インク容器およびそれを用いる印刷装置
【課題】 インク収容体に搭載される記憶素子として安価なものを用いても、インク残量などといったデータを確実に書き換えることのできるインクジェット印刷装置、およびそれに用いるインク収容体を提供すること。
【解決手段】 インクカートリッジ107K、107Fに搭載の記憶素子80のメモリセル81において、インクカートリッジ107K、107Fのインク残量が書き換えられる第2の記憶領域については、読み出し専用データが記憶される第1の記憶領域よりも先にアクセスされる領域に配置する。また、第2の記憶領域は第1および第2インク残量記憶領域を有し、各インク残量記憶領域は書込完了フラグを有する。
【解決手段】 インクカートリッジ107K、107Fに搭載の記憶素子80のメモリセル81において、インクカートリッジ107K、107Fのインク残量が書き換えられる第2の記憶領域については、読み出し専用データが記憶される第1の記憶領域よりも先にアクセスされる領域に配置する。また、第2の記憶領域は第1および第2インク残量記憶領域を有し、各インク残量記憶領域は書込完了フラグを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタあるいはインクジェットプロッタなどとして用いられる印刷装置(インクジェット印刷装置)、およびこのインクジェット印刷装置の本体に着脱されるインク容器に関する。さらに詳しくは、インク容器にインク量情報を記憶する際の処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタやインクジェットプロッタなどとして用いられるインクジェット印刷装置は、インクを収容するインク容器(インクカートリッジ)と、媒体に対する印刷を実行する印刷ヘッドを備える印刷装置本体とから概略構成されている。印刷ヘッドは、インク容器から供給されるインクを印刷用紙等の媒体に付着させることにより媒体に対する印刷を実現する。インク容器は、印刷装置本体に対して着脱可能に形成されている。インク容器には、当初、所定量のインクが収容されており、収容されているインクが空になると、インク容器は新たなものと交換される。そして、この種のインクジェット印刷装置は、印刷処理中における印刷の中断を避けるため、印刷ヘッドからのインクの吐出量に基づいてインク容器内のインク残量を印刷装置本体側で算出し、インク残量が少なくなったときにその旨を報知するように構成されている。
【0003】
また、インク容器内のインク種、インク量等のインク情報を記憶するための記憶素子を備えるインク容器も提案されている。インク容器がこれらのインク情報を保有することにより、このインク容器が装着される印刷装置は、記憶されているインク情報を読み出し、使用されているインクに適した印刷処理を実行することができる。
【0004】
しかしながら、インク容器が読み出し専用の情報しか保有し得ない場合には、インク容器の使用状態に関する情報、すなわちインク関連情報等を考慮したより適切な印刷処理を実現することができないという問題がある。また、インク容器に対してインク関連情報を書き込み得る場合にも、書き込み処理の中断によって書き込みが不完全に終わる事態が考えられるが、このような場合の対応については何ら考慮されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク容器に関する情報を迅速、確実に記憶することのできる、インク容器、そのインク容器を用いる印刷装置、インク容器に備えられる記憶装置およびインク容器に関する情報をインク容器に書き込む方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、印刷装置に装着されるインク容器を提供する。この印刷容器は、印刷用インクを収容するインク収容部と、印刷用インクを収容するインク収容部と、少なくとも前記インク収容部内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶部とを備えると共に、前記記憶部は前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成を備えることにより、本発明の第1の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0008】
本発明の第1の態様において、複数の前記インク収容部を有し、その複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有することができる。また、前記記憶部は2つの前記インク量情報記憶領域を有し、前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置され得る。また、前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、その所定値の初期値はそれぞれ異なる値であっても良く、あるいは、その所定値の初期値はそれぞれ同一値であっても良い。
【0009】
本発明の第1の態様において、前記インク量情報記憶領域は、それぞれ前記記憶部において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域であっても良い。また、前記記憶部はクロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされる記憶部であっても良い。また、前記インク量に関連する情報はインク残量であっても良く、あるいは、前記インク容器に関する累積的なインク消費量であっても良い。
【0010】
本発明の第2の態様は、印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法を提供する。この方法は、生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むことを特徴とする。
【0011】
このような構成を備えることにより、本発明の第2の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0012】
本発明の第2の態様はさらに、前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法を提供する。この方法は、生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込み、その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込み、前記第1書込完了情報記憶領域に対する書き込みが完了した後、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込み、その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込むことを特徴とする。
【0014】
このような構成を備えることにより、本発明の第3の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0015】
本発明の第3の態様はさらに、前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断することができる。また、前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断することができる。方法。
【0016】
本発明の第3の態様において、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断することができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1書込完了情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断することができる。
【0017】
本発明の第3の態様において、さらに、前記第1インク量情報記憶領域に書き込まれた前記第1インク量情報を前記第2インク量情報記憶領域に書き込むことができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶されるものであっても良い。
【0018】
本発明の第4の態様は、印刷装置に装着されるインク容器に備えられる記憶装置を提供する。この記憶装置は、少なくとも前記インク容器内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶素子を備えると共に、その記憶素子は、前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成を備えることにより、本発明の第4の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0020】
本発明の第4の態様において、前記インク容器は複数の前記インク収容部を有し、前記記憶装置はその複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有することができる。また、2つの前記インク量情報記憶領域を有し、前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置され得る。また、前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、その所定値の初期値はそれぞれ異なる値であっても良い。さらに、前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、その所定値の初期値はそれぞれ同一値であっても良い。
【0021】
本発明の第4の態様において、前記インク量情報記憶領域は、前記記憶素子において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域であっても良い。また、前記印刷装置から出力されるクロック信号に基づきカウント値を出力するアドレスカウンタを備え、前記記憶素子は出力された前記カウント値に基づいてシーケンシャルにアクセスされてもよい。また、前記インク量に関連する情報はインク残量であっても良く、あるいは、前記インク容器に関する累積的なインク消費量であっても良い。
【0022】
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様に係るインク容器が装着されて用いられる印刷装置を提供する。この印刷装置は、前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込む書き込み手段と、各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込む所定情報書込手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
このような構成を備えることにより、本発明の第5の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0024】
本発明の第5の態様はさらに、前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断する判断手段を備えることができる。
【0025】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様に係るインク容器が装着されて用いられる印刷装置を提供する。この印刷装置は、前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、生成された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込む第1書き込み手段と、その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込む第1書込完了情報書込手段と、その第1書込完了情報書込手段による第1書込完了情報の書き込み後に、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込む第2書き込み手段と、その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込む第2書込完了情報書込手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
このような構成を備えることにより、本発明の第6の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0027】
本発明の第6の態様はさらに、前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断する判断手段を備えることができる。また、前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断することができる。
【0028】
本発明の第6の態様において、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断することができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断することができる。
【0029】
本発明の第6の態様において、前記第1書き込み手段および第2書き込み手段は、前記記憶部の中で前記第1インク量情報記憶領域および第2インク量情報記憶領域に対して最初に書き込みを行うことができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶され得る。
【0030】
本発明の第7の態様は、記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込むプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。この記録媒体は、生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込むことを備えるプログラムを記録することを特徴とする。
【0031】
このような構成を備えることにより、本発明の第7の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0032】
本発明の第7の態様において、前記プログラムはさらに、前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して、いくつかの好適な実施例に基づき本発明を説明する。なお、説明にあたっては以下の目次に従うものとする。
[第1実施例]
(インクジェット印刷装置の全体構成)
(インクカートリッジおよびカートリッジ搭載部の構成)
(記憶素子80の構成)
(インクジェットプリンタ1の動作)
(第1実施例の効果)
[第2実施例]
(記憶素子800のデータ構造)
(第2実施例の効果)
[その他の実施例]
【0034】
[第1実施例]
(インクジェット印刷装置の全体構成)
図1は、以下の各実施例で用いられる本発明を適用したインクジェットプリンタ(印刷装置)の構成を示す斜視図である。図1において、本実施例のプリンタ1は、スキャナSCなどとともにコンピュータPCに対して接続された状態で使用される。コンピュータPCに、オペレーティングシステムや所定のプログラムがロードされ、実行されることにより、これらの装置全体が一体で印刷装置として機能する。コンピュータPCでは、所定のオペレーティングシステム上でアプリケーションプログラムが動作し、スキャナSCから読み込んだ画像などに対して所定の処理を行いつつCRTディスプレイMTに画像を表示する。使用者は、ディスプレイMT上の画像をレタッチするといった処理を行なったのち、印刷を指示すると、オペレーティングシステムに組み込まれたプリンタドライバが起動し、画像データをプリンタ1に転送する。
【0035】
プリンタドライバは、スキャナSCから入力され、処理された原カラー画像データをプリンタ1が使用する各色のデータに変換し、プリンタ1に出力する。詳細には、原カラー画像データは赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色成分からなり、これを色変換して、プリンタ1に出力する色データであるブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)の各色に変換する処理や、さらにこれをインクドットの有無に置き換えるいわゆる二値化の処理などを行なう。これらの画像処理は、周知のものなので、詳細な説明は省略する。なお、こうした処理は後述するようにプリンタ1側で行なうこともできる。
【0036】
キャリッジ101は、タイミングベルト102を介してキャリッジ機構12のキャリッジモータ103に接続されており、ガイド部材104に案内されて印刷用紙105(媒体)の紙幅方向に往復動する。インクジェットプリンタ1は、紙送りローラ106を用いた紙送り機構11も有している。キャリッジ101には印刷用紙105と対向する面、この図に示す例では下面にインクジェット式の印刷ヘッド10が取り付けられている。印刷ヘッド10は、キャリッジ101の上に保持されているインクカートリッジ107K、107F(インク容器)からインクの補給を受け、キャリッジ101の移動に合わせて印刷用紙105にインク滴を吐出してドットを形成し、印刷用紙105に画像や文字を印刷する。
【0037】
インクカートリッジ107Kのインク収容室117Kには、黒(K)のインクが充填されている。また、インクカートリッジ107Fには、複数のインク収容室107C、107LC、107M、107LM、107Yがそれぞれ独立して形成されている。これらのインク収容室107C、107LC、107M、107LM、107Yには、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)のインクがそれぞれ充填されている。したがって、印刷ヘッド10には、各色のインクがインク収容室107C、107LC、107M、107LM、107Yからそれぞれ供給される。これらの各インクはそれぞれ印刷ヘッド10から各色のインク滴として吐出されてカラー印刷が実現される。
【0038】
インクジェットプリンタ1の非印刷領域(非記憶領域)には、キャッピング装置108が配置され、印刷処理の休止中に印刷ヘッド10のノズル開口部を封止する。このキャッピング装置108によって、印刷処理の休止中における、インクの溶媒成分が揮発することに起因するインク粘度の増大、あるいは、インク膜の形成を抑制することができる。したがって、印刷処理の休止中におけるノズルの目詰まりを防止することができる。また、キャッピング装置108は、印刷処理実行中に行われるフラッシング動作による印刷ヘッド10からのインク滴を受ける。キャッピング装置108の近傍にはワイピング装置109が配置され、このワイピング装置109は、印刷ヘッド10の表面をブレードなどでワイピングすることにより、印刷ヘッド10の表面に付着したインク滓や紙粉を拭き取る。
【0039】
図2は、本形態のインクジェットプリンタ1の機能ブロック図である。図2において、インクジェットプリンタ1は、プリンタ本体100(印刷装置本体)がプリントコントローラ40とプリントエンジン5とから構成されている。プリントコントローラ40は、コンピュータからの多値階調情報を含む印刷データなどを受信するインターフェース43と、多値階調情報を含む印刷データなどの各種データの記憶を行うRAM44と、各種データ処理を行うためのルーチンなどを記憶したROM45と、CPUなどからなる制御部46と、発振回路47と、印刷ヘッド10への駆動信号COMを発生させる駆動信号発生回路48と、この駆動信号発生回路48と、ドットパターンデータに展開された印刷データおよび駆動信号をプリントエンジン5に送信するなどの機能を果たすパラレル入出力インターフェース49とを備えている。
【0040】
また、プリントコントローラ40にはパラレル入出力インターフェース49を介してパネルスイッチ92および電源91の制御線も接続されている。パネルスイッチ92にて電源OFFが入力されると、プリントコントローラ40はパワーダウン命令(NMI)を電源91に出力し、電源91は待機状態に入る。この待機状態にて、電源91は、電力供給線(図示しない)を介して待機電力をプリントコントローラ40に供給する。すなわち、パネルスイッチ92を介して実行される通常の電源OFF操作ではプリントコントローラ40に対する電力供給は完全には遮断されない。
【0041】
さらに、プリントコントローラ40は電源91から所定電力が供給されているか否かを監視しており、電源プラグがコンセントから抜かれた場合にもパワーダウン命令(NMI)を発する。電源91にはプラグがコンセントから抜かれた後も所定時間(例えば、0.3秒)にわたり電力供給を実現するために、補償電源装置(例えば、キャパシタ)が備えられている。
【0042】
さらに、プリントコントローラ40には、キャリッジ101上(図1参照。)に搭載した黒用のインクカートリッジ107Kおよびカラー用のインクカートリッジ107Fに関する情報を記憶しておくEEPROM90も搭載され、詳しくは後述するが、このEEPROM90には、黒用のインクカートリッジ107Kおよびカラー用のインクカートリッジ107Fにおけるインク量に関連する情報(インク残量またはインク消費量)等の所定情報を記憶しておく。またさらに、プリントコントローラ40には、制御部46がアクセス(読み出し/書き込み)を所望する記憶素子80(後述する)のメモリセル81(後述する)のアドレスをクロック数に変換するアドレスデコーダ95が備えられている。
【0043】
インクジェットプリンタ1では、ノズル開口部23から吐出されるインク滴重量とインク滴の吐出回数とを乗じることによってインク吐出量を算出することができる。インク残量は、このインク吐出量と、印刷ヘッド10の気泡混入による異常発生時等にキャッピング装置108を印刷ヘッド10に圧接させてノズル開口部を密閉し、キャッピング装置108に連通されたポンプ機構(図示せず。)によりインクを吸引して復帰する時に消費されるインク吸引量とに基づくインク消費量を印刷動作開始前のインク残量から減じることによって算出できる。このようなインク残量の算出は、EEPROM90に記憶されているデータなどを用いながら、予めROM45などに格納されているプログラムに基づいて、制御部46が行う。
