説明

インクジェット記録装置

【課題】微妙なバンディングの場合の他、メディアのセットの不正確やプラテンが平らでない等の原因によるバンディングでも確実に視認できるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】メディア10を所定方向に搬送する搬送装置31と、インクを吐出する記録ヘッド32と、メディア10の搬送方向とは直交する方向である走査方向に記録ヘッド32を移動させつつインクを吐出させるように制御する制御部38とを具備し、制御部38は、テストパターン印刷時に、インクを吐出させつつ記録ヘッド32を1回走査して形成した第1記録領域Aと、第1記録領域A形成後にインクを吐出させつつ記録ヘッドを1回走査して第1記録領域Aとメディア10の搬送方向に隣接する第2記録領域Bとを形成し、第1記憶領域A及び第2記録領域Bの少なくともいずれか一方には、インクが吐出されない隙間部44,46を一箇所または複数箇所に形成するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンディングの状態を視認できるインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドを走査してインクを吐出させるインクジェット記録装置においては、記録ヘッドの走査方向に筋状のムラが生じることがある。この筋状のムラがバンディングである。バンディングの原因としては、メディアの搬送量のバラツキ、メディアが正確にセットされていない、プラテンが平らになっていない等の原因で生じるものである。例えば、搬送量のバラツキに基づくバンディングでは、搬送量が少ない場合には、吐出されたインク部分が重なって色が濃い筋が生じ、また搬送量が多い場合には、吐出されたインク部分が重ならずに隙間が空いてメディアの地色の筋が生ずる。
【0003】
このようなバンディングの発生を検査するために、記録ヘッドからメディアにインクを吐出させる際に、記録ヘッドの走査方向に沿って並んだ複数の領域に異なる濃度のインクを吐出させる構成が開示されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、第1の記録領域と第2の記録領域記録とをヘッドの走査方向に並んで設定し、第1の記録領域には、記録ヘッドのいずれかのノズル部から所定量のインクを吐出させ、第2の記録領域には、第1の記録領域で吐出した量とは異なる量のインクを吐出させる旨が開示されている。
【0004】
また、パターン濃度(インクデューティ)を100%未満としてテストパターンを印刷し、バンディングを視認しやすくする技術も開示されている(特許文献2参照)。そしてインクデューティをメディアによって変更させることによって、さらにバンディングが視認しやすくできるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−265177号公報
【特許文献2】特開2003−25555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1においては、記録ヘッドの走査方向に並んだ異なる領域で異なる濃度でインクが吐出されるので、バンディングの有無を容易に且つ確実に視認できるとの記載がある。
しかしながら、このような特許文献1においてもバンディングのズレ量がわずかであるときには、目視での確認が困難である。
またメディアのセットが不正確である場合やプラテンが平らでない場合におけるバンディングは、走査方向に傾斜していたり、走査方向に沿って異なる状態のバンディングとなるので、さらに確認が困難であるという課題がある。
【0007】
また、特許文献2のようにパターン濃度の調整をするだけでは、特許文献1と同様にバンディングのズレ量がわずかであるときには、目視での確認が困難であり、また上記と同様に、メディアのセットが不正確である場合やプラテンが平らでない場合におけるバンディングの確認が困難であるという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、微妙なバンディングであっても短時間で確実に視認することができ、またメディアのセットが不正確である場合やプラテンが平らでない場合等の、メディアの搬送速度のバラツキが原因ではないバンディングであっても確実に視認できるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるインクジェット記録装置によれば、メディアを所定方向に搬送する搬送装置と、インクを吐出する記録ヘッドと、前記メディアの搬送方向とは直交する方向である走査方向に前記記録ヘッドを移動させつつインクを吐出させるように制御する制御部とを具備し、前記制御部は、テストパターン印刷時に、インクを吐出させつつ前記記録ヘッドを1回走査して形成した第1記録領域と、該第1記録領域形成後にインクを吐出させつつ記録ヘッドを1回走査して前記第1記録領域と前記メディアの搬送方向に隣接する第2記録領域とを形成し、前記第1記憶領域及び前記第2記録領域の少なくともいずれか一方には、インクが吐出されない隙間部を一箇所または複数箇所に形成するように制御することを特徴としている。
この構成を採用することによって、重なった領域、重ならない領域、無印字(隙間部)の部分を一目で視認でき、例えば第1記録領域と第2記録領域とがわずかに重なっただけのバンディングであったり、走査方向に傾斜したりバラツキがあるバンディングであっても短時間で且つ確実に視認できる。
