説明

インクジェット記録媒体用バインダー組成物、インクジェット記録媒体用塗工組成物、インクジェット記録媒体及びインクジェット記録媒体の製造方法

【課題】光沢性、インク吸収性及び耐水性に加え、印字濃度、印刷画像の鮮明性及びインクにじみ耐性も優れるインクジェット記録媒体を与えるバインダー組成物を提供する。
【解決手段】イタコン酸などのビニル系不飽和ジカルボン酸単量体を含むビニル系不飽和単量体混合物を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の存在下で重合して成るインクジェット記録媒体用バインダー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢性、インク吸収性及び耐水性に加え、印字濃度、印刷画像の鮮明性及びインクにじみ耐性も優れるインクジェット記録媒体を与えるバインダー組成物、上記インクジェット記録媒体用バインダー組成物及び顔料を含むインクジェット記録媒体用塗工組成物、上記インクジェット記録媒体用塗工組成物が塗工されて形成された層を有するインクジェット記録媒体並びに上記インクジェット記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、ノズルから飛翔されるインク液滴を記録媒体に付着させ、文字、画像等を記録媒体上に記録する。当該記録方式は高速化及び多色化が容易で、現像、定着等の処理が不要であり、プリンター、プロッター等の記録装置の記録方式として急速に普及している。当該記録方式で用いられる記録媒体は、通常、水性樹脂組成物を紙等の支持体上に塗布し、乾燥してインク受理層を形成して製造する。
高い光沢性、インク吸収性及び耐水性を有するインクジェット記録媒体を与えるため、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の存在下で第1の単量体の重合を行い、次いで、得られたラテックスに疎水基を有するアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物及び第2の単量体を添加し、更に重合を継続して製造するインクジェット記録媒体用ラテックスが検討された(例えば、特許文献1参照)。近年、光沢性、インク吸収性及び耐水性に加え、印字濃度、印刷画像の鮮明性及びインクにじみ耐性も優れる記録媒体を与えるバインダー組成物が求められようになってきた。しかしながら、このようなインクジェット記録媒体用バインダー組成物は提供されていなかった。
【特許文献1】特開2008−213368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、光沢性、インク吸収性及び耐水性に加え、印字濃度、印刷画像の鮮明性及びインクにじみ耐性も優れる記録媒体を与えるバインダー組成物の提供である。本発明が解決しようとする別の課題は、上記インクジェット記録媒体用バインダー組成物及び顔料を含むインクジェット記録媒体用塗工組成物、上記インクジェット記録媒体用塗工組成物が塗工されて形成された層を有するインクジェット記録媒体並びに上記インクジェット記録媒体の製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の発明者は、鋭意研究の結果、ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体を含むビニル系不飽和単量体混合物を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の存在下で乳化重合して得られる組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物は、ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体を含むビニル系不飽和単量体混合物を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の存在下で重合して得られる。本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物の好ましい実施態様では、上記ビニル系不飽和単量体混合物は、1〜20質量%の上記ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体と80〜99質量%のその他のビニル系不飽和単量体からなり、上記ビニル系不飽和単量体混合物100質量部に対し、上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物3〜45質量部が使用される。好ましいビニル系不飽和ジカルボン酸単量体はイタコン酸である。本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物の好ましい別の実施態様では、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物は、上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物に対し20質量%以上の疎水基を有するアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を含む。
【0005】
本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物は、上記インクジェット記録媒体用バインダー組成物及び顔料を含む。
