説明

インクセットおよび画像記録方法

【課題】ヒビ割れの発生を低減でき、かつ、耐擦性に優れた画像を記録することができる上、吐出安定性に優れたインクセットを提供することにある。
【解決手段】本発明に係るインクセットは、白色顔料および第1樹脂を含有する第1インクと、前記白色顔料以外の色材および第2樹脂を含有する第2インクと、を備え、前記第1樹脂は、スライドガラス上に0.5gを滴下させて、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥させたときにヒビが発生する(A)成分、を含み、前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクセットおよびこれを用いた画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な記録方式を用いて、被記録媒体にインクを付着させて所望の画像を形成することが知られている。このような画像の形成に用いるインクは、その用途に応じて様々な成分が添加され調製されている。例えば、特許文献1には、印刷層を保護するために用いられる紫外線硬化型のオーバープリント用インク組成物について記載されている。また、特許文献2には、インクジェット方式を用いた配線パターンの形成に用いられる導体パターン用インクについて記載されている。
【0003】
ところで、被記録媒体に付着された画像には、インクに含まれる成分や、記録方法等によって、ヒビ割れが生じる場合がある。このような不具合を低減するために、上記の特許文献1には、オーバーコート用インク組成物に種々のオリゴマーやモノマーを添加するが記載されている。また、上記の特許文献2では、導体パターン用インクにポリエチレングリコール等の非イオン性化合物を添加して、導体パターンのヒビ割れを低減させるが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−120846号公報
【特許文献2】特開2007−194175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献に記載されているように、インク組成物に画像のヒビ割れを低減するための成分を添加すると、画像の耐擦性が低下する場合があった。
【0006】
このような不具合を解決するために、例えば、インク組成物に画像の耐擦性を向上させるための成分をさらに添加することもできる。しかし、添加する成分によっては、画像の耐擦性の向上と、画像のヒビ割れの低減と、を同時に満たすことができない場合があった。
【0007】
また、画像の耐擦性の向上と、画像のヒビ割れを低減させるために、インク中の樹脂等の含有比率を高くすると、インクに含まれる成分が凝集しやすくなり、インクジェット記録装置の吐出安定性が低下する場合があった。特に、白色顔料を含むインクにおいて、インク中の樹脂の含有比率が高くなると、白色インクの凝集が生じやすいという問題があった。
【0008】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、ヒビ割れの発生を低減でき、かつ、耐擦性に優れた画像を記録することができる上、吐出安定性に優れたインクセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本発明に係るインクセットの一態様は、
白色顔料および第1樹脂を含有する第1インクと、
前記白色顔料以外の色材および第2樹脂を含有する第2インクと、を備え、
前記第1樹脂は、スライドガラス上に0.5gを滴下させて、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥させたときにヒビが発生する(A)成分、を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分、を含む。
【0011】
適用例1に記載の態様によれば、第1インクおよび第2インクを重ねることによって形成された画像のヒビ割れを低減でき、かつ、形成された画像の耐擦性にも優れる。また、インクジェット記録装置に適用された場合において、吐出安定性に優れ良好な画像を形成できる。
【0012】
[適用例2]
本発明に係るインクセットの一態様は、
白色顔料および第1樹脂を含有する第1インクと、
前記白色顔料以外の色材および第2樹脂を含有する第2インクと、を備え、
前記第1樹脂は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方である(A)成分、を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分、を含む。
【0013】
適用例2に記載の態様によれば、第1インクおよび第2インクを重ねることによって形成された画像のヒビ割れを低減でき、かつ、形成された画像の耐擦性にも優れる。また、インクジェット記録装置に適用された場合において、吐出安定性に優れ良好な画像を形成できる。
【0014】
[適用例3]
適用例1において、
前記(A)成分は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方であることができる。
【0015】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記第1インク中の前記(A)成分の含有量は、1質量%以上7質量%未満であることができる。
【0016】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記第1インク中の前記(A)成分の含有量[W1]と、前記第2インク中の前記(B)成分の含有量[W2]と、の比率(W2/W1)は、0.25以上1.5以下であることができる。
【0017】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、100nm以上200nm以下であることができる。
【0018】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
さらに、前記第1樹脂は、前記(B)成分を含み、
前記第1インク中の前記(B)成分の含有量は、2質量%以下であることができる。
【0019】
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか1例において、
前記第1インク中の前記第1樹脂の含有量は、1質量%以上6質量%未満であることができる。
【0020】
[適用例9]
本発明に係る画像記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか1例に記載のインクセットを用いた画像記録方法であって、
前記第1インクの液滴を吐出させて、当該第1インクの液滴を被記録媒体に付着させる工程と、
前記第2インクの液滴を吐出させて、前記被記録媒体に付着させた前記第1インクの液滴上に当該第2インクの液滴を付着させる工程と、を含む。
【0021】
