説明

インタフェース装置及びその制御方法

【課題】 一方のインタフェースのみのパフォーマンスを測定するだけでは性能低下の原因を特定することができない。
【解決手段】 第1機器と第2機器との間に介在するインタフェース装置及びその制御方法であって、第1機器からの第1制御信号に応じて第1機器からデータを受信し、第2機器からの第2制御信号に応じてデータを第2機器に出力する。これら第1及び第2制御信号の状態を監視し、その監視された第1及び第2制御信号の状態に応じて、第1機器或いは第2機器のいずれの性能が低下しているかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインタフェース装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷対象の画像データを生成するコントローラと、その画像データを基に紙に印刷する印刷装置とが独立した印刷システムにおいて、システムの不具合等で所望の性能を発揮できない場合がある。印刷システムの機能低下はユーザの生産性を低下させるため、その不具合は早期に解決しなければならず、特に、その原因がコントローラ或いは印刷装置のどちらにあるかを解明することが重要となる。こうした状況において、コントローラ及び印刷装置が接続されるインタフェースでは、画像データの転送状況を監視し、問題の切り分けを行うことが考えられる。インタフェースでのデータの転送状況を監視する手法として、一定サイズのダミーデータを転送し、そのデータの転送に要した時間から、データの転送速度を求めることで、インタフェースの状況を判定するものがある(特許文献1参照)。また、キャッシュ等の待ち行列に対して閾値を設け、その待ち行列の長さが閾値を超えたか否かを判定するのに加えて、一定時間におけるデータの転送量を測定することで、システムパフォーマンスを測定するものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−222336号公報
【特許文献2】特開平8−241227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コントローラと印刷装置間のインタフェースでは、印刷時の画像データが転送されている期間が監視対象であるため、それ以外の期間で転送状況を監視する場合は正常状態と判定されてしまう。またバスブリッジ回路は、異なるプロトコルで実現されたインタフェース間にバッファを有することがあるため、一方のインタフェースでのパフォーマンス低下を、ある程度そのバッファが吸収することも可能となる。この場合、一方のインタフェースのみのパフォーマンスを測定するだけでは性能低下の原因を特定することができない。更に、待ち行列等のバッファに着目したパフォーマンスの測定においても、データ転送の初期状態では、バッファのデータ保持量がフルとなる状態も有り得る。よって、単純にバッファに閾値を設けてインタフェースを監視するだけでは、正確なパフォーマンスの測定を行うことはできない。
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0006】
本発明の特徴は、第1機器と第2機器との間でのデータの転送を監視し、この監視結果に基づいて、性能低下の原因が第1機器或いは第2機器にあるかを正確に判定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るインタフェース装置は以下のような構成を備える。即ち、
第1機器と第2機器との間に介在するインタフェース装置であって、
前記第1機器からの第1制御信号に応じて前記第1機器からデータを受信する第1インタフェース手段と、
前記第2機器からの第2制御信号に応じてデータを前記第2機器に出力する第2インタフェース手段と、
前記第1及び前記第2制御信号の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段により監視された前記第1及び前記第2制御信号の状態に応じて、前記第1機器或いは前記第2機器のいずれの性能が低下しているかを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1機器と第2機器との間でのデータの転送を監視し、この監視結果に基づいて、性能低下の原因が第1機器或いは第2機器にあるかを正確に判定することができる。この結果、性能低下の原因がいずれの機器にあるかを早期に特定することが可能となり、ユーザの生産性への影響を最小限に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示す図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態1に係るインタフェース部の機能構成を示すブロック図。