本発明のインクジェット記録媒体は、本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物が塗工されて形成された層を有する。好ましくは、本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物が塗工されて形成された層は、本発明のインクジェット記録媒体の最表層である。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物を塗工して塗膜を形成する工程、上記塗膜を加熱加圧下にカレンダー処理する工程を実施する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物は、光沢性、インク吸収性及び耐水性に加え、印字濃度、印刷画像の鮮明性及びインクにじみ耐性も優れるインクジェット記録媒体を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物は、ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体を含むビニル系不飽和単量体混合物を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の存在下で重合して得られる。
【0008】
上記ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体の具体例は、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等である。好ましいビニル系不飽和ジカルボン酸単量体はイタコン酸である。上記ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体の使用量は限定されないが、好ましい当該使用量は、上記ビニル系不飽和単量体混合物に対し1〜20質量%である。
【0009】
上記ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体と共重合されるその他のビニル系不飽和単量体の具体例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩又はカリウム塩、等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸、そのエステル、アミド等の誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン等の共役ジエン;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸アリル、酢酸メタリル、塩化アリル、塩化メタリル等のアリル化合物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン化合物;ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等のビニル複素環化合物;等である。これらの単量体の1種又は2種以上が使用される。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び/又は「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロニトリル」は、「アクリロニトリル」及び/又は「メタクリロニトリル」を意味する。
【0010】
上記ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体と共重合される、好ましいビニル系不飽和単量体は、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びその誘導体である。エチレン性不飽和モノカルボン酸の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸である。エチレン性不飽和モノカルボン酸のエステル誘導体の好適な具体例は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の、エチレン性不飽和モノカルボン酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステルである。エチレン性不飽和モノカルボン酸のアミド誘導体の具体例は、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩等である。
【0011】
ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体を含むビニル系不飽和単量体混合物の重合方法は特定の方法に限定されないが、好ましい重合方法は乳化重合である。乳化重合時の単量体の反応容器への添加方法は特定の方法に限定されない。当該添加方法の具体例は、(a)単量体を一括して添加する方法、(b)単量体を乳化重合の進行に従って連続的又は断続的に添加する方法、(c)単量体の一部を添加して特定の転化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的又は断続的に添加する方法である。(a)〜(c)のいずれの方法も採用し得る。単量体を添加する際、単量体を水及びアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物と混合して得る単量体乳化物を使用し得る。単量体混合物を連続的又は断続的に添加する場合、当該混合物の組成は一定でも変化させてもよく、各単量体を混合してから反応容器に添加しても別々に反応容器に添加してもよい。更に、単量体を重合体からなるシード粒子の存在下で乳化重合し得る。シード粒子の使用量は、上記ビニル系不飽和単量体混合物100質量部に対して1〜80質量部である。
【0012】
