説明

インク記録装置及びインクカートリッジ

【課題】 インクカートリッジを繰り返し挿入しても、インクカートリッジのインク供給口が劣化しにくいようなインクカートリッジホルダを提供する
【解決手段】インクカートリッジが装着可能で、且つインクカートリッジを装着した際にインクカートリッジのインク供給口に挿入可能なニードルをそれぞれ備えた複数のインクカートリッジホルダを有するインク記録装置であって、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が、各インクカートリッジホルダ毎に異なるように、前記ニードルをインクカートリッジホルダに設置したことにより、前記インク供給口に前記ニードルを繰り返し挿入した場合、挿入した前記インクカートリッジホルダ毎に異なる場所に挿入されるため、前記インク供給口の同一箇所に前記ニードルが挿入されることが少なくなり、前記インク供給口の劣化を遅らせることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク記録装置及びインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のインク記録装置は、紙、布帛等各種被記録媒体に対し、インクジェットヘッドから液状のインクを吐出することで、文字、画像等を印刷するものである。このインク記録装置に使用されるインクは、着色剤を使用して着色されることが多く、この着色剤には染料、あるいは顔料が用いられることが多い。このうち、顔料は粒子状の物質であり、インク中に溶解することなく分散して存在している。長時間放置すると、この顔料粒子が寄り集まって凝集し、大きな粒となって、インクジェットヘッドの吐出口を塞いでしまい、良質な印刷結果が得られなくなってしまうことがある。このような問題の発生を未然に防止すべく、インク記録装置を長時間放置する際に、洗浄液をインクジェットヘッドに導入して顔料分散インクを洗浄し、顔料の凝集によるインク吐出口の閉塞を未然に防止することが行われている。
【0003】
ところで、インクジェット方式のインク記録装置において、インクの供給はインクの充填されたインクカートリッジを、インクジェットプリンタに設けられているインクカートリッジホルダに挿入することで行われる。前述した洗浄液についてもインクカートリッジによりインクジェットヘッドに供給することが可能であるが、洗浄液をインクジェットヘッドに供給するインクカートリッジは繰り返し使用できることが、コスト、省資源の観点から好ましい。
【0004】
一方、インクカートリッジをインク記録装置に接続する際、インクカートリッジをインクカートリッジホルダに挿入することで、インクカートリッジホルダに配設されているニードルをインクカートリッジのインク供給口に挿入し、そのニードルを通じてインクをインクジェットヘッドに供給することが行われており、その例として特開平3−7350号公報のインクカートリッジが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−7350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、洗浄液の充填されたインクカートリッジを繰り返し使用すると、同じ箇所にニードルが挿入されるため、インク供給口が劣化し、液漏れ、ごみ混入の原因となる。カラー印刷を行うためにインクの種類(色数)を増やしたり、印刷速度の高速化を図るべくインクの吐出口を増やすためにヘッド数を増やしたりするとインクジェットヘッドの数も増えるため、洗浄液が充填されたインクカートリッジが使用される頻度が高まり、インク供給口の劣化も早まる危険性がある。また、複数のインクジェットヘッドに対し、同一の色のインクカートリッジを差し替えて使用するような場合には、インクが充填されたインクカートリッジについても、同様の劣化が起こる可能性がある。
【0007】
本発明は、洗浄液やインクが充填されたインクカートリッジを繰り返し挿入しても、インクカートリッジのインク供給口が劣化しにくいような複数のインクカートリッジホルダを有するインク記録装置、及び前記インク記録装置に使用するインクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明のインク記録装置は、インクカートリッジが装着可能で、且つインクカートリッジを装着した際にインクカートリッジのインク供給口に挿入可能なニードルが設けられている接続部を備えたインクカートリッジホルダを複数有するインク記録装置であって、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が、各インクカートリッジホルダ毎に異なるように、前記接続部をインクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る発明のインク記録装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記各インクカートリッジホルダにおける前記ニードルが前記インク供給口に挿入される位置の間隔が、前記ニードルの直径よりも大きくなるように、前記ニードルが設けられている前記接続部を前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る発明のインク記録装置は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記接続部をニードル及び基部とから構成すると共に、前記各インクカートリッジホルダ毎に、前記基部上での前記ニードルの位置がそれぞれ異なる前記接続部を、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る発明のインク記録装置は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記接続部を、基部とその基部の中心に対し基部の外周へ偏った箇所に設けられたニードルとから構成すると共に、前記接続部を前記各インクカートリッジホルダ毎にそれぞれ異なった角度にて取り付けたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る発明のインク記録装置は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記接続部をニードル及び基部とから構成すると共に、前記ニードルの位置が、各インクカートリッジホルダ毎に前記インク供給口に挿入される範囲内で異なるように前記基部の取り付け位置をずらして、前記接続部を前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