説明

インタラクティブグラフィックストリームを記録した情報記録媒体、その再生装置及び方法

【課題】 本発明は、ナビゲーションコマンドによってのみ言語情報が変更され、ユーザオペレーションによっては変更されないインタラクティブグラフィックストリームを記録した情報記録媒体を提供する。
【解決手段】 マルチメディアコンテンツの再生を制御するときに使われるインタラクティブグラフィックストリームを記録した情報記録媒体、その再生装置及び方法が開示される。本発明の情報記録媒体は、AVデータと、AVデータの再生に関連したナビゲーションコマンドの集合であるナビゲーションデータと、AVデータの再生を制御するものであって、ナビゲーションコマンドによってのみその言語情報が変更され、ユーザオペレーションによっては変更されないインタラクティブグラフィックストリームと、を含む。本発明は、多様な言語で作成された文字情報と各言語に共通に使われるデータとを多重化して一つのメニューストリームに保存することによって、データを重複して保存しないので保存空間を省くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタラクティブデータに係り、具体的には、マルチメディアコンテンツの再生を制御するときに使われるインタラクティブグラフィックストリームを記録した情報記録媒体、その再生装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに提供されたマルチメディアコンテンツを制御するために、マルチメディアコンテンツを扱うためのメニューも共にユーザに提供される。このようなメニューを通じて、コンテンツ製作者は、マルチメディアコンテンツについての色々な選択事項をユーザに提供し、ユーザはこれら選択事項のうち一つを選択することによって、映画再生のようなAVストリームの単純な再生だけでなくセグメント別再生、ボーナス映像見物などの機能を提供される。
【0003】
マルチメディアコンテンツを扱うためのメニューは文字情報を含んでいる。ここで文字情報とは、文字が入っている情報をいう。すなわち、ハングル、英語、日本語など各言語別に作られたマルチメディアコンテンツに関する情報をいう。マルチメディアコンテンツを製作してユーザに提供するコンテンツ製作者は、多様な言語を使用する人々にこのようなコンテンツを保存した記録媒体を販売するために多様な言語で作られたメニューを作って記録媒体に記録する。従来のDVDの場合は、このようなメニューを構成するデータらが各言語ごとに別途に作られて保存されている。その理由は、DVD再生装置でこれらデータの制御を簡単にするためであった。
【0004】
図1は、DVDの言語ユニットに保存されている各言語別メニューストリームを示す図である。
【0005】
ここで、メニューストリームとは、オーディオ、ビデオ、サブピクチャー、ハイライト情報などを含んで作られたメニューが一つのストリームに多重化されているものをいう。図1を参照するに、各言語別にメニューストリームが別々に作られて保存されていることが分かる。
【0006】
図2は、DVD再生装置があらかじめ設定されたシステムパラメータによって言語を選択し、選択された言語で作られたメニューストリームを再生する再生装置のブロック図である。図2を参照するに、DVD再生装置は、あらかじめ決定された規則によってユーザが設定した言語に該当するメニューを選択する。あらかじめ設定した言語情報は、システムパラメータ保存部210に保存されている。メニュー言語選択部220は、例えば、システムパラメータ0番(#0:SPRM0)に保存されたメニュー言語コード情報を読み取って、メニュー言語コードと同じ値を持つメニューストリームを、図1を参照して前述したメニューストリームのうち一つを選択して読み込む。デコーダ230は、読み込んだメニューストリームを再生する。
【0007】
このようにそれぞれの言語に対してメニューを別個に作れば、データ量の多いビデオデータのように言語に制約を受ける文字情報ではない情報も各言語別に作られたメニューにそれぞれ含まれるので、保存空間の浪費が激しい。また、ビデオの再生途中で言語を変更できないという問題点がある。また、メニューを選択する方法があらかじめ定められていて、言語以外の基準でメニューを選択できないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ナビゲーションコマンドによってのみ言語情報が変更され、ユーザオペレーションによっては変更されないインタラクティブグラフィックストリームを記録した情報記録媒体を提供するところにある。
【0009】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、多様な言語で作成された文字情報と各言語に共通で使われるデータとを多重化したメニューストリームのうち一つを選択して再生する装置及び方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明による情報記録媒体は、AV(オーディオ/ビデオ)データと、前記AVデータの再生に関連したナビゲーションコマンドの集合であるナビゲーションデータと、前記AVデータの再生を制御するものであって、前記ナビゲーションコマンドによってのみその言語情報が変更され、ユーザオペレーションによっては変更されないインタラクティブグラフィックストリームとを含む。
【0011】
前記課題を解決するために、本発明によるマルチメディアデータ再生装置は、前記マルチメディアデータの再生を制御するインタラクティブグラフィックストリームの言語情報を含む属性情報を記録しているメモリと、前記言語情報によってその言語で作られたインタラクティブグラフィックストリームを選択するプログラムをロードして実行するプロセッサーと、前記選択されたインタラクティブグラフィックストリームを受信してデコーディングするデコーダとを備える。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明によるマルチメディアデータ再生方法は、前記マルチメディアデータの再生を制御するインタラクティブグラフィックストリームの言語情報を含む属性情報を読み取るステップと、前記言語情報によってその言語で作られたインタラクティブグラフィックストリームを選択するプログラムをロードして実行するステップと、前記選択されたインタラクティブグラフィックストリームを受信してデコーディングするステップとを含む。
【0013】
