説明

インクジェット用顔料インクおよびその製造方法

【課題】 本発明は安定性に優れ、普通紙では高発色であり、専用紙上では高光沢性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れ、印刷物の定着性が高い。
【解決手段】 本発明のインクジェット用顔料インクは分散粒子がキャピラリー中を流れるとき発生する、粒子サイズによる分離効果に基づく粒度分布において、主ピークを形成する粒子の平均粒径が100ナノメートル以下であり、上記粒子の存在割合が重量平均で80%以上であり、150ナノメートルを超える粒子の存在割合が重量平均で2%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定性に優れ、普通紙では高発色であり、専用紙上では高光沢性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れ、印刷物の定着性が高いインクジェット用顔料インクおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット用顔料インクは顔料粒径の管理のために、測定方法として、レーザードップラー法や光散乱法を用いた測定が一般的であり、一次粒子を測定するときは透過型電子顕微鏡を用いることが一般的であった(特許文献1および2参照)。また、光沢性やべたつきなどを改善するため顔料の平均粒径と画像部の表面粗さと下地の表面粗さからの検討などがなされている(特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−201401号公報
【特許文献2】特開2003−113341号公報
【特許文献3】特開2004−59614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインクジェット用顔料インクの場合、粒径に関しては主にレーザードップラー効果を利用した光散乱方式で平均値や中心値を用いて管理することが一般的であり、また透過型電子顕微鏡を用いる方法では部分的な顔料粒子にしか着目しないため、微量の粗大粒子は測定不可能であった。その粗大粒子の影響を受けて、インクジェットインクとしての安定性が劣り、普通紙では高発色が得られず、専用紙上では高光沢性が低く、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が劣り、印刷物の定着性が低いものになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のインクジェット用顔料インクは分散粒子がキャピラリー中を流れるとき発生する、粒子サイズによる分離効果に基づく粒度分布において、主ピークを形成する粒子の平均粒径が100ナノメートル以下であり、上記粒子の存在割合が重量平均で80%以上であり、150ナノメートルを超える粒子の存在割合が重量平均で2%以下であることを特徴とする。また、本発明のインクジェット用顔料インクの製造方法は分散粒子がキャピラリー中を流れるとき発生する、粒子サイズによる分離効果に基づく粒度分布を測定する手段を用いて主ピークを形成する粒子の平均粒径を測定する工程、上記粒子の存在割合を測定する工程、上記粒子の存在割合が重量平均で計算する工程および顔料を粒子ごとに分離し相対的に大きい粒子を排除する工程を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発明は安定性に優れ、普通紙では高発色であり、専用紙上では高光沢性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れ、印刷物の定着性が高いとなどの特性が要求されていることに鑑み、鋭意検討した結果によるものである。
【0007】
本発明のインクジェット用顔料インクは分散粒子がキャピラリー中を流れるとき発生する、粒子サイズによる分離効果に基づく粒度分布において、主ピークを形成する粒子の平均粒径が100ナノメートル以下であり、上記粒子の存在割合が重量平均で80%以上であり、150ナノメートルを超える粒子の存在割合が重量平均で2%以下であることを特徴とする。前述の平均粒径が100ナノメートルを超えると顔料の透明性が低下してくるので光沢紙での、混色部分の光沢性が低下する。ここで混色部分とは、例えばシアンとイエローでグリーン色を表現したり、シアンとマゼンタとイエローで黒を表現したりする場合に、異なった複数種の色によって形成される色の部分のことをいう。また、その粒子の存在割合が重量平均で80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。さらに、150ナノメートルを超える粒子の存在割合が重量平均で2%以下であることが好ましい。2%を超えると光沢紙での光沢性が低下し、インクジェットヘッドからのインクの吐出も不安定になりやすい。好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
【0008】
また、本発明のインクジェット用顔料インクの製造方法は分散粒子がキャピラリー中を流れるとき発生する、粒子サイズによる分離効果に基づく粒度分布を測定する手段を用いて主ピークを形成する粒子の平均粒径を測定する工程、上記粒子の存在割合を測定する工程、上記粒子の存在割合が重量平均で計算する工程および顔料を粒子ごとに分離し相対的に大きい粒子を排除する工程を有することを特徴とする。このようにして、上記インクジェット記録用インクを作成することによって、光沢紙での光沢性が向上し、インクジェットヘッドからのインクの吐出も安定なインクジェットインクとすることができる。
【0009】
また、本発明のインクジェット用顔料インクの製造方法は前述の粒度分布を測定する手段を用いて主ピークを形成する粒子の平均粒径を測定する工程および上記粒子の存在割合を測定する工程、上記粒子の存在割合が重量平均で計算する工程がキャピラリー式粒度分布測定法であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のインクジェット用顔料インクの製造方法は前述の顔料を粒子ごとに分離し相対的に大きい粒子を排除する工程が遠心分離であることを特徴とする。
【0011】
本発明に用いることができる顔料は、例えば黒色インク用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられるがインクジェット用としては比重が比較的低く水中で沈降しにくいカーボンブラックが好ましい。更にカラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、180、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できる。
【0012】
本発明になるインクジェット用顔料インクに用いる場合、顔料としての添加量は、0.5〜30%が好ましいが、さらに1.0〜12%が好ましい。これ以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、またこれ以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