適用例9に記載の態様によれば、画像の耐擦性に優れ、かつ、ヒビ割れの低減された画像が得られる。また、インクの吐出安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
【0023】
1.インクセット
本発明の一実施形態に係るインクセットは、第1インクと、第2インクと、を備える。以下、本実施形態に係る各インクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0024】
1.1.第1インク
本実施形態に係る第1インクは、白色顔料と、第1樹脂と、を含有する。第1インクは、いわゆる「白色インク」として用いられる。本発明において「白色インク」とは、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に、duty100%以上で吐出されたインクの明度(L)および色度(a、b)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測した場合に、70≦L≦100、−4.5≦a≦2、−6≦b≦2.5、の範囲を示すものをいう。
【0025】
また、本明細書において、「duty値」とは、下式で算出される値である。
【0026】
duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
【0027】
次に、第1インクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0028】
1.1.1.白色顔料
本実施形態に係る第1インクは、白色顔料を含有する。白色顔料としては、例えば金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色顔料には、中空構造を有する粒子を含み、中空構造を有する粒子としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。中空構造を有する粒子としては、例えば、米国特許第4,880,465号などの明細書に記載されている粒子を好ましく用いることができる。本実施形態の第1インクに含有される白色顔料としては、これらの中でも、白色度および耐擦性の観点から、二酸化チタンが好ましい。
【0029】
白色顔料の含有量(固形分)は、第1インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。白色顔料の含有量が上記範囲を超えると、インクジェット記録装置のノズル詰まり等が発生する場合がある。一方、白色顔料の含有量が上記範囲未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向がある。
【0030】
白色顔料の体積基準の平均粒子径(以下、「平均粒子径」という。)は、好ましくは30nm以上600nm以下であり、より好ましくは200nm以上400nm以下である。白色顔料の平均粒子径が前記範囲を超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なったり、インクジェット式記録ヘッドの目詰まり等信頼性を損なうことがある。一方、白色顔料の平均粒子径が前記範囲未満であると、白色度が不足する傾向にある。
【0031】
白色顔料の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。
【0032】
1.1.2.第1樹脂
本実施形態に係る第1インクは、第1樹脂を含有する。第1樹脂の機能の一つとしては、第1インクを被記録媒体に定着させることが挙げられる。第1樹脂の含有量は、第1インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上7質量%未満であり、より好ましくは1質量%以上6質量%未満であり、特に好ましくは3質量%以上6質量%未満である。第1樹脂の含有量が上記範囲内にあると、第1インクをインクジェット記録装置に適用した際に、第1インクの吐出安定性が良好になる。一方、第1樹脂の含有量が上記範囲を超えると、白色顔料が凝集しやくなり、第1インクをインクジェット記録装置に適用した際に、ノズルの詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。また、第1樹脂の含有量が上記範囲未満であると、第1インクの被記録媒体に対する定着性が不十分となる場合がある。なお、第1樹脂の含有量とは、固形分換算による量である。
【0033】
以下、第1樹脂に含まれる成分について説明する。なお、第1樹脂は一種以上の樹脂を含む概念であり、「第1樹脂に・・・含まれる」、「第1樹脂は・・・含有する」、「第1樹脂は・・・含み」等は、樹脂の構造に含まれるという意味ではなく、第1樹脂に該当する樹脂であるということを意味する。
【0034】
(1)(A)成分
第1樹脂は、(A)成分を含有する。(A)成分は、スライドガラス(例えば、MICRO SLIDE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社製)上に樹脂0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥したときにヒビ割れが発生する樹脂である。
【0035】
(A)成分の具体例としては、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方が挙げられる。(A)成分は、第1インクを被記録媒体に定着させる機能を有するだけでなく、被記録媒体に形成された画像の耐擦性を著しく向上させる機能を有する。
【0036】
(A)成分は、乾燥させた際にヒビ割れを発生する場合がある。(A)成分のヒビ割れは、例えば、スライドガラス(MICRO SLIDE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社製)上に(A)成分0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥したときにおける、(A)成分の乾燥物のヒビ割れの有無によって判断することができる。なお、(A)成分の乾燥は、例えば、公知の恒温恒湿槽等を用いて行うことができる。
【0037】
(A)成分として用いられるフルオレン系樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂であれば特に制限されるものではなく、例えば下記のモノマー単位(a)ないし(d)を共重合することにより得ることができる。
【0038】
(a)イソホロンジイソシアネート(CAS No.4098−71−9)
(b)4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール](CAS No.117344−32−8)
(c)3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸(CAS No.4767−03−7)
