説明

インクジェット記録材料

【課題】染料及び顔料インクのどちらにおいても印字濃度が高く、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られ、顔料インクでの耐傷性が良好な、インクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に少なくとも2層以上のインク受容層を有し、支持体から最も離れた位置に設けられる最上層のインク受容層(A)が、平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカと平均一次粒子径5〜30nmの酸化アルミニウムを含有し、該インク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層(B)が、500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有し、なおかつインク受容層(A)の塗布量が1〜5g/m2であり、インク受容層(B)が10〜50g/m2であることを特徴とするインクジェット記録材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録材料に関し、染料及び顔料インクのどちらにおいても印字濃度が高く、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られ、顔料インクでの耐傷性が良好な、インクジェット記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、紙やプラスチック樹脂フィルム等の支持体上に無機微粒子とポリビニルアルコール等のバインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
例えば、粒子径500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号公報、特開平10−119423号公報、特開2000−211235号公報、特開2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号公報、特開平10−181190号公報に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。
【0004】
インクジェットプリンターは近年、益々高品質化への工夫がされており、画像の発色性と堅牢性とを同時に満足させるために顔料インクによるフォト品質の印字が始まっている。これらの顔料インクは、染料インクに比べて光やガスに対する堅牢性が高いことは知られていた。
【0005】
顔料インクは、色剤が単分子で存在している染料インクと比較すると画像保存性は優れているものの印字濃度が不十分であり、またインク粒子がインク受容層に入り込まずに表面で皮膜を形成するために、印字された画像の耐傷性に問題があり解決が望まれていた。この問題を改善した無機微粒子を用いた顔料インク用インクジェット記録材料も最近になって提案されている。例えば特開2001−96907号公報、特開2003−251915号公報、特開2005−7641号公報、特開2005−53099号公報等に開示されている。
【0006】
しかしながら、上述のような記録材料は、顔料インク用インクジェット記録材料であることから、染料インクでのインク吸収性を十分確保できず、発色性の低下を招いていた。
【0007】
顔料プリンターの需要が高まりつつあるが、しかしながら染料プリンターの需要もまだ十分にあり、顔料プリンターと染料プリンターがここ数年は混在する可能性が高く、染顔両用インクジェット記録材料の必要性が高いものとなってきている。特開2005−104028号公報(特許文献1)には、染顔両用インクジェット記録材料として、支持体上にアルミナ微粒子と気相法シリカを含有するインク受容層を設けるインクジェット記録材料が開示されている。
【0008】
市場ではフォトライクな光沢や質感を持つ記録材料が多いが、近年、ユーザーからマット調で深みのある落ち着いた画像が得られる記録材料への要望する声が大きくなってきた。
【0009】
上記課題に対して、従来から知られる紙支持体上に無機顔料を主体とする多孔質層を有する記録用紙、いわゆるマット紙が従来より用いられてきたが、顔料インクを用いて印字した場合、多孔質層に顔料インクが沈み込んで保持されてしまうため印字濃度が低く、また印字画像の均一性等が不十分であった。この問題に対し特開2005−053136号公報(特許文献2)には、紙支持体上に平均二次粒子径が1〜10μmの無機顔料を利用したインク受像層の上層にアルミナもしくはアルミナ水和物を利用するインクジェット記録材料が開示されているが、印字濃度が高く、マットで落ち着いた深みのある画像が得られ、顔料インクでの良好な耐傷性を有する記録材料は得られなかった。
【特許文献1】特開2005−104028号公報
【特許文献2】特開2005−053136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、印字濃度が高く、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られ、顔料インクにおいて、耐傷性の良好な、インクジェット記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下のインクジェット記録材料によって達成された。
(1)支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有し、支持体から最も離れた位置に設けられる最上層のインク受容層(A)が、平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカと平均一次粒子径5〜30nmの酸化アルミニウムを含有し、該インク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層(B)が、500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有し、なおかつインク受容層(A)の塗布量が1〜5g/m2であり、インク受容層(B)が10〜50g/m2であることを特徴とする顔料インク用インクジェット記録材料。
(2)前記インク受容層(B)が主体に含有する無機微粒子が気相法シリカもしくはアルミナ水和物であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録材料。
(3)前記インク受容層(A)に含有する湿式法シリカがゲル法シリカであることを特徴とする前記1〜2のいずれかに記載のインクジェット記録材料。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインクジェット記録材料によれば、染料インク及び顔料インクのどちらにおいても印字濃度が高く、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られ、また顔料インクでの耐傷性が良好なインクジェット記録材料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明に用いられる支持体としては上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙等の吸水性支持体、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸水性支持体等が用いられる。非吸水性支持体の中でも特に原紙の少なくとも一方の面をポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましく用いられる。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤を配合しても良い。もしくは、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていても良い。
