説明

インクジェット記録装置

【課題】ワイパーが、記録ヘッドに対して接触であるヘッドワイピング装置は、1回のクリーニングでノズルプレートのインク等をクリーニングするが、撥液処理層を磨耗し、吐出に悪影響を与えるという虞がある。
【解決手段】ノズル3をクリーニングするクリーニングユニット5には、支持台21と、支持台21と共に移動してノズル3のインクをクリーニングするワイピング部22と、クリーニング動作を行う進行方向に対してワイピング部22の後方、且つバネ23を介して支持台21に設けられ、クリーニングされたインクを吸引する吸引ノズル24と、が設けられ、セットピン25によりワイピング部22が移動してワイピング部22と記録ヘッド4の間隔が調整され、クリーニングする際に接触クリーニング及び非接触クリーニングを選択することで、撥液処理層の磨耗を防止し、インクを安定して吐出でき、高品質な画像記録ができるインクジェット記録装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体ヘインクを吐出して記録を行う記録ヘッドのノズルプレートをクリーニングする機能を搭載するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及しているインクジェットプリンタは、簡便、安価且つ高速に画像を記録することができる。インクジェットプリンタは一般的に、インク滴を吐出する記録ヘッドに対して対面するように記録媒体を搬送し、記録媒体が記録ヘッドに対面している間に記録ヘッドからノズルを通じてインク滴を記録媒体に吐出することで、記録媒体上に画像を記録する。
【0003】
このようなインクジェットプリンタには、ノズルが形成されるノズルプレート上にごみや異物といったダストや廃インク等が付着してしまう。このようなダストや廃インクがノズルプレート上のノズル近傍に付着した状態で画像記録を行うと、インク滴の吐出方向が変わったり、インク滴を吐出することができなくなったりと、記録する画像の品質が低下する虞がある。そこで従来から、インクジェットプリンタでは、記録ヘッドのノズルプレートをクリーニングすることが一般的であった。クリーニング方法としては、例えばノズルプレートに付着したダストや廃インク等をワイパーでふき取ったり、ノズルプレートにスポンジなどのインク吸収部材を押しつけてノズルプレートに付着したダストや廃インク等を吸引して除去する方法といった機械的な払拭方法が公知である。また、キャップでノズルプレートを覆い、キャップ側から洗浄液を吐出してノズルプレートを洗浄する方法も公知である。
【0004】
しかしながら、前述した機械的なクリーニング方法は、ノズルプレート上に施された撥液処理コーティング層(以下、撥液処理層)を磨耗させ、インク吐出に不具合を生じさせてしまう問題があった。さらに、ノズルプレートがワイパーやインク吸収部材によって押しつけられることにより、ノズル内部にダストや廃インクが混入してしまい、ノズルの目詰まりが引き起こされる虞がある。
また、洗浄液を吐出してノズルプレートの洗浄を行う方法は、機構が複雑になり、さらに洗浄液の吐出圧の設定が大きくなってしまうと洗浄液がノズルを介して記録ヘッド内に侵入し、インクと混ざり合ってしまうという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1にはインクジェットプリンタのメンテナンス装置100が開示されている。図36にそのメンテナンス装置100を示す。細管101に、ポンプにより加圧されたインク102がインクチューブを通じて供給され、インク102の表面張力によりメニスカスが形成される。さらに加圧が継続されると、記録ヘッドのノズル端面103と細管101の間隙で、毛細管力によりインク102がブリッジ状に形成される。この状態でポンプが停止され、細管101がブリッジ状のインク102がノズル端面103に接触するように、ノズル端面103に沿って移動する。これによりノズル端面103に付着している微細なインクは、ブリッジ状になったインク102に吸収され、細管101が記録ヘッドから離れると、インク102が細管101内へと回収され、メンテナンスが行われる。
【0006】
また、特許文献2にはインクジェットプリンタのヘッドワイピング装置が開示されている。このヘッドワイピング装置には、3枚のワイパーを有するワイパー群が設けられている。ワイパーの長さ寸法は、前方のワイパーから後方のワイパーに向かって長くなる。最前部のワイパーは、記録ヘッドのノズルプレートとは非接触であり、後方の2枚のワイパーは、記録ヘッドのノズルプレートに接触してクリーニングする方式が採用されている。
【特許文献1】特開平05−042678号公報
【特許文献2】特開2002−283581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したメンテナンス装置100は、細管101をノズル端面103に沿って移動させることによりメンテナンスを行い、インク吐出に影響のないレベルまでノズル端面103に付着しているインクを除去する。しかし、細管101がノズル端面103を移動する間に、ブリッジ状のインク102から滴るインクが僅かにノズル端面103上に残ってしまう。残存したインク102は、時間の経過に伴いノズル端面103上で増粘、固化してしまう。この状態で次のブリッジ状のインク102が来てもノズル端面103上に残存したインクは除去されず、堆積してしまう。特に記録ヘッドが長尺の場合、毛細管力における表面張力の不均一性により記録ヘッドのノズル端面103上に残存したインクを正確に取り除くことは困難となる。
【0008】
また前述した特許文献2におけるヘッドワイピング装置において、最前部のワイパーは、ノズルプレートに対して非接触であるが、後方の2枚のワイパーは接触する。よって、このような構成においても、クリーニング動作のたびにノズルプレートに対して機械的に接触クリーニングを必ず行うためノズルプレート上に形成されている撥液処理層の磨耗を早め、吐出に悪影響を与えるという虞がある。
【0009】
よって本発明は、ワイパーがノズルプレートをクリーニングする際に接触クリーニング及び非接触クリーニングを選択することで撥液処理層の磨耗を抑え、長時間にわたり目詰まりを生じさせることがなく、インクを安定して吐出でき、高品質な画像記録ができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、記録媒体にインクを吐出する複数のノズルで形成されるノズル列が設けられたノズルプレートを有する記録ヘッドと、ノズルプレート表面をクリーニングするワイパーと、ワイパーとノズルプレートの間隔を調整する間隔調整機構と、を具備し、ワイパーによってノズルプレートをクリーニングする際に、間隔調整機構は、ワイパーとノズルプレートの間隔を、第1のクリーニングモード時には第1の間隔に設定し、第2のクリーニングモード時には第2の間隔に設定することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワイパーがノズルプレートをクリーニングする際に、ワイパーをノズルプレートに接触させる接触クリーニングモードとワイパーをノズルプレートに接触させない非接触クリーニングモードのいずれかを選択し、実行させる。このようにすることで、ノズルプレート表面にコーティングされた撥液処理層の磨耗を抑えることができ、長時間にわたり目詰まりを生じさせることがなく、インクを安定して吐出でき、高品質な画像記録ができるインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
以下の説明において、図中、記録媒体2の搬送方向をX軸方向又は副走査方向とし、この搬送方向と直交する方向をY軸方向又は主走査方向又は記録媒体2の幅方向としている。X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向又は上下方向とする。さらに図2に示すようにクリーニングユニット5が記録ヘッド4から退避(待機)しているポジションをワイパーホームポジション、ノズル3がワイパー40によってクリーニングされる範囲をクリーニング範囲、記録ヘッド4を中心にワイパーホームポジションとは対称なポジションをワイパーキャンセルポジションと称する。本願明細書中に記載されているクリーニングとは、例えば払拭することを意味する。また、高さとは支持台から各構成部材までの高さを指すものとする。
【0013】
図1乃至図12を参照して第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置1のインク経路を示す概略図である。図2は、記録ヘッド4周辺の概略側面図である。図3は、吸引ノズル24を図2に示すA方向から見た断面図である。図4は、吸引ノズル24の上面図である。図5は、記録ヘッド4をノズルプレート34と対面する側から見た図である。図6は、記録ヘッド4を図2に示すA方向から見た断面図である。図7は、クリーニングユニット5におけるワイピング部22周辺の概略断面斜視図である(吸引ノズル24及びバネ23は省略している)。
【0014】
インクジェット記録装置1には、記録媒体2にインクを吐出するノズル3と、複数のノズル3を設けている記録ヘッド4と、記録ヘッド4の側面に設けられ、ノズル3をクリーニングするクリーニングユニット5と、記録ヘッド4に第1のインク経路6を介してインクを供給するサブタンク7と、サブタンク7にインクを一時充填させるために第2のインク経路8を介してインクを供給するインクボトル9が設けられている。またインクジェット記録装置1には、図示しない搬送機構が設けられている。この搬送機構は、画像記録を行う記録媒体2をX軸方向に搬送する。
【0015】
記録ヘッド4は図5及び図6に示すように、Y軸方向に所定ピッチで配列された複数のノズル3が形成されたノズルプレート34を有する。このノズルプレート34の周りには、ノズルプレート34よりもZ軸方向の記録媒体2側にわずかに突出するマスクプレート33が設けられている。このマスクプレート33は、ノズルプレート34が搬送される記録媒体2などとの接触を極力回避するように設けられるものである。
【0016】
図2に示すように、クリーニングユニット5には、ノズル3に対向し、Y軸方向に(ノズル3に沿って、以下、クリーニング動作を行う進行方向と称する)移動可能である支持台21と、支持台21上に設けられ、ノズルプレート34のインクをクリーニングするワイピング部22と、クリーニング動作を行う進行方向に対してワイピング部22の後方で、且つバネ23を介して支持台21に設けられ、ワイピング部22によってクリーニングされたインクを吸引する吸引ノズル24と、が設けられている。
