説明

インターフェース装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】CPUバスなどのパラレル信号のLVDSによる双方向伝送を実現すること。
【解決手段】パラレル信号をシングルエンド信号に変換するパラレル/シリアル変換部1と、パラレル/シリアル変換部1からのシングルエンド信号をLVDS出力に変換するLVDSドライバ3と、LVDS信号をシングルエンド信号に変換するLVDSレシーバ4と、LVDSレシーバ4からのシングルエンド信号をパラレル信号に変換するパラレル/シリアル変換部2と、を有する機能ブロックを備え、データ送信はパラレル/シリアル変換部1とLVDSドライバ3を用い、データ受信はLVDSレシーバ4とシリアル/パラレル変換部2を用い、機能ブロックを1つのパッケージに搭載し、機能ブロックの伝送方向機能を切り替える伝送方向制御信号8によって、パラレル信号のLVDSによる双方向通信を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データバスなどのパラレル信号の双方向伝送に係わり、特に、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)による双方向伝送を実現するインターフェース装置及びこのインターフェース装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデータ通信システムにおいて、バスによるデータ転送が行われており、このバスのようなパラレルの信号は、信号線が平行に並んでいるため、信号先の中を電流が流れることによって発生する磁力が他の信号に干渉して電磁誘導により意図しない電流が流れ、誤動作をするという信号の干渉や、配線長が微妙に異なることによって発生する信号の遅延などが発生する。
【0003】
このようなパラレル信号で長距離伝送を実施した場合に、信号の干渉を防ぐために信号線の間にGNDを挿入するなどの対策による信号線(電線)の増加や、配線経路中の抵抗による信号波形のなまりや崩れによる信号の誤検知、または配線長の差異が大きくなることに伴う信号間の遅延が発生する虞がある。このような課題や不具合を解消するため、長距離伝送にはUSB、IEEE1394等のシリアル通信が有用であるが、これらの信号には複雑なプロトコルが必要であり、端末相互間の信号の授受に関して、信号の遅延などの不具合は発生しないが、EMI(不要電磁波)に絡む低ノイズの通信に関しては必ずしもよい通信とは言えない。
【0004】
そこで、低ノイズの長距離通信を実現するために、現在では、1本の信号線に対して2本の信号線を使用して、その信号線間で引き算をすることによって、信号線にのったノイズをキャンセルするという、差動方式の信号伝達方式がある。さらに、その2本の信号線の位相を反転させて、電圧の振幅を半分にし、より低電圧でノイズの少ない伝送方式がLVDSである。しかし、現状でこのLVDSによる通信は、1方向の通信しか実現されておらず、データバスのような双方向の通信を実現しているものはないというのが現状である。
【0005】
バスのような多数の信号線をLVDSに変換するBLVDS(Bus LVDS)といったものは実用化されているが、1本の伝送線は1方向の通信しか行わず、また、LVDSのデバイスとして、双方向を実現しているものはあるが、これはそれぞれの信号の方向に対してそれぞれ信号線を用意しており、これを用いてバスのような信号線の多い通信を実現するのは、それだけデバイスと通信用の電線が必要になり、コスト高を招くこととなる。もちろん、CPUバス等の既存のバス形態の信号をLVDSで伝送することは不可能であり、実現しようとすると、データバスの双方向伝送の他に、アドレスバスやその他制御信号が必要で、その分さらにコストアップになる。
【0006】
まず、本実施例1に係るインターフェース装置が適用される複写機における現状の通信形態について説明する。広幅機のような大型の複写機を例に取ると、例えば、CPUを搭載しているPCB(プリント回路基板)から、各制御負荷へ信号を長距離に渡って這い回している。そして、複写機は、一般的に、読み取り部、書き込み部、メイン制御部、転写紙給紙部等で構成されているが、例えば、読み取り部であれば、広幅の原稿サイズを検出するためのセンサが必要であり、仮にA4,A3,A2,A1,A0,B4,B3,B2,B1の原稿幅を検出しようとするならば、少なくとも、原稿サイズの種類分、例えば9個のセンサが必要になる。
【0007】
ここで、9個のセンサをメイン制御部から制御しようとすると、センサは、駆動電源と信号で少なくとも3本の信号線が必要であり、合計27本もの信号線(電線)を長距離に渡って這い回すことになる。当然、各ユニットで、多くの負荷を制御する必要があるので、マシン(複写機)全体で、かなりの本数の電線が這い回ることになる。これだけのハーネスを這い回すということは、ノイズという観点からも大きな課題が生じ、マシンにハーネスを組付けるということでも作業性が悪く、また、電線の線数によるコストアップに繋がる。
【0008】
そこで、信号線の線数を減らす方法として、メイン制御板とシリアル通信等で信号の送受を行うPCBを各ユニットに設け、そのPCBでユニット内の制御負荷を制御するという構成にすれば、信号線はユニット内だけであるので、長距離を這い回すことなく機能を達成することはでき、また、メイン制御PCBと各ユニットのPCBはシリアル通信で使用する数本の信号線のみでよいので、ハーネスの削減と共に這い回し作業性を向上させることができる。
【0009】
しかし、このような構成では、確かに信号線の削減にはなるが、各ユニットに搭載されるPCBにメイン制御PCBとは別にCPUを搭載する必要があり、そのソフト開発工数がかかってしまうことと、シリアル通信によるタイミング検証が課題になってくる。ここで、各ユニットに搭載するPCBにCPUバスで動作するICを載せて、CPUバスによるパラレル通信で、メイン制御PCBから各ユニットのPCBを制御すれば、それぞれのユニットで必要になっているソフト開発にかかる工数は削減することができるが、ノイズによる信号線の歪みによる誤動作や、EMIに関する電磁波の発生等の課題が危惧される。
【0010】
ところで、従来、差動信号を伝送するインターフェース規格としてのLVDSによる双方向通信では、2本の信号線を用いる場合、レシーバ側で終端処理する必要性のため、ドライバ側とレシーバ側とで終端抵抗が2つ設けられ、これらの終端抵抗のミスマッチングによる信号反射の観点で、一方の終端抵抗を無効にする抵抗切り替え制御がなされていた。
【0011】