(d)トリエチルアミン(CAS No.121−44−8)
【0039】
(A)成分として用いられるフルオレン系樹脂は、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール](CAS No.117344−32−8)で示されるようなフルオレン骨格を有するモノマーを含有する樹脂であれば特に制限されない。
【0040】
また、(A)成分として用いられるスチレンアクリル系樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
【0041】
なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを利用してもよい。スチレンアクリル系樹脂の市販品としては、具体例には、ジョンクリル62J(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0042】
フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂は、いずれも第1インクによって形成される画像の耐擦性を向上させることができるが、特に第1インクにフルオレン系樹脂が配合されると、より画像の耐擦性を向上させることができる。
【0043】
(A)成分の含有量(固形分)は、第1インクの全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上7質量%未満であり、より好ましくは1質量%以上7質量%未満であり、さらに好ましくは1質量%以上6質量%未満であり、特に好ましくは3質量%以上6質量%未満である。(A)成分の含有量が上記範囲内にあると、第1インクをインクジェット式記録ヘッドに適用した際の吐出安定性が良好であり、記録される画像の耐擦性および定着性が良好となる。一方、(A)成分の含有量が上記範囲を超えると、記録される画像のヒビ割れが発生したり、インクジェット式記録ヘッドの吐出安定性が低下する場合がある。一方、上記範囲未満であると、記録される画像の耐擦性が低下する場合がある。
【0044】
(2)その他の樹脂
第1樹脂としては、(A)成分のみが用いられてもよいが、(A)成分に加えて、さらに他の樹脂を用いてもよい。
【0045】
他の樹脂の機能の一つとしては、第1インクを被記録媒体に定着させる機能の他に、第1インク中の白色顔料の分散性を向上させたりすることが挙げられる。他の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂や、後述する(B)成分等が挙げられる。
【0046】
また、第1インク中に下記「1.2.2.第2樹脂」に記載の(B)成分を含有する場合、第1インク中の(B)成分の含有量は、2質量%以下であることが好ましい(「2質量%以下」とは、0質量%も含む)。また、第1インク中の(B)成分の含有量は、より好ましくは1質量%以下(0質量%も含む)、さらに好ましくは0.5質量%以下(0質量%も含む)、一層好ましくは0.1質量%以下(0質量%も含む)である。ヒビ割れの防止効果等を奏する(B)成分をできる限り第2インクに含有させることで、第1インクの吐出安定性が良好となる場合がある。
【0047】
吐出安定性の観点から、第1インク中の第1樹脂および白色顔料の合計は、第1インクの全質量に対して固形分換算で、18質量%以下であることが好ましく、16質量%以下であることがより好ましく、14質量%以下であることが一層好ましい。
【0048】
1.1.3.その他の成分
本実施形態に係る第1インクは、有機溶媒を含有することができる。第1インクには、複数種の有機溶媒が含有されていてもよい。第1インクに用いる有機溶媒としては、アルカンジオール類、アルカンジオール以外の多価アルコール類、ピロリドン誘導体等が挙げられる。
【0049】
アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,2−アルカンジオール類は、被記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、被記録媒体上に優れた画像を形成することができる。アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、第1インクの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0050】
アルカンジオール以外の多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。アルカンジオール以外の多価アルコール類は、第1インクをインクジェット記録装置に用いた場合に、ヘッドのノズル面でのインクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。アルカンジオール以外の多価アルコール類を含有する場合には、その含有量が、第1インクの全質量に対して、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0051】
ピロリドン誘導体として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂の良好な溶解剤として作用することができる。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量が、第1インクの全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
【0052】
また、第1インクは、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
【0053】
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。シリコン系界面活性剤は、被記録媒体上で第1インクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有するという観点から好ましく用いることができる。シリコン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量が、第1インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
【0054】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、DF110D、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力および界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。アセチレン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、第1インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0055】