に係る発明のインクカートリッジは、インクカートリッジを装着した際にインクカートリッジのインク供給口に挿入可能なニードルが設けられている接続部をそれぞれ備えた複数のインクカートリッジホルダを有し、前記ニードルが前記インク供給口に挿入される箇所が、各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記接続部をインクカートリッジホルダに取り付けたインク記録装置において使用するインクカートリッジであって、前記インク供給口の大きさを、前記ニードルが前記インク供給口に挿入される箇所の範囲を全て包含する大きさに設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明のインク記録装置は、インクカートリッジが装着可能で、且つインクカートリッジを装着した際にインクカートリッジのインク供給口に挿入可能なニードルが設けられている接続部を備えたインクカートリッジホルダを複数有するインク記録装置であって、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が、各インクカートリッジホルダ毎に異なるように、前記接続部をインクカートリッジホルダに取り付けた。このことにより、前記インクカートリッジのインク供給口に前記ニードルを繰り返し挿入した場合、挿入した前記インクカートリッジホルダ毎に異なる場所に挿入されるため、前記インク供給口の同一箇所に前記ニードルが挿入されることが少なくなり、前記インク供給口の劣化を遅らせることが可能となる。
【0015】
請求項2に係る発明のインク記録装置は、請求項1に記載の発明の効果に加え、前記各インクカートリッジホルダにおける前記ニードルが前記インク供給口に挿入される位置の間隔が、前記ニードルの直径よりも大きくなるように、前記ニードルが設けられている前記接続部を前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことにより、前記インク挿入口に挿入された前記ニードルの挿入跡が、互いに繋がってしまって大きな穴になり、そこからインクカートリッジホルダ中の液が漏れ出ることを防止することが可能となる。
【0016】
請求項3に係る発明のインク記録装置は、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、前記接続部をニードル及び基部とから構成すると共に、前記各インクカートリッジホルダ毎に、前記基部上での前記ニードルの位置がそれぞれ異なる前記接続部を、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことにより、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記接続部を前記インクカートリッジホルダに取り付けることが可能となり、前記インク供給口の劣化を遅らせることが可能となる。
【0017】
請求項4に係る発明のインク記録装置は、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、前記接続部を、基部とその基部の中心に対し基部の外周へ偏った箇所に設けられたニードルとから構成すると共に、前記接続部を前記各インクカートリッジホルダ毎にそれぞれ異なった角度にて取り付けたことにより、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記接続部を前記インクカートリッジホルダに取り付けることが可能となり、前記インク供給口の劣化を遅らせることが可能となる。
【0018】
請求項5に係る発明のインク記録装置は、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、前記接続部をニードル及び基部とから構成すると共に、前記ニードルの位置が、各インクカートリッジホルダ毎に前記インク供給口に挿入される範囲内で異なるように前記基部の取り付け位置をずらして、前記接続部を前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことにより、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記ニードルを前記インクカートリッジホルダに取り付けることが可能となり、前記インク供給口の劣化を遅らせることが可能となる。
【0019】
請求項6に係る発明のインクカートリッジは、インクカートリッジを装着した際にインクカートリッジのインク供給口に挿入可能なニードルが設けられている接続部をそれぞれ備えた複数のインクカートリッジホルダを有し、前記ニードルが前記インク供給口に挿入される箇所が、各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記接続部をインクカートリッジホルダに取り付けたインク記録装置において使用するインクカートリッジであって、前記インク供給口の大きさを、前記ニードルが前記インク供給口に挿入される箇所の範囲を全て包含する大きさに設定したことにより、各インクカートリッジホルダ毎に前記ニードルの設けられている位置が異なっても、確実に前記インク供給口に前記ニードルを挿入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のインク記録装置の第1実施形態における全体構成の概略図である。
【図2】第1実施形態のインク記録装置が備えるインクカートリッジホルダに接続した状態のインクカートリッジの縦断正面図である。
【図3】第1実施形態のインク記録装置が備えるインクカートリッジホルダに取り付けられている接続部の正面図(a)、側面図(b)である。
【図4】接続部がインクカートリッジホルダの当接板に取り付けられている様子を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図5】第1実施形態のインク記録装置に用いるインクカートリッジの縦断正面図(a)、平面図(b)、側面図(c)である。
【図6】第1実施形態の、インクカートリッジホルダに設けられる接続部のうち1種を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図7】第1実施形態の、インクカートリッジホルダに設けられる接続部のうち1種を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図8】第1実施形態の、インクカートリッジホルダに設けられる接続部のうち1種を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図9】第1実施形態の、インクカートリッジホルダに設けられる接続部のうち1種を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図10】第1実施形態の、インクカートリッジホルダの斜視図である。