【0015】
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。ただし、原紙の密度は剛直性のためには1.10g/cm3以下、好ましくは0.6〜1.05g/cm3である。密度が小さすぎると樹脂被覆を行っても均一な表面平滑性が得られにくい。
【0016】
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0017】
また、支持体の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、チバ・ジャパン(株)から市販されているイルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0018】
本発明において用いられる支持体は、ポリオレフィン樹脂の場合は、走行する原紙上に加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その表面または両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。ポリオレフィン樹脂被覆紙のインク受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などに加工される。裏面の樹脂被覆は必須ではないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の厚みとしては特に制限はないが、一般に片面5〜50μmの厚みに表面または表裏両面にコーティングされる。
【0019】
次に本発明の最上層のインク受容層(A)と支持体との間に設けられる、インク受容層(B)について説明する。
本発明のインク受容層(B)に主体に用いられる無機微粒子としては、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子である。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層(B)における全固形分に対して前記無機微粒子を50質量%以上含有することであり、より好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは65質量%以上であり、上限は95質量%程度である。本発明でいう平均二次粒子径は希釈分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。本発明のインク受容層(B)に主体に用いられる無機微粒子は、合成非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等公知の各種微粒子が挙げられるが、気相法シリカ、アルミナ水和物が好ましく用いられる。合成非晶質シリカには、気相法によるものと湿式法及びその他によるものがある。気相法シリカは乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0020】
本発明のインク受容層(B)に、好ましく用いられる気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、5〜30nmが好ましく、さらに15nm以下が好ましい。また、より好ましくは一次粒子の平均粒径が5〜15nmでかつBET法による比表面積が200m2/g以上のものを用いることである。本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。本発明でいう平均一次粒子径とは、分散液を基板上などに乾燥させ、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求められる。
【0021】
湿式シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカに分類される。沈降法シリカはケイ酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカ二次粒子は穏やかな凝集粒子となり、比較的粉砕しやすい粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。ゲル法シリカはケイ酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて珪酸ゾルを生成する。珪酸ゾルは次第に重合し、一次粒子を形成し、さらに三次元的に凝集体を形成し、ゲル化する。このシリカを気流粉砕等の一般的な方法で粉砕して微粉化する。すなわちゲル法では、酸性サイドで反応重合させ、ゲル状になるまで静置し、水洗して乾燥しゲル法シリカを得る。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップジェルとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。
【0022】
インク受容層(B)に用いられる、気相法シリカ及び湿式法シリカは、カチオン性化合物の存在下で、該シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは20〜200nmに分散したものが使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
【0023】
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
【0024】
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
【0025】
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2または3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0026】
[Al2(OH)nCl6-nm 一般式1
[Al(OH)3nAlCl3 一般式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式3
【0027】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、理研グリーン(株)よりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードのものが容易に入手できる。
【0028】
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性化合物としては、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
【0029】
本発明のインク受容層(B)に好ましく用いられるアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。本発明のアルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
【0030】
本発明に用いられる上記のアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
【0031】
本発明のインク受容層(B)には上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は、いずれの態様も、7:3〜3:7の範囲が好ましい。
【0032】
本発明のインク受容層(B)の乾燥塗布量の範囲は、10〜50g/m2である。乾燥塗布量が10g/m2未満の場合では、インク吸収性が不十分となり、50g/m2を超えるとインク受容層が割れてしまい好ましくない。
