説明

インジケーター

本発明は、基板と、基板に製造される光回折格子構造とを含むインジケーターに関し、回折格子構造は、結合剤および潮解性塩を含み、水分の影響によって体積を変化させる、インジケーター材料から形成される。さらに、本発明は、基板が、光回折格子構造を形成するインジケーター材料によってコーティングされ、光回折格子構造が基板に製造されるインジケーターを製造するための方法、ならびに質および/または信頼性を検出するためのインジケーターの使用に関する。さらに、本発明は、パッケージを分解せずに水分によって誘発される変化を検出するためのパッケージおよび方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジケーター、それを製造するための方法、質および/または信頼性を検出するためのインジケーターの使用、パッケージ、ならびにそのパッケージを分解せずに湿気によって誘導される変化を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージの酸素含有量またはガス組成の漏出、変化、あるいはパッケージ中の製品の損傷を検出するために、色を変化させてパッケージの状態の変化を示すインジケーターを使用することが知られている。例えば、パッケージに導入される酸素または水分の変化、あるいはpHの変化の結果として反応し、色の変化を示す、様々なインジケーターをパッケージに使用することは従来技術から公知である。例えば、特許文献1はパッケージに使用するための様々な漏出インジケーターを記載している。
【0003】
公知のインジケーターに関する問題は、色の変化を含む、単なる化学反応に対するのみのそれらのインジケーターの制限である。
【0004】
特許文献2は、ホログラフィック素子を有し、ホログラフィック媒体に記録される格子またはホログラムを備えるセンサを開示しており、生成されるホログラフィック素子または画像の少なくとも1つの物理的および/または化学的および/または光学的特性は、素子の周囲の空気中の湿気の変化の結果として変化する。水分を検知するホログラムが、水分インジケーターを提供するためにパッケージと組み合わされてもよい。
【0005】
上に示したものに加えて、ホログラムを備えるインジケーターの別の問題は、水分によって誘発される変化は水平であり、色の変化などの物理的および/または化学的特性の変化、ならびに/あるいは裸眼による光学特性の変化を検出することは困難になるということである。なぜなら、それは視角によって影響を受けるからである。さらに、ホログラムはパッケージ/基板に加えられ得る前に別々に製造されなければならない。加えて、色の変化などの物理的および/または化学的特性の変化、ならびに/あるいはホログラムにおける光学特性の変化は通常、可逆的である。変化が反転した後、そのようなインジケーターは、損傷した状態に対する製品の以前の曝露を示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】フィンランド国特許第94802号明細書
【特許文献2】国際公開第2007060648号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、食品、薬物、化粧品または電気製品などのパッケージされた製品の質および/または信頼性を確実に示す、新規の多目的インジケーターを開示することである。インジケーターは、製品パッケージ中の漏出、劣化、不都合な保存状態および/または水分の検出を可能にする。本発明の別の目的は、以前よりも製品の容易な追跡のための新規のインジケーターおよびパッケージを開示することである。本発明の1つの具体的な目的は、上記の問題を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるインジケーターは特許請求の範囲の請求項1に示されるものによって特徴付けられる。
【0009】
本発明によるインジケーターを製造するための方法は、特許請求の範囲の請求項11に示されるものによって特徴付けられる。
【0010】
本発明によるインジケーターの使用は、請求項13に示されるものによって特徴付けられる。
【0011】
本発明によるパッケージは、請求項14に示されるものによって特徴付けられる。
【0012】
パッケージを分解せずに水分によって誘発される漏出を検出するための本発明による方法は、請求項16に示されるものによって特徴付けられる。
【0013】
本発明によるインジケーターは、基板と、基板に製造される光回折格子構造とを含む。光回折格子構造は、結合剤および潮解性塩を含み、水分の影響によって体積を変化させる、インジケーター材料から形成される。光回折格子構造は、加熱プレス、レーザーまたはUVリソグラフィー技術などの任意の公知の製造技術によって製造される。
【0014】
結合剤および潮解性塩を含む、光回折格子構造におけるインジケーター材料は水分と反応し、体積を変化させる。回折格子の寸法の変化により誘発される、回折格子作用の変化および消失は、状態の変化を示す。反応は不可逆である。すなわち回折格子は元に戻らない。
【0015】
結合剤および潮解性塩は、水分の影響によって膨張する水分吸収剤を形成する。
【0016】
潮解性とは、可溶性剤が大気から水蒸気を吸収し、溶液を形成する現象をいう。固体物質から水溶液への状態の遷移は、剤に固有の相対湿度がいわゆる潮解点を越えた場合に生じる。