【図4】実施形態1に係るコントローラ及び画像形成装置間での画像データ転送プロトコルを説明する図。
【図5】実施形態1に係るステータス信号の転送プロトコルを説明する図。
【図6】実施形態1に係るインタフェース部による監視処理を説明するフローチャート。
【図7】実施形態2に係るインタフェース部の機能構成を示すブロック図。
【図8】実施形態2に係るインタフェース部による監視処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示す図である。
【0012】
クライアント装置100は、コントローラ101に対して印刷ジョブを送信するもので、例えばパーソナルコンピュータ等である。コントローラ101は、クライアント装置100から受信した印刷ジョブに従って印刷用の画像データを生成し、データケーブル102を介して、その生成した画像データを画像形成装置(印刷装置)103に送信する。画像形成装置103は、データケーブル102を介して受信した画像データを紙(シート)等の記録媒体に印刷するもので、例えば複合機等で実現される。データケーブル102は、コントローラ101と画像形成装置103とを接続して画像データを転送するためのケーブルであり、専用のケーブルで実現されても良く、或いはイーサネット(登録商標)等で使用される規格化されたケーブルであっても良い。クライアント装置100とコントローラ101及び画像形成装置103は、イーサネット(登録商標)等で実現されるLAN(ローカルエリアネットワーク)104を介して接続されている。
【0013】
図2は、実施形態に係る画像形成装置103の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
画像形成装置103は、制御部201、ストレージ部202、UI部203、画像処理部204、印刷部205及びインタフェース部208を有し、各部はバス206を介して接続されている。また制御部201及びインタフェース部208は、バス206以外に、ステータス信号207により接続されている。制御部201は、画像形成装置103の動作を統括して制御しており、各部への動作指示を行う。ストレージ部202は、画像形成装置103の制御プログラム、及び生成されるデータ等を一時的に保持するもので、ROM,RAM,HDD等を具備している。UI部203は、ユーザインタフェースを実現するためのもので、ユーザが画像形成装置103を操作するための表示パネル(不図示)や各種入力キー(不図示)等を有している。画像処理部204は、この画像形成装置103が受信した画像データを、紙に印刷するために必要な画像データを作成するために画像処理を実施しており、例えば専用のハードウェア等で構成される。印刷部(プリンタエンジン)205は、画像データを紙等の記録媒体に印刷する。ここでは例えば、ページ単位で印刷するページプリンタ等を想定しているが本発明はこれに限定されない。インタフェース部208は、データケーブル102を介して受信した画像データをストレージ部202に転送すると共に、コントローラ101からのデータ転送を監視し、監視した結果をステータス信号207を介して制御部201に伝える。バス206は、画像形成装置103を構成する各部でのコマンド及びデータを送受信するためのバスであり、例えばPCI等のバスで構成される。ステータス信号207は、インタフェース部208で判定されたステータスを制御部201に送信するための専用信号であるが、このステータスはバス206を介して伝送されても良い。
【0015】
[実施形態1]
図3は、本発明の実施形態1に係るインタフェース部208の機能構成を示すブロック図である。尚、ここではインタフェース部208は、画像形成装置103の一部として示されているが、機器同士を接続する独立したインタフェース装置であっても良い。この場合は、インタフェース部208は第1機器(コントローラ101)と第2機器(画像形成装置103)に間に介在するインタフェース装置となる。
【0016】
インタフェース部208は、データ受信部(第1インタフェース)301、バッファ部302、データ送信部(第2インタフェース)303、受信監視部304、送信監視部305、閾値保持部306及び結果判定部307を含んでいる。データ受信部301は、データケーブル102を介してコントローラ101から画像データを受信すると共に、バッファ部302の空き容量に従ってコントローラ101に対する制御を行う。バッファ部302は、コントローラ101から受信した画像データを一時的に保持するバッファであり、RAM等を有している。データ送信部303は、バッファ部302に保持された画像データをバス206を介してストレージ部202に送信する。受信監視部304は、データ受信部301の制御状態を監視する。送信監視部305は、データ送信部303の制御状態を監視する。閾値保持部306は、受信監視部304及び送信監視部305において制御の状態を判定するための閾値を保持する。結果判定部307は、受信監視部304及び送信監視部305で監視した内容から結果を判定する。