【0010】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記隙間部は、前記第1記憶領域又は前記第2記録領域の互いに対向する端面に開口する開口凹部であることが好ましい。
開口凹部では、この開口凹部と隣接して第1記録領域、第2記録領域及び第1記録領域と第2記録領域との重なり部を同時に視認することができる。このため、第1記録領域と第2記録領域との重なり部の視認性が高まるので、第1記録領域と第2記録領域がほんの少し重なっただけの微妙なバンディングであっても短時間で且つ確実に視認できる。
【0011】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記隙間部を、第1記憶領域又は第2記録領域の間で互い違いに形成するように制御することが好ましい。
これによれば、バンディングが記録ヘッドの走査方向に対して傾斜したりバラツキがあったりする場合であっても確実に視認することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記隙間部を、第1記憶領域及び第2記録領域の少なくともいずれか一方において、記録ヘッドの走査方向の中央よりも上流側と、下流側とに少なくとも一箇所づつ形成するように制御することが好ましい。
これによれば、特に各記録領域における走査方向の両端のバンディングを検出できるため、バンディングの全体像の把握を容易に行うことができる。
【0013】
さらに、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記隙間部は、前記第1記憶領域又は前記第2記録領域の互いに対向する端面に開口する開口凹部であって、前記制御部は、前記隙間部のうち、前記メディアの搬送方向に隣接する前記第1記録領域と前記第2記録領域の互いに対向する記録領域とは搬送方向の反対側においてはインクが吐出された部位を形成するように制御することが好ましい。
これによれば、記録領域が隙間部によって分断されるのではなく、隙間部によって一部が開口した状態に形成される。この隙間部は各記録領域を窓のような状態で形成されるので、この窓の面積を視覚的に容易に比較でき、さらにバンディングの視認を容易にすることができる。
【0014】
さらに、本発明にかかるインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、前記メディアの搬送方向に2列に配列された第1列目の記録ヘッドと第2列目の記録ヘッドとを有する前記メディアの搬送方向にずれたスタガ配列された構成であって、前記制御部は、スタガ配列された記録ヘッドの1回の走査によって、第1列目の記録ヘッドが前記第1記録領域を形成し、第2列目の記録ヘッドが前記第2記録領域を形成するように制御することが好ましい。
これによれば、スタガ配列された記録ヘッドの、第1列目の記録ヘッドと第2列目の記録ヘッドのヘッド位置の調整も容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のインクジェット記録装置によれば、微妙なバンディングであっても短時間で確実に視認することができ、またメディアの搬送速度のバラツキを原因とするものではないバンディングであっても確実に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかるインクジェット記録装置の概略平面図である。
【図2】第1の実施形態におけるインクの吐出パターンの説明図である。
【図3】第2の実施形態におけるインクの吐出パターンの説明図である。
【図4】第3の実施形態におけるインクの吐出パターンの説明図である。
【図5】第3の実施形態における、図4とは異なる形態のインクの吐出パターンの説明図である。
【図6】第4の実施形態におけるインクの吐出パターンの説明図である。
【図7】第5の実施形態におけるインクの吐出パターンの説明図である。
【図8】バンディングにバラツキがある場合の説明図である。
【図9】バンディングに、図8とは異なるバラツキがある場合の説明図である。
【図10】バンディングに、図8及び図9とは異なるバラツキがある場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の好適な実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に、本実施形態のインクジェット記録装置の概略平面図を示す。
インクジェット記録装置20は、メディア10にインクジェットにより印刷を施す装置であって、複数の色のインクカートリッジと各色のインクを吐出する複数の吐出ノズルを有し、走査方向に往復動する記録ヘッド32と、メディア10を搬送方向に搬送させる搬送ローラ31とを備えている。
なお、メディア10は、印刷対象となる物であって、本発明においては紙、フィルム、布等の様々な材質の被印刷対象を含む概念である。
【0018】
記録ヘッド32は、走査方向に延出されているガイドレール36に沿って移動可能である。記録ヘッド32の走査方向への移動は、例えばモータの回転によってベルトを駆動させる方式等を採用することができる(図示せず)。
また、メディア10の下方には、記録ヘッド32との間の位置を規制するプラテン33が設けられている。
【0019】
メディア10の搬送を実行する搬送ローラ31の回転駆動は制御部38からの制御信号によって制御されている。また、記録ヘッド32の走査方向への移動及びインクの吐出に関する制御も制御部38によって実行される。