本実施形態に係る第1インクは、水を50%以上含有する、いわゆる水系インクであってもよい。水系インクは、非水系(溶剤系)インク(例えば、記録物に用いるインクとしては米国特許出願公開第2007/0044684号明細書に記載されたインクを参照)に比べて、記録ヘッドに用いられているピエゾ素子や、被記録媒体に含まれる有機バインダー等への反応性が弱いので、これらを溶かしたり、腐食させたりすることを低減できる場合がある。また、水系インクは、高沸点・低粘度の溶剤を多く含有する非水系インクに比べて、乾燥性に優れた画像を形成することができる場合がある。さらに、水系インクは、溶剤系インクに比べて、臭気も抑えられており、かつ、その組成の50%以上が水であるので環境にも良いという利点がある。
【0056】
本実施形態に係る第1インクは、さらに、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有することができる。本実施形態に係る第1インクは、これらの化合物を含有していると、その特性がさらに向上する場合がある。
【0057】
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0058】
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
【0059】
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0060】
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
【0061】
本実施形態に係る第1インクは、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0062】
1.2.第2インク
本実施形態に係る第2インクは、前述の白色顔料以外の色材と、第2樹脂と、を含有する。以下、第2インクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0063】
1.2.1.色材
本実施形態に係る第2インクは、前述の白色顔料以外の色材(以下、単に「色材」ともいう。)を含有する。色材としては、例えば、染料、顔料等が挙げられる。色材の含有量は、第2インク全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
【0064】
(1)顔料
本実施形態において使用可能な顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。
【0065】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
【0066】
また、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料としては、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、またはMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、またはSpecial Black 4等が挙げられる。
【0068】
イエロー有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213等が挙げられる。
【0069】
マゼンタ有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264またはC.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
【0070】
シアン有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等が挙げられる。
【0071】
また、マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
【0072】
(2)染料
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0073】
イエロー系染料としては、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、127、131、135、142、162、164、165、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144、C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、C.I.フードイエロー3、4、C.I.ソルベントイエロー15、19、21、30、109等が挙げられる。
【0074】
マゼンタ系染料としては、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、37、42、51、52、57、75、77、80、82、85、87、88、89、92、94、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、209、211、215、219、249、252、254、262、265、274、282、289、303、317、320、321、322、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、C.I.ソルビライズレッド1、C.I.フードレッド7、9、14等が挙げられる。
【0075】
シアン系染料としては、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、182、183、184、187、192、199、203、204、205、229、234、236、249、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、C.I.ソルビライズバットブルー1、5、41、C.I.バットブルー4、29、60、C.I.フードブルー1、2、C.I.ベイシックブルー9、25、28、29、44等が挙げられる。
【0076】
また、マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の染料としては、例えば、C.I.アシッドグリーン7、12、25、27、35、36、40、43、44、65、79、C.I.ダイレクトグリーン1、6、8、26、28、30、31、37、59、63、64、C.I.リアクティブグリーン6、7、C.I.アシッドバイオレット15、43、66、78、106、C.I.ダイレクトバイオレット2、48、63、90、C.I.リアクティブバイオレット1、5、9、10、C.I.ダイレクトブラック154等が挙げられる。
【0077】
1.2.2.第2樹脂