【0017】
受信データ信号308は、データ受信部301とバッファ部302とを接続する信号であり、画像データをバッファ部302に保持するために必要となる画像データ信号及び制御信号を含んでいる。送信データ信号309は、バッファ部302とデータ送信部303とを接続する信号であり、画像データをバッファ部302からストレージ部202に送信するために必要となる画像データ信号及び制御信号を含んでいる。受信ステータス信号310は、コントローラ101とデータ受信部301との間で実施される制御において、データ転送中であることを示す信号、及びコントローラ101から転送された画像データが有効であることを示す信号を含んでいる。送信ステータス信号311は、データ送信部303とストレージ部202との間で実施される制御において、データ転送中であることを示す信号、及びデータ送信部303からのデータ送信を一時的に停止させることを示す信号を含んでいる。監視バス312は、受信監視部304、送信監視部305、閾値保持部306及び結果判定部307におけるデータの送受信を行うバスであり、この監視バス312を介して、データ受信及び送信の監視に使用される閾値データや監視データがやり取りされる。ステータス信号207は、結果判定部307で判定されたステータスを制御部201に送信するための信号である。クロック発生回路313は、基準となる所定の周波数のクロック信号を発生して、このクロック信号を上記各部に供給している。尚、このクロック発生回路313から発生される基準クロックは、この画像形成装置103の基準クロックを基に作成しても良い。
【0018】
図4は、本発明の実施形態1に係るコントローラ101と画像形成装置103との間での画像データの転送プロトコルを説明する図である。尚、図4に示すサイクルT1〜T13は、上述のクロック信号を基本クロックとして定めたものである。
【0019】
Req信号400は、画像データの送信を要求する信号であり、画像形成装置103からコントローラ101に対して送信される。Start信号401は、画像データの送信開始を示す信号であり、コントローラ101から画像形成装置103に対して送信される。End信号402は、画像データの送信終了を示す信号であり、コントローラ101から画像形成装置103に対して送信される。Data信号403は画像データを示す信号であり、コントローラ101から画像形成装置103に対して送信される。DValid信号404は、Data信号403上のデータが有効な画像データであるか否かを示す信号(第1制御信号)であり、ここではハイレベルのときに有効であることを示している。このDValid信号404は、コントローラ101から画像形成装置103に対して送信される。Busy信号405は、画像形成装置103がコントローラ101からの画像データの受信を継続可能か否かを示す制御信号(第2制御信号)であり、画像形成装置103からコントローラ101に対して送信される。ここではBusy信号405がハイレベルのとき、画像形成装置103がコントローラ101からの画像データの受信できないことを示している。
【0020】
画像形成装置103は1ページのデータを受信する準備ができるまで、Req信号400を“0”(ロウレベル)に固定する(T1)。画像形成装置103は1ページのデータを受信可能な状態になるとReq信号400を1サイクルだけ“1”(ハイレベル)にする(T2)。コントローラ101は、Req信号400が“1”になったことを検出すると、画像データの送信準備を始める(T3)。そしてコントローラ101は、画像データの準備が整った時点で画像データを送信し始める。この時、コントローラ101は、Start信号401を1サイクルだけ“1”に固定し、有効な画像データをData信号403に出力し、DValid信号404を“1”に固定する(T4)。コントローラ101は、送信可能な画像データを保持し続ける限りData信号403に有効な画像データを出力し、DValid信号404を“1”に固定する(T5)。そしてコントローラ101は、送信可能な画像データが準備できなくなった時点でData信号403の出力を停止し、DValid信号404を“0”にする(T6)。またコントローラ101は、再び送信可能な画像データを準備できた時点で有効なデータをData信号403に出力し、DValid信号404を“1”にする(T7)。
