インクジェット記録装置
【課題】 インクジェットヘッドのノズル面に、ゴム製のワイピングブレードに含有されている加硫剤や加硫促進剤に起因する固形物が析出したとしても、インク滴の安定吐出と高印字品質の維持とを可能にする。
【解決手段】 ノズルからインクを吐出して記録媒体上に記録を行うインクジェットヘッドと、そのインクジェットヘッドのノズル面をクリーンニングするワイパー部材とを有するインクジェット記録装置において、ワイパー部材を、少なくとも一面が開放可能な容器と、その容器に収容されたチキソトロピー性を有するゲルとから構成し、更に、ゲルがノズル面をクリーニングするように構成する。チキソトロピー性を有するゲルとしては、スメクタイトを含有するゲルが好ましい。ワイパー部材によるノズル面のクリーニングは、ゲルとノズル面とを接触させながら、ワイパー部材とインクジェットヘッドとを相対運動させることにより行う。
【解決手段】 ノズルからインクを吐出して記録媒体上に記録を行うインクジェットヘッドと、そのインクジェットヘッドのノズル面をクリーンニングするワイパー部材とを有するインクジェット記録装置において、ワイパー部材を、少なくとも一面が開放可能な容器と、その容器に収容されたチキソトロピー性を有するゲルとから構成し、更に、ゲルがノズル面をクリーニングするように構成する。チキソトロピー性を有するゲルとしては、スメクタイトを含有するゲルが好ましい。ワイパー部材によるノズル面のクリーニングは、ゲルとノズル面とを接触させながら、ワイパー部材とインクジェットヘッドとを相対運動させることにより行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、インクジェット記録装置（インクジェットプリンタ）に関し、より詳しくは、インクを吐出するインクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするためのワイパー部材を備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、インクジェット記録装置においては、製造出荷時にインク流路に充填される出荷液、長期不吐出後の再吐出開始時のインク、組成が変化したインク、インク流路内の気泡等を除去するために、パージキャップをインクジェットヘッドのノズル面に被せ、インク吸引を行っている。また、インクや出荷液の乾燥を防止するために、インクジェットヘッドのノズル面にゴム製のノズルキャップを被せることが行われている。更に、ノズル面に付着したインクやゴミなどを除去するために、ゴム製のワイピングブレードを設け、ノズル面をクリーニングすることが行われている（特許文献１）。
【０００３】
【特許文献１】特願２００３−１８３３号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、インク吸引の際にノズル面に出荷液やインクが付着する場合があり、それらとノズルキャップやワイピングブレードとが長期にわたり接触し続けると、ノズルキャップやワイピングブレードを構成するゴム材料中の酸化亜鉛あるいは硫黄などの加硫剤、テトラメチルチウラムジスルフィドあるいはジチオカルバミン酸亜鉛などの加硫促進剤が接触部分に析出するという問題がある。この結果、析出物がインクジェットヘッドのノズル面にワイピングブレードで押し付けられるため、析出物がノズル面表面の撥インク薄膜を傷つけ、また、ノズル孔の目詰まりを生じさせ、インク滴の吐出が不安定となり、高印字品質のインクジェット記録が困難になる。
【０００５】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、インクジェットヘッドのノズル面に加硫剤や加硫促進剤に起因する固形物（以下、析出物という）が析出したとしても、インク滴の安定吐出と高印字品質のインクジェット記録の維持とを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者は、従来のワイピングブレードを用いたワイピング法とは全く異なる発想に基づくワイピング法を開発することを意図し、鋭意研究の結果、チキソトロピー性を有するゲルをワイプ部材として用いてインクジェットヘッドのノズル面をワイピングすると、ノズル面に付着した析出物をゲルに転写受容させることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【０００７】