また、従来のLVDSによる通信は、図9に示すようなLVDS信号線が別々になっている双方向通信のパッケージを用いる方法や、図10に示すようなBusLVDSのようなバス信号をLVDSに変換して、ポイントtoポイントで通信を実施する構成を用いていた。そして、図9の方法に関しては、バスラインのような信号線が多くある場合は、これらの構成ではパッケージを複数使用するのでコスト高であり、また、PCB基板(プリント回路基板)上への実装面積を多く必要としていた。図10の方法は、バス信号を少ないLVDS信号線で接続することができ、バス信号のLVDS接続を可能にしているが、双方向はなく一方通行のみの通信である。仮にこのBusLVDSを使用して双方向通信を実現しようとすると、図9の構成と同じようにパッケージが複数個必要になる。
【0012】
そこで、LVDSで一方向の通信を行っているインターフェースに対して、逆方向への通信を可能とする方法が、例えば、特許文献1に提案されている。これによると、逆方向への通信はLVDSより低速なシングルエンド信号(差動信号ではない、いわゆる0Vを基準とした普通の信号:5V、3.3V等)を使用することにより、双方向通信を実現している。すなわち、2本の信号線を介した一方向への通信は差動信号を用いて伝送するが、逆方向への信号伝送はシングルエンド信号を用いて行い、高速性が要求される信号伝送には差動信号を用い、低速でよい場合にはシングルエンド信号を用いた伝送を行う。
【0013】
また、特別な伸長装置を必要とせずに、高速なデータ転送を可能とするインターフェースの従来技術として、例えば、特許文献2が挙げられる。この特許文献2によると、プリンタコントローラとプリンタエンジンとの間のインターフェースは、各種制御信号をやりとりする双方通信可能な制御線と、コントローラからエンジンに画像データを送信するデータ線を構成しており、画像データ送信の合間に制御信号をやり取りする必要がないので高速な画像データ送信が可能となるものである。
【特許文献1】特開2005−18312号公報
【特許文献2】特開2002−254763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しなしながら、上記の引用文献1は、LVDS自体の双方向通信を実現するものではなく、LVDSの一方向通信を実施して、その反対方向の通信を実現するためにシングルエンド信号を使用するというものであり、この場合、LVDSで通信する方向とは逆の通信のときの信号(シングルエンド信号)は、そのスピード、信号の種類に制約があり、また、ノイズも発生するという課題がある。特に、双方向通信とはいっても、データバスのような信号には使用はできず、LVDSと逆向きの通信を実施する場合は、あくまで補助的な信号を通信する場合に限られてしまう。また、上記引用文献2においても、データ線によって画像データの片方向の通信を行うものに過ぎない。
【0015】
本発明の目的は、データバスのような多数の信号(パラレル信号)による双方向通信が必要な信号に対して、シリアルに変換してLVDSによる双方向伝送を実現し、低ノイズの長距離伝送を実現することのできるインターフェース装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
入力されるパラレル信号をシングルエンド信号に変換するパラレル/シリアル変換部と、前記パラレル/シリアル変換部からのシングルエンド信号をLVDS出力に変換するLVDSドライバと、入力されるLVDS信号をシングルエンド信号に変換するLVDSレシーバと、前記LVDSレシーバからのシングルエンド信号をパラレル信号に変換するパラレル/シリアル変換部と、を有する機能ブロックを備え、データ送信は前記パラレル/シリアル変換部と前記LVDSドライバを用い、データ受信は前記LVDSレシーバと前記シリアル/パラレル変換部を用い、前記機能ブロックを1つのパッケージに搭載し、前記機能ブロックの伝送方向機能を切り替えることによって、前記パラレル信号のLVDSによる双方向通信を行い得る構成とする。
【0017】
また、前記インターフェース装置において、前記1つのパッケージに複数の機能ブロックを搭載し、前記機能ブロック毎に前記伝送方向機能を設定可能とし、前記複数の機能ブロックの内の1つの機能ブロックにCPUバスを適用するとともに、他の機能ブロックはデータ送信用として機能するように伝送方向機能を設定する構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、パラレル信号のLVDSによる双方向伝送を実現することができ、これによって低ノイズの長距離伝送、パッケージ集約化によるコストダウンを図ることができる。
【0019】
また、LVDSの双方向伝送を実現するための機能ブロックを、双方向だけでなく、片方向のみの伝送にも設定可能にすることで、CPUバス等の既存のバス系統を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0021】
図1ないし図8は本発明の実施例1に係るインターフェース装置を説明するためのものである。
【0022】
図1は本発明の実施例1に係るインターフェース装置の内部回路を示す図である。図2は本実施例1に関するLVDSの伝送において送信側と受信側における伝送方向制御信号の反転状態の一例を示す図である。図3は本実施例1に関するLVDSの伝送において送信側と受信側における伝送方向制御信号の反転状態の他例を示す図である。図4は本実施例1に係るインターフェース装置における機能ブロックとパッケージとの関連構成を示す図である。
【0023】
また、図5は本実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の構成例を示す図である。図6は本実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の動作例として伝送方向制御信号の作成及び使用手法を示す図である。図7は本実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の動作例を説明する図である。図8は本実施例1に係るインターフェース装置における双方向LVDSデバイスをドライバかレシーバかのいずれかの機能に固定し、必要に応じて機能ブロックの伝送方向を切り替える構成を示す図である。
【0024】
本発明の実施例1に係るインターフェース装置について図1を用いて説明する。図1は本発明の実施例1に係るインターフェース装置の内部回路を示す図である。図1において、1はパラレル/シリアル変換部、2はシリアル/パラレル変換部、3はLVDSドライバ、4はLVDSレシーバ、5はPLL、6は双方向データ、7はLVDSI/F、8は伝送方向制御信号、9はクロック、をそれぞれ表す。
【0025】