前記課題を解決するために、本発明では、前記方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、多様な言語で作成された文字情報と各言語に共通に使われるデータとを多重化して一つのメニューストリームに保存することによって、データを重複して保存しないので保存空間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】DVDの言語ユニットに保存されている各言語別メニューストリームを示す図である。
【図2】DVD再生装置があらかじめ設定されたシステムパラメータによって言語を選択し、選択された言語で作られたメニューストリームを再生する再生装置のブロック図である。
【図3】言語別に作られたメニューストリームのうち、レジスタに保存された値に対応するメニューストリームが再生されることを示す図である。
【図4】メニューストリームの再生装置のブロック図である。
【図5】メニューストリームのうち一つを選択する方法のフローチャートである。
【図6】メニューストリームが映画ストリームに含まれている場合の再生装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照して本発明による望ましい一実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図3は、言語別に作られたメニューストリームのうちレジスタに保存された値に対応するメニューストリームが再生されるところを示す図である。
【0018】
ここで、メニューストリームは、マルチメディアデータの再生を制御するときに使われるユーザインタラクションデータであって、インタラクティブグラフィックストリームという。インタラクティブグラフィックストリームは、マルチメディアデータの再生に関連したナビゲーションコマンドによってのみ変更され、ユーザオペレーションによっては変更されない。再生装置が有するシステムレジスタには、複数のナビゲーションレジスタがあり、そのうちには再生装置の状態を表すプレイヤー状態レジスタ(PSR)がある。PSRについては、表1を参照して後述する。
【0019】
最初にレジスタに保存された値が2であれば、英語で作られたメニューストリームが再生される。そして、一つのプレイアイテムの再生が終われば次のプレイアイテムを再生せねばならないが、英語で作られたプレイアイテムが存在していない場合もあるが、この場合にハングルで作られたプレイアイテムが再生される途中で、再び英語で作られたプレイアイテムが再生されてもよく(310)、そうでなければ、ハングルプレイアイテムは飛ばしてそのまま英語プレイアイテムのみ再生されてもよい(320)。このように再生中に他の言語のメニューストリームを再生するためには、所定のレジスタに保存された値を読み取って、その値とメニューストリームの言語に該当するID値とを比較する過程を経る。
【0020】
図4は、メニューストリームの再生装置のブロック図である。図4を参照するに、再生装置400に最初に電源が加わるか、またはユーザがメニュー選択プログラムを実行させれば、プロセッサー420は、プログラム440をロードして実行させる。このプログラム440は、再生装置のシステムレジスタ410にあらかじめ設定されている情報を利用して多様な言語で作られたメニューのうち一つを選択する。デコーダ430は、このように選択された言語で作られたメニューデータを受信してデコーディングする。
【0021】
多様な言語の多重化されたメニューデータのうち一つを決定する方法には、いろいろがある。まず、事前にユーザまたは再生装置生産者により設定されたメニュー言語情報に該当する文字情報を選択する。または親レベルという視聴等級設定情報を活用して、成人用メニューと子供用メニューとを別途に再生する方法がある。そして、ユーザが所望するメニュー言語がない場合、サブタイトルまたはオーディオ言語に基づいてユーザに特定メニューを再生して表示する方法がある。そして、汎用レジスタを活用してそのレジスタに保存された値に対応するメニューを再生する方法などがある。
【0022】
表1は、PSRを表す。
【0023】
【表1】

表1を参照するに、前述した言語情報などがいろいろなPSRに記録されることが分かる。例えば、メニュー言語情報はPSR 18番レジスタに記録されているが、初期にこのPSR 18番レジスタを読み取ってその値がハングル(ko)に該当すればPSR 0番レジスタを0に、英語(en)であればPSR 0番レジスタを1に設定して、プレイリストをプレイする。PSR 0番レジスタの値が0であるか1であるかによって、ハングルメニューストリームを再生するか英語メニューストリームを再生するかはあらかじめ設定されている。
【0024】
図4を参照するに、メニューストリームはオーディオ、ビデオのような共有ストリームと多様な言語で作られた文字情報ストリームとで構成されていることが分かる。多様な言語で作成された文字情報ストリームは、テキストだけでなくグラフィックデータでありうる。図4では、このような文字情報ストリームがメニューストリーム内に含まれている場合を図示したものである。
【0025】
ユーザまたは再生装置生産者によって一つの言語が選択されれば、プロセッサー420は選択した言語情報をデコーダ430に伝達し、デコーダ430は複数の多重化されたメニューストリームのうち一つを選択して復号化する。この時、メニューストリームのデータ形式はテキストまたはグラフィックなど多様な形式を持つことができるが、通常的にはグラフィックを多く使用する。
【0026】
図5は、メニューストリームのうち一つを選択する方法のフローチャートである。図5を参照するに、電源が印加されるか、ユーザの命令によりプログラムが一つのメニューストリームを選択して再生する場合と、映画の再生中に映画ストリームと共に多重化されているプログラムにより一つのメニューストリームが選択されて再生される場合とを示す。
【0027】
メニュー言語レジスタにはメニューストリームのIDが保存されている。まず、メニュー言語と同じ言語のメニューストリームIDを所定のレジスタに保存する(S510)。すなわち、プログラムはメニュー言語レジスタに保存された言語に該当するメニューストリームのID情報を探して、現在再生されているメニューストリームの番号を保存する所定のレジスタに保存する。もし、該当するメニューストリームが存在していなければ、デフォルト値として0を保存する。
【0028】