即ち、本発明は、ノズルからインクを吐出して記録媒体上に記録を行うインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするワイパー部材とを有するインクジェット記録装置において、前記ワイパー部材は、少なくとも一面が開放可能な容器と、その容器に収容されたチキソトロピー性を有するゲルとを備え、前記ゲルが前記ノズル面をクリーニングするように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のインクジェット記録装置は、チキソトロピー性を有するゲルをワイパー部材として使用する。従って、そのゲルで、インクジェットヘッドのノズル面をワイピングすると、ノズル面に付着した析出物をゲルに転写受容させることができる。また、このゲルはチキソトロピー性を有するから、このゲルに一定の剪断力や振動を加えると流動化させることができる。それによりゲル表面に転着していた付着物を流動化物の内部に移行させることができる。そして、剪断力や振動の付加を止めると、流動化物は再びゲル化する。その結果、付着物のない新しいゲル表面が露出することになる。よって、ゲルによるワイピングの後に流動化を行うと、新しいゲル表面でノズル面をワイピングすることが可能となり、ノズル面表面の撥インク薄膜を傷つけることを大きく抑制することができ、また、ノズル孔の目詰まりの発生も大きく抑制することができる。このため、インク滴の吐出を安定化でき、高印字品質のインクジェット記録を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明の実施態様の一例について、添付図面を参照して説明する。図１は、本発明のインクジェット記録装置としての実施態様の１つであるカラーインクジェットプリンタ１００の斜視図である。図１において、このカラーインクジェットプリンタ１００は、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの４色のカラーインクがそれぞれ充填されるインクカートリッジ６１と、用紙６２に印刷するためのインクジェットヘッド６を備えるヘッドユニット６３と、インクカートリッジ６１およびヘッドユニット６３が搭載されるキャリッジ６４と、このキャリッジ６４を直線方向に往復移動（図中両端矢印Ａ）させる駆動ユニット６５と、キャリッジ６４の往復移動方向に延び、インクジェットヘッド６と対向配設されるプラテンローラ６６と、パージ装置６７とを備えている。
【００１０】
駆動ユニット６５は、キャリッジ６４の下端部に配設されプラテンローラ６６と平行に延びるキャリッジ軸７１と、キャリッジ６４の上端部に配設されキャリッジ軸７１に平行に延びるガイド板７２と、そのキャリッジ軸７１とガイド板７２との間であって、キャリッジ軸７１の両端部に配設される２つのプーリー７３および７４と、これらのプーリー７３および７４の間に掛け渡されるエンドレスベルト７５とからなる。
【００１１】
そして、一方のプーリー７３が、モータの駆動により正逆回転されると、そのプーリー７３の正逆回転に伴って、エンドレスベルト７５に接合されているキャリッジ６４が、キャリッジ軸７１およびガイド板７２に沿って、直線方向に往復移動される。
【００１２】
用紙６２は、カラーインクジェットプリンタ１００の側方に設けられた給紙カセット（図示せず）から給紙され、鉛直下方へ向いたインクジェットヘッド６のノズル面６ａと、プラテンローラ６６との間に導入される。インクジェットヘッド６のノズル面６ａには、複数のノズルが設けられており、その複数のノズルからインクが吐出される。用紙６２には、吐出されたインクにより印刷がなされ、その後、排紙される。なお、用紙６２の給紙機構および排紙機構としては、従来公知の機構を利用できるので、図１においてはそれらの図示は省略されている。
【００１３】
プラテンローラ６６に対応する印刷領域の側方には、インクジェットヘッド６の吐出不良を回復するためのパージ装置６７が配設されている。インクジェットヘッド６は、使用中に内部に気泡が発生したり、インクジェットヘッド６のノズル面６ａ上にインクや紙粉等が付着したりする等の原因により吐出不良を起こす。パージ装置６７は、その吐出不良を起こした、または起こす可能性のあるインクジェットヘッド６を良好な吐出状態に回復させるために設けられている。
【００１４】
このパージ装置６７は、ヘッドユニット６３がパージ・リセット位置に存在するときに、インクジェットヘッド６に対向するように配設されており、パージキャップ８１と、ポンプ８２およびカム８３と、インク貯留部８４とを備えている。パージキャップ８１は、インクジェットヘッド６のノズル面６ａに密着し、その状態でポンプ８２がインクジェットヘッド６の内部に溜まる気泡などを含んだ不良インクを吸引する。ポンプ８２の吸引は、カム８３を回転させてポンプ８２内のピストンを往復移動することにより行われる。このように、不良インクを吸引することによりインクジェットヘッド６の吐出不良を回復する。なお、吸引された不良インクは、インク貯留部８４に貯められる。
【００１５】
パージ装置６７に隣接して、プラテンローラ６６側には、インクジェットヘッド６に対し相対移動可能なワイパー部材１０が配設されている。
【００１６】
また、パージキャップ８１は、インクの蒸発防止キャップとしても機能する。即ち、パージキャップ８１は、印刷が終了してパージ・リセット位置に戻されたキャリッジ６４に搭載されるインクジェットヘッド６のノズル面６ａに当接して、そのノズル面６ａを被い、インクの蒸発を防止する。
【００１７】
