには、特許文献7の特開平03−274178号公報及び特許文献8の特開平08−118972号公報記載のようにグラビア、オフセットなど有版で塗布する方法もあるが、版のコストが掛かる上に、一枚ごとに印刷領域のことなるオンデマンド印刷には対応できない。
【0005】
任意の位置に塗布液を塗布する方法として、特許文献4の前記特許第3372681号公報、特許文献9の特開平03−118792号公報及び特許文献10の特開平11−058930号公報記載ようにインクジェットがあるが、ドットを媒体上に広げて抜けのない膜を形成するためには液量が多くなってしまい材料コストが掛かってしまう。また、液量が多く塗膜層が厚いと、ドットが小さくなり画像濃度が上がらない。インクジェットで形成した塗膜層の膜厚を薄くするには、微小な液滴を高密度に打たねばならないが、そのためには大掛かりで高価な装置を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、比較的簡単かつ迅速に、高画質化することができ、塗膜層材料費を節減できるインクジェット記録を提供することにあり、非画像部には媒体(素材)の風合を残したインクジェット記録を、比較的簡単かつ迅速に実現できるインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、つぎの(1)〜(3)記載の解決手段を含む本発明によって、解決される。
(1)「媒体に前処理液の塗膜層を形成し、前記塗膜層に、インクジェットによりマークを形成するインクジェット印字方法において、前記塗膜層が、インクジェットにより中間転写体上の任意の領域に選択的に形成され、更に、当該中間転写体から当該素材に転写することにより、次段階で印字されるインクジェット印字領域に形成されることを特徴とするインクジェット印字方法」。
(2)「画像データ形成領域に塗膜層を形成することを特徴とする前記(1)項に記載のインクジェット印字方法」。
(3)「前処理液とインクが活性エネルギー線硬化性の組成物で、活性エネルギー線を用いてインクと塗膜を同時に硬化させることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載のインクジェット印字方法」。
【発明の効果】
【0008】
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、前処理液のドットが、インクジェットにより中間転写体上の任意の領域に選択的に形成され、更に、当該中間転写体から当該素材に転写することにより、次段階で印字されるインクジェット印字領域に前処理液の塗膜層が形成されることで、比較的簡単かつ迅速に、高画質化することができ、塗膜層材料費を節減できるインクジェット記録技術が提供され、非画像部には媒体(素材)の風合を残したインクジェット記録を、比較的簡単かつ迅速に実現できるインクジェット記録方法が提供されるという、優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のフルラインタイプのプリントヘッドを用いた活性エネルギー線硬化性インクジェットプリンタの概略構成例を示す側面図である。
【図2】本発明の中間転写体に形成されたドット例を示す図である。
【図3】本発明の中間転写体に形成されたドット例を示す図である。
【図4】本発明の媒体(M)に加圧転写された塗膜層例を示す図である。
【図5】本発明の活性エネルギー線硬化性インクを印字し形成されたマーク例を示す図である。
【図6】実施例による画像形成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、前記のように、前処理液としてのドット形成液が、インクジェットにより中間転写体上の任意の領域に選択的に形成され、更に、当該中間転写体から当該素材に転写することにより、次段階で印字されるインクジェット印字領域に前処理液の塗膜層が形成されることを特徴とするものである。
【0011】
[光硬化性樹脂液材料]
すなわち、本発明の光硬化性樹脂液としては、前処理液、インク液ともに、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアクリル系、スチレン系等、ラジカル系モノマーによりラジカル系オリゴマーを希釈したものや、近年広く用いられているカチオン系の活性エネルギー線硬化性組成物も用いることができ、それらの混合系を用いても良い。
【0012】
[ラジカル重合型光硬化性樹脂材料]
ラジカル重合型光硬化性樹脂液の成分は、ラジカル重合開始剤から発生する開始種により重合反応を起こす各種公知のラジカル重合性のモノマーが好ましい。ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル化合物類、ビニルエーテル類及び内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。
以下、単官能及び多官能の重合性化合物を例示する。
【0013】
単官能の(メタ)アクリレート類の具体例としては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、1,2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
ラジカル重合型光硬化性樹脂液に使用できる単官能の(メタ)アクリルアミド類の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
【0015】
ラジカル重合型光硬化性樹脂液に使用できる単官能の芳香族ビニル化合物類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0016】
ラジカル重合型インクに使用できる単官能ビニルエーテルの具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
【0017】
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス〔(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