【0017】
吸引ノズル24の構成を図3及び図4に示す。吸引ノズル24には、上面30中央部に凹み31が設けられている。この凹み31の底面には、インクを吸引する複数の吸引孔32がY軸方向に等間隔に1列に設けられている。この吸引孔32は、インク吸引路35と繋がっており、凹み31に充填したインクは図示しない負圧発生源によって生じる負圧によって吸引孔32、インク吸引路35に吸引される。吸引されたインクはインク吸引路35を通じて図示しない廃液ボトルに流される。この吸引ノズル24の下方には、吸引ノズル24を上方に付勢するバネ23が設けられている。このバネ23の付勢力により、吸引ノズル24は上方に押圧され、その上面30が記録ヘッド4のマスクプレート33に当接することになる。なお、この際、吸引ノズル24の各部位は、記録ヘッド4のノズルプレート34に当接することはない。
【0018】
ワイピング部22の構成を図7に示す。ワイピング部22には、ノズルプレート34上に付着しているインクを払拭する、弾性部材からなるワイパー40と、ワイパー40を支持し、Z軸方向に移動可能なワイパー支持軸41と、ワイパー支持軸41をZ軸方向に移動可能に保持する筐体42と、が設けられている。
【0019】
ワイパー支持軸41はZ軸方向に延在する矩形軸状部材であり、上面にワイパー40を保持している。またこのワイパー支持軸41の側面中央部分には側面から突出するバネ係合部41aが形成されている。なお、このバネ係合部41aは、その上面が後述する筐体42の内側面近傍にまで達しており、よってワイパー支持軸41のZ軸方向への移動をガイドする機能を有している。さらに、バネ係合部41aのZ軸方向下方且つワイパー支持軸41のY軸側の側面には、筐体42に対するワイパー支持軸41のZ軸方向の移動を規制する係合片41bが突出して形成されている。係合片41bは後述する筐体42に形成された開口部42bを貫き、後述する回動片49のカギ部49bと当接可能な程度に突出している。
【0020】
筐体42は中空の軸状部材であり、その中空部分にワイパー支持軸41を収納し、取り囲むように構成されていると共に、ワイパー支持軸41がZ軸方向に移動可能なように保持する。筐体42のZ軸方向上方の内側面には、ワイパー支持軸41に向けて突出するバネ係合部42aが形成されている。このバネ係合部42aは後述するバネ46の係止部となる機能を有し、また先端でワイパー支持軸41のX、Y方向の移動を規制する。つまり、バネ係合部41a及び42aはワイパー支持軸41をZ軸方向のみに沿って移動させ、X、Y方向にぐらつかないように移動できるようにする機能も有している。また、筐体42のY方向における側面には、開口部42bが形成されている。この開口部42bはワイパー支持軸41の係合片41bが挿通可能な程度の大きさであり、特に開口部42bのZ軸方向における下端縁が、ワイパー支持軸41の係合片41bと当接した際に、筐体42に対するワイパー支持軸41のZ軸方向における位置が、最も低い位置となるように規定されている。なお、開口部42bの上端縁は、後述する回動片49のカギ部49bのZ軸方向における高さ位置よりも十分に高い位置になるように設定される。
【0021】
また筐体42のY軸方向側面には、回動片49を軸支する回動支点42cが設けられている。この回動支点42cには、回動片49が回動可能に軸支されている。この回動片49は板状部材であって、Z軸方向上端にはカギ部49bが形成され、Z軸方向の下端にはキャンセルピン26が当接するキャンセル操作部49cが形成されている。この回動片49は図示していないバネによって図7において、反時計回りに付勢されている。
【0022】
支持台21におけるワイパー支持軸41の下方に相当する部分には、後述するセットピン25が挿通可能な開口部21aが形成されている。
ワイパー支持軸41と筐体42との間には、バネ46が介在されている。より詳細に説明すると、ワイパー支持軸41のバネ係合部41aと、筐体42のバネ係合部42aと、の間にバネ46が配置されている。バネ46の付勢力によりワイパー支持軸41はZ軸方向下方に付勢される。なお、ワイパー支持軸41はZ軸方向下方に付勢されると、ワイパー支持軸41の係合片41bが筐体42の開口部42bの下端縁に当接することにより、ワイパー支持軸41の筐体42内での下端位置が規定される。
【0023】
ワイピング部22のワイパー40をZ軸方向に沿って記録ヘッド4に向けて移動させるために間隔調整機構としてのセットピン25がワイパーホームポジションに設けられる。より詳細に説明すると、クリーニングユニット5がワイパーホームポジションに位置づけられている状態で、セットピン25は支持台21に形成された開口部21aの下方に設けられる。
【0024】
このセットピン25は、図示しない駆動機構によってZ軸方向に移動可能であり、開口部21aを通り、ワイパー支持軸41をZ軸方向上方に押圧することができる。
このセットピン25の上昇移動により、ワイパー支持軸41を下端から押圧し、Z軸方向に沿って上昇させる。ワイパー支持軸41が上昇すると、それに伴い係合片41bが開口部42b内を移動(上昇)する。係合片41bは上昇するに伴い、回動片49のカギ部49bと当接する。その際、回動片49は、回動片49に作用している図示しないバネの付勢力に対抗して時計まわりに回動し、同時に係合片41bはさらに上昇する。係合片41bが上昇しカギ部49bより上方に移動すると、回動片49は再び図示しないバネの付勢力によって反時計まわりに回動し、カギ部49bが係合片41bの下方に位置する。ここで、セットピン25の上昇移動を停止させ逆に下降させると、ワイパー支持軸41はバネ46の付勢力によりZ軸方向下方に向けて下降するが、カギ部49b上面に係合片41bが当接することで、ワイパー支持軸41は、その位置で停止する。この結果、ワイパー支持軸41は筐体42よりも上方に位置することになり、ワイパー40はZ軸方向の高さが最も高くなる。
また、ワイパーキャンセルポジションには、ワイピング部22のワイパー40をZ軸方向に沿って記録ヘッド4から退避するように移動させるための、間隔調整機構としてのキャンセルピン26が設けられている。キャンセルピン26は回動片49のキャンセル操作部49cに対して当接可能な位置に固定され、クリーニングユニット5がキャンセルピン26に対して接近するように移動し、回動片49のキャンセル操作部49cに対して、キャンセルピン26が当接することで、回動片49は時計回りに回動する。回動片49が時計回りに回動することにより、カギ部49bは係合片41bの下方から退避することになり、バネ46の付勢力によりワイパー支持軸41は下降することになる。そして下降するワイパー支持軸41は係合片41bが筐体42の開口部42bの下端縁に当接するまで下降する。
【0025】
次に図8及び図9を参照して、非接触クリーニング及び接触クリーニングの動作及び各クリーニングモード時のワイピング部22の動きについて説明する。なお図7と同様に図8(a)乃至図8(f)において吸引ノズル24及びバネ23は省略している。
図8(a)は、ワイパーホームポジションにおいて、バネ46の付勢力によって、ワイパー支持軸41の係合片41bが開口部42bの下端縁に位置している状態のワイピング部22を示している。
図8(b)は、ワイパーホームポジションにおいて、ワイパー支持軸41がセットピン25によって上昇される途中状態におけるワイピング部22を示している。
図8(c)は、ワイパーホームポジションにおいて、ワイパー支持軸41の係合片41bと回動片49のカギ部49bとが係合し、ワイパー40のZ軸方向における高さが最も高い位置にある状態のワイピング部22を示している。
【0026】
図8(d)は、ワイパー40が最も高い位置にある状態であって、ノズルプレート34に対して接触クリーニングを行っている状態のワイピング部22を示している。
図8(e)は、ワイパーキャンセルポジションにおいて、キャンセルピン26に対して回動片49のキャンセル操作部49cが当接した状態であり、ワイパー40がノズルプレート34に対して接触状態から非接触状態に変移する際の状態を示している。
図8(f)は、ワイパーキャンセルポジションにおいて、ワイパー支持軸41の係合片41bが開口部42bの下端縁に位置している状態のワイピング部22を示している。
また、図9(a)〜図9(c)はワイパー40がノズルプレート34に対して接触しながらクリーニングを行っている接触クリーニングモード時の、ノズルプレート34とワイパー40の状態を示した図であり、図9(d)〜図9(f)はワイパー40がノズルプレート34に対して接触することなくクリーニングを行っている非接触クリーニングモード時の、ノズルプレート34とワイパー40の状態を示した図である。
【0027】
まず、接触クリーニングモード時におけるワイピング部22の動作について説明する。 ワイパーホームポジションにおけるワイピング部22は、図8(a)に示す状態に配置されている。つまり、ワイパー支持軸41がバネ46の付勢力によりZ軸方向下方に向かって付勢され、係合片41bが筐体42の開口部42bの下端縁に当接した状態であり、ワイパー40がノズルプレート34にわずかに達しない状態である。
【0028】
次に、図示しない駆動機構によってセットピン25を上昇させて、バネ46の付勢力に対抗して、ワイパー支持軸41を下方から押圧して上昇させる。ワイパー支持軸41の上昇に伴い、係合片41bが回動片49のカギ部49bに対して突き当たる。係合片41bの先端及びカギ部49bの先端は互いに傾斜面として形成され、係合片41bの上昇により、カギ部49bは図中Y軸方向(右方向)に回動される。つまり回動片49はこの係合片41bのZ軸方向に移動する力により、回動支点42cを中心に時計回りに回動させられ(図8(b)参照)、係合片41bをさらに上昇させる。そして、係合片41bがカギ部49bを越えて更に上方に移動すると、回動片49は図示しないバネの付勢力により反時計まわりに回動し、元の位置(図8(c)で示す位置)に戻る。セットピン25は所定位置(係合片41bがカギ部49bよりも上方に移動する程度)まで上昇すると、図示しない駆動機構は、セットピン25を元の位置まで(図8(c)に示す位置まで)下降させる。セットピン25の下降に伴い、ワイパー支持軸41はバネ46の付勢力により、下方に向かって移動し、係合片41bが回動片49のカギ部49b上面に当接する。これによりカギ部49bは係合片41bの移動を規制する規制部材としての機能を果たす。つまりカギ部49bはワイパー支持軸41の下降動作を規制し、その規制した状態を強固に維持する。このときワイパー40は、Z軸方向において最も上方に位置づけられると共に、支持台21からワイパー40の先端までの高さは、支持台21から記録ヘッド4のノズルプレート34の表面までの高さよりも高い第1の位置に位置づけられる。
