インタラクティブ表面の製造
【課題】インタラクティブ表面の製造のためのより安価および/またはより迅速な技法をする。
【解決手段】基板の一方の側に接着剤表面を設ける工程、前記接着剤表面近くにグリッドアレイを設ける工程、前記接着剤表面を加熱してそれを活性化/再活性化させる工程、および前記グリッドアレイを前記基板の前記一方の側に結合させる工程を含む、インタラクティブ表面を製造する方法。
【解決手段】基板の一方の側に接着剤表面を設ける工程、前記接着剤表面近くにグリッドアレイを設ける工程、前記接着剤表面を加熱してそれを活性化/再活性化させる工程、および前記グリッドアレイを前記基板の前記一方の側に結合させる工程を含む、インタラクティブ表面を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタラクティブディスプレイシステムに関し、より詳しくは、そのようなシステム用のインタラクティブ表面の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インタラクティブディスプレイシステムの代表的な例は、電子ホワイトボードシステムである。一般に、電子ホワイトボードシステムは、ホワイトボードの作業表面に対するポインタデバイスの相対位置を検出するのに適し、この作業表面がインタラクティブ表面である。ホワイトボードの作業表面に画像が表示され、画像の位置が較正されていれば、ホワイトボードの表面上でポインタを移動させることによって、コンピュータマウスと同じようにポインタを用いてディスプレイ上のオブジェクトを操作することができる。
【0003】
インタラクティブホワイトボードシステムの一般的な用途は、教育的な環境にある。インタラクティブホワイトボードを使用することによって、教えることの生産性が高まり、学生の理解しやすさも改善される。そのようなホワイトボードによって、良質なディジタル教材を使用することも可能になり、オーディオビジュアル技術を用いてデータを操作し提示することが可能になる。
【0004】
電子ホワイトボードの一般的な構築は、ホワイトボードの作業表面の背後または下に駆動および検出コイルのアレイまたはマトリックスを設け、それによってインタラクティブ表面を形成させることを含む。これらのコイルは、ポインタデバイス中の電磁素子と相互作用する。ボードのインタラクティブ表面に対するポインタの相対位置を正確に決定するためには、駆動および検出コイルの複雑なアレイが必要であり、そのようなアレイを正確に製造することは、ホワイトボードの動作に欠かせない。詳しくは、ホワイトボードの信頼できる大量生産を提供するために、好ましくはそのようなアレイの迅速で正確な製造プロセスを提供する必要がある。
【0005】
先行技術にはさまざまな弱点があることが知られている。製造プロセス自体のコストが高額であり、製造プロセスはそのさまざまな工程を完了するために必要な時間によって制約を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インタラクティブ表面の製造のためのより安価および/またはより迅速な技法を提供することが、本発明の目的である。
【0007】
インタラクティブディスプレイシステムのインタラクティブ表面、例えばそのようなシステムに用いられる作業表面の製造のための進歩した技法を提供することが、本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、基板の一方の側に接着剤表面を設ける工程、前記接着剤表面近くにグリッドアレイを設ける工程、接着剤表面を加熱してそれを活性化/再活性化させる工程、およびグリッドアレイを基板の上記一方の側に結合させる工程を含む、インタラクティブ表面を製造する方法が提供される。
【0009】
特長として、本発明の方法は、迅速で、高信頼性で、コスト効果のよい製造の方法を提供する。
【0010】
接着剤表面を設ける工程は、好ましくは接着剤のコーティングを塗布する工程を含み、接着剤のコーティングは、好ましくはローラープロセス技法を用いて塗布される。そのような技法によって、接着剤を迅速に塗布することができ、それによって製造プロセス全体の速度が速くなる。ローラープロセス設備の資本コストは高額であるが、以後個々の基板をコーティングするコストは先行技術技法と比較してはるかに低くなる。
【0011】
好ましくは、接着剤は低コスト接着剤を含む。ローラープロセス技法によって、低コスト接着剤の使用が可能になる。先行技術では、そのような製造プロセスで基板への接着剤の塗布に用いられる技法は、接着剤を塗布するために用いられる不利な技法が原因となって、一般に高価な接着剤を必要とする。
【0012】
接着剤層を加熱する工程は、好ましくは赤外線加熱を含む。一般に、本発明による加熱工程は、基板の表面上で均一な接着剤の分布を提供し、平滑な接着剤表面を与える。これによって、グリッドに結合させるために接着面が設けられるとき、良好な接触が確保される。
【0013】
好ましくは、グリッドアレイを基板の一方の側に結合させる工程は、グリッドアレイおよび基板を貼り合わせることを含む。
【0014】
活性化/再活性化プロセスに備えて均一で平滑な接着剤表面を設けることによって、結合プロセスの時間は最小化される。
【0015】
好ましくは、本方法は、接着剤層の表面のあらゆる凹凸を吸収するように、貼り合わせる力に弾性を付与する工程を含む。しかし、そのような凹凸は、本発明の技法によって先行技術プロセスと比較して著しく減少する。
【0016】
弾性を付与する工程は、貼り合わせる力が加えられる、基板の他方の側に弾性層を設けることを含んでもよい。
【0017】
一般に、本発明の製造プロセスは、インタラクティブ表面を製造するのに用いることができる。この場合、基板とともにグリッド構成が提供される。基板は、好ましくはその一方の側に作業表面を提供する。
【0018】
一つの実施態様では、インタラクティブ表面は、ホワイトボードアセンブリ構造の一部分を形成する。別の実施態様では、インタラクティブ表面は、グラフィックスタブレットの一部分を形成する。
【0019】
インタラクティブ表面は、電磁ポインティングデバイスとともに動作するようにしてもよい。そのようなポインティングデバイスがパッシブであるかアクティブであるかによって、グリッドは、検出部分だけを有するか、または駆動および検出部分を有する。インタラクティブ表面は、電磁ポインティングデバイスが付属しないタッチ検出表面であってもよい。
【0020】
従って、本発明のプロセスは、以下の特徴、すなわち、速い硬化速度、別の基板の乾式での操作、基材接着剤の低いコスト、および作業表面へのグリッドの直接結合を有利に提供する。
【0021】
本発明のさらに別の様相によれば、本発明の方法によって製造されるインタラクティブ表面が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
例として、添付の図面を参照して、本発明を説明する。
【0023】
図1は、インタラクティブディスプレイシステムの例を図示する。
【0024】
図2(a)は、インタラクティブディスプレイシステムのホワイトボード装置構成の機能要素の例を図示する。
【0025】
図2(b)は、図2(a)のホワイトボード装置構成とともに用いられるポインティングデバイスの機能構造の例を図示する。
【0026】
図3は、図2(a)のホワイトボード装置構成とともに用いられるインタラクティブ表面のグリッドアレイの一部分を図示する。
【0027】
図4から13は、本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【0028】
図1を参照すると、インタラクティブディスプレイシステムの例は、参照番号102で全体として指定されるホワイトボードアセンブリ構成、付属のディスプレイ106を有するコンピュータ107、およびプロジェクタ104を含む。コンピュータ107は、通信リンク108を介してホワイトボードアセンブリ構成102に接続されると共に、通信リンク110を介してプロジェクタ104に接続される。プロジェクタ104は、教室などの部屋の天井に取り付けてもよく、コンピュータ107から信号を受け取る。この信号は、ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114に投影するために対応する投影画像に変換される。
【0029】
ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114に投影される画像は、コンピュータ107のスクリーン106に表示されるものと同じものにすることができる。
【0030】
インタラクティブディスプレイシステムは、ポインティングデバイス112で代表されるように、ホワイトボードアセンブリ構成102と協同動作する一つ以上のポインティングデバイスまたはポインタも備える。ポインティングデバイス112は、ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114と接触して、または該表面114に接近して、該表面114上を移動させられる。ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114に対するポインティングデバイス112の相対位置は、一つの種類の構成では、ディスプレイ表面114の下に埋め込まれたワイヤグリッドによって電子的に検出される。ディスプレイ表面114上でポインティングデバイス112を動かして、例えば、ディスプレイ表面上に書くか、またはディスプレイ表面上に表示された画像を強調することができる。ホワイトボードアセンブリ構成と組み合わせられるそのようなポインティングデバイスの使用は、当業者には公知である。
【0031】