【図11】第1実施形態の、4つのインクカートリッジホルダの全てに挿入したインクカートリッジの様子を示す図である。
【図12】第1実施形態の、ニードルの直径及び配置位置と、インク供給口の直径との関係を示す図である。
【図13】第2実施形態の、インクカートリッジホルダに設けられる接続部を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図14】第2実施形態の、インクカートリッジホルダの当接板を示す図である。
【図15】第2実施形態の、インクカートリッジホルダの斜視図である。
【図16】第2実施形態の、4つのカートリッジホルダの全てに挿入したインクカートリッジの様子を示す図である。
【図17】第2実施形態の、ニードルの直径及び配置位置と、インク供給口の直径との関係を示す図である。
【図18】第3実施形態の、インクカートリッジホルダに設けられる接続部を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図19】第3実施形態の、インクカートリッジホルダの当接板を示す図である。
【図20】第3実施形態の、インクカートリッジホルダの斜視図である。
【図21】第3実施形態の、インクカートリッジホルダの当接板に接続部が取り付けられた様子を示す図である。
【図22】第3実施形態の、4つのインクカートリッジホルダの全てに挿入したインクカートリッジの様子を示す図である。
【図23】第3実施形態の、ニードルの直径及び配置位置と、インク供給口の直径との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明のインク記録装置の一実施形態の構成について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本発明のインク記録装置1の全体構成を示す概略図である。図2は、本発明のインク記録装置1が備えるインクカートリッジホルダ40に接続した状態のインクカートリッジ61の縦断正面図である。図3は、接続部50の正面図(a)及び側面図(b)である。図4は、接続部50がインクカートリッジホルダ40の当接板42に取り付けられている様子を示す正面図(a)、側面図(b)である。図5は、インクカートリッジ61の縦断正面図(a)、平面図(b)、側面図(c)である。
【0022】
図1は、インク記録装置1の構成の概略を示す。インク記録装置1のフレーム11は、ほぼ矩形枠状に構成され、このフレーム11上には、ほぼ中央部を前後(Y)方向(副走査方向)に延びるY方向スライドレール13が設けられている。このY方向スライドレール13には、図示しない被印刷媒体(Tシャツ等の布帛や紙等)を保持するための被印刷媒体支持台15が、前後方向(Y方向)にスライド可能に支持されている。この被印刷媒体支持台15は、被印刷媒体支持台駆動モータ16やベルト伝達機構等からなる被印刷媒体支持台駆動機構により、前後方向(Y方向)に自在に移動されるようになっている。
【0023】
フレーム11上の後部側部分には、被印刷媒体支持台15よりもやや上方に持ちあがった状態で、左右(X)方向(主走査方向)に延びるX方向スライドレール17が設けられている。このX方向スライドレール17には、印刷キャリッジ18が、左右方向(X方向)にスライド可能に支持されており、印刷キャリッジ18の下方には、インクジェットヘッド20が、印刷に使用する色数だけ設けられている。本実施例の場合、インクジェットヘッドは4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に使用する4台が設けられている。この印刷キャリッジ18は、キャリッジ駆動モータ19やベルト伝達機構等からなるキャリッジ駆動機構により、左右方向(X方向)に自在に移動されるようになっている。
【0024】
詳しい図示及び説明は省略するが、インクジェットヘッド20は、後述するインク供給装置から、各ヘッド毎に1種のインクが供給されるようになっており、その下面側に、図示しない複数個のノズルを配列して構成されている。そして、圧電素子の駆動によって圧力室内のインクを各ノズルから液滴として下向きに吐出させ、被印刷媒体支持台15上の被印刷媒体に対する印刷を行うように構成されている。
【0025】
なお、使用されるインクの色については、先にあげた4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)には限定されず、例えば白色インクでもよい。また、インクジェットヘッドの数は使用するインクの色数には限定されず、例えば、複数のヘッドを同じ色のインクで使用するような構成でもよい。
【0026】
また、フレーム11上には、インクジェットヘッド20の右側(右端側)に位置して、クリーニング機構21が設けられ、インクジェットヘッド20の左側(左端側)に空吐出用のインク受け22が設けられている。クリーニング機構21は、インクジェットヘッド20の下面側を吸引し、各ノズル内のゴミ、気泡等をインクとともに強制的に吐出させて取り除くために設けられている。インクに代えて、無色のインクの様な液体であるインクジェットヘッド洗浄液をインク供給装置に取り付けられたインクカートリッジから供給することで、クリーニング機構21は、より効果的にインクジェットヘッド20のクリーニングを行うことができる。一方、インク受け22は、ノズル内のインクの乾燥による増粘防止のために、インクジェットヘッド20からから吐出されるインクを受けるためのものである。
【0027】
なお、図示しないが、このインク記録装置1には、マイクロコンピュータ等から構成される制御装置が設けられており、インク記録装置1の各機構は、この制御装置により制御される。これにより、所定の印刷データに基づき、被印刷媒体に対するカラー印刷が実行される。
【0028】
そして、フレーム11の左側部には、インク供給装置30が設けられている。このインク供給装置30は、4個(4色分)のインクカートリッジ61が前後方向に並んで各々交換可能にセットされる4つのインクカートリッジホルダ40、及び各インクカートリッジホルダ40からインクジェットヘッド20(印刷キャリッジ19)までインクを流通させる4本のインク供給チューブ32から構成される。
【0029】