上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の具体例は、ポリビニルアルコール及びその各種変性物等のビニルアルコール系重合体;アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸と酢酸ビニルとの共重合体けん化物;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチル澱粉、酸化澱粉等の澱粉誘導体;アラビアゴム、トラガントゴム;ポリアルキレングリコール等である。これらの中の1種又は2種以上が使用される。中でも、品質の安定性及び入手しやすさの観点から、好ましいアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物はビニルアルコール系重合体である。ビニルアルコール系重合体の具体例は、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコール、分子末端に疎水基を有するポリビニルアルコール、分子末端をカチオン変性したカチオン変性ポリビニルアルコール、分子末端をアニオン変性したアニオン変性ポリビニルアルコール等である。これらポリビニルアルコールの1種又は2種以上が使用される。なお、本発明では、疎水基は、炭素数5以上の炭化水素基(脂肪族基、脂環基、芳香族基)を意味する。
【0013】
上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の使用量は、特定の範囲に限定されない。好ましい当該使用量は、上記ビニル系不飽和単量体混合物100質量部に対し3〜45質量部である。好ましくは、上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物は、上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物に対し20質量%以上の疎水基を有するアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を含む。上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常、1,000〜500,000、好ましくは2,000〜300,000である。上記分子量が1,000より小さいと、重合時の分散安定効果が低くなる。上記分子量が500,000より大きいと、反応系の粘度が高くなり、重合が困難になる恐れがある。
【0014】
上記乳化重合で使用する重合開始剤は特定の重合開始剤に限定されない。当該重合開始剤の具体例は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物である。好ましい重合開始剤は無機過酸化物である。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。これらの重合開始剤と亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤も使用できる。
【0015】
重合開始剤の使用量は、乳化重合に使用する単量体混合物100質量部に対して、通常、0.1〜5質量であり、好ましくは0.5〜3質量である。乳化重合を複数段で行う場合、使用する重合開始剤の全量を第1段で添加しても、使用する重合開始剤の一部を第1段で添加し、残部を第2段以降で添加してもよい。各段における重合開始剤の添加方法は、一括添加、連続添加、分割添加のいずれでもよい。
【0016】
乳化重合で通常使用される分子量調整剤、分散剤、キレート剤等の副資材を、上記乳化重合時に添加し得る。当該副資材の種類、使用量は限定されない。乳化重合を複数段で行う場合、必要に応じて使用する副資材の添加時期及び添加方法も限定されない。
【0017】
分子量調整剤の具体例は、α−メチルスチレンダイマー;t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物である。これらの分子量調整剤を単独で、あるいは2種類以上組み合わせて使用できる。
【0018】
上記乳化重合時の各段の重合温度は特定の範囲に限定されない。当該重合温度は通常5〜95℃であり、好ましくは50〜95℃である。各段の重合温度が異なっていてよく、各段の乳化重合の最中の重合温度が変化してもよい。
【0019】
好ましくは、本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物のpHを2.0〜7.0の範囲に調整する。pH調整の方法は、特に限定されず、塩基性化合物又は酸性化合物のバインダー組成物への添加により行なう。塩基性化合物は、特に限定されないが、好ましい塩基性化合物は、アンモニア、アミンである。アミンの具体例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブチルジエタノールアミン等である。これらの塩基性化合物の1種又は2種以上を使用する。他の塩基性化合物の具体例は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等である。バインダー組成物のpHを低下させる酸性化合物の具体例は、炭酸ガス、塩酸、硝酸、硫酸等である。上記塩基性化合物及び酸性化合物の使用量は、pHを上記範囲に設定できるように選定され、特に限定されない。
【0020】
本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物に含まれる粒子の体積平均粒子径は、通常、10〜150nm、好ましくは30〜130nmである。
【0021】
本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物は、前記のインクジェット記録媒体用バインダー組成物および顔料を含む。
【0022】
上記顔料の具体例は、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料;中空粒子、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント等の有機顔料等である。好ましい顔料は無機顔料であり、特に好ましい顔料はシリカである。上記顔料の配合量は、インクジェット記録媒体用バインダー組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは、100〜2,000質量部、更に好ましくは200〜1,500質量部の範囲である。
【0023】