図1はLVDSによる双方向通信を実現するための内部回路であり、送信されるデータ6は、パラレル/シリアル変換部1にまず入力される。パラレル/シリアル変換部1は、PLL5で逓倍されたクロックにしたがって、シリアルデータ転送を行うためのレジスタへデータをシフトする。このシフトされたデータはLVDSドライバ3へ入力され、LVDSI/F7を通してLVDS信号として出力される。また、LVDS信号を入力する場合は、上記説明の逆で、LVDSI/F7を通してLVDSで送られてきた信号をLVDSレシーバ4で受け、その信号をシリアル/パラレル変換部2へ入力し、そして、変換されたデータをパラレルデータ6として出力する。
【0026】
図2に示す用にそれぞれの素子(パラレル/シリアル変換部1、シリアル/パラレル変換部2、LVDSドライバ3、LVDSレシーバ4)には、信号の伝送方向を切り替える伝送方向制御信号8が入力されており、この制御信号8がHであればLVDSデータ送信部11がアクティブに、LであればLVDSデータ受信部12がアクティブになるように制御を実施している。
【0027】
ここで、図1において、LVDSドライバ3は、入力されたシングルエンド信号をLVDS出力(2本の互いに逆向きの信号)に変換するものである。LVDSレシーバ4は入力されたLVDS信号(2本の互いに逆向きの信号)をシングルエンド信号に変換するものである。パラレル/シリアル変換部1は、入力されたパラレルデータをレジスタに一旦シフトし、このレジスタの先頭ビットから順にデータを送り出すことによってパラレル/シリアルの変換を行うものである。
【0028】
また、入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換するのも同じことであり、順に送られてきたデータを先頭からレジスタにストックし、すべてのデータが貯まればポート出力用のレジスタに移すことによってシリアル/パラレル変換部2の機能が果たされる。これらの変換部1,2は、それぞれの用途に応じて、切り替えが可能になっており、この切り替えは伝送方向制御信号8によって行われる。
【0029】
伝送方向制御信号8は双方向の伝送方向を制御するための信号である。データ送信方向は、機能ブロックとして、パラレル/シリアル変換部1とLVDSドライバ3を有しており、逆に、データ受信方向では、シリアル/パラレル変換部4とLVDSレシーバ2を有しているので、この機能を信号の伝送方向によって切り替える必要があり、そのイネーブル信号として伝送方向制御信号8を使用する。
【0030】
この伝送方向制御信号8は、データ通信開始時に別信号としてポートから出力してもよいし、CPUバス制御で使用するリード/ライトなどの制御信号を利用してもよい。また、片方向伝送で使用する場合は、このドライバ/レシーバコントロール信号のレベルを使用する機能によって固定しておく。
【0031】
因みに、図1に示すLVDSによる双方向通信(本発明の実施例1)との対比で、従来技術におけるインターフェース装置について図14と図15を参照しながら説明する。図14はLVDS信号線が別々になっているLVDS双方向通信のパッケージ内構成例であり、送信と受信でそれぞれLVDSドライバ3、レシーバ4を持っていて、1本の電線では、信号の方向は1方向のみである。また、図15はバスLVDSの内部構成であり、パラレルデータをシリアルに変換するパラレル/シリアル変換部1を通して、LVDSドライバ3によってLVDSで出力する構成になっている。信号の方向は1方向のみである。この場合、逆方向の信号を受信したい場合は、別の受信用のパッケージが必要になる。
【0032】
図1に示した本発明の実施例1に係るインターフェース装置は、複写機に限らず、LVDSのパラレル信号の長距離伝送を実施する装置であれば使用可能であるが、本実施例1では、適用例として複写機を取り上げる。次に、本実施例1に係るインターフェース装置が適用される複写機の概要を説明する。複写機は、一般的な構成として、読み取り部、画像処理部、コントローラ、画像データ配置部、書き込み部を備えている。
【0033】
読み取り部は原稿を読み取る部分であり、原稿読み取りの方法としては、CCDによる原稿読み取り方法や密着センサ等を使用して原稿を搬送させながら原稿読み取る方式がある。また、画像処理部は、読み取り部で読み取られた画像の画像処理を行う。この画像処理部は複数のプロセッサで構成され、それぞれのプロセッサにより必要な画像処理が行われる。画像処理の機能としては、シェーディング補正や地肌除去などが挙げられる。
【0034】
また、コントローラは、画像システムにおける画像データの出力タイミング等をコントロールする。コントローラは複数のプロセッサとメモリなどの記憶手段を有するとともにこれらが互いに接続されている。画像処理が施された画像データは一旦コントローラのハードディスク等の記憶手段に蓄えられる。各画像データの出力タイミングに応じて、必要なデータを取り出し、画像データ配置部へ転送する。
【0035】
また、画像データ配置部は画像書き込み幅に対応したラインメモリを有する。このラインメモリにコントローラから転送されてくるデータが画像領域に応じて配置される。メモリはFIFOであり、配置されたデータは先頭から順に書き込み制御部へ送られる。また、書き込み部は画像の書き込み動作を行う部分であり、画像書き込みを行うためのLD等の光デバイスとそれを駆動するためのドライバICなどから構成される。転送されてきたデータに応じて、光デバイスを駆動(点滅動作)し、書き込み動作を行う。なお、後述するが、図5、図7で例示しているパラレル信号を入出力するものとしてCPUを取り上げているが、このCPUは上述したコントローラ(画像データの処理用)に該当するものではなくて、複写機全体を制御するメインコントローラのことである。
【0036】
次に、本実施例1の適用例である複写機の動作の概略を述べると、スキャナ等の読み取り装置で読み取られた画像は、デジタルデータに変換され、画像処理部へデータ転送される。各種画像処理が終了したデータはシステムを制御しているコントローラに転送され、そこで、一旦ハードディスク等の記憶手段に蓄えられる。その後、コピー枚数、モード等の条件によってデータはラインメモリへ配置され、画像書き込みデータとして書き込み部へ転送され、書き込みタイミングに合わせて、カセット等の転写紙ストック手段から搬送されてきた転写紙にLD等の光デバイスにより書き込み動作が行われる。このような複写機の動作は一般的な通常の動作である。
【0037】