前記レジスタにストリームIDを保存した後、映画クリップ(movieclip)を再生する命令を受信する(S520)。この時、映画クリップは、動画を利用して構成されたメニューまたは映画コンテンツ自体でありうる。そして、映画クリップを再生する前に、プログラムによって設定されたレジスタ値が有効な値であるかどうかを再び確認する(S530)。確認する方法は、選択された映画クリップに多重化されているメニューストリーム番号のなかにレジスタに保存された値が存在するかどうかを判断する。もし、存在するならば有効であると判断して既に保存された値を維持し、存在していなければ有効でないレジスタ値と判断してデフォルト値である0に変えて保存する。そして、レジスタに保存された値に対応する映画クリップが存在すれば復号化して再生する(S540)。前記映画クリップが再生される時に、他の言語を選択する命令が受信されれば(S550)、前記誤りをチェックするステップ(S530)に戻る。
【0029】
図6は、メニューストリームが映画ストリームに含まれている場合の再生装置の動作を示す図である。図6を参照するに、映画ストリームの特定部分にコンテンツ提供業者が事前に準備したプログラムが含まれていることが分かる。この時、プロセッサー620はこのプログラムを実行しつつプログラム自体及び再生装置に保存されているレジスタ値610、ユーザ入力などを活用してメニューストリームを決定する。このように選択されたメニューストリームは、デコーダ630によってオーディオ、ビデオなど他のストリーム及び前記選択された言語に対応する文字情報と共に再生される。
【0030】
本発明はまた、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例には、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがあり、またキャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じた伝送)の形態で具現されるものも含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードが保存されて実行されうる。
【0031】
これまで本発明について望ましい実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態で具現できるということが理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は前述した説明ではなく特許請求の範囲に現れており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は本発明に含まれていると解釈されねばならない。
【符号の説明】
【0032】
210 システムパラメータ保存部
220 メニュー言語選択部
230 デコーダ
410、610 システムレジスタ
420、620 プロセッサー
430、630 デコーダ
440 プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AVデータストリームと前記AVデータストリームに対応する複数のインタラクティブグラフィックストリームを含む情報記録媒体を利用してインタラクティブグラフィックをディスプレイするマルチメディアデータ再生方法において、
再生装置のプレイヤー状態レジスタから属性情報を読み込むステップと、
前記複数のインタラクティブグラフィック
ストリームの中から前記属性情報に対応する一つのインタラクティブグラフィックストリームを選択するステップと、
前記選択された インタラクティブグラフィックストリームを前記AVデータストリームと共に再生するステップを含み、
前記複数のインタラクティブグラフィックストリームは前記AVデータストリームの再生を制御するのに使用され、それぞれのインタラクティブグラフィックストリームは複数の言語のうち一つに対応し、前記AVデータストリームと共に再生されるように選択されうることを特徴とする再生方法。
【請求項2】
前記選択されたインタラクティブグラフィックストリームは再生中にユーザオペレーションによって他のインタラクティブグラフィックストリームに変更されないことを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
前記属性情報により選択されたインタラクティブグラフィックストリームが前記情報記録媒体に存在しなければ、一番目インタラクティブグラフィックストリームのストリーム番号を前記プレイヤー 状態レジスタに保存し、前記一番目インタラクティブグラフィックストリームを前記AVデータストリームと共に再生するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの再生方法。
【請求項4】
前記複数のインタラクティブグラフィックストリームは、文字情報を言語別に有しており、言語と無関係な情報を互いに共有することを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの再生方法。
【請求項5】
AVデータストリームと前記AVデータストリームに対応する複数のインタラクティブグラフィック
ストリームを含む情報記録媒体を利用してインタラクティブグラフィックをディスプレイするマルチメディアデータの再生方法を実行するプログラムにおいて、前記再生方法は、
再生装置のプレイヤー状態レジスタから属性情報を読み込むステップと、
前記複数のインタラクティブグラフィックストリームの中から前記属性情報に対応する一つのインタラクティブグラフィックストリームを選択するステップと、
前記選択されたインタラクティブグラフィックストリームを前記AVデータストリームと共に再生するステップを含み、
前記複数のインタラクティブグラフィックストリームは前記AVデータストリームの再生を制御するのに使用され、それぞれのインタラクティブグラフィックストリームは複数の言語のうち一つに対応し、前記AVデータストリームと共に再生されるように選択されうることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−238355(P2010−238355A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132327(P2010−132327)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【分割の表示】特願2006−523120(P2006−523120)の分割
【原出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】