【0021】
一方、画像形成装置103は、コントローラ101からの画像データを継続して受信できないと判断するとBusy信号405を“1”に固定する(T8)。コントローラ101は、Busy信号405が“1”に固定されたことを検出すると、予めシステムで規定されたサイクル以内に画像データの転送を停止する(T8)。そして画像形成装置103は、コントローラ101から画像データを受信可能な状態になるまでBusy信号405を“1”に固定する(T9)。そして画像形成装置103は、コントローラ101からの画像データが受信可能な状態になるとBusy信号405を“0”に固定する(T10)。これによりコントローラ101は、Busy信号405が“0”に固定されたことを検出すると、有効な画像データの転送を再開する(T11)。
【0022】
そしてコントローラ101は、最後の有効な画像データを送信する際に、1サイクルだけEnd信号402を“1”に固定する(T12)。こうしてコントローラ101は、1ページの画像データの送信を終了すると、DValid信号404を“0”に固定する(T13)。
【0023】
本実施形態1では、Req信号400、Start信号401及びEnd信号402はページ単位で送信されるものとするが、本発明はこれに限定されるものではない。また、画像データの転送に他のプロトコルを用いたとしても本発明は適用可能である。
【0024】
図5は、本発明の実施形態1に係るステータス信号207の転送プロトコルを説明する図である。
【0025】
Status信号500は、インタフェース部208で判定された結果を示す信号であり、インタフェース部208から制御部201に対して送信される。SValid信号501は、Status信号500上のデータが有効な信号か否かを示す信号であり、インタフェース部208から制御部201に対して送信される。インタフェース部208は、制御部201に対して送信すべきStatus信号500が準備できていない場合はSValid信号501を“0”(ロウレベル)に固定する(T20,T22,T24,T26)。インタフェース部208は、制御部201に対して送信すべきStatus信号500が準備できた場合にSValid信号501を“1”(ハイレベル)に固定する(T21,T23,T25)。
【0026】
Status信号500の有効な値が“00”の場合は、コントローラ101及び画像形成装置103の何れも正常動作であると判定した場合を示す(T21)。またStatus信号500の有効な値が“01”の場合は、コントローラ101が性能低下の原因であると判定した場合を示す(T23)。更に、Status信号500の有効な値が“10”の場合は、画像形成装置103が性能低下の原因であると判定した場合を示す(T25)。
【0027】
このように実施形態1では、Status信号500及びSValid信号501による専用のプロトコルを使用した。しかし、インタフェース部208内に専用のレジスタを設け、制御部201からアクセス可能な構成とすることで、PCI等でも実現可能である。
【0028】
図6は、本発明の実施形態1に係るインタフェース部208による監視処理を説明するフローチャートである。
【0029】
まずS100で、データ受信部301は、Start信号401が“1”に固定されたことを検出することで、コントローラ101からの画像データが送信されたと判断する。そして送られてくる画像データを受信し、その画像データを受信データ信号308を介してバッファ部302に送信して格納する。更に、データ受信部301は、受信ステータス信号310を介して受信監視部304にデータの受信が開始されたことを通知する。受信監視部304は、画像データの受信が開始されたことを監視バス312を介して送信監視部305に通知する。
【0030】
次にS101で、こうしてコントローラ101からの画像データの受信が開始されると、バッファ部302には、その受信した画像データが格納されていく。バッファ部302は、データ送信部303にて送信可能なデータ量を格納したことを検出すると、送信データ信号309を介してデータ送信部303に通知する。データ送信部303は、バッファ部302からの指示に基づいて、バッファ部302に保持された画像データをバス206を介してストレージ部202に送信する。またデータ送信部303は、送信ステータス信号311を介して送信監視部305に、画像データの送信が開始されたことを通知する。送信監視部305は、画像データの送信が開始されたことを監視バス312を介して受信監視部304に通知する。