インクカートリッジホルダ40は、図2に示すように、インクカートリッジ61が載置される水平な載置台41と、この水平な載置台41から上方に垂直に立ち上がり、インクカートリッジ61の先端壁(図2で右側面)が当接される当接板42と、この当接板42に設けられ、インクカートリッジ61がインクカートリッジホルダ40にセットされた状態で、インクカートリッジ61に着脱可能に接続される接続部50と、当接板42の上端部から水平方向に延びインクカートリッジ61の上面を受ける上板43と、インクカートリッジ61の長手方向両側面部(図2で前後の側面部)をガイドするための側部案内板(図示せず)を備えて構成される。
【0030】
つまり、このインクカートリッジホルダ40は、図2で左側面が開放した箱状形態をなし、インクカートリッジ61は、この開放部分から矢印46方向に挿入されることによりセットされるようになっている。また、インクカートリッジ61を矢印46と反対方向に引き出せば、インクカートリッジホルダ40から取り外すことができる。
【0031】
接続部50は、図3に示す通り、鍔部54、ネジ山部56、チューブ接続部57を有する基部53、及びニードル51から構成される。
【0032】
鍔部54は、薄い円盤状の形状をしており、その円周の一部は直線状に切り取られた形状とした位置決め部55となっている。鍔部54の一側面(図3(a)では左側面)には中空状のニードル51が設けられている。
【0033】
ニードル51には、後述するインクカートリッジ61のインク供給口65に挿入された際にインクをインクカートリッジから流出させる孔52が設けられている。また、ニードル51の内部には孔52と連通しているインク流路58が設けられている。更にこのインク流路58は、基部53の内部を貫通するインク流路59と連通している。
【0034】
ニードル51は当接板42からインクカートリッジホルダ40の内側(図2で左側)に突出するように設けられている。このニードル51が、後述するインクカートリッジ61のインク供給口65の中空部65aに挿入されることによってインクが孔52からニードル51に設けられたインク流路58、及び基部53に設けられたインク流路59を通り、インクカートリッジ61外部へ導出される。
【0035】
ネジ山部56は円筒状をしている。ネジ山部56の直径は、鍔部54の直径より小さく形成されている。また、ネジ山部56の長さは、インクカートリッジホルダ40の当接板42の厚みより長く形成されている。ネジ山部56の、鍔部54と反対側の面(図3(a)では右側面)には円筒状のチューブ接続部57が設けられており、インク供給チューブ32はここに接続される。
【0036】
一方、図4に示すように、インクカートリッジホルダの当接板42の中央付近の、挿入されたインクカートリッジ61のインク供給口(後述)に当接する位置には、円形の孔である当接板開口部44が接続部50を狭着固定可能なように設けられている。また、当接板開口部44の下方には、矩形形状の位置決めピン45が設けられている。
【0037】
接続部50は、インクカートリッジホルダ40の当接板開口部44を通して、そのニードル51、及び鍔部54はインクカートリッジホルダ40の内側に、ネジ山部56及びチューブ接続部57は外側になるように、インクカートリッジホルダ40の当接板42を狭着固定して取り付けられている。その際、鍔部54は当接板42に密着するようにし、鍔部54に設けられた位置決め部55と、当接板42に設けられた位置決めピン45を当接させることで、取り付け場所が決められている。ナット48はネジ山部56とネジ嵌合し、鍔部54と当接板42を挟み込んでいる。
【0038】
次に、インクカートリッジ61について、図5を使用して説明する。インクカートリッジ61は、薄型矩形箱状をなし、例えばプラスチックでできたケース62内に、インクパック63を収容して構成される。このインクパック63は、インクが収容される可撓性のあるインク袋64に、インクを取り出すためのインク供給口65を設けて構成される。
【0039】
インク袋64は、本実施形態では平袋状をしているが、ケース62に収納できればどのような形状でも可能である。本実施形態では、可撓性のある2枚の透明プラスチックフィルムを重ね、周囲部(四辺部)を熱シールすることで構成されており、その内部にはインクカートリッジの場合はインク、洗浄液のカートリッジの場合は洗浄液が充填されている。
【0040】
インク供給口65は、例えばPP、PE等の樹脂成型品からなり、中空部65aを有する本体部の基端側(図5(b)で左端側)に、左方に延びる連結部65bを一体に有して構成されている。本体部は、ほぼ円筒状をなすとともに、その先端部(図5(b)で右端部)の外形が比較的大型の矩形ブロック状とされている。中空部65aは、本体部の先端側で円形に開口するテーパ状に形成されており、この開口部分が薄型円筒状をなすゴム栓65cによりふさがれている。また、中空部65a内の開口部と反対側にはフィルタ65dが設けられている。更に、本体部の下面側には、ケース62中でのインク供給口65の位置決めを行うための突片部65eが一体に設けられている。
【0041】
インク供給口65の連結部65bは、比較的平たく形成されるとともに、左右(図5(b)の上下方向)に延びて、中空部65aに連通される細径の連通孔を有して構成されている。この連結部65bは、インク袋64の一方の短辺(先端側の辺)の中央部に固着されるようになっており、このことによりインク袋64とインク供給口65は一体のインクパック63として構成される。この時、インク袋64内とインク供給口65の中空部65aとが連通孔によって連通され、インクがフィルタ65dを介してインク供給口65の中空部65a内に流通される。
【0042】
ケース62は、インクパック63よりもやや大きい矩形形状に形成される。その先端壁の中央部には、インク供給口65の先端部が臨む円形の開口62aが形成されている。ケース62の内底面62dの開口62a近傍には、インク供給口65の突片部65eが嵌合されて位置決めされる矩形状の位置決め穴62bが形成されている。さらに、ケース62内の先端部には、インク供給口65を上方から押圧固定され、インク供給口65の先端部分を背面側から係止して固定状態とする保持部材62c(図5(a)、(c)のみに図示)が一体に設けられている。
【0043】
このように構成されたケース62に対し、インクパック63は、インク袋64がケース62の内底面62dに載置された状態で、インク供給口65の突片部65eが位置決め穴62bに嵌合される。インク供給口65は、保持部材62cによって上方及び背面側(図5(b)で左側)に移動しないように保持されて収容される。これにより、インク供給口65の先端面(ゴム栓65cで塞がれた開口部)が開口62aから露呈した状態で、インク供給口65が、位置決め穴62bや保持部材62c等からなるインク供給口保持部により保持される。また、ケース62の内底面62dが、インク袋64が載置されるほぼ水平な載置面となる。