ワイパー部材１０は、図２に示すように、矩形の容器１にチキソトロピー性を有するゲル２を収容した構成を有する。ワイパー部材１０は、図１に示すように、キャリッジ６４の移動に伴って、インクジェットヘッド６のノズル面６ａに付着したインクや紙粉等をクリーニングするように配置されている。ノズル面６ａをクリーニングする場合には、矢印Ｂ方向へワイパー部材１０を前進させてゲル２をノズル面６ａに接触させながら移動させ、ノズル面６ａをクリーニングしない場合には、矢印Ｂ方向の反対の方向へとワイパー部材１０を後退するように構成されている。なお、ノズル面６ａには、インクのクリーニングを容易にするように撥インク処理が施されている。
【００１８】
チキソトロピー性を有するゲル２としては、チキソ剤を溶媒中に均一に混合することにより調製した、従来公知の親水性ゲル、親油性ゲルの中から、インクジェットインクの特性を考慮した上で、適宜選択することができる。チキソ剤の例としては、表１の化合物を挙げることができる。中でも、水分散性が良好である点、高いチキソ性を有する点、無色透明性が高い点等から、スメクタイトを使用したゲルが好ましい。
【００１９】
【表１】
【００２０】
チキソトロピー性を有するゲルに使用する前記チキソ剤以外の成分としては、水、低揮発性の有機溶剤（例えば、グリセリン）、防腐剤、防錆剤、水溶性樹脂、寒天、ゼラチンなどを挙げることできる。
【００２１】
次に、ワイパー部材１０でインクジェットヘッド６のノズル面６ａをクリーニングする様子を図３〜５に示す。図３に示すように、チキソトロピー性を有するゲル２とインクジェットヘッド６のノズル面６ａとを接触させ、矢印の方向へ相対的に移動させる。この場合、ワイパー部材１０とインクジェットヘッド６の一方を固定し、他方を移動させてもよい。また、両方を同時に逆方向に動かしてもよく、同じ方向に速度差を設けて動かしてもよい。また、図２の矢印に示すように、往復移動させてもよい。
【００２２】
インクジェットヘッド６が、ゲル２の一端から他端に達した場合には、必要に応じて、図４に示すように、インクジェットヘッド６の初期位置に戻すように相対運動させてもよい。
【００２３】
ワイパー部材１０によるクリーニングが終了した場合、ワイパー部材１０とインクジェットヘッド６とを単純に上下に引き離してもよいが、図５に示すように、ワイパー部材１０によるノズル面６ａのクリーニングの後、インクジェットヘッド６から遠い端からワイパー部材１０をノズル面６ａに対して傾斜させながら、ワイパー部材１０とノズル面６ａとを引き離すようにすることが好ましい。具体的には、まず、図５中のＸの方向にワイパー部材１０を傾斜させ、ついでＹの方向にワイパー部材１０を引き離せばよい。このようにすると、ノズル面６ａとゲル２の剥離をより確実に行えるため、ワイパー部材１０内のゲルの一部がノズル面に付着することを長期にわたって防止できる。
【００２４】
また、本発明のインクジェット記録装置は、ゲル２を流動化させるための流動化部材を備えることが好ましい。流動化部材として、ゲルを流動化させることができる種々の手法を採用することができ、例えば、超音波振動装置、バイブレータ、撹拌翼式撹拌装置等を、ゲル２を収容する容器１に設けることができる。あるいは図６に示すような多数の細棒７を二次元的に設けて使用してもよく、図示は省略するが、一列に設けてもよい。このような細棒７を用いてゲル２を流動化させる場合には、この細棒７をゲル２中に刺し込んだまま、前後左右に移動あるいは円運動させればよい。
【００２５】
また、本発明のインクジェット記録装置は、ゲル２の表面を平らにならすためのレベリング部材を備えることが好ましい。レベリング部材としては、ゲル表面を平坦化させることができる種々の手法を採用することができる。例えば、図７に示すようなブレード８を使用してもよく、この場合、ゲルが流動化してる間に、図中矢印の方向に移動させればよい。あるいは、ゲル表面を一括で押圧できる加圧プレート（図示せず）でもよい。また、前述の超音波振動装置、バイブレータなどは、流動化部材としてだけでなく、レベリング装置としても機能させることが可能である。
【００２６】
なお、流動化部材である細棒７とブレード８とを用いて、流動化と同時にレベリングを行うことができる。図８に示すように、細棒７の前および／または後にブレード８を設け、図中矢印の方向へ移動させればよい。
【００２７】
なお、ワイパー部材１０は、ゲル２にゴミなどが混入しないように、また、流動化したゲルが容器１からこぼれないように、図９に示すようなクリーニング処理時には取り外すことができる蓋９で覆っておくことが好ましい。
【実施例】
【００２８】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【００２９】
実施例１
純水４５重量部、グリセリン５１重量部、スメクタイト（ルーセンタイトＳＷＮ、コープケミカル（株）製）４重量部を均一に混合し、混合物が流動化している間に、混合物をアクリル系容器（内寸：縦５ｃｍ×横１０ｃｍ×深さ１．５ｃｍ）に深さが１ｃｍとなるように流し入れ、ワイパー部材を作成した。流し入れた１分後には、前記混合物はゲル化していた。
【００３０】
インクジェットカラープリンタ搭載デジタル複合機（ＭＦＣ−３１００Ｃ、ブラザー工業（株）製）をもとに改造し、ワイピングブレード部材に代えてゲルが容器に収容されたワイパー部材を設置した評価機を製作した。この評価機を使用して、ゲルを使用したワイパー部材のクリーニング特性を以下に説明する耐久性試験を行い評価した。