本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物には、顔料以外に、顔料分散剤、染料、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、染料定着剤等の添加剤を配合することができる。上記添加剤の使用量は、特定の範囲に限定されない。
【0024】
本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物の調製方法は特に限定されない。一般的には、分散機を用い、本発明のインクジェット記録媒体用バインダー組成物及び顔料、並びに必要に応じて配合されるその他の添加剤や水を混合する。本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物の全固形分濃度は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。
【0025】
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体の少なくとも一方の面に、前記のインクジェット記録媒体用塗工組成物が塗工されて形成された層(塗膜)を有する。本発明のインクジェット記録媒体は、本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物を直接支持体へ塗布して支持体に一層のインク受理層を形成する構成としてもよく、支持体上に一層のインク受理層を含む複数の層を形成した構成としてもよい。アンカー層をインク受理層の下に形成し得るし、光沢層をインク受理層の上に形成し得る。好ましくは、本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物から形成される塗膜は、本発明のインクジェット記録媒体の最表面に形成される。
【0026】
インクジェット記録媒体を構成する支持体は特に限定されず、インクジェット記録媒体の使用目的及び記録装置に応じて適宜選択される。上記支持体の具体例は、新聞原紙、上質原紙、中質原紙等の原紙;原紙上にポリビニルアルコール、澱粉等が塗工された塗工紙;顔料を主成分とする塗工層が設けられたコート紙、アート紙、キャスト紙等の塗工紙;合成紙(ポリプロピレン樹脂ベースの多層フィルム、紙の両面をポリエチレンで被覆した紙等);ポリエステルフィルム、塩ビフィルム等の樹脂フィルム;金属製、ガラス製又はセラミック製等の支持体;等がである。好ましい支持体は、原紙、塗工紙、合成紙である。
【0027】
本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物を支持体上に塗布する方法は特に限定されない。当該塗布方法で使用するコーターの具体例は、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、バーコーター、ダイコーター、グラビアコーター等である。インクジェット記録媒体用塗工組成物を支持体上に塗布した後、通常、50〜150℃の範囲の温度で加熱し、乾燥する。本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物の支持体への塗布量(乾燥後)も特に限定されないが、通常、1〜50g/m2、好ましくは3〜30g/m2である。塗膜の厚み(乾燥後)は、通常、10〜40μmである。
【0028】
本発明のインクジェット記録媒体用塗工組成物からなる塗膜を、加熱加圧下にカレンダー処理することが好ましい。上記カレンダー処理は、本発明のインクジェット記録媒体表面に平滑性及び光沢を与える。
【実施例】
【0029】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されない。以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りがない限り、質量基準である。
以下の実施例及び比較例で測定された各種物性の測定法は、次のとおりである。
【0030】
(1)バインダー組成物のpH
バインダー組成物のpHを、pH計((株)堀場製作所製pH METER M−12)を用いて、20℃で測定した。
【0031】
(2)バインダー組成物中の粒子の体積平均粒子径
バインダー組成物中の粒子の体積平均粒子径を、光散乱回折粒径測定装置(コールター社製LS−230)を用いて、バインダー組成物の体積基準の粒度分布に基づき、算術平均して計算される平均粒子径として求めた。
【0032】
(3)バインダー組成物の固形分濃度
約3gのバインダー組成物をアルミ皿にとって精秤した後、105℃の乾燥機で24時間乾燥し、水分を揮発させた。得られた乾燥物の質量を測定し、質量比からバインダー組成物の固形分濃度を算出した。
【0033】
(4)バインダー組成物の粘度
バインダー組成物の粘度をB型粘度計(東京計器(株))を用いて25℃で測定した。
【0034】
(5)バインダー組成物中の粒子を構成する共重合体の表面酸基量及び水相酸基量
固形分濃度を2%に調整したバインダー組成物を50gを、蒸留水で洗浄された150mlのガラス容器に入れた。当該ガラス容器を溶液伝導率計(京都電子工業(株)製CM−117、使用セルタイプ:K−121)にセットし、当該バインダー組成物を攪拌した。攪拌は塩酸の添加が終了するまで継続された。0.1規定の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製試薬特級)を、当該バインダー組成物の電気伝導度が2.5〜3.0mSになるように、当該バインダー組成物に添加してから6分経過後、当該バインダー組成物の電気伝導度(開始時の電気伝導度)を測定した。次いで、0.1規定の塩酸(和光純薬工業(株)製試薬特級)0.5mlを、当該バインダー組成物に添加し、30秒後に電気伝導度を測定した。当該操作を、バインダー組成物の電気伝導度が開始時の電気伝導度以上になるまで30秒間隔で繰り返し行った。
【0035】