ラジカル重合型光硬化性樹脂液に使用できる多官能ビニルエーテルの例としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
【0020】
光硬化性樹脂液組成物中、光硬化性樹脂原料は10〜70重量パーセントを占めるが、分子構造中にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する比較的低粘度の樹脂モノマーが好ましく、例えば、単官能基の2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、二官能基のトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、多官能基のトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)、トリアリルイソシアネート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル等が好ましい。
【0021】
具体的には、KAYARAD TC−110S、KAYARAD R−128H、KAYARAD R−526、KAYARAD NPGDA、KAYARAD PEG400DA、KAYARAD MANDA、KAYARAD R−167、KAYARAD HX−220、KAYARAD HX−620、KAYARAD R−551、KAYARAD R−712、KAYARAD R−604、KAYARAD R−684、KAYARAD GPO、KAYARAD TMPTA、KAYARAD THE−330、KAYARAD TPA−320、KAYARAD TPA−330、KAYARAD PET−30、KAYARAD RP−1040、KAYARAD T−1420、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPHA−2C、KAYARAD D−310、KAYARAD D−330、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、KAYARAD DN−0075、KAYARAD DN−2475、KAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21、KSシリーズHDDA,TPGDA,TMPTA,SRシリーズ256、257、285、335、339A、395、440、495、504、111、212、213、230、259、268、272、344、349、601、602、610、9003、368、415、444、454、492、499、502、9020、9035、295、355、208、242、313、604、205、206、209、210、214、248、252、297、348、365C、480、9036、350(日本化薬社製)、ビームセット770(荒川化学社製)等が使用できる。
【0022】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系などがあり、その他にアシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート等の特殊グループがあるが、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン等が好ましい。
光開始剤の添加量は、ビヒクル総量の0.01〜10重量%程度とすることが好ましい。
【0023】
光開始助剤としては、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、重合性3級アミン等が挙げられる。
具体的には、バイキュア10、30、55(ストウファー社製)、KAYACURE BP−100、KAYACURE BMS、KAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE 2−EAQ、KAYACURE DMBI、KAYACURE EPA(日本化薬社製)、IRGACURE651、184、907、369(チバガイギ社製)、DAROCURE1173、1116、953、2959、2273、1664(メルク社製)、サンドレ1000(サンド社製)、カウンタキュアCTX、カウンタキュアBMS、カウンタキュアITX、カウンタキュアPDO、カウンタキュアBEA、DMB(ワードブレンキンソップ社製)、サンキュアーIP、BTTP(日本油脂社製)等が挙げられる。その他、光開始剤含有タイプの光硬化型樹脂を使用しても良い。
【0024】
[カチオン重合型樹脂材料]
カチオン重合型樹脂材料としては、活性水素基含有化合物存在下で架橋反応することで知られたエポキシ化合物やイソシアネート材料を用いることができる。カチオン重合型樹脂材料として用いるエポキシ化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールBA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、フルオレン系エポキシ化合物、ナフタレン系エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、複素環式エポキシ化合物、α−オレフィンエポキシ化合物等を挙げることができる。
特に脂環式エポキシ化合物は、粘度が低く且つ硬化速度が速いので好適である。具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート及びこのε−カプロラクトン変成物、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンが挙げられる。
カチオン重合型インクに用いるオキセタン化合物としては、インクに要求される特性に応じて適宜選択すれば良く、特に基材への密着性が特に重要となる場合は、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキタセンが好適である。