【0033】
本発明のインク受容層(B)には、結着剤として親水性バインダーを用いることが好ましい。用いられる親水性バインダーとしては、公知の各種バインダー、例えばカゼイン、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、シリル性ポリビニルアルコール等を用いることができるが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用にあたっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を防いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。その使用量は500nm以下の平均二次粒子径を有する無機微粒子に対して10〜30質量%である。
【0034】
本発明におけるインク受容層(B)には、上記親水性バインダーと共に架橋剤(硬膜剤)を用いることができる。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、N,N′−ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6―ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号明細書、米国特許第2,983,611号明細書記載の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシオキサンの如きジオキサン誘導体、クロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ砂の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。本発明においては特にホウ酸、ホウ砂またはホウ酸塩を用いることが好ましい。本発明で使用されるホウ酸は、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸等が、ホウ酸塩としてはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。その使用量はポリビニルアルコールに対して0.02〜50質量%であり、特に0.5〜35質量%が好ましい。
【0035】
インク受容層(B)にはさらに、カチオン性ポリマー、防腐剤、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などを添加することもできる。
【0036】
次に最上層のインク受容層(A)について説明する。
本発明のインク受容層(A)には平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカを含有する。平均二次粒子径が1.5μm未満では、顔料インクでの、マット調で深みのある落ち着いた画像を得ることができず、2.5μmを超えるとインクが沈み込み発色性が低下する。本発明における湿式法シリカの吸油量は200〜350ml/100gの範囲が好ましい。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。吸油量が200ml/100g未満または350ml/100gを超えると耐傷性が悪化するため好ましくない。湿式シリカとしては、前述の様に沈降法シリカとゲル法シリカに分類される。ゲル法シリカはその粒子構造の強さと凝集構造を容易に制御できる点に特徴がある。インクジェット記録材料にはインクの保持剤として高い吸油量を有するシリカが活用される。しかし最近の鮮明性、画質に対する要求が高くなっており、インクを表面部で保持することが重要となっている。シリカの細孔制御でこの点に対応する必要があり、ゲル法シリカが有用である。従って本発明においては特にゲル法シリカが好ましい。
【0037】
本発明のインク受容層(A)で用いられる平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカとしては、粉砕分散して微粒子化したものや粉砕を粗くした粒状のものを使用することができる。微粒化した粉体としては水澤化学工業(株)からミズカシル、東ソー・シリカ(株)からニップジェルとして市販され入手することができる。また、粉砕を粗くした粒状のものとしては、一般的にシリカゲルとも表現されており、乾燥剤やクロマトグラフィー充填剤等に利用されている。これらの粒状のものとしては豊田化工(株)からQPタイプ、富士シリシア化学(株)からフジシリカゲルとして市販され入手することができる。
【0038】
また、上記湿式法シリカをさらに微粉砕して使用することもできる。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することもできる。
【0039】
本発明においてインク受容層(A)に用いられる湿式法シリカは、通常水性媒体中で分散されるが、必要に応じて分散剤を添加することもできる。使用可能な分散剤はシリカ粒子表面に吸着して分散液を安定させる働きをするものが好ましく、例えばカチオン性化合物を挙げることができる。カチオン性化合物については前述の気相法シリカ及び湿式シリカの分散に使用するカチオン性化合物と同義である。分散剤は単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。
【0040】
本発明のインク受容層(A)に用いられる酸化アルミニウムは、工業的にアルミナと呼ばれており、結晶タイプとしてはγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶とγグループ結晶が好ましい。特に気相法により製造される気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナは日本アエロジル(株)よりAEROXIDEタイプとして入手することができる。
【0041】
本発明の酸化アルミニウムの好ましい平均一次粒子径は5〜30nmであり、7〜20nmがより好ましい。酸化アルミニウムの好ましい平均二次粒子径は500nm以下であり、20〜300nmがより好ましい。本発明の酸化アルミニウムのBET法による比表面積は、60m2/g以上のものが好ましく、100m2/g以上のものがより好ましい。
【0042】
本発明に用いられる酸化アルミニウムは、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
【0043】
本発明におけるインク受容層(A)において、湿式法シリカと酸化アルミニウムの固形分比が質量比で、湿式法シリカ:酸化アルミニウム=8:2〜3:7であることが好ましい。より好ましいのは7:3〜5:5である。
【0044】
本発明のインク受容層(A)に用いられる平均二次粒子径が1.5〜2.5μmの湿式法シリカと、平均一次粒子径5〜30nmの酸化アルミニウムの合計量は、インク受容層(A)における全固形分に対して50質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは65質量%以上であり、上限は95質量%程度である。
【0045】
上記インク受容層(A)には、結着剤として親水性バインダーを用いることが好ましい。用いられる親水性バインダーとしては、前述のインク受容層(B)のバインダーと同義であり、親水性バインダーとしては、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。その使用量は平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカと平均一次粒子径5〜30nmの酸化アルミニウムの合計量に対して10〜30質量%である。