【0029】
このように、記録ヘッド4のノズルプレートに対して接触できる程度にワイパー40の高さを設定したならば、次に支持台21をY軸方向に沿って移動させることで、ワイピング部22をY軸に沿って移動させて接触クリーニングを実行する。
【0030】
図8(d)に示すように、接触クリーニング時では、ワイパー40が第1の位置にある状態でワイピング部22をY軸方向に移動させ、ワイパー40をノズルプレート34に対して接触させながらダストや廃インクを払拭する。このときのワイパー40は図9(a)〜図9(c)に示すように、ワイパー40はノズルプレート34と当接し、弾性変形して撓んだ状態でノズルプレート34上を移動し、ノズルプレート34上のダストや廃インクを払拭していく。このようにしてワイパー40を記録ヘッド4のノズルプレート34全面に亘って走査する。
【0031】
ワイピング部22がY軸方向に沿って移動され、記録ヘッド4のノズルプレート34と対向する部分を通過し、ワイパーキャンセルポジションに到達すると、回動片49のキャンセル操作部49cに対して、ワイパーキャンセルポジションに固定されているキャンセルピン26が当接する。回動片49はキャンセルピン26によって相対的に押圧されることで、回動支点42cを中心に時計まわりに回動する。この結果、係合片41bのストッパーとして機能していたカギ部49bが、係合片41bの下方から退避し(図8(e)参照)、ワイパー支持軸41はバネ46の付勢力により下降する。ワイパー支持軸41は係合片41bが筐体42の開口部42bの下端縁に当接するまで下降する(図8(f)参照)。係合片41bが開口部42bの下端縁に当接すると、ワイパー支持軸41は図8(a)に示す初期位置に到達する。その状態で支持台21全体をY軸方向に沿って逆方向に移動させて、支持台21をワイパーホームポジションに向けて移動させる。
【0032】
次に、非接触クリーニングモード時におけるワイピング部22の動作について説明する。
図8(a)に示すように、ワイピング部22はワイパーホームポジションに位置づけられている。このとき、ワイパー支持軸41の係合片41bが開口部42bの下端縁に当接している。つまり支持台21からワイパー40の上端までの高さは、支持台21から記録ヘッド4のノズルプレート34の表面までの高さよりも僅かに低い第2の位置に位置づけられる。
この状態で、支持台21をY軸方向に沿って移動させる。図9(d)〜図9(f)に示すように、非接触クリーニング時では、ワイパー40はノズルプレート34に対して接触することなく走査されることになるが、インクは、表面張力の小さいほうから、大きいほうへ移動する性質がある。つまりインクは、濡れにくい部材から濡れやすい部材へと移動する。この実施形態では、ノズルプレート34上には撥液処理層が形成されていることから、ノズルプレート34よりもワイパー40のほうが濡れやすいため、インクは、ワイパー40に吸い寄せられる。よって、ワイパー40がノズルプレート34に接触することなく、ノズルプレート34上のインクを払拭することが可能となる。
【0033】
支持台21がワイパーキャンセルポジションに到達すると、キャンセルピン26に対して回動片49のキャンセル操作部49cが当接し、回動片49が時計回りに回動するものの、既にワイパー支持軸41の係合片41bは開口部42bの下端縁に当接し、ワイパー支持軸41は下端位置に位置つけられているため、ワイパー40の高さ位置は変わらない。そして支持台21は、Y軸方向に逆方向に移動し、ワイパーホームポジションに向かい移動する。
【0034】
次に図10を参照して、一連の画像記録動作の中でどのようにクリーニングを実行するかを説明する。図10は、記録とクリーニングのタイミングを示すフローチャートである。
インクジェット記録装置1の電源がONになると(Step1)、インクジェット記録装置1は、接触クリーニングを実施する(Step2)。次に、これから記録する記録媒体の枚数Nが入力される(Step3)。次にインクジェット記録装置1は、カウンタとして非接触クリーニングの回数mを初期化して0にセットする(Step4)。次に記録が終わった記録媒体の枚数nをインクジェット記録装置1は、初期化して0にセットする(Step5)。さらにインクジェット記録装置1は、記録媒体を1枚記録する毎に記録枚数nを1カウントアップし、同時に記録された枚数Nを1カウントダウンする(Step6)。次にインクジェット記録装置1は、記録する枚数Nが0枚であるか否かを判断する(Step7)。
【0035】
記録する枚数Nが0でなければ(Step7:NO)、記録が終わった枚数nが500枚であるか否かを判断する(Step8)。記録が終わった枚数nが500枚でなければ(Step8:NO)、Step6に戻る。
記録が終わった枚数nが500枚であれば(Step8:YES)、非接触クリーニングの回数mが10回であるか否かを判断する(Step9)。
【0036】
非接触クリーニングの回数mが10回でなければ(Step9:NO)、非接触クリーニングを実施し、非接触クリーニングの回数mを1カウントアップし(Step10)、Step5に戻る。
非接触クリーニングの回数mが10回であれば(Step9:YES)、接触クリーニングを実施し(Step11)、Step4に戻る。
【0037】
記録する枚数Nが0であれば(Step7:YES)、接触クリーニングヘと進む(Step12)。接触クリーニング後は、放置時間tを初期化して0にする(Step13)。次に記録継続するか否かを判断する(Step14)。
記録継続しないならば(Step14:NO)、終了する。
【0038】
一方、記録継続するならば(Step14:YES)、放置時間tが12時間以上であるか否かを判断する(Step15)。放置時間tが12時間以上であれば(Step15:YES)、Step2に戻る。放置時間tが12時間以上でなければ(Step15:NO)、Step3に戻る。
【0039】
次に本実施形態における接触クリーニング、非接触クリーニングの選択について説明する。
ノズルプレート34をクリーニングする際に、ワイパー40が撥液処理層を常に繰り返し擦ることで、ノズルプレート34上に溜まったインクは除去される。しかし、ワイパー40が撥液処理層を繰り返し擦ることは、撥液処理層に傷をつけてしまうことにつながる。撥液処理層に傷があると、吐出不良を引き起こす虞がある。
本実施形態は、ワイパーの非接触クリーニングモードを設定し、ノズルプレート34から僅かに離れた位置にワイパー40を配置し、毛細管力でノズルプレート34に接触させることなく(非接触で)、インクを除去することが可能である。この方法であれば、ノズルプレート34の撥液処理層を傷つけることなく、クリーニングを行うことが可能であり、安定した吐出を得ることができる。
【0040】
また、ノズルプレート34とワイパー40の間隔は、クリーニング時の加圧パージ、または吸引パージにおけるインク量、インクの粘度、インクの表面張力等によって算出された適切な間隔を選択すればよい。
【0041】
なお、本実施形態の加圧パージインク量は1.2ml、インクの粘度は10mPa・s(25℃)、表面張力は28mN/m(25℃)であり、非接触クリーニングの際のノズルプレート34とワイパー40の間隔は0.1mm〜1mmである。また、ノズルプレート34とワイパー40は、ワイパー40のほうが濡れやすいという関係であればよい。例えば、ノズルプレート34がフッ素系コーティングされたものに対して、ワイパーはNBR、シリコーン、SBR、NR、PVC、クロロプレンゴム、EPDM又は、ウレタンなどを使用することが可能である。ワイパーとしてゴム硬度の低い(可塑剤等の添加量の多い)一部のFKM(フッ素ゴム)も使用可能である。また、ノズルプレート34がポリイミドであれば、ワイパーはNBRを使うことが可能である。本実施形態では、ノズルプレート34はフッ素コーティングされており、ワイパーはFKMであり、ノズルプレート34よりも濡れやすい特性をもつ。
【0042】
ところでインクジェット記録装置1には、単色の記録ヘッド、または例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)といった色毎にインクを吐出する複数の記録ヘッドが設けられている。このようなインクジェット記録装置1には、小サイズの記録媒体2に記録する際に一部の記録ヘッド4しか使用しないことがある。使用しない記録ヘッド4が、記録待機時、電源OFF時等で長い時間放置されると、ノズルプレート34の撥液処理層にインクの膜が形成される。この膜は、クリーニング時に僅かに残存したインクの溶剤が蒸発し、インクが増粘、または固化によって形成される。
【0043】
この場合、ワイパー40をノズルプレート34に接触させるように、そのワイパー40の高さを設定し、機械的な力でクリーニングを行うことで膜は除去可能となる。
また、記録中であってもノズルプレート34上に残った微細なインク滴が堆積し、乾燥し、固化することがある。固化を防止するために、非接触クリーニングの合間に一定の時間間隔で、また一定の回数毎に接触クリーニング、つまり機械的な力でクリーニングを行うことによりノズルプレート34の表面の状態を良好に維持できる。接触クリーニングの際のノズルプレート34へのワイパー40の接触長さは0.5mm〜1.5mmに設定してある。
【0044】
本実施形態では、非接触クリーニングの頻度は接触クリーニングに比べて多くしている。例えば、記録中は例えば記録枚数500枚に1回の割合で非接触クリーニングを実施し、非接触クリーニングを10回行う中で1回は接触クリーニングを実施している。このため、接触クリーニングのみに比べて撥液処理層の摩耗を格段に少なくできる。また、非記録状態で一定時間、例えば12時間以上放置した後やプリンタ電源ON時のクリーニング時には接触クリーニングを実施する。各クリーニングの間隔は、インクの乾燥具合、吐出性を見て、それぞれ適切な値を設定すればよい。
【0045】
本実施形態では、接触クリーニングの回数、非接触クリーニングの回数、記録枚数及び放置時間などをモニタすることにより、接触クリーニングと非接触クリーニングを適切な時に選択し実施できる。このため、良好なノズルプレート34の状態を維持できると共に記録中の接触クリーニングの頻度を非接触クリーニングに比べて少なくできる。また、記録と記録の間に毎回、接触クリーニングを行うのではなく、所定時間放置した場合に、接触クリーニングを行い、撥液処理層の摩耗を格段に抑えるようにしている。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のように、非接触クリーニングを実行することで、接触クリーニングの回数を減らすことができる。このため、ノズルプレート上のインクを除去できる他、ノズルプレート34の表面に施された撥液処理層の摩耗を抑えることができ、インクの吐出不良の発生を抑制することができ、高品質な画像を記録できる。