【0025】
カチオン重合型樹脂材料には、必要に応じてビニルエーテル化合物を混合することができる。好適なビニルエーテルとしては、例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ビニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニルプロピオネート、ビニルカルバゾール、ビニルビロリドン等が挙げられる。
【0026】
カチオン重合型インクの反応性成分として、必要に応じてプロペニルエーテル及びブテニルエーテルを配合できる。具体例としては、1−ドデシル−1−プロペニルエ−テル、1−ドデシル−1−ブテニルエ−テル、1−ブテノキシメチル−2−ノルボルネン、1−4−ジ(1−ブテノキシ)ブタン、1,10−ジ(1−ブテノキシ)デカン、1,4−ジ(1−ブテノキシメチル)シクロヘキサン、ジエチレングリコールジ(1−ブテニル)エーテル、1,2,3−トリ(1−ブテノキシ)プロパン、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が好適である。
【0027】
カチオン重合型インクに適用できるカチオン重合開始剤は、紫外線等のエネルギー線を受けることにより重合を開始させる物質を生成する化合物であれば良く、オニウム塩であるアリールスルフォニウム塩やアリールヨウドニウム塩が好適である。さらに必要に応じて、N−ビニルカルバゾール、チオキサントン化合物、9,10−ジブトキシアントラセン等のアントラセン化合物等の光増感剤を併用できる。
【0028】
ビヒクルである重合性化合物は、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いることができる。これらはいずれも記録媒体への濡れ性が良好で広範囲の各種被着体物質に対し密着性に優れる。
【0029】
[液媒体]
更に、低粘度化及び高速化のために水及び溶剤を添加しても良い。インク組成物の構成成分を良く溶解させ、印字後は速やかに蒸発する溶剤であれば特に限定されないが、ケトン及び/又はアルコールを主溶剤とするのが好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を単独で又は2種以上混合し、さらに水と混合して使用するのが好ましい。
【0030】
[前処理液]
活性エネルギー線硬化性前処理液や活性エネルギー線硬化性インクは、活性エネルギー線硬化性組成物として、活性エネルギー線硬化性樹脂液、及び開始剤を含有し、更に必要に応じて増感剤や安定剤などその他の成分を含有してなる。
例えば、本発明の記録装置の活性エネルギー線硬化性前処理液は、上記のような活性エネルギー線硬化性組成物に界面活性剤を添加したものを用いることができる。
【0031】
[インキ、そのための色材]
色材としては、上記ビヒクルに良く分散しかつ耐候性に優れた顔料が望ましい。例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が、目的に応じて適宜使用できるが、これらに限定されるわけではない。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、
青又はシアン顔料としては、pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、
緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、
黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26。
【0032】
具体的に商品名を示すと、例えば、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業社製)、KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学社製)、Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素社製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ社製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ社製)、カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9、(三菱化学社製)などが挙げられる。
【0033】
顔料の添加量は、インク組成物100重量部に対して、1〜20重量部が適量である。
1重量部未満では画像品質が低下し、20重量部より多いとインク粘度特性に悪影響を与える。また、色の調整等で2種類以上の色材を適宜混合して使用してもよい。
インク組成物に対し、更に各種の増感剤、光安定化剤、表面処理剤、界面活性剤、粘度低下剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤、分散剤、染料等を混合することができる。
【0034】
[調製方法]
上記したビヒクル、色材及びその他の成分の混合、分散には、ビーズミル、ホモジナイザが好ましいが、周知の各種の粉砕又は分散装置も特に制限なく使用できる。
【0035】
[硬化手段]
硬化手段として用いる紫外線光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管、LED等が適用可能である。UV照射ランプの場合は熱が発生し、記録媒体が変形してしまう可能性があるため、冷却機構、例えば、コールドミラー、コールドフィルター、ワーク冷却等が具備されていることが望ましい。
【0036】
[インクジェット印字方法、印字装置]
以下、以下、図面を参照して本発明のインクジェット印字方法、印字装置の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第一の実施形態に係るフルラインタイプのプリントヘッドを用いた活性エネルギー線硬化性インクジェットプリンタの概略構成を示す側面図である。