【0044】
以上のように構成されたインクカートリッジ61がインクカートリッジホルダ40にセットされると、接続部50のニードル51が、ケース62の開口62aを通してインク供給口65のゴム栓65cに刺さり、ゴム栓65cを貫通してその先端部(孔52を有する部分)がインク供給口65の中空部65aに挿入されるようになっている。これによって、インク袋64内のインクが、インク供給口65、接続部50、インク供給チューブ32を流通してインクジェットヘッド20に供給される。
【0045】
なお、インクカートリッジ61は、インク記録装置1にて使用されるインクの色数と同じ数の種類があり、本実施例の場合は4種類(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のインクカートリッジ61を、それぞれの色を使用するインクジェットヘッド20と接続されたインクカートリッジホルダ40に挿入して使用する。また、インクジェットヘッド洗浄液を使用してインクジェットヘッド20を洗浄する際には、インクジェットヘッド洗浄液が充填された同一のインクカートリッジ61を4つのインクカートリッジホルダ40にそれぞれ順に挿入して使用する。
【0046】
次に、接続部50付近の構成について本発明の第1実施形態を図6乃至12を用いて詳細に説明する。図6乃至図9は、インクカートリッジホルダ40a〜40dに取り付けられている接続部50a〜50dを示す図であり、それぞれ(a)が正面図、(b)が側面図である。図10は、インクカートリッジホルダ40a〜40dの斜視図である。図11は、インクカートリッジホルダ40a〜40dの全てに挿入した、洗浄液が充填されたインクカートリッジ61の様子を示す図である。図12は、ニードル51の直径及び配置位置と、インク供給口65の直径との関係を示す図である。
【0047】
本実施形態では、4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dに対し、それぞれ形状の異なる接続部50a〜50dが取り付けられている。これらの接続部50a〜50dそれぞれの形状の違いは、図6乃至図9に示されるように、位置決め部55に対するニードル51の位置の違いである。各図において、接続部50a〜50dの位置決め部55を図面下側に配置して説明すると、インクカートリッジホルダ40aに設けられる接続部50aにおいては、ニードル部51は、接続部50の位置決め部55の上方に位置する基部53の中心点Oを挟んださらに上方の、円周方向に偏った位置にて基部53に設けられている。また、インクカートリッジホルダ40bに設けられる接続部50bにおいては、ニードル51は、接続部50bの位置決め部55の上方に位置する基部53の中心点Oよりも後方(図7(b)では左側)の円周方向に偏った位置にて基部53に設けられている。また、インクカートリッジホルダ40cに設けられる接続部50cにおいては、ニードル51は、接続部50cの位置決め部55の上方に位置する基部53の中心点Oよりも、位置決め部55側の円周方向に偏った位置にて基部53に設けられている。また、インクカートリッジホルダ40dに設けられる接続部50cにおいては、ニードル51は、接続部50dの位置決め部55の上方に位置する基部53の中心点Oよりも前方(図9(b)では右側)の円周方向に偏った位置にて基部53に設けられている。また、4種類の接続部50a〜50dのニードル51の位置相互間の間隔が、互いに、ニードル51の直径より大きくなるような位置となるように、基部53上にニードル51が設けられている。
【0048】
次に、上述した接続部50a〜50dが取り付けられている4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dの構成について、図10を用いて説明する。インクカートリッジホルダ40a〜40dの当接部42a〜42d上の中央付近の同一位置には、図示しない当接板開口部及び位置決めピン45a〜45dが設けられている。4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dに取り付けられている接続部50a〜50dは、その位置決め部54、当接板開口部44a〜44d及び位置決めピン45a〜45dによって、当接部42a〜42d上に取り付けられる位置が定められている。この際、当接板開口部44a〜44d及び位置決めピン45a〜45dの位置が4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dにおいて同一であるため、接続部50a〜50dは当接板42a〜42d上の同一位置に取り付けられる。接続部50a〜50dは、位置決め部55に対してそれぞれニードル51の設けられている場所が異なる(図6から図9)ため、図10に示す通りニードル51の位置のそれぞれ異なる、4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dが得られる。4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dでのニードル51の位置は、それぞれの当接板42a〜42dを正面視した場合で、インクカートリッジホルダ40aでは、接続部50aの中心より上方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ40bでは、接続部50bの中心より左方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ40cでは、接続部50cの中心より下方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ40dでは、接続部50dの中心より右方に偏った位置となる。
【0049】
本実施形態のインク記録装置1が備える4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dに対し、インクジェットヘッドの洗浄のために、インク袋64中に洗浄液が充填された同一のインクカートリッジ61をインクカートリッジホルダ40a〜40dおのおの1つずつに順に挿入し、インクジェットヘッド40の洗浄を行った際、洗浄液が充てんされたインクカートリッジ61のインク供給口65のゴム栓65cに対して接続部50a〜50dのニードル51が挿入される箇所は、図11に示す通り、インク供給口65のゴム栓65c中心点から上下左右方向に偏っている、異なる4つの挿入箇所71a〜71dとなる。この違いは、4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dに取り付けられている4種類の接続部50a〜50dのニードル51の設けられている場所の違いによる。