【0031】
次にS102に進み、受信監視部304及び送信監視部305は、インタフェース部208での画像データの送受信が開始されたことを受けて、それぞれの監視を開始する。
【0032】
次にS103で、受信監視部304は、受信ステータス信号310を介してデータ受信部301でのDValid信号404が“1”に固定されている間の、基準クロックのサイクル数をカウントする。即ち、DValid信号404が“1”に固定されている時間を計測する。そして、そのカウント値と閾値保持部306に保持されたDValid信号404用の閾値とを比較する。
【0033】
また送信監視部305は、送信ステータス信号311を介してデータ送信部303でのPCIバス上のBusy信号が“1”に固定されている間の、基準クロックのサイクル数をカウントする。即ち、Busy信号405が“1”に固定されている時間を計測する。そして、そのカウント値と、閾値保持部306に保持されたBusy信号用の閾値と比較する。尚、このBusy信号は、PCIバス上のTRDY#(ターゲットレディ)信号であっても良い。ここで、閾値保持部306が保持する閾値は、監視バス312を介して受信監視部304及び送信監視部305から参照可能なものとする。データ受信部301は、End信号402が“1”に固定されたことを検出することで、コントローラ101からの画像データ受信が完了したと判断する。更にデータ受信部301は、受信ステータス信号310を介して受信監視部304にデータ受信が完了したことを通知する。受信監視部304は、データ受信が完了したことを監視バス312を介して送信監視部305及び結果判定部307に通知する。受信監視部304及び送信監視部305は、データ受信が完了した通知を受けて、監視結果を保持しつつそれぞれの監視処理を完了させる。
【0034】
結果判定部307は、データ送信完了の通知を受けて、受信監視部304及び送信監視部305の監視結果を監視バス312を介して受信し、これらの結果から性能低下の原因の切り分けを行う。ここではS104で、送信監視部305の監視結果からBusy信号405が“1”に固定される時間(サイクル数)が閾値を超えたかどうかを判定し、閾値を越えた時はS105に進み、画像形成装置103が原因と判定する。これはBusy信号405はハイレベルになっている時間が長い、即ち、画像形成装置103が画像データが受信がイネーブルである時間が所定時間よりも短いということは、何らかの原因で画像形成装置103の性能が低下していると考えられるためである。
【0035】
またS104で、Busy信号405が“1”に固定されるサイクル数が閾値より小さいと判定するとS107に進み、受信監視部304の監視結果からDValid信号404のサイクル数が閾値より小さいかどうかを判定する。閾値より小さい場合はS108に進み、コントローラ101が原因と判定する。これはDValid信号404がハイレベル(有効データを出力イネーブル)となる期間が所定時間よりも短いということは、何らかの原因でコントローラ101の性能が低下していてデータの出力性能が低下していると考えられるためである。
【0036】
一方、S107で、DValid信号404のサイクル数が閾値より大きいと判定するとS109に進み、正常動作と判定する。こうしてS105,S108,S109のいずれかを実行した後S106に進み、結果判定部307は、その判定した結果をステータス信号207を介して制御部201に通知する。
【0037】
以上説明したように本実施形態1によれば、コントローラ101から画像形成装置103に画像データを転送する際、その画像データの転送中の制御信号の状況に応じて、データ転送の性能の低下が、いずれに起因していているかを判別できる。
【0038】
[実施形態2]
図7は、本発明の実施形態2に係るインタフェース部208の機能構成を示すブロック図である。尚、実施形態2に係る印刷システムの構成は前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0039】
図7において、図3に示したものと同じ構成要素には同一の参照番号を付与し、その説明は省略する。ここでは、本発明の実施形態2に特徴的な構成要素のみ説明する。
【0040】
インタフェース部208は、データ受信部301、バッファ部302、データ送信部303、閾値保持部306、結果判定部307及びバッファ監視部700を含んでいる。バッファ監視部700は、バッファ部302に保持されたデータ量を監視し、特に画像データの送受信開始時のデータ量及び画像データの送受信中のデータ量を監視する。バッファ監視部700及びデータ受信部301は、受信ステータス信号310にて接続されている。バッファ監視部700及びデータ送信部303は、送信ステータス信号311にて接続されている。バッファ監視部700及びバッファ部302は、バッファステータス信号701にて接続されている。バッファステータス信号701は、バッファ部302に保持されたデータ量を示す信号で構成される。バッファ監視部700、閾値保持部306及び結果判定部307は監視バス312にて接続されている。