【0017】
相対大気湿度に依存する水分を吸収または脱着する吸湿性剤、非吸湿性剤、熱の影響によって膨張する剤、および/またはそれらの混合物が結合剤として使用される。結合剤は、インジケーター組成の成分と一緒に結合し、基板にインジケーターを固定する。ポリオレフィン、ハロゲン化ポリビニルなどの熱可塑性ポリマー、アクリル酸スチレンなどのスチレンポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリルポリオール、ポリアクリル酸および/またはアクリレート樹脂などのアクリルポリマー、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、他の鎖ポリマー、例えばポリビニルアルコールおよびその種々のコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、および/またはポリ酢酸ビニルに基づいたポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、スルホポリエステル、ポリケトン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサンならびに/あるいはそれらの混合物が、結合剤として選択されてもよい。熱可塑性ポリマーは、吸湿性または非吸湿性であってもよい。ポリマーは、架橋によってゲル中で調製されてもよい。同様に、水に不溶性のゼラチン型の水分吸収剤、植物由来の等価ゲル化剤、例えばカラギーン、デンプンおよびセルロースなどの植物由来の他の結合剤、例えば改変されたデンプンおよび改変されたセルロース、アガロースおよび他の水分吸収剤、例えばベントナイトおよびシリカゲルが、吸湿性結合剤として使用されてもよい。
【0018】
ポリビニルアルコールまたはそのコポリマー、ポリエステル、ポリケトンおよび/またはそれらの混合物が、好ましくは吸湿性結合剤として使用される。
【0019】
無機塩および/または吸湿性の塩の混合物が潮解性塩として使用される。アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムおよび/またはアンモニウムおよび/または他の等価水分吸収塩のハロゲン化物、硝酸塩および/または炭酸塩が、塩として選択されてもよい。典型的な潮解性塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび/または塩化アンモニウムが挙げられる。
【0020】
塩化カルシウム、塩化カリウムおよび/または塩化アンモニウムは、好ましくは、潮解性塩として使用される。
【0021】
吸湿性結合剤および/または非吸湿性結合剤は、回折格子構造を形成するインジケーター材料中で潮解性塩とともに使用され得る。潮解性塩が回折格子構造に使用される場合、結合剤は吸湿性を必要としない。
【0022】
回折格子パターンの可視性を改良するために、色素、充填剤ならびに/または水分調節剤および軟化剤などのインジケーターに使用される他の添加剤が、回折格子構造を形成するインジケーター材料に加えられてもよい。当該分野において公知の任意の色素、例えば可溶性の酸化および還元色素、pH色素、ならびに/またはそれらの混合物が、色素として使用されてもよい。水分、空気中の酸素、pHおよび/または光の変化の影響によって色を変化させる任意の色素が可能である。そのような色素は、例えばブロムクレゾールグリーン、ニュートラルレッド、メチレンブルーなどから選択され得る。例えば、タルク、酸化チタン、カーボンブラックなどが充填剤として使用されてもよい。水分調節剤または軟化剤としては、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、グリセロール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ソルビトール、エリトルトールならびに/またはそれらの混合物、好ましくは1,3−プロパンジオールが挙げられ得る。
【0023】
回折格子構造を形成するインジケーター材料は、十分に検知でき、明確な体積の変化を提供するように、異なる結合剤および潮解性塩および必要に応じて他の添加剤(例えば色素および充填剤)からの様々な物質の比で製造される。
【0024】
一実施形態において、潮解性塩を、回折格子構造を形成するインジケーター材料中の乾燥物質の5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の量で使用した。利用される基板は、プラスチック、化学パルプおよび/またはガラスおよび/または任意の他の一般に使用されるパッケージ材料に基づいたパッケージ材料から作製され得る。プラスチック材料は、熱可塑性ポリマー、例えばポリエテンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリスチレン、ポリアミドまたはパッケージ材料として一般に使用される任意の他のプラスチック材料ならびに/あるいはそれらの混合物から作製され得る。化学パルプに基づいた材料としては、例えば表面処理された、または表面処理されていない紙、板、熔解パルプに基づいたフィルム材料あるいは化学パルプに基づいた他の材料が挙げられ得る。さらに、基板材料が、ラミネートまたは上記の他の種類の合成物または他の公知のパッケージ材料から形成されてもよい。材料もコーティングされてもよい。基板は、好ましくは、ポリエステルおよびポリオレフィンならびに/あるいはそれらの混合物などの可撓性プラスチック材料から作製される。