【００３１】
まず、印字前のインクジェットヘッドのノズル面を顕微鏡観察し、撥インク処理面に傷がないことを確認し、更に、テスト印字を行い、全ノズルから正常にインクの吐出が行われることを確認した。
【００３２】
次に、インクジェットヘッドの吸引パージ処理を行い、図３〜５に示すようにゲルでノズル面をクリーニングした後に、テスト印字を行った。これらの一連の操作（吸引パージ、クリーニング、テスト印字）を３回繰り返した後、評価機を４０℃環境下で２週間放置した。これらの一連の操作と４０℃環境下２週間放置とを、更に２５回繰り返した。この耐久性試験は、評価機を２５℃で５年間使用したことに相当する。
【００３３】
上述の耐久試験において最後に印字された印字物について、初期のテスト印字の印字物とを目視にて比較した。その結果、両者に差は認められず、安定吐出の実現が確認できた。また、ノズル面を顕微鏡観察したところ、撥インク処理面に傷は観察されなかった。これらの結果から、ゲルを使用したワイパー部材のクリーニング性能が良好であったことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
本発明のインクジェット記録装置は、チキソトロピー性を有するゲルをワイパー部材として使用する。従って、そのゲルで、インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングすると、ノズル面に付着した析出物をゲルに転写受容させることができる。また、このゲルはチキソトロピー性を示すから、このゲルに一定の剪断力を加えると流動化させることができる。それによりゲル表面に転着していた付着物を流動化物の内部に移行させることができる。そして、剪断力の付加を止めると、流動化物は再びゲル化する。その結果、付着物のない新しいゲル表面が露出することになる。よって、ゲルによるクリーニングの後に流動化を行うと、新しいゲル表面でノズル面をクリーニングすることが可能となり、ノズル面表面の撥インク薄膜を傷つけることを大きく抑制することができ、また、ノズル孔の目詰まりの発生も大きく抑制することができる。このため、インク滴の吐出を長期にわたって安定化でき、高印字品質のインクジェット記録を維持することができる。このように、本発明のインクジェット記録装置によれば、インクジェットヘッドのノズル面に析出物が析出したとしても、インク滴の安定吐出と高印字品質のインクジェット記録の維持とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の第１実施例におけるワイパー部材が配設されるカラーインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図２】ワイパー部材の斜視図である。
【図３】ワイピング操作におけるワイパー部材とインクジェットヘッドとの関係説明図である。
【図４】ワイピング操作におけるワイパー部材とインクジェットヘッドとの関係説明図である。
【図５】ワイピング操作におけるワイパー部材とインクジェットヘッドとの関係説明図である。
【図６】ゲルの流動化の説明図である。
【図７】ゲル表面のレベリング化の説明図である。
【図８】ゲル表面のレベリング化の説明図である。
【図９】ワイパー部材の蓋の説明図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ 容器
２ ゲル
６ インクジェットヘッド
６ａ ノズル面
１０ ワイパー部材
１００ カラーインクジェットプリンタ（インクジェット記録装置）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、インクジェット記録装置（インクジェットプリンタ）に関し、より詳しくは、インクを吐出するインクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするためのワイパー部材を備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、インクジェット記録装置においては、製造出荷時にインク流路に充填される出荷液、長期不吐出後の再吐出開始時のインク、組成が変化したインク、インク流路内の気泡等を除去するために、パージキャップをインクジェットヘッドのノズル面に被せ、インク吸引を行っている。また、インクや出荷液の乾燥を防止するために、インクジェットヘッドのノズル面にゴム製のノズルキャップを被せることが行われている。更に、ノズル面に付着したインクやゴミなどを除去するために、ゴム製のワイピングブレードを設け、ノズル面をクリーニングすることが行われている（特許文献１）。
【０００３】