本実施形態に係る第2インクは、第2樹脂を含有する。第2樹脂の機能の一つとしては、第2インクを被記録媒体に定着させることが挙げられる。第2樹脂の含有量は、第2インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上7質量%以下である。第2樹脂の含有量が上記範囲を超えると、第2インクをインクジェット記録装置に適用した際に、ノズルの詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。なお、第2インクに用いられる色材の粒子径は、第1インクに用いられる白色顔料の粒子径よりも小さいことが多い。そのため、第2インクは、色材の凝集が生じにくく、第1インクと比べてより多くの量の樹脂を含有しても、吐出不良が発生しにくい。なお、第2樹脂の含有量は、固形分換算の含有量である。
【0078】
(1)(B)成分
第2樹脂は、(B)成分を含有する。(B)成分は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方からなる樹脂である。(B)成分の機能の一つとしては、上述した第2インクの定着性を向上させる機能の他に、画像のヒビ割れの発生を低減することが挙げられる。なお、第2樹脂は一種以上の樹脂を含む概念であり、「第2樹脂に・・・含まれる」、「第2樹脂に・・・含有する」、「第2樹脂に・・・含み」等は、樹脂の構造に含まれるという意味ではなく、第2樹脂に該当する樹脂であるということを意味する。
【0079】
ここで、本実施形態に係るインクセットは、白色とは限らない被記録媒体(例えば、プラスチックや金属)に対して画像を記録するために用いられる場合がある。このような場合に、第1インクは、被記録媒体の色を消したり、カラー画像の透過性を下げたりするために、カラー画像の下地層の形成に用いられることがある。このとき、第1インクからなる下地層の上に、カラー画像が記録されると、画像にヒビ割れが発生することがある。ヒビ割れの生じる詳細なメカニズムは、明らかになっていないが、インクの乾燥過程に伴う画像の急激な収縮や、第1インクおよび第2インクに含まれる成分の凝集等によるものだと考えられる。
【0080】
このような場合において、第2インク中に(B)成分が含まれていると、(B)成分の作用により、画像のヒビ割れを効果的に抑制することができる。
【0081】
(B)成分として用いられるポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、画像のヒビ割れの発生をより効果的に低減できるという観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0082】
ポリオレフィンワックスの市販品としては、「ケミパールW4005」(三井化学株式会社製、ポリエチレン系ワックス、粒径200〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%)等のケミパールシリーズが挙げられる。その他、AQUACER513(ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER840(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE-2213、ハイテックE-9460、ハイテックE-9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上、東邦化学株式会社製)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(サンノプコ社製、ポリエチレンエマルジョン、粒径40nm)等が挙げられる。これらは、常法によりポリオレフィンワックスを水中に分散させた水系エマルジョンの形態で市販されている。本実施形態に係る第2インクにおいては、水系エマルジョンの形態のまま直接添加することができる。
【0083】
ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、好ましくは10nm以上800nm以下であり、より好ましくは40nm以上600nm以下であり、特に好ましくは100nm以上200nm以下である。ポリオレフィンワックスの平均粒子径が前記範囲にあると、第1インクおよび第2インクにより形成される画像のヒビ割れの発生を低減させるとともに、耐擦性も向上できる。特に、100nm以上200nm以下の平均粒子径を有するポリオレフィンワックスを用いると、インクジェット式記録ヘッドの吐出安定性と、第1インクおよび第2インクにより形成される画像の耐擦性と、の両性能を高い基準で満たすことができる。一方、ポリオレフィンワックスの平均粒子径が上記範囲未満であると、記録される画像の耐擦性を向上させる効果が低下する傾向にある。また、ポリオレフィンワックスの平均粒子径が上記範囲を超えると、インクの吐出安定性が低下する傾向にある。
【0084】
ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
【0085】
エチレン酢酸ビニル系樹脂としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体に限られず、さらに他のモノマーを含む共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、特に限定されず、公知のモノマーを用いることができる。
【0086】
エチレン酢酸ビニル系樹脂としては、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプ、溶媒中に溶解した状態で存在している溶液タイプのいずれのタイプを用いてもよいが、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプが好ましい。また、エマルジョンタイプは、その乳化方法によって強制乳化型と自己乳化型に分類することができるが、本発明においてはいずれの型式でも用いることができる。
【0087】
エチレン酢酸ビニル系樹脂の市販品としては、エバフレックス EV45X、EV40W・X、EV45LX、EV40LX、V5772ET、V5773W、EV150、EV205W、EV210、EV210ET、EV220、EV220ET、EV250、EV260、EV310、EV360、v577、EV410、EV420、EV450、EV460、EV550、EV560、P1207(以上、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)、スミカフレックス 201HQ、520HQ、410HQ(以上、住友化学株式会社製)等が挙げられる。
【0088】
(B)成分の含有量(固形分)は、第2インクの全質量に対して、好ましくは0.5質量%以上8質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上6質量%以下である。(B)成分の含有量が上記範囲内にあると、第1インクおよび第2インクを用いて形成された画像のヒビ割れを効果的に低減できる。一方、ポリオレフィンワックスの含有量が上記範囲を超えると、インクジェット記録装置のノズル詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。また、上記範囲未満であると、第1インクおよび第2インクを用いて形成される画像のヒビ割れの発生を低減できる効果が期待できない場合がある。