電気伝導度(mS)を縦軸、添加された塩酸の累計量(mmol)を縦軸にプロットし、図1に示される、3つの変曲点を有するグラフを得た。3つの変曲点における横軸の値は、小さい方から順にそれぞれP1、P2、P3とし、塩酸の添加が終了したときの横軸の値をP4とした。近似曲線L1が0−P1区分のデータから、近似曲線L2がP1−P2区分のデータから、近似曲線L3がP2−P3区分のデータから、近似曲線L4がP3−P4区分のデータから、最小自乗法によりそれぞれ求めた。L1とL2の交点の横軸座標をA1(mmol)、L2とL3の交点の横軸座標をA2(mmol)、L3とL4の交点の横軸座標をA3(mmol)とした。ラテックスに含まれる微粒子を構成する共重合体1g当たりの表面酸基量及び水相酸基量を、以下に示す式により求めた。
共重合体1g当たりの表面酸基量(mmol/g)=A2−A1
共重合体1g当たりの水相酸基量(mmol/g)=A3−A2
【0036】
(6)光沢
インクジェット記録シートの表面及び印刷部分の光の反射率(%)を、JIS Z8741に基づき、変角光沢計(村上色彩技術研究所社製GM−3D型)を使用して、入射角60、75度、反射角60、75度の条件で測定した。数値が大きいほど、光沢が優れている。
【0037】
(7)印字濃度
黒(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)のそれぞれのインクを、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製PM−870C)を用いてインクジェット記録シートにべた塗り印刷した。印刷物の各インクのべた部の印字濃度を、マクベスインク濃度計(Gretagmacbeth社製D19C)を用いて測定し、各インクについての印字濃度を単純平均した。数値が高いほど、印字濃度が濃い。
【0038】
(8)耐水性
ブラックインクの文字を、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製PM−870C)を用いて印刷し、30℃の水を印刷部分に滴下して1時間放置した。その後、水滴が残存する場合、ウェスで吸い取り、表面状態、にじみ等の印字状態を目視で観察し、耐水性を以下の基準で評価した。
A;にじみ、発色濃度及び表面状態の変化が殆ど観察されない。
B;にじみ、発色濃度及び表面状態の低下が観察されるが、実用レベルである。
C;にじみ、発色濃度及び表面状態の低下が観察され、実用レベルではない。
【0039】
(9)インク吸収性
印字直後から5、10、15、20、25、30秒後に印字面に上質紙を貼り合わせ、インクの上質紙への転写を目視で観察し、インクの吸収性を以下の基準で評価した。
A;転写は5秒以内で起きなくなる。
B;転写は5秒超〜10秒以内で起きなくなる。
C;転写は10秒超〜30秒以内で起きなくなる。
【0040】
(10)印字画像の鮮明性
インクジェット記録シートへの印字を、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製PM−870C)を用いて、23℃、相対湿度65%の条件下で行い、印字画像の鮮明性を目視により以下の基準で評価した。
A;印字画像が非常に鮮明でコントラストが明確である。
B;印字画像が鮮明であるが、コントラストが明確でなくぼけている。
C;印字画像が鮮明でなく、ぼけている。
【0041】
(11)インク滲み耐性
インクジェット記録シートへの印字を、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製PM−870C)を用いて、23℃、相対湿度65%の条件下で行い、印字の滲み具合を以下の基準で評価した。
A;光学顕微鏡により僅かな滲みだしが観察されるが、当該滲みだしは画像品質に影響しない。
B;僅かな滲みだしが目視される。
C;画像全体に亘って滲みだしが目視され、画像品質が劣る。
【0042】
実施例1
インクジェット記録媒体用バインダー組成物の製造
イオン交換水115.0部、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム1.6部、重炭酸ナトリウム0.06部、エチレンジアミン四酢酸ナトリム0.02部を耐圧反応容器に添加し、これらを攪拌しながら、2,4−ジニトロクロロベンゼン0.06部、t−ドデシルメルカプタン0.06部、スチレン15.2部及びメタクリル酸0.8部を反応系に添加した。次いで、上記反応容器内部を窒素で置換し、1,3−ブタジエン24.0部を添加して乳化させた。その後、反応系を攪拌しながら、52℃に昇温し、過硫酸カリウム0.12部を添加して乳化重合を開始させた。重合転化率が85%に達した時点から更に3時間反応を継続し、重合転化率が98%に達した時点で反応を終了した。その後、減圧下で未反応単量体を除去し、重合体ラテックスシードを得た。当該ラテックスシードの固形分濃度は25.6%であり、当該ラテックスシード中の粒子の体積平均粒子径は54.5nmであった。
イオン交換水203.0部、片末端に疎水基(炭素数12の炭化水素基)を有するポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−MP102)(以下、「疎水基を有するPVA」という。)10.0部、メタクリル酸メチル27.5部及びアクリル酸ブチル27.5部を別の反応容器に添加し、攪拌して、単量体乳化物を得た。
【0043】
イオン交換水10.3部を上記ラテックスシードに添加して攪拌しながら80℃に昇温し、更にイタコン酸5.0部を添加して溶解させた後、過硫酸カリウム0.6部をイオン交換水14.0部に溶解した水溶液及び上記単量体乳化物を添加し、乳化重合を開始させた。上記単量体乳化物の連続添加は150分間かけて終了した。上記単量体乳化物の添加終了後、乳化重合を120分間行い、冷却により反応を終了させた。得られた組成物の重合転化率は98%であった。未反応単量体を当該組成物から減圧下で除去し、固形分濃度を24%に調整して、インクジェット記録媒体用バインダー組成物を得た。その物性を表1に示す。