また本実施形態においてワイパー支持軸41及び筐体42は、直方体形状であったが、この形状に限定する必要はなく、例えば図11及び図12に示すように円筒形状あってもよい。
【0047】
次に図13乃至図17を参照して第2の実施形態ついて詳細に説明する。
本実施形態におけるワイピング部22は前述した第1の実施形態におけるワイピング部22とは異なる構成である。本実施形態におけるワイピング部22以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様なために、その詳細な説明は省略する。また前述した第1の実施形態と同等の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
図13は、記録ヘッド4周辺の概略側面図である。図14は、ワイピング部22周辺の概略斜視図である。図15(a)は、図15(b)に示す線分A−Aにおける断面図(ワイピング部22をY軸方向から見た際の断面図)、図15(b)は、ワイピング部22の概略側断面図である。図16(a)乃至図16(f)は、ワイピング部22の移動構成について説明する概略側面図である。なお図8と同様に図16(a)乃至図16(f)において吸引ノズル24及びバネ23は省略している。図17(a)は、吸引ノズル24を図13に示すB方向から見た際の側面図、図17(b)は、ワイパー40がノズルプレート34と接触状態であることを示すX軸方向からの側面図、図17(c)は、ワイパー40がノズルプレート34とは非接触状態であることを示すX軸方向からの側面図である。
【0049】
図13に示すように、クリーニングユニット5には、クリーニングを行う進行方向に沿って移動可能である支持台21と、この支持台21上に設けられるワイピング部22と、吸引ノズル24と、が設けられている。なお、ワイピング部22と吸引ノズル24はそれぞれバネ51,23を介して支持台21上に設けられる。
【0050】
本実施形態のワイピング部22を図14,図15(a)及び図15(b)に示す。ワイピング部22には、弾性部材であるワイパー40と、ワイパー40を支持するワイパー支持軸41と、ワイパー40のX軸両端に設けられているカバー52と、ワイパー支持軸41を固定すると共にカバー52がZ軸方向に移動可能に保持する筐体42と、が設けられている。
【0051】
ワイパー支持軸41は、Z軸方向に延在する矩形軸状部材であり、そのZ軸方向の上面にワイパー40を保持する。ワイパー支持軸41は中空の筐体42内に配置されるように、筐体42の底面に固定されている。なお、ワイパー支持軸41に保持されるワイパー40が、筐体42のZ軸方向上面よりも突出するように、ワイパー40及びワイパー支持軸41の高さが設定されている。
【0052】
カバー52は、中空の四角柱状部材であり、その中空部分にワイパー支持軸41が位置つけられていると共に、ワイパー支持軸41の延在方向に沿って移動可能に筐体42内に設けられている。カバー52のZ軸方向上面には一対のカバー部52aが形成される。そのカバー部52aはワイパー40の幅方向両側に互いに位置づけられる。カバー部52aの幅(Y軸方向における側面)はカバー52の本体部分の幅よりも狭く形成され、その幅寸法の差で形成される段差部52bが後述する筐体42のバネ係合部42aと当接することで、カバー52のZ軸方向上方への移動を規制している。また、カバー52にはY軸方向に向かって突出し、カバー52のZ軸方向の移動を規制する係合片52cが形成されている。この係合片52cは後述する筐体42に形成されている開口部42bを貫き、筐体42の外側面まで突出している。カバー52の下端には弾性部材であるバネ53が取り付けられており、バネ53は、カバー52を筐体42に対して、Z軸方向上方に向けて付勢している。
【0053】
筐体42は中空部材であり、その内方に、ワイパー支持軸41を固定するとともに、カバー52をバネ53を介してZ軸方向に移動可能に支持している。筐体42の底面にはバネ51が取り付けられており、筐体42はバネ51を介して支持台21上に取り付けられている。
【0054】
また、筐体42のクリーニング動作を行う進行方向前方側の側面には、Z軸方向に沿って延在して開口部42bが形成されている。前述したようにこの開口部42bにはカバー52に形成されている係合片52cが挿通され、係合片52cがこの開口部42bのZ軸方向上端縁及び下端縁に当接することで、カバー52のZ軸方向の移動範囲を規制している。
【0055】
さらに筐体42のクリーニング動作を行う進行方向前方側の側面には、回動片49の回動支点42cが設けられている。この回動支点42cには、回動片49が回動可能に軸支されている。この回動片49は板状部材であって、Z軸方向下端にはカギ部49bが形成されている。また回動片49の上方には後述するキャンセルピン26が当接するキャンセル操作部49cが形成されている。この回動片49は図示していないバネによって図15において、時計回りに付勢されている。
【0056】
支持台21は、バネ51を介して筐体42全体がZ軸方向に沿って移動できるように保持している。
バネ51は、支持台21と筐体42との間に介在され、筐体42をZ軸方向上方に向けて付勢する。なお、このバネ51は、カバー52と筐体42との間に配置されているバネ53によりも弾性力量が弱くなるように設定している。そのため、カバー52が上方から押圧された場合には、まずはじめにバネ51が縮み、バネ51が縮みきった後にバネ53が縮むことになる。
【0057】
ワイピング部22のワイパー40をノズルプレート34に当接させるための一対のセットピン25が、ワイパーホームポジションに設けられている。より詳細には、クリーニングユニット5がワイパーホームポジションに位置づけられている状態で、Z軸方向上方で、カバー部52aに対向する位置に、一対のセットピン25が設けられている。この一対のセットピン25は、図示しない駆動機構によってZ軸方向に移動可能であり、下降することで、カバー部52aを下方に向けて押圧することができる。
【0058】
このセットピン25の下方への移動により、セットピン25はそれぞれ2つのカバー部52aに対して当接し、さらにカバー52を下方へ押圧する。
【0059】
カバー52が上方から押圧されるものの、バネ51と53の弾性力量の関係から、、先にバネ51が縮むので、筐体42内におけるカバー52の位置は変わらず、カバー52を含む筐体42全体が下降する。
【0060】
バネ51が縮み、これ以上縮むことができない状態(筐体42が下降下限位置)に達し、かつカバー52がセットピン25によってさらに押圧されると、今度はバネ53が縮み、筐体42内においてカバー52が下降することになる。カバー52の下降に伴い、係合片52cが開口部42b内を移動(下降)し、回動片49のカギ部49bに当接する。当接する際、係合片52cは、図示しないバネにより付勢された回動片49に対抗して、図15中、回動片49を反時計まわりに回動させながら、さらに下降する。
【0061】
係合片52cがさらに下降し、カギ部49bより下方に移動すると、回動片49は再び図示しないバネの付勢力によって時計まわりに回動し、カギ部49bが係合片52cの上方に位置する。ここで、セットピン25の下降動作を停止させ逆に上昇させると、カバー52はバネ53の付勢力によりZ軸方向上方に向けて上昇する。上昇した際、カギ部49bの下面に係合片52cの上面が当接することで、筐体42内におけるカバー52上昇動作は、規制される。つまりカギ部49bと係合片52cとの当接により、筐体42内でのカバー52の移動は止まり、その状態を維持する。このときのカバー52のカバー部52aの上面の高さはワイパー40の上端の高さよりも低く、ワイパー40上端を露出させることになる。
【0062】
なお、筐体42はバネ51の付勢力があるため、セットピン25の上昇に伴い、筐体42全体が支持台21に対して上昇する。
また、ワイパーキャンセルポジションには、ワイピング部22のワイパー40をZ軸方向に沿って記録ヘッド4から退避するように移動させるための、間隔調整機構としてのキャンセルピン26が設けられている。キャンセルピン26は回動片49のキャンセル操作部49cに対して当接可能な位置に設けられ、クリーニングユニット5がキャンセルピン26に対して接近するように移動し、回動片49のキャンセル操作部49cをキャンセルピン26に当接させることで、回動片49を反時計回りに回動させる。この結果、カギ部49bは係合片52cの上方から退避することになり、バネ53の付勢力によりカバー52は筐体42内で上昇することになる。そして上昇するカバー52は係合片52cが筐体42の開口部42bの上端縁に当接するまで上昇する。
【0063】
次に図15及び図16を参照して、非接触クリーニング及び接触クリーニングの動作及び各クリーニングモード時のワイピング部22の動きについて説明する。なお図15と同様に図16(a)乃至図16(f)において、吸引ノズル24及びバネ23は省略している。
図16(a)は、ワイパーホームポジションにおいて、カバー52に対する負荷が何ら発生していない状態、いわゆるフリーな状態であり、カバー52のカバー部52aがZ軸 方向で最も上方に位置している状態を示している。
図16(b)は、ワイパーホームポジションにおいて、カバー52がセットピン25によって上方から押圧され、バネ51,53が共に最も縮み、筐体42、カバー52が最も下降した状態を示している。
図16(c)は、セットピン25が上昇し、カバー52の係合片52cとカギ部49bとが係合した状態であり、筐体42全体が支持台21に対してバネ51の付勢力によって上昇した状態を示している。
【0064】
図16(d)は、ワイパー40がノズルプレート34に対して、接触クリーニングを行っている状態である。
図16(e)は、ワイパーキャンセルポジションにおいて、キャンセルピン26に対して回動片49のキャンセル操作部49cが当接した状態であり、ワイパー40がノズルプレート34に対して接触状態から非接触状態に変移する際の状態を示している。
図16(f)は、ワイパー40がノズルプレート34に対して、非接触クリーニングを行っている状態を示している。
まず、接触クリーニングモード時におけるワイピング部22の動作について説明する。