【0025】
基板は、パッケージ材料および/またはパッケージに加えられる別の成層である。
【0026】
1つの好ましい実施形態において、インジケーターは、好ましくは、別のポリプロペンおよび/またはポリテレフタレートフィルム上でポリビニルアルコールと塩化カルシウム塩との混合物から製造された加熱プレスされた光回折格子構造を含む、水分インジケーターである。
【0027】
インジケーターは、光回折格子構造を形成し、結合剤および潮解性塩を含み、水分の影響によって体積を変化させる、インジケーター材料で基板をコーティングすることによって製造される。当該分野において公知の任意の塗布、コーティングおよび/またはプレス方法が、基板をコーティングするために使用されてもよい。次いで、光回折格子構造は、回折格子構造を形成するインジケーター材料でコーティングされた基板上に製造される。
【0028】
光回折格子構造は、加熱プレス技術、レーザー技術またはUVリソグラフィー、好ましくは加熱プレスなどの、回折格子を製造するための任意の公知の方法によって製造され得る。
【0029】
コーティングされた基板は乾燥されてもよく、必要な場合、回折格子を製造する前に保存されてもよい。好ましくは、保存は乾燥状態で行われる。
【0030】
加熱プレスは、エンボス加工技術および/または当該分野において公知の任意の他の加熱プレス方法によって実施されてもよい。加熱プレスにおいて、回折格子パターンがインジケーター上にプレスされる。任意のパターンが、光を屈折させる回折格子として製造されてもよい。回折格子パターンは、直線状、円形および/または角度のあるパターンであってもよい。回折格子の変化および/または消失のパターンは、容易に検出可能であり、好ましくは回折格子パターンとして使用される。
【0031】
インジケーターは、パッケージ材料に直接製造することによって形成されてもよい。この場合において、光回折格子構造は、製品をパッケージする時に、またはパッケージする前に、加熱プレス、レーザー技術またはUVリソグラフィーによってパッケージに直接製造されてもよい。
【0032】
インジケーターはまた、パッケージングする時にパッケージに加えられる別の基板成層での加熱プレス、レーザー技術またはUVリソグラフィーによって形成されてもよい。別の基板成層の材料は、上述のパッケージ材料のいずれであってもよい。別のインジケーターは、好ましくは、パッケージに関連してパッケージに容易に付け足されるステッカーおよび/または同等のラベルの形態である。
【0033】
完成された光回折格子構造を含む、パッケージ材料とは別のインジケーター、またはパッケージ材料に加えられるインジケーターは、乾燥状態で保存されなければならない。
【0034】
ほとんどまたは全く水分を通さない材料から作製される湿度に対する保護フィルムもまた、保存する間、使用に導入する前にインジケーターに加えられてもよい。
【0035】
インジケーターはパッケージが閉じられる前にパッケージに加えられ、製品がパッケージされた後にすぐに反応する。パッケージに加えられたインジケーターは、例えばパッケージを開口または分解することに起因する、外部からパッケージにもたらされた湿気と反応し、光回折格子作用の変化によって水分に対するパッケージの曝露を示す。インジケーターは、パッケージを分解することに起因して中に入った水分と反応し、漏出を示す。インジケーターはまた、製品の高い保存温度と反応してもよい。
【0036】
パッケージは、好ましくは、食品、薬物、化粧品または電気製品をパッケージするために使用されてもよい。
【0037】
パッケージおよびインジケーターにおいて、光回折格子構造のインジケーター材料は、水分と反応し、体積を変化させる。回折格子作用の変化および消失は、湿度の変化を示す。回折格子作用の変化は、パッケージを分解せずに、光または他の走査技術によって、視覚的に検出されてもよいか、または自動的に走査されてもよい。
【0038】
水分の影響によって変化する情報はまた、視覚的効果を高めるためにインジケーター上で、印刷用インクで印刷されてもよい。
【0039】
インジケーターは、好ましくは、質、正確な保存状態および/または製品の信頼性を検出するために、食品、薬物、化粧品および電気製品のためのパッケージ中で使用される。質とは、例えば、製品パッケージが損なわれてないこと、およびそれらの密閉ならびに例えば湿気に対する適切な保存状態を指す。インジケーターはまた、ポスター、ステッカー、封筒、ゲームおよび販売促進の有効な手段として、またはそれらの信頼性を示すために他の等価製品に使用されてもよい。
【0040】
本発明は、パッケージング後に直接使用し、かつ操作しやすく、信頼できる不可逆反応に基づく、簡単な多目的インジケーターの製造を可能にする。さらに、本発明によるインジケーターの視覚効果および色は容易に変更されてもよい。さらに本発明によるインジケーターによって、製品は、すでに実施済みのその製造プロセスの間の製品の信頼性/起源を示す機能特性とともに提供されてもよく、効果が後で製品に加えられてなくてもよい。インジケーターは、健康に対して完全に無害の成分から製造され得る。また、本発明によるインジケーターの組成および連続生産は、費用が十分に手頃である。