【0013】
また、本発明のインクジェット用顔料インクには表面張力を20mN/m以上40mN/m以下の範囲にするために少なくとも界面活性剤を添加してなることが好ましい。
【0014】
その界面活性剤がアセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上であることがさらに好ましい。これらの界面活性剤を用いることで普通紙上のにじみが特に低減され、専用紙上での線幅を適当な値に調整することが可能となる。
【0015】
また、その水性インクに表面張力を20mN/m以上40mN/m以下の範囲にするため少なくともアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよび/または1,2−アルキレングリコールを添加してなることが好ましい。そのアルキレングリコールモノアルキルエーテルが繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、且つ炭素数4〜10のアルキルエーテルであることが好ましい。また、前述のアルキレングリコールモノアルキルエーテルがジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエ−テルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることが好ましい。
【0016】
さらに、前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオールおよび/または1,2−ペンタンジオールであることが好ましい。これらの添加により印字の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印字部分が次の媒体の裏面に転写されることがなくなるため、高速印字が可能となる。
【0017】
前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の物質の添加量が0.1%以上5%以下であることが好ましい。本発明においては、少なくとも前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上と、を含むことが好ましい。前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の添加量が0.01%〜0.5%であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上の添加量が1%以上であることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明におけるインクジェット用顔料インクとしては、その放置安定性の確保、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のためあるいはインクの劣化防止のためなどの目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を添加することもできる。
【0019】
以下本発明を具体的な実施の形態について説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【実施例1】
【0020】
(1)分散体1の製造
分散体1はカーボンブラック(PBk7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート65部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソバレロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
【0021】
また、上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散する。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%である分散体1とした。
【0022】
(2)分散体2の製造
まず、分散体2はピグメントブルー15:1(トリクロロ銅フタロシアニン顔料:山陽色素株式会社製G500)を用いて分散体1と同様に作成した。
【0023】
(3)分散体3の製造
まず、分散体3はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて分散体1と同様に作成した。
【0024】
(4)分散体4の製造
まず、分散体3はピグメントイエロー74(縮合アゾ顔料:クラリアント製)を用いて分散体1と同様に作成した。
【0025】
(5)遠心分離および粒度分布の測定
上記分散体1〜4を用いて、日立工機株式会社製遠心分離装置ハイマックCR−20B2を用いて、遠心分離条件を以下のとおり種々変更して粗大粒子を除去した。遠心分離は、条件1は1000rpmで2時間+500rpmで1時間、条件2は1000rpmで1時間+500rpmで30分、条件3は1000rpmで15分+500rpmで15分、条件4は1000rpmで5分、条件5は500rpmで15時間、条件6は遠心分離なしの条件で行なった。その後、米国メーテック社製のCHDF-2000を用いて行粒度分布測定を行なった。表1に主ピークを形成する粒子の平均粒径、その粒子の存在割合および150ナノメートルを超える粒子の存在割合について示す。
【0026】
(6)インクジェットインクの調製
以下、インクジェット用顔料インクに好適な組成の例を表2に示す。表2中分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料と分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。尚、本表2中の残量の調整水は、インクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
【0027】
(7)分散安定性の評価
顔料の粒子径の異なる分散体を用いて作成したインクジェット用顔料インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)および沈降率(%)を表1に示す。分散安定性は各水性インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)として示す。粘度変化はドイツ国アントンパール製AMVnにより角度60°において測定して、1−(30日後の値)/(初期の値)の100分率(%)として示す。また、沈降率は日立工機株式会社製遠心分離装置ハイマックCR−20B2を用いて、1000RPMで20分回転させたときの上部の吸光度と初期の吸光度の差を用いて測定した。吸光度は株式会社日立製作所製分光光度計U−3300スペクトロメーターを用いた。
【0028】
(8)普通紙ODと光沢紙光沢度の評価