制御部38としては、予め制御プログラムを記憶しているROMやハードディスク等の各記憶装置40と、記憶装置に記憶されている制御プログラムに基づいて制御動作を実行すべく各構成に制御信号を出力する中央処理装置41とを有している。
ただし、制御部38としては、外部のコンピュータ12に接続され、コンピュータ12からの制御信号に基づいて動作するようにしてもよい。
【0020】
本実施形態における、バンディングを視認するための印刷動作は、本番の印刷前にテスト印刷時に実行することが好ましい。そこで、制御部38には、本番の印刷前に実行するようにプログラムされたテスト印刷用プログラム39が予め記憶されており、ユーザの指定により又は本番の印刷前に自動的に、テスト印刷用プログラム39が読み出されて中央処理装置41によって実行される。
なお、外部のコンピュータ12にテスト印刷用プログラム39が記憶されており、制御部38では、コンピュータ12からテスト印刷時のインク吐出パターン及び各構成の動作制御に関するデータを受信して各構成を制御するようにしてもよい。
【0021】
次に、バンディングの視認時のインクの吐出のパターンについて、以下に図面に基づいて説明する。
本実施形態では、記録ヘッドの2回の走査によって形成される2つの記録領域を合わせてバンディング視認に用いるようにしている。
図2の例では、記録ヘッド32の1回目の走査によって形成される第1記録領域Aと、記録ヘッド32の2回目の走査によって形成される第2記録領域Bとの間で、第1記録領域Aには第2記録領域Bにおける第1記録領域A側の端面aが露わになるような隙間部44を設け、第2記録領域Bには第1記録領域Aにおける第2記録領域B側の端面bが露わになるような隙間部46を設けている。
なお、本実施形態における隙間部44,46とは、記録ヘッド32の走査においてインクを全く吐出していない部位であって、メディア10の地の色が見えている部位のことである。図2では、各記録領域を分断するように隙間部44,46が形成されている。
【0022】
図2では第1記録領域Aの隙間部44が2箇所、第2記録領域Bの隙間部46が1箇所に形成されており、なおかつ第1記録領域Aの隙間部44と第2記録領域Bの隙間部46とが互い違いの位置となるように形成されている。
第1記録領域Aの隙間部44と第2記録領域Bの隙間部46を互い違いに形成することにより、記録ヘッド32の走査方向の各位置におけるバンディングの様子を確実に視認することができる。
【0023】
また、図2に示す実施形態では、記録ヘッド32の走査方向のほぼ中央に第2記録領域Bの隙間部46が形成されており、この中央の隙間部44よりも走査方向の上流側及び下流側に、第1記録領域Aの隙間部44が形成されている。このように、少なくとも走査方向の上流側及び下流側の2箇所に隙間部を形成することによって、特に走査方向の両端側におけるバンディングの様子を視認することができるので、走査方向全体のバンディングの様子を視認することができる。
【0024】
図2(a)には、本実施形態における第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間にはバンディングが存在しないケースを示している。
図2(b)には、本実施形態における第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に、搬送方向に隙間xが生じているケースを示している。隙間xは各隙間部44,46を連結して形成されるので、視認がしやすい。このケースでは、制御部38におけるメディア10の搬送量が大きいということが視認できる。したがって、このようなパターンが表れたら、メディア10の搬送量を減らす方向に制御することで問題の解決ができる。
【0025】
図2(c)には、本実施形態における第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に、搬送方向に重なっているケースを示している。重なり部分yは、隙間部44,46の走査方向の両側に形成されるので視認しやすい。このケースでは、制御部38におけるメディア10の搬送量が小さいということが視認できる。したがって、このようなパターンが表れたら、メディア10の搬送量を増やす方向に制御することで問題の解決ができる。
【0026】
図2(a)〜(c)に示したように、対向する記録領域の端面a,bを露わにする隙間部44,46を形成したことで、第1記録領域Aと第2記録領域Bの間で、重なった領域、重ならない領域、無印字(隙間部)の部分を一目で(視野内に全て入れて)視認できるので、バンディングを短時間で且つ確実に視認できる。
【0027】
なお、図2において、メディアサイズ(記録ヘッド32の走査方向の長さ)は1m程度のものと考えると、各隙間部44,46の走査方向の長さは1〜2cm程度、各隙間部44,46の間の第1記録領域Aと第2記録領域Bとの重なり部分の走査方向の長さは25〜30cm程度を想定している。
【0028】
(第2の実施形態)
続いて図3(a)〜(c)に、隙間部の形状が図2に示した実施形態とは異なる形状の実施形態を示す。
本実施形態では、第1記録領域A及び第2記録領域Bの各領域において、インクが吐出されない部位である隙間部47,48が形成されている。この隙間部47,48は、各記録領域A,Bを完全に分断しているのではなく、対向する記録領域と反対側においてはンクが吐出されている形状である。
【0029】