【0089】
本実施形態に係るインクセットにおいて、第1インク中の(A)成分の含有量[W1(質量%)]と、第2インク中の(B)成分の含有量[W2(質量%)]と、の比率(W2/W1)は、好ましくは0.1以上2以下であり、より好ましくは0.2以上1.5以下である。(A)成分と(B)成分との含有量の関係が上記範囲内にあると、第1インクおよび第2インクを用いて記録される画像のヒビ割れの発生を低減しつつ、画像の耐擦性にも優れたものとなる。
【0090】
(2)その他の樹脂
第2樹脂としては、(B)成分のみが用いられてもよいが、(B)成分に加えて、さらに他の樹脂を用いてもよい。
【0091】
他の樹脂の機能の一つとしては、第2インクを被記録媒体に定着させる機能を一層向上させることの他に、第1インク中の白色顔料の分散性を向上させたりすることが挙げられる。他の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の公知の樹脂が挙げられる。
【0092】
1.2.3.その他の成分
本実施形態に係る第2インクは、上記以外の成分を含有することができる。第2インクに使用可能な成分としては、「1.1.3.その他の成分」で挙げた成分と同様であるので、その説明を省略する。
【0093】
1.3.第1インクおよび第2インクの物性
本実施形態に係るインクセットをインクジェット記録装置に用いる場合において、第1インクおよび第2インク(以下、単に「インク」ともいう。)の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。インクは、20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こすことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。インクの粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、インクの温度を20℃に保持することで測定できる。
【0094】
2.画像記録方法
本発明の一実施形態に係る画像記録方法は、前述したインクセットを用いて行うものであって、第1インクの液滴を吐出させて、第1インクの液滴を被記録媒体に付着させる工程と、第2インクの液滴を吐出させて、被記録媒体に付着させた第1インクの液滴上に第2インクの液滴を付着させる工程と、を含む。
【0095】
本実施形態の画像記録方法は、従来公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。液滴吐出装置としては、例えば、インクジェットプリンター等が挙げられる。以下、インクジェットプリンターを用いた画像記録方法について説明する。
【0096】
まず、インクジェットプリンターの記録ヘッドのノズルから、第1インクの液滴を吐出させて、被記録媒体上に第1インクの液滴を付着させる。第1インクは、白色顔料を含有する白色インクであるので、記録媒体上に付着した第1インクの液滴は、白色を呈する。これにより、第1インクが下地層として機能し、第1インク上に付着させる第2インクの発色性を向上できる。
【0097】
次に、記録ヘッドのノズルから、第2インクの液滴を吐出させて、被記録媒体上に付着させた第1インクの液滴上に第2インクを付着させる。このとき、第1インクの液滴と第2インクの液滴とは、被記録媒体上において、少なくとも一部が接触していればよい。
【0098】
以上の操作を繰り返すことにより、被記録媒体上に所望の画像を形成することができる。
【0099】
第1インクおよび第2インクは、それぞれ、上述した成分を備えている。そのため、本実施形態に係る画像記録方法よれば、吐出安定性に優れ、記録される画像のヒビ割れが少なく、記録される画像の耐擦性に優れている。
【0100】
3.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0101】
3.1.白色インクおよびカラーインクの調製
表1〜表3に示す配合量で、色材、樹脂、1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、プロピレングリコール、ポリシロキサン系界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過、真空ポンプを用いて脱気処理をして、以下の評価に用いる白色インクおよびカラーインクを調製した。
【0102】
なお、表1〜表3に記載されている数値の単位は、いずれも、質量%であり、二酸化チタン粒子および樹脂についてはいずれも固形分換算した値である。
【0103】
表1〜表3に記載の成分は、具体的には、以下のものを用いた。
【0104】
(色材)
・二酸化チタン顔料(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Slurry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリー)
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
(樹脂)
・フルオレン系樹脂
・スチレンアクリル系樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリル62J」)
・ポリエチレン系ワックスA(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「AQUACER513」、平均粒子径150nm)
・ポリエチレン系ワックスB(三井化学株式会社製、商品名「ケミパール W4005」、平均粒子径600nm)
・ポリエチレン系ワックスC(サンノプコ社製、商品名「ノプコート PEM−17」、平均粒子径40nm)
・エチレン酢酸ビニル系樹脂(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、「エバフレックス EV210」、平均粒子径200nm)
・ウレタン系樹脂(三井化学株式会社製、商品名「W635」、平均粒子径150nm)
(その他の成分)
・界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」、シリコン系界面活性剤)
・1,2−ヘキサンジオール
・2−ピロリドン
・プロピレングリコール
・イオン交換水
【0105】
上記のフルオレン系樹脂は、以下のように合成して得られたものである。フルオレン系樹脂は、イソホロンジイソシアネート30質量部、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール]50質量部、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸100質量部、トリエチルアミン30質量部を量りとり十分に混合した後、触媒存在下120℃で5時間撹拌することにより合成した。得られたフルオレン系樹脂は、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール]をモノマー構成比率略50質量%含有する、分子量3300の樹脂であった。