普通紙としては米国Xerox社製Xerox4024紙を用い、光沢紙としてはセイコーエプソン株式会社製PM写真用紙を用いた。プリンターはセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターEM930Cを用い、普通紙はフォト720dpiで光沢紙はフォト1440dpiの印刷モードで印刷した試料を用いて評価した。ODの測定は米国GRETAG社製GRETAG MACBETH SPECTROSCAN SPM−50を用いて行なった。光沢度の測定は入射角60度における記録面の鏡面光沢度を堀場製作所株式会社製グロスチェッカIG−320にて測定を行い、各記録紙ごとに5回の平均をとった値とした。メディアはセイコーエプソン株式会社製PM写真用紙で、プリンターはセイコーエプソン株式会社製EM930Cを用いてフォト720dpiで印刷した。結果を表1に示す。
【0029】
(9)吐出安定性の測定
インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2〜3箇所印字乱れがあるものをB、4〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【実施例2】
【0032】
(1)分散体5の製造
分散体5はカーボンブラック(PBk7)である三菱化学工業株式会社製MA100を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン45部、ポリエチレングリコール400アクリレート30部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、ポリエチレングリコール400アクリレート100部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
【0033】
また、上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるMA100を30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部を混合し、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%である分散体5とした。
【0034】
(2)分散体6の製造
まず、分散体6はピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いて分散体5と同様に作成した。
【0035】
(3)分散体7の製造
まず、分散体7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて分散体5と同様に作成した。
【0036】
(4)分散体8の製造
まず、分散体8はピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール顔料:クラリアント製)を用いて分散体5と同様に作成した。
【0037】
(5)遠心分離および粒度分布の測定
上記分散体5〜8を用いて、遠心分離および粒度分布の測定を実施例1と同様に行なった。表3に遠心分離の条件と主ピークを形成する粒子の平均粒径、その粒子の存在割合および150ナノメートルを超える粒子の存在割合について示す。
【0038】
(6)インクジェットインクの調製
以下、インクジェット用顔料インクに好適な組成の例を表4に示す。インクジェットインクの調製は実施例1と同様に行なった。
【0039】
(7)分散安定性の評価
分散安定性の評価は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0040】
(8)普通紙ODと光沢紙光沢度の評価
普通紙ODと光沢紙光沢度の評価は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0041】
(9)吐出安定性の測定
吐出安定性の測定は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【実施例3】
【0044】
(1)分散体9
分散体9としてはカーボンブラック表面処理顔料であるオリエント化学工業株式会社のCW2を用いる。
【0045】
(2)遠心分離および粒度分布の測定
上記分散体9を用いて、遠心分離の条件を条件1〜6までふって粒度分布の測定を実施例1と同様に行なった。表5に遠心分離の条件と主ピークを形成する粒子の平均粒径、その粒子の存在割合および150ナノメートルを超える粒子の存在割合について示す。
【0046】
(3)インクジェットインクの調製
以下、インクジェット用顔料インクに好適な組成の例を表6に示す。インクジェットインクの調製は実施例1と同様に行なった。
【0047】
(4)分散安定性の評価
分散安定性の評価は実施例1と同様に行なった。結果を表5に示す。
【0048】
(5)普通紙ODと光沢紙光沢度の評価
普通紙ODと光沢紙光沢度の評価は実施例1と同様に行なった。結果を表5に示す。
【0049】
(6)吐出安定性の測定
吐出安定性の測定は実施例1と同様に行なった。結果を表5に示す。
【0050】
【表5】

【0051】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散粒子がキャピラリー中を流れるとき発生する、粒子サイズによる分離効果に基づく粒度分布において、主ピークを形成する粒子の平均粒径が100ナノメートル以下であり、上記粒子の存在割合が重量平均で80%以上であり、150ナノメートルを超える粒子の存在割合が重量平均で2%以下であるインクジェット用顔料インク。
【請求項2】
分散粒子がキャピラリー中を流れるとき発生する、粒子サイズによる分離効果に基づく粒度分布を測定する手段を用いて主ピークを形成する粒子の平均粒径を測定する工程、上記粒子の存在割合を測定する工程、上記粒子の存在割合が重量平均で計算する工程および顔料を粒子ごとに分離し相対的に大きい粒子を排除する工程を有するインクジェット用顔料インクの製造方法。
【請求項3】
前記平均粒径を測定する工程、上記粒子の存在割合を測定する工程および上記粒子の存在割合が重量平均で計算する工程がキャピラリー式粒度分布測定法であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット用顔料インクの製造方法。
【請求項4】
前記顔料を粒子ごとに分離し相対的に大きい粒子を排除する工程が遠心分離である請求項2または3に記載のインクジェット用顔料インクの製造方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の方法を用いて製造されたインクジェット用顔料インク。

【公開番号】特開2006−257185(P2006−257185A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74484(P2005−74484)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】