【0044】
実施例のプリンタ1では、上述したように、二値化済みのデータを受け取っているが、このデータの配列と実際の印刷ヘッド10のノズルの配列とは一致していない。そこで、制御部46は、RAM44内を受信バッファ44A,中間バッファ44B,出力バッファ44Cに分けて、ドットデータの配列の組み替え処理を行なっている。なお、色変換や二値化の処理をプリンタ1側で行なうという制御も可能である。こうした場合には、プリンタ1は、コンピュータPCなどから送られた多値階調情報を含む印刷データを、インターフェース43を介して印刷装置内部の受信バッファ44Aに保持し、以下の処理を行なう。受信バッファ44Aに保持された印刷データは、コマンド解析が行われてから中間バッファ44Bへ送られる。中間バッファ44B内では、制御部46によって中間コードに変換された中間形式としての印刷データが保持され、各文字の印刷位置、修飾の種類、大きさ、フォントのアドレスなどが付加される処理が制御部46によって実行される。次に、制御部46は、中間バッファ44B内の印刷データを解析し、階調データをデコード化した後の2値化されたドットパターンデータを出力バッファ44Cに展開し記憶させる。
【0045】
いずれの場合でも、印刷ヘッド10の1スキャン分に相当するドットパターンデータが得られると、このドットパターンデータは、パラレル入出力インターフェース49を介して印刷ヘッド10にシリアル転送される。出力バッファ44Cから1スキャン分に相当するドットパターンデータが出力されると、中間バッファ44Bの内容が消去されて、次の変換処理が行われる。
【0046】
プリントエンジン5は、印刷ヘッド10と、前記の紙送り機構11と、前記のキャリッジ機構12とを備えている。紙送り機構11は、印刷紙などの印刷媒体を順次送り出して副走査を行うものであり、キャリッジ機構12は、印刷ヘッド10を主走査させるものである。
【0047】
印刷ヘッド10は、生成されたドットパターンデータを印刷媒体上に形成すべく、所定のタイミングで各ノズル開口部23から印刷媒体上に向けてインク滴を吐出させる。駆動信号発生回路48で生成された駆動信号COMは、パラレル入出力インターフェース49を介して印刷ヘッド10の素子駆動回路50に出力される。ここで、印刷ヘッド10には、ノズル開口部23に連通する圧力発生室32および圧電振動子17(圧力発生素子)がノズル開口部23の数だけ形成されており、素子駆動回路50から所定の圧電振動子17に駆動信号COMが与えられると、圧力発生室32が収縮し、ノズル開口部23からインク滴が吐出される。
【0048】
図3は、印刷ヘッドに形成したノズル開口部のレイアウトを示す説明図である。印刷ヘッド10には、図3に示すように、黒(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)に対応するノズル開口部23が各色毎に列を形成して並んでいる。
【0049】
(インクカートリッジおよびカートリッジ搭載部の構成)
このように構成したインクジェットプリンタ1において、インクカートリッジ107K、107Fの基本的な構造は共通する。そこで、図4および図5を参照して、黒用のインクカートリッジ107Kを例にインクカートリッジの構造、およびこのカートリッジをプリンタ本体に装着するための構造を説明する。
【0050】
図4は、インクカートリッジおよびプリンタ本体のカートリッジ装着部の概略構造を示す斜視図である。図5は、このインクカートリッジの内部構造、キャリッジ101上のカートリッジ装着部の内部構造、およびカートリッジ装着部にカートリッジを装着する様子を示す断面図である。
【0051】
図4において、インクカートリッジ107Kは、内部にインクを収容するインク収容部117Kを構成する合成樹脂製のカートリッジ本体171と、このカートリッジ本体171の側枠部172に内蔵された記憶素子80(記憶手段)とを備えている。この記憶素子80は、インクカートリッジ107Kをプリンタ本体100のカートリッジ装着部18に装着したときに、プリンタ本体100との間で各種のデータの授受を行う。この記憶素子80は、インクカートリッジ107Kの側枠部172に対して下側が開放状態にある凹部173に装着されているので、複数の接続端子174のみが露出している。あるいは、全体が露出されていても良い。
【0052】
これに対して、カートリッジ装着部18には、インクカートリッジ107Kを装着する空間の底部187に針181が上向きに配置されている。この針181の周りは、インクカートリッジ107Kに形成されているインク供給部175を受け入れる凹部183になっている。この凹部183の内壁には、カートリッジガイド182が3箇所に形成されている。カートリッジ装着部18の内壁184には、コネクタ186が配置され、このコネクタ186には、カートリッジ装着部18にインクカートリッジ107Kを装着したときに記憶素子80の複数の接続端子174がそれぞれ電気的に接続する複数の電極185が形成されている。
【0053】
次に、カートリッジ装着部18に対してインクカートリッジ107Kを装着する手順を説明する。まず、カートリッジ装着部18にインクカートリッジ107Kを配置する。カートリッジ装着部18の後壁部188には、支持軸191を介して固定レバー192が取り付けられており、この固定レバー192をインクカートリッジ107Kに被さるように倒すと、インクカートリッジ107Kが下方に押されてインク供給部175が凹部183に嵌るとともに、針181がインク供給部175に突き刺さってインクの供給が可能になる。さらに、固定レバー192を倒すと、固定レバー192の先端に形成した係止部193がカートリッジ装着部18に形成した係合具189に係合し、インクカートリッジ107Kが固定される。この状態で、インクカートリッジ107Kの記憶素子80の複数の接続端子174と、カートリッジ装着部18の複数の電極185とがそれぞれ電気的に接続し、プリンタ本体100と記憶素子80の間においてデータの授受が可能となる。
【0054】
インクカートリッジ107Kの構造は、基本的にはカラー用のインクカートリッジ107Fでも同様であるため、その説明を省略する。ただし、カラー用のインクカートリッジ107Fでは、5色分のインクが各インク収容室に充填され、かつ、これらのインクはそれぞれ別々の経路を辿って印刷ヘッド10に供給される必要がある。したがって、カラー用のインクカートリッジ107Fでは、インク供給部175がインクの色数分だけ形成されている。なお、インクカートリッジ107Fでは、5色分のインクが収容されているが、そこに内蔵されている記憶素子80は1つだけであり、この1つの記憶素子80に、インクカートリッジ107Fの情報および各色のインクの情報が一括して記憶される。
【0055】
(記憶素子80の構成)
図6は、本形態のインクジェットプリンタに用いたインクカートリッジ107K、107Fに内蔵の記憶素子80の構成を示すブロック図である。図7は本形態のインクジェットプリンタに用いた黒用のインクカートリッジ107Kに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。
【0056】
インクカートリッジ107K、107Fのいずれにおいても、内部にはインクを収容しておくインク収容部が形成されているとともに、記憶素子80が内蔵され、この記憶素子80として、本形態では、図6にブロック図で示すように、シリアルアクセスされるメモリセル81と、このメモリセル81でのデータの読み書きを制御するリード・ライト制御部82と、クロック信号CLKに基づいてリード・ライト制御部82を介してプリンタ本体100とメモリセル81との間でデータの読み書きを行なう際のカウントアップを行なうアドレスカウンタ83とを備えたEEPROMが用いられている。
【0057】
黒用のインクカートリッジ107Kに備えられている記憶素子80のメモリセル81は、図7に示すように、読み出し専用データを記憶する第1の記憶領域750と、書き換え可能なデータを記憶する第2の記憶領域760とを備えている。プリンタ本体100は、第1の記憶領域750に格納されているデータに対しては読み出しのみが可能であり、第2の記憶領域760に格納されているデータに対しては読み出しおよび書き込みの双方を実行し得る。第2の記憶領域760は、アクセス時に第1の記憶領域750よりも先にアクセスされるアドレスに配置されている。すなわち、第2の記憶領域760は、第1の記憶領域750よりも低いアドレスに配置されている。ここで、低いアドレスとはアドレスの先頭領域側のアドレスのことをいう。
【0058】
ここで、第2の記憶領域760に記憶される書き換え可能データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域701、702に対してそれぞれ割り当てられた第1の黒インク残量データおよび第2の黒インク残量データである。黒インク残量データが2つの記憶領域701、702に割り当てられているのは、2つの記憶領域701、702に記憶されている黒インク残量データを対比することにより、データが正規に書き込み完了されたか否かを判断し、現在の黒インク残量データとして用いるデータを決定するためである。
【0059】
これら2つの記憶領域、第1黒インク残量記憶領域701、第2黒インク残量記憶領域702について図8を参照して更に説明する。図8は第1黒インク残量記憶領域701および第2黒インク残量記憶領域702のデータ構造を模式的に示す説明図である。本実施例においては、黒インク残量データは先ず第1黒インク残量記憶領域701に対して書き込まれ、続いて第2黒インク残量記憶領域に対して書き込まれる。また、各記憶領域701、702の終端領域には、各記憶領域701、702に対する黒インク残量データの書き込みが正常に完了したか否かを示す第1書込完了フラグ770および第2書込完了フラグ771がそれぞれ備えられている。これら書込完了フラグ770、771の初期値は相互に反対の値に設定されており、例えば、第1書込完了フラグの初期値は0であり、第2書込完了フラグの初期値は1である。したがって、書込完了フラグ770、771が同一の値を示す場合には、第1黒インク残量記憶領域に対する書込が完了していることを意味する。
【0060】
これに対して、第1の記憶領域750に記憶される読み出し専用データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域711〜720に対して割り当てられたインクカートリッジ107Kの開封時期データ(年)、インクカートリッジ107Kの開封時期データ(月)、インクカートリッジ107Kのバージョンデータ、顔料系あるいは染料系などといったインクの種類データ、インクカートリッジ107Kの製造年データ、インクカートリッジ107Kの製造月データ、インクカートリッジ107Kの製造日データ、インクカートリッジ107Kの製造ラインデータ、インクカートリッジ107Kのシリアルナンバーデータ、インクカートリッジ107Kが新品であるかリサイクル品であるかを示すリサイクル有無データである。
【0061】
カラー用のインクカートリッジ107Fに備えられている記憶素子80のメモリセル81も、図9に示すように、読み出し専用データを記憶する第1の記憶領域650と、書き換え可能なデータを記憶する第2の記憶領域660とを備えている。図9はカラー用のインクカートリッジ107Fに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。プリンタ本体100は、第1の記憶領域650に格納されているデータに対しては読み出しのみが可能であり、第2の記憶領域660に格納されているデータに対しては読み出しおよび書き込みの双方を実行し得る。第2の記憶領域660は、アクセス時に第1の記憶領域650よりも先にアクセスされるアドレスに配置されている。すなわち、第2の記憶領域660は、第1の記憶領域650よりも低いアドレス(先頭側アドレス)に配置されている。
【0062】
ここで、第2の記憶領域660に記憶される書き換え可能データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域601〜610に対してそれぞれ割り当てられた第1のシアンインク残量データ、第2のシアンインク残量データ、第1のマゼンダインク残量データ、第2のマゼンダインク残量データ、第1のイエローインク残量データ、第2のイエローインク残量データ、第1のライトシアンインク残量データ、第2のライトシアンインク残量データ、第1のライトマゼンダインク残量データ、第2のライトマゼンダインク残量データである。各色のインク残量データが2つの記憶領域に割り当てられているのは、黒用のインクカートリッジ107Kと同様、2つの記憶領域である第1インク残量記憶領域(601、603、605、607、609)、第2インク残量記憶領域(602、604、606、608、610)に記憶されているカラー・インク残量データを対比することにより、記憶領域に記憶されているデータが正規に書き込み完了されたか否かを判断し、現在のカラー・インク残量データとして用いるデータを決定するためである。
【0063】
これら2つの記憶領域、第1カラー・インク残量記憶領域(601、603、605、607、609)、第2カラー・インク残量記憶領域(602、604、606、608、610)について、第1シアンインク残量記憶領域601および第2シアンインク残量記憶領域602を代表的に用いて図10と共に更に説明する。図10は第1シアンインク残量記憶領域601および第2シアンインク残量記憶領域602のデータ構造を模式的に示す説明図である。本実施例においては、シアンインク残量データは先ず第1シアンインク残量記憶領域601に対して書き込まれ、続いて第2シアンインク残量記憶領域602に対して書き込まれる。また、各記憶領域601、602の終端領域には、各記憶領域601、602に対するシアンインク残量データの書き込みが正常に完了したか否かを示す第1書込完了フラグ670および第2書込完了フラグ671がそれぞれ備えられている。これら書込完了フラグ670、671の初期値は相互に反対の値に設定されており、例えば、第1書込完了フラグの初期値は0であり、第2書込完了フラグの初期値は1である。したがって、書込完了フラグ670、671が同一の値を示す場合には、第1シアンインク残量記憶領域601に対する書込が完了していることを意味する。
【0064】
これに対して、第1の記憶領域650に記憶される読み出し専用データは、黒用のインクカートリッジ107Kと同様、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域611〜620に対して割り当てられたインクカートリッジ107Fの開封時期データ(年)、インクカートリッジ107Fの開封時期データ(月)、インクカートリッジ107Fのバージョンデータ、インクの種類データ、製造年データ、製造月データ、製造日データ、製造ラインデータ、シリアルナンバーデータ、リサイクル有無データである。これらのデータは、色にかかわらず共通であるため、各色間で共通のデータとして1種類のみ記憶されている。
【0065】
これらのデータはいずれも、インクカートリッジ107K、107Fがプリンタ本体100に装着された後、プリンタ本体100の電源がオンされたときに、プリンタ本体100側によって読み出されて、プリンタ本体100に内蔵のEEPROM90に記憶される。EEPROM90の内部データ配列について図11を参照して説明する。図11はプリンタ本体に内蔵のEEPROMのデータ配列を示す説明図である。図11に示すように、このEEPROM90の記憶領域801〜835には、黒用のインクカートリッジ107Kおよびカラー用のインクカートリッジ107Fのインク残量など、各記憶素子80に記憶されるすべてのデータを記憶できるようになっている。
【0066】
(インクジェットプリンタ1の動作)
次に図12〜図15を参照して電源オンから電源オフまでに本実施例に係るインクジェットプリンタ1が実行する基本動作について説明する。図12は電源投入時に実行される処理を示すフローチャートである。図13はインク残量を算出するために実行される処理を示すフローチャートである。図14は本形態のインクジェットプリンタ1において電源オフまでに実行される処理を示すフローチャートである。図15(A)、(B)はそれぞれ、本形態のインクジェットプリンタ1において、プリンタ本体からインクカートリッジ107K、107Fに内蔵の記憶素子80にインク残量を書き込む際の処理を示すフローチャート、およびこの処理を行う際のタイミングチャートである。
【0067】
図12を参考にして電源投入後に制御部46によって実行される処理ルーチンについて説明する。インクジェットプリンタ1の電源がオンされると、制御部46はインクカートリッジ107K、107Fの交換が行われたか否かを判断する(ステップS30)。この判断は、例えば、EEPROM90がインクカートリッジ交換フラグを有する場合にはそのフラグを参照することにより、あるいは、各インクカートリッジ107K、107Fの有する製造時分データおよび製造シリアル等に基づいてインクカートリッジ107K、107Fが交換されたか否かを判断することにより実行され得る。インクカートリッジ107K、107Fの交換がなく、単に電源がオンされた場合には(ステップS30:No)、インクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80から記憶されているデータを読み出す(ステップS31)。ここで、本実施例ではインク残量に関するデータを2つの領域に記憶する構成を備えており、インク残量に関するデータの読み出しに際しては、後述する判定処理によって読み出すべきデータが決定される。
【0068】
これに対して、インクカートリッジ107K、107Fが交換されていると判断した場合には(ステップS30:Yes)、制御部46は取付回数を1つインクリメントしインクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80に書き込む(ステップS32)。そして、制御部46は、インクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80から記憶されているデータを読み出す(ステップS31)。続いて、制御部46は読み出した各データをEEPROM90の所定のアドレスにそれぞれ書き込む(ステップS33)。制御部46は、EEPROM90に記憶されたデータに基づいて、装着されたインクカートリッジ107K、107Fがインクジェットプリンタ1に適合するか否かを判定する(ステップS34)。適合する場合には(ステップS34:Yes)、印刷処理が許可され(ステップS35)印刷準備が完了する(本処理ルーチン終了)。一方、適合しない場合には(ステップS34:No)、印刷処理が許可されず、印刷処理ができない旨パネルスイッチ92上、あるいは、ディスプレイ上に表示される(ステップS36)。
【0069】
インクジェットプリンタ1は所定の印刷動作を行う。この際に、制御部46は、インク残量を算出する処理を実行する。かかる処理について図13を参照して説明する。印刷処理が開始されるとインク残量算出処理ルーチンが開始される。制御部46は印刷処理が実行中であるか否かを判断する(ステップS40)。印刷処理実行中の場合には、印刷処理が完了するまで待機する(ステップS40:Yes)。一方、印刷処理実行中でない場合には(ステップS40:No)、印刷処理に関連して消費されたインク消費量を算出する(ステップS41)。このインク消費量の算出は、例えば、インク滴重量とインク滴の吐出回数とを乗じることによって、各色毎のインク吐出量を算出し、算出されたインク吐出量と、前記の吸引動作により消費されたインク吸引量とを加算することによって実行される。続いて、制御部46は、EEPROM90に記憶されていたインク残量データを読み出す(ステップS42)。制御部46は読み出したインク残量から算出したインク消費量を減算することで最新のインク残量を算出する(ステップS43)。制御部46は、算出した最新のインク残量をインク残量データとして、EEPROM90に書き込み(ステップS44)、本処理ルーチンは終了する。
【0070】
ここで、新たに算出したインク残量は、インクジェットプリンタ1のパネルスイッチ92において電源スイッチOFFの操作が行なわれた後にインクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80に書き込まれる。
【0071】
すなわち、図14に示すように、インクジェットプリンタ1のパネルスイッチ92において電源スイッチがOFFされると、まず、ステップST11においてインクジェットプリンタ1が待機中か否かが判断される(ステップST11)。待機中でない場合には(ステップST11:NO)、進行中のシーケンスを終了させて(ステップST12)、ステップST11に戻る。これに対して、インクジェットプリンタ1が待機中の場合には(ステップST11:YES)、印刷ヘッド10にキャッピングを行なった後(ステップST13)、印刷ヘッド10の駆動条件、例えば、駆動信号の電圧、各色間の補正を行うカラーID等を記憶する情報内容を記憶させる(ステップST14)。続いて、タイマー値を記憶させ(ステップST15)、コントロールパネルの内容、例えば、双方向印刷時の調整値等を記憶させる(ステップST16)。次に、EEPROM90に記憶されているインク残量をインクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80の各第2の記憶領域660、760に記憶させる(ステップST17)。
【0072】
ここで、本実施例では、インク残量を各第2の記憶領域660、760に記憶させる(書き込む)にあたって、各インクに対して割り当てられている2つの記憶領域に対して同一のインク残量情報が二重に記憶される。例えば、図8に示す黒色インクカートリッジ107Kの記憶素子80では、第1黒インク残量記憶領域701に対して先ず黒インク残量データが書き込まれ、第1黒インク残量記憶領域701に対する書き込みが完了すると書込完了フラグ770を反転させ、続いて第2黒インク残量記憶領域702に黒インク残量データが書き込まれる。第2黒インク残量記憶領域702に対する書き込みか完了すると書込完了フラグ771を反転させる。このようにインク残量情報の書き込みを行うことにより、後述する判定処理によっていずれの記憶領域に対する書き込みが完了したか否かを判定することができる。最後に、電源供給をオフにする(ステップST18)。