当分野で知られている方法を用いて、ポインティングデバイス112は、コンピュータマウスと同様に機能させることができる。ポインタには、コンピュータマウスにボタンが設けられているのとほとんど同じように、押し下げて機能動作を提供することができるボタンまたは類似物を備えることができる。例えば、ボタンの押し下げによって、ポインティングデバイス112の位置の下にある表示アイコンを選択することができる。例えば、ボタンの押し下げによって、ポインタの機能動作をペンから消しゴムに変化させることができる。
【0032】
一般に、ディスプレイ表面114上のポインティングデバイス112の動きは、埋め込まれたグリッドアレイによって検出され、そのような動きは変換され、表示画像に重ね合わせられる。これによって、プロジェクタ104によって投影されている表示画像は、当分野で知られているポインティングデバイスに付属する任意の必要な動作を表示する。
【0033】
ホワイトボードアセンブリ構成およびインタラクティブディスプレイシステムの動作のためのポインティングデバイスの構造は、いくつかの異なる実体化の一つであってよい。好ましい構成では、ホワイトボードアセンブリ構成102は、互いに直交するように構成された二組のワイヤループを含むグリッド部分をディスプレイ表面の後ろに備える。ポインティングデバイス112は、ポインティングデバイス112の位置を決定するために用いることができる電流をワイヤループ中に誘導するように構成される。特に好ましい構成では、ポインティングデバイス112は、パッシブな電磁デバイスである。すなわち、駆動グリッドがポインティングデバイス中に電流を誘導し、この電流が今度は検出グリッド中に電流を誘導する。下記で、図2(a)とともに図3を参照し、そのような構成の動作をさらに考察する。
【0034】
好ましくは、ホワイトボードアセンブリ構成102の内部に電子制御回路が設けられ、ディスプレイ表面の下のワイヤグリッドとポインティングデバイスとの協同動作によって発生する信号を処理し、これによりポインティングデバイスの位置および選択されたポインティングデバイスの任意の装備ボタンに対応する情報を決定する。
【0035】
図2(a)を参照すると、好ましいホワイトボードアセンブリ構成の機能要素の概要の例が示される。これらの機能要素は、ホワイトボードアセンブリ構成102に付属する制御回路によって提供することができる。
【0036】
ホワイトボードアセンブリ構成102の例は、駆動グリッド202および検出グリッド204を備える。駆動グリッド202は、第一の方向に配置された第一の複数の導電性コイルと、第二の方向に配置された第二の複数の導電性コイルとからなり、第二の方向は第一の方向に直交する。以下X駆動コイルと呼ばれる一つの組のコイルはX軸駆動コイルの組を提供し、以下Y駆動コイルと呼ばれる他の組のコイルはY軸駆動コイルの組を提供する。検出グリッド204は、第一の方向に配置された第一の複数の導電性コイルと、第二の方向に配置された第二の複数の導電性コイルとからなり、第二の方向は第一の方向に直交する。従って、以下X検出コイルと呼ばれる一つの組のコイルはX軸検出コイルの組を提供し、以下Y検出コイルと呼ばれる他の組のコイルはY軸検出コイルの組を提供する。
【0037】
検出グリッド204は、並べて置かれた導電性コイルのバランスのとれたアレイまたはマトリックスを備え、各コイルは、同一であるが反対巻きのコイルと対を形成し、これらのコイルは、多重相出力信号を生じるように相互接続されている。相互接続のパターンは、ホワイトボードの区域全体にわたって多数回繰り返され、完結したそれぞれのパターンは普通、「ピッチ」と呼ばれる。
【0038】
検出グリッド204は、二つの別個の独立なそのようなコイルのアレイを有する。これらのアレイは互いに直交して配置され、垂直なX軸およびY軸の位置検出を可能にする。コイルのパターンは、好ましくは導電材料の配線によって作り出される。
【0039】
駆動グリッド202も、垂直なX軸およびY軸方向に駆動するために二つの直交アレイまたはマトリックスとして形成され、検出グリッドが作製されるのと同じ技法によって作製することができる。駆動グリッドは、並べて配置された個別のコイルを含み、これらのコイルは、幅において名目的にピッチ以下である。
【0040】
駆動グリッドは接続され、X軸駆動マルチプレクサ206およびY軸駆動マルチプレクサ208から駆動信号を受け取る。X軸およびY軸駆動マルチプレクサ206および208は、XおよびY駆動コイルのひとつひとつに、それぞれ励磁電流を供給する。駆動信号は、実質的に正弦波であり、好ましくは、安定な基準周波数にロックされたプログラム可能な信号源によって発生させられる。
【0041】
駆動グリッド信号発生器210は、X軸およびY軸駆動マルチプレクサ206および208のそれぞれに駆動信号を発生させる。
【0042】
X軸およびY軸駆動マルチプレクサの動作は、X軸およびY軸駆動マルチプレクサおよび駆動グリッド信号発生器のそれぞれに制御信号を供給するプロセッサ212によって制御される。
【0043】
駆動グリッド信号発生器210は、好ましくは駆動信号のために利用できる電流を増幅する電力増幅器に結合される。駆動グリッド信号発生器210は、復調回路へのその出力としてクロック信号も供給する。
【0044】
好ましい実施態様では、ポインティングデバイス112は、同調回路を備えるデバイスである。駆動マルチプレクサが駆動グリッドのXまたはY駆動コイル中に交流を駆動すると、それに伴う変化磁場は、ポインティングデバイスの同調回路中に電圧信号を誘導する。その結果生じるポインタ中の誘導電流は、磁場を発生させ、この磁場は、検出グリッドのXおよびY検出コイル中に電圧信号を誘導する。
【0045】
図2(b)を参照して、さらに詳細にポインタを説明する。図2(b)は、図2(a)のホワイトボード装置構成と組み合わせて用いられるポインタの回路の概略を示す。ポインタは、コイル250およびキャパシタ260を備えるLC同調回路を含む。同調回路と並列に一つ以上のスイッチ付き抵抗器がある。図2(b)では、同調回路と並列に、第一の直列組み合わせのスイッチ262aおよび抵抗器264aと、第二の直列組み合わせのスイッチ262bおよび抵抗器264bとが示されている。ポインタがスタイラスまたはペンの形のとき、抵抗器はスタイラスチップによって軸方向に、またはボタンを用いて半径方向に切り替えてもよい。
【0046】
使用時、励磁電流によって駆動グリッドのコイル中に発生した周波数f1の交番磁界は、ポインタの同調回路に作用し、ポインタの同調開路の共振周波数はほぼf1に設定される。これは同調回路を共振させ、コイル250によって発生した磁場は検出グリッド中に電圧信号を誘導する。抵抗器は切り替えられて回路に組み込まれ、LC同調回路のQ値を変化させる。
【0047】
検出マルチプレクサ214が接続され、検出グリッド204から出力信号を受け取る。XおよびY検出コイルのひとつひとつの中に誘導された電流は、検出マルチプレクサで検出される。
【0048】
検出マルチプレクサ214は出力を供給し、出力は同期復調器216の入力に接続される。検出された電圧信号は、従って検出マルチプレクサ214によって受け取られた後、同期復調器中で復調される。同期復調器の目的は、無関係な雑音および望ましくないバックグラウンド信号をすべて排除することである。同期復調器用の復調クロックは、駆動グリッド信号発生器210から導かれる。復調クロック回路は、検出信号から区別される位相および直角位相データを供給する。
【0049】
同期復調器216の出力でディジタル信号が発生すると、プロセッサに出力される。好ましくは、プロセッサはそのような信号を処理してポインタの位置を計算する。位置情報が計算されると、さらに出力インターフェース220を介して、図1のコンピュータ106などのホストデバイスに出力される。
【0050】
プロセッサ212は、出力に接すると、駆動グリッド信号発生器210、検出マルチプレクサ214、同期復調器216のそれぞれ、XおよびY駆動マルチプレクサ206および208のそれぞれへの制御信号を発生する。
【0051】
次に、ホワイトボードアセンブリ構成102およびポインティングデバイス112の作動をさらに詳細に説明する。
【0052】
XおよびY駆動コイルは、ホワイトボードアセンブリ構成102ディスプレイ表面114に重ね合せられる。駆動グリッドの駆動コイルは、プロセッサの制御下で駆動マルチプレクサによって個別に、必要ならランダムに選択することができる。X駆動グリッドを駆動するとき、Y検出グリッドは検出マルチプレクサを介して同期復調器に接続される。反対に、Y駆動グリッドを駆動するとき、X検出マトリックスは検出マルチプレクサを介して同期復調器に接続される。
【0053】
X検出コイルおよびY検出コイルのそれぞれのバランスのとれたアレイは、それぞれの直交駆動コイルが励磁され、ポインティングデバイスが存在しないとき、検出信号中に名目ゼロを発生させるようになっている。これは、時計回りの検出コイルの一つの中に直交駆動コイルによって直接誘導された任意の信号は、対応する反時計回りの検出コイル中に等しく反対向きに誘導されるという事実による。しかし、駆動コイルによって共振周波数で励磁されたポインタが検出コイルの近傍に位置していると、ポインタは、検出コイルに対するその位置に従って磁界を転送し、この磁界は検出コイル中に電圧信号を誘導する。
【0054】
図3は、実施態様例における検出グリッドのY部分および駆動グリッドのY部分の構成を示す。この実施態様では、説明のために、検出グリッドは、4相非重複型としてある。この動作技法は、多くの種類の普通に用いられるグリッドまたはマトリックストポロジーに適しており、上記で考察したように、ポインタが存在しないとき、名目ゼロ検出電圧であるように検出コイルが配置されるトポロジーに特に適している。
【0055】