【0041】
図8は、本発明の実施形態2に係るインタフェース部208による監視処理を説明するフローチャートである。図8において、図6に示したものと同じ構成要素には同一の参照番号を付与し、その説明は省略する。ここでは、本発明の実施形態2に特徴的な構成要素のみ説明する。
【0042】
バッファ監視部700は、受信ステータス信号310及び送信ステータス信号311を介して画像データの送受信が開始されたことを検出する。この時S200で、バッファ監視部700は、バッファステータス信号701を介して、バッファ部302に保持されているデータ量を初期状態として保持する。この時、バッファ監視部700は、監視バス312を介して接続された閾値保持部306の閾値に基づき、バッファ部302の初期状態をフル状態、通常状態、空状態の3状態のいずれかに分類する。例えば、閾値保持部306で保持されている閾値を「20」%及び「80」%とし、バッファ部302に保持されていたデータ量がバッファ部302の全容量に対してX%であったとする。ここでXの値が「0」から「20」の場合は空状態、Xの値が「21」から「80」の場合は通常状態、Xの値が「81」から「100」の場合はフル状態と判定される。そしてS201で、バッファ監視部700は、バッファ部302の状態監視を開始する。
【0043】
そしてS103に進み、バッファ監視部700は、受信ステータス信号310及び送信ステータス信号311を介して画像データの送受信が完了したことを検出すると、監視結果を保持しつつ監視処理を完了させる。
【0044】
次にS202に進み、結果判定部307は、バッファ監視部700に保持されたバッファ部302の初期状態及びバッファ部302の監視結果から性能低下の原因切り分けを実施する。即ち、S202で、バッファ部302の監視結果がフル状態の場合で、かつS203で、バッファ部302の初期状態がフル状態の場合はS109に進み、正常状態と判定する。これはデータ転送が完了した状態で、バッファ部302の状態が初期状態からフルのままであることは、コントローラ101からの画像データの転送と画像形成装置103による画像形成が順調に実行されていることを示しているためである。
【0045】
一方、S202で、バッファ部302の監視結果がフル状態の場合で、かつ、S203でバッファ部302の初期状態がフル状態ではない場合はS105に進み、画像形成装置103が原因と判定される。これは画像形成装置103における処理が遅れているため、バッファ部302がフルになったと考えられるためである。
【0046】
またS202で、バッファ部302の監視結果がフル状態ではない場合で、かつS204で、バッファ部302の監視結果が空状態ではない場合はS109に進み、正常状態と判定される。これは画像形成装置103における処理が順調であるため、これはデータ転送が完了した状態でバッファ部302が空でなく、かつフルでないと考えられるためである。
【0047】
またS202で、バッファ部302の監視結果がフル状態ではない場合で、かつS204で、バッファ部302の監視結果が空状態の場合で、かつS205で、バッファ部302の初期状態が空状態の場合はS109に進み、正常状態と判定される。これは画像形成装置103における処理が順調であり、これはデータ送信が完了した状態でバッファ部302が空となっているためである。
【0048】
またS202で、バッファ部302の監視結果がフル状態でなく、かつS204で、バッファ部302の監視結果が空状態で、かつS205で、バッファ部302の初期状態が空状態でない場合はS108に進み、コントローラ101が原因と判定される。これは、バッファ部302が初期状態で空でなかったものが空の状態になっているのは、コントローラ101よりも画像形成装置103における画像データの処理能力が上回っていることを表しているため、性能低下はコントローラ101が原因と判定される。
【0049】
こうしてS105、S108,S109のいずれかを実行するとS106に進み、結果判定部307は、S105,S108,S109で判定した結果を、ステータス信号207を介して制御部201に通知する。
【0050】
以上説明したように本実施形態2によれば、バッファ部302におけるデータの保持状態に基づいて、コントローラ101と画像形成装置103との間のデータ転送の性能の低下が、いずれに起因していているかを判別できる。