【0073】
このような電源オフのための処理のうち、インクカートリッジ107K、107Fの記憶素子80に対するインク残量の書き込みを行う処理を、図6および図15(A)、(B)を参照して詳述する。図15(A)はプリンタ本体からインクカートリッジに内蔵の記憶素子にインク残量を書き込む際の処理を示すフローチャートである。図15(B)はこの処理を行う際のタイミングチャートである。
【0074】
図6および図15(A)、(B)に示すように、まず、記憶素子80をイネーブル状態にするためのイネーブル信号CSを送って記憶素子80の選択を行う(ステップST21)。次に、書き込むデータを予め設定しておいたアドレスに割り当てるため、クロック信号CLKによって記憶素子80内のアドレスカウンタ83をカウントアップしておく(ステップST22)。このようにして所定の書き込みアドレスまでカウントアップさせた後、リード・ライト制御部83の端子を切り換え、書き込み状態にする。そして、クロック信号CLKに同期してリード/ライト信号W/Rバー(アクティブ・ローを意味する。)が出力されると、プリンタ本体100は、インク残量データDATAをデータ端子に出力し、インクカートリッジ107K、107Fの記憶素子80への書き込みを行なう(ステップST23)。なお、図15(B)では5つ目のクロック信号CLKに同期して書き込みが実行されているが、これは一般的な書き込みを説明するものであり、本実施例では1つ目のクロック信号CLKに同期してインク残量の書き込みが実行される。
【0075】
(記憶素子80に記憶されたデータの読み出し処理)
続いて、第1黒インク残量記憶領域701に記憶されている黒インク残量データAと第2黒インク残量記憶領域702に記憶されている黒インク残量データBのいずれのインク残量データを現在インク残量データとして用いるかを決定する処理について図8および図16を参照して説明する。図16は黒インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。
【0076】
本ルーチンが開始すると、第1黒インク残量記憶領域701に記憶されている黒インク残量データAと第2黒インク残量記憶領域702に記憶されている黒インク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS100)。図8(A)に示すように黒インク残量データAと黒インク残量データBとが一致する場合には(ステップS100:Yes)、第1黒インク残量記憶領域701および第2黒インク残量記憶領域702に対する書込がそれぞれ正常に完了していることを意味するので、黒インク残量データAを現在インク量データとして用いる(ステップS110)。このとき、第1書込完了フラグAおよび第2書込完了フラグBは相互に異なる値を取っている。
【0077】
図8(B)、(C)に示すように黒インク残量データAと黒インク残量データBとが一致しない場合には(ステップS100:No)、第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが一致するか否かを判定する(ステップS120)。判定の結果、図8(B)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有する場合には(ステップS120:Yes)、第1黒インク残量記憶領域701に対する書込が正常に完了していることを意味するので、黒インク残量データAを現在インク量データとして用いる(ステップS110)。また、第1黒インク残量記憶領域701に記憶されている黒インク残量データAを第2黒インク残量記憶領域702に書き込む。これに対して、図8(C)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有しない場合には(ステップS120:No)、第1黒インク残量記憶領域701に対する書込が正常に完了していないことを意味するので、黒インク残量データBを現在インク量データとして用いる(ステップS130)。また、第2黒インク残量記憶領域702に記憶されている黒インク残量データBを第1黒インク残量記憶領域701に書き込む。
【0078】
なお、この例では第1および第2書込完了フラグの初期値として反転値である場合を用いて説明したが、これらフラグの初期値は同一値であってもかまわない。かかる場合には、上記ステップS100における判断時の第1および第2書込完了フラグA、Bは同一値を取り、また上記ステップS120における判断以降の処理が逆の処理となる。
【0079】
続いて、第1カラー・インク残量記憶領域(601、603、605、607、609)に記憶されているカラー・インク残量データAと第2カラー・インク残量記憶領域(602、604、606、608、610)に記憶されているカラー・インク残量データBのいずれのインク残量データを現在インク残量データとして用いるかを決定する処理について図10、図17および図18を参照してさらに説明する。図17はカラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。図18は図17における各インク残量データ判定処理の中で、代表的にシアンインク残量データ判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【0080】
図17に示すルーチンが開始すると、制御部46は先ずシアンインク残量データ判定処理(ステップS200)を実行する。このシアンインク残量データ判定処理は図13に示すフローチャートに従って実行される。シアンインク残量データ判定処理が実行されると、先ず第1シアンインク残量記憶領域601に記憶されているシアンインク残量データAと第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS2010)。図10(A)に示すようにシアンインク残量データAとシアンインク残量データBとが一致する場合には(ステップS2010:Yes)、シアンインク残量データAは正常であると判断し、シアンインク残量データAをシアンインク残量データとして用いる(ステップS2020)。このとき、第1書込完了フラグAおよび第2書込完了フラグBは相互に異なる値を取っている。その後、本ルーチンは終了する。
【0081】
一方、図10(B)、(C)に示すように第1シアンインク残量記憶領域601に記憶されているシアンインク残量データAと第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBとが一致しない場合には(ステップS2010:No)、第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが一致するか否かを判定する(ステップS2030)。判定の結果、図10(B)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有する場合には(ステップS2030:Yes)、第1シアンインク残量記憶領域601に対する書込が正常に完了していることを意味するので、シアンインク残量データAをインク量データとして用いる(ステップS2020)。また、第1シアンインク残量記憶領域601に記憶されているシアンインク残量データAを第2シアンインク残量記憶領域602に書き込む。これに対して、図10(C)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有しない場合には(ステップS2030:No)、第1シアンインク残量記憶領域601に対する書込が正常に完了していないことを意味するので、第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBを現在シアンインク残量データとして用いる(ステップS2040)。また、第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBを第1シアンインク残量記憶領域601に書き込む。その後、本ルーチンは終了する。
【0082】
なお、この例では第1および第2書込完了フラグの初期値として反転値である場合を用いて説明したが、これらフラグの初期値は同一値であってもかまわない。かかる場合には、上記ステップS2010における判断時の第1および第2書込完了フラグA、Bは同一値を取り、また上記ステップS2030における判断以降の処理が逆の処理となる。
【0083】
図17に戻りカラー・インク残量データ判定処理の説明を続ける。こうしてシアンインク残量データ判定処理(ステップS200)が終了すると、次にマゼンタインク残量データ判定処理(ステップS210)が実行される。このマゼンタインク残量データ判定処理は図18を用いて説明したシアンインク残量データ判定処理と同様に実行されるのでその説明を省略する。また、以下の各インク残量データ判定処理についても同様とする。マゼンタインク残量データ判定処理(ステップS210)が終了するとイエローインク残量データ判定処理(ステップS220)が実行される。イエローインク残量データ判定処理(ステップS220)が終了するとライトシアンインク残量データ判定処理(ステップS230)が実行される。ライトシアンインク残量データ判定処理(ステップS230)が終了するとライトマゼンタインク残量データ判定処理(ステップS240)が実行される。その後、本処理ルーチンは終了する。
【0084】
(第1実施例の効果)
このように、本実施例では、同一のインク残量データを2つのインク残量記憶領域(601、603、605、607、609)、(602、604、606、608、610)、701、702に書き込み、また、各インク残量記憶領域に書込完了フラグ670、671、770、771を備えるので、いずれのインク残量記憶領域に格納されているインク残量データが正常であるかを容易且つ迅速に判断することができる。この結果、インク残量データの書き込み処理が不完全な場合であっても、正常なインク残量データを常に用いることができる。この利点は、特に、図2で説明した補償電源装置の電源プラグがコンセントから抜かれ、電力供給が書き込み処理時間より短い場合、インク残量データの書き込み処理中に停電、または、電源プラグがコンセントから抜かれる等して書き込みが未了となるような状態において有効である。また、正常なインク残量データは、古くとも前回書き込まれたデータであり、破壊されたインク残量データを用いる場合とは比べものにならない正確さを有する。
【0085】
また、本実施例では、インク残量などのデータ記憶をインクカートリッジ107K、107Fの記憶素子80を用いて行なうにあたって、黒用およびカラー用のインクカートリッジ107K、107Fのいずれにおいても、記憶素子80として、シーケンシャルアクセスしか行なわれない安価なEEPROMを用いたので、消耗品であるという性質に合ったコストでインクカートリッジ107K、107Fを提供できる。
【0086】
また、記憶素子80において書き換えが行なわれる第2の記憶領域660、760については、読み出し専用データが記憶される第1の記憶領域650、750よりも先にアクセスされるアドレスになっている。したがって、電源プラグがコンセントから抜かれても、書き込みが中断しないような構成、例えば既述の図2を参照して説明した電源装置とは異なり書き込み終了まで電力供給が可能な補償電源装置とした場合でも、必要最小限の容量に抑えることができる。また、電力供給の中断を原因とするデータ異常以外のデータ異常、例えば、ノイズ等に起因するデータ異常が生じた場合であっても、正確なインク残量が得られる利点を有する。この結果、シーケンシャルアクセスしか行なわれない安価な記憶素子80を用いてインクカートリッジ107K、107Fの低コスト化を図っても、データの書き換え異常が発生しにくいという利点がある。
【0087】
さらに、本実施例では、記憶素子80内の記憶領域650、660、750、760においてインク残量データが記憶領域の先頭領域に配置されるように配列されている。したがって、短時間の内にデータの書き換えを完了することが可能となり、データの書き換え異常が発生しにくいという利点を有する。
【0088】
[第2の実施例]
次に本発明に係る第2実施例について図19〜図21を参照して説明する。なお、本実施例を適用し得るインクジェットプリンタの構成は第1実施例のインクジェットプリンタ1の構成と同一なので同一の符号を付してその説明を省略する。図19は本実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fに内蔵の記憶素子800のデータ配列を示す説明図である。図20は本実施例に係る記憶素子800の第1カラー・インク残量記憶領域および第2カラー・インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。図21はカラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。
【0089】
本実施例では本実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fの記憶素子800の内部データ構造の一部が第1実施例におけるカラー・インクカートリッジ107Fの記憶素子80のデータ構造とは異なる。
【0090】
(記憶素子800のデータ構造)
カラー用のインクカートリッジ107Fに備えられている記憶素子800のメモリセル810について図19を参照して説明する。メモリセル810は、読み出し専用データを記憶する第1の記憶領域850と、書き換え可能なデータを記憶する第2の記憶領域860とを備えている。プリンタ本体100は、第1の記憶領域850に格納されているデータに対しては読み出しのみが可能であり、第2の記憶領域860に格納されているデータに対しては読み出しおよび書き込みの双方を実行し得る。第2の記憶領域860は、アクセス時に第1の記憶領域850よりも先にアクセスされるアドレスに配置されている。すなわち、第2の記憶領域860は、第1の記憶領域850よりも低いアドレス(先頭側アドレス)に配置されている。
【0091】
ここで、第2の記憶領域860に記憶される書き換え可能データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域801〜810に対してそれぞれ割り当てられた第1のシアンインク残量データ、第1のマゼンダインク残量データ、第1のイエローインク残量データ、第1のライトシアンインク残量データ、第1のライトマゼンダインク残量データ、第2のシアンインク残量データ、第2のマゼンダインク残量データ、第2のイエローインク残量データ、第2のライトシアンインク残量データ、第2のライトマゼンダインク残量データである。各色のインク残量データが2つの記憶領域に割り当てられているのは、2つの記憶領域である第1インク残量記憶領域(801〜805)、第2インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データを対比することにより、いずれの記憶領域に記憶されているデータが正規に書き込み完了されたかを判断し、現在のカラー・インク残量データとして用いるデータを決定するためである。
【0092】
これら2つの記憶領域、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)、第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)について図20を参照して更に説明する。本実施例においては、カラー・インク残量データは先ず第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に対して書き込まれ、続いて第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に対して書き込まれる。また、各記憶領域(801〜805)、(806〜810)の終端領域には、各記憶領域(801〜805)、(806〜810)に対するカラー・インク残量データの書き込みが正常に完了したか否かを示す第1書込完了フラグ870および第2書込完了フラグ871がそれぞれ備えられている。これら書込完了フラグ870、871の初期値は相互に反対の値に設定されており、例えば、第1書込完了フラグの初期値は0であり、第2書込完了フラグの初期値は1である。したがって、書込完了フラグ870、871が同一の値を示す場合には、第1カラー・インク残量記憶領域に対する書込が完了していることを意味する。
【0093】
続いて、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に記憶されているカラー・インク残量データAと第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データBのいずれのインク残量データを現在インク残量データとして用いるかを決定する処理について図20および図21を参照して説明する。
本ルーチンが開始すると、先ず第1シアンインク残量記憶領域801に記憶されているシアンインク残量データAと第2シアンインク残量記憶領域806に記憶されているシアンインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS400)。例えば、図20(A)に示すように、シアンインク残量データAとシアンインク残量データBとが一致する場合には(ステップS400:Yes)、第1マゼンタインク残量記憶領域802に記憶されているマゼンタインク残量データAと第2マゼンタインク残量記憶領域807に記憶されているマゼンタインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS410)。マゼンタインク残量データAとマゼンタインク残量データBとが一致する場合には(ステップS410:Yes)、第1イエローインク残量記憶領域803に記憶されているイエローインク残量データAと第2イエローインク残量記憶領域808に記憶されているイエローインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS420)。
【0094】
イエローインク残量データAとイエローインク残量データBとが一致する場合には(ステップS420:Yes)、第1ライトシアンインク残量記憶領域804に記憶されているライトシアンインク残量データAと第2ライトシアンインク残量記憶領域809に記憶されているライトシアンインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS430)。ライトシアンインク残量データAとライトシアンインク残量データBとが一致する場合には(ステップS430:Yes)、第1ライトマゼンタインク残量記憶領域805に記憶されているライトマゼンタインク残量データAと第2ライトマゼンタインク残量記憶領域810に記憶されているライトマゼンタインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS440)。ライトマゼンタインク残量データAとライトマゼンタインク残量データBとが一致する場合には(ステップS440:Yes)、カラー・インクデータAは正常であると判断し、カラー・インク残量データAをカラー・インク残量データとして用いる(ステップS450)。このとき、第1書込完了フラグAおよび第2書込完了フラグBは相互に異なる値を取っている。その後、本ルーチンは終了する。
【0095】
一方、ステップS400〜S440の各ステップにおいて、例えば、図20(B)、(C)に示すように、各インク残量データAが各インク残量データBと一致しない場合には(ステップS400:No、ステップS410:No、ステップS420:No、ステップS430:No、ステップS440:No)、第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが一致するか否かを判定する(ステップS460)。判定の結果、図20(B)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有する場合には(ステップS460:Yes)、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に対する書込が正常に完了していることを意味するので、カラー・インク残量データAをインク量データとして用いる(ステップS450)。また、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に記憶されているカラー・インク残量データAを第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に書き込む。これに対して、図20(C)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有しない場合には(ステップS460:No)、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に対する書込が正常に完了していないことを意味するので、第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データBを現在インク量データとして用いる(ステップS470)。また、第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データBを第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に書き込む。その後、本ルーチンは終了する。
【0096】
なお、この例では第1および第2書込完了フラグの初期値として反転値である場合を用いて説明したが、これらフラグの初期値は同一値であってもかまわない。かかる場合には、上記各ステップS400、S410、S420、S430、S440における判断時の第1および第2書込完了フラグA、Bは同一値を取り、また上記ステップS460における判断以降の処理が逆の処理となる。
【0097】
(第2実施例の効果)