【0106】
また、用いたスチレンアクリル系樹脂およびフルオレン系樹脂は、いずれも、スライドガラス(MICRO SLIDE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社製)上に、0.5g滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥したときにおいて、ヒビ割れが発生するものであった。
【0107】
なお、シアン顔料は次の方法で分散された顔料分散液を用いた。
【0108】
まず、拌装置、還流管、温度センサー、滴下ロートを備えた2000mlのセパラブルフラスコ内を、充分に窒素置換した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部をセパラブルフラスコに入れて攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、滴下ロートにジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0質量部、シクロヘキシルアクリレート(以下、「CHA」と呼ぶ)483.0質量部、メタクリル酸(以下、「MAA」と呼ぶ)66.6質量部、アクリル酸(以下、「AA」と呼ぶ)50.4質量部及びt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(以下、「BPEH」と呼ぶ)4.8質量部を入れ、80℃で4時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下した。滴下終了後、80℃で1時間保持した後、BPEH0.8質量部を加え、さらに80℃で1時間反応を行った。熟成を終了させた後、減圧蒸留によりジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した。その後、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と呼ぶ)600.0質量部を加え、樹脂固形分50%のインクジェットインク用ポリマー組成物溶液を得た。
【0109】
このようにして得られたインクジェットインク用ポリマー組成物溶液の一部を取り、105℃の強熱乾燥機で1時間乾燥した後、得られたインクジェットインク用ポリマー組成物の固形物の酸価は130mgKOH/gであり、質量平均分子量は34000であった。
【0110】
次に、インクジェットインク用ポリマー組成物溶液120.0質量部に対して30%水酸化ナトリウム水溶液6.0質量部を加えて、高速ディスパーで5分間攪拌し、さらに顔料濃度25質量%のC.I.ピグメントブルー15:3を含む分散液を、480.0質量部を加えて、高速ディスパーで1時間攪拌し、顔料分散液を得た。
【0111】
3.2.インクジェットプリンター
以下の評価試験には、インクジェット記録方式のプリンターとして、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン株式会社製、ノズル解像度:180dpi)の紙案内部に温度が可変できるヒーターを取り付けて改造したものを用いた。
【0112】
次に、表1〜表3に記載の白色インクおよびカラーインクを、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−G930」)専用のインクカートリッジにそれぞれ充填して、実施例および比較例毎に白色インクおよびカラーインクからなるインクセットを得た。このようにして得られたインクセットを、それぞれ、上記の改造したプリンターに装着した。
【0113】
3.3.吐出安定性の評価試験
(1)ベタパターン画像の連続印刷
上記のプリンターを用いて、解像度1440×720dpi、duty100%の条件で、インク毎にノズルから液滴を吐出させて、A4サイズの被記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm、東レ株式会社製)10枚に連続して単色のベタパターン画像の印刷を行った。
【0114】
(2)吐出安定性の評価
上記ベタパターン画像の連続印刷後、インク毎にノズルチェックパターンを印刷した。このとき、目視にて、ノズルの抜けや飛行曲がりを観察して、各インクの吐出安定性を評価した。なお、評価基準は以下のとおりであり、C以上の評価であると実用上使用に問題ない程度の吐出安定性を備えると判断できる。なお、吐出安定性の評価は白色インクの吐出安定性評価である。
A:ノズルの抜けがなく、かつ、飛行曲がりもない
B:ノズルの抜けはないが、飛行曲がりがある
C:ノズルの抜けが10ノズル未満で認められる
D:ノズルの抜けが10ノズル以上で認められる
【0115】
3.4.耐擦性評価試験
(1)耐擦性評価用サンプルの作成
上記のプリンターを用いて、A4サイズの被記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm、東レ株式会社製)に対して、ベタパターン画像の印刷および乾燥を行った。
【0116】
具体的には、まず、解像度1440×720dpi、100%dutyの条件で、白色インクのみを被記録媒体上に付着させて、白色のベタパターン画像を形成した。次いで、白色のベタパターン画像上に、解像度1440×720dpi、100%dutyの条件で、カラーインクのみを付着させて、シアン色のベタパターン画像を形成した。そして、得られた画像をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。このようして、白色のベタパターン画像上に、シアン色のベタパターン画像が印刷された耐擦性評価用のサンプルを得た。
【0117】
なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある被記録媒体の表面温度を測定したところ、被記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0118】
(2)耐擦性評価
得られた耐擦性評価サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥後、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g,摩擦回数10回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と記録物とを擦り合わせ、画像の表面状態を目視にて観察した。なお、評価基準は以下のとおりであり、C以上の評価であると実用上使用に問題ない程度の耐擦性を備えると判断できる。