【特許文献１】特願２００３−１８３３号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、インク吸引の際にノズル面に出荷液やインクが付着する場合があり、それらとノズルキャップやワイピングブレードとが長期にわたり接触し続けると、ノズルキャップやワイピングブレードを構成するゴム材料中の酸化亜鉛あるいは硫黄などの加硫剤、テトラメチルチウラムジスルフィドあるいはジチオカルバミン酸亜鉛などの加硫促進剤が接触部分に析出するという問題がある。この結果、析出物がインクジェットヘッドのノズル面にワイピングブレードで押し付けられるため、析出物がノズル面表面の撥インク薄膜を傷つけ、また、ノズル孔の目詰まりを生じさせ、インク滴の吐出が不安定となり、高印字品質のインクジェット記録が困難になる。
【０００５】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、インクジェットヘッドのノズル面に加硫剤や加硫促進剤に起因する固形物（以下、析出物という）が析出したとしても、インク滴の安定吐出と高印字品質のインクジェット記録の維持とを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者は、従来のワイピングブレードを用いたワイピング法とは全く異なる発想に基づくワイピング法を開発することを意図し、鋭意研究の結果、チキソトロピー性を有するゲルをワイプ部材として用いてインクジェットヘッドのノズル面をワイピングすると、ノズル面に付着した析出物をゲルに転写受容させることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【０００７】
即ち、本発明は、ノズルからインクを吐出して記録媒体上に記録を行うインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするワイパー部材とを有するインクジェット記録装置において、前記ワイパー部材は、少なくとも一面が開放可能な容器と、その容器に収容されたチキソトロピー性を有するゲルとを備え、前記ゲルが前記ノズル面をクリーニングするように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のインクジェット記録装置は、チキソトロピー性を有するゲルをワイパー部材として使用する。従って、そのゲルで、インクジェットヘッドのノズル面をワイピングすると、ノズル面に付着した析出物をゲルに転写受容させることができる。また、このゲルはチキソトロピー性を有するから、このゲルに一定の剪断力や振動を加えると流動化させることができる。それによりゲル表面に転着していた付着物を流動化物の内部に移行させることができる。そして、剪断力や振動の付加を止めると、流動化物は再びゲル化する。その結果、付着物のない新しいゲル表面が露出することになる。よって、ゲルによるワイピングの後に流動化を行うと、新しいゲル表面でノズル面をワイピングすることが可能となり、ノズル面表面の撥インク薄膜を傷つけることを大きく抑制することができ、また、ノズル孔の目詰まりの発生も大きく抑制することができる。このため、インク滴の吐出を安定化でき、高印字品質のインクジェット記録を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明の実施態様の一例について、添付図面を参照して説明する。図１は、本発明のインクジェット記録装置としての実施態様の１つであるカラーインクジェットプリンタ１００の斜視図である。図１において、このカラーインクジェットプリンタ１００は、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの４色のカラーインクがそれぞれ充填されるインクカートリッジ６１と、用紙６２に印刷するためのインクジェットヘッド６を備えるヘッドユニット６３と、インクカートリッジ６１およびヘッドユニット６３が搭載されるキャリッジ６４と、このキャリッジ６４を直線方向に往復移動（図中両端矢印Ａ）させる駆動ユニット６５と、キャリッジ６４の往復移動方向に延び、インクジェットヘッド６と対向配設されるプラテンローラ６６と、パージ装置６７とを備えている。
【００１０】
駆動ユニット６５は、キャリッジ６４の下端部に配設されプラテンローラ６６と平行に延びるキャリッジ軸７１と、キャリッジ６４の上端部に配設されキャリッジ軸７１に平行に延びるガイド板７２と、そのキャリッジ軸７１とガイド板７２との間であって、キャリッジ軸７１の両端部に配設される２つのプーリー７３および７４と、これらのプーリー７３および７４の間に掛け渡されるエンドレスベルト７５とからなる。
【００１１】
そして、一方のプーリー７３が、モータの駆動により正逆回転されると、そのプーリー７３の正逆回転に伴って、エンドレスベルト７５に接合されているキャリッジ６４が、キャリッジ軸７１およびガイド板７２に沿って、直線方向に往復移動される。
【００１２】
用紙６２は、カラーインクジェットプリンタ１００の側方に設けられた給紙カセット（図示せず）から給紙され、鉛直下方へ向いたインクジェットヘッド６のノズル面６ａと、プラテンローラ６６との間に導入される。インクジェットヘッド６のノズル面６ａには、複数のノズルが設けられており、その複数のノズルからインクが吐出される。用紙６２には、吐出されたインクにより印刷がなされ、その後、排紙される。なお、用紙６２の給紙機構および排紙機構としては、従来公知の機構を利用できるので、図１においてはそれらの図示は省略されている。