ワイパーホームポジションにおけるワイピング部22は、図16(a)に示す状態に配置されている。つまり、バネ51の付勢力により、支持台21に対して筐体42がZ軸方向上方に位置し、かつ、バネ53の付勢力により係合片52cが開口部42bの上端縁に当接し、カバー52が最もZ軸方向上方に位置した状態である。このときカバー52において、ワイパー40の両側に配設されているカバー部52aは、ワイパー40の上面よりもZ軸方向上方に突出している。また、支持台21からカバー部52aの上面及びワイパー40の上端までの高さは、支持台21からノズルプレート34の表面までの高さよりも高い。
【0065】
次に、図示しない駆動機構によってセットピン25を下降させて、カバー52を上方から下方に向けて押圧する。カバー52を支持しているバネ53の弾性力量がバネ51の弾性力量よりも大きいので、バネ53が縮む前に先にバネ51が縮む。つまり、セットピン25がカバー52を下方へ押圧することにより、筐体42内におけるカバー52の位置は変わらず、筐体42全体が下降することになる。
【0066】
セットピン25による押し下げ動作が続き、バネ51が縮み、バネ51がこれ以上縮むことができない状態に達し、筐体42が下降下限位置に到達すると、次に図16(b)に示すようにバネ53が縮み始め、筐体42内でカバー52が下降する。
【0067】
カバー52の下降に伴い、係合片52cが回動片49のカギ部49bに対して突き当たる。係合片52cの先端及びカギ部49bの先端は互いに傾斜面として形成され、係合片52cの下降により、カギ部49bは図中Y軸方向(右方向)に押圧される。回動片49はこの係合片52cのZ軸方向に移動する力により反時計回りに回動させられ、係合片52cの移動経路から退避する。そして、係合片52cがカギ部49bを越えてさらに下方に移動すると、回動片49は図示しないバネの付勢力により時計まわりに回動し、元の位置(図16(b)で示す位置)に戻る。図16(b)には、バネ51,53がセットピン25により押圧され最も縮んだ状態を示し、詳細には筐体42及びカバー52が共に、下降移動範囲内の最も下限の位置に達した状態を示している。
【0068】
この図16(b)に示す状態から、セットピン25の図示しない駆動機構は、セットピン25を元の位置、即ち図16(a)に示す位置まで上昇させる。セットピン25の上昇に伴い、バネ53の付勢力により、カバー52は上方に向かって移動する。そして、カバー52の係合片52cの上面が回動片49のカギ部49bの下面に当接する(図16(c)参照)。カギ部49bは係合片52cの移動を規制する規制部材としての機能を果たし、バネ53の付勢力によるカバー52の上昇動作を阻止し、その状態を強固に維持する。セットピン25の更なる上昇に伴い、バネ51の付勢力により筐体42はさらに上昇する。詳細には図16(a)で示す筐体42の高さと同じ高さまで上昇する)。
【0069】
セットピン25の更なる上昇により、セットピン25がカバー部52aから離間し、セットピン25による押圧力が取り除かれたワイピング部22において、ワイパー40がカバー部52aよりもZ軸方向に突出し、露出する。このときのワイパー40の上端は、記録ヘッド4のノズルプレート34の表面よりも上方に位置している。また、カバー部52aはマスクプレート33よりも上方に位置している(図16(c)参照)。
【0070】
次に、支持台21をY軸方向に沿って移動させることで、ワイピング部22をY軸に沿って移動させて接触クリーニングを実行する。
【0071】
図16(c)に示すように、カバー部52aの上面はマスクプレート33の表面よりも上方に位置しているために、接触クリーニングの際にカバー部52aの上面をマスクプレート33の表面と同じ高さになるようにカバー52を移動させる必要がある。このためワイピング部22を記録ヘッドの下方(マスクプレート33に対向する範囲)に配置するために、図示しないガイドを用い、支持台21をクリーニング動作を行う進行方向に移動させるにつれて、筐体42を徐々に下降させ、カバー部52aの上面をマスクプレート33の表面に、当接させる。
【0072】
次に図16(d)に接触クリーニングを実行している状態を示す。筐体42はバネ51の付勢力によって上方に付勢されている。そして、このバネ51の付勢力によって、カバー部52aが記録ヘッド4のマスクプレート33に当接する。カバー部52aがマスクプレート33に当接した状態において、ワイパー40は弾性的にノズルプレート34に当接し、弾性変形して撓んだ状態になる。この状態で、支持台21がY軸方向に移動することによって、ワイパー40はノズルプレート34に接触しながらノズルプレート34を払拭する。このようにしてワイパー40はノズルプレート34の全面に亘って走査する。
【0073】
ワイピング部22がY軸方向に沿って移動し、ノズルプレート34と対向する部分を通過すると、マスクプレート33とカバー52との当接状態が解除されるため、バネ51の付勢力により、筐体42全体が図16(c)に示す高さまで上方に移動する。その状態で更にY軸方向に移動され、ワイパーキャンセルポジションに到達し、ワイパーキャンセルポジションに固定されているキャンセルピン26に対して、回動片49のキャンセル操作部49cが当接する。回動片49はキャンセルピン26によって相対的に押圧されることで、回動支点42cを中心に反時計まわりに回動する。この結果、係合片52cのストッパーとして機能していたカギ部49bが、係合片52cの上方から退避する(図16(e)参照)。係合片52cとカギ部49bとの係合が外れると、バネ53の付勢力により、カバー52は筐体42内において上方に移動する。カバー52は係合片52cが筐体42の開口部42bの上端縁部に当接するまで上昇し、図16(a)で示す状態と同じ状態、即ち、カバー部52aが最も高い位置に位置づけられ、ワイパー40がカバー部52a上面よりもわずかに低い位置に位置づけられた状態になる。
【0074】
次に、非接触クリーニングモード時におけるワイピング部22の動作について説明する。
図16(a)に示すように、ワイピング部22はワイパーホームポジションに位置づけられている。
【0075】
この状態から、支持台21をクリーニング動作を行う進行方向に沿って(Y軸方向に)移動させる。筐体42はワイパーホームポジションから記録ヘッド4の対向位置に達する際に、筐体42はバネ51の付勢力に対抗して、図示しないガイドによって下降される。下降したカバー52の上面は、記録ヘッド4のマスクプレート33の表面に近接する。このとき、バネ53の付勢力により、カバー52を筐体42内における移動範囲の中でもっとも上方に位置づけているので、筐体42内ではワイパー40の上端よりもカバー部52aの上面のほうが高い位置にある。
【0076】
支持台21を更にクリーニング動作を行う進行方向に移動させ、カバー部52aの上面が、ノズルプレート34に対向する位置に達すると、筐体42はバネ51の付勢力によって記録ヘッド4に向けて付勢される。詳細には、カバー52のカバー部52aの上面が、バネ51及び53の付勢力によって、記録ヘッド4のマスクプレート33上に押圧した状態で当接する(図16(f)参照)。
【0077】
また、カバー52はバネ53の付勢力により常にワイパー40を覆うようにZ軸方向の上方に位置づけられるため、ワイパー40がノズルプレート34に当接することはない。
【0078】
よってワイパー40はマスクプレート33よりも上方に位置するノズルプレート34に対して接触することはなく、クリーニングの際にノズルプレート34上に形成されている撥液処理層を破損させるおそれはない。なお非接触クリーニングの際に、ワイパー40がノズルプレート34に接触しないものの、ノズルプレート34上のインクを払拭することが可能な程度の高さ(間隙)に設定されている。
【0079】
この状態を維持して、記録ヘッド4のノズルプレート34に対向する領域を通過させ、ワイパーキャンセルポジションまで移動させる。
【0080】
本実施形態のワイピング部22は、支持台21に対してバネ51を介して筐体42を、さらに筐体42に対してバネ53を介してカバー52を保持するように構成している。この構成により、支持台21が傾いていたり、またZ軸方向の高さ位置にバラツキがあったとしても、カバー52はバネ51及びバネ53によって押圧されることから、カバー52がマスクプレート33に対して確実に当接することになる。更に、バネ53の弾性力量がバネ51の弾性力量よりも大きく設定されているので、カバー52が位置決めの機能を果たし、非接触ワイピング時のワイパー40のZ軸方向の位置精度が出やすくなる。
【0081】
本実施形態における基本的な記録とクリーニングのタイミングは、前述した第1の実施形態と同様であるために省略する。本実施形態のように、接触クリーニングと非接触クリーニングを組み合わせることにより、目詰まりを生じさせることがなく、また、撥液処理層を磨耗させることなく、長時間にわたりノズルプレートをすることができる。よってインク吐出が安定し、高画質な画像を記録することができる。
【0082】
次に図18乃至図21を参照して第3の実施形態ついて詳細に説明する。
本実施形態におけるワイピング部22は前述した第1及び第2の実施形態におけるワイピング部22とは異なる構成である。本実施形態におけるワイピング部22以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。また前述した第1の実施形態と同等の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0083】
図18は、クリーニングユニット5の概略側面図である。図19は、ワイピング部22周辺の拡大図である。図20は、ワイピング部22を図19に示すC方向から見た際の側面図である。図21は、回転部材57が回転する様子を示す図である。
【0084】
図18乃至図20に示すようにワイピング部22は、支持台21に設けられている。ワイピング部22には、支持台21の側面に設けられた板55と、ノズルプレート34をクリーニングするワイパー40と、ワイパー40を支持し、板55上に開けられた図示しないスリット間を垂直に移動可能なワイパーホルダ56と、ワイパーホルダ56の下方且つ支持台21上方に設けられ、楕円形状でありワイパー40の幅分の厚みを有する間隔調整機構である回転部材57と、回転部材57を支持するために支持台21に設けられた柱58が設けられている。回転部材57は、図示しない動力で自在に回転することが可能である。また、図21に示すようにワイパー40の高さは、回転部材57の止まる位置を変更することで任意に変えることが可能である。回転部材57の回転半径Rは、記録ヘッド4とワイパー40の間の間隔に応じて選択すればよい。