このように、第2実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fにおいても、同一のインク残量データを2つのインク残量記憶領域に書き込み、また、各インク残量記憶領域に書込完了フラグを備えるので、いずれのインク残量記憶領域に格納されているインク残量データが正常であるかを容易且つ迅速に判断することができる。この結果、インク残量データの書き込み処理が不完全な場合であっても、正常なインク残量データを常に用いることができる。この利点は、特に、インク残量データの書き込み処理中に停電が発生、プラグがコンセントから抜かれる等して書き込みが未了となるような状態において有効である。また、正常なインク残量データは、古くとも前回書き込まれたデータであり、破壊されたインク残量データを用いる場合とは比べものにならない正確さを有する。
【0098】
また、第2実施例では書込完了を示すフラグを第1カラー・インクデータおよび第2カラー・インクデータにそれぞれ1つ備えれば良いので、記憶素子800内におけるデータ記憶効率を向上させることができる。
【0099】
[その他の実施の形態]
上記各実施例ではインク残量情報の書き込みが完了したか否かを示す書込完了情報記憶領域として反転フラグ形式で書込完了情報の書き込みを行う記憶領域を用いて説明した。しかしながら、例えば、2ビット値以上のフラグ形式、あるいは、カウンタ形式で書込完了情報を書き込んでも良い。このような形式の情報も、各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了したか否かの指標として利用し得る。
【0100】
第1の実施例では、第2の記憶領域660、760に記憶されるデータがインク残量のみであったが、インクカートリッジ107K、107Fの着脱回数、インクカートリッジ107K、107Fの開封以降の経過時間などを、プリンタ本体100との間でデータの読み出しおよび書き込みが行われる書き換えデータとして、第2の記憶領域660、760に記憶させてもよい。このように、インクカートリッジ107K、107Fの着脱回数を記憶させておけば、インク中(インクカートリッジ内)への気泡の入り具合が相違するので、それに応じてインクカートリッジ107K、107Fから印刷ヘッド10に至る流路へのインクの充填条件(たとえば、フラッシング回数)を最適な条件に合わすことができる。
【0101】
また、第1および第2実施例では、カラー用のインクカートリッジ107Fにおいて、第2の記憶領域660、860では、最新のインク残量のデータ書き換えを順番に行われる記憶領域を一つの色あたり2つずつ確保したが、一つの色あたり3つ以上の領域を確保してもよい。
【0102】
さらに、第1および第2実施例では、アドレスカウンタ83としてカウントアップするタイプのものを用いたが、カウントダウンするアドレスカウンタを用いてもよく、この場合にも、第1実施例においては、第2の記憶領域660、760が第1の記憶領域650、750よりも先にアクセスされるようにデータ配列を変更すればよい。すなわち、第2の記憶領域660、760を第1の記憶領域650、750よりも高アドレスに配置する。また、第2実施例においては、先頭アドレスに配置されているインク残量の情報を最終アドレスに配置するようにすればよい。
【0103】
また、上記各実施例では、アドレスデータをクロックパルスに変換するアドレスデコーダ、および記憶素子80、800内に備えられると共にクロックパルスをカウンタ値に変換するアドレスカウンタを用いて、所望のメモリアドレスにアクセスする構成を備えている。しかしながら、アドレスデコーダとして、アドレスデータをクロックパルスに変換し、更にクロックパルスに対応するカウンタ値を出力するアドレスデコーダを備えても良い。この場合には、記憶素子80、800内にアドレスカウンタを備える必要がないという利点を有する。
【0104】
また、上記各実施例では、インク残量データをメモリアドレスの先頭位置に格納する構成を備えている。しかしながら、インク残量データの格納位置は、プリンタ本体100(プリントコントローラ40)によって最初に書き込みされるメモリアドレスであれば良く、例えば、プリントコントローラ40による書き込み初期アドレスが中間アドレスである場合には、これに応じてインク残量データも中間アドレスに格納される。すなわち、インク残量データの格納位置はメモリセル81、810の物理的な先頭アドレスである必要はなく、最先に書き込み・読み出しされるメモリアドレスであればよい。
【0105】
また、上記各実施例では、記憶素子80、800としてEEPROMを用いたが、それに代えて、シーケンシャルアクセス形式の誘電体メモリ(FEROM)などを用いてもよい。
【0106】
また、上記各実施例はインクカートリッジがキャリッジ101上に搭載されているオンキャリッジタイプの印刷装置、およびインクカートリッジがキャリッジ上に搭載されていないオフキャリッジタイプの印刷装置のいずれの印刷装置に対しても適用することができる。
【0107】
さらに、上記各実施例では、インク量に関連する情報としてインク残量を用いたが、これに代えてインク消費量を用いてもかまわない。
【0108】
また、各実施例にて用いたインクカートリッジ107K、107Fに代えて、図22に示すようなインクカートリッジ500を用いても良い。図22は他の実施例に係るインクカートリッジ500の外観構成を示す斜視図である。
【0109】
インクカートリッジ500は、ほぼ直方体として形成された容器51にインクを含浸させた多孔質体(図示しない)を収容し、上面を蓋体53により封止されている。容器51の内部には、5色のカラーインクをそれぞれ別個に収容する5つのインク収容部(例えば、インクカートリッジ107Fにおける107C、107LC、107M、107LM、107Y)が区画形成されている。容器51の底面にはホルダに装着されたときにインク供給針に対向する位置にインク供給口54が各インク色に応じて形成されている。また、インク供給口側の垂直壁55の上端には、本体側のレバーの突起に係合する張出部56が一体に形成されている。この張出部56は、容器55の両側に別個に形成されていると共にリブ56aを有している。さらに下面と壁55との間に三角形上のリブ57が形成されている。また、容器55は誤挿入防止用の凹部59を有している。
【0110】
垂直壁55のインク供給口形成側には、それぞれのカートリッジ500の幅方向の中心に位置するように凹部58が形成され、ここに回路基板31が装着されている。回路基板31は本体の接点と対向する面に複数の接点を有し、その裏面には記憶素子が実装されている。さらに、垂直壁55には回路基板31の位置決めをするための突起55a、55b、張出部55c、55dが形成されている。
【0111】
さらに、上記各実施例ではカラー・インクとして、マゼンタ、シアン、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの5色を用いたが他の色の組み合わせ、あるいは、さらに他の色、例えば、ダークイエローを加えて6色等にした場合にも本発明は適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンタの要部を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの機能ブロック図である。
【図3】図1に示す印刷ヘッドに形成したノズル開口部のレイアウトを示す説明図である。
【図4】インクカートリッジおよびカートリッジ搭載部を示す斜視図である。
【図5】インクカートリッジをカートリッジ搭載部に搭載した様子を示す断面図である。
【図6】図1に示すインクジェットプリンタに用いたインクカートリッジに内蔵の記憶素子の構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示すインクジェットプリンタに用いた黒用のインクカートリッジに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。
【図8】第1黒インク残量記憶領域および第2黒インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。
【図9】図1に示すインクジェットプリンタに用いたカラー用のインクカートリッジに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。
【図10】第1カラー・インク残量記憶領域および第2カラー・インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。
【図11】図1に示すインクジェットプリンタのプリンタ本体に内蔵のEEPROMのデータ配列を示す説明図である。
【図12】電源投入時に実行される処理を示すフローチャートである。
【図13】インク残量を算出するために実行される処理を示すフローチャートである。
【図14】図1に示すインクジェットプリンタにおける電源オフまでに行う処理を示すフローチャートである。
【図15】インクジェットプリンタにおいて、プリンタ本体からインクカートリッジに内蔵の記憶素子にインク残量を書き込む際の処理およびその際のタイミングをしめす説明図である。
【図16】黒インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである
【図17】カラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである
【図18】図17における各インク残量データ判定処理の中で、代表的にシアンインク残量データ判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】第2実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fに内蔵の記憶素子800のデータ配列を示す説明図である。
【図20】第2実施例に係る記憶素子800の第1カラー・インク残量記憶領域および第2カラー・インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。
【図21】第2実施例においてカラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。
【図22】他の実施例に係るインクカートリッジ500の外観構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0113】
1…インクジェットプリンタ(インクジェット印刷装置)
5…プリントエンジン
10…印刷ヘッド
17…圧電振動子
23…ノズル開口部
40…プリントコントローラ
46…制御部
80、800…記憶素子
81、810…メモリセル
82…リード・ライト制御部
83…アドレスカウンタ
107K、107F…インクカートリッジ(インク容器)
107C、107LC、107M、107LM、107Y…インク収容部
650、750、850…第1の記憶領域
660、760、860…第2の記憶領域
COM…駆動信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタあるいはインクジェットプロッタなどとして用いられる印刷装置(インクジェット印刷装置)、およびこのインクジェット印刷装置の本体に着脱されるインク容器に関する。さらに詳しくは、インク容器にインク量情報を記憶する際の処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタやインクジェットプロッタなどとして用いられるインクジェット印刷装置は、インクを収容するインク容器(インクカートリッジ)と、媒体に対する印刷を実行する印刷ヘッドを備える印刷装置本体とから概略構成されている。印刷ヘッドは、インク容器から供給されるインクを印刷用紙等の媒体に付着させることにより媒体に対する印刷を実現する。インク容器は、印刷装置本体に対して着脱可能に形成されている。インク容器には、当初、所定量のインクが収容されており、収容されているインクが空になると、インク容器は新たなものと交換される。そして、この種のインクジェット印刷装置は、印刷処理中における印刷の中断を避けるため、印刷ヘッドからのインクの吐出量に基づいてインク容器内のインク残量を印刷装置本体側で算出し、インク残量が少なくなったときにその旨を報知するように構成されている。
【0003】
また、インク容器内のインク種、インク量等のインク情報を記憶するための記憶素子を備えるインク容器も提案されている。インク容器がこれらのインク情報を保有することにより、このインク容器が装着される印刷装置は、記憶されているインク情報を読み出し、使用されているインクに適した印刷処理を実行することができる。
【0004】
しかしながら、インク容器が読み出し専用の情報しか保有し得ない場合には、インク容器の使用状態に関する情報、すなわちインク関連情報等を考慮したより適切な印刷処理を実現することができないという問題がある。また、インク容器に対してインク関連情報を書き込み得る場合にも、書き込み処理の中断によって書き込みが不完全に終わる事態が考えられるが、このような場合の対応については何ら考慮されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク容器に関する情報を迅速、確実に記憶することのできる、インク容器、そのインク容器を用いる印刷装置、インク容器に備えられる記憶装置およびインク容器に関する情報をインク容器に書き込む方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、印刷装置に装着されるインク容器を提供する。この印刷容器は、印刷用インクを収容するインク収容部と、印刷用インクを収容するインク収容部と、少なくとも前記インク収容部内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶部とを備えると共に、前記記憶部は前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成を備えることにより、本発明の第1の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0008】
本発明の第1の態様において、複数の前記インク収容部を有し、その複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有することができる。また、前記記憶部は2つの前記インク量情報記憶領域を有し、前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置され得る。また、前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、その所定値の初期値はそれぞれ異なる値であっても良く、あるいは、その所定値の初期値はそれぞれ同一値であっても良い。
【0009】
本発明の第1の態様において、前記インク量情報記憶領域は、それぞれ前記記憶部において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域であっても良い。また、前記記憶部はクロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされる記憶部であっても良い。また、前記インク量に関連する情報はインク残量であっても良く、あるいは、前記インク容器に関する累積的なインク消費量であっても良い。
【0010】
本発明の第2の態様は、印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法を提供する。この方法は、生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むことを特徴とする。
【0011】
このような構成を備えることにより、本発明の第2の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0012】
本発明の第2の態様はさらに、前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法を提供する。この方法は、生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込み、その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込み、前記第1書込完了情報記憶領域に対する書き込みが完了した後、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込み、その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込むことを特徴とする。
【0014】
このような構成を備えることにより、本発明の第3の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0015】
本発明の第3の態様はさらに、前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断することができる。また、前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断することができる。方法。
【0016】
本発明の第3の態様において、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断することができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1書込完了情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断することができる。
【0017】
本発明の第3の態様において、さらに、前記第1インク量情報記憶領域に書き込まれた前記第1インク量情報を前記第2インク量情報記憶領域に書き込むことができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶されるものであっても良い。
【0018】
本発明の第4の態様は、印刷装置に装着されるインク容器に備えられる記憶装置を提供する。この記憶装置は、少なくとも前記インク容器内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶素子を備えると共に、その記憶素子は、前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成を備えることにより、本発明の第4の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0020】
本発明の第4の態様において、前記インク容器は複数の前記インク収容部を有し、前記記憶装置はその複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有することができる。また、2つの前記インク量情報記憶領域を有し、前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置され得る。また、前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、その所定値の初期値はそれぞれ異なる値であっても良い。さらに、前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、その所定値の初期値はそれぞれ同一値であっても良い。
【0021】
本発明の第4の態様において、前記インク量情報記憶領域は、前記記憶素子において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域であっても良い。また、前記印刷装置から出力されるクロック信号に基づきカウント値を出力するアドレスカウンタを備え、前記記憶素子は出力された前記カウント値に基づいてシーケンシャルにアクセスされてもよい。また、前記インク量に関連する情報はインク残量であっても良く、あるいは、前記インク容器に関する累積的なインク消費量であっても良い。
【0022】
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様に係るインク容器が装着されて用いられる印刷装置を提供する。この印刷装置は、前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込む書き込み手段と、各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込む所定情報書込手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
このような構成を備えることにより、本発明の第5の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0024】
本発明の第5の態様はさらに、前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断する判断手段を備えることができる。
【0025】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様に係るインク容器が装着されて用いられる印刷装置を提供する。この印刷装置は、前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、生成された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込む第1書き込み手段と、その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込む第1書込完了情報書込手段と、その第1書込完了情報書込手段による第1書込完了情報の書き込み後に、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込む第2書き込み手段と、その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込む第2書込完了情報書込手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
このような構成を備えることにより、本発明の第6の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0027】