図3の隙間部の配置箇所も図2とほぼ同様であり、第1記録領域Aの隙間部47が2箇所、第2記録領域Bの隙間部48が1箇所に形成されており、なおかつ第1記録領域Aの隙間部44と第2記録領域Bの隙間部46とが互い違いの位置となるように形成されている。
また、図3に示す実施形態でも、記録ヘッド32の走査方向のほぼ中央に第2記録領域Bの隙間部48が形成されており、この中央の隙間部48よりも走査方向の上流側及び下流側に、第1記録領域Aの隙間部47が形成されている。
【0030】
本実施形態によれば、図3(a)に示すようにバンディングが存在しないケースでは、第1記録領域Aと第2記録領域Bを合わせて見ると、1つの記録領域内に閉鎖された隙間部47,48が形成されている。
図3(b)には、第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に、搬送方向に隙間xが生じているケースを示している。隙間xは各隙間部47,48を連結して形成されるので、視認がしやすい。そして、このケースでは、制御部38におけるメディア10の搬送量が大きいということが視認できる。したがって、このようなパターンが表れたら、メディア10の搬送量を減らす方向に制御することで問題の解決ができる。
【0031】
図3(c)には、本実施形態における第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に、搬送方向に重なっているケースを示している。重なり部分yは、隙間部47,48の走査方向の両側に表れるので、視認がしやすい。このケースでは、制御部38におけるメディア10の搬送量が小さいということが視認できる。したがって、このようなパターンが表れたら、メディア10の搬送量を増やす方向に制御することで問題の解決ができる。
【0032】
(第3の実施形態)
続いて図4及び図5に、隙間部の配置箇所を図2及び図3に示した実施形態とは異なる実施形態を示す。
図4に示す実施形態では、第1記録領域Aのみに隙間部44を形成しており、第2記録領域Bには隙間部が形成されていない。
このように、第1記録領域Aのみに隙間部44を形成した場合であっても、バンディングの視認が行いやすくなる。
【0033】
また、図5に示すように、第2記録領域Bのみに隙間部46を形成しており、第1記録領域Aには隙間部が形成されていない形状であってもよい。
【0034】
(第4の実施形態)
図6(a)〜(b)に、第1記録領域Aの隙間部44と、第2記録領域Bの隙間部46が走査方向に対して同じ位置に形成されている実施形態を示す。
本実施形態では、第1記録領域Aの所定の2箇所に隙間部44が形成され、この2箇所と同一の位置に、第2記録領域Bの隙間部46が形成される。
この実施形態によれば、上述してきたバンディングの視認ができるとともに、走査方向へのズレに関しても視認することができる。
【0035】
走査方向へのズレについては、正常な状態であれば、図6(a)に示すように、隙間部44と隙間部46の位置は完全に一致し、走査方向へのズレは存在しないことが判断できる。
一方、図6(b)に示すように、隙間部44と隙間部46にズレが生じている場合には、記録ヘッド32の走査方向のズレがあることが判断できる。このズレは、バンディングとは異なるが、記録ヘッド32の走査制御の調整を図ることで解決することができる。
【0036】
(第5の実施形態)
図7に、スタガ配列した記録ヘッドの例を示す。
スタガ配列とは、メディア10の搬送方向に対して記録ヘッドを2列に設け、2つの記録ヘッドを同時に走査させることで、印刷時間を短縮するように設けた構成である。
例えば、白色インクを第1列目の記録ヘッド50に設け、通常のカラーインクを第2列目の記録ヘッド52に設けることにより、下地の色の影響を受けやすい素材に印刷する場合であっても、白色をまず下地に印刷してその上からカラー印刷を施すことにより、カラーインクの色が鮮明になる。
【0037】
本発明のように、第1記録領域A及び/又は第2記録領域Bに隙間部を形成することを、図7のスタガ配列記録ヘッドに応用することにより、スタガ配列された第1列目の記録ヘッド50と第2列目の記録ヘッド52のヘッド位置調整を図ることができる。
すなわち、本実施形態では、1回の走査によって、第1記録領域Aを第1列目の記録ヘッド50で印刷し、第2記録領域Bを第2列目の記録ヘッド52で印刷することによって、第1記録領域Aと第2記録領域Bの重なりや隙間を視認することが容易になる。
【0038】
(他の実施形態)
図8〜図10には、バンディングの例を示し、その原因について説明する。ここでは、上述した図2のように、第1記録領域Aでは、走査方向上流側と下流側にそれぞれ隙間部44が形成されており、第2記録領域Bでは、走査方向のほぼ中央に隙間部46が形成されており、隙間部44,46は互い違いに配置されているパターンを示している。
【0039】
図8では、走査方向の上流側(図面右側)では第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に隙間xが生じており、走査方向の下流側(図面左側)では第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に重なり部分yが生じている。
このように、走査方向の上流側と下流側とで第1記録領域Aと第2記録領域Bのズレの状態が異なる場合は、メディア10が斜めにセットされている可能性がある。したがって、このようなパターンが出た場合には、メディア10の配置を直すようにする必要がある。
【0040】