【0085】
ワイパー40の高さ調整は、前述した第1の実施形態と同様に(図2を参照)クリーニングユニット5が退避しているワイパーホームポジションで行う。ワイパー40によるクリーニングは、記録ヘッド4の下方、つまりノズルプレート34と対向するポジション(クリーニング範囲)で行う。ワイパー40の高さを元に戻す(ワイパー40がノズルプレート34と非接触になる)調整は、クリーニングユニット5の稼動範囲の終端であるワイパーキャンセルポジションで行う。
【0086】
基本的な記録とクリーニングのタイミングは前述した第1の実施形態と同様である。
本実施形態において楕円形状である回転部材57が図示しない動力で自在に回転する。回転部材57の回転によりワイパーホルダ56は、高さ位置を変更できる。ワイパーホルダ56の高さ位置は、回転部材57の円径によって変更される。よってワイパーホルダ56に支持されるワイパー40は、高さ位置を調整できる。このようにワイパー40とノズルプレート34の相対間隔は、自由に変更可能ある。
【0087】
このように相対間隔を変更することで接触クリーニング、非接触クリーニングを選択して行うことができる。相対間隔は、例えばクリーニングの強弱やインクの種類などに応じて3段階以上にすることができる。
【0088】
本実施形態のように、ワイパー40とノズルプレート34の相対間隔を自由に変更することで接触クリーニングと非接触クリーニングを行える。接触クリーニングと非接触クリーニングを組み合わせることにより、目詰まりを生じさせることがなく、また、撥液処理層を磨耗させることなく、長時間にわたりノズルプレートをクリーニングすることができる。よってインク吐出が安定し、高画質な画像を記録することができる。
【0089】
次に図22を参照して第4の実施形態ついて詳細に説明する。
本実施形態におけワイピング部22は前述した第1、第2及び第3の実施形態におけるワイピング部22とは異なる構成である。本実施形態におけるワイピング部22以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様なために、その詳細な説明は省略する。また前述した第1の実施形態と同等の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
図22は、クリーニングユニット5の概略側面図である。図中の点線は、ワイパー61が回転した際の軌跡を示す線である。
ワイピング部22は、支持台21に設けられている。ワイピング部22には、ノズルプレート34をクリーニングする2つのワイパー60,61と、ワイパー60,61を有し、楕円形状である回転部材57と、回転部材57を支持するために支持台21に設けられている柱58が設けられている。2つのワイパー60,61は、同じ長さであり、回転部材57の長軸上と短軸上にそれぞれ設けられている。回転部材57は、図示しない動力で自在に回転することが可能である。回転部材57は、ワイパー60,61の幅分の厚みを有する間隔調整機構である。また、図22に示すようにワイパー60,61の高さは、回転部材57の止まる位置を変更することで任意に変えることが可能である。回転部材57の回転半径Rは、記録ヘッド4とワイパー40の間の間隔に応じて選択すればよい。
【0091】
回転部材57が回転し、回転部材57の長軸が水平になると、ワイパー61がノズルプレート34に非接触となり非接触クリーニングを行い、図22に示すように回転部材57の短軸が水平になると、ワイパー60がノズルプレート34に接触し、接触クリーニングを行う。
【0092】
上述したように楕円形状である回転部材57は、図示しない動力で自在に回転することが可能である。よって本実施形態のワイパー60,61は、ワイパーホームポジション、ワイパーキャンセルポジションといったポジションに関わらず、ワイパーの高さを変更することが可能である。このため、クリーニングユニット5がワイパーホームポジションからワイパーキャンセルポジションに移動する際は、接触ワイプし、クリーニングユニット5がワイパーキャンセルポジションからワイパーホームポジションに移動する際は、非接触ワイプ、または、回転部材57をワイプが記録ヘッド4に対向しない位置で止めて、ワイプをなしにすることも可能である。
【0093】
さらに、真円のスペースで接触クリーニングと非接触クリーニングのどちらかを選択し、切り換えることが可能であるため、ワイパー60,61のスペースを小さくすることが可能である。
【0094】
基本的な記録とクリーニングのタイミングは前述した第1の実施形態と同様である。
【0095】
本実施形態のように、回転部材57を回転させ、ワイパー60,61を選択することにより接触クリーニングと非接触クリーニングを行う。接触クリーニングと非接触クリーニングを組み合わせることにより、目詰まりを生じさせることがなく、また、撥液処理層を磨耗させることなく、長時間にわたりノズルプレートをクリーニングすることができる。よってインク吐出が安定し、高画質な画像を記録することができる。
【0096】
次に図23乃至図27を参照して第5の実施形態ついて詳細に説明する。
本実施形態におけるクリーニングユニット5は前述した第1、第2、第3及び第4の実施形態におけるクリーニングユニット5とは異なる構成である。本実施形態におけるクリーニングユニット5以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様なために、その詳細な説明は省略する。また前述した第1の実施形態と同等の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0097】
図23は、記録ヘッド4とクリーニングユニット5を示した側面図である。図24は、記録ヘッド4、クリーニングユニット5、フレーム66と高さ調整部材67を示した概略斜視図である。図25は、高さ調整部を示す図である。図26は、クリーニングユニット5の側面図である。図27(a)は、記録ヘッド4に対して非接触状態のクリーニングユニット5の側面図、図27(b)は、記録ヘッド4に対して接触状態のクリーニングユニット5の側面図である。
【0098】
図23及び図24に示すように、複数色、ここでは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の記録ヘッド4がクリーニングユニット5と対向して設けられている。各色の対応するクリーニングユニット5は、1色ごとにインクパン65にまとめられて設けられている。これら複数のインクパン65は、フレーム66により支持されている。このフレーム66の4隅には高さ調整部材67が設けられている。図25に示すように高さ調整部材67には、軸足68と回転キャップ69が設けられている。軸足68、回転キャップ69には、それぞれネジが切ってあり、図示しない動力により、回転キャップ69は回転する。この高さ調整部材67は、回転キャップ69の回転数により高さを自由に変更することが可能である。また、高さ調整部材67の下方には、高さと平行度が決められた図示しない搬送機構が設けられている。高さ調整部材67は、搬送機構の上方に設けることで、フレーム66の位置が決まる。
【0099】
一方、図26に示すように、クリーニングユニット5には、ノズル3に対向し、クリーニング動作を行う進行方向に移動可能である支持台21と、支持台21に設けられ、Z軸方向に移動調整することが可能であり、支持台21が移動することでノズルプレート34をクリーニングするワイピング部22と、クリーニング動作を行う進行方向に対してワイピング部22の後方に設けられ、バネ23を介して支持台21に設けられ、ワイピング部22によってクリーニングされたインクを吸引する吸引ノズル24と、が設けられている。ワイピング部22には、ワイパー40と、ワイパー40を支持するために支持台21に設けられた支持体71が設けられている。
【0100】
クリーニングユニット5は、4つの高さ調整部材67を下降させると、図27(a)のようにワイパー40は、記録ヘッド4に対して非接触状態となり、4つの高さ調整部材67を上昇させると、図27(b)のようにワイパー40は、記録ヘッド4に対して接触状態となる。
【0101】
ワイパー40の高さ調整は、前述した第1の実施形態と同様に(図2を参照)クリーニングユニット5が退避しているワイパーホームポジションで行う。ワイパー40によるクリーニングは、記録ヘッド4の下方、つまりノズルプレート34と対向するポジション(クリーニング範囲)で行う。ワイパー40の高さを元に戻す(ワイパー40がノズルプレート34と非接触になる)調整は、クリーニングユニット5の稼動範囲の終端であるワイパーキャンセルポジションで行う。
【0102】
基本的な記録とクリーニングのタイミングは前述した第1の実施形態と同様である。
【0103】
本実施形態では、ワイパー40の高さをフレーム66によって高さ調整を行うことが可能であるため、記録ヘッド4ごとに高さを変更するよりも機構が複雑でない。また、自由に高さを変更できるため、高さは、クリーニングの強弱やインクの種類などに応じて3段階以上にすることができる。
【0104】
本実施形態のように、フレーム66によって一度に高さ調整を行うことが可能である。よって接触クリーニングと非接触クリーニングを間単に選択して行える。接触クリーニングと非接触クリーニングを組み合わせることにより、目詰まりを生じさせることがなく、また、撥液処理層を磨耗させることなく、長時間にわたりノズルプレートをクリーニングすることができる。よってインク吐出が安定し、高画質な画像を記録することができる。
【0105】
次に図28乃至図33を参照して第6の実施形態ついて詳細に説明する。
本実施形態は、前述した第1の実施形態と同等の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0106】
図28は、異なる雰囲気温度下に放置された時間(T)とインクの蒸発量(μl)の関係を示す図である。図29は、記録ヘッド4周辺の概略側面図である。図30は、ノズル3周辺の拡大図である。図31は、記録ヘッド4を複数設けた概略図である。図32は、色毎(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))に配列した記録ヘッド4を示した図である。図33は、記録とクリーニングのタイミングを示すフローチャートである。
【0107】