これらのY検出グリッドは、ディスプレイ表面全体で数回繰り返される相互接続パターンを有し、通常それぞれの繰り返しはピッチと呼ばれる。任意の構成で必要なピッチの数は、それぞれのピッチの幅およびディスプレイ表面のサイズによる。検出グリッドによって、プロセッサがピッチ内のポインタの位置を高い分解能で決定することが可能になる。これは、以下のように実現される。
【0056】
検出コイルからの4つの位相信号は、同期復調器によって増幅および復調され、DC電圧レベルを発生させる。DC電圧レベルは、検出コイルからの復調AC信号の振幅に比例する。DC電圧レベルは、次にアナログディジタル変換器(図示せず)によってディジタル値に変換され、プロセッサに送られる。プロセッサは4つの数(4つの異なる位相のコイルを表す)にベクトル和を施し、これから、4つのコイルに対する、すなわち特定のピッチの中でのポインティングデバイスの正確な位置が決定される。
【0057】
しかし、検出マトリックスからの信号だけでは、プロセッサはこの情報だけからポインタがどのピッチ中に信号を誘導しているかを知ることができないので、ポインタの絶対位置を決定することはできない。
【0058】
ポインティングデバイスからの信号が誘導されるピッチを決定するために、適切な駆動コイルを選択的に励磁することが必要である。駆動コイルの数は、ピッチの数に等しいか、またはピッチの数より多い。例えば、X軸方向のピッチを決定するために、プロセッサはX駆動コイルに選択的にエネルギーを与え、選択されたX駆動コイルのそれぞれについて、Y検出コイル中に誘導される信号のピーク振幅および位相を決定する。この振幅および位相情報から、Xピッチが決定される。
【0059】
反対に、Y駆動コイルを選択し、X検出コイルを分析することによって、Yピッチが決定される。
【0060】
以上のように、ホワイトボードアセンブリ装置を備えるインタラクティブディスプレイシステムの機能構造および動作を説明した。
【0061】
次に、図4から13を参照して、図1のホワイトボードアセンブリ装置102の製造のための有利な技法を説明する。
【0062】
図4(a)および4(b)を参照して、基板400は、その第一の表面402上にホワイトボード用の作業表面を提供する。従って、使用するとき、第一の表面402は、例えばコンピュータ画像が表示され、ペンが往来するなどの作業表面を提供する表面である。従って、この表面は、図1のディスプレイ表面114に対応する。基板400は、表面402の反対側に第二の表面404を有する。
【0063】
基板400は、事実上ホワイトボード構成の作業表面を形成する。
【0064】
図4(b)によって詳しく例示されるように、基板は、一般に長方形の形状であり、二つの表面402と404との間の距離を定める厚さを有する。
【0065】
基板400の好ましい厚さは、0.8mmから1.5mmの範囲にある。基板400の好ましい材料は、高圧ラミネートである。
【0066】
基板400の作業表面402は、好ましくは適当な保護コート(図示していない)で被覆される。これは、好ましくは本明細書中で説明される組立てプロセスに先立って塗布される。このコーティングプロセスのための好ましい技法は、ローラープロセス技法である。
【0067】
図5(a)および5(b)をさらに参照すると、第二の表面404には、好ましくはその上に接着剤層406が設けられる。この接着剤層は乾燥層である。接着剤層406の好ましい厚さは0.5mmから1.5mmの範囲にある。接着剤層406の好ましい材料は、エチレン酢酸ビニル(EVA)ホットメルト接着剤である。接着剤層を塗布するための好ましい技法は、ローラープロセス技法を用いるコーティングである。接着剤は、好ましくは低コスト接着剤である。
【0068】
図6(a)および6(b)は、ワイヤグリッドまたはアレイ408を例示する。ワイヤグリッドまたはアレイは、ホワイトボード用の駆動およびセンサコイルを含む。センサ/駆動コイルの構築および構成は、必要な実体化に従う。好ましい実体化では、上記で説明したように、ワイヤグリッドはXおよびY配向センサコイルの組と、XおよびY配向駆動コイルの組とを含む。従って、グリッド408は、4つのオーバーレイ型のワイヤグリッドを含むことができる。XおよびY配向とは、ホワイトボード面に対する軸方向を指し、使用時、X方向は水平方向であり、Y方向は垂直方向である。
【0069】
実際のグリッド構造は実体化に依存し、本明細書中で詳細に説明されるグリッド構造は、例を示すためのものでしかない。任意の検出コイルまたは駆動コイルの構成を用いてよい。本明細書中で説明される例は、パッシブなポインティングデバイスの例であるが、アクティブな(独立にエネルギーを付与される)ポインティングデバイスを有するシステムが提供されてもよいことに注意するべきである。そのようなシステムには、検出グリッドだけを設ければよく、駆動グリッドはまったく設けなくてよい。
【0070】
従って、本明細書中で説明される製造プロセスは、任意のグリッド構造の場合に利用してよいと理解するべきである。
【0071】
グリッドまたはアレイ408は、好ましくは導電性ワイヤで形成される。グリッドを形成させるためのプロセスは、任意の利用可能なプロセス、好ましくは自動化プロセスであってよい。
【0072】
当業者に十分理解されているように、グリッド構造のワイヤが正確に配置され、正確に位置を保持することがグリッド構造の重要な特性である。
【0073】
ワイヤグリッド408の側は、コイルアレイのループバックポイントによって定められる。さらに、参照番号410によって全体として示されるように、出力を供給するセンサコイルの末端と、入力が供給される駆動コイル(設けられているとき)の末端とが、アレイ408の一隅に配置される。これらは、本明細書中下記でさらに説明されるように、組み立てプロセスの後の段階で電子制御装置に接続される。
【0074】
ワイヤグリッド408の好ましい厚さは、0.2mmから1mmの範囲にある。ワイヤグリッド108の好ましい材料は、エナメル被覆銅ワイヤである。
【0075】
次に、図7(a)および7(b)を参照すると、基板400およびワイヤグリッド408は、あらかじめ塗布された接着剤層406を有する基板400の第二の表面404が、ワイヤグリッド408と向き合う、すなわち、接着剤が塗布された基板の平らな表面がワイヤグリッドの表面に向き合うように配置される。好ましくは、基板400は、第二の表面404を上向きにして水平な位置に保持される。ワイヤグリッド408は、基板100の第二の表面404上一定の距離に配置される。
【0076】
矢印412によって示されるように、基板400は、ワイヤグリッド408の方に一定距離上昇させられる。好ましくは、基板の第一の表面402に対してフェルトパッド414が配置され、基板が上昇させられるとき上昇させる力に対して弾性を提供し、第二の表面404上の接着剤層106に付随することがある一定量の凹凸を吸収する。従って、接着剤406があらかじめ塗布された基板100の第二の表面104は、ワイヤグリッド408に対して押し付けられるか、または合わせられる。次に、これらの二つの構造物は貼り合わせられる。
【0077】
次に、接着剤層406は再加熱される。図8(a)および8(b)は、接着剤層の再加熱の前に得られる構造を例示している。
【0078】
本プロセスの一部として、接着剤層406は、好ましくは赤外線ヒーターを用いて活性化または再活性化される。ヒーターは、好ましくは接着剤を約110℃のオーダーの温度に加熱する。しかし、リフロー温度は、対象となるホットメルト接着剤の正確な調合によって定まる。用いられる温度および加熱時間は、用いられる材料の特性に適合している必要がある。
【0079】
再加熱の結果、接着剤は、ワイヤグリッドを基板400の第二の側404に結合させる。再加熱によって、このようにして結合したワイヤグリッドおよび基板への円滑な表面仕上げが得られる。均一な厚さの層も実現される。図9(a)および9(b)で分かるように、ワイヤグリッド108は、ホワイトボード400の表面404に取り付けられた接着剤406の中に埋め込まれている。
【0080】
接着剤は、再加熱によって活性化または再活性化された後、放冷される。接着剤は、冷えると剛直になり、ワイヤグリッドのワイヤは正確な位置に保持される。
【0081】
層406に用いられる接着剤の特性は、その接着剤が、好ましくは『通常の』ホワイトボード操作の作業温度で、製造時に定められた正確な位置からグリッドのワイヤを移動させないように硬い方がよいということである。言い換えると、装置の『通常の』作業温度で、接着剤は剛直である。ホワイトボードシステムの『通常の』作業温度は、その使用によって定められる。
【0082】
表面の上で得られる平滑仕上げの結果として、結合した構成は、別の基板と直接組み合わせることができる。従って、結合した構成の表面サイズに対応する表面サイズを有する別の基板を、結合した構成に貼り合わせることができる。これは、図10(a)および10(b)によって例示される。
【0083】
別の基板は、ディスプレイ表面の物理的な堅牢さを提供する。一般に、基板400は、単独ではそれ自体の使用のために十分に堅牢ではない。当業者が理解しているように、基板400の厚さは、ポインティングデバイスとグリッドとの間の電磁相互作用を可能にする必要によって、必要な場合には少なくともある程度限定されることがあることに注意するべきである。
【0084】
図10(a)および10(b)を参照すると、結合した構成は、それに取り付けられたグリッドアレイと接着剤との組み合わせを有する基板400を含み、参照番号420によって全体として示される。
【0085】
結合した構成に接して、一方の表面の上に感圧ホットメルト接着剤層424が設けられている別の基板422が配置される。結合した構成の上の感圧接着剤層424は、基板400の上のグリッドアレイと接着剤との組み合わせ420に向かい合うように構成される。