まず、本実施例1を概略的にいえば、図1に図示する本実施例1に係るインターフェース装置は、双方向のパラレル信号をシリアルに変換してLVDSで信号を伝送するので、LVDS双方向に関して、データバス等の信号線の多いパラレル信号を長距離伝送しても、低ノイズで信頼性の高い通信が可能になる。また、双方向のパラレル信号の通信をパッケージ1つで実現するので(送信用と受信用の構成要素を備えているので)、低コストで且つ、実装面積を小さくできる。さらに、本実施例1に係るインターフェース装置を複写機に搭載した場合に、双方向伝送と片方向伝送の機能を選択したり固定したりすることで(詳細は後述するが、伝送方向制御信号の利用形態(使い方)で可能である)、CPUバス等の既存のバスによる接続を可能にし、また、1パッケージに収めることで、省スペースと、コストダウンを図ることができる。パラレル信号をシリアルにするので、ハーネス線数を少なくすることができる。ソフト開発負荷が軽減される。
【0038】
図1に示すように、伝送方向制御信号8でLVDSの伝送方向(送信方向と受信方向)の切り替えを実施するが、信号レベルによって伝送方向を制御しているので、データの受信側ブロック12と送信側ブロック11で(図2を参照)、異なったレベルの信号を入力する必要がある。そこで、図2に示すように、例えば、信号をLVDS信号とは別に相手側のPCB12に入力し、そこで、図2に示す反転部10で信号を反転させて伝送方向制御信号として供給する。これにより、信号を伝送する際のデータの送信側ブロック11と受信側ブロック12を明確にすることができる。図2は本実施例1に関するLVDSの伝送において送信側ブロック11と受信側ブロック12における伝送方向制御信号の反転状態を示す図である。
【0039】
また、図3に示すように、伝送方向制御信号に、固定したレベルの信号を入力しておけば、パッケージ内部のLVDSの送受信のどちらかの機能に固定できるので、双方向で使用しない場合、ドライバ専用、レシーバ専用という使用方法も可能である。図3では、受信側ブロック12は伝送制御信号が接地され、送信側ブロック11では伝送制御信号として所定値が印加されている。図2と図3に示す構成から分かるように、送信側ブロック11と受信側ブロック12とは1つの共通のパッケージであり(図で実線枠内の回路構成)、ドライバとレシーバの設定が適宜に選択可能である。なお、送信側ブロック11と受信側ブロック12とは適宜に切り替わるものである。
【0040】
次に、本実施例1に係るインターフェース装置における機能ブロックとパッケージとの関連構成について、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、パラレル/シリアル変換部1、シリアル/パラレル変換部2、LVDSドライバ3、LVDSレシーバ4、LVDSI/F7等を備えた構成を1つにまとめて第1ないし第3の機能ブロックBA,BB,BCとし、これら第1ないし第3の機能ブロックBA,BB,BCが複数個集まって1つのパッケージPに納められている。
【0041】
そして、これら第1ないし第3の機能ブロックBA,BB,BCはそれぞれ独立に制御可能になっており、伝送方向制御信号8等によって、機能に応じて信号の伝送方向を設定することができる。また、各機能ブロックBA,BB,BCで図示のようにイネーブル信号ENの制御を実施することによって(通常の手法の適用することによって)、必要のない機能ブロックは動作不可に設定することができる。
【0042】
次に、本実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の構成例について図5を参照しながら説明する。図5に示すように、CPUバス22は、アドレスバス22a、データバス22b、制御信号(リード信号、ライト信号、チップセレクト信号等)22cで通信を行っているが、これらの信号を第1ないし第3の機能ブロックBA,BB,BC毎に割当てていく。例えば、データバス22bは双方向通信であるため、第3の機能ブロックBCをLVDSの双方向伝送で使用し、アドレスバス22a及び制御信号22cはCPU21側からの片方向通信であるので、第1及び第2の機能ブロックBA,BBをLVDSドライバとして設定すればよい。当然に、信号を受ける相手側のPCBにおいても、上述したような設定を実施する必要があり、第1及び第2の機能ブロックBA,BBはレシーバとして、第3の機能ブロックBCは双方向伝送として使用する。
【0043】
次に、本実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の動作例について、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、CPU21を搭載しているPCBをPCB1、CPUから制御される側であるPCBをPCB2とする。
【0044】
CPUバス22は、PCB1のCPU21からPCB2のデバイス23へのデータの書き込み(ライト)と相手側からデータを受け取る読み込み(リード)を実施しているが、ライト時はCPU21からデバイス23へ信号を1方向通行で伝送するので、単純にPCB1はLVDSのドライバ、PCB2はLVDSのレシーバとして機能すればよい。また、リード時はCPU21から相手側デバイス23へ命令を送り、それに対し返答してくるデータをCPU21が受け取るという動作をする必要がある。
【0045】
上述した動作を実現する方法として、リード動作をする時に、まず、アドレス及び制御信号をPCB2へ送信するときに同時にデータバス22bの伝送方向制御信号8を入力し、データバス22bの伝送方向を決定すればよい。この伝送方向制御信号8により、第3の機能ブロックBCは、データ受信機能(LVDSの受信機能)に設定され、データを受け取ることができる。
【0046】
また、本実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の動作例として伝送方向制御信号の作成及び使用手法について、図6を参照しながら説明する。図6において、リード信号(CPUがリードを指示するときの信号であり、Lレベルの信号)と例えばH信号のANDを取った信号8aを、伝送方向制御信号端子に入力しておけば、通信をしていない状態あるいはライト時は(リード指示されたときではないという理由で)、リード信号がHレベルであるので、AND回路8bの出力はHレベルであり、第3の機能ブロックBCをドライバに設定しておけばよい。リード信号が入った時のみ、伝送方向制御信号がLになるので、LVDSを受信機能に設定することができる。これにより、伝送方向制御信号8を別途ポートから出力することなく、リード信号の信号レベルのみで制御が可能になる。
【0047】
また、CPUバス22には、データを確実に取り込むために、規定されている信号間のタイミングがあるが、リード信号(Lレベルの信号)が出力されてから、データを取り込むまでには、ある程度の時間があり、伝送方向制御信号の検出に問題はない。
【0048】
次に、本実施例1に係るインターフェース装置における双方向LVDSデバイスをドライバかレシーバかのいずれかの機能に固定し、必要に応じて機能ブロックの伝送方向を切り替える構成について、図8を参照しながら説明する。
【0049】
CPUバスの場合、CPU側PCBから制御信号が出力されるので、CPU側PCBをいわゆるマスタという設定にし、伝送方向に応じて伝送方向制御信号のレベルを切り替えることによって相手側PCB(PCB2)の伝送方向を制御することができる。
【0050】
例えば、図14に示すようにドライバ/レシーバ設定端子をPCB1ではH(例えば、電圧印加)に、PCB2ではL(例えば、接地)にすることによって双方向LVDSデバイスをそれぞれドライバ、レシーバに機能を設定することができる。次に、伝送方向の制御に関して、図2で説明したように、伝送方向制御信号8をドライバ側とレシーバ側で論理を反転させる必要がある。
【0051】
ここで、ドライバ側(図8の例では左側のPCB1)は、伝送方向制御信号がHで送信になるので(伝送方向制御信号は、例えばライトの場合にH、リードの場合L)、ドライバ/レシーバ設定端子8cの信号レベル(この場合H)に応じて、信号論理選択機能部(伝送方向制御信号8のHかLかによって、ドライバ/レシーバ設定端子8cからの入力信号に対して、当該選択機能のいずれかの出力を選択するような機能を有したもの)8dの中で、機能ブロックBへの入力として、第2のワイヤW2が接続される。レシーバ側(PCB2)も同じように、ドライバ/レシーバ設定端子のレベル(この場合L)に応じてワイヤが選択されるが、レシーバ側は、レベル信号がLなので第1のワイヤW1が選択され、これにより、伝送方向制御信号8の論理レベルは、ドライバ側とレシーバ側で反対になる。
【0052】
また、ドライバ/レシーバ(インターフェース装置)を設定(固定)するということは、伝送方向制御信号を相手側へ送る時の信号の向きも決定しなければいけないことになり、ドライバ/レシーバ設定端子8cのレベル(電圧印加のHか接地のL)によって、入出力選択機能部8eで同じように入出力を選択することができる。上述した例では、ドライバ側は出力に、レシーバ側は入力に設定されることになる。要は、伝送方向制御信号8のHかLかでPCB1の機能ブロックを送信か受信のいずれかの機能に選定して、同時にPCB2の機能ブロックはPCB1のそれと逆の機能に選定する手段であれば、図8の図示構造に限ることはない。
【0053】
データバス22bのような双方向機能が必要なブロックを上記のような回路と伝送方向制御信号で制御することにより、送信と受信の機能を切り替えて通信することができる。例えば、ライトの場合、伝送方向制御信号8をHにすることで、ドライバ側は、第2のワイヤW2が接続されているので、H信号がそのまま機能ブロックを制御し、機能ブロックは送信の機能になる。一方、レシーバ側は、入力された伝送方向制御信号は、レシーバに設定され、第1のワイヤW1を通して機能ブロックに入力されることになるので、信号レベルはLになり、機能ブロックBは受信として機能することになる。リードの場合は、上述した説明の伝送方向制御信号がLになるだけで、後は同じである。
【0054】
ここで、本発明の実施例1に係るインターフェース装置の特徴を取り纏めて再度説明する。従来技術においては、バスLVDSのようなバスラインをLVDSのシリアル信号に変換することはできたが、一方向の通信のみで双方向通信は実現されていない。双方向通信を実現したICはあるが、これは、それぞれの方向の信号線に対してLVDSに変換を実施しており、シリアル信号をそのままLVDSに変換して通信を実施することを可能にしたものであり、あくまで、1本の信号線には、1方向の信号しか流れない。また、長距離伝送にはUSBなどのシリアル通信が使用されるが、ノイズには強いというわけではなく、また、通信速度や処理速度に関しても課題を残していた。
【0055】
そこで、本発明の実施例1では、パラレル信号のLVDSによる双方向伝送を実現することを解決課題としたものであり、この課題達成の構成により、低ノイズの長距離伝送、パッケージ集約化によるコストダウンを図るものであり、また、LVDSの双方向伝送を実現するための機能ブロックを、双方向だけでなく、片方向のみの伝送にも設定可能にすることで、CPUバス等の既存のバス系統に適用することができるものである。そして、この課題達成の構成として、データ送信用はパラレル/シリアル変換部とLVDSドライバ、データ受信用はシリアル/パラレル変換部とLVDSレシーバ、という組み合わせを機能ブロックとして1つのパッケージに搭載し、それぞれの用途に応じて、機能を切り替えることで、データバス等のパラレル信号のLVDSによる双方向伝送を実現する。また、この機能ブロックを1つのパッケージに複数個盛り込み、双方向伝送、片方向伝送を設定、固定することを可能にすることで、CPUバス等の片方向伝送と双方向伝送が混在する通信形態においても通信を可能にすることができるものである。
【実施例2】
【0056】
実施例1を複写機に適用した例を具体的に実施例2として説明する。
図9は実施例2に係る複写機の機械構成の概略を示す図、図10は制御構成の要部を示すブロック図である。本実施例に係る複写機は、本体部100、給紙部110、読み取り部120及び原稿自動給送部(ADF)130から構成されている。本体部100は給紙部110の上部に位置し、読み取り部120は本体部100の上部に位置している。さらに読み取り部120の上部にはADF130が設けられている。
【0057】
本実施例に係る複写機は電子写真方式で作像するもので、本体部100には、感光体101、定着装置102、両面装置103及び排紙装置104が設けられている。感光体101の外周には、帯電ユニット105、現像ユニット106、転写ユニット107、クリーニングユニット108及び図示しない除電ユニットが配置されている。また、本体部100には、書き込みのための書き込みユニット109が設けられている。書き込みユニット109は画像書き込みを行うためのLD等の光デバイスとそれを駆動するためのドライバICなどから構成され、転送されてきたデータに応じて、光デバイスを駆動(点滅動作)し、感光体101に対して光書き込み動作を行う。
【0058】
給紙部110は5段の給紙段111,112,113,114,115を有し、指定された給紙段から給紙ローラを経て縦搬送路116から転写ユニット107に送られ、書き込みユニット109によって感光体101表面に書き込まれ、静電潜像が形成される。読み取り部120はコンタクトガラス上に載置された原稿を副走査方向に走行しながら、あるいはADF130によって搬送される原稿を、走行体を停止させた状態で光学的に読み取る。前者はフラットベッド方式、後者はシートスルー方式と一般に称される。フラットベッド方式での読み取りは例えばブック原稿の場合に行われ、シートスルー方式での読み取りは例えば複数枚のシート原稿の場合に行われる。ADF130はこの実施例では、ARDFとも称される原稿を反転して読み取ることもできる循環式自動原稿給送装置である。
【0059】