【0046】
また、本発明ではインク受容層(A)に界面活性剤等の公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0047】
また、本発明ではインク受容層(A)の塗設に用いる塗布液のpHを調整することによって、より高い印字濃度が得られる。5.0以上にすることが好ましく、5.0〜7.0の範囲で用いるのがより好ましい。pHの調整は公知のアルカリ、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を使用することができる。
【0048】
本発明ではインク受容層(A)に架橋剤を含有しないことが好ましい。従って前述のインク受容層(B)において最も好ましい架橋剤であるホウ砂またはホウ酸塩等のホウ素化合物を含有しないことが好ましい。インク受容層(A)にホウ素化合物を含有しないことによってより高い印字濃度が得られる。含有する場合、ポリビニルアルコールに対して5質量%以下であることが好ましい。
【0049】
本発明におけるインク受容層(A)の乾燥塗布量の範囲は、1〜5g/m2の範囲である。乾燥塗布量が1g/m2未満ではマット調で深みのある落ち着いた画像が得られない、また5g/m2を超えると発色性の低下を招き好ましくない。
【0050】
本発明の記録材料のインク受容層を有する側の表面の光沢度、すなわちインク受容層(A)面のJIS−P−8741で規定されている75°鏡面光沢度は10.0以下であることが好ましい。通常、光沢度を低く抑えると印字濃度が低くなる傾向であるが、本発明のインク受容層(B)と最上層の構成を採用することにより、低い光沢度で高い印字濃度を満足させることができる。その結果、マット調でかつ深みのある落ち着いた画像が得られる。
【0051】
本発明において、インク受容層を構成している各層の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0052】
本発明では、スライドビード方式のような、最上層と支持体との間に設けられるインク受容層と、最上層を構成する各層を乾燥工程を設けないで、ほとんど同時に塗布する方法を用いることにより各層に要求される特性が効率よく得られ、生産効率の点からも好ましい。
【0053】
支持体にインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、好ましくはコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が行われる。
【0054】
本発明は、非吸水性支持体を用いる場合、支持体のインク受容層を設ける面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。該プライマー層の上に、本発明の無機微粒子含有のインク受容層を塗布した後、冷却し、比較的低温で乾燥することによって、さらにインク受容層の透明性が向上する。
【0055】
支持体上に設けられるプライマー層はゼラチン、カゼイン等の天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする。係る合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0056】
上記プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
【0057】
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0058】
本発明の記録材料に印字するのに使用する顔料インクとしては、水性顔料インクが好ましく、従来公知の有機及び無機顔料を分散剤、界面活性剤等各種助剤と共に水中に分散したものである。従来公知の有機及び無機顔料としては、例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの手法により製造されたカーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0059】
好適なものとしては、黄色系顔料としては、ダイニチファーストイエローG(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー1)、ダイニチファーストイエローGR(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー2)、ダイニチファーストイエロー10G(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー3)、モノライトファーストイエロー5G(商品名、インペリアルケミカルインダストリーズ製、C.I.ピグメントイエロー4)、サンヨウファーストイエロー5G(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー5)、ダイニチファーストイエロー3G(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー6)、サンヨウファーストイエローR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー10)、サンヨウベンジジンイエローB(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー12)、山陽ライトファーストベンジジンイエローR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー13)、スミトモイエローG(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー14)、2600ベンジジンイエロー(商品名、大日精化工業(株)製、ピグメントイエロー15)、シミュラーファーストイエロー8GR(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー17)、クロモフタールイエロー8GN(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー128)、クロモフタールイエロー6G(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー94)、クロモフタールイエロー3G(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー93)、クロモフタールイエローGR(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー95)、カヤセットイエローE−AR(商品名、日本化薬(株)製、C.I.ピグメントイエロー147)、クロモフタールイエロー2RLTS(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー110)、イルガジンイエロー2GLTE(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー109)、イルガジンイエロー2RLT(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー110)、イルガジンイエローRRLTN(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー110)、イルガライトイエローF4G(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー111)、イルガライトイエローBRM(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー14)、マイクロリースイエロー3G−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー13)、マイクロリースイエロー2R−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントイエロー83)。