【0086】
別の基板422の好ましい厚さは、15mmから30mmの範囲にある。別の基板の好ましい構造は、ハニカム紙または硬質プラスチックフォームなどの厚いコア材料の向かい合う面に結合した、ガラス強化ポリエステル(GRP)またはガラス繊維ラミネートなどの張力的に強い材料の、好ましくは0.5mmから1.5mmの範囲の厚さの二枚の薄いシートで構成されるコンポジットパネルである。
【0087】
感圧接着剤層424による別の基板422のコーティングは、好ましくはローラコータまたはスロットダイコータを用いて実現される。好ましい接着剤コーティング温度は、約120℃のオーダーである。しかし、コーティング温度は、対象とするホットメルト接着剤の正確な調合によって定まる。用いられる温度および加熱時間は、用いられる材料の特性に適合する必要がある。
【0088】
感圧接着剤層424の好ましい厚さは、0.2mmから0.8mmの範囲にある。感圧接着剤層の好ましい材料は、合成重合体またはゴム系接着剤である。
【0089】
次に、結合した構成と別の基板とをラミネーター中で一緒にプレスして、図11(a)および11(b)中に例示されるように、ラミネート構造を形成させる。このラミネート構造は、好ましくは圧力だけによって形成される。
【0090】
図11(a)および11(b)で分かるように、実際には、ワイヤのループ末端であるワイヤグリッドの末端部は、ラミネート構造の末端部を超えて張り出し、ワイヤグリッドは基板および別の基板より若干大きく張り出す。別の工程で、これらの末端部を、図12(a)および(b)に例示されるように、別の基板422の上に折り返す。
【0091】
別の工程で、ラミネート構造に、側面押し出し品をかぶせる。図13(a)および13(b)を参照すると、側面押し出し品426は、図12で形成された構造の辺に、基板構造全体に丸められた仕上げを提供するように取り付けられていることが分かる。このようにして、すべての電気素子を隠し、保護して、基板構造が仕上げられる。
【0092】
図には示されていないが、最終工程で、電子制御ボックスは、グリッドアレイに接続されたさまざまなワイヤ410を介してホワイトボードに接続されたアセンブリに取り付けられる。この電子制御ボックスは、ホワイトボードアセンブリ構成の隅に、好ましくはディスプレイ表面の背後に取り付けてもよい。ディスプレイ表面は、ディスプレイ表面の背後に赤外線センサを取り付けることができるようにする『窓』がその中に設けられてもよい。任意の制御装置の特定の構成、およびシステムによって提供される機能は、実体化に依存し、本発明の範囲外である。
【0093】
本明細書の説明は、ホワイトボードアセンブリ構成を組み込んでいるインタラクティブディスプレイシステムについて提示されているが、本発明はそのようなものに限定されないことに注意するべきである。本発明は、全体としてインタラクティブ入力/出力デバイスに適用され、例えば、インタラクティブディスプレイシステム中で用いることができるようなグラフィックスタブレットの製造に適用することができる。本発明は、グリッドアレイが設けられている任意の種類のインタラクティブディスプレイにも適用され、例えば、タッチ感知インタラクティブディスプレイを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】インタラクティブディスプレイシステムの例を図示する。
【図2a】インタラクティブディスプレイシステムのホワイトボード装置構造の機能要素の例を図示する。
【図2b】図2(a)のホワイトボード装置構造に用いられるポインティングデバイスの機能構造の例を図示する。
【図3】図2(a)のホワイトボード装置構造ともに用いられるインタラクティブ表面のグリッドアレイの一部分を図示する。
【図4】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図5】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図6】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図7】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図8】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図9】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図10】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図11】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図12】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図13】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタラクティブディスプレイシステムに関し、より詳しくは、そのようなシステム用のインタラクティブ表面の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インタラクティブディスプレイシステムの代表的な例は、電子ホワイトボードシステムである。一般に、電子ホワイトボードシステムは、ホワイトボードの作業表面に対するポインタデバイスの相対位置を検出するのに適し、この作業表面がインタラクティブ表面である。ホワイトボードの作業表面に画像が表示され、画像の位置が較正されていれば、ホワイトボードの表面上でポインタを移動させることによって、コンピュータマウスと同じようにポインタを用いてディスプレイ上のオブジェクトを操作することができる。
【0003】
インタラクティブホワイトボードシステムの一般的な用途は、教育的な環境にある。インタラクティブホワイトボードを使用することによって、教えることの生産性が高まり、学生の理解しやすさも改善される。そのようなホワイトボードによって、良質なディジタル教材を使用することも可能になり、オーディオビジュアル技術を用いてデータを操作し提示することが可能になる。
【0004】
電子ホワイトボードの一般的な構築は、ホワイトボードの作業表面の背後または下に駆動および検出コイルのアレイまたはマトリックスを設け、それによってインタラクティブ表面を形成させることを含む。これらのコイルは、ポインタデバイス中の電磁素子と相互作用する。ボードのインタラクティブ表面に対するポインタの相対位置を正確に決定するためには、駆動および検出コイルの複雑なアレイが必要であり、そのようなアレイを正確に製造することは、ホワイトボードの動作に欠かせない。詳しくは、ホワイトボードの信頼できる大量生産を提供するために、好ましくはそのようなアレイの迅速で正確な製造プロセスを提供する必要がある。
【0005】
先行技術にはさまざまな弱点があることが知られている。製造プロセス自体のコストが高額であり、製造プロセスはそのさまざまな工程を完了するために必要な時間によって制約を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インタラクティブ表面の製造のためのより安価および/またはより迅速な技法を提供することが、本発明の目的である。
【0007】
インタラクティブディスプレイシステムのインタラクティブ表面、例えばそのようなシステムに用いられる作業表面の製造のための進歩した技法を提供することが、本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、基板の一方の側に接着剤表面を設ける工程、前記接着剤表面近くにグリッドアレイを設ける工程、接着剤表面を加熱してそれを活性化/再活性化させる工程、およびグリッドアレイを基板の上記一方の側に結合させる工程を含む、インタラクティブ表面を製造する方法が提供される。
【0009】
特長として、本発明の方法は、迅速で、高信頼性で、コスト効果のよい製造の方法を提供する。
【0010】
接着剤表面を設ける工程は、好ましくは接着剤のコーティングを塗布する工程を含み、接着剤のコーティングは、好ましくはローラープロセス技法を用いて塗布される。そのような技法によって、接着剤を迅速に塗布することができ、それによって製造プロセス全体の速度が速くなる。ローラープロセス設備の資本コストは高額であるが、以後個々の基板をコーティングするコストは先行技術技法と比較してはるかに低くなる。
【0011】
好ましくは、接着剤は低コスト接着剤を含む。ローラープロセス技法によって、低コスト接着剤の使用が可能になる。先行技術では、そのような製造プロセスで基板への接着剤の塗布に用いられる技法は、接着剤を塗布するために用いられる不利な技法が原因となって、一般に高価な接着剤を必要とする。
【0012】
接着剤層を加熱する工程は、好ましくは赤外線加熱を含む。一般に、本発明による加熱工程は、基板の表面上で均一な接着剤の分布を提供し、平滑な接着剤表面を与える。これによって、グリッドに結合させるために接着面が設けられるとき、良好な接触が確保される。
【0013】
好ましくは、グリッドアレイを基板の一方の側に結合させる工程は、グリッドアレイおよび基板を貼り合わせることを含む。
【0014】
活性化/再活性化プロセスに備えて均一で平滑な接着剤表面を設けることによって、結合プロセスの時間は最小化される。
【0015】
好ましくは、本方法は、接着剤層の表面のあらゆる凹凸を吸収するように、貼り合わせる力に弾性を付与する工程を含む。しかし、そのような凹凸は、本発明の技法によって先行技術プロセスと比較して著しく減少する。
【0016】
弾性を付与する工程は、貼り合わせる力が加えられる、基板の他方の側に弾性層を設けることを含んでもよい。