【0050】
また、図12に示すように、インクカートリッジ61のインク供給口65のゴム栓65cの直径R1は、これら4つのインクカートリッジホルダ40a〜40dに設けられている接続部50a〜50dのニードル51が挿入可能な大きさである。例えば、直径がrである4つのニードル51が、図12に示した通りに直径rの円周状に配置されるように、接続部50a〜50dがインクカートリッジホルダ40a〜40dに取り付けられているとした場合、数1のような関係が成り立つ。
【0051】
(数1)
R1>r+r
【0052】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図13乃至図17を使用して説明する。第2実施形態のインク記録装置101は、第1実施形態と比べ、使用する接続部の形状、及び接続部のインクカートリッジホルダへの取り付け位置のみが異なっている。そのため、インクカートリッジホルダ140a〜140d以外の構成の説明は省略する。また、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明する。図13は、インクカートリッジホルダ140a〜140dに取り付けられている接続部150を示す図であり、(a)が正面図、(b)が側面図である。図14は、接続部150が取り付けられる前の、インクカートリッジホルダ140a〜140dの当接部142a〜142dを示す図である。図15は、インクカートリッジホルダ140a〜140dを示す斜視図である。図16は、インクカートリッジホルダ140a〜140dの全てに挿入した後の洗浄液が入ったインクカートリッジ61の様子を示す図である。図17は、ニードル151の直径及び配置位置と、インク供給口65の直径との関係を示す図である。
【0053】
第2実施形態のインク記録装置101が備える4つのインクカートリッジホルダ140a〜140d(全てのインクカートリッジホルダを総称する場合、インクカートリッジホルダ140と記す)は、当接板142a〜142d(全ての当接板を総称する場合、当接板142と記す)の構成、及び接続部150のみが第1実施形態のインク記録装置1が備えるインクカートリッジホルダ40と異なる。その他の構成については説明を省略する。
【0054】
第2実施形態のインク記録装置101が備えるインクカートリッジホルダ140に取り付けられている接続部150は、図13に示す通り、基部153(鍔部154、位置決め部155、ネジ山部156、チューブ接続部157)、ニードル151、から構成される。基部153については、それぞれ第1実施形態の接続部50を構成している基部53と同様であるので、説明は省略する。
【0055】
ニードル151は第1実施形態の接続部50に設けられているニードル51と同様に中空形状をなし、先端側に孔152を有する。ニードル151は、接続部150の位置決め部155の上方に位置する基部153の中心点Pよりも前方(図13(b)では右側)の円周方向に偏った位置にて基部153に設けられている。
【0056】
本実施形態では、4つのインクカートリッジホルダ140a〜140dに対し、同一の接続部150が取り付けられる。
【0057】
本実施形態では、図14に示す通り、インクカートリッジホルダ140a〜140dの当接板142a〜142dに設けられている位置決めピン145a〜145dの位置がそれぞれ異なっている。具体的には、インクカートリッジホルダ140aの当接板142aに設けられている位置決めピン145aは、当接板開口部144aの前方(図14(a)では右方)に、上下方向に長辺が位置するように設けられている。また、インクカートリッジホルダ140bの当接板142bに設けられている位置決めピン145bは、当接板開口部144bの上方に、前後方向(図14(c)では左右方向)に長辺が位置するように設けられている。また、インクカートリッジホルダ140cの当接板142cに設けられている位置決めピン145cは、当接板開口部144cの後方(図14(c)では左方)に、上下方向に長辺が位置するように設けられている。また、インクカートリッジホルダ140dの当接板142dに設けられている位置決めピン145dは、当接板開口部144dの下方に、前後方向(図14(c)では左右方向)に長辺が位置するように設けられている。なお、当接板開口部144a〜144dの位置は、互いに同じ位置となっており、位置決めピン145a〜145dの位置のみが異なっている。
【0058】
接続部150は、インクカートリッジホルダ140a〜140dの当接板開口部144a〜144dを通して、そのニードル151、及び鍔部154はインクカートリッジホルダ140a〜140dの内側に、ネジ山部156及びチューブ接続部157は外側になるように、インクカートリッジホルダ140a〜140dの当接板142a〜142dを狭着固定して取り付けられている。その際、鍔部154は当接板142に密着するようにし、鍔部154に設けられた位置決め部155と、当接板142a〜142dに設けられた位置決めピン145a〜145dを当接させることで、取り付け場所が決められている。ナット48はネジ山部156とネジ嵌合し、鍔部154と当接板142を挟み込んでいる。本実施形態では、位置決めピン145a〜145dの位置が異なるため、当接させる接続部150の位置決め部154の位置は、各インクカートリッジ140a〜140d毎に異なる。よって、接続部150が当接板142a〜142dに取り付けられる向きは、各インクカートリッジホルダ140a〜140d毎に、図15に示すように異なっている。取り付けられた接続部150は4つのインクカートリッジホルダ140a〜140dで共通なので、その取り付け向きが異なることにより、各インクカートリッジホルダ140a〜140d毎に、ニードル151の位置が異なっていることになる。具体的には、4つのインクカートリッジホルダ140a〜140dでのニードル151の位置が、それぞれの当接板142a〜142dを正面視した場合で、インクカートリッジホルダ140aでは、上方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ140bでは、左方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ140cでは、下方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ140dでは、右方に偏った位置となる。
【0059】
また、各インクカートリッジホルダ140a〜140dに取り付けられている接続部150のニードル151の位置相互間の間隔は、互いに、ニードル151の直径より大きくなるような位置となるように、当接部142上に接続部150を取り付けられるよう、位置決めピン145a〜145dが設けられている。