図9では、走査方向の上流側(図面右側)では第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に重なり部分yが生じており、走査方向の中央部分では隙間xが生じており、走査方向の下流側(図面左側)では第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に重なり部分yが生じている。
さらに、図10では、走査方向の上流側(図面右側)では第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に隙間xが生じており、そのすぐ下流側(中央部分よりもやや上流側)には第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に重なり部分yが生じている。さらに、そのすぐ下流側(中央部分よりもやや下流側)には1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に隙間xが生じており、走査方向の下流側(図面左側)では第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間に重なり部分yが生じている。
【0041】
このように走査方向に沿って各部分で異なるズレの状態の場合、メディア10にしわが生じている可能性、又はプラテン33が平らではない可能性がある。
したがって、このようなパターンが出た場合には、メディア10のしわの有無の確認、プラテン33の確認をする必要がある。
【0042】
本発明では、上述した図2に示す実施形態のように、第1記録領域Aの隙間部44と、第2記録領域Bの隙間部46を互い違いに配置することにより、図9、10のような複雑なズレをしている場合であっても確実に視認することができる。
【0043】
そして、隙間部44を走査方向の上流側と下流側のそれぞれに形成したことにより、パターンの走査方向の両端のバンディングを検出できるため、バンディングの全体像の把握を容易に行うことができる。
【0044】
さらに、図3に示すように、隙間部が、対向する記録領域とは反対側にはインクが吐出され、第1記録領域Aと第2記録領域Bとの間では、閉鎖された窓のような空間として形成されるようにしてもよい。
隙間部をこのように形成することによって、この隙間部は各記録領域を窓のような状態で切り抜いて形成するので、この窓の面積を比較すればバンディングの視認が容易となる。
【符号の説明】
【0045】
10 メディア
12 コンピュータ
20 インクジェット記録装置
31 搬送ローラ
32 記録ヘッド
33 プラテン
36 ガイドレール
38 制御部
40 各記憶装置
41 中央処理装置
44,46 隙間部
47,48 隙間部
50 第1列目の記録ヘッド
52 第2列目の記録ヘッド
A 第1記録領域
B 第2記録領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを所定方向に搬送する搬送装置と、
インクを吐出する記録ヘッドと、
前記メディアの搬送方向とは直交する方向である走査方向に前記記録ヘッドを移動させつつインクを吐出させるように制御する制御部とを具備し、
前記制御部は、
テストパターン印刷時に、インクを吐出させつつ前記記録ヘッドを1回走査して形成した第1記録領域と、該第1記録領域形成後にインクを吐出させつつ記録ヘッドを1回走査して前記第1記録領域と前記メディアの搬送方向に隣接する第2記録領域とを形成し、
前記第1記憶領域及び前記第2記録領域の少なくともいずれか一方には、インクが吐出されない隙間部を一箇所または複数箇所に形成するように制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記隙間部は、
前記第1記憶領域又は前記第2記録領域の互いに対向する端面に開口する開口凹部であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記隙間部を、第1記憶領域及び第2記録領域の間で互い違いに形成するように制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記隙間部を、第1記憶領域及び第2記録領域の少なくともいずれか一方において、記録ヘッドの走査方向の中央よりも上流側と、下流側とに少なくとも一箇所づつ形成するように制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記隙間部は、
前記第1記憶領域又は前記第2記録領域の互いに対向する端面に開口する開口凹部であって、
前記制御部は、
前記隙間部のうち、前記メディアの搬送方向に隣接する前記第1記録領域と前記第2記録領域の互いに対向する記録領域とは搬送方向の反対側においてはインクが吐出された部位を形成するように制御することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドは、前記メディアの搬送方向に2列に配列された第1列目の記録ヘッドと第2列目の記録ヘッドとを有する前記メディアの搬送方向にずれたスタガ配列された構成であって、
前記制御部は、
スタガ配列された記録ヘッドの1回の走査によって、第1列目の記録ヘッドが前記第1記録領域を形成し、第2列目の記録ヘッドが前記第2記録領域を形成するように制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項記載のインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate