説明

インターネットファクシミリ装置

【課題】 標準フォーマット画データとオリジナル画データにあまり差がない場合に、オリジナル画データの要求に伴う実質上無用な通信の発生を防止可能な受信側のインターネットファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るインターネットファクシミリ装置1Bは、送信側インターネットファクシミリ装置からオリジナル画データのフォーマット情報と標準フォーマット画データを含む電子メールを受信し、自装置の受信能力情報を記述した電子メールを返信した後に、送信側から受信能力情報に基づいてオリジナル画データを電子メールにて受信する機能を備え、オリジナル画データのフォーマット情報に基づいてオリジナル画データの要求を行うか否かを判断する判断手段と、判断手段の判断基準を標準フォーマット画データとオリジナル画データの差に基づいて設定する設定手段と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールにより画データの送受信を行うインターネットファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子メールで画データの送受信を行うインターネットファクシミリ装置においては、送受信の際に用いられる画データを、符号化形式がMH(ModifiedHuffman)、解像度が200dpi、記録紙サイズがA4のフォーマットに標準化し、この標準化した画データ(以下「標準フォーマット画データ」という)を電子メールに添付して送受信動作を行い、1度の電子メール送受信で画データの送受信が完了する方式が用いられてきた。この方式では、インターネットファクシミリ装置に、例えば200dpiより高い解像度或いはA4より大きな記録紙サイズなどの高品質な画データの送受信能力があったとしても、高品質な画データの送受信を行うことができなかった。そのため、送信側のインターネットファクシミリ装置と受信側のインターネットファクシミリ装置の間で、受信側のインターネットファクシミリ装置が受信可能な解像度或いは記録紙サイズなどの画データのフォーマットに関する情報(以下「受信能力情報」という)を交換し、受信側のインターネットファクシミリ装置の受信能力に応じて高品質なオリジナル画データを送受信する受信能力交換型インターネットファクシミリ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、受信能力交換型インターネットファクシミリ装置の画データの送受信における動作を、図16に示すシーケンス図に基づいて説明する。なお、電子メールによって通信可能に接続された送信側の受信能力交換型インターネットファクシミリ装置と受信側の受信能力交換型インターネットファクシミリ装置をそれぞれ、送信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置、受信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置という。
【0004】
まず、送信側受信能力交換側インターネットファクシミリ装置は、原稿をオリジナル画データとして読み込み記憶する(T61)。このオリジナル画データは例えば、解像度が400dpi、記録紙サイズB4、符号化方式MRという画データフォーマットを持つ標準フォーマット画データに比べて高品質な画データである。
【0005】
次に、送信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置は、前記オリジナル画データから標準フォーマット画データを作成し(T62)、この標準フォーマット画データを、オリジナル画データのフォーマットに関する情報と受信能力情報を通知するよう促すメッセージを記述した電子メールに添付して、受信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置に送信する(T63)。
【0006】
一方、T63で送信された電子メールを受信した受信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置は、前記メッセージに従い、自装置の受信能力情報とオリジナル画データの送信を要求するメッセージを記述した電子メールを、送信側インターネットファクシミリ装置に返信する(T64)。
【0007】
次に、T64で返信された電子メールを受信した送信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置は、該電子メールに記述された受信側能力交換型インターネットファクシミリ装置の受信能力情報を読み取り、オリジナル画データを電子メールに添付して受信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置に送信する(T66)。なお、ここでの処理では、読み取った受信側能力交換型インターネットファクシミリ装置の受信能力情報に応じて、オリジナル画データとも標準フォーマット画データとも異なる第3のフォーマットの高品質な画データをオリジナル画データから作成して(T65)、オリジナル画データの代わりに電子メールに添付して送信する場合もある。ただし、本明細書中ではここでの処理で作成され添付される第3のフォーマットの高品質な画データは、オリジナル画データという呼称に含めるものとする。
【0008】
一方、T66で送信された電子メールを受信した受信側受信能力交換型インターネットファクシミリ装置は、該電子メールに添付されているオリジナル画データを印字出力する(T67)こととなる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−197247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このような受信能力交換型インターネットファクシミリ装置を構成する受信側のインターネットファクシミリ装置は、標準フォーマット画データとオリジナル画データにあまり差がない場合でも送信側インターネットファクシミリ装置に対してオリジナル画データの要求を行うため、実質上無用な通信を行うことになるという問題がある。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、標準フォーマット画データとオリジナル画データにあまり差がない場合に、オリジナル画データの要求に伴う実質上無用な通信の発生を防止可能な受信側のインターネットファクシミリ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前項の目的を達するため、本願のインターネットファクシミリ装置は、送信側インターネットファクシミリ装置からオリジナル画データのフォーマット情報と標準フォーマット画データを含む電子メールを受信し、自装置の受信能力情報を記述した電子メールを返信した後に、送信側インターネットファクシミリ装置から前記受信能力情報に基づいて前記オリジナル画データを電子メールにて受信する機能を備えたインターネットファクシミリ装置において、前記オリジナル画データのフォーマット情報に基づいて前記オリジナル画データの要求を行うか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断基準を前記標準フォーマット画データと前記オリジナル画データの差に基づいて設定する設定手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願のインターネットファクシミリ装置は、送信側インターネットファクシミリ装置からオリジナル画データのフォーマット情報と標準フォーマット画データを含む電子メールを受信し、自装置の受信能力情報を記述した電子メールを返信した後に、送信側インターネットファクシミリ装置から前記受信能力情報に基づいて前記オリジナル画データを電子メールにて受信する機能を備えたインターネットファクシミリ装置において、前記オリジナル画データのフォーマット情報に基づいて前記オリジナル画データの要求を行うか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断基準を前記標準フォーマット画データと前記オリジナル画データの差に基づいて設定する設定手段と、を備えたことを特徴としているため、両者の画データにあまり差がない場合などにオリジナル画データの要求を行い、実質上無用な通信を行うことがなくなり、効率的な画データの受信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。なお、電子メールによって画データを受信する側のインターネットファクシミリ装置を受信側インターネットファクシミリ装置、画データを送信する側のインターネットファクシミリ装置を送信側インターネットファクシミリ装置という。
【0015】
前記受信側インターネットファクシミリ装置と前記送信側インターネットファクシミリ装置は同様のハードウエア構成を備えている。すなわち、図1のブロック図に示すように、受信側インターネットファクシミリ装置1B,及び送信側インターネットファクシミリ装置1AはCPU(中央処理装置)2、RAM(ランダムアクセスメモリー)3、ROM(リードオンリーメモリー)4、コーデック5、モデム6、NCU(ネットワークコントロールユニット)7、読取部8、記録部9、操作部10、表示部11、LAN
I/F(ローカルエリアネットワークインターフェース)12等を備えている。各装置は通信可能にバス13により接続されている。
【0016】
前記CPU2は、前記ROM4に記憶された制御プログラムに基づいて、このインターネットファクシミリ装置1A、1Bを構成する各装置を制御する。
【0017】
前記RAM3は、制御プログラムが実行時に必要とする一時的なデータを記憶するほか、標準フォーマット画データ及びオリジナル画データ、ファクシミリ番号データ、電子メールアドレス、制御時に参照される設定テーブル等の各種設定などを記憶する記憶装置として機能する。またRAM3はメモリ残量検出装置として、メモリ残量検出部3aを備えており、RAM3の使用されていない部分を検出して、CPU2に使用可能なメモリ残量を通知することができるようになっている。
【0018】
前記ROM4は、ファクシミリの送受信手順或いは電子メール送受信手順等インターネットファクシミリ装置1A、1Bを制御するための制御プログラムを記憶している。
【0019】
前記コ−デック5は、前記読取部8にて読取られた画データをMH(ModifiedHuffman)、MR(Modified
Read)、MMR(Modified Modified Read)等の符号化方式にて符号化する符号化処理、もしくはファクシミリ受信或いは電子メールにより受信した画データを復号化する復号化処理を行う。
【0020】
前記モデム6は、例えばITU―T(国際電気通信連合電気通信標準化部会)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った通信データの変調及び復調を行う。
【0021】
前記NCU7は、PSTN(公衆交換電話網)14との回線の接続、切断を行う回線網制御装置である。
【0022】
前記読取部8は、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサによって原稿の濃淡を読み取って、白黒2値に変換した画データを出力する。
【0023】
前記記録部9は、例えば電子写真方式或いはインクジェット方式のものからなり、画データを記録紙上に印字出力する。例えば、前記読取部8で読み取られた原稿の画データ或いはファクシミリ受信した画データ、受信した電子メールに添付された画データ等を前記CPU2の指示により、記録紙上に印字出力する。
【0024】
また、前記記録部9には複数の記録紙収納部9aが設けられている。前記記録紙収納部9aは、図示しないが、例えば箱型カセット状の形状を持ち、各記録紙収納部毎にA4、B4サイズ等特定のサイズの記録紙を収納するようになっており、印字出力の際にはこの記録紙収納部9aから適切な記録紙を給紙し、印字出力するようになっている。さらに、これらの記録紙収容部9aには図示しないが、記録紙検出部が設けられており、記録紙収納部9aに収納されている記録紙のサイズ、記録紙の有無等をCPU2の要求に応じてCPU2に通知することができるようになっている。
【0025】
前記操作部10は、例えばファクシミリ番号等を入力するためのテンキ−10a、短縮番号から発信するための短縮キー10b、原稿の読取り動作の開始等を行うためのスタートキー10c等を備えており、各種操作はこの操作部10により行われる。
【0026】
前記表示部11は、LCD(液晶表示装置)又はCRTディスプレイ等の表示装置であり、ファクシミリ受信した画データ及び電子メールにより受信した画データの表示、或いは操作時のガイドメッセージの表示等を行う。
【0027】
前記LAN I/F12は、LAN(ローカルエリアネットワーク)15A、15Bとの接続用I/Fであり、インターネットファクシミリ装置1A、1BとLAN15A,15Bとを通信可能に接続している。インターネットファクシミリ装置1A、1Bは、このI/Fを通じて電子メールの送受信等を行う。
【0028】
前記インターネットファクシミリ装置1A、1BはG3方式等によって原稿の画データをファクシミリ送受信する機能を備えるほか、インターネット標準プロトコルであるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を実装し、画データを添付した電子メールの送受信を行うことで、画データの送受信を行うインターネットファクシミリ機能を備えている。前記電子メールは例えば、MIME(Multipurpose
Internet Mail Extensions)形式の電子メールであり、画データがbase64で符号化されて添付されているものである。
【0029】
次に、前記インターネットファクシミリ装置1A、1Bの動作を、例えば図2に示すネットワーク環境Aにおける動作において説明する。すなわち、前記受信側インターネットファクシミリ装置1BはLAN15Bを通じて、メールサーバ16B、クライアントPC17B、ルータ18Bと相互に通信可能に接続されており、送信側インターネットファクシミリ装置1Aは、LAN15Aを通じてメールサーバ16A、クライアントPC17A、ルータ18Aと相互に通信可能に接続されている。またLAN15AとLAN15Bはルータ18A,18Bを介してインターネット19により通信可能に接続されている。これにより、受信側インターネットファクシミリ装置1Bは、メールサーバ16A、16B、インターネット19等を通じて送信側インターネットファクシミリ装置1Aの送信した電子メールを受信することができ、該電子メールに添付された画データにより、画データの送受信を行うことができる。また受信側インターネットファクシミリ装置1Bは、PSTN14を通じてG3ファクシミリ20に画データをファクシミリ送信することができる。またファクシミリ受信した画データを受信側インターネットファクシミリ装置1Bで印字出力し、或いはLAN15Bを通じてクライアントPC17Bに配信することができる。
【0030】
次に、前記ネットワーク環境Aにおける前記インターネットファクシミリ装置1A、1B間の電子メールによる画データの通信手順「単純モード」「送達確認モード」「受信能力交換モード」について図3に示すシーケンス図及び図4から図9に示す電子メールの記述例に基づいて説明する。
【0031】
まず、図3(a)に示す単純モードは、送信側インターネットファクシミリ装置1Aから、例えば図4に示すような電子メールを送信し(T1)、受信側インターネットファクシミリ装置が該電子メールを受信して送受信動作を終了する。該電子メールはMIME形式の電子メールであり、相手先装置のあて先等からなる電子メールヘッダ情報21と、添付された画データ22からなる。該画データは標準フォーマット画データであり、受信側インターネットファクシミリ装置1Bで印字出力等することとなる。
【0032】
次に、図3(b)に示す送達確認モードは、送信側インターネットファクシミリ装置1Aが、例えば図5に示すような、送達を確認するため返信として返される電子メール(以下「送達確認メール」という)を返信するよう要求するメッセージ23(以下「送達確認要求メッセージ」という)を記述した電子メールに、標準フォーマット画データ22を添付したメールを作成して、受信側インターネットファクシミリ装置に送信する(T2)。図5の例では、送達確認要求メッセージ23は、「Disposition-Notification-To:」という記述による送達確認メールを要求していることを示す部分と「Sender@terminalA.ifax」という記述による送達確認メールを返信する送信側インターネットファクシミリ装置1Aのあて先からなる。
【0033】
一方、T2で送信された電子メールを受信した受信側インターネットファクシミリ装置1Bは、添付されている標準フォーマット画データを印字出力するなど処理し、前記送達確認要求メッセージ23に基づいて送達確認メールを生成し、送信側インターネットファクシミリ装置1Aに返信する(T3)。
【0034】
次に、図3(c)に示す受信能力交換モードによると、送信側インターネットファクシミリ装置1Aは、オリジナル画データから標準フォーマット画データを生成し、例えば図6に示すような、相手先装置からの所定の要求と受信能力情報の通知があった場合にオリジナル画データを送信することを示すメッセージ24と、オリジナル画データのフォーマット情報25、及び標準画データのフォーマット情報26等を記述した電子メールに、標準フォーマット画データ22を添付し受信側インターネットファクシミリ装置1Bに送信する(T4)。
【0035】
一方、この電子メールを受信した受信側インターネットファクシミリ装置1Bは、図7に示すような、オリジナル画データの送付を要求するメッセージ27と自装置の受信能力情報28、及びこの電子メールの役割を説明する説明メッセージ29等を記述した電子メールを作成し、送信側インターネットファクシミリ装置1Aに返信する(T5)。
【0036】
一方、T5の電子メールを受信した送信側インターネットファクシミリ装置1Aは、オリジナル画データを要求する前記メッセージ27に従い、図8に示すような送達確認要求メッセージ30を含む電子メールにオリジナル画データを添付し、受信側インターネットファクシミリ装置1Bに送信する(T6)。なお、従来の技術の説明において前記したように、受信能力情報に応じて、オリジナル画データとも標準フォーマット画データとも異なる第3のフォーマットの高品質な画データをオリジナル画データから作成してオリジナル画データの代わりに電子メールに添付して送信する場合もある。ただし、繰りかえしになるが、本明細書中ではここでの処理で作成され添付される第3のフォーマットの高品質な画データは、オリジナル画データという呼称に含めるものとする。
【0037】
最後に、T6で送信されたメールを受信した受信側インターネットファクシミリ装置は、前記送達確認要求メッセージ30に従って、送達確認メールを作成し、送信側インターネットファクシミリ装置1Aに送信する(T7)。該送達確認メールは、例えば図9に示すように、この電子メールの役割を説明する説明メッセージ29Aと、電子メールが送達されたことを示すメッセージ31等からなる。なお、この受信能力交換モードにおいては、受信側インターネットファクシミリ装置1Bにおいてオリジナル画データを必要としない場合等にオリジナル画データの要求が行われない場合がある。この場合、前記T5、T6、T7の手順は行われない。
【0038】
次に、前記受信能力交換モードにおける受信側インターネットファクシミリ装置の動作を図10から図12に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、これらのフローチャートに基づいて説明される動作は、前記受信側インターネットファクシミリ装置1Bにおいて、ROM4に記憶された制御プログラムに基づいてCPU2が発行する制御命令に従って行われる。前記制御命令には、CPU2が操作者による操作部の操作による指示を読み取って発行する制御命令、あらかじめRAM等に設定されている指示を読みとって発行する制御命令などが含まれる。
【0039】
まず、電子メールを受信した(S1)受信側インターネットファクシミリ装置1Bは、該電子メールの内容を解析し、該電子メールがインターネットファクシミリに使用する電子メールであり、かつ前記受信能力交換モードのT4における電子メールであるか否かを判断する(S2)。この判断は、例えば、受信した電子メールが図6に示したような電子メールであった場合は、オリジナル画データのフォーマット情報25が記述されているか否か、また自装置の受信能力情報の通知を行えばオリジナル画データを送信することを示すメッセージ24が記述されているか否か等を判断することである。
【0040】
S2で否と判断された場合は、詳述しないが、単純モード或いは送達確認モードによる画データの送受信であれば、標準フォーマット画データを印字出力する等の定められた処理を行い、解析できないようなエラーメールであれば、その旨を表示部に表示する等のエラー処理を行うなど、制御プログラムにより定められているその他の処理を行う(S8)。
【0041】
S2で受信能力交換モードの電子メールであると判断された場合には、受信側インターネットファクシミリ装置1Bは自装置の受信能力と、電子メールに記述されたオリジナル画データのフォーマット情報を比較し、自装置がオリジナル画データを受信して印字出力する能力があるか否かを判断する(S3)。ここでの判断は、例えばオリジナル画データのフォーマット情報として用紙サイズA3、解像度400dpi、符号化方式MMRのフォーマットが示された場合に、コーデック6がMMRの復号化処理に対応しているか否か、及び記録部9がA3サイズの記録紙に400dpiの解像度で印字出力可能か否かを判断することである。
【0042】
S3で自装置にオリジナル画データを受信して印字出力する能力が無いと判断した場合は、次に、自装置の能力の範囲内にオリジナル画データを変換してから印字出力するか否かをユーザからの指示或いは後述するあらかじめ設定してある設定テーブル等に基づいて判断する(S6)。
【0043】
S3でオリジナル画データを受信して印字出力する能力があると判断した場合、又はS6でオリジナル画データを変換して自装置の能力の範囲内で印字出力すると判断した場合は、次に、オリジナル画データのフォーマットで指定された記録紙サイズ、又はオリジナル画データを変換して印字出力する場合の変換後の画データの記録紙サイズの記録紙が記録部9に給紙可能なように用意されているか否かを判断する(S4)。これは例えば、記録部9に複数個設けられている記録紙収納部9aに、該当する記録紙が用意されているか否かを記録紙収納部9aに設けられている記録紙検出部の通知情報をもとに判断するものである。なおこの時、該当する記録紙が使い切られていて一時的に用意されていなくても、いずれユーザーにより補充される場合は、用意されていると判断するようになっていてもよい。
【0044】
S4で該当する記録紙が用意されていない場合は、ユーザーからの指示或いはあらかじめ設定されている設定にもとづいて、他のサイズの記録紙に画データを印字出力するか否かを判断する(S7)。
【0045】
次に、S4で該当する記録紙があると判断した場合、又は、S7で他のサイズの記録紙に印字出力すると判断した場合は、次に、RAM3にオリジナル画データを記憶するのに必要なメモリ容量が残されているか否かを、メモリ容量検出部3aで示される使用可能なメモリ残量とオリジナル画データの予測されるデータ量を比較して判断する(S5)。又は、ユーザー等によりあらかじめ設定されRAM3に記憶されているメモリ残量の判断基準とメモリ容量検出部3aで示される使用可能なメモリ残量を比較して判断するようにしてもよい。この判断基準は例えば、メモリ残量がメモリ容量全体の1割を下回れば必要なメモリ容量がないと判断するものであり、この比率をユーザーが設定するようになっているものである。
【0046】
RAM3にオリジナル画データを記憶するのに必要なメモリ容量が残っている場合は次に、標準フォーマット画データとオリジナル画データに十分な差があるかどうかを判断する(S9)。ここでの十分な差とは、例えば、図13に示すような画データの差異についての判断基準を定めた判断基準テーブルTAがユーザーもしくはインターネットファクシミリ装置1Bの初期設定としてあらかじめRAMに記憶されており、この判断基準テーブルTAに基づいて判断することを示している。
【0047】
判断基準テーブルTAによると、画データの差の判断基準として、記録紙サイズ34と解像度35についての設定ができるようになっており、それぞれ標準フォーマット33と比較した比率か具体的な記録紙サイズ或いは解像度で設定し、これらの設定を上回るフォーマットの画データである場合、差があると判断できるようになっている。判断基準テーブルTAの例では初期値として比率が120%に、記録紙サイズがB4に、解像度が240dpiに初期設定されているが、これはユーザーによる設定操作によって自由に変更することができるようになっている。
【0048】
上述のような判断基準の設定に基づいて、S9において画データに差があると判断した場合は、次に受信した電子メールが一定の時間内に送達されているか否かを判断する(S10)。これは例えば、送信側インターネットファクシミリ装置1Aの送信時刻と、自装置1Bの受信時刻の差、又は、送信時刻とメールサーバ16Bへの到達時刻の差などを、例えば12時間以内といったユーザー等によりあらかじめ設定されている判断基準時間と比較するものである。
【0049】
S10で一定時間内に受信がされている場合には、最後にユーザー等の装置設定によりオリジナル画データの要求が禁止されていないか否かを判断し(S11)、禁止されていないと判断した場合にはオリジナル画データを要求するために、例えば、図7に示したような自装置の受信能力情報と、オリジナル画データを送信するよう要求するメッセージを記述した電子メールを送信側インターネットファクシミリ装置に送信する(S12)。
【0050】
一方、S5、S6、S7、S9、S10、S11でそれぞれ否と判断した場合には、オリジナル画データを要求せず、受信した電子メールに添付されている標準画データを印字出力して処理を終了する(S13)。または、印字出力後に図5に示したようなオリジナル画データの送付を要求しない送達確認メールを送信して、送達確認モードの通信として処理を終了してもよい。
【0051】
なお上述の受信動作の各判断ステップにおいてS4、S5、S9,S10、S11で行う判断を実行するか否かを、あらかじめ例えば図14に示すようなテーブルTBとしてユーザーの指示或いは装置の初期設定として作成しておき、この設定に基づいて前記ステップにおける判断をスキップする(各判断ステップにおいて、装置の状態或いは画データの比較等の判断を実行せずに、無条件で「Yes」の判断をして、次ステップに移行する)ことができるようになっている。
【0052】
また、判断ステップS6、S7においては図15に示すような、図14に類似した設定テーブルTCを設定しておくことにより、この設定テーブルTCに基づいた判断を実行できるようになっている。
【0053】
図14に例示したテーブルTBの設定によれば、S4における記録紙の有無の判断ステップを実行するか否かを、装置のデフォルト設定36、又は個別設定37によって指示することができるようになっている。
【0054】
さらに詳しく説明すると、受信側インターネットファクシミリ装置1Bのデフォルト設定36が「判断する」になっており、個別設定37の各項目に該当しない場合はS4の記録紙の有無の判断ステップを実行し、前記したフローチャート図10のように記録紙の有無により処理を分枝することになる。一方、個別設定37では、S4の判断ステップを実行する場合を「判断する」、実行しない場合を「判断しない」、と個別の項目について設定できるようになっている。テーブルTBでは、「判断する」とした項目において、送信側アドレス38「SenderA@terminalB.ifax」、送信側ドメイン名39「jp」、受信した時刻の期間指定40「23:00-8:00 everyday」、通信毎設定41「次受信」とそれぞれなっているため、受信した電子メールアドレスの送信側アドレスが「SenderA@terminalB.ifax」の場合、送信側ドメイン名が「jp」の場合、受信時刻が毎日の23:00から8:00の間の場合、及び次回に電子メールを受信しS4における判断が必要とされた場合のそれぞれにおいて、S4における判断を実行し、記録紙の有無により処理を分枝することになる。
【0055】
同様に、「判断しない」という項目においても送信側アドレス等による指定が行えるようになっており、ここに記載されたものに該当する電子メールであった場合には、デフォルト設定36にかかわらず、S4における判断を実行しないことになる。すなわち、無条件で「Yes」と判断して次ステップS5に移行することになる。
【0056】
S5以下の判断ステップにおいても同様の設定を行うことができるようになっており、それぞれテーブルTBに設定した項目に基づいて判断を実行するかスキップさせて次ステップに移行するかを選択することができる。
【0057】
なお、期間指定40に際しては、前記した形式のほかにも「01/May/223:00−01/May/6 8:00」といった日付けと時刻での範囲指定42、或いは「Sunday」「Ssturday」等の曜日指定43等種々の形式の指定を行うこともできる。
【0058】
また、図15に示した設定テーブルTCは、S6及びS7の判断ステップにおいて参照するテーブルの例である。設定テーブルTCによると、例えばS6における判断の場合デフォルト設定44が「受信する」となっているため、個別設定45に該当しない場合は自装置の能力の範囲内で受信すると判断することになる。また、S7における判断の場合デフォルト設定44は「受信しない」となっているため、個別設定45に該当しない場合は他の記録紙に印字出力しないと判断することになる。
【0059】
個別設定45では、テーブルTBの場合と同様に、送信側アドレス、送信側ドメイン名、期間指定、通信毎設定の各項目を設定できるようになっており、この個別設定に記載されている場合に該当する電子メールの場合は、この個別設定の記載に基づいてS6、あるいはS7の判断ステップで判断を実行することになる。
【0060】
S12でオリジナル画データを要求した後、受信側インターネットファクシミリ装置1Bは、該要求に応じて送信側インターネットファクシミリ装置1Aが送信するオリジナル画データを添付した電子メールを受信することとなる。次に、この電子メール受信時の動作を、図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0061】
まず、電子メールを受信した(S14)受信側インターネットファクシミリ装置は、該電子メールの内容を解析し、該電子メールがインターネットファクシミリに使用する電子メールであり、かつ前記した受信能力交換モードのT6において送信されたオリジナル画データが含まれたメールであるか否かを判断する(S15)。ここでの判断は例えば、図8のような電子メールを受信した場合に、オリジナル画データ30が含まれているか否か、あるいはさらに、オリジナルメッセージID(Original-Message-Id)32としてここでの処理以前に受信した受信能力交換モードの電子メールのメッセージID(Message-ID)が記述されているか否かなどを判断することである。
【0062】
否と判断した場合には、受信能力交換モードのT6で送信される電子メールではないので、その他の処理を行う(S26)。その他の処理とは、例えば単純モード等別の通信モードでの受信処理、或いは解析できない電子メールを受信した時のエラー処理などである。
【0063】
S15で受信能力交換モードのT6で送信されるメールと判断した場合は、次に、添付されているオリジナル画データをそのフォーマットのまま記録部9より印字出力する能力があるか否かを判断する(S16)。すなわち、記録部9にオリジナル画データのフォーマットで指定される記録紙サイズ、解像度で印字出力する能力があるか否かを判断する。
【0064】
S16で能力があると判断した場合は、次に、記録部9の記録紙収納部9aにオリジナル画データのフォーマットで指定されているサイズの記録紙が用意されているか否かを判断し(S17)、用意されていればその記録紙を給紙して、オリジナル画データをそのフォーマットで指定される記録紙サイズ、解像度のまま印字出力する(S21)。
【0065】
S17で記録紙が用意されていない場合には、オリジナル画データのフォーマットで指定されている記録紙サイズ以外の他の記録紙に印字出力することとし、使用する記録紙のサイズを設定する(S18)。
【0066】
次に、S18で設定したサイズに印字出力するために、オリジナル画データのサイズ変更が必要か否かを判断する(S19)。これは例えば、S18で設定したサイズがオリジナル画データの記録紙サイズより小さく、オリジナル画データを縮小する必要がある場合等である。
【0067】
次に、S19においてサイズ変更が必要と判断した場合は、オリジナル画データを縮小するなど画データにサイズ変更を行ってから(S20)、必要ない場合はオリジナル画データそのままの記録紙サイズで画データを印字出力する(S21)。
【0068】
一方、S16でオリジナル画データをそのままのフォーマットで印字出力できないと判断した場合は、自装置の印字出力可能な範囲内にオリジナル画データを変換して印字出力することとし、変換後の画データのフォーマットを設定する(S22)。
【0069】
次に、S22で設定された画データのフォーマットに基づき、オリジナル画データのサイズの変更が必要か否かを判断し(S23)、変更が必要な場合はオリジナル画データのサイズをS22で設定したフォーマットのサイズに変更する(S24)。
【0070】
次に、オリジナル画データの解像度の変更が必要か否かを判断し(S24)、変更が必要な場合はオリジナル画データの解像度をS22で設定したフォーマットの解像度に変更する(S25)。
【0071】
S22からS25の処理により、オリジナル画データはインターネットファクシミリ装置1Bで印字可能な画データに変換されているため、該画データを印字出力する(S21)。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、電子メールにより画データの送受信を行うインターネットファクシミリ装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態にかかる(送信側及び受信側)インターネットファクシミリ装置の具体的な構成を示したブロック図。
【図2】本発明の実施の形態にかかる(送信側及び受信側)インターネットファクシミリ装置が設置されたネットワーク環境の例を示したブロック図。
【図3】送信側インターネットファクシミリ装置と受信側インターネットファクシミリ装置との電子メールの通信手順を示したシーケンス図。
【図4】単純モード時に使用される電子メールの記述例を示した図。
【図5】送達確認モード時に使用される電子メールの記述例を示した図。
【図6】受信能力交換モード時に使用される、所定の要求がある場合にオリジナル画データを送信することを示すメッセージを含んだ電子メールの記述例を示した図。
【図7】受信能力交換モード時に使用される、オリジナル画データを要求するメッセージと自装置の受信能力情報を含んだ電子メールの記述例を示した図。
【図8】受信能力交換モード時に使用される、オリジナル画データを含む電子メールの記述例を示した図。
【図9】受信能力交換モード時に使用される、送達確認メールの記述例を示した図。
【図10】(受信側)インターネットファクシミリ装置の受信能力交換モードにおける電子メール受信時の動作を示したフローチャート。
【図11】(受信側)インターネットファクシミリ装置の受信能力交換モードにおける、電子メール受信時の動作を示したフローチャート。
【図12】(受信側)インターネットファクシミリ装置の受信能力交換モードにおける、電子メール受信時の動作を示したフローチャート。
【図13】処理の判断基準を設定しておくためのテーブルの記述例を示した図。
【図14】各処理動作を電子メールの種別によって設定しておくためのテーブルの記述例を示した図。
【図15】各処理動作を電子メールの種別によって設定しておくためのテーブルの記述例を示した図。
【図16】従来の(送信側と受信側)受信能力交換型インターネットファクシミリ装置の、画データ送受信時における動作を示したシーケンス図。
【符号の説明】
【0074】
1A (送信側)インターネットファクシミリ装置
1B (受信側)インターネットファクシミリ装置
2 CPU
3 RAM(記憶装置)
3a メモリ残量検出部
4 ROM
9 記録部
9a 記録紙収納部
22 標準フォーマット画データ
22A オリジナル画データ
26 オリジナル画データのフォーマット情報
28 受信能力情報
TA 判断基準テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側インターネットファクシミリ装置からオリジナル画データのフォーマット情報と標準フォーマット画データを含む電子メールを受信し、自装置の受信能力情報を記述した電子メールを返信した後に、送信側インターネットファクシミリ装置から前記受信能力情報に基づいて前記オリジナル画データを電子メールにて受信する機能を備えたインターネットファクシミリ装置において、前記オリジナル画データのフォーマット情報に基づいて前記オリジナル画データの要求を行うか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断基準を前記標準フォーマット画データと前記オリジナル画データの差に基づいて設定する設定手段と、を備えることを特徴とするインターネットファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−289204(P2008−289204A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227191(P2008−227191)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【分割の表示】特願2001−222774(P2001−222774)の分割
【原出願日】平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】