【0017】
一般に、本発明の製造プロセスは、インタラクティブ表面を製造するのに用いることができる。この場合、基板とともにグリッド構成が提供される。基板は、好ましくはその一方の側に作業表面を提供する。
【0018】
一つの実施態様では、インタラクティブ表面は、ホワイトボードアセンブリ構造の一部分を形成する。別の実施態様では、インタラクティブ表面は、グラフィックスタブレットの一部分を形成する。
【0019】
インタラクティブ表面は、電磁ポインティングデバイスとともに動作するようにしてもよい。そのようなポインティングデバイスがパッシブであるかアクティブであるかによって、グリッドは、検出部分だけを有するか、または駆動および検出部分を有する。インタラクティブ表面は、電磁ポインティングデバイスが付属しないタッチ検出表面であってもよい。
【0020】
従って、本発明のプロセスは、以下の特徴、すなわち、速い硬化速度、別の基板の乾式での操作、基材接着剤の低いコスト、および作業表面へのグリッドの直接結合を有利に提供する。
【0021】
本発明のさらに別の様相によれば、本発明の方法によって製造されるインタラクティブ表面が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
例として、添付の図面を参照して、本発明を説明する。
【0023】
図1は、インタラクティブディスプレイシステムの例を図示する。
【0024】
図2(a)は、インタラクティブディスプレイシステムのホワイトボード装置構成の機能要素の例を図示する。
【0025】
図2(b)は、図2(a)のホワイトボード装置構成とともに用いられるポインティングデバイスの機能構造の例を図示する。
【0026】
図3は、図2(a)のホワイトボード装置構成とともに用いられるインタラクティブ表面のグリッドアレイの一部分を図示する。
【0027】
図4から13は、本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【0028】
図1を参照すると、インタラクティブディスプレイシステムの例は、参照番号102で全体として指定されるホワイトボードアセンブリ構成、付属のディスプレイ106を有するコンピュータ107、およびプロジェクタ104を含む。コンピュータ107は、通信リンク108を介してホワイトボードアセンブリ構成102に接続されると共に、通信リンク110を介してプロジェクタ104に接続される。プロジェクタ104は、教室などの部屋の天井に取り付けてもよく、コンピュータ107から信号を受け取る。この信号は、ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114に投影するために対応する投影画像に変換される。
【0029】
ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114に投影される画像は、コンピュータ107のスクリーン106に表示されるものと同じものにすることができる。
【0030】
インタラクティブディスプレイシステムは、ポインティングデバイス112で代表されるように、ホワイトボードアセンブリ構成102と協同動作する一つ以上のポインティングデバイスまたはポインタも備える。ポインティングデバイス112は、ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114と接触して、または該表面114に接近して、該表面114上を移動させられる。ホワイトボードアセンブリ構成102のディスプレイ表面114に対するポインティングデバイス112の相対位置は、一つの種類の構成では、ディスプレイ表面114の下に埋め込まれたワイヤグリッドによって電子的に検出される。ディスプレイ表面114上でポインティングデバイス112を動かして、例えば、ディスプレイ表面上に書くか、またはディスプレイ表面上に表示された画像を強調することができる。ホワイトボードアセンブリ構成と組み合わせられるそのようなポインティングデバイスの使用は、当業者には公知である。
【0031】
当分野で知られている方法を用いて、ポインティングデバイス112は、コンピュータマウスと同様に機能させることができる。ポインタには、コンピュータマウスにボタンが設けられているのとほとんど同じように、押し下げて機能動作を提供することができるボタンまたは類似物を備えることができる。例えば、ボタンの押し下げによって、ポインティングデバイス112の位置の下にある表示アイコンを選択することができる。例えば、ボタンの押し下げによって、ポインタの機能動作をペンから消しゴムに変化させることができる。
【0032】
一般に、ディスプレイ表面114上のポインティングデバイス112の動きは、埋め込まれたグリッドアレイによって検出され、そのような動きは変換され、表示画像に重ね合わせられる。これによって、プロジェクタ104によって投影されている表示画像は、当分野で知られているポインティングデバイスに付属する任意の必要な動作を表示する。
【0033】
ホワイトボードアセンブリ構成およびインタラクティブディスプレイシステムの動作のためのポインティングデバイスの構造は、いくつかの異なる実体化の一つであってよい。好ましい構成では、ホワイトボードアセンブリ構成102は、互いに直交するように構成された二組のワイヤループを含むグリッド部分をディスプレイ表面の後ろに備える。ポインティングデバイス112は、ポインティングデバイス112の位置を決定するために用いることができる電流をワイヤループ中に誘導するように構成される。特に好ましい構成では、ポインティングデバイス112は、パッシブな電磁デバイスである。すなわち、駆動グリッドがポインティングデバイス中に電流を誘導し、この電流が今度は検出グリッド中に電流を誘導する。下記で、図2(a)とともに図3を参照し、そのような構成の動作をさらに考察する。
【0034】
好ましくは、ホワイトボードアセンブリ構成102の内部に電子制御回路が設けられ、ディスプレイ表面の下のワイヤグリッドとポインティングデバイスとの協同動作によって発生する信号を処理し、これによりポインティングデバイスの位置および選択されたポインティングデバイスの任意の装備ボタンに対応する情報を決定する。
【0035】
図2(a)を参照すると、好ましいホワイトボードアセンブリ構成の機能要素の概要の例が示される。これらの機能要素は、ホワイトボードアセンブリ構成102に付属する制御回路によって提供することができる。
【0036】
ホワイトボードアセンブリ構成102の例は、駆動グリッド202および検出グリッド204を備える。駆動グリッド202は、第一の方向に配置された第一の複数の導電性コイルと、第二の方向に配置された第二の複数の導電性コイルとからなり、第二の方向は第一の方向に直交する。以下X駆動コイルと呼ばれる一つの組のコイルはX軸駆動コイルの組を提供し、以下Y駆動コイルと呼ばれる他の組のコイルはY軸駆動コイルの組を提供する。検出グリッド204は、第一の方向に配置された第一の複数の導電性コイルと、第二の方向に配置された第二の複数の導電性コイルとからなり、第二の方向は第一の方向に直交する。従って、以下X検出コイルと呼ばれる一つの組のコイルはX軸検出コイルの組を提供し、以下Y検出コイルと呼ばれる他の組のコイルはY軸検出コイルの組を提供する。
【0037】
検出グリッド204は、並べて置かれた導電性コイルのバランスのとれたアレイまたはマトリックスを備え、各コイルは、同一であるが反対巻きのコイルと対を形成し、これらのコイルは、多重相出力信号を生じるように相互接続されている。相互接続のパターンは、ホワイトボードの区域全体にわたって多数回繰り返され、完結したそれぞれのパターンは普通、「ピッチ」と呼ばれる。
【0038】
検出グリッド204は、二つの別個の独立なそのようなコイルのアレイを有する。これらのアレイは互いに直交して配置され、垂直なX軸およびY軸の位置検出を可能にする。コイルのパターンは、好ましくは導電材料の配線によって作り出される。
【0039】
駆動グリッド202も、垂直なX軸およびY軸方向に駆動するために二つの直交アレイまたはマトリックスとして形成され、検出グリッドが作製されるのと同じ技法によって作製することができる。駆動グリッドは、並べて配置された個別のコイルを含み、これらのコイルは、幅において名目的にピッチ以下である。
【0040】
駆動グリッドは接続され、X軸駆動マルチプレクサ206およびY軸駆動マルチプレクサ208から駆動信号を受け取る。X軸およびY軸駆動マルチプレクサ206および208は、XおよびY駆動コイルのひとつひとつに、それぞれ励磁電流を供給する。駆動信号は、実質的に正弦波であり、好ましくは、安定な基準周波数にロックされたプログラム可能な信号源によって発生させられる。
【0041】
駆動グリッド信号発生器210は、X軸およびY軸駆動マルチプレクサ206および208のそれぞれに駆動信号を発生させる。
【0042】
X軸およびY軸駆動マルチプレクサの動作は、X軸およびY軸駆動マルチプレクサおよび駆動グリッド信号発生器のそれぞれに制御信号を供給するプロセッサ212によって制御される。
【0043】
駆動グリッド信号発生器210は、好ましくは駆動信号のために利用できる電流を増幅する電力増幅器に結合される。駆動グリッド信号発生器210は、復調回路へのその出力としてクロック信号も供給する。
【0044】
好ましい実施態様では、ポインティングデバイス112は、同調回路を備えるデバイスである。駆動マルチプレクサが駆動グリッドのXまたはY駆動コイル中に交流を駆動すると、それに伴う変化磁場は、ポインティングデバイスの同調回路中に電圧信号を誘導する。その結果生じるポインタ中の誘導電流は、磁場を発生させ、この磁場は、検出グリッドのXおよびY検出コイル中に電圧信号を誘導する。