インクの乾燥及び固化は、インクの蒸発量に依存する。図28に示すように蒸発量(μl)は、雰囲気温度(T)により異なる。またノズルプレート34に僅かに残存するインクの乾燥、増粘及び固化は、雰囲気温度と放置時間によって異なる。異なる雰囲気温度の下で、一律に同一タイミングで接触クリーニングを行うと、固化しやすい条件に揃えることが多いため、必要以上に接触クリーニングを実施することになる。
【0108】
そこで本実施形態は、各雰囲気温度と、各雰囲気温度の際にインクが乾燥、増粘及び固化しない上限の時間をテーブルとしてインクジェット記録装置1に持たせ、記録の合間に参照することで、必要以上の接触クリーニングを行わないようにする。インクの乾燥、増粘及び固化は、ノズルプレート34で生じるため、雰囲気温度は、記録ヘッド4のノズル3近傍の温度とする。これにより、より効率的にクリーニングの間隔を制御できる。
【0109】
なお本実施形態におけるテーブルは、インクの種類(水系、溶剤、油系)等によって、異なるため、インク毎に最適値を求めてやればよい。
【0110】
温度計75は、記録ヘッド4外部の雰囲気温度を測定する。図29及び図30に示すように温度計75は、記録ヘッドの長手方向中央のノズル3近傍に設けられる。図31に示すように記録ヘッド4が複数配列している場合には、Y軸方向中央付近に位置する記録ヘッド4の長手方向中央のノズル3近傍に設置する。また、図32に示すようにインクジェット記録装置1が色毎に1列に配列した複数の記録ヘッド4を有する場合には、X軸方向の中央付近で、かつY軸方向の中央付近にある、記録ヘッド4の長手方向中央のノズル3近傍に設置する。
【0111】
次に図33を参照して記録とクリーニングのタイミングを説明する。
インクジェット記録装置1の電源がONになると(Step21)、インクジェット記録装置1は、記録ヘッド4に設けられた温度計75で温度モニタを開始する(Step22)。次にインクジェット記録装置1は、接触クリーニングを実施する(Step23)。そしてインクジェット記録装置1は、タイマー測定を開始するために放置時間tを初期化して0にする(Step24)。次に操作者は、記録する枚数Nを入力する(Step25)。次にインクジェット記録装置1は、カウンタとして記録が終わった枚数nを初期化して0にする(Step26)。さらにインクジェット記録装置1は、1枚、記録する毎に記録が終わった枚数nを1カウントアップし、同時に記録する枚数Nを1カウントダウンする(Step27)。
【0112】
次にインクジェット記録装置1は、記録する枚数Nが0であるか否かを判断する(Step28)。
記録する枚数Nが0でなければ(Step28:NO)、平均温度Tでテーブル値を読む(Step29)。この平均温度Tは、放置時間t=0から現在までの平均温度である。対応するテーブルの時間と、タイマーの値を比較する。そしてタイマーの値がテーブルの時間以下であるか否かを判断する(Step30)。
【0113】
テーブルの時間以下でなければ(Step30:NO)、インクジェット記録装置1は、接触クリーニングを実施する(Step31)。そしてインクジェット記録装置1は、タイマーをリセットするために放置時間tを初期化して0にする(Step32)。続けてStep26に戻る。
【0114】
テーブルの時間以上であれば(Step30:YES)、記録が終わった枚数nが500枚であるかを否かを判断する(Step33)。
記録する枚数Nが500枚になっていたならば(Step33:YES)、インクジェット記録装置1は、非接触クリーニングを実施し(Step34)、Step26に戻る。
記録する枚数Nが500枚になっていなければ(Step33:NO)、Step27に戻る。
【0115】
記録する枚数Nが0であれば(Step28:YES)、インクジェット記録装置1は、接触クリーニングを実施する(Step35)。次にインクジェット記録装置1は、タイマーをリセットするために放置時間tを初期化して0にし(Step36)、記録継続するか否かを判断する(Step37)。
【0116】
記録継続するならば(Step37:YES)、平均温度Tでテーブル値を読む(Step38)。次にタイマーの値がテーブルの時間以下であるか否かを判断する(StepS39)。
【0117】
テーブルの時間以下でなければ(Step39:NO)、Step23に戻る。
テーブルの時間以下であれば(Step39:YES)、Step25に戻る。
【0118】
記録継続しないならば(Step37:NO)、温度モニタを停止し(Step40)、電源をOFFして(Step41)、終了する。
【0119】
本実施形態は、記録ヘッド4のノズル3近傍の雰囲気温度を温度計75によってモニタし、クリーニングの種類とタイミングを選択することで、必要以上の接触クリーニングを防止している。そして、接触クリーニングと非接触クリーニングを組み合わせることにより、目詰まりを生じさせることがなく、また、撥液処理層を磨耗させることなく、長時間にわたりノズルプレート34をクリーニングすることができる。よってインク吐出が安定し、高画質な画像を記録することができる。
【0120】
次に図34及び図35を参照して第7の実施形態ついて詳細に説明する。
本実施形態におけるワイピング部22は前述した第1乃至第6の実施形態におけるワイピング部22とは異なる構成である。本実施形態におけるワイピング部22以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様なために、その詳細な説明は省略する。また前述した第1の実施形態と同等の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0121】
図34は、クリーニングユニット5の概略側面図である。図35(a),(b)は、回転部材周辺の拡大図である。
【0122】
図34に示すように本実施形態は、前述した第4の実施形態に設けられた楕円形状の回転部材57の代りに真円形状の回転部材80を設けている。この回転部材80には、ワイパー81が1つ設けられている。回転部材80は、回転部材57と同様にワイパー81の幅分の厚みを有する間隔調整機構である。また回転部材80は、回転部材57と同様に支持台21に設けられた柱58に支持されている。さらに回転部材80は、回転部材57と同様に図示しない動力で自在に回転することが可能である。
【0123】
図35(a)に示すように回転部材80は、支持台21に対して垂直方向に対して図示する角度θを調整する。角度θを調整することで、ワイパー81とノズルプレート34の相対間隔は、無段階に調整することが可能である。これにより接触クリーニング、または非接触クリーニングを選択することが可能となる。
【0124】
基本的な記録とクリーニングのタイミングは前述した第1の実施形態と同様である。
本実施形態は、前述した第4の実施形態と比べ回転部材80が図示しない動力で自在に回転し角度θを調整することが可能である。よって円形状の回転部材80のどの位置にワイパー81を設けても、相対間隔を無段階に調整できるために接触クリーニング、または非接触クリーニングを選択することが可能となる。このため、例えばクリーニングユニット5が、ワイパーホームポジションからクリーニング範囲に移動する際には、ワイパー81がノズルプレート34に接触し(接触クリーニング)、ワイパーキャンセルポジションからクリーニング範囲に移動する際には、ワイパー81がノズルプレート34に非接触し(非接触クリーニング)、または図35(b)に示すように、例えばワイパー81がノズルプレート34と例えば水平位置になるように回転部材80が回転してワイパー81を移動させることでワイプをなしにすることも可能である。
【0125】
さらにワイパー81とノズルプレート34の相対間隔は、回転部材80の円径に関係する。よって円径を大きくすればワイパー81の長さを短くすることができる。
【0126】
本実施形態のように、接触クリーニングと非接触クリーニングを組み合わせることにより、目詰まりを生じさせることがなく、また、撥液処理層を磨耗させることなく、長時間にわたりノズルプレートをクリーニングすることができる。よってインク吐出が安定し、高画質な画像を記録することができる。
【0127】
なお、上述した各実施形態では、記録ヘッド4が固定で、クリーニングユニット5がノズル配列方向に移動しノズルプレート34をクリーニングしたが、クリーニングユニット5が固定で記録ヘッド4が移動しても良い。
【0128】
また、上述した各実施形態では、記録ヘッド4が固定で、クリーニングユニット5が記録ヘッド4に近接、または離間する方向に移動することでクリーニングユニット5と記録ヘッド4のノズルプレート34との間隔を可変にしたが、クリーニングユニット5が固定で記録ヘッド4がワイパーに対して近接、または離間する様に移動しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のインクジェット記録装置におけるインク経路を示す概略図である。
【図2】記録ヘッド周辺の概略側面図である。
【図3】吸引ノズルを図2に示すA方向から見た断面図である。
【図4】吸引ノズルの上面図である。
【図5】記録ヘッドをノズルプレートと対面する側から見た図である。
【図6】記録ヘッドを図2に示すA方向から見た断面図である。
【図7】クリーニングユニットにおけるワイピング部周辺の概略断面斜視図である。
【図8】図8(a)は、ワイパーホームポジションにおいて、バネの付勢力によって、ワイパー支持軸の係合片が開口部の下端縁に位置している状態のワイピング部を示している。図8(b)は、ワイパーホームポジションにおいて、ワイパー支持軸がセットピンによって上昇される途中状態におけるワイピング部を示している。図8(c)は、ワイパーホームポジションにおいて、ワイパー支持軸41の係合片41bと回動片49のカギ部49bとが係合し、ワイパー40のZ軸方向における高さが最も高い位置にある状態のワイピング部22を示している。図8(d)は、ワイパー40が最も高い位置にある状態であって、ノズルプレート34に対して接触クリーニングを行っている状態のワイピング部22を示している。図8(e)は、ワイパーキャンセルポジションにおいて、キャンセルピンに対して回動片のキャンセル操作部が当接した状態であり、ワイパーがノズルプレートに対して接触状態から非接触状態に変移する際の状態を示している。図8(f)は、ワイパーキャンセルポジションにおいて、ワイパー支持軸の係合片が開口部の下端縁に位置している状態のワイピング部を示している。