【0051】
以上説明したように本実施形態によれば、画像データの転送が実施されている適切なタイミングでデータ転送を監視し、この監視結果に基づいて、正確に性能低下の原因切り分けを行うことができる。この結果、印刷装置の性能低下の原因を早期に特定することが可能となり、ユーザの生産性への影響を最小限に留めることができる。
【0052】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機器と第2機器との間に介在するインタフェース装置であって、
前記第1機器からの第1制御信号に応じて前記第1機器からデータを受信する第1インタフェース手段と、
前記第2機器からの第2制御信号に応じてデータを前記第2機器に出力する第2インタフェース手段と、
前記第1及び前記第2制御信号の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段により監視された前記第1及び前記第2制御信号の状態に応じて、前記第1機器或いは前記第2機器のいずれの性能が低下しているかを判定する判定手段と、
を有することを特徴とするインタフェース装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1制御信号がイネーブルである時間が所定時間よりも短い場合、前記第1機器の性能が低下していると判定することを特徴とする請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記第2制御信号がイネーブルである時間が所定時間よりも短い場合、前記第2機器の性能が低下していると判定することを特徴とする請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項4】
第1機器と第2機器との間に介在するインタフェース装置であって、
前記第1機器からの第1制御信号に応じて前記第1機器からデータを受信する第1インタフェース手段と、
前記第2機器からの第2制御信号に応じてデータを前記第2機器に出力する第2インタフェース手段と、
前記第1インタフェース手段と前記第2インタフェース手段との間で前記データを保持するバッファ手段と、
前記バッファ手段における前記データの保持状態を監視する監視手段と、
前記監視手段により監視された前記データの保持状態に応じて、前記第1機器或いは前記第2機器のいずれの性能が低下しているかを判定する判定手段と、
を有することを特徴とするインタフェース装置。
【請求項5】
前記データの保持状態は、前記バッファ手段の初期状態及び前記データを保持している量を含むことを特徴とする請求項4に記載のインタフェース装置。
【請求項6】
第1機器と第2機器との間に介在するインタフェース装置を制御する制御方法であって、
第1インタフェース手段が、前記第1機器からの第1制御信号に応じて前記第1機器からデータを受信する工程と、
第2インタフェース手段が、前記第2機器からの第2制御信号に応じてデータを前記第2機器に出力する工程と、
監視手段が、前記第1及び前記第2制御信号の状態を監視する監視工程と、
判定手段が、前記監視工程で監視された前記第1及び前記第2制御信号の状態に応じて、前記第1機器或いは前記第2機器のいずれの性能が低下しているかを判定する判定工程と、
を有することを特徴とするインタフェース装置の制御方法。
【請求項7】
第1機器と第2機器との間に介在するインタフェース装置を制御する制御方法であって、
第1インタフェース手段が、前記第1機器からの第1制御信号に応じて前記第1機器からデータを受信する工程と、
第2インタフェース手段が、前記第2機器からの第2制御信号に応じてデータを前記第2機器に出力する工程と、
バッファ手段が、前記第1インタフェース手段と前記第2インタフェース手段との間で前記データをバッファ部に保持する工程と、
監視手段が、前記バッファ部における前記データの保持状態を監視する監視工程と、
判定手段が、前記監視工程で監視された前記データの保持状態に応じて、前記第1機器或いは前記第2機器のいずれの性能が低下しているかを判定する判定工程と、
を有することを特徴とするインタフェース装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105336(P2013−105336A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249069(P2011−249069)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】