【0045】
図2(b)を参照して、さらに詳細にポインタを説明する。図2(b)は、図2(a)のホワイトボード装置構成と組み合わせて用いられるポインタの回路の概略を示す。ポインタは、コイル250およびキャパシタ260を備えるLC同調回路を含む。同調回路と並列に一つ以上のスイッチ付き抵抗器がある。図2(b)では、同調回路と並列に、第一の直列組み合わせのスイッチ262aおよび抵抗器264aと、第二の直列組み合わせのスイッチ262bおよび抵抗器264bとが示されている。ポインタがスタイラスまたはペンの形のとき、抵抗器はスタイラスチップによって軸方向に、またはボタンを用いて半径方向に切り替えてもよい。
【0046】
使用時、励磁電流によって駆動グリッドのコイル中に発生した周波数f1の交番磁界は、ポインタの同調回路に作用し、ポインタの同調開路の共振周波数はほぼf1に設定される。これは同調回路を共振させ、コイル250によって発生した磁場は検出グリッド中に電圧信号を誘導する。抵抗器は切り替えられて回路に組み込まれ、LC同調回路のQ値を変化させる。
【0047】
検出マルチプレクサ214が接続され、検出グリッド204から出力信号を受け取る。XおよびY検出コイルのひとつひとつの中に誘導された電流は、検出マルチプレクサで検出される。
【0048】
検出マルチプレクサ214は出力を供給し、出力は同期復調器216の入力に接続される。検出された電圧信号は、従って検出マルチプレクサ214によって受け取られた後、同期復調器中で復調される。同期復調器の目的は、無関係な雑音および望ましくないバックグラウンド信号をすべて排除することである。同期復調器用の復調クロックは、駆動グリッド信号発生器210から導かれる。復調クロック回路は、検出信号から区別される位相および直角位相データを供給する。
【0049】
同期復調器216の出力でディジタル信号が発生すると、プロセッサに出力される。好ましくは、プロセッサはそのような信号を処理してポインタの位置を計算する。位置情報が計算されると、さらに出力インターフェース220を介して、図1のコンピュータ106などのホストデバイスに出力される。
【0050】
プロセッサ212は、出力に接すると、駆動グリッド信号発生器210、検出マルチプレクサ214、同期復調器216のそれぞれ、XおよびY駆動マルチプレクサ206および208のそれぞれへの制御信号を発生する。
【0051】
次に、ホワイトボードアセンブリ構成102およびポインティングデバイス112の作動をさらに詳細に説明する。
【0052】
XおよびY駆動コイルは、ホワイトボードアセンブリ構成102ディスプレイ表面114に重ね合せられる。駆動グリッドの駆動コイルは、プロセッサの制御下で駆動マルチプレクサによって個別に、必要ならランダムに選択することができる。X駆動グリッドを駆動するとき、Y検出グリッドは検出マルチプレクサを介して同期復調器に接続される。反対に、Y駆動グリッドを駆動するとき、X検出マトリックスは検出マルチプレクサを介して同期復調器に接続される。
【0053】
X検出コイルおよびY検出コイルのそれぞれのバランスのとれたアレイは、それぞれの直交駆動コイルが励磁され、ポインティングデバイスが存在しないとき、検出信号中に名目ゼロを発生させるようになっている。これは、時計回りの検出コイルの一つの中に直交駆動コイルによって直接誘導された任意の信号は、対応する反時計回りの検出コイル中に等しく反対向きに誘導されるという事実による。しかし、駆動コイルによって共振周波数で励磁されたポインタが検出コイルの近傍に位置していると、ポインタは、検出コイルに対するその位置に従って磁界を転送し、この磁界は検出コイル中に電圧信号を誘導する。
【0054】
図3は、実施態様例における検出グリッドのY部分および駆動グリッドのY部分の構成を示す。この実施態様では、説明のために、検出グリッドは、4相非重複型としてある。この動作技法は、多くの種類の普通に用いられるグリッドまたはマトリックストポロジーに適しており、上記で考察したように、ポインタが存在しないとき、名目ゼロ検出電圧であるように検出コイルが配置されるトポロジーに特に適している。
【0055】
これらのY検出グリッドは、ディスプレイ表面全体で数回繰り返される相互接続パターンを有し、通常それぞれの繰り返しはピッチと呼ばれる。任意の構成で必要なピッチの数は、それぞれのピッチの幅およびディスプレイ表面のサイズによる。検出グリッドによって、プロセッサがピッチ内のポインタの位置を高い分解能で決定することが可能になる。これは、以下のように実現される。
【0056】
検出コイルからの4つの位相信号は、同期復調器によって増幅および復調され、DC電圧レベルを発生させる。DC電圧レベルは、検出コイルからの復調AC信号の振幅に比例する。DC電圧レベルは、次にアナログディジタル変換器(図示せず)によってディジタル値に変換され、プロセッサに送られる。プロセッサは4つの数(4つの異なる位相のコイルを表す)にベクトル和を施し、これから、4つのコイルに対する、すなわち特定のピッチの中でのポインティングデバイスの正確な位置が決定される。
【0057】
しかし、検出マトリックスからの信号だけでは、プロセッサはこの情報だけからポインタがどのピッチ中に信号を誘導しているかを知ることができないので、ポインタの絶対位置を決定することはできない。
【0058】
ポインティングデバイスからの信号が誘導されるピッチを決定するために、適切な駆動コイルを選択的に励磁することが必要である。駆動コイルの数は、ピッチの数に等しいか、またはピッチの数より多い。例えば、X軸方向のピッチを決定するために、プロセッサはX駆動コイルに選択的にエネルギーを与え、選択されたX駆動コイルのそれぞれについて、Y検出コイル中に誘導される信号のピーク振幅および位相を決定する。この振幅および位相情報から、Xピッチが決定される。
【0059】
反対に、Y駆動コイルを選択し、X検出コイルを分析することによって、Yピッチが決定される。
【0060】
以上のように、ホワイトボードアセンブリ装置を備えるインタラクティブディスプレイシステムの機能構造および動作を説明した。
【0061】
次に、図4から13を参照して、図1のホワイトボードアセンブリ装置102の製造のための有利な技法を説明する。
【0062】
図4(a)および4(b)を参照して、基板400は、その第一の表面402上にホワイトボード用の作業表面を提供する。従って、使用するとき、第一の表面402は、例えばコンピュータ画像が表示され、ペンが往来するなどの作業表面を提供する表面である。従って、この表面は、図1のディスプレイ表面114に対応する。基板400は、表面402の反対側に第二の表面404を有する。
【0063】
基板400は、事実上ホワイトボード構成の作業表面を形成する。
【0064】
図4(b)によって詳しく例示されるように、基板は、一般に長方形の形状であり、二つの表面402と404との間の距離を定める厚さを有する。
【0065】
基板400の好ましい厚さは、0.8mmから1.5mmの範囲にある。基板400の好ましい材料は、高圧ラミネートである。
【0066】
基板400の作業表面402は、好ましくは適当な保護コート(図示していない)で被覆される。これは、好ましくは本明細書中で説明される組立てプロセスに先立って塗布される。このコーティングプロセスのための好ましい技法は、ローラープロセス技法である。
【0067】
図5(a)および5(b)をさらに参照すると、第二の表面404には、好ましくはその上に接着剤層406が設けられる。この接着剤層は乾燥層である。接着剤層406の好ましい厚さは0.5mmから1.5mmの範囲にある。接着剤層406の好ましい材料は、エチレン酢酸ビニル(EVA)ホットメルト接着剤である。接着剤層を塗布するための好ましい技法は、ローラープロセス技法を用いるコーティングである。接着剤は、好ましくは低コスト接着剤である。
【0068】
図6(a)および6(b)は、ワイヤグリッドまたはアレイ408を例示する。ワイヤグリッドまたはアレイは、ホワイトボード用の駆動およびセンサコイルを含む。センサ/駆動コイルの構築および構成は、必要な実体化に従う。好ましい実体化では、上記で説明したように、ワイヤグリッドはXおよびY配向センサコイルの組と、XおよびY配向駆動コイルの組とを含む。従って、グリッド408は、4つのオーバーレイ型のワイヤグリッドを含むことができる。XおよびY配向とは、ホワイトボード面に対する軸方向を指し、使用時、X方向は水平方向であり、Y方向は垂直方向である。
【0069】
実際のグリッド構造は実体化に依存し、本明細書中で詳細に説明されるグリッド構造は、例を示すためのものでしかない。任意の検出コイルまたは駆動コイルの構成を用いてよい。本明細書中で説明される例は、パッシブなポインティングデバイスの例であるが、アクティブな(独立にエネルギーを付与される)ポインティングデバイスを有するシステムが提供されてもよいことに注意するべきである。そのようなシステムには、検出グリッドだけを設ければよく、駆動グリッドはまったく設けなくてよい。
【0070】
従って、本明細書中で説明される製造プロセスは、任意のグリッド構造の場合に利用してよいと理解するべきである。
【0071】
グリッドまたはアレイ408は、好ましくは導電性ワイヤで形成される。グリッドを形成させるためのプロセスは、任意の利用可能なプロセス、好ましくは自動化プロセスであってよい。
【0072】
当業者に十分理解されているように、グリッド構造のワイヤが正確に配置され、正確に位置を保持することがグリッド構造の重要な特性である。
【0073】
ワイヤグリッド408の側は、コイルアレイのループバックポイントによって定められる。さらに、参照番号410によって全体として示されるように、出力を供給するセンサコイルの末端と、入力が供給される駆動コイル(設けられているとき)の末端とが、アレイ408の一隅に配置される。これらは、本明細書中下記でさらに説明されるように、組み立てプロセスの後の段階で電子制御装置に接続される。
