説明

インターフェース装置

【課題】次世代のテレビ方式として開発が進められている超高精細映像信号を、通信系のプロトコルである100Gbイーサーネット(登録商標)規格に対応させる動画用インターフェース装置を提供する。
【解決手段】映像信号のフレームフォーマットを分割して、サブフレームフォーマットを生成するサブフレームフォーマット生成部2と、サブフレームフォーマットから1ワードが64ビットである64Bストリームを生成する64B変換部3と、64Bストリームを64B/66B符号化して66Bストリームを生成する64B/66B符号化部4と、66Bストリームを周期的にブロック化してブロックの間にダミーデータを挿入するブロック分割部6と、ダミーデータを周期的にアライメント信号に置き換えるアライメント挿入部7と、アライメント挿入部の出力を並列−直列変換する並列−直列変換部8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビジョンなどの動画映像を伝送する機器間信号のインターフェース装置に関するものであり、特に100Gbイーサーネット(登録商標)用に開発された通信系デバイスを用いた超高精細映像インターフェースに関わる。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラなどで撮影された映像信号を、機器間またはスタジオ間、あるいは離れたビルの間等で伝送する場合には、映像フォーマット毎に専用のインターフェースを開発する必要があった。これらインターフェースで必要とされるビットレートは伝送する映像フォーマットに依存しているからである。
【0003】
例えば、ハイビジョン用に開発されたHD−SDI規格は、30フレーム/秒の動画像を伝送する用途に開発されたものであり、映像の伝送レートは入力映像と同じ約1.485Gビット/秒の伝送容量を持つインターフェースである。この例では、ハイビジョン映像のフォーマット(水平2200画素×垂直1125ライン、60フィールド/インターレース方式)から、画素数(2200×1125)×フレームレート(60/2)×1画素のビット数(10ビット)×輝度・色差信号帯域比(1+0.5+0.5)という要件によって、必要データレートが1.485Gビット/秒であると定まる。
【0004】
また、動画用の実時間インターフェースは、映像信号を1フレームまたは1フィールド単位で伝迭する方式が主流であり、よって、伝送レートはフレーム周波数(またはフィールド周波数)60Hzの整数倍でなければいけない。
【0005】
一方、通信系の技術分野においては、電話交換機の技術をベースとするSONET/SDHでは9.95Gbps、誤り訂正符号を用いるITU−TG.975では10.66Gbps、OTNでは10.7Gbpsなど、伝送レートが異なる幾つかの方式が独自に発展してきている。インターネットなどに用いられるローカルエリアネットワークの分野では、約10Mビットの伝送容量をもつイーサーネット(登録商標)(10MbE)からスタートし、世代の進展とともにその10倍のデータレートを持つ通信デバイスが開発されてきた。さらに近年では10.3Gbpsの伝送速度を持つ10GbEや、10GbEを10本束ねた100GbEが開発されつつある。