さらに、図10に示すように画像データを扱う画像データ処理部200、及び紙搬送タイミング等マシン全体制御に関する部分を受け持つエンジン制御部300を備えている。
【0060】
画像データ処理部200は、画像処理部210、コントローラ220、画像データ配置部230、操作部240及び記憶装置(HDD)250を備えている。画像処理部210は複数のプロセッサで構成され、読み取り部120で読み取られデジタルデータに変換された画像データが入力され、それぞれのプロセッサにより、シェーディング補正や、地肌除去、その他、画像を書き込むために必要な画像処理が行われる。
【0061】
コントローラ220は複数のプロセッサを備え、画像システムにおける画像データの出力タイミング等をコントロールする。画像処理が施された画像データは一旦記憶装置(HDD)250に記憶される。なお、HDD250に代えてコントローラ内部のメモリに記憶するようにすることもできる。コントローラ220は、各画像データの出力タイミングに応じて、必要なデータをHDD250から取り出し、データ配置部230へ転送する。画像データ配置部230は画像書き込み幅に対応したラインメモリを有し、このラインメモリにコントローラ220から転送されてくるデータが画像領域に応じて配置される。メモリはFIFOであり、配置されたデータは先頭から順に書き込み制御部へ送られる。
【0062】
操作部240はユーザインターフェースであり、ハードキー、ソフトキー及びディスプレイが設けられ、ユーザからの指示入力及びユーザに対する表示が行われる。
【0063】
エンジン制御部300はメイン制御PCB310とこのメイン制御PCB310に対して第1及び第2のLVDS301,302を介して各ユニット毎に接続された第1及び第2のユニット制御PCB320,330を備えている。メイン制御PCB310はCPU311、第1及び第2の双方向LVDSデバイス312,313を備え、第1及び第2の双方向LVDSデバイス312,313はCPUバス314を介してCPU311に接続されている。また、第1の双方向LVDSデバイス312は第1のLVDS301を介して第1のユニット制御PCB320に、また、第2の双方向LVDSデバイス313は第2のLVDS302を介して第2のユニット制御PCB330にそれぞれ接続されている。本実施例2では、実施例1のLVDSの双方向通信をCPUバスに応用し、遠距離にある複数のユニットを制御する場合に適用した例であり、この例では、複写機の紙搬送タイミング等マシン全体制御に関する部分を受け持つエンジン制御部300に適用されている。
【0064】
すなわち、このメイン制御PCB310は、各種負荷のインターフェース基板やドライブ基板、読み取り、書き込み制御と接続されている。CPU311からはCPUバス314が出力され、このCPUバス314は、上記のような、各ユニット制御PCB320,330へ出力する際、前述のLVDSの双方向伝送を実現する双方向LDVSデバイス312,313を介して前記各ユニット制御PCB320,330と接続される。双方向LDVSデバイス312,313との接続はコネクタによって行われる。
【0065】
第1のユニット制御PCB320は第1及び第2の制御IC321,322を備え、CPUバス323に接続された双方向LVDSデバイス324により前記第1のLVDS301を介してメイン制御PCB310と双方向に通信を行う。第1の制御IC321には例えばモータ321a、センサ321b,321c等々が接続され、第2の制御IC322には例えばクラッチ322a、センサ322b,322c等々が接続されている。
【0066】
第3のユニット制御PCB330は制御IC331を備え、CPUバス332に接続された双方向LDVSデバイス333により前記第2のLVDS302を介してメイン制御PCB310と双方向に通信を行う。第2の制御IC331には、例えばクラッチ331a、センサ331b,331c等々が接続されている。
【0067】
大略上記のように構成すると、各ユニット制御PCB320,330は前記CPUバス314をメイン制御PCB310と同じように前記LVDSデバイス324,333で受け、パラレルのCPUバス323,332に変換し、各制御IC321,322,331に入力する。これらの制御IC321,322,331はCPUバス323,333で制御されるICで、例えば、IO拡張ICのような、CPU311からの命令を受けて受動的に動作するようなICである。これらのICは、汎用的に出回っており、割当てられるアドレス空間をCPUバス323,332がアクセスし、それに伴い、各ポートを制御しているICなので、CPU311からの中央制御が可能である。
【0068】
また、CPUバス314,323,332はセレクト信号により複数のデバイスを制御可能であり、例えば、セレクト信号を3本持っていたとすると、2本はそれぞれ制御負荷との接続が最適な位置に配置されるIOBに、1本は読み取り関係のIO制御PCBに割当てるなどすればよい。
【0069】
読み取り関係のIO制御は、例えば、原稿サイズを検出するために必要な複数のセンサを、一旦IO拡張ICのポートへ入力し、CPU311がそのIO拡張ICを制御することによってセンサ情報を入手するようになっており、これにより、各センサで必要であった信号線をLVDSのシリアルに変換したCPUバスの信号線のみにすることができる。
【0070】
また、メイン制御PCB310のCPU311(BCU−Bus Control Unit)から制御される第1及び第2のユニット制御PCB320,330をそのユニット制御PCB320,330が接続される負荷に対して、最適な位置に配置することができる。言い換えればメイン制御PCB310によって制御される第1及び第2のユニット制御PCB320,330を接続負荷の這い回しを最短にするような最適な位置に配置することができる。
【0071】
例えば、読み取りに関する制御を行うユニット制御PCBは、読み取り部120内に配置すればよいし、給紙部110を制御したい場合には、ユニット制御PCBが制御する負荷との接続が最短になるような給紙部110の位置にユニット制御PCBを配置すればよい。例えば、給紙部110の制御負荷が、マシン後から見て左下に集中しているとすると、それらを現状では遠距離に渡って這い回していたが、今回の構成ではマシン左下辺りにユニット制御PCBを配置することによって制御負荷とのハーネスによる接続を最短にすることができる。また、メイン制御PCB310との接続はLVDSケーブルのみであるので、簡単に這い回しすることができる。
【0072】
第1及び第2のユニット制御PCB320,330の制御負荷が多い場合、制御IC(ここでは特にIO拡張ICとする)を第1のユニット制御PCB320のように複数搭載する可能性があり、その場合でもメイン制御PCB310と制御側PCB(第1及び第2のユニット制御PCB320,330)との接続は、CPUバスを接続するLVDSケーブルのみでよい。