【0060】
第2実施形態のインク記録装置101が備える4つのインクカートリッジホルダ140a〜140dに対し、インクジェットヘッドの洗浄のために、インク袋64中に洗浄液が充填された同一のインクカートリッジ61をインクカートリッジホルダ140a〜140dおのおの1つずつに順に挿入し、インクジェットヘッド20の洗浄を行った際、洗浄液が充填されたインクカートリッジ61のインク供給口65のゴム栓65cに対して接続部50のニードル151が挿入される箇所は、図16に示す通り、インク供給口65のゴム栓65c中心点から上下左右方向に偏っている、異なる4つの挿入箇所171a〜171dとなる。この違いは、4つのインクカートリッジホルダ140a〜140dに取り付けられている接続部150の取り付けられている向きの違いに由来するニードル151の位置の違いによる。
【0061】
また、インクカートリッジ61のインク供給口65のゴム栓65cの直径R2は、これら4つのインクカートリッジホルダ140a〜140dに設けられている接続部150のニードル151が挿入可能な大きさである。例えば、直径がrである4つのニードル151が、図17に示した通りに直径rの円周状に配置されるように、接続部150a〜150dがインクカートリッジホルダ140a〜140dに取り付けられているとした場合、数2のような関係が成り立つ。
【0062】
(数2)
R2>r+r
【0063】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を、図18乃至図23を使用して説明する。第3実施形態のインク記録装置201は、第1の実施形態と比べ、使用する接続部の形状、及び接続部のインクカートリッジホルダへの取り付け位置のみが異なっている。そのため、インクカートリッジホルダ240a〜240d以外の構成の説明は省略する。また、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明する。図18は、インクカートリッジホルダ240a〜240dに取り付けられている接続部250を示す図であり、(a)が正面図、(b)が側面図である。図19は、接続部250が取り付けられる前の、インクカートリッジホルダ240a〜240dの当接部242a〜242dを示す図である。図20は、インクカートリッジホルダ240a〜240dを示す斜視図である。図21は、インクカートリッジホルダ240a〜240dの当接板242a〜242dに接続部250が取り付けられた様子を示す図である。図22は、インクカートリッジホルダ240a〜240dの全てに挿入したインクカートリッジ61の様子を示す図である。図23は、ニードル251の直径及び配置位置と、インク供給口65の直径との関係を示す図である。
【0064】
第3実施形態のインク記録装置201が備えるインクカートリッジホルダ240a〜240d(全てのインクカートリッジホルダを総称する場合、インクカートリッジホルダ240と記す)は、当接板242a〜242d(全ての当接板を総称する場合、当接板242と記す)の構成、及び接続部250のみが第1実施形態のインク記録装置1が備えるインクカートリッジホルダ40と異なる。その他の構成については説明を省略する。
【0065】
第3実施形態のインク記録装置201が備えるインクカートリッジホルダ240a〜240dに取り付けられている接続部250は、図18に示す通り、基部253(鍔部254、位置決め部255、ネジ山部256、チューブ接続部257)、ニードル251256から構成される。基部253については、それぞれ第1実施形態の接続部50を構成している基部53と同様であるので、説明は省略する。
【0066】
ニードル251は第1実施形態の接続部50に設けられているニードル51と同様に中空形状をなし、先端側に孔252を有する。ニードル251が基部253に設けられている位置は、位置決め部255の上方に位置する、基部253の中心点Qである。
【0067】
本実施形態では、4つのインクカートリッジホルダ240a〜240dに対し、同一の接続部250が取り付けられる。
【0068】
第3実施形態では、インクカートリッジホルダ240a〜240dの当接板242a〜242dに設けられている当接板開口部244a〜244dの位置、及びその下方に設けられている位置決めピン245a〜245dの位置がそれぞれ異なっている。具体的には、インクカートリッジ61を挿入した際に、インク供給口65が当接する領域を領域Aとした際に、インクカートリッジホルダ240aの当接板242aに設けられている当接板開口部244aは、その中心点x1が領域Aに含まれ、かつ領域A内において上方に偏った位置となるようにして開口され、位置決めピン245aはその下方に設けられる。また、インクカートリッジホルダ240bの当接板242bに設けられている当接板開口部244bは、その中心点x2が領域Aに含まれ、かつ領域A内において後方(図19では左方)に偏った位置となるようにして開口され、位置決めピン245bはその下方に設けられる。また、インクカートリッジホルダ240cの当接板242cに設けられている当接板開口部244cは、その中心点x3が領域Aに含まれ、かつ領域A内において下方に偏った位置となるようにして開口され、位置決めピン245cはその下方に設けられる。また、インクカートリッジホルダ240dの当接板242dに設けられている当接板開口部244dは、その中心点x4が領域Aに含まれ、かつ領域A内において前方(図19では右方)に偏った位置となるように開口され、位置決めピン245dはその下方に設けられる。
【0069】
接続部250は、インクカートリッジホルダ240a〜240dの当接板開口部244a〜244dを通して、そのニードル251、及び鍔部254はインクカートリッジホルダ240a〜240dの内側に、ネジ山部256及びチューブ接続部257は外側になるように、インクカートリッジホルダ240a〜240dの当接板242a〜242dを狭着固定して取り付けられている。その際、鍔部254は当接板242に密着するようにし、鍔部254に設けられた位置決め部255と、当接板242a〜242dに設けられた位置決めピン245a〜245dを当接させることで、取り付け場所が決められている。ナット48はネジ山部256とネジ嵌合し、鍔部254と当接板242を挟み込んでいる。当接部開口部244a〜244d及び位置決めピン245a〜245dの位置が異なるため、接続部250の取り付け位置は各インクカートリッジ240a〜240d毎に異なる。取り付けられた接続部250は4つのインクカートリッジホルダ240a〜240dで共通なので、ニードル251の位置も各インクカートリッジ240a〜240d毎に異なる。具体的には、図21に示す通り、インクカートリッジ61が挿入された際に、インク供給口65が当接する領域A内において、4つのインクカートリッジホルダ240a〜240dでのニードル251の位置は、それぞれの当接板242a〜242dを正面視した場合で、インクカートリッジホルダ240aでは、上方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ240bでは、左方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ240cでは、下方に偏った位置となり、インクカートリッジホルダ240dでは、右方に偏った位置となる。