【0060】
赤色系顔料としては、サンヨウシグナルレッド(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド1)、ダイニチパーマネントレッド4R(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド3)、ダイニチパーマネントレッドRX(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド4)、スミトモカーマインB(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド5)、サンヨウファーストレッド(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド6)、サンヨウパーマネントレッドG−207(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド9)、ボルドーF−2R(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド12)、サンヨウファーストレッドGR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド21)、スミトモスカーレットFSH(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド22)、サンヨウファーストレッド10B(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド23)、マイクロリースレッドRBS−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド23)ダイニチ#930ファーストレッド(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド38)、950レッド(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド41)、ダイニチパーマネントレッド(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド48(カルシウムレイキ))、サンヨウファーストレッド2B(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド48(バリウムレイキ))、サンヨウピグメントスカーレットTR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド48(ストロンチウムレイキ))、スミトモレッド2BM(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド48(マンガンレイキ))、シミュラーレイキレッドR(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド49(バリウムレイキ))、シミュラーレイキレッドD(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド50)、シミュラーレイキレッドC(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド53(バリウムレイキ))、スミトーンレッド6F(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド57(カルシウムレイキ))、シミュラーファーストボルドー10B(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド63(バリウムレイキ))、ダイニチファーストピンクGX、Gトナー(商品名、大日精化工業(株)、C.I.ピグメントレッド81)、スミトーンレッドGS(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド112)、シミュラーファーストカーマインBS(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド114)、クロモフタールスカーレットRN(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド166)、クロモフタールレッドG(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド220)、クロモフタールDPPレッドBP(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド254)、クロモフタールレッドBRN(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド144)、クロモフタールレッドA2B(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド177)、シンカシアレッドBNRT742D(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントヴァイオレット19)シンカシアレッドBRT790−D(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントヴァイオレット19)、マイクロリーススカーレットR−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド166)、マイクロリース2B−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド221)、マイクロリースマゼンタB−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントレッド184)。
【0061】
青色系顔料としてはシミュレックスブルーBOF(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー1)、シミュレックスブルー16F(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー2)、ファーストゲンブルーB,BS(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー15)、ファーストゲンブルーGS,2G(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー15)、ファーストゲンスカイブルー(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー17)、スミトーンネイビーブルー(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー25)、クロモフタールブルーA3R(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントブルー60)、クロモフタールブルー4GNP(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントブルー15:3)、イルガライトブルーFR(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントブルー62)、マイクロリースブルー4G−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントブルー15:3)。