【００１３】
プラテンローラ６６に対応する印刷領域の側方には、インクジェットヘッド６の吐出不良を回復するためのパージ装置６７が配設されている。インクジェットヘッド６は、使用中に内部に気泡が発生したり、インクジェットヘッド６のノズル面６ａ上にインクや紙粉等が付着したりする等の原因により吐出不良を起こす。パージ装置６７は、その吐出不良を起こした、または起こす可能性のあるインクジェットヘッド６を良好な吐出状態に回復させるために設けられている。
【００１４】
このパージ装置６７は、ヘッドユニット６３がパージ・リセット位置に存在するときに、インクジェットヘッド６に対向するように配設されており、パージキャップ８１と、ポンプ８２およびカム８３と、インク貯留部８４とを備えている。パージキャップ８１は、インクジェットヘッド６のノズル面６ａに密着し、その状態でポンプ８２がインクジェットヘッド６の内部に溜まる気泡などを含んだ不良インクを吸引する。ポンプ８２の吸引は、カム８３を回転させてポンプ８２内のピストンを往復移動することにより行われる。このように、不良インクを吸引することによりインクジェットヘッド６の吐出不良を回復する。なお、吸引された不良インクは、インク貯留部８４に貯められる。
【００１５】
パージ装置６７に隣接して、プラテンローラ６６側には、インクジェットヘッド６に対し相対移動可能なワイパー部材１０が配設されている。
【００１６】
また、パージキャップ８１は、インクの蒸発防止キャップとしても機能する。即ち、パージキャップ８１は、印刷が終了してパージ・リセット位置に戻されたキャリッジ６４に搭載されるインクジェットヘッド６のノズル面６ａに当接して、そのノズル面６ａを被い、インクの蒸発を防止する。
【００１７】
ワイパー部材１０は、図２に示すように、矩形の容器１にチキソトロピー性を有するゲル２を収容した構成を有する。ワイパー部材１０は、図１に示すように、キャリッジ６４の移動に伴って、インクジェットヘッド６のノズル面６ａに付着したインクや紙粉等をクリーニングするように配置されている。ノズル面６ａをクリーニングする場合には、矢印Ｂ方向へワイパー部材１０を前進させてゲル２をノズル面６ａに接触させながら移動させ、ノズル面６ａをクリーニングしない場合には、矢印Ｂ方向の反対の方向へとワイパー部材１０を後退するように構成されている。なお、ノズル面６ａには、インクのクリーニングを容易にするように撥インク処理が施されている。
【００１８】
チキソトロピー性を有するゲル２としては、チキソ剤を溶媒中に均一に混合することにより調製した、従来公知の親水性ゲル、親油性ゲルの中から、インクジェットインクの特性を考慮した上で、適宜選択することができる。チキソ剤の例としては、表１の化合物を挙げることができる。中でも、水分散性が良好である点、高いチキソ性を有する点、無色透明性が高い点等から、スメクタイトを使用したゲルが好ましい。
【００１９】
【表１】
【００２０】
チキソトロピー性を有するゲルに使用する前記チキソ剤以外の成分としては、水、低揮発性の有機溶剤（例えば、グリセリン）、防腐剤、防錆剤、水溶性樹脂、寒天、ゼラチンなどを挙げることできる。
【００２１】
次に、ワイパー部材１０でインクジェットヘッド６のノズル面６ａをクリーニングする様子を図３〜５に示す。図３に示すように、チキソトロピー性を有するゲル２とインクジェットヘッド６のノズル面６ａとを接触させ、矢印の方向へ相対的に移動させる。この場合、ワイパー部材１０とインクジェットヘッド６の一方を固定し、他方を移動させてもよい。また、両方を同時に逆方向に動かしてもよく、同じ方向に速度差を設けて動かしてもよい。また、図２の矢印に示すように、往復移動させてもよい。
【００２２】
インクジェットヘッド６が、ゲル２の一端から他端に達した場合には、必要に応じて、図４に示すように、インクジェットヘッド６の初期位置に戻すように相対運動させてもよい。
【００２３】
ワイパー部材１０によるクリーニングが終了した場合、ワイパー部材１０とインクジェットヘッド６とを単純に上下に引き離してもよいが、図５に示すように、ワイパー部材１０によるノズル面６ａのクリーニングの後、インクジェットヘッド６から遠い端からワイパー部材１０をノズル面６ａに対して傾斜させながら、ワイパー部材１０とノズル面６ａとを引き離すようにすることが好ましい。具体的には、まず、図５中のＸの方向にワイパー部材１０を傾斜させ、ついでＹの方向にワイパー部材１０を引き離せばよい。このようにすると、ノズル面６ａとゲル２の剥離をより確実に行えるため、ワイパー部材１０内のゲルの一部がノズル面に付着することを長期にわたって防止できる。
【００２４】
また、本発明のインクジェット記録装置は、ゲル２を流動化させるための流動化部材を備えることが好ましい。流動化部材として、ゲルを流動化させることができる種々の手法を採用することができ、例えば、超音波振動装置、バイブレータ、撹拌翼式撹拌装置等を、ゲル２を収容する容器１に設けることができる。あるいは図６に示すような多数の細棒７を二次元的に設けて使用してもよく、図示は省略するが、一列に設けてもよい。このような細棒７を用いてゲル２を流動化させる場合には、この細棒７をゲル２中に刺し込んだまま、前後左右に移動あるいは円運動させればよい。