A:画像の剥がれはなく、摩擦用白綿布への色の転写も少ない
B:画像の剥がれはないが、摩擦用白綿布への色の転写が多い
C:画像の一部が剥がれる(画像が印刷された面積の10%未満)
D:画像が剥がれる(画像が印刷された面積の10%以上)
【0119】
3.5.ヒビ割れ試験
(1)ヒビ割れ評価用サンプルの作成
上記のプリンターを用いて、A4サイズの被記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm、東レ株式会社製)に対して、画像の印刷および乾燥を行った。
【0120】
具体的には、まず、解像度1440×720dpi、100%dutyの条件で、白色インクのみを被記録媒体上に付着させて、白色のベタパターン画像を形成した。そして、白色のベタパターン画像上に、解像度1440×720dpi、30%〜100%dutyの条件で、カラーインクのみを付着させて、カラー画像(シアン色の画像)を形成した。次いで、得られた画像をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。このようして、白色のベタパターン画像上に、duty毎にシアン色の画像が印刷された耐擦性評価用のサンプルを得た。
【0121】
なお、改造したプリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、改造したプリンターのヘッド近傍にある被記録媒体の表面温度を測定したところ、被記録媒体の表面温度は、改造したプリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0122】
(2)ヒビ割れ評価
得られたヒビ割れ評価用サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥後、画像表面を目視により判定した。評価基準は下記の通りであり、C以上の評価であると実用上の使用に問題ない程度にヒビ割れを防止できていると判断できる。
A:duty100%でも画像のヒビ割れ無し
B:duty80%までなら画像のヒビ割れ無し
C:duty50%までなら画像のヒビ割れ無し
D:duty30%でも画像がヒビ割れる
【0123】
3.6.評価結果
以上の評価結果を表1〜表3に併せて示す。なお、表中、W1は、白色インク中のフルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の合計の含有比率(質量%)を表す。また、W2は、カラーインク中のポリエチレン系ワックスA〜Cおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の合計の含有比率(質量%)を表す。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
【表3】

【0127】
表1および表2の評価試験結果に示すように、実施例1〜実施例12のインクセットによれば、ヒビ割れが低減され、かつ、耐擦性に優れた画像を記録し、吐出安定性も良好であった。
【0128】
一方、比較例1のインクセットにおいて、カラーインクには、ポリエチレンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂のいずれも含有されていない。そのため、表3の評価試験結果に示すように、低dutyの条件であっても、画像のヒビ割れが発生した。
【0129】
比較例2のインクセットにおいて、白色インクには、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂のいずれも含有されていない。そのため、表3の評価結果に示すように、耐擦性に優れない画像を記録した。
【0130】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色顔料および第1樹脂を含有する第1インクと、
前記白色顔料以外の色材および第2樹脂を含有する第2インクと、を備え、
前記第1樹脂は、スライドガラス上に0.5gを滴下させて、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥させたときにヒビが発生する(A)成分、を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分、を含む、インクセット。
【請求項2】
白色顔料および第1樹脂を含有する第1インクと、
前記白色顔料以外の色材および第2樹脂を含有する第2インクと、を備え、
前記第1樹脂は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方である(A)成分、を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分、を含む、インクセット。
【請求項3】
請求項1において、
前記(A)成分は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方である、インクセット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記第1インク中の前記(A)成分の含有量は、1質量%以上7質量%未満である、インクセット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記第1インク中の前記(A)成分の含有量[W1]と、前記第2インク中の前記(B)成分の含有量[W2]と、の比率(W2/W1)は、0.25以上1.5以下である、インクセット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、100nm以上200nm以下である、インクセット。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
さらに、前記第1樹脂は、前記(B)成分を含み、
前記第1インク中の前記(B)成分の含有量は、2質量%以下である、インクセット。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
前記第1インク中の前記第1樹脂の含有量は、1質量%以上6質量%未満である、インクセット。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のインクセットを用いた画像記録方法であって、
前記第1インクの液滴を吐出させて、当該第1インクの液滴を被記録媒体に付着させる工程と、
前記第2インクの液滴を吐出させて、前記被記録媒体に付着させた前記第1インクの液滴上に当該第2インクの液滴を付着させる工程と、を含む、画像記録方法。

【公開番号】特開2012−193280(P2012−193280A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58343(P2011−58343)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】