【0062】
黒色系顔料としては、サンヨウダイアモンドブラック(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントブラック1)、マイクロリースブラックC−WA(商品名、チバガイギー製、C.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック))、MA7(商品名、三菱化学(株)製、C.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック))、RAVEN780,1080(商品名、コロンビアカーボン製、C.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック))等の顔料が挙げられる。
【0063】
本発明の染料インクとは、溶媒として水が主体に用いられているが、インクジェットノズルの目詰まり防止のために、インク全体に対して5〜40質量%程度の水溶性アルコール系溶剤が一般的に含まれている。アルコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、これらグリコールのモノアルキルエーテル、グリセリン等の多価アルコールが一般的に用いられている。
【0064】
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料など各種染料を使用することができる。
【0065】
例えば染料の例としては、C.I.ダイレクトブラック−4、−9、−11、−17、−19、−22、−32、−80、−151、−154、−168、−171、−194及び−195、C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−142、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236及び−287、C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−15、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110、−189及び−227、C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−86、−87、−88、−135、−142及び−144、C.I.フードブラック−1及び−2、C.I.アシッドブラック−1、−2、−7、−16、−24、−26、−28、−31、−48、−52、−63、−107、−112、−118、−119、−121、−172、−194及び−208、C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−62、−78、−80、−81、−90、−102、−104、−111、−185及び−254、C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−52、−249及び−257、C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76及び−79、ブロジェットシアン1、ブロジェットマゼンタ1、ブロジェットマゼンタ1T、ボルジェットイエロー1G(以上Zeneca社)、AE−SF VP344、Duasyn Brilliant Red F3BSF VP180(以上ヘキスト社)、Basacid Black X34 liquid、Basacid Black X38 liquid、Basacid Red 495 liquid、Basacid Blue 752 liquid、Basacid Blue 624 liquid、Basacid Blue 765 liquid、Basacid Yellow SE0840 liquid、Basacid Yellow SE0173 liquid、Basacid Yellow 099 liquid(以上BASF社)、Special Black SP liquid、Special Black HF(以上バイエル社)等が挙げられる。これら染料は単独で、あるいは2種以上混合して、さらにはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4原色の他、赤、青、緑等のカスタムカラーに調色したものを用いても良い。
【0066】
インク中における染料の含有量は、0.5〜20質量%の範囲、より好ましくは1〜10質量%である。
【実施例】
【0067】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り固形分あるいは実質成分の質量部及び質量%を示す。
【0068】
(実施例1)
(支持体の作製)
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿して支持体の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、裏面とした。
【0069】
上記表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成のプライマー層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥して支持体を作製した。
【0070】
(プライマー層)
石灰処理ゼラチン:100部、スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩:2部、クロムミョウバン:10部
【0071】
(インク受容層(B)の塗布液の調製)
(アルミナ分散液(a)の調製)
水に分散剤として硝酸をアルミナ水和物Al23換算100gに対して25mmolになるように予め添加しておき、分散装置(特殊機化工業(株)製、ハイビスディスパーミックス)により撹拌しながら、この溶液にアルミナ水和物(SASOL製、DISPERAL HP−14)を添加し、添加後さらに60分撹拌を続け、固形分濃度30%のアルミナ水和物分散液を得た。この平均二次粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所、LA−920)で測定した結果は250nmであった。
【0072】
上記アルミナ分散液を100部用いて、さらにポリビニルアルコール水溶液(8%、(株)クラレ製:PVA235)10部、4%ホウ酸水溶液0.2部を1%エタノール水溶液と混合してインク受容層(B)の塗布液を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は18%にした。
【0073】
(最上層のインク受容層(A)の塗布液の調製)
(シリカ分散液(a)の調製)
市販湿式法シリカ(東ソー・シリカ(株)製、商品名:NIPGEL AY−200、BET比表面積300m2/g、細孔容積1.6ml/g、吸油量280ml/100g、ゲル法シリカ)をイオン交換水と一緒に分散機(特殊機化工業(株)製、T.K.ロボミックス)で連続的に分散した。T.K.ロボミックスは回転数3000rpmで使用した。その後、AGESTAT A50(チバ・ジャパン(株)製、ポリエチレンポリアミン・ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物)をシリカ100部に対して5部になるようにして添加して、さらに上記の分散機で回転数3000rpmで分散させた。分散液のシリカの固形分濃度は13%にした。この平均二次粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した結果は2.3μmであった。
【0074】
(アルミナ分散液(b)の調製)