【0044】
インク受理層用塗工組成物の製造
湿式シリカ((株)トクヤマ製ファインシールX−45)100部及びポリリン酸ナトリウム0.5部をイオン交換水に分散させた。次いで、ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA117、ケン化度約98.0〜99.0モル%、重合度1700)40部(固形分換算)を10%水溶液として分散物に添加し、30分間混合して、固形分濃度17%のインク受理層用塗工組成物を得た。
【0045】
インクジェット記録媒体用塗工組成物の製造
酸性コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテックスO−40、固形分濃度40%、粒子径25nm、pH3.9、粘度7.5mPa・s)90部(固形分換算)、アルカリ性コロイダルシリカ日産化学工業(株)製スノーテックス50、固形分濃度48%、pH9.18、粘度27mPa・s)10部(固形分換算)及び固形分が15部となる量の上記インクジェット記録媒体用バインダー組成物を分散機に添加して分散し、固形分濃度が33.6%となるようにイオン交換水を添加し、インクジェット記録媒体用塗工組成物を製造した。当該インクジェット記録媒体用塗工組成物の粘度は23mPa・sであった。
【0046】
インクジェット記録シートの製造
上記インク受理層用塗工組成物を、坪量130g/m2の上質原紙に、乾燥質量が片面15g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工し、熱風乾燥機で120℃で60秒間乾燥し、塗工紙Aを得た。次いで、上記インクジェット記録媒体用塗工組成物を塗工紙A上に、乾燥質量が片面17.5g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工し、熱風乾燥機で120℃で45秒間乾燥し、塗工紙Bを得た。塗工紙Bを23℃、相対湿度65%の雰囲気下で一晩調湿した。その後、調湿した塗工紙Bをミニカレンダーを用いて、80℃、75kg/cmの条件で2回カレンダー処理し、インクジェット記録シートを製造し、その性能を評価した。その結果が表2に示されている。
【0047】
実施例2
インクジェット記録媒体用バインダー組成物の製造方法を以下のとおりに変更し、インクジェット記録媒体用塗工組成物の塗工量を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同じ操作を行った。
イオン交換水250.0部、疎水基を有するPVA10.0部、疎水基を有しないポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA105)(以下、「疎水基を有しないPVA」という。)10.0部、メタクリル酸メチル50.0部及びアクリル酸2−エチルヘキシル45.0部を反応容器に添加し、攪拌して、単量体乳化物を得た。当該単量体乳化物を攪拌しながら80℃に昇温し、更にイタコン酸5.0部を添加して溶解させた後、過硫酸カリウム0.6部をイオン交換水20.0部に溶解した水溶液及び上記単量体乳化物を添加し、乳化重合を開始させた。上記単量体乳化物の連続添加は150分間かけて終了した。上記単量体乳化物の添加終了後、乳化重合を120分間行い、冷却により反応を終了させた。未反応単量体を当該組成物から減圧下で除去し、固形分濃度を24%に調整して、インクジェット記録媒体用バインダー組成物を得た。
【0048】
実施例3
インクジェット記録媒体用バインダー組成物の製造方法を以下のとおりに変更し、インクジェット記録媒体用塗工組成物の塗工量を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同じ操作を行った。
【0049】
実施例1で得た重合体ラテックスシードの製造方法と同じ方法で重合体ラテックスシードを得た。
イオン交換水203.0部、疎水基を有するPVA10.0部、イタコン酸2.5部、メタクリル酸メチル18.6部、アクリル酸エチル250.0部及びアクリル酸メチル6.4部を別の反応容器に添加し、攪拌して、単量体乳化物を得た。
イオン交換水10.3部を上記ラテックスシードに添加して攪拌しながら80℃に昇温し、更にイタコン酸7.5部を添加して溶解させた後、過硫酸カリウム0.6部をイオン交換水14.0部に溶解した水溶液及び上記単量体乳化物を添加し、乳化重合を開始させた。上記単量体乳化物の連続添加は150分間かけて終了した。上記単量体乳化物の添加終了後、乳化重合を120分間行い、冷却により反応を終了させた。得られた組成物の重合転化率は98%であった。未反応単量体を当該組成物から減圧下で除去し、固形分濃度を24%に調整して、インクジェット記録媒体用バインダー組成物を得た。
【0050】
比較例1
インクジェット記録媒体用バインダー組成物の製造方法を以下のとおりに変更し、インクジェット記録媒体用塗工組成物の塗工量を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同じ操作を行った。
イオン交換水120.0部、ラウリル硫酸ナトリウム0.7部、イタコン酸2.0部、メタクリル酸メチル50.0部及びアクリル酸ブチル45.0部を反応容器に添加し、攪拌して、単量体乳化物を得た。イタコン酸3.0部及びラウリル硫酸ナトリウム0.3部をイオン交換水180.0部添加して攪拌しながら80℃に昇温し、過硫酸カリウム0.2部をイオン交換水10.0部に溶解した水溶液及び上記単量体乳化物を添加し、乳化重合を開始させた。上記単量体乳化物の連続添加は150分間かけて終了した。上記単量体乳化物の添加終了後、乳化重合を120分間行い、冷却により反応を終了させた。未反応単量体を当該組成物から減圧下で除去し、固形分濃度を24%に調整して、インクジェット記録媒体用バインダー組成物を得た。
【0051】
比較例2