本実施形態のプリンタは、媒体としての用紙の搬送方向(同図中矢印A方向)に沿って所定間隔で配置された複数のフルラインタイプのプリントヘッドより活性エネルギー線硬化性インクまたは活性エネルギー線硬化性前処理液を吐出してプリントを行うものであり、これら媒体の搬送やプリントヘッドの吐出のための駆動等、プリンタ全体の動作およびそのためのデータ処理は不図示の制御回路によって制御される。
本実施形態は、印刷データに基づき前処理液を塗布する領域に対応する中間転写体の領域に前処理液供給ヘッド(H1)より活性エネルギー線硬化性前処理液を吐出する。
図2、3に示す中間転写体に形成されたドットは、媒体(M)に加圧転写され図4に示す塗膜層となる。
中間転写体に残った前処理液は不図示の清掃ローラにて除去回収される。
続いて、それぞれフルラインタイプのマーク形成ヘッドH2、H3、H4およびH5により、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各活性エネルギー線硬化性インクを印字し図5に示すマークを形成する。
これらのプリントヘッドは、液路内に設けられた圧電素子の変形する圧力変化を利用して活性エネルギー線硬化性インクまたは活性エネルギー線硬化性前処理液を吐出するものである。
媒体(M)は、A方向に搬送される。
更に活性エネルギー線照射装置(U)によりインクごと塗膜層を硬化することによりブラックの文字やカラー画像のプリントが可能になる。
本発明者らの実験によれば、8pl(ピコリットル)のドットを縦300dpi(ディーピーアイ)・横600dpiの密度で吐出すると塗膜層膜厚は計算上2.4ミクロンであるが、中間転写体にシリコンゴム、媒体にPETフィルムを用い、ニップ圧1.0MPaで転写した場合の転写率は80%程度であり、得られた塗膜層膜厚は約2ミクロンであった。
【0037】
[中間転写体]
中間転写体の表面層に用いられる好ましい材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂等の公知の材料が挙げられる。また、転写時の好ましいニップ圧力は0.5〜5.0MPaである。
【実施例】
【0038】
以下、図6を参照しつつ、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、この実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を制限するためのものではない。
以上説明した実施形態の活性エネルギー線硬化性前処理液および活性エネルギー線硬化性インクの組成例を例示すると、次のとおりである。なお、各成分の割合は重量部で示したものである。
[活性エネルギー線硬化性前処理液]
(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート(MEDOL−10、大阪有機化学工業株式会社製) 59部
ハイパーブランチポリマー(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#1000)
30部
光開始剤(Ciba社製、イルガキュア379)10部、界面活性剤(ビッグケミカル株式会社製、BYK−UV3510) 1部
[活性エネルギー線硬化性インク]
(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート(MEDOL−10、大阪有機化学工業株式会社製) 57部
ハイパーブランチポリマー(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#1000)
30部
光開始剤(Ciba社製、イルガキュア379) 10部
顔料 3部
[活性エネルギー線照射手段]
【0039】
この例では、本発明の記録装置の活性エネルギー線照射手段としてメタルハライドランプを用いたが、前述のように、高圧水銀ランプでもよく、本発明では365nm、385nmなど単色活性エネルギー線発光のLEDも用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開昭60−132767号公報
【特許文献2】特開平03−222748号公報
【特許文献3】特開平03−222749号公報
【特許文献4】特許第3372681号公報
【特許文献5】特許第4289099号公報
【特許文献6】特開昭61−010483号公報
【特許文献7】特開平03−274178号公報
【特許文献8】特開平08−118792号公報
【特許文献9】特開平03−083654号公報
【特許文献10】特開平11−058930号公報
【特許文献11】特開2009−082835号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に前処理液の塗膜層を形成し、前記塗膜層に、インクジェットによりマークを形成するインクジェット印字方法において、前記塗膜層が、インクジェットにより中間転写体上の任意の領域に選択的に形成され、更に、当該中間転写体から当該素材に転写することにより、次段階で印字されるインクジェット印字領域に形成されることを特徴とするインクジェット印字方法。
【請求項2】
画像データ形成領域に塗膜層を形成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印字方法。
【請求項3】
前処理液とインクが活性エネルギー線硬化性の組成物で、活性エネルギー線を用いてインクと塗膜を同時に硬化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット印字方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−192607(P2012−192607A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57826(P2011−57826)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】