水に分散剤として硝酸をアルミナ水和物Al23換算100gに対して25mmolになるように予め添加しておき、分散装置(特殊機化工業(株)製、ハイビスディスパーミックス)により撹拌しながら、この溶液に酸化アルミニウム(EVONIK製、AEROXIDE AluC)を添加し、固形分濃度30%のアルミナ分散液を得た。この平均一次粒子径を電子顕微鏡で測定した結果は13nmであった。
【0075】
(最上層のインク受容層(A)塗布液の調製)
上記シリカ分散液(a)を60部、アルミナ分散液(b)を40部、ポリビニルアルコール水溶液(8%、(株)クラレ製:PVA235)23部、フッ素系界面活性剤(セイケミカル(株)製:サーフロンS−131)0.3部を3%エタノール水溶液と混合して塗布液を作製した。このときの塗布液のpHは6.5に調整した。また、塗布液濃度は11%にした。
【0076】
(記録材料の作製)
上記支持体に上記インク受容層(B)塗布液と上記最上層のインク受容層(A)塗布液を、乾燥固形分量がそれぞれ40g/m2、3g/m2になるように、スライドビード塗布装置で同時塗布し、乾燥した。
【0077】
(実施例2)
実施例1における最上層のインク受容層(A)の分散液の配合を、シリカ分散液(a)90部、アルミナ分散液(b)10部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0078】
(実施例3)
実施例1における最上層のインク受容層(A)の分散液の配合を、シリカ分散液(a)75部、アルミナ分散液(b)25部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0079】
(実施例4)
実施例1における最上層のインク受容層(A)の分散液の配合を、シリカ分散液(a)45部、アルミナ分散液(b)55部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0080】
(実施例5)
実施例1における最上層のインク受容層(A)の分散液の配合を、シリカ分散液(a)20部、アルミナ分散液(b)80部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0081】
(実施例6)
実施例1における最上層のインク受容層(A)のシリカ分散液(a)のAY−200の代わりに、Mizkasil P−803(水澤化学工業(株)製、BET比表面積180m2/g、細孔容積0.6ml/g、吸油量210ml/100g、沈降法シリカ)を用いた以外は同様にして記録材料を作製した。この時、湿式法シリカの平均二次粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した結果は2.4μmであった。塗布液pHは6.2に調整した。
【0082】
(実施例7)
実施例1の最上層のインク受容層(A)で用いたシリカ分散液(a)のAY−200の代わりに、湿式シリカ(東ソー・シリカ(株)社製、NIPGEL AZ−200、BET比表面積300m2/g、細孔容積2.0ml/g、吸油量330ml/100g、ゲル法シリカ)を用いて以下のように最上層のインク受容層(A)の塗布液を作製した以外は同様にして記録材料を作製した。この時、湿式法シリカの平均二次粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した結果は1.8μmであった。塗布液pHは6.2に調整した。
【0083】
(実施例8)
実施例1の最上層のインク受容層(A)で用いたアルミナ分散液(b)の酸化アルミニウム(EVONIK製、AEROXIDE AluC)の代わりに、酸化アルミニウム(EVONIK製、AEROXIDE Alu65)を用いた以外は同様にして記録材料を作製した。この平均一次粒子径を電子顕微鏡で測定した結果は20nmであった。
【0084】
(実施例9)
実施例1の最上層のインク受容層(A)で用いたアルミナ分散液(b)の酸化アルミニウム(EVONIK製、AEROXIDE AluC)の代わりに、酸化アルミニウム(EVONIK製、AEROXIDE VP Alu3)を用いた以外は同様にして記録材料を作製した。この平均一次粒子径を電子顕微鏡で測定した結果は10nmであった。
【0085】
(実施例10)
実施例1のインク受容層(B)で用いたアルミナ水和物の代わりに、気相法シリカを用いて以下のようにインク受容層(B)の塗布液を作製した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0086】
(シリカ分散液(b)の調製)
水にジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000、4部)と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、100部)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)を使用して分散し、これを圧力ホモジナイザーに、40MPaの条件で1回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液を得た。この平均二次粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した結果は150nmであった。
【0087】
上記シリカ分散液(b)を104部用いて、さらにポリビニルアルコール水溶液(8%、(株)クラレ製:PVA235)23部、4%ホウ酸水溶液5部を3%エタノール水溶液と混合してインク受容層(B)の塗布液を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は12%にした。
【0088】
(実施例11)
実施例1におけるインク受容層(B)の分散液の配合を、シリカ分散液(b)30部、アルミナ分散液(a)70部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0089】
(比較例1)
実施例1において、最上層のインク受容層(A)の分散液の配合を、シリカ分散液100部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0090】
(比較例2)
実施例6において、最上層のインク受容層(A)の分散液の配合を、シリカ分散液100部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0091】
(比較例3)
実施例7において、最上層のインク受容層(A)の分散液の配合を、シリカ分散液100部に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0092】
(比較例4)
実施例1における最上層のインク受容層(A)の乾燥固形分量を0.5g/m2に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0093】
(比較例5)
実施例1における最上層のインク受容層(A)の乾燥固形分量を8g/m2に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0094】
(比較例6)
実施例1におけるインク受容層(B)の乾燥固形分量を5g/m2に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0095】
(比較例7)
実施例1におけるインク受容層(B)の乾燥固形分量を55g/m2に変更した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0096】
その結果、塗布面にひび割れが発生した。
【0097】
(比較例8)