【0073】
図11は制御側PCBである第1のユニット制御PCB320を拡大した図に示すように、例えば、制御側PCBの接続負荷(センサ、クラッチ等)が入力、出力とも多数あり、IO拡張ICを複数必要とする場合、図11に示すようにLVDS双方向デバイス324で受けてパラレルバスに変換したCPUバス323をそのまま分岐して、複数のIO拡張ICへ接続すればよい。セレクト信号は、メイン制御PCB310から出力する際に複数本含んで送信すれば問題ない。
【0074】
例えば、CPUバス323は前述しているように、アドレスバス351、データバス352、各種制御信号で構成されているが、2つのIO拡張ICを制御しようとする場合、この制御信号には、リード信号352r、ライト信号352wと共に第1のセレクト信号352−1及び第2のセレクト信号352−2を送信すればよく、このセレクト信号352−1,2を制御側PCB(第1のユニット制御PCB320)のそれぞれのIO拡張IC(この実施例では、第1の制御IC321及び第2の制御IC322)へ分配すればよい。
【0075】
また、割り込み等のタイミングがシビアな信号は、LVDSに変換せずそのまま送信してもよい。図12はこのLVDSに変換せずにそのまま送信する構成を示す図である。複写機にしろ、その他の装置にしろ、システム全体制御として割り込みという概念を多く使用する。割り込みには、プログラム内部で使用する内部割り込みと、外部からの信号によって割り込み動作をする外部割り込みという2種類があるが、図12の例は外部割り込みに関するものであり、図10の第2のユニット制御PCB320の構成に対応している。
【0076】
複写機の紙搬送プロセスから、画像書き込み動作を実施するまでのプロセスにおいて、画像を書き込むためのタイミングは非常にシビアなものであり、このタイミングがズレると用紙の先端から画像までの余白幅が変わってしまうなどの影響が出る。これを防ぐために、用紙の先端が画像プロセスの書き込み手前まできた時の位置を示すため、センサにより用紙がきたことを確認するが、このセンサ(以下、レジストセンサと呼ぶ)322r(図9参照)の出力を外部割り込みによってCPU311に入力することによって、優先的にプログラム上で用紙先端位置を確認する作業を実施し、次の画像書き込みプロセスの動作を開始する。
【0077】
このレジストセンサ322rは、前記図9に示した位置から図12に示すように第2のユニット制御PCB320に入力されるとすると、第2のユニット制御PCB320の中のIO拡張IC322のポートに入力されることになる。IO拡張IC322にも割り込みポートがあり、ここに入力された信号は、さらにIO拡張信号からの割り込み信号としてメイン制御PCB310へ出力されるが、この割り込み信号はLVDSに変換しなければ、LVDSに変換されるディレー時間を問題にすることなく、メイン制御PCB310へ送信することができる。割り込み等の信号線を数本であれば、大きな電流も流れないので、誤動作やノイズに関する影響も問題ない。また、符号322r’で示すようにレジストセンサの出力をIO拡張IC322の割り込みポートを使用せず、そのままメイン制御PCB310(PCB1)のCPU311まで送信してもよい(符号325)。その際、CPUバス323のLVDSケーブルのコネクタの余ったピンにその信号を割当てれば、そのまま別途ハーネスを必要とすることなく、這い回すことができる。
【0078】
このようにCPUバスによって電源立ち上がりシーケンスを簡略化する集中制御を実現すると、メイン電源立ち上がりシーケンスの設計を簡略化することが可能となる。
【0079】
通常、CPUは、メイン電源をオンした時に誤動作防止のためにCPUにリセット信号を入力してCPUを初期化し、また、電源オフ時には、ある電圧まで下がった時に電圧をわざと0Vにし、電圧が不安定領域での誤動作を防止する。このCPUがシステムの中で複数個存在している場合、それぞれのCPUの仕様を考慮して、電源立ち上がり立下りシーケンスを設計しなければならない。これは例えば、BCUに搭載しているCPUが立ち上がるより先に他のCPUが立ち上がっていなければいけない通信エラーが発生するとか、あるいは、他のCPUは後で立ち上がらなければいけない等、に対応するためである。
【0080】
前記タイミングをメイン制御PCB310のCPU311からの中央制御にすることによって、他のIO拡張IC321,322,331等にリセットを入力しなければいけないとしても、メイン制御PCB310のCPU311とのタイミングを考慮していればよいだけの話である。図13は5V電源S5v、CPU電源SCPU及び制御IC電源SICのメイン電源とのタイミング関係を示すタイミングチャートである。例えば、図13に示すようにメイン制御PCB310のCPU311より先にIO拡張IC321が立ち上がってなければいけないとすると、例えばCPU311のリセット時間を100msと設定すれば、その他のIC322,331は各ICの仕様を満足し、それより早い時間で立ち上がるようなリセット時間(例えば、50ms等)を設定すればよい。すなわち、図13に示すようなリセット期間Trのいずれかのタイミングでリセットをかければよいことになる。
【0081】
このように本実施例によれば、
1)双方向のパラレル信号をシリアルに変換してLVDSで信号を伝送する構成を複写機、もっと広くいえば画像形成装置に適用したので、双方向伝送と片方向伝送の機能の選択、固定が可能となり、CPUバス等の既存のバスによる接続が可能となる。
2)1つのパッケージに収めることにより、省スペースとコストダウンを図ることができる。
3)パラレル信号をシリアル信号に変換して伝送するので、ハーネス線数を少なくすることができる。
4)CPUバスを使用して複数のユニット、あるいはデバイスへの制御が行えるので、メイン制御PCBからの中央制御が可能となる。
5)メイン制御PCBからの中央制御が可能となるので、各ユニットに搭載していた制御用IC(CPU、FPGA等)のソフト開発工数の削減と、システム全体の構成を単純化することができる。
6)ソフト開発工数の削減及びシステム全体の構成の単純化が可能なので、タイミング設計や各種シーケンスが容易となる。
7)ソフト開発負荷の削減とハーネスの這い回し工数の削減が可能なので、システム全体としてのコスト削減を図ることができる。
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1に係るインターフェース装置の内部回路を示す図である。
【図2】実施例1に関するLVDSの伝送において送信側と受信側における伝送方向制御信号の反転状態の一例を示す図である。