本発明の第6の態様はさらに、前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断する判断手段を備えることができる。また、前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断することができる。
【0028】
本発明の第6の態様において、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断することができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断することができる。
【0029】
本発明の第6の態様において、前記第1書き込み手段および第2書き込み手段は、前記記憶部の中で前記第1インク量情報記憶領域および第2インク量情報記憶領域に対して最初に書き込みを行うことができる。また、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶され得る。
【0030】
本発明の第7の態様は、記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込むプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。この記録媒体は、生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込むことを備えるプログラムを記録することを特徴とする。
【0031】
このような構成を備えることにより、本発明の第7の態様は、インク容器のコストを低減しつつ、インク残量等のインク収容体に関する情報を迅速、確実に記憶することができる。
【0032】
本発明の第7の態様において、前記プログラムはさらに、前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して、いくつかの好適な実施例に基づき本発明を説明する。なお、説明にあたっては以下の目次に従うものとする。
[第1実施例]
(インクジェット印刷装置の全体構成)
(インクカートリッジおよびカートリッジ搭載部の構成)
(記憶素子80の構成)
(インクジェットプリンタ1の動作)
(第1実施例の効果)
[第2実施例]
(記憶素子800のデータ構造)
(第2実施例の効果)
[その他の実施例]
【0034】
[第1実施例]
(インクジェット印刷装置の全体構成)
図1は、以下の各実施例で用いられる本発明を適用したインクジェットプリンタ(印刷装置)の構成を示す斜視図である。図1において、本実施例のプリンタ1は、スキャナSCなどとともにコンピュータPCに対して接続された状態で使用される。コンピュータPCに、オペレーティングシステムや所定のプログラムがロードされ、実行されることにより、これらの装置全体が一体で印刷装置として機能する。コンピュータPCでは、所定のオペレーティングシステム上でアプリケーションプログラムが動作し、スキャナSCから読み込んだ画像などに対して所定の処理を行いつつCRTディスプレイMTに画像を表示する。使用者は、ディスプレイMT上の画像をレタッチするといった処理を行なったのち、印刷を指示すると、オペレーティングシステムに組み込まれたプリンタドライバが起動し、画像データをプリンタ1に転送する。
【0035】
プリンタドライバは、スキャナSCから入力され、処理された原カラー画像データをプリンタ1が使用する各色のデータに変換し、プリンタ1に出力する。詳細には、原カラー画像データは赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色成分からなり、これを色変換して、プリンタ1に出力する色データであるブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)の各色に変換する処理や、さらにこれをインクドットの有無に置き換えるいわゆる二値化の処理などを行なう。これらの画像処理は、周知のものなので、詳細な説明は省略する。なお、こうした処理は後述するようにプリンタ1側で行なうこともできる。
【0036】
キャリッジ101は、タイミングベルト102を介してキャリッジ機構12のキャリッジモータ103に接続されており、ガイド部材104に案内されて印刷用紙105(媒体)の紙幅方向に往復動する。インクジェットプリンタ1は、紙送りローラ106を用いた紙送り機構11も有している。キャリッジ101には印刷用紙105と対向する面、この図に示す例では下面にインクジェット式の印刷ヘッド10が取り付けられている。印刷ヘッド10は、キャリッジ101の上に保持されているインクカートリッジ107K、107F(インク容器)からインクの補給を受け、キャリッジ101の移動に合わせて印刷用紙105にインク滴を吐出してドットを形成し、印刷用紙105に画像や文字を印刷する。
【0037】
インクカートリッジ107Kのインク収容室117Kには、黒(K)のインクが充填されている。また、インクカートリッジ107Fには、複数のインク収容室107C、107LC、107M、107LM、107Yがそれぞれ独立して形成されている。これらのインク収容室107C、107LC、107M、107LM、107Yには、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)のインクがそれぞれ充填されている。したがって、印刷ヘッド10には、各色のインクがインク収容室107C、107LC、107M、107LM、107Yからそれぞれ供給される。これらの各インクはそれぞれ印刷ヘッド10から各色のインク滴として吐出されてカラー印刷が実現される。
【0038】
インクジェットプリンタ1の非印刷領域(非記憶領域)には、キャッピング装置108が配置され、印刷処理の休止中に印刷ヘッド10のノズル開口部を封止する。このキャッピング装置108によって、印刷処理の休止中における、インクの溶媒成分が揮発することに起因するインク粘度の増大、あるいは、インク膜の形成を抑制することができる。したがって、印刷処理の休止中におけるノズルの目詰まりを防止することができる。また、キャッピング装置108は、印刷処理実行中に行われるフラッシング動作による印刷ヘッド10からのインク滴を受ける。キャッピング装置108の近傍にはワイピング装置109が配置され、このワイピング装置109は、印刷ヘッド10の表面をブレードなどでワイピングすることにより、印刷ヘッド10の表面に付着したインク滓や紙粉を拭き取る。
【0039】
図2は、本形態のインクジェットプリンタ1の機能ブロック図である。図2において、インクジェットプリンタ1は、プリンタ本体100(印刷装置本体)がプリントコントローラ40とプリントエンジン5とから構成されている。プリントコントローラ40は、コンピュータからの多値階調情報を含む印刷データなどを受信するインターフェース43と、多値階調情報を含む印刷データなどの各種データの記憶を行うRAM44と、各種データ処理を行うためのルーチンなどを記憶したROM45と、CPUなどからなる制御部46と、発振回路47と、印刷ヘッド10への駆動信号COMを発生させる駆動信号発生回路48と、この駆動信号発生回路48と、ドットパターンデータに展開された印刷データおよび駆動信号をプリントエンジン5に送信するなどの機能を果たすパラレル入出力インターフェース49とを備えている。
【0040】
また、プリントコントローラ40にはパラレル入出力インターフェース49を介してパネルスイッチ92および電源91の制御線も接続されている。パネルスイッチ92にて電源OFFが入力されると、プリントコントローラ40はパワーダウン命令(NMI)を電源91に出力し、電源91は待機状態に入る。この待機状態にて、電源91は、電力供給線(図示しない)を介して待機電力をプリントコントローラ40に供給する。すなわち、パネルスイッチ92を介して実行される通常の電源OFF操作ではプリントコントローラ40に対する電力供給は完全には遮断されない。
【0041】
さらに、プリントコントローラ40は電源91から所定電力が供給されているか否かを監視しており、電源プラグがコンセントから抜かれた場合にもパワーダウン命令(NMI)を発する。電源91にはプラグがコンセントから抜かれた後も所定時間(例えば、0.3秒)にわたり電力供給を実現するために、補償電源装置(例えば、キャパシタ)が備えられている。
【0042】
さらに、プリントコントローラ40には、キャリッジ101上(図1参照。)に搭載した黒用のインクカートリッジ107Kおよびカラー用のインクカートリッジ107Fに関する情報を記憶しておくEEPROM90も搭載され、詳しくは後述するが、このEEPROM90には、黒用のインクカートリッジ107Kおよびカラー用のインクカートリッジ107Fにおけるインク量に関連する情報(インク残量またはインク消費量)等の所定情報を記憶しておく。またさらに、プリントコントローラ40には、制御部46がアクセス(読み出し/書き込み)を所望する記憶素子80(後述する)のメモリセル81(後述する)のアドレスをクロック数に変換するアドレスデコーダ95が備えられている。
【0043】
インクジェットプリンタ1では、ノズル開口部23から吐出されるインク滴重量とインク滴の吐出回数とを乗じることによってインク吐出量を算出することができる。インク残量は、このインク吐出量と、印刷ヘッド10の気泡混入による異常発生時等にキャッピング装置108を印刷ヘッド10に圧接させてノズル開口部を密閉し、キャッピング装置108に連通されたポンプ機構(図示せず。)によりインクを吸引して復帰する時に消費されるインク吸引量とに基づくインク消費量を印刷動作開始前のインク残量から減じることによって算出できる。このようなインク残量の算出は、EEPROM90に記憶されているデータなどを用いながら、予めROM45などに格納されているプログラムに基づいて、制御部46が行う。
【0044】
実施例のプリンタ1では、上述したように、二値化済みのデータを受け取っているが、このデータの配列と実際の印刷ヘッド10のノズルの配列とは一致していない。そこで、制御部46は、RAM44内を受信バッファ44A,中間バッファ44B,出力バッファ44Cに分けて、ドットデータの配列の組み替え処理を行なっている。なお、色変換や二値化の処理をプリンタ1側で行なうという制御も可能である。こうした場合には、プリンタ1は、コンピュータPCなどから送られた多値階調情報を含む印刷データを、インターフェース43を介して印刷装置内部の受信バッファ44Aに保持し、以下の処理を行なう。受信バッファ44Aに保持された印刷データは、コマンド解析が行われてから中間バッファ44Bへ送られる。中間バッファ44B内では、制御部46によって中間コードに変換された中間形式としての印刷データが保持され、各文字の印刷位置、修飾の種類、大きさ、フォントのアドレスなどが付加される処理が制御部46によって実行される。次に、制御部46は、中間バッファ44B内の印刷データを解析し、階調データをデコード化した後の2値化されたドットパターンデータを出力バッファ44Cに展開し記憶させる。
【0045】
いずれの場合でも、印刷ヘッド10の1スキャン分に相当するドットパターンデータが得られると、このドットパターンデータは、パラレル入出力インターフェース49を介して印刷ヘッド10にシリアル転送される。出力バッファ44Cから1スキャン分に相当するドットパターンデータが出力されると、中間バッファ44Bの内容が消去されて、次の変換処理が行われる。
【0046】
プリントエンジン5は、印刷ヘッド10と、前記の紙送り機構11と、前記のキャリッジ機構12とを備えている。紙送り機構11は、印刷紙などの印刷媒体を順次送り出して副走査を行うものであり、キャリッジ機構12は、印刷ヘッド10を主走査させるものである。
【0047】
印刷ヘッド10は、生成されたドットパターンデータを印刷媒体上に形成すべく、所定のタイミングで各ノズル開口部23から印刷媒体上に向けてインク滴を吐出させる。駆動信号発生回路48で生成された駆動信号COMは、パラレル入出力インターフェース49を介して印刷ヘッド10の素子駆動回路50に出力される。ここで、印刷ヘッド10には、ノズル開口部23に連通する圧力発生室32および圧電振動子17(圧力発生素子)がノズル開口部23の数だけ形成されており、素子駆動回路50から所定の圧電振動子17に駆動信号COMが与えられると、圧力発生室32が収縮し、ノズル開口部23からインク滴が吐出される。
【0048】
図3は、印刷ヘッドに形成したノズル開口部のレイアウトを示す説明図である。印刷ヘッド10には、図3に示すように、黒(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)に対応するノズル開口部23が各色毎に列を形成して並んでいる。
【0049】
(インクカートリッジおよびカートリッジ搭載部の構成)
このように構成したインクジェットプリンタ1において、インクカートリッジ107K、107Fの基本的な構造は共通する。そこで、図4および図5を参照して、黒用のインクカートリッジ107Kを例にインクカートリッジの構造、およびこのカートリッジをプリンタ本体に装着するための構造を説明する。
【0050】
図4は、インクカートリッジおよびプリンタ本体のカートリッジ装着部の概略構造を示す斜視図である。図5は、このインクカートリッジの内部構造、キャリッジ101上のカートリッジ装着部の内部構造、およびカートリッジ装着部にカートリッジを装着する様子を示す断面図である。
【0051】
図4において、インクカートリッジ107Kは、内部にインクを収容するインク収容部117Kを構成する合成樹脂製のカートリッジ本体171と、このカートリッジ本体171の側枠部172に内蔵された記憶素子80(記憶手段)とを備えている。この記憶素子80は、インクカートリッジ107Kをプリンタ本体100のカートリッジ装着部18に装着したときに、プリンタ本体100との間で各種のデータの授受を行う。この記憶素子80は、インクカートリッジ107Kの側枠部172に対して下側が開放状態にある凹部173に装着されているので、複数の接続端子174のみが露出している。あるいは、全体が露出されていても良い。
【0052】
これに対して、カートリッジ装着部18には、インクカートリッジ107Kを装着する空間の底部187に針181が上向きに配置されている。この針181の周りは、インクカートリッジ107Kに形成されているインク供給部175を受け入れる凹部183になっている。この凹部183の内壁には、カートリッジガイド182が3箇所に形成されている。カートリッジ装着部18の内壁184には、コネクタ186が配置され、このコネクタ186には、カートリッジ装着部18にインクカートリッジ107Kを装着したときに記憶素子80の複数の接続端子174がそれぞれ電気的に接続する複数の電極185が形成されている。
【0053】
次に、カートリッジ装着部18に対してインクカートリッジ107Kを装着する手順を説明する。まず、カートリッジ装着部18にインクカートリッジ107Kを配置する。カートリッジ装着部18の後壁部188には、支持軸191を介して固定レバー192が取り付けられており、この固定レバー192をインクカートリッジ107Kに被さるように倒すと、インクカートリッジ107Kが下方に押されてインク供給部175が凹部183に嵌るとともに、針181がインク供給部175に突き刺さってインクの供給が可能になる。さらに、固定レバー192を倒すと、固定レバー192の先端に形成した係止部193がカートリッジ装着部18に形成した係合具189に係合し、インクカートリッジ107Kが固定される。この状態で、インクカートリッジ107Kの記憶素子80の複数の接続端子174と、カートリッジ装着部18の複数の電極185とがそれぞれ電気的に接続し、プリンタ本体100と記憶素子80の間においてデータの授受が可能となる。
【0054】
インクカートリッジ107Kの構造は、基本的にはカラー用のインクカートリッジ107Fでも同様であるため、その説明を省略する。ただし、カラー用のインクカートリッジ107Fでは、5色分のインクが各インク収容室に充填され、かつ、これらのインクはそれぞれ別々の経路を辿って印刷ヘッド10に供給される必要がある。したがって、カラー用のインクカートリッジ107Fでは、インク供給部175がインクの色数分だけ形成されている。なお、インクカートリッジ107Fでは、5色分のインクが収容されているが、そこに内蔵されている記憶素子80は1つだけであり、この1つの記憶素子80に、インクカートリッジ107Fの情報および各色のインクの情報が一括して記憶される。
【0055】
(記憶素子80の構成)
図6は、本形態のインクジェットプリンタに用いたインクカートリッジ107K、107Fに内蔵の記憶素子80の構成を示すブロック図である。図7は本形態のインクジェットプリンタに用いた黒用のインクカートリッジ107Kに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。
【0056】
インクカートリッジ107K、107Fのいずれにおいても、内部にはインクを収容しておくインク収容部が形成されているとともに、記憶素子80が内蔵され、この記憶素子80として、本形態では、図6にブロック図で示すように、シリアルアクセスされるメモリセル81と、このメモリセル81でのデータの読み書きを制御するリード・ライト制御部82と、クロック信号CLKに基づいてリード・ライト制御部82を介してプリンタ本体100とメモリセル81との間でデータの読み書きを行なう際のカウントアップを行なうアドレスカウンタ83とを備えたEEPROMが用いられている。
【0057】
黒用のインクカートリッジ107Kに備えられている記憶素子80のメモリセル81は、図7に示すように、読み出し専用データを記憶する第1の記憶領域750と、書き換え可能なデータを記憶する第2の記憶領域760とを備えている。プリンタ本体100は、第1の記憶領域750に格納されているデータに対しては読み出しのみが可能であり、第2の記憶領域760に格納されているデータに対しては読み出しおよび書き込みの双方を実行し得る。第2の記憶領域760は、アクセス時に第1の記憶領域750よりも先にアクセスされるアドレスに配置されている。すなわち、第2の記憶領域760は、第1の記憶領域750よりも低いアドレスに配置されている。ここで、低いアドレスとはアドレスの先頭領域側のアドレスのことをいう。
【0058】
ここで、第2の記憶領域760に記憶される書き換え可能データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域701、702に対してそれぞれ割り当てられた第1の黒インク残量データおよび第2の黒インク残量データである。黒インク残量データが2つの記憶領域701、702に割り当てられているのは、2つの記憶領域701、702に記憶されている黒インク残量データを対比することにより、データが正規に書き込み完了されたか否かを判断し、現在の黒インク残量データとして用いるデータを決定するためである。
【0059】
これら2つの記憶領域、第1黒インク残量記憶領域701、第2黒インク残量記憶領域702について図8を参照して更に説明する。図8は第1黒インク残量記憶領域701および第2黒インク残量記憶領域702のデータ構造を模式的に示す説明図である。本実施例においては、黒インク残量データは先ず第1黒インク残量記憶領域701に対して書き込まれ、続いて第2黒インク残量記憶領域に対して書き込まれる。また、各記憶領域701、702の終端領域には、各記憶領域701、702に対する黒インク残量データの書き込みが正常に完了したか否かを示す第1書込完了フラグ770および第2書込完了フラグ771がそれぞれ備えられている。これら書込完了フラグ770、771の初期値は相互に反対の値に設定されており、例えば、第1書込完了フラグの初期値は0であり、第2書込完了フラグの初期値は1である。したがって、書込完了フラグ770、771が同一の値を示す場合には、第1黒インク残量記憶領域に対する書込が完了していることを意味する。
【0060】
これに対して、第1の記憶領域750に記憶される読み出し専用データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域711〜720に対して割り当てられたインクカートリッジ107Kの開封時期データ(年)、インクカートリッジ107Kの開封時期データ(月)、インクカートリッジ107Kのバージョンデータ、顔料系あるいは染料系などといったインクの種類データ、インクカートリッジ107Kの製造年データ、インクカートリッジ107Kの製造月データ、インクカートリッジ107Kの製造日データ、インクカートリッジ107Kの製造ラインデータ、インクカートリッジ107Kのシリアルナンバーデータ、インクカートリッジ107Kが新品であるかリサイクル品であるかを示すリサイクル有無データである。
【0061】
カラー用のインクカートリッジ107Fに備えられている記憶素子80のメモリセル81も、図9に示すように、読み出し専用データを記憶する第1の記憶領域650と、書き換え可能なデータを記憶する第2の記憶領域660とを備えている。図9はカラー用のインクカートリッジ107Fに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。プリンタ本体100は、第1の記憶領域650に格納されているデータに対しては読み出しのみが可能であり、第2の記憶領域660に格納されているデータに対しては読み出しおよび書き込みの双方を実行し得る。第2の記憶領域660は、アクセス時に第1の記憶領域650よりも先にアクセスされるアドレスに配置されている。すなわち、第2の記憶領域660は、第1の記憶領域650よりも低いアドレス(先頭側アドレス)に配置されている。
【0062】
ここで、第2の記憶領域660に記憶される書き換え可能データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域601〜610に対してそれぞれ割り当てられた第1のシアンインク残量データ、第2のシアンインク残量データ、第1のマゼンダインク残量データ、第2のマゼンダインク残量データ、第1のイエローインク残量データ、第2のイエローインク残量データ、第1のライトシアンインク残量データ、第2のライトシアンインク残量データ、第1のライトマゼンダインク残量データ、第2のライトマゼンダインク残量データである。各色のインク残量データが2つの記憶領域に割り当てられているのは、黒用のインクカートリッジ107Kと同様、2つの記憶領域である第1インク残量記憶領域(601、603、605、607、609)、第2インク残量記憶領域(602、604、606、608、610)に記憶されているカラー・インク残量データを対比することにより、記憶領域に記憶されているデータが正規に書き込み完了されたか否かを判断し、現在のカラー・インク残量データとして用いるデータを決定するためである。