実施例1における最上層のインク受容層(A)のシリカ分散液のAY−200の代わりに、NIPGEL CY−200(東ソー・シリカ(株)製、BET比表面積800m2/g、細孔容積1.1ml/g、吸油量185ml/100g、ゲル法シリカ)を用いた以外は同様にして記録材料を作製した。この時、湿式法シリカの平均二次粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した結果は2.7μmであった。塗布液pHは6.3に調整した。
【0098】
(比較例9)
実施例1における最上層のインク受容層(A)のシリカ分散液(a)のAY−200の代わりに、湿式シリカ(東ソー・シリカ(株)製、NIPGEL AZ−200、ゲル法シリカ)を用いて以下のように最上層のインク受容層(A)の塗布液を作製した以外は同様にして記録材料を作製した。
【0099】
(ゲル法シリカの分散液の一次分散工程)
AZ−200を3.0Kg秤量し、AZ−200に対して4%のジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000)とイオン交換水を合わせて7.0Kgになるように秤量した。これらを合わせて、分散機(特殊機化工業(株)製、ハイビスディスパーミックス3D−10型)を用いて分散し、30%ゲル法シリカ分散液を得た。この時の分散条件はディスパー周速21.0m/秒、プラネタリー回転数30rpmで60分間とした
【0100】
(ゲル法シリカの分散液の二次分散工程)
一次分散工程で得られたゲル法シリカ分散液をビーズミル(シンマルエンタープライゼス(株)製、ダイノミル)でビーズ充填率60容量%(0.3mmΦジルコニアビーズ使用)、ディスク周速12.5m/秒、ポンプ流量300ml/分の条件で1パス処理を行った。この平均二次粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した結果は1.4μmであった。
【0101】
(最上層のインク受容層(A)の塗液の調製)
上記分散液を60部、アルミナ分散液(b)を40部、ポリビニルアルコール水溶液(8%、(株)クラレ製:PVA235)23部、フッ素系界面活性剤(セイケミカル(株)製:サーフロンS−131)0.3部を3%エタノール水溶液と混合して塗布液を作製した。このときの塗布液のpHは6.5に調整した。また、塗布液濃度は11%にした。
【0102】
(比較例10)
実施例10におけるインク受容層(B)の塗布液のみを、乾燥固形分量40g/m2で支持体上に塗布し乾燥した。
【0103】
得られた記録材料について、以下の項目を評価した。
<インク吸収性(染料インク)>
染料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−800)にてC,M,Y,K,R,G,Bをそれぞれ最大インク吐出量でベタ印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。最も悪い評価結果を採用した。
○:全く転写しない。
△:やや転写する。
×:転写が大きく実用上問題となる。
【0104】
<インク吸収性(顔料インク)>
顔料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PX−5500)にてC,M,Y,K,R,G,Bをそれぞれ最大インク吐出量でベタ印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。最も悪い評価結果を採用した。
○:全く転写しない。
△:やや転写する。
×:転写が大きく実用上問題となる。
【0105】
<発色性(染料インク)>
染料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−G850)にて記録材料にカラー画像を記録し、目視にて発色性、鮮明性を評価した。
○:良好。
△:画像がやや白っぽい。
×:画像がかなり白っぽい。
【0106】
<発色性(顔料インク)>
顔料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PX−5500)にて記録材料にカラー画像を記録し、目視にて発色性、鮮明性を評価した。
○:良好。
△:画像がややくすんで見える。
×:画像がかなりくすんで見える。
【0107】
<耐傷性>
顔料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、G−900)を用いて、Blueの最大インク吐出量でベタ印字を行い、ギザロールが通過した画像部を目視評価した。
○:顔料インクの剥離ない。
△:顔料インクの剥離がわずかにある。
×:顔料インクの剥離がある。
【0108】
<画像の評価(染料インク)>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−G850)を用いて、カラーの人物画像を印字し、マット調でかつ深みのある落ち着いた画像が得られているかを視覚的に下記の基準で評価した。
○:マット調でかつ印字濃度が高く深みのある落ち着いた画像が得られている。
△:画像の深みではやや劣るが充分にマット調の風合いがある。
×:光沢感がありマット調の風合いが得られないか、もしくは印字濃度が低く画像の深みが劣る。
【0109】
<画像の評価(顔料インク)>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PX−5500)を用いて、カラーの人物画像を印字し、マット調でかつ深みのある落ち着いた画像が得られているかを視覚的に下記の基準で評価した。
○:マット調でかつ印字濃度が高く深みのある落ち着いた画像が得られている。
△:画像の深みではやや劣るが充分にマット調の風合いがある。
×:光沢感がありマット調の風合いが得られないか、もしくは印字濃度が低く画像の深みが劣る。
【0110】
【表1】

【0111】
上記の結果から明らかなように、本発明は、染料及び顔料インクのどちらにおいても印字濃度が高く、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られ、顔料インクでの耐傷性が良好なインクジェット記録材料を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に少なくとも2層以上のインク受容層を有し、支持体から最も離れた位置に設けられる最上層のインク受容層(A)が、平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカと平均一次粒子径5〜30nmの酸化アルミニウムを含有し、該インク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層(B)が、500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有し、なおかつインク受容層(A)の塗布量が1〜5g/m2であり、インク受容層(B)が10〜50g/m2であることを特徴とするインクジェット記録材料。
【請求項2】
前記インク受容層(B)が主体に含有する無機微粒子が気相法シリカもしくはアルミナ水和物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
【請求項3】
前記インク受容層(A)に含有する湿式法シリカがゲル法シリカであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のインクジェット記録材料。

【公開番号】特開2009−172885(P2009−172885A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14372(P2008−14372)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】