【0074】
ワイヤグリッド408の好ましい厚さは、0.2mmから1mmの範囲にある。ワイヤグリッド108の好ましい材料は、エナメル被覆銅ワイヤである。
【0075】
次に、図7(a)および7(b)を参照すると、基板400およびワイヤグリッド408は、あらかじめ塗布された接着剤層406を有する基板400の第二の表面404が、ワイヤグリッド408と向き合う、すなわち、接着剤が塗布された基板の平らな表面がワイヤグリッドの表面に向き合うように配置される。好ましくは、基板400は、第二の表面404を上向きにして水平な位置に保持される。ワイヤグリッド408は、基板100の第二の表面404上一定の距離に配置される。
【0076】
矢印412によって示されるように、基板400は、ワイヤグリッド408の方に一定距離上昇させられる。好ましくは、基板の第一の表面402に対してフェルトパッド414が配置され、基板が上昇させられるとき上昇させる力に対して弾性を提供し、第二の表面404上の接着剤層106に付随することがある一定量の凹凸を吸収する。従って、接着剤406があらかじめ塗布された基板100の第二の表面104は、ワイヤグリッド408に対して押し付けられるか、または合わせられる。次に、これらの二つの構造物は貼り合わせられる。
【0077】
次に、接着剤層406は再加熱される。図8(a)および8(b)は、接着剤層の再加熱の前に得られる構造を例示している。
【0078】
本プロセスの一部として、接着剤層406は、好ましくは赤外線ヒーターを用いて活性化または再活性化される。ヒーターは、好ましくは接着剤を約110℃のオーダーの温度に加熱する。しかし、リフロー温度は、対象となるホットメルト接着剤の正確な調合によって定まる。用いられる温度および加熱時間は、用いられる材料の特性に適合している必要がある。
【0079】
再加熱の結果、接着剤は、ワイヤグリッドを基板400の第二の側404に結合させる。再加熱によって、このようにして結合したワイヤグリッドおよび基板への円滑な表面仕上げが得られる。均一な厚さの層も実現される。図9(a)および9(b)で分かるように、ワイヤグリッド108は、ホワイトボード400の表面404に取り付けられた接着剤406の中に埋め込まれている。
【0080】
接着剤は、再加熱によって活性化または再活性化された後、放冷される。接着剤は、冷えると剛直になり、ワイヤグリッドのワイヤは正確な位置に保持される。
【0081】
層406に用いられる接着剤の特性は、その接着剤が、好ましくは『通常の』ホワイトボード操作の作業温度で、製造時に定められた正確な位置からグリッドのワイヤを移動させないように硬い方がよいということである。言い換えると、装置の『通常の』作業温度で、接着剤は剛直である。ホワイトボードシステムの『通常の』作業温度は、その使用によって定められる。
【0082】
表面の上で得られる平滑仕上げの結果として、結合した構成は、別の基板と直接組み合わせることができる。従って、結合した構成の表面サイズに対応する表面サイズを有する別の基板を、結合した構成に貼り合わせることができる。これは、図10(a)および10(b)によって例示される。
【0083】
別の基板は、ディスプレイ表面の物理的な堅牢さを提供する。一般に、基板400は、単独ではそれ自体の使用のために十分に堅牢ではない。当業者が理解しているように、基板400の厚さは、ポインティングデバイスとグリッドとの間の電磁相互作用を可能にする必要によって、必要な場合には少なくともある程度限定されることがあることに注意するべきである。
【0084】
図10(a)および10(b)を参照すると、結合した構成は、それに取り付けられたグリッドアレイと接着剤との組み合わせを有する基板400を含み、参照番号420によって全体として示される。
【0085】
結合した構成に接して、一方の表面の上に感圧ホットメルト接着剤層424が設けられている別の基板422が配置される。結合した構成の上の感圧接着剤層424は、基板400の上のグリッドアレイと接着剤との組み合わせ420に向かい合うように構成される。
【0086】
別の基板422の好ましい厚さは、15mmから30mmの範囲にある。別の基板の好ましい構造は、ハニカム紙または硬質プラスチックフォームなどの厚いコア材料の向かい合う面に結合した、ガラス強化ポリエステル(GRP)またはガラス繊維ラミネートなどの張力的に強い材料の、好ましくは0.5mmから1.5mmの範囲の厚さの二枚の薄いシートで構成されるコンポジットパネルである。
【0087】
感圧接着剤層424による別の基板422のコーティングは、好ましくはローラコータまたはスロットダイコータを用いて実現される。好ましい接着剤コーティング温度は、約120℃のオーダーである。しかし、コーティング温度は、対象とするホットメルト接着剤の正確な調合によって定まる。用いられる温度および加熱時間は、用いられる材料の特性に適合する必要がある。
【0088】
感圧接着剤層424の好ましい厚さは、0.2mmから0.8mmの範囲にある。感圧接着剤層の好ましい材料は、合成重合体またはゴム系接着剤である。
【0089】
次に、結合した構成と別の基板とをラミネーター中で一緒にプレスして、図11(a)および11(b)中に例示されるように、ラミネート構造を形成させる。このラミネート構造は、好ましくは圧力だけによって形成される。
【0090】
図11(a)および11(b)で分かるように、実際には、ワイヤのループ末端であるワイヤグリッドの末端部は、ラミネート構造の末端部を超えて張り出し、ワイヤグリッドは基板および別の基板より若干大きく張り出す。別の工程で、これらの末端部を、図12(a)および(b)に例示されるように、別の基板422の上に折り返す。
【0091】
別の工程で、ラミネート構造に、側面押し出し品をかぶせる。図13(a)および13(b)を参照すると、側面押し出し品426は、図12で形成された構造の辺に、基板構造全体に丸められた仕上げを提供するように取り付けられていることが分かる。このようにして、すべての電気素子を隠し、保護して、基板構造が仕上げられる。
【0092】
図には示されていないが、最終工程で、電子制御ボックスは、グリッドアレイに接続されたさまざまなワイヤ410を介してホワイトボードに接続されたアセンブリに取り付けられる。この電子制御ボックスは、ホワイトボードアセンブリ構成の隅に、好ましくはディスプレイ表面の背後に取り付けてもよい。ディスプレイ表面は、ディスプレイ表面の背後に赤外線センサを取り付けることができるようにする『窓』がその中に設けられてもよい。任意の制御装置の特定の構成、およびシステムによって提供される機能は、実体化に依存し、本発明の範囲外である。
【0093】
本明細書の説明は、ホワイトボードアセンブリ構成を組み込んでいるインタラクティブディスプレイシステムについて提示されているが、本発明はそのようなものに限定されないことに注意するべきである。本発明は、全体としてインタラクティブ入力/出力デバイスに適用され、例えば、インタラクティブディスプレイシステム中で用いることができるようなグラフィックスタブレットの製造に適用することができる。本発明は、グリッドアレイが設けられている任意の種類のインタラクティブディスプレイにも適用され、例えば、タッチ感知インタラクティブディスプレイを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】インタラクティブディスプレイシステムの例を図示する。
【図2a】インタラクティブディスプレイシステムのホワイトボード装置構造の機能要素の例を図示する。
【図2b】図2(a)のホワイトボード装置構造に用いられるポインティングデバイスの機能構造の例を図示する。
【図3】図2(a)のホワイトボード装置構造ともに用いられるインタラクティブ表面のグリッドアレイの一部分を図示する。
【図4】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図5】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図6】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図7】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図8】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図9】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図10】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図11】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図12】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【図13】本発明の好ましい実施態様におけるホワイトボードの組み立ての段階を図示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の側に接着剤表面を設ける工程、前記接着剤表面近くにグリッドアレイを設ける工程、前記接着剤表面を加熱してそれを活性化/再活性化させる工程、および前記グリッドアレイを基板の前記一方の側に結合させる工程を含む、インタラクティブ表面を製造する方法。
【請求項2】