【0063】
これら2つの記憶領域、第1カラー・インク残量記憶領域(601、603、605、607、609)、第2カラー・インク残量記憶領域(602、604、606、608、610)について、第1シアンインク残量記憶領域601および第2シアンインク残量記憶領域602を代表的に用いて図10と共に更に説明する。図10は第1シアンインク残量記憶領域601および第2シアンインク残量記憶領域602のデータ構造を模式的に示す説明図である。本実施例においては、シアンインク残量データは先ず第1シアンインク残量記憶領域601に対して書き込まれ、続いて第2シアンインク残量記憶領域602に対して書き込まれる。また、各記憶領域601、602の終端領域には、各記憶領域601、602に対するシアンインク残量データの書き込みが正常に完了したか否かを示す第1書込完了フラグ670および第2書込完了フラグ671がそれぞれ備えられている。これら書込完了フラグ670、671の初期値は相互に反対の値に設定されており、例えば、第1書込完了フラグの初期値は0であり、第2書込完了フラグの初期値は1である。したがって、書込完了フラグ670、671が同一の値を示す場合には、第1シアンインク残量記憶領域601に対する書込が完了していることを意味する。
【0064】
これに対して、第1の記憶領域650に記憶される読み出し専用データは、黒用のインクカートリッジ107Kと同様、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域611〜620に対して割り当てられたインクカートリッジ107Fの開封時期データ(年)、インクカートリッジ107Fの開封時期データ(月)、インクカートリッジ107Fのバージョンデータ、インクの種類データ、製造年データ、製造月データ、製造日データ、製造ラインデータ、シリアルナンバーデータ、リサイクル有無データである。これらのデータは、色にかかわらず共通であるため、各色間で共通のデータとして1種類のみ記憶されている。
【0065】
これらのデータはいずれも、インクカートリッジ107K、107Fがプリンタ本体100に装着された後、プリンタ本体100の電源がオンされたときに、プリンタ本体100側によって読み出されて、プリンタ本体100に内蔵のEEPROM90に記憶される。EEPROM90の内部データ配列について図11を参照して説明する。図11はプリンタ本体に内蔵のEEPROMのデータ配列を示す説明図である。図11に示すように、このEEPROM90の記憶領域801〜835には、黒用のインクカートリッジ107Kおよびカラー用のインクカートリッジ107Fのインク残量など、各記憶素子80に記憶されるすべてのデータを記憶できるようになっている。
【0066】
(インクジェットプリンタ1の動作)
次に図12〜図15を参照して電源オンから電源オフまでに本実施例に係るインクジェットプリンタ1が実行する基本動作について説明する。図12は電源投入時に実行される処理を示すフローチャートである。図13はインク残量を算出するために実行される処理を示すフローチャートである。図14は本形態のインクジェットプリンタ1において電源オフまでに実行される処理を示すフローチャートである。図15(A)、(B)はそれぞれ、本形態のインクジェットプリンタ1において、プリンタ本体からインクカートリッジ107K、107Fに内蔵の記憶素子80にインク残量を書き込む際の処理を示すフローチャート、およびこの処理を行う際のタイミングチャートである。
【0067】
図12を参考にして電源投入後に制御部46によって実行される処理ルーチンについて説明する。インクジェットプリンタ1の電源がオンされると、制御部46はインクカートリッジ107K、107Fの交換が行われたか否かを判断する(ステップS30)。この判断は、例えば、EEPROM90がインクカートリッジ交換フラグを有する場合にはそのフラグを参照することにより、あるいは、各インクカートリッジ107K、107Fの有する製造時分データおよび製造シリアル等に基づいてインクカートリッジ107K、107Fが交換されたか否かを判断することにより実行され得る。インクカートリッジ107K、107Fの交換がなく、単に電源がオンされた場合には(ステップS30:No)、インクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80から記憶されているデータを読み出す(ステップS31)。ここで、本実施例ではインク残量に関するデータを2つの領域に記憶する構成を備えており、インク残量に関するデータの読み出しに際しては、後述する判定処理によって読み出すべきデータが決定される。
【0068】
これに対して、インクカートリッジ107K、107Fが交換されていると判断した場合には(ステップS30:Yes)、制御部46は取付回数を1つインクリメントしインクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80に書き込む(ステップS32)。そして、制御部46は、インクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80から記憶されているデータを読み出す(ステップS31)。続いて、制御部46は読み出した各データをEEPROM90の所定のアドレスにそれぞれ書き込む(ステップS33)。制御部46は、EEPROM90に記憶されたデータに基づいて、装着されたインクカートリッジ107K、107Fがインクジェットプリンタ1に適合するか否かを判定する(ステップS34)。適合する場合には(ステップS34:Yes)、印刷処理が許可され(ステップS35)印刷準備が完了する(本処理ルーチン終了)。一方、適合しない場合には(ステップS34:No)、印刷処理が許可されず、印刷処理ができない旨パネルスイッチ92上、あるいは、ディスプレイ上に表示される(ステップS36)。
【0069】
インクジェットプリンタ1は所定の印刷動作を行う。この際に、制御部46は、インク残量を算出する処理を実行する。かかる処理について図13を参照して説明する。印刷処理が開始されるとインク残量算出処理ルーチンが開始される。制御部46は印刷処理が実行中であるか否かを判断する(ステップS40)。印刷処理実行中の場合には、印刷処理が完了するまで待機する(ステップS40:Yes)。一方、印刷処理実行中でない場合には(ステップS40:No)、印刷処理に関連して消費されたインク消費量を算出する(ステップS41)。このインク消費量の算出は、例えば、インク滴重量とインク滴の吐出回数とを乗じることによって、各色毎のインク吐出量を算出し、算出されたインク吐出量と、前記の吸引動作により消費されたインク吸引量とを加算することによって実行される。続いて、制御部46は、EEPROM90に記憶されていたインク残量データを読み出す(ステップS42)。制御部46は読み出したインク残量から算出したインク消費量を減算することで最新のインク残量を算出する(ステップS43)。制御部46は、算出した最新のインク残量をインク残量データとして、EEPROM90に書き込み(ステップS44)、本処理ルーチンは終了する。
【0070】
ここで、新たに算出したインク残量は、インクジェットプリンタ1のパネルスイッチ92において電源スイッチOFFの操作が行なわれた後にインクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80に書き込まれる。
【0071】
すなわち、図14に示すように、インクジェットプリンタ1のパネルスイッチ92において電源スイッチがOFFされると、まず、ステップST11においてインクジェットプリンタ1が待機中か否かが判断される(ステップST11)。待機中でない場合には(ステップST11:NO)、進行中のシーケンスを終了させて(ステップST12)、ステップST11に戻る。これに対して、インクジェットプリンタ1が待機中の場合には(ステップST11:YES)、印刷ヘッド10にキャッピングを行なった後(ステップST13)、印刷ヘッド10の駆動条件、例えば、駆動信号の電圧、各色間の補正を行うカラーID等を記憶する情報内容を記憶させる(ステップST14)。続いて、タイマー値を記憶させ(ステップST15)、コントロールパネルの内容、例えば、双方向印刷時の調整値等を記憶させる(ステップST16)。次に、EEPROM90に記憶されているインク残量をインクカートリッジ107K、107Fの各記憶素子80の各第2の記憶領域660、760に記憶させる(ステップST17)。
【0072】
ここで、本実施例では、インク残量を各第2の記憶領域660、760に記憶させる(書き込む)にあたって、各インクに対して割り当てられている2つの記憶領域に対して同一のインク残量情報が二重に記憶される。例えば、図8に示す黒色インクカートリッジ107Kの記憶素子80では、第1黒インク残量記憶領域701に対して先ず黒インク残量データが書き込まれ、第1黒インク残量記憶領域701に対する書き込みが完了すると書込完了フラグ770を反転させ、続いて第2黒インク残量記憶領域702に黒インク残量データが書き込まれる。第2黒インク残量記憶領域702に対する書き込みか完了すると書込完了フラグ771を反転させる。このようにインク残量情報の書き込みを行うことにより、後述する判定処理によっていずれの記憶領域に対する書き込みが完了したか否かを判定することができる。最後に、電源供給をオフにする(ステップST18)。
【0073】
このような電源オフのための処理のうち、インクカートリッジ107K、107Fの記憶素子80に対するインク残量の書き込みを行う処理を、図6および図15(A)、(B)を参照して詳述する。図15(A)はプリンタ本体からインクカートリッジに内蔵の記憶素子にインク残量を書き込む際の処理を示すフローチャートである。図15(B)はこの処理を行う際のタイミングチャートである。
【0074】
図6および図15(A)、(B)に示すように、まず、記憶素子80をイネーブル状態にするためのイネーブル信号CSを送って記憶素子80の選択を行う(ステップST21)。次に、書き込むデータを予め設定しておいたアドレスに割り当てるため、クロック信号CLKによって記憶素子80内のアドレスカウンタ83をカウントアップしておく(ステップST22)。このようにして所定の書き込みアドレスまでカウントアップさせた後、リード・ライト制御部83の端子を切り換え、書き込み状態にする。そして、クロック信号CLKに同期してリード/ライト信号W/Rバー(アクティブ・ローを意味する。)が出力されると、プリンタ本体100は、インク残量データDATAをデータ端子に出力し、インクカートリッジ107K、107Fの記憶素子80への書き込みを行なう(ステップST23)。なお、図15(B)では5つ目のクロック信号CLKに同期して書き込みが実行されているが、これは一般的な書き込みを説明するものであり、本実施例では1つ目のクロック信号CLKに同期してインク残量の書き込みが実行される。
【0075】
(記憶素子80に記憶されたデータの読み出し処理)
続いて、第1黒インク残量記憶領域701に記憶されている黒インク残量データAと第2黒インク残量記憶領域702に記憶されている黒インク残量データBのいずれのインク残量データを現在インク残量データとして用いるかを決定する処理について図8および図16を参照して説明する。図16は黒インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。
【0076】
本ルーチンが開始すると、第1黒インク残量記憶領域701に記憶されている黒インク残量データAと第2黒インク残量記憶領域702に記憶されている黒インク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS100)。図8(A)に示すように黒インク残量データAと黒インク残量データBとが一致する場合には(ステップS100:Yes)、第1黒インク残量記憶領域701および第2黒インク残量記憶領域702に対する書込がそれぞれ正常に完了していることを意味するので、黒インク残量データAを現在インク量データとして用いる(ステップS110)。このとき、第1書込完了フラグAおよび第2書込完了フラグBは相互に異なる値を取っている。
【0077】
図8(B)、(C)に示すように黒インク残量データAと黒インク残量データBとが一致しない場合には(ステップS100:No)、第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが一致するか否かを判定する(ステップS120)。判定の結果、図8(B)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有する場合には(ステップS120:Yes)、第1黒インク残量記憶領域701に対する書込が正常に完了していることを意味するので、黒インク残量データAを現在インク量データとして用いる(ステップS110)。また、第1黒インク残量記憶領域701に記憶されている黒インク残量データAを第2黒インク残量記憶領域702に書き込む。これに対して、図8(C)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有しない場合には(ステップS120:No)、第1黒インク残量記憶領域701に対する書込が正常に完了していないことを意味するので、黒インク残量データBを現在インク量データとして用いる(ステップS130)。また、第2黒インク残量記憶領域702に記憶されている黒インク残量データBを第1黒インク残量記憶領域701に書き込む。
【0078】
なお、この例では第1および第2書込完了フラグの初期値として反転値である場合を用いて説明したが、これらフラグの初期値は同一値であってもかまわない。かかる場合には、上記ステップS100における判断時の第1および第2書込完了フラグA、Bは同一値を取り、また上記ステップS120における判断以降の処理が逆の処理となる。
【0079】
続いて、第1カラー・インク残量記憶領域(601、603、605、607、609)に記憶されているカラー・インク残量データAと第2カラー・インク残量記憶領域(602、604、606、608、610)に記憶されているカラー・インク残量データBのいずれのインク残量データを現在インク残量データとして用いるかを決定する処理について図10、図17および図18を参照してさらに説明する。図17はカラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。図18は図17における各インク残量データ判定処理の中で、代表的にシアンインク残量データ判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【0080】
図17に示すルーチンが開始すると、制御部46は先ずシアンインク残量データ判定処理(ステップS200)を実行する。このシアンインク残量データ判定処理は図13に示すフローチャートに従って実行される。シアンインク残量データ判定処理が実行されると、先ず第1シアンインク残量記憶領域601に記憶されているシアンインク残量データAと第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS2010)。図10(A)に示すようにシアンインク残量データAとシアンインク残量データBとが一致する場合には(ステップS2010:Yes)、シアンインク残量データAは正常であると判断し、シアンインク残量データAをシアンインク残量データとして用いる(ステップS2020)。このとき、第1書込完了フラグAおよび第2書込完了フラグBは相互に異なる値を取っている。その後、本ルーチンは終了する。
【0081】
一方、図10(B)、(C)に示すように第1シアンインク残量記憶領域601に記憶されているシアンインク残量データAと第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBとが一致しない場合には(ステップS2010:No)、第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが一致するか否かを判定する(ステップS2030)。判定の結果、図10(B)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有する場合には(ステップS2030:Yes)、第1シアンインク残量記憶領域601に対する書込が正常に完了していることを意味するので、シアンインク残量データAをインク量データとして用いる(ステップS2020)。また、第1シアンインク残量記憶領域601に記憶されているシアンインク残量データAを第2シアンインク残量記憶領域602に書き込む。これに対して、図10(C)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有しない場合には(ステップS2030:No)、第1シアンインク残量記憶領域601に対する書込が正常に完了していないことを意味するので、第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBを現在シアンインク残量データとして用いる(ステップS2040)。また、第2シアンインク残量記憶領域602に記憶されているシアンインク残量データBを第1シアンインク残量記憶領域601に書き込む。その後、本ルーチンは終了する。
【0082】
なお、この例では第1および第2書込完了フラグの初期値として反転値である場合を用いて説明したが、これらフラグの初期値は同一値であってもかまわない。かかる場合には、上記ステップS2010における判断時の第1および第2書込完了フラグA、Bは同一値を取り、また上記ステップS2030における判断以降の処理が逆の処理となる。
【0083】
図17に戻りカラー・インク残量データ判定処理の説明を続ける。こうしてシアンインク残量データ判定処理(ステップS200)が終了すると、次にマゼンタインク残量データ判定処理(ステップS210)が実行される。このマゼンタインク残量データ判定処理は図18を用いて説明したシアンインク残量データ判定処理と同様に実行されるのでその説明を省略する。また、以下の各インク残量データ判定処理についても同様とする。マゼンタインク残量データ判定処理(ステップS210)が終了するとイエローインク残量データ判定処理(ステップS220)が実行される。イエローインク残量データ判定処理(ステップS220)が終了するとライトシアンインク残量データ判定処理(ステップS230)が実行される。ライトシアンインク残量データ判定処理(ステップS230)が終了するとライトマゼンタインク残量データ判定処理(ステップS240)が実行される。その後、本処理ルーチンは終了する。
【0084】
(第1実施例の効果)
このように、本実施例では、同一のインク残量データを2つのインク残量記憶領域(601、603、605、607、609)、(602、604、606、608、610)、701、702に書き込み、また、各インク残量記憶領域に書込完了フラグ670、671、770、771を備えるので、いずれのインク残量記憶領域に格納されているインク残量データが正常であるかを容易且つ迅速に判断することができる。この結果、インク残量データの書き込み処理が不完全な場合であっても、正常なインク残量データを常に用いることができる。この利点は、特に、図2で説明した補償電源装置の電源プラグがコンセントから抜かれ、電力供給が書き込み処理時間より短い場合、インク残量データの書き込み処理中に停電、または、電源プラグがコンセントから抜かれる等して書き込みが未了となるような状態において有効である。また、正常なインク残量データは、古くとも前回書き込まれたデータであり、破壊されたインク残量データを用いる場合とは比べものにならない正確さを有する。
【0085】
また、本実施例では、インク残量などのデータ記憶をインクカートリッジ107K、107Fの記憶素子80を用いて行なうにあたって、黒用およびカラー用のインクカートリッジ107K、107Fのいずれにおいても、記憶素子80として、シーケンシャルアクセスしか行なわれない安価なEEPROMを用いたので、消耗品であるという性質に合ったコストでインクカートリッジ107K、107Fを提供できる。
【0086】
また、記憶素子80において書き換えが行なわれる第2の記憶領域660、760については、読み出し専用データが記憶される第1の記憶領域650、750よりも先にアクセスされるアドレスになっている。したがって、電源プラグがコンセントから抜かれても、書き込みが中断しないような構成、例えば既述の図2を参照して説明した電源装置とは異なり書き込み終了まで電力供給が可能な補償電源装置とした場合でも、必要最小限の容量に抑えることができる。また、電力供給の中断を原因とするデータ異常以外のデータ異常、例えば、ノイズ等に起因するデータ異常が生じた場合であっても、正確なインク残量が得られる利点を有する。この結果、シーケンシャルアクセスしか行なわれない安価な記憶素子80を用いてインクカートリッジ107K、107Fの低コスト化を図っても、データの書き換え異常が発生しにくいという利点がある。
【0087】
さらに、本実施例では、記憶素子80内の記憶領域650、660、750、760においてインク残量データが記憶領域の先頭領域に配置されるように配列されている。したがって、短時間の内にデータの書き換えを完了することが可能となり、データの書き換え異常が発生しにくいという利点を有する。
【0088】
[第2の実施例]
次に本発明に係る第2実施例について図19〜図21を参照して説明する。なお、本実施例を適用し得るインクジェットプリンタの構成は第1実施例のインクジェットプリンタ1の構成と同一なので同一の符号を付してその説明を省略する。図19は本実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fに内蔵の記憶素子800のデータ配列を示す説明図である。図20は本実施例に係る記憶素子800の第1カラー・インク残量記憶領域および第2カラー・インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。図21はカラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。