【0070】
また、各インクカートリッジホルダ240a〜240dに取り付けられている接続部250のニードル251の位置相互間の間隔は、互いに、ニードル251の直径より大きくなるような位置となるように当接部242上に接続部250を取り付けられるよう、当接板開口部244a〜245d及び位置決めピン245a〜245dが設けられている。
【0071】
第3実施形態のインク記録装置201が備える4つのインクカートリッジホルダ240a〜240dに対し、インクジェットヘッドの洗浄のために、インク袋64中に洗浄液が充填された同一のインクカートリッジ61をインクカートリッジホルダ240a〜240dおのおの1つずつに順に挿入し、インクジェットヘッド20の洗浄を行った際、洗浄液が充填されたインクカートリッジ61のインク供給口65のゴム栓65cに対して接続部250のニードル251が挿入される箇所は、図22に示す通り、インク供給口65のゴム栓65c中心点から上下左右方向に偏っている、異なる4つの挿入箇所271a〜271dとなる。この違いは、4つのインクカートリッジホルダ240a〜240dに取り付けられている接続部150の取り付けられている位置の違いによるニードル251の位置の違いによる。
【0072】
また、インクカートリッジ61のインク供給口65のゴム栓65cの直径R2は、これら4つのインクカートリッジホルダ240a〜240dに設けられている接続部250のニードル251が挿入可能な大きさである。例えば、直径がrである4つのニードル251が、図23に示した通りに直径rの円周状に配置されるように、接続部250a〜250dがインクカートリッジホルダ240a〜240dに取り付けられているとした場合、数3のような関係が成り立つ。
【0073】
(数3)
R3>r+r
【符号の説明】
【0074】
1 インク記録装置
30 インク供給装置
32 インク供給チューブ
40 (40a〜40d) インクカートリッジホルダ
42 (42a〜42d) 当接板
45 (45a〜45d) 位置決めピン
50 (50a〜50d) 接続部
51 ニードル
53 基部
54 位置決め部
61 インクカートリッジ
140 (140a〜140d) インクカートリッジホルダ(第2実施形態)
142 (142a〜142d) 当接板(第2実施形態)
145a〜145d 位置決めピン(第2実施形態)
150 接続部(第2実施形態)
151 ニードル(第2実施形態)
153 基部(第2実施形態)
154 位置決め部(第2実施形態)
240 (240a〜240d) インクカートリッジホルダ(第3実施形態)
242 (242a〜242d) 当接板(第3実施形態)
245a〜245d 位置決めピン(第3実施形態)
250 接続部(第3実施形態)
251 ニードル(第3実施形態)
253 基部(第3実施形態)
254 位置決め部(第3実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクカートリッジが装着可能で、且つインクカートリッジを装着した際にインクカートリッジのインク供給口に挿入可能なニードルが設けられている接続部を備えたインクカートリッジホルダを複数有するインク記録装置であって、
前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が、各インクカートリッジホルダ毎に異なるように、前記接続部をインクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とするインク記録装置。
【請求項2】
前記各インクカートリッジホルダにおける前記ニードルが前記インク供給口に挿入される位置の間隔が、前記ニードルの直径よりも大きくなるように、前記ニードルが設けられている前記接続部を前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のインク記録装置。
【請求項3】
前記接続部をニードル及び基部とから構成すると共に、前記各インクカートリッジホルダ毎に、前記基部上での前記ニードルの位置がそれぞれ異なる前記接続部を、前記ニードルの前記インク供給口に挿入される箇所が各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインク記録装置。
【請求項4】
前記接続部を、基部とその基部の中心に対し基部の外周へ偏った箇所に設けられたニードルとから構成すると共に、前記接続部を前記各インクカートリッジホルダ毎にそれぞれ異なった角度にて取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインク記録装置。
【請求項5】
前記接続部をニードル及び基部とから構成すると共に、前記ニードルの位置が、各インクカートリッジホルダ毎に前記インク供給口に挿入される範囲内で異なるように前記基部の取り付け位置をずらして、前記接続部を前記各インクカートリッジホルダに取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインク記録装置。
【請求項6】
インクカートリッジを装着した際にインクカートリッジのインク供給口に挿入可能なニードルが設けられている接続部をそれぞれ備えた複数のインクカートリッジホルダを有し、前記ニードルが前記インク供給口に挿入される箇所が、各インクカートリッジホルダ毎に異なるように前記接続部をインクカートリッジホルダに取り付けたインク記録装置において使用するインクカートリッジであって、
前記インク供給口の大きさを、前記ニードルが前記インク供給口に挿入される箇所の範囲を全て包含する大きさに設定したことを特徴とするインクカートリッジ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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