接着剤表面を提供する前記工程は、接着剤のコーティングを塗布する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コーティングを塗布する前記工程は、ローラープロセス技法を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤は、低コスト接着剤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤は、前記インタラクティブ表面の動作温度で硬質である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板の他方の側は作業表面を形成する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記作業表面に保護コーティングを塗布する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記保護コーティングを塗布する工程は、ローラープロセス技法を用いる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤の層を加熱する工程は、赤外線加熱を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記グリッドアレイを前記基板の前記一方の面に結合させる工程は、前記基板と前記グリッドアレイとを貼り合わせることを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記接着剤層の前記表面中のあらゆる凹凸を吸収するように、前記貼り合わせる力に弾性を付与する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
弾性を付与する前記工程は、押し付ける力が加えられる前記ボードの前記他方の表面に弾性層を設けることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記結合した構造は、前記ボードの前記一方の側に平滑な表面を付与する、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記結合した構造は、前記ボードの前記一方の側に均一な表面を付与する、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱工程の結果、前記グリッドは前記接着剤中に埋め込まれ、それによって前記ボードの前記一方の表面に固定される、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記結合した構成に別の基板を結合させる工程をさらに含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記別の基板には、その一方の側に感圧ホットメルト接着剤層が設けられ、この側は前記結合した構成の前記一方の側に向かい合うように配置され、前記方法は、前記基板および結合した構成とを押し付け合わせてラミネート構造を形成させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記結合した構成から張り出している前記グリッドの任意の部分を前記別の基板上に折り返す工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ラミネート構造の辺の周りに側面押し出し品を取り付ける工程をさらに含む、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記インタラクティブ表面は、ホワイトボードアセンブリ構成である、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記インタラクティブ表面は、グラフィクスタブレットである、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項において定められる方法によって製造されるインタラクティブ表面。
【請求項23】
図4から13の任意の一つを参照して本明細書中に記載されるか、あるいは図4から13の任意の一つに示される、インタラクティブ表面または前記インタラクティブ表面の製造方法。
【請求項1】
基板の一方の側に接着剤表面を設ける工程、前記接着剤表面近くにグリッドアレイを設ける工程、前記接着剤表面を加熱してそれを活性化/再活性化させる工程、および前記グリッドアレイを基板の前記一方の側に結合させる工程を含む、インタラクティブ表面を製造する方法。
【請求項2】
接着剤表面を提供する前記工程は、接着剤のコーティングを塗布する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コーティングを塗布する前記工程は、ローラープロセス技法を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤は、低コスト接着剤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤は、前記インタラクティブ表面の動作温度で硬質である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板の他方の側は作業表面を形成する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記作業表面に保護コーティングを塗布する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記保護コーティングを塗布する工程は、ローラープロセス技法を用いる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤の層を加熱する工程は、赤外線加熱を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記グリッドアレイを前記基板の前記一方の面に結合させる工程は、前記基板と前記グリッドアレイとを貼り合わせることを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記接着剤層の前記表面中のあらゆる凹凸を吸収するように、前記貼り合わせる力に弾性を付与する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
弾性を付与する前記工程は、押し付ける力が加えられる前記ボードの前記他方の表面に弾性層を設けることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記結合した構造は、前記ボードの前記一方の側に平滑な表面を付与する、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記結合した構造は、前記ボードの前記一方の側に均一な表面を付与する、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱工程の結果、前記グリッドは前記接着剤中に埋め込まれ、それによって前記ボードの前記一方の表面に固定される、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記結合した構成に別の基板を結合させる工程をさらに含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記別の基板には、その一方の側に感圧ホットメルト接着剤層が設けられ、この側は前記結合した構成の前記一方の側に向かい合うように配置され、前記方法は、前記基板および結合した構成とを押し付け合わせてラミネート構造を形成させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記結合した構成から張り出している前記グリッドの任意の部分を前記別の基板上に折り返す工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ラミネート構造の辺の周りに側面押し出し品を取り付ける工程をさらに含む、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記インタラクティブ表面は、ホワイトボードアセンブリ構成である、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記インタラクティブ表面は、グラフィクスタブレットである、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項において定められる方法によって製造されるインタラクティブ表面。
【請求項23】
図4から13の任意の一つを参照して本明細書中に記載されるか、あるいは図4から13の任意の一つに示される、インタラクティブ表面または前記インタラクティブ表面の製造方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−260553(P2006−260553A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−49728(P2006−49728)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(506066973)プロメテアン テクノロジーズ グループ リミテド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49728(P2006−49728)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(506066973)プロメテアン テクノロジーズ グループ リミテド (2)
【Fターム(参考)】
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