【0089】
本実施例では本実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fの記憶素子800の内部データ構造の一部が第1実施例におけるカラー・インクカートリッジ107Fの記憶素子80のデータ構造とは異なる。
【0090】
(記憶素子800のデータ構造)
カラー用のインクカートリッジ107Fに備えられている記憶素子800のメモリセル810について図19を参照して説明する。メモリセル810は、読み出し専用データを記憶する第1の記憶領域850と、書き換え可能なデータを記憶する第2の記憶領域860とを備えている。プリンタ本体100は、第1の記憶領域850に格納されているデータに対しては読み出しのみが可能であり、第2の記憶領域860に格納されているデータに対しては読み出しおよび書き込みの双方を実行し得る。第2の記憶領域860は、アクセス時に第1の記憶領域850よりも先にアクセスされるアドレスに配置されている。すなわち、第2の記憶領域860は、第1の記憶領域850よりも低いアドレス(先頭側アドレス)に配置されている。
【0091】
ここで、第2の記憶領域860に記憶される書き換え可能データは、最初にアクセスされる順からいえば、各記憶領域801〜810に対してそれぞれ割り当てられた第1のシアンインク残量データ、第1のマゼンダインク残量データ、第1のイエローインク残量データ、第1のライトシアンインク残量データ、第1のライトマゼンダインク残量データ、第2のシアンインク残量データ、第2のマゼンダインク残量データ、第2のイエローインク残量データ、第2のライトシアンインク残量データ、第2のライトマゼンダインク残量データである。各色のインク残量データが2つの記憶領域に割り当てられているのは、2つの記憶領域である第1インク残量記憶領域(801〜805)、第2インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データを対比することにより、いずれの記憶領域に記憶されているデータが正規に書き込み完了されたかを判断し、現在のカラー・インク残量データとして用いるデータを決定するためである。
【0092】
これら2つの記憶領域、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)、第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)について図20を参照して更に説明する。本実施例においては、カラー・インク残量データは先ず第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に対して書き込まれ、続いて第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に対して書き込まれる。また、各記憶領域(801〜805)、(806〜810)の終端領域には、各記憶領域(801〜805)、(806〜810)に対するカラー・インク残量データの書き込みが正常に完了したか否かを示す第1書込完了フラグ870および第2書込完了フラグ871がそれぞれ備えられている。これら書込完了フラグ870、871の初期値は相互に反対の値に設定されており、例えば、第1書込完了フラグの初期値は0であり、第2書込完了フラグの初期値は1である。したがって、書込完了フラグ870、871が同一の値を示す場合には、第1カラー・インク残量記憶領域に対する書込が完了していることを意味する。
【0093】
続いて、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に記憶されているカラー・インク残量データAと第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データBのいずれのインク残量データを現在インク残量データとして用いるかを決定する処理について図20および図21を参照して説明する。
本ルーチンが開始すると、先ず第1シアンインク残量記憶領域801に記憶されているシアンインク残量データAと第2シアンインク残量記憶領域806に記憶されているシアンインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS400)。例えば、図20(A)に示すように、シアンインク残量データAとシアンインク残量データBとが一致する場合には(ステップS400:Yes)、第1マゼンタインク残量記憶領域802に記憶されているマゼンタインク残量データAと第2マゼンタインク残量記憶領域807に記憶されているマゼンタインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS410)。マゼンタインク残量データAとマゼンタインク残量データBとが一致する場合には(ステップS410:Yes)、第1イエローインク残量記憶領域803に記憶されているイエローインク残量データAと第2イエローインク残量記憶領域808に記憶されているイエローインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS420)。
【0094】
イエローインク残量データAとイエローインク残量データBとが一致する場合には(ステップS420:Yes)、第1ライトシアンインク残量記憶領域804に記憶されているライトシアンインク残量データAと第2ライトシアンインク残量記憶領域809に記憶されているライトシアンインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS430)。ライトシアンインク残量データAとライトシアンインク残量データBとが一致する場合には(ステップS430:Yes)、第1ライトマゼンタインク残量記憶領域805に記憶されているライトマゼンタインク残量データAと第2ライトマゼンタインク残量記憶領域810に記憶されているライトマゼンタインク残量データBとが一致するか否かを判定する(ステップS440)。ライトマゼンタインク残量データAとライトマゼンタインク残量データBとが一致する場合には(ステップS440:Yes)、カラー・インクデータAは正常であると判断し、カラー・インク残量データAをカラー・インク残量データとして用いる(ステップS450)。このとき、第1書込完了フラグAおよび第2書込完了フラグBは相互に異なる値を取っている。その後、本ルーチンは終了する。
【0095】
一方、ステップS400〜S440の各ステップにおいて、例えば、図20(B)、(C)に示すように、各インク残量データAが各インク残量データBと一致しない場合には(ステップS400:No、ステップS410:No、ステップS420:No、ステップS430:No、ステップS440:No)、第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが一致するか否かを判定する(ステップS460)。判定の結果、図20(B)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有する場合には(ステップS460:Yes)、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に対する書込が正常に完了していることを意味するので、カラー・インク残量データAをインク量データとして用いる(ステップS450)。また、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に記憶されているカラー・インク残量データAを第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に書き込む。これに対して、図20(C)に示すように第1書込完了フラグAと第2書込完了フラグBとが同一の値を有しない場合には(ステップS460:No)、第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に対する書込が正常に完了していないことを意味するので、第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データBを現在インク量データとして用いる(ステップS470)。また、第2カラー・インク残量記憶領域(806〜810)に記憶されているカラー・インク残量データBを第1カラー・インク残量記憶領域(801〜805)に書き込む。その後、本ルーチンは終了する。
【0096】
なお、この例では第1および第2書込完了フラグの初期値として反転値である場合を用いて説明したが、これらフラグの初期値は同一値であってもかまわない。かかる場合には、上記各ステップS400、S410、S420、S430、S440における判断時の第1および第2書込完了フラグA、Bは同一値を取り、また上記ステップS460における判断以降の処理が逆の処理となる。
【0097】
(第2実施例の効果)
このように、第2実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fにおいても、同一のインク残量データを2つのインク残量記憶領域に書き込み、また、各インク残量記憶領域に書込完了フラグを備えるので、いずれのインク残量記憶領域に格納されているインク残量データが正常であるかを容易且つ迅速に判断することができる。この結果、インク残量データの書き込み処理が不完全な場合であっても、正常なインク残量データを常に用いることができる。この利点は、特に、インク残量データの書き込み処理中に停電が発生、プラグがコンセントから抜かれる等して書き込みが未了となるような状態において有効である。また、正常なインク残量データは、古くとも前回書き込まれたデータであり、破壊されたインク残量データを用いる場合とは比べものにならない正確さを有する。
【0098】
また、第2実施例では書込完了を示すフラグを第1カラー・インクデータおよび第2カラー・インクデータにそれぞれ1つ備えれば良いので、記憶素子800内におけるデータ記憶効率を向上させることができる。
【0099】
[その他の実施の形態]
上記各実施例ではインク残量情報の書き込みが完了したか否かを示す書込完了情報記憶領域として反転フラグ形式で書込完了情報の書き込みを行う記憶領域を用いて説明した。しかしながら、例えば、2ビット値以上のフラグ形式、あるいは、カウンタ形式で書込完了情報を書き込んでも良い。このような形式の情報も、各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了したか否かの指標として利用し得る。
【0100】
第1の実施例では、第2の記憶領域660、760に記憶されるデータがインク残量のみであったが、インクカートリッジ107K、107Fの着脱回数、インクカートリッジ107K、107Fの開封以降の経過時間などを、プリンタ本体100との間でデータの読み出しおよび書き込みが行われる書き換えデータとして、第2の記憶領域660、760に記憶させてもよい。このように、インクカートリッジ107K、107Fの着脱回数を記憶させておけば、インク中(インクカートリッジ内)への気泡の入り具合が相違するので、それに応じてインクカートリッジ107K、107Fから印刷ヘッド10に至る流路へのインクの充填条件(たとえば、フラッシング回数)を最適な条件に合わすことができる。
【0101】
また、第1および第2実施例では、カラー用のインクカートリッジ107Fにおいて、第2の記憶領域660、860では、最新のインク残量のデータ書き換えを順番に行われる記憶領域を一つの色あたり2つずつ確保したが、一つの色あたり3つ以上の領域を確保してもよい。
【0102】
さらに、第1および第2実施例では、アドレスカウンタ83としてカウントアップするタイプのものを用いたが、カウントダウンするアドレスカウンタを用いてもよく、この場合にも、第1実施例においては、第2の記憶領域660、760が第1の記憶領域650、750よりも先にアクセスされるようにデータ配列を変更すればよい。すなわち、第2の記憶領域660、760を第1の記憶領域650、750よりも高アドレスに配置する。また、第2実施例においては、先頭アドレスに配置されているインク残量の情報を最終アドレスに配置するようにすればよい。
【0103】
また、上記各実施例では、アドレスデータをクロックパルスに変換するアドレスデコーダ、および記憶素子80、800内に備えられると共にクロックパルスをカウンタ値に変換するアドレスカウンタを用いて、所望のメモリアドレスにアクセスする構成を備えている。しかしながら、アドレスデコーダとして、アドレスデータをクロックパルスに変換し、更にクロックパルスに対応するカウンタ値を出力するアドレスデコーダを備えても良い。この場合には、記憶素子80、800内にアドレスカウンタを備える必要がないという利点を有する。
【0104】
また、上記各実施例では、インク残量データをメモリアドレスの先頭位置に格納する構成を備えている。しかしながら、インク残量データの格納位置は、プリンタ本体100(プリントコントローラ40)によって最初に書き込みされるメモリアドレスであれば良く、例えば、プリントコントローラ40による書き込み初期アドレスが中間アドレスである場合には、これに応じてインク残量データも中間アドレスに格納される。すなわち、インク残量データの格納位置はメモリセル81、810の物理的な先頭アドレスである必要はなく、最先に書き込み・読み出しされるメモリアドレスであればよい。
【0105】
また、上記各実施例では、記憶素子80、800としてEEPROMを用いたが、それに代えて、シーケンシャルアクセス形式の誘電体メモリ(FEROM)などを用いてもよい。
【0106】
また、上記各実施例はインクカートリッジがキャリッジ101上に搭載されているオンキャリッジタイプの印刷装置、およびインクカートリッジがキャリッジ上に搭載されていないオフキャリッジタイプの印刷装置のいずれの印刷装置に対しても適用することができる。
【0107】
さらに、上記各実施例では、インク量に関連する情報としてインク残量を用いたが、これに代えてインク消費量を用いてもかまわない。
【0108】
また、各実施例にて用いたインクカートリッジ107K、107Fに代えて、図22に示すようなインクカートリッジ500を用いても良い。図22は他の実施例に係るインクカートリッジ500の外観構成を示す斜視図である。
【0109】
インクカートリッジ500は、ほぼ直方体として形成された容器51にインクを含浸させた多孔質体(図示しない)を収容し、上面を蓋体53により封止されている。容器51の内部には、5色のカラーインクをそれぞれ別個に収容する5つのインク収容部(例えば、インクカートリッジ107Fにおける107C、107LC、107M、107LM、107Y)が区画形成されている。容器51の底面にはホルダに装着されたときにインク供給針に対向する位置にインク供給口54が各インク色に応じて形成されている。また、インク供給口側の垂直壁55の上端には、本体側のレバーの突起に係合する張出部56が一体に形成されている。この張出部56は、容器55の両側に別個に形成されていると共にリブ56aを有している。さらに下面と壁55との間に三角形上のリブ57が形成されている。また、容器55は誤挿入防止用の凹部59を有している。
【0110】
垂直壁55のインク供給口形成側には、それぞれのカートリッジ500の幅方向の中心に位置するように凹部58が形成され、ここに回路基板31が装着されている。回路基板31は本体の接点と対向する面に複数の接点を有し、その裏面には記憶素子が実装されている。さらに、垂直壁55には回路基板31の位置決めをするための突起55a、55b、張出部55c、55dが形成されている。
【0111】
さらに、上記各実施例ではカラー・インクとして、マゼンタ、シアン、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの5色を用いたが他の色の組み合わせ、あるいは、さらに他の色、例えば、ダークイエローを加えて6色等にした場合にも本発明は適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンタの要部を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの機能ブロック図である。
【図3】図1に示す印刷ヘッドに形成したノズル開口部のレイアウトを示す説明図である。
【図4】インクカートリッジおよびカートリッジ搭載部を示す斜視図である。
【図5】インクカートリッジをカートリッジ搭載部に搭載した様子を示す断面図である。
【図6】図1に示すインクジェットプリンタに用いたインクカートリッジに内蔵の記憶素子の構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示すインクジェットプリンタに用いた黒用のインクカートリッジに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。
【図8】第1黒インク残量記憶領域および第2黒インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。
【図9】図1に示すインクジェットプリンタに用いたカラー用のインクカートリッジに内蔵の記憶素子のデータ配列を示す説明図である。
【図10】第1カラー・インク残量記憶領域および第2カラー・インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。
【図11】図1に示すインクジェットプリンタのプリンタ本体に内蔵のEEPROMのデータ配列を示す説明図である。
【図12】電源投入時に実行される処理を示すフローチャートである。
【図13】インク残量を算出するために実行される処理を示すフローチャートである。
【図14】図1に示すインクジェットプリンタにおける電源オフまでに行う処理を示すフローチャートである。
【図15】インクジェットプリンタにおいて、プリンタ本体からインクカートリッジに内蔵の記憶素子にインク残量を書き込む際の処理およびその際のタイミングをしめす説明図である。
【図16】黒インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである
【図17】カラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである
【図18】図17における各インク残量データ判定処理の中で、代表的にシアンインク残量データ判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】第2実施例に係るカラー・インクカートリッジ107Fに内蔵の記憶素子800のデータ配列を示す説明図である。
【図20】第2実施例に係る記憶素子800の第1カラー・インク残量記憶領域および第2カラー・インク残量記憶領域のデータ構造を模式的に示す説明図である。
【図21】第2実施例においてカラー・インク残量データ決定処理を実現するためのフローチャートである。
【図22】他の実施例に係るインクカートリッジ500の外観構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0113】
1…インクジェットプリンタ(インクジェット印刷装置)
5…プリントエンジン
10…印刷ヘッド
17…圧電振動子
23…ノズル開口部
40…プリントコントローラ
46…制御部
80、800…記憶素子
81、810…メモリセル
82…リード・ライト制御部
83…アドレスカウンタ
107K、107F…インクカートリッジ(インク容器)
107C、107LC、107M、107LM、107Y…インク収容部
650、750、850…第1の記憶領域
660、760、860…第2の記憶領域
COM…駆動信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に装着されるインク容器であって、
印刷用インクを収容するインク収容部と、
少なくとも前記インク収容部内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶部とを備えると共に、
前記記憶部は前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、
前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備えるインク容器。
【請求項2】
請求項1に記載のインク容器において、
複数の前記インク収容部を有し、
その複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有するインク容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインク容器において、
前記記憶部は2つの前記インク量情報記憶領域を有し、
前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置されているインク容器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ異なる値であるインク容器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ同一値であるインク容器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記インク量情報記憶領域は、それぞれ前記記憶部において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域であるインク容器。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記記憶部はクロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされる記憶部であるインク容器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記インク量に関連する情報はインク残量であるインク容器。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記インク量に関連する情報は前記インク容器に関する累積的なインク消費量であるインク容器。