【0041】
以下の段落において、本発明は例示的な実施形態によって詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は本発明によるインジケーターを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、食品、薬物、化粧品または電気製品のパッケージに加えられ得るインジケーター1の一部を示す。インジケーターは、通常、パッケージ材料、例えばポリプロペンまたは他のポリオレフィン、ポリテレフタレートまたは他のポリエステル、あるいはそれらの組み合わせおよび/または混合物である基板2からなる。さらに、インジケーターは、基板の表面上に加熱プレスされる光回折格子構造3からなる。水分インジケーターにおいて、光回折格子構造のインジケーター材料は、吸湿性ポリマー(例えばポリビニルアルコール(これは熱可塑性材料であるので、格子パターンがその上に加熱プレスされ得る))と、潮解性塩(例えば塩化カルシウム溶液または他の塩化物塩)との混合物からなる。混合物はまた、色素、水分調節因子ならびに/または軟化剤および充填剤を含んでもよい。本発明に従って製造された加熱プレスされたインジケーターは多数の等間隔の格子を構成し、互いからの距離4(つまり格子周期)および格子の高さ4は、通常、約100〜700ナノメートルの範囲であるが、数ナノメートルの範囲であってもよい。吸湿性ポリマーおよび潮解性塩は、相対大気湿度に応じて大気から水分を吸収する。固体物質から水溶液への塩化カルシウムの遷移は、相対湿度が約40%である潮解点を越えた場合に生じる。塩化カルシウムは飽和点に到達するまで多くの水和形態を示し、その後、飽和溶液を形成する。増加した湿度により、インジケーター材料の体積が膨張するため、格子の隙間の寸法が変化するとすぐ、光回折格子構造において可視化でき、隙間は最終的に消失する。これにより、特定の範囲を越えた湿度の増加が示される。反応は不可逆的である。
【0044】
インジケーターの格子パターンの消失は、製品が、例えば店の棚で大気湿度に曝露されていることを消費者に示す。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
インジケーターの結合剤および塩の適合性を調べるために試験を実施した。以下の塩を、潮解性塩として使用した。
液化する湿度
CaCl 約40
MgCl 約40
NHCl 60〜80%
NaCl 75%
KCl 80〜90%
【0046】
ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリケトン、アクリルポリオール、スルホポリエステル、市販の重合体エマルション、アクリル酸スチレン重合体エマルションおよびアクリレート樹脂を結合剤として使用した。
【0047】
適合可能な結合剤および塩を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
(実施例2)
相対湿度でのインジケーターの光回折効果の変化に対するインジケーターの結合剤および塩の組成の効果を調べるために試験を実施した。
【0050】
塩および結合剤の2つの組み合わせをこの試験に用いた。
I:CaClおよびポリケトン結合剤ならびに
II:CaClおよびポリビニルアルコール結合剤。
これらをインジケーター溶液中に調製し、ロッドアプリケーターによってプラスチックフィルムに塗布した。加熱プレスおよび溶液の塗布に関して、ポリエステルプラスチックフィルムが最適であることを見出した。コーティングしたフィルムを乾燥させ、プラスチックポーチおよび乾燥器中で乾燥剤とともに保存した。ハニカム状の回折格子パターンを、Madag P2000加熱プレスによってコーティングしたフィルムに加熱プレスした。エンボス加工温度、時間および圧力を変化させた。完成した回折格子を乾燥条件で保存した。
【0051】
回折格子を写真撮影し、それらの作用を、22.6%と84%の相対湿度を用いて、キャビネットにそれらを保持することによって試験した。インジケーターの光回折格子パターンの変化を、試験の開始から3時間、1日および4日後に観測した。
【0052】
結果を表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
(実施例3)
水分インジケーターの反応速度に対する塩の量の効果を、ポリビニルアルコールに基づき、異なる量の飽和CaCl溶液を加えた一連のインジケーターで試験した。インジケーター材料を、Hand Coaterロッド2によってPET側でPET/PPフィルムに塗布した。インジケーター材料は、PVA、1,3−プロパンジオール、色素溶液および食塩水からなる。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
この試験において、湿気のあるキャビネットで測定した変化の速度は、特に速いインジケーターを用いると、完全には信頼できないことを発見した。なぜなら、開口後、キャビネット内の湿度は元の状態に戻る時間がなかったからである。また、インジケーター材料の加熱プレスおよび/または層の厚さの安定性は、インジケーターの作用に重要である。
【0057】
(実施例4)
この試験において、水分インジケーターの回折格子パターンを、ポリケトン、ポリアクリル酸、CaClおよびメチレンブルーを含む、溶媒ベースのインジケーター材料から製造した。インジケーター材料を、ロッド4によってポリエステルプラスチックに塗布した。