【図3】実施例1に関するLVDSの伝送において送信側と受信側における伝送方向制御信号の反転状態の他例を示す図である。
【図4】実施例1に係るインターフェース装置における機能ブロックとパッケージとの関連構成を示す図である。
【図5】実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の構成例を示す図である。
【図6】実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の動作例として伝送方向制御信号の作成及び使用手法を示す図である。
【図7】実施例1に係るインターフェース装置においてCPUバスを使用した場合の動作例を説明する図である。
【図8】実施例1に係るインターフェース装置における双方向LVDSデバイスをドライバかレシーバかのいずれかの機能に固定し、必要に応じて機能ブロックの伝送方向を切り替える構成を示す図である。
【図9】実施例2に係る複写機の機械構成の概略を示す図である。
【図10】実施例2に係る複写機の制御構成の要部を示すブロック図である。
【図11】実施例2における制御側PCBである第2のユニット制御PCBを拡大して示すブロック図である。
【図12】実施例2においてLVDSに変換せずにそのまま送信する構成を示す図である。
【図13】5V電源、CPU電源U及び制御IC電源のメイン電源とのタイミング関係を示すタイミングチャートである。
【図14】従来技術に関するLVDSによる通信であって別々に設けた信号線により双方向通信を行う構成図である。
【図15】従来技術に関するBusLVDSのようなバス信号をLVDSに変換して一方向通信を行う構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1 パラレル/シリアル変換部
2 シリアル/パラレル変換部
3 LVDSドライバ
4 LVDSレシーバ
5 PLL
6 双方向データ
7 LVDSI/F
8 伝送方向制御信号
9 クロック
10 反転部
11 LVDSデータ送信部(送信側ブロック)
12 LVDSデータ受信部(受信側ブロック)
22,314,323,332 CPUバス
22a,351 アドレスバス
22b,352 データバス
22c 制御信号
100 (複写機の)本体部
200 画像データ処理部
300 エンジン制御部
301,302 LVDS
310 メイン制御PCB
311 CPU
312,324,333 双方向LVDSデバイス
314,323,314 CPUバス
320,330 ユニット制御PCB(制御側PCB)
321,322,331 制御IC
352−1,352−2 セレクト信号
BA,BB,BC 機能ブロック
P パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるパラレル信号をシングルエンド信号に変換するパラレル/シリアル変換部と、
前記パラレル/シリアル変換部からのシングルエンド信号をLVDS出力に変換するLVDSドライバと、
入力されるLVDS信号をシングルエンド信号に変換するLVDSレシーバと、
前記LVDSレシーバからのシングルエンド信号をパラレル信号に変換するパラレル/シリアル変換部と、
を有する機能ブロックを1つのパッケージに搭載し、
データ送信は前記パラレル/シリアル変換部と前記LVDSドライバを用い、
データ受信は前記LVDSレシーバと前記シリアル/パラレル変換部を用い、
前記機能ブロックの信号の伝送方向を切り替えることによって、前記パラレル信号のLVDSによる双方向通信を行うことを特徴とするインターフェース装置。
【請求項2】
請求項1記載のインターフェース装置において、
前記1つのパッケージに搭載された機能ブロックは、前記双方向通信のドライバまたはレシーバとして共通して使用されることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項3】
請求項1記載のインターフェース装置において、
前記機能ブロックの信号の伝送方向の切り替えは、伝送方向制御信号を前記機能ブロックの各構成要素に印加することによって行うことを特徴とするインターフェース装置。
【請求項4】
請求項3記載のインターフェース装置において、
前記機能ブロックは送信側と受信側に対として配置され、
前記機能ブロックの一方には前記伝送方向制御信号が、他方には前記伝送方向制御信号の反転信号がそれぞれ入力されることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項5】
請求項1記載のインターフェース装置において、
前記1つのパッケージに複数の機能ブロックを搭載し、前記機能ブロック毎に前記伝送方向を設定する設定手段を備えていることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項6】
請求項5記載のインターフェース装置において、
前記複数の機能ブロックの内の1つの機能ブロックにCPUバスを適用することを特徴とするインターフェース装置。
【請求項7】
請求項5記載のインターフェース装置において、
前記伝送方向機能を設定し、前記複数の機能ブロックの内の1つの機能ブロックはデータバスに接続されて双方向通信用として機能させ、他の機能ブロックはデータ送信用として機能させることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項8】
請求項5記載のインターフェース装置において、
前記複数の機能ブロックの内使用しない機能ブロックに対して動作不可とする信号を印加することを特徴とするインターフェース装置。
【請求項9】
請求項5記載のインターフェース装置において、
前記データ受信のリード指示信号に基づいて、前記機能ブロックの信号の伝送方向を切り替えることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項10】
請求項9記載のインターフェース装置において、
前記機能ブロックは送信側と受信側に対として配置され、
前記信号の伝送方向は、伝送方向制御信号とドライバであるかレシーバであるかを設定する設定端子の信号レベルに基づいて自動的に切り替えられることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインターフェース装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−249942(P2007−249942A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7009(P2007−7009)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】