【図9】図9(a)は、ワイパーがノズルプレート面に接触して移動する状態を示す図である。図9(b)は、ワイパーがノズルプレート面に残存したインクを除去する状態を示す図である。図9(c)は、ワイパーによってインクがノズルプレート面から除去され、ワイパーがY軸方向に移動していく様子を示す図である。図9(d)は、ワイパーがノズルプレート面に非接触で移動する状態を示す図である。図9(e)は、ワイパーがノズルプレート面に残存したインクを除去する状態を示す図である。図9(f)は、ワイパーによってインクがノズルプレート面から除去され、ワイパーがY軸方向に移動していく様子を示す図である。
【図10】記録とクリーニングのタイミングを示すフローチャートである。
【図11】本実施形態における筐体及びワイパー支持軸の変形例である。
【図12】本実施形態における筐体及びワイパー支持軸の変形例である。
【図13】第2の実施形態の記録ヘッド周辺の概略側面図である。
【図14】ワイピング部周辺の概略斜視図である。
【図15】図15(a)は、図15(b)に示す線分A−Aにおける断面図(ワイピング部22をY軸方向から見た際の断面図)、図15(b)は、ワイピング部の概略側面断面図である。
【図16】図16(a)は、ワイパーホームポジションにおいて、カバーに対する負荷が何ら発生していない状態、いわゆるフリーな状態であり、カバー部がZ軸方向で最も上方に位置している状態を示している。図16(b)は、ワイパーホームポジションにおいて、カバーがセットピンによって上方から押圧され、バネが共に最も縮み、筐体、カバーが最も下降した状態を示している。図16(c)は、セットピンが上昇し、カバーの係合片とカギ部とが係合した状態であり、筐体全体が支持台に対してバネの付勢力によって上昇した状態を示している。図16(d)は、ワイパーがノズルプレートに対して、接触クリーニングを行っている状態を示している。図16(e)は、ワイパーキャンセルポジションにおいて、キャンセルピンに対して回動片のキャンセル操作部が当接した状態であり、ワイパーがノズルプレートに対して接触状態から非接触状態に変移する際の状態を示している。図16(f)は、ワイパーがノズルプレート34に対して、非接触クリーニングを行っている状態を示している。
【図17】図17(a)は、吸引ノズルを図13に示すB方向から見た際の側面図、図17(b)は、ワイパーがノズルプレートとは非接触状態であることを示すX軸方向からの側面図、図17(c)は、ワイパーがノズルプレートとは接触状態であることを示すX軸方向からの側面図である。
【図18】第3の実施形態におけるクリーニングユニットの概略側面図である。
【図19】ワイピング部周辺の拡大図である。
【図20】ワイピング部を図19に示すC方向から見た際の側面図である。
【図21】回転部材が回転する様子を示す図である。
【図22】第4の実施形態におけるクリーニングユニットの概略側面図である。
【図23】本発明に係る第5の実施形態における記録ヘッドとクリーニングユニットを示した側面図である。
【図24】記録ヘッド、クリーニングユニット、フレームと高さ調整部材を示した概略斜視図である。
【図25】高さ調整部を示す図である。
【図26】クリーニングユニットの側面図である。
【図27】図27(a)は、記録ヘッドに対して非接触状態のクリーニングユニットの側面図、図27(b)は、記録ヘッドに対して接触状態のクリーニングユニットの側面図である。
【図28】第6の実施形態における雰囲気温度毎に放置された時間(T)とインクの蒸発量(μl)の関係を示す図である。
【図29】記録ヘッド周辺の概略側面図である。
【図30】ノズル周辺の拡大図である。
【図31】記録ヘッドを複数設けた概略図である。
【図32】各色ごとに配列した記録ヘッドを示した図である。
【図33】記録とクリーニングのタイミングを示すフローチャートである。
【図34】第7の実施形態におけるクリーニングユニットの概略側面図である。
【図35】回転部材周辺の拡大図である。
【図36】従来のインクジェットプリンタのメンテナンス装置を示す。
【符号の説明】
【0130】
1…インクジェット記録装置、2…記録媒体、3…ノズル、4…記録ヘッド、5…クリーニングユニット、6…第1のインク経路、7…サブタンク、8…第2のインク経路、9…インクボトル、21…支持台、21a…開口部、22…ワイピング部、23…バネ、24…吸引ノズル、25…セットピン、26…キャンセルピン、30…吸引ノズル上面、31…凹み、32…吸引孔、33…マスクプレート、34…ノズルプレート、35…インク吸引路、40…ワイパー、41…ワイパー支持軸、41a…バネ係合部、41b…係合片、42…筐体、42a…バネ係合部、42b…開口部、42c…回動支点、46…バネ、49…回動片、49b…カギ部、49c…キャンセル操作部、51,53…バネ、52…カバー、52a…カバー部、52b…段差部、52c…係合片、55…板、56…ワイパーホルダ、57…回転部材、58…柱、60,61…ワイパー、65…インクパン、66…フレーム、67…高さ調整部材、68…軸足、69…回転キャップ、71…支持体、75…温度計、80…回転部材、81…ワイパー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出する複数のノズルよって形成されるノズルプレートと、
前記ノズルプレート表面をクリーニングするワイパーを有するワイピング部と、
前記ワイパーと前記ノズルプレートの間隔を調整する間隔調整機構と、
を具備し、
前記ワイパーによって前記ノズルプレートがクリーニングされる際に、前記間隔調整機構は、前記ワイパーと前記ノズルプレートの前記間隔が少なくとも第1の間隔である第1のクリーニングモードと、第2の間隔である第2のクリーニングモードのどちらか一方を選択して前記間隔を調整することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ワイパーは、前記第1のクリーニングモードにおいて、前記ノズルプレートと接触し、前記第2のクリーニングモードにおいて、前記ノズルプレートと非接触して前記ノズルプレート表面をクリーニングすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1のクリーニングモード及び第2のクリーニングモードにおいて、前記ワイパーは、前記ノズルプレートに対して相対移動して前記ノズルプレート表面をクリーニングすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記間隔調整機構は、前記間隔を調整する第1のピンを有し、前記第1のピンが前記ワイピング部を押圧することで前記ワイパーが移動し、前記間隔を調整することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記間隔調整機構は、前記第1のクリーニングモードから前記第2のクリーニングモードへと変更するキャンセルピンを具備することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記間隔調整機構は、
前記記録ノズルプレート近傍に配置している第2のピンと、
前記第2のピンとは前記ワイピング部を介して対称に設けられた弾性部材と、
を具備し、
前記第2のピンによって押圧された前記ワイピング部は、前記弾性部材により前記ノズルプレート方向に付勢され、前記間隔を調整することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記間隔調整機構は、前記ワイパーを移動させる回転機構を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記回転機構は、楕円であり、前記楕円の回転により前記ワイパーが移動し、前記間隔が調整されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記回転機構は、楕円であり、前記楕円には複数の前記ワイパーが設けられ、前記楕円が回転することで複数の前記ワイパーのいずれか1つが選択移動され、前記間隔が調整されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記回転機構は、真円であり、前記真円には少なくとも1つの前記ワイパーが設けられ、前記真円が回転することで前記ワイパーのいずれか1つが選択移動され、前記間隔が調整されることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記間隔調整機構は、前記間隔を自由に調整することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記ワイパーの濡れ性は、前記ノズルプレートの表面より、濡れやすいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記ノズルプレート近傍の温度を検出する温度計と、
を具備し、
前記温度計によって検出された前記温度に応じて、前記第1のクリーニングモード、または前記第2のクリーニングモードのどちらか一方を選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記記録媒体の記録枚数に応じて、第1のクリーニングモード、または第2のクリーニングモードのどちらか一方を選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記記録ヘッドが前記インクを吐出しない非記録時間に応じて、第1のクリーニングモード、または第2のクリーニングモードを選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記記録ヘッドが前記インクを吐出しない非記録時間、前記記録媒体の記録枚数、前記ノズルプレート近傍の温度、の少なくとも1つに応じて、第1のクリーニングモード、または第2のクリーニングモードを選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項17】
記録媒体にインクを吐出する複数のノズルよって形成されるノズル列が配置されたノズルプレートを有する記録ヘッドと、
前記ノズルプレート表面をクリーニングするワイパーと、
を具備し、
クリーニング時に前記ワイパーは、前記ノズル列に対して接触、または非接触にて前記ノズル列の配列方向に相対移動することを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2007−190818(P2007−190818A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11431(P2006−11431)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】