【0058】
加熱プレスされた回折格子パターンは十分に可視化できた。インジケーターは、50%相対湿度の部屋で急速に不透明になったが、3日で完全に回折格子パターンが消失した。
【0059】
本発明は、上記に参照した例示的な実施形態に決して限定されず、代わりに多くの変更が、特許請求の範囲により規定される本発明の意図の範囲内で可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に製造される光回折格子構造であって、前記回折格子構造は、結合剤と潮解性塩とを含み、水分の影響によって体積を変化させる、インジケーター材料から形成される、光回折格子構造と、
を備える、インジケーター。
【請求項2】
前記結合剤は吸湿性結合剤であることを特徴とする、請求項1に記載のインジケーター。
【請求項3】
前記吸湿性結合剤は熱可塑性ポリマーであることを特徴とする、請求項2に記載のインジケーター。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリビニルアルコールもしくはそのコポリマー、ポリエステル、ポリケトンおよび/またはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項3に記載のインジケーター。
【請求項5】
前記潮解性塩は、無機アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化アルミニウムおよび/またはハロゲン化アンモニウム、硝酸塩および/または炭酸塩ならびに/あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインジケーター。
【請求項6】
前記潮解性塩は、塩化カルシウム、塩化カリウムおよび/または塩化アンモニウムであることを特徴とする、請求項5に記載のインジケーター。
【請求項7】
回折格子構造を形成する前記インジケーター材料はまた、結合剤、色素、充填剤および/または他の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインジケーター。
【請求項8】
前記基板は、パッケージ材料であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインジケーター。
【請求項9】
前記基板は、製品パッケージに加えられる別の成層であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインジケーター。
【請求項10】
前記インジケーターは、水分インジケーターであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインジケーター。
【請求項11】
インジケーターを製造するための方法であって、前記方法は、
光回折格子構造を形成し、結合剤および潮解性塩を含み、水分の影響によって体積を変化させる、インジケーター材料で基板をコーティングする工程と、
回折格子構造を形成する前記インジケーター材料でコーティングされた前記基板に前記光回折格子構造を製造する工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
前記光回折格子構造は、加熱プレス、レーザー技術またはUVリソグラフィーによって製造されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
質および/または信頼性を検出するための請求項1〜10のいずれか一項に記載のインジケーターの使用。
【請求項14】
水分によって誘発される変化を検出するためのパッケージであって、前記パッケージは、パッケージングする時に、請求項1〜10に記載されるインジケーターを前記パッケージに加えることによって形成されることを特徴とする、パッケージ。
【請求項15】
前記パッケージは、食品、薬物、化粧品または電気製品パッケージであることを特徴とする、請求項14に記載のパッケージ。
【請求項16】
パッケージを分解せずに前記パッケージ中の水分によって誘発される変化を検出するための方法であって、前記パッケージは、パッケージングする時に、請求項1〜10に記載されるインジケーターを前記パッケージに加えることによって形成され、前記パッケージの湿度の変化が、前記インジケーターの回折格子の作用の変化によって示されることを特徴とする、方法。
【請求項17】
前記変化は、光または他の走査技術によって、視覚的に検出されるか、または自動的に走査されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−526359(P2011−526359A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514077(P2011−514077)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050535
【国際公開番号】WO2009/153406
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510333461)テクノロジアン ツッツキムスケスクス ヴィティティ (1)
【Fターム(参考)】