【００２５】
また、本発明のインクジェット記録装置は、ゲル２の表面を平らにならすためのレベリング部材を備えることが好ましい。レベリング部材としては、ゲル表面を平坦化させることができる種々の手法を採用することができる。例えば、図７に示すようなブレード８を使用してもよく、この場合、ゲルが流動化してる間に、図中矢印の方向に移動させればよい。あるいは、ゲル表面を一括で押圧できる加圧プレート（図示せず）でもよい。また、前述の超音波振動装置、バイブレータなどは、流動化部材としてだけでなく、レベリング装置としても機能させることが可能である。
【００２６】
なお、流動化部材である細棒７とブレード８とを用いて、流動化と同時にレベリングを行うことができる。図８に示すように、細棒７の前および／または後にブレード８を設け、図中矢印の方向へ移動させればよい。
【００２７】
なお、ワイパー部材１０は、ゲル２にゴミなどが混入しないように、また、流動化したゲルが容器１からこぼれないように、図９に示すようなクリーニング処理時には取り外すことができる蓋９で覆っておくことが好ましい。
【実施例】
【００２８】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【００２９】
実施例１
純水４５重量部、グリセリン５１重量部、スメクタイト（ルーセンタイトＳＷＮ、コープケミカル（株）製）４重量部を均一に混合し、混合物が流動化している間に、混合物をアクリル系容器（内寸：縦５ｃｍ×横１０ｃｍ×深さ１．５ｃｍ）に深さが１ｃｍとなるように流し入れ、ワイパー部材を作成した。流し入れた１分後には、前記混合物はゲル化していた。
【００３０】
インクジェットカラープリンタ搭載デジタル複合機（ＭＦＣ−３１００Ｃ、ブラザー工業（株）製）をもとに改造し、ワイピングブレード部材に代えてゲルが容器に収容されたワイパー部材を設置した評価機を製作した。この評価機を使用して、ゲルを使用したワイパー部材のクリーニング特性を以下に説明する耐久性試験を行い評価した。
【００３１】
まず、印字前のインクジェットヘッドのノズル面を顕微鏡観察し、撥インク処理面に傷がないことを確認し、更に、テスト印字を行い、全ノズルから正常にインクの吐出が行われることを確認した。
【００３２】
次に、インクジェットヘッドの吸引パージ処理を行い、図３〜５に示すようにゲルでノズル面をクリーニングした後に、テスト印字を行った。これらの一連の操作（吸引パージ、クリーニング、テスト印字）を３回繰り返した後、評価機を４０℃環境下で２週間放置した。これらの一連の操作と４０℃環境下２週間放置とを、更に２５回繰り返した。この耐久性試験は、評価機を２５℃で５年間使用したことに相当する。
【００３３】
上述の耐久試験において最後に印字された印字物について、初期のテスト印字の印字物とを目視にて比較した。その結果、両者に差は認められず、安定吐出の実現が確認できた。また、ノズル面を顕微鏡観察したところ、撥インク処理面に傷は観察されなかった。これらの結果から、ゲルを使用したワイパー部材のクリーニング性能が良好であったことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
本発明のインクジェット記録装置は、チキソトロピー性を有するゲルをワイパー部材として使用する。従って、そのゲルで、インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングすると、ノズル面に付着した析出物をゲルに転写受容させることができる。また、このゲルはチキソトロピー性を示すから、このゲルに一定の剪断力を加えると流動化させることができる。それによりゲル表面に転着していた付着物を流動化物の内部に移行させることができる。そして、剪断力の付加を止めると、流動化物は再びゲル化する。その結果、付着物のない新しいゲル表面が露出することになる。よって、ゲルによるクリーニングの後に流動化を行うと、新しいゲル表面でノズル面をクリーニングすることが可能となり、ノズル面表面の撥インク薄膜を傷つけることを大きく抑制することができ、また、ノズル孔の目詰まりの発生も大きく抑制することができる。このため、インク滴の吐出を長期にわたって安定化でき、高印字品質のインクジェット記録を維持することができる。このように、本発明のインクジェット記録装置によれば、インクジェットヘッドのノズル面に析出物が析出したとしても、インク滴の安定吐出と高印字品質のインクジェット記録の維持とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の第１実施例におけるワイパー部材が配設されるカラーインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図２】ワイパー部材の斜視図である。
【図３】ワイピング操作におけるワイパー部材とインクジェットヘッドとの関係説明図である。