【請求項10】
印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法であって、
生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、
各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法はさらに、
前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断する方法。
【請求項12】
印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法であって、
生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込み、
その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込み、
前記第1書込完了情報記憶領域に対する書き込みが完了した後、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込み、
その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法はさらに、
前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断する方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1書込完了情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断する方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、さらに、
前記第1インク量情報記憶領域に書き込まれた前記第1インク量情報を前記第2インク量情報記憶領域に書き込む方法。
【請求項18】
請求項12ないし請求項17いずれかの請求項に記載の方法において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶される方法。
【請求項19】
印刷装置に装着されるインク容器に備えられる記憶装置であって、
少なくとも前記インク容器内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶素子を備えると共に、
その記憶素子は、
前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、
前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備える記憶装置。
【請求項20】
請求項19に記載の記憶装置において、
前記インク容器は複数の前記インク収容部を有し、
前記記憶装置はその複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有する記憶装置。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載の記憶装置において、
2つの前記インク量情報記憶領域を有し、
前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置されている記憶装置。
【請求項22】
請求項21に記載の記憶装置において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ異なる値である記憶装置。
【請求項23】
請求項21に記載の記憶装置において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ同一値である記憶装置。
【請求項24】
請求項19ないし請求項23のいずれかの請求項に記載の記憶装置において、
前記インク量情報記憶領域は、前記記憶素子において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域である記憶装置。
【請求項25】
請求項19ないし請求項24のいずれかの請求項に記載の記憶装置はさらに、
前記印刷装置から出力されるクロック信号に基づきカウント値を出力するアドレスカウンタを備え、
前記記憶素子は出力された前記カウント値に基づいてシーケンシャルにアクセスされる記憶装置。
【請求項26】
請求項19ないし請求項25のいずれかの請求項に記載の記憶装置において、
前記インク量に関連する情報はインク残量である記憶装置。
【請求項27】
請求項19ないし請求項25のいずれかの請求項に記載の記憶装置において、
前記インク量に関連する情報は前記インク容器に関する累積的なインク消費量である記憶装置。
【請求項28】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器が装着されて用いられる印刷装置であって、
前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込む書き込み手段と、
各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込む所定情報書込手段とを備える印刷装置。
【請求項29】
請求項28に記載の印刷装置はさらに、
前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断する判断手段を備える印刷装置。
【請求項30】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器が装着されて用いられる印刷装置であって、
前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、
生成された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込む第1書き込み手段と、
その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込む第1書込完了情報書込手段と、
その第1書込完了情報書込手段による第1書込完了情報の書き込み後に、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込む第2書き込み手段と、
その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込む第2書込完了情報書込手段とを備える印刷装置。
【請求項31】
請求項30に記載の印刷装置はさらに、
前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断する判断手段を備える印刷装置。
【請求項32】
請求項31に記載の印刷装置において、
前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断する方法。
【請求項33】
請求項32に記載の印刷装置において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断する印刷装置。
【請求項34】
請求項32に記載の印刷装置において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断する印刷装置。
【請求項35】
請求項30ないし請求項34のいずれかの請求項に記載の印刷装置において、
前記第1書き込み手段および第2書き込み手段は、前記記憶部の中で前記第1インク量情報記憶領域および第2インク量情報記憶領域に対して最初に書き込みを行う印刷装置。
【請求項36】
請求項30ないし請求項35いずれかの請求項に記載の印刷装置において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶される印刷装置。
【請求項37】
記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込むプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは、
生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、
各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込むことを備えるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項38】
請求項37に記載のコンピュータ読み取り可能媒体において、前記プログラムはさらに、
前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断することを備えるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項1】
印刷装置に装着されるインク容器であって、
印刷用インクを収容するインク収容部と、
少なくとも前記インク収容部内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶部とを備えると共に、
前記記憶部は前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、
前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備えるインク容器。
【請求項2】
請求項1に記載のインク容器において、
複数の前記インク収容部を有し、
その複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有するインク容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインク容器において、
前記記憶部は2つの前記インク量情報記憶領域を有し、
前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置されているインク容器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ異なる値であるインク容器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ同一値であるインク容器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記インク量情報記憶領域は、それぞれ前記記憶部において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域であるインク容器。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記記憶部はクロック信号に同期してシーケンシャルにアクセスされる記憶部であるインク容器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記インク量に関連する情報はインク残量であるインク容器。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器において、
前記インク量に関連する情報は前記インク容器に関する累積的なインク消費量であるインク容器。
【請求項10】
印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法であって、
生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、
各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法はさらに、
前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断する方法。
【請求項12】
印刷装置に装着されると共に記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込む方法であって、
生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込み、
その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込み、
前記第1書込完了情報記憶領域に対する書き込みが完了した後、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込み、
その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法はさらに、
前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断する方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1書込完了情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断する方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、さらに、
前記第1インク量情報記憶領域に書き込まれた前記第1インク量情報を前記第2インク量情報記憶領域に書き込む方法。
【請求項18】
請求項12ないし請求項17いずれかの請求項に記載の方法において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶される方法。
【請求項19】
印刷装置に装着されるインク容器に備えられる記憶装置であって、
少なくとも前記インク容器内のインク量に関連する複数の情報を含む所定情報を読み書き可能且つ不揮発的に記憶する記憶素子を備えると共に、
その記憶素子は、
前記インク量に関連する情報を記憶する複数のインク量情報記憶領域と、
前記各インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると書込完了情報が記憶される書込完了情報記憶領域とを備える記憶装置。
【請求項20】
請求項19に記載の記憶装置において、
前記インク容器は複数の前記インク収容部を有し、
前記記憶装置はその複数のインク収容部のそれぞれについて複数のインク量情報記憶領域および書込完了情報記憶領域を有する記憶装置。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載の記憶装置において、
2つの前記インク量情報記憶領域を有し、
前記書込完了情報記憶領域はそれぞれ前記各インク量情報記憶領域の書き込み終了位置に続いて配置されている記憶装置。
【請求項22】
請求項21に記載の記憶装置において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ異なる値である記憶装置。
【請求項23】
請求項21に記載の記憶装置において、
前記書込完了情報記憶領域は前記インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了すると所定値のフラグが書き込まれる領域であり、
その所定値の初期値はそれぞれ同一値である記憶装置。
【請求項24】
請求項19ないし請求項23のいずれかの請求項に記載の記憶装置において、
前記インク量情報記憶領域は、前記記憶素子において前記印刷装置によって最初に書き込みされる領域である記憶装置。
【請求項25】
請求項19ないし請求項24のいずれかの請求項に記載の記憶装置はさらに、
前記印刷装置から出力されるクロック信号に基づきカウント値を出力するアドレスカウンタを備え、
前記記憶素子は出力された前記カウント値に基づいてシーケンシャルにアクセスされる記憶装置。
【請求項26】
請求項19ないし請求項25のいずれかの請求項に記載の記憶装置において、
前記インク量に関連する情報はインク残量である記憶装置。
【請求項27】
請求項19ないし請求項25のいずれかの請求項に記載の記憶装置において、
前記インク量に関連する情報は前記インク容器に関する累積的なインク消費量である記憶装置。
【請求項28】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器が装着されて用いられる印刷装置であって、
前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込む書き込み手段と、
各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込む所定情報書込手段とを備える印刷装置。
【請求項29】
請求項28に記載の印刷装置はさらに、
前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断する判断手段を備える印刷装置。
【請求項30】
請求項1ないし請求項7のいずれかの請求項に記載のインク容器が装着されて用いられる印刷装置であって、
前記インク容器に対して書き込むべき情報であって前記インク容器内のインク量に関連する情報を含む所定情報を記憶する記憶装置と、
生成された前記所定情報のうち前記インク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する第1インク量情報記憶領域に書き込む第1書き込み手段と、
その第1インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第1書込完了記憶領域に第1書込完了情報を書き込む第1書込完了情報書込手段と、
その第1書込完了情報書込手段による第1書込完了情報の書き込み後に、前記インク量に関連する情報を前記記憶素子が有する第2インク量情報記憶領域に書き込む第2書き込み手段と、
その第2インク量情報記憶領域に対する書き込みが完了した際に前記記憶素子が有する第2書込完了記憶領域に第2書込完了情報を書き込む第2書込完了情報書込手段とを備える印刷装置。
【請求項31】
請求項30に記載の印刷装置はさらに、
前記第1および第2インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記第1および第2書込完了情報に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれているか否かを判断する判断手段を備える印刷装置。
【請求項32】
請求項31に記載の印刷装置において、
前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致する場合には、前記第1インク量情報および前記第2インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域および前記第2インク量情報記憶領域にそれぞれ正しく書込まれたものと判断する方法。
【請求項33】
請求項32に記載の印刷装置において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと異なる場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれたものと判断する印刷装置。
【請求項34】
請求項32に記載の印刷装置において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報とはそれぞれ所定値を初期値として備え、
前記判断手段は、前記第1インク量情報記憶領域に記憶されている第1インク量情報と前記第2インク量情報記憶領域に記憶されている第2インク量情報とが一致しないと判断した場合、前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報との組み合わせを判別し、その所定値の組み合わせが前記第1インク量情報記憶領域に対する書込み前における所定値の組み合わせと同一の場合には、前記第1インク量情報が前記第1インク量情報記憶領域に正しく書込まれなかったものと判断する印刷装置。
【請求項35】
請求項30ないし請求項34のいずれかの請求項に記載の印刷装置において、
前記第1書き込み手段および第2書き込み手段は、前記記憶部の中で前記第1インク量情報記憶領域および第2インク量情報記憶領域に対して最初に書き込みを行う印刷装置。
【請求項36】
請求項30ないし請求項35いずれかの請求項に記載の印刷装置において、
前記第1書込完了情報と前記第2書込完了情報はそれぞれフラグ形式で記憶される印刷装置。
【請求項37】
記憶素子を有するインク容器に所定情報を書き込むプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは、
生成されたインク容器内のインク量に関連する情報を、前記記憶素子が有する複数のインク量情報記憶領域に書き込み、
各インク量情報記憶領域に対する前記インク量関連情報の書き込み完了時に前記記憶素子が有する書込完了記憶領域に書込完了情報を書き込むインク容器に所定情報を書き込むことを備えるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項38】
請求項37に記載のコンピュータ読み取り可能媒体において、前記プログラムはさらに、
前記インク量情報記憶領域に書き込まれたインク量関連情報および前記フラグの値に基づいて、前記インク量情報記憶領域に記憶されているインク量関連情報が正しく書き込まれたか否かを判断することを備えるコンピュータ読み取り可能媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−40063(P2009−40063A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298919(P2008−298919)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【分割の表示】特願平11−296013の分割
【原出願日】平成11年10月18日(1999.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【分割の表示】特願平11−296013の分割
【原出願日】平成11年10月18日(1999.10.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]