インクジェット記録媒体用バインダー組成物の製造方法を以下のとおりに変更し、インクジェット記録媒体用塗工組成物の塗工量を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同じ操作を行った。
イオン交換水196.0部、疎水基を有しないPVA20.0部、メタクリル酸メチル52.0部、アクリル酸ブチル45.0部及びメタクリル酸3.0部を反応容器に添加し、攪拌して、単量体乳化物を得た。イオン交換水220.0部を80℃に昇温し、過硫酸カリウム0.2部をイオン交換水10.0部に溶解した水溶液及び上記単量体乳化物を添加し、乳化重合を開始させた。上記単量体乳化物の連続添加は150分間かけて終了した。上記単量体乳化物の添加終了後、乳化重合を120分間行い、冷却により反応を終了させた。未反応単量体を当該組成物から減圧下で除去し、固形分濃度を24%に調整して、インクジェット記録媒体用バインダー組成物を得た。
【0052】
比較例3
インクジェット記録媒体用バインダー組成物の製造方法を以下のとおりに変更し、インクジェット記録媒体用塗工組成物の塗工量を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同じ操作を行った。
イオン交換水170.0部、疎水基を有するPVA10.0部、疎水基を有しないPVA10.0部、メタクリル酸メチル55.0部及びアクリル酸ブチル45.0部を反応容器に添加し、攪拌して、単量体乳化物を得た。イオン交換水220.0部を80℃に昇温し、過硫酸カリウム0.4部をイオン交換水10.0部に溶解した水溶液及び上記単量体乳化物を添加し、乳化重合を開始させた。上記単量体乳化物の連続添加は150分間かけて終了した。上記単量体乳化物の添加終了後、乳化重合を120分間行い、冷却により反応を終了させた。未反応単量体を当該組成物から減圧下で除去し、固形分濃度を24%に調整して、インクジェット記録媒体用バインダー組成物を得た。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
実施例1〜3のインクジェット記録媒体用バインダー組成物を使用して得たインクジェット記録シートは、優れた光沢性、インク吸収性、耐水性、印字濃度、印刷画像の鮮明性及びインクにじみ耐性を有していた。ビニル系不飽和単量体混合物をラウリル硫酸ナトリウムの存在下で乳化重合して製造したインクジェット記録媒体用バインダー組成物を使用して得たインクジェット記録シートの白紙光沢、印字光沢は低く、そのインクにじみ耐性、印刷画像の鮮明性、耐水性及びインク吸収性もかなり低かった。イタコン酸を含まないビニル系不飽和単量体混合物を乳化重合して製造したインクジェット記録媒体用バインダー組成物を使用して得たインクジェット記録シートの白紙光沢、印字光沢は低く、それらのインクにじみ耐性、印刷画像の鮮明性、耐水性及びインク吸収性も低かった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のインクジェット記録媒体は、インクジェット記録方式による記録媒体として特に有用であるが、オフセット印刷、フレキソ印刷等の水性インキ印刷用シートとしても利用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】表面酸基量及び水相酸基量を求めるためのグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体を含むビニル系不飽和単量体混合物を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の存在下で重合して得られるインクジェット記録媒体用バインダー組成物。
【請求項2】
上記ビニル系不飽和単量体混合物が、1〜20質量%の上記ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体と80〜99質量%のその他のビニル系不飽和単量体からなり、
上記ビニル系不飽和単量体混合物100質量部に対し、上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物3〜45質量部が使用される、請求項1に記載されたインクジェット記録媒体用バインダー組成物。
【請求項3】
上記ビニル系不飽和ジカルボン酸単量体がイタコン酸である、請求項1又は2に記載されたインクジェット記録媒体用バインダー組成物。
【請求項4】
上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物が、上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物に対し20質量%以上の疎水基を有するアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載されたインクジェット記録媒体用バインダー組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載されたインクジェット記録媒体用バインダー組成物及び顔料を含むインクジェット記録媒体用塗工組成物。
【請求項6】
請求項5に記載されたインクジェット記録媒体用塗工組成物が塗工されて形成された層を有するインクジェット記録媒体。
【請求項7】
請求項5に記載されたインクジェット記録媒体用塗工組成物が塗工されて形成された層を最表面に有する、請求項6に記載されたインクジェット記録媒体。
【請求項8】
請求項5に記載されたインクジェット記録媒体用塗工組成物を塗工して塗膜を形成する工程、
上記塗膜を加熱加圧下にカレンダー処理する工程、を実施するインクジェット記録媒体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−125610(P2010−125610A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299397(P2008−299397)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】