【図４】ワイピング操作におけるワイパー部材とインクジェットヘッドとの関係説明図である。
【図５】ワイピング操作におけるワイパー部材とインクジェットヘッドとの関係説明図である。
【図６】ゲルの流動化の説明図である。
【図７】ゲル表面のレベリング化の説明図である。
【図８】ゲル表面のレベリング化の説明図である。
【図９】ワイパー部材の蓋の説明図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ 容器
２ ゲル
６ インクジェットヘッド
６ａ ノズル面
１０ ワイパー部材
１００ カラーインクジェットプリンタ（インクジェット記録装置）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ノズルからインクを吐出して記録媒体上に記録を行うインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするワイパー部材とを有するインクジェット記録装置において、前記ワイパー部材は、少なくとも一面が開放可能な容器と、その容器に収容されたチキソトロピー性を有するゲルとを備え、前記ゲルが前記ノズル面をクリーニングするように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項２】
チキソトロピー性を有する前記ゲルが、スメクタイトを含有する請求項１記載のインクジェット記録装置。
【請求項３】
前記ワイパー部材による前記ノズル面のクリーニングが、前記ゲルと前記ノズル面とを接触させながら、前記ワイパー部材と前記インクジェットヘッドとを相対運動させることにより行われる請求項１又は２記載のインクジェット記録装置。
【請求項４】
前記ワイパー部材による前記ノズル面のクリーニングの後、前記ワイパー部材を前記ノズル面に対して傾斜させながら、前記ワイパー部材と前記ノズル面とを引き離すように構成されている請求項１〜３のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項５】
更に、前記ゲルを流動化させるための流動化部材を備えている請求項１〜４のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項６】
更に、前記ゲルの表面を平らにならすためのレベリング部材を備えている請求項１〜５のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項１】
ノズルからインクを吐出して記録媒体上に記録を行うインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドのノズル面をクリーニングするワイパー部材とを有するインクジェット記録装置において、前記ワイパー部材は、少なくとも一面が開放可能な容器と、その容器に収容されたチキソトロピー性を有するゲルとを備え、前記ゲルが前記ノズル面をクリーニングするように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項２】
チキソトロピー性を有する前記ゲルが、スメクタイトを含有する請求項１記載のインクジェット記録装置。
【請求項３】
前記ワイパー部材による前記ノズル面のクリーニングが、前記ゲルと前記ノズル面とを接触させながら、前記ワイパー部材と前記インクジェットヘッドとを相対運動させることにより行われる請求項１又は２記載のインクジェット記録装置。
【請求項４】
前記ワイパー部材による前記ノズル面のクリーニングの後、前記ワイパー部材を前記ノズル面に対して傾斜させながら、前記ワイパー部材と前記ノズル面とを引き離すように構成されている請求項１〜３のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項５】
更に、前記ゲルを流動化させるための流動化部材を備えている請求項１〜４のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項６】
更に、前記ゲルの表面を平らにならすためのレベリング部材を備えている請求項１〜５のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００７−８３６４２（Ｐ２００７−８３６４２Ａ）
【公開日】平成１９年４月５日（２００７．４．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２７７３０８（Ｐ２００５−２７７３０８）
【出願日】平成１７年９月２６日（２００５．９．２６）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年４月５日（２００７．４．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年９月２６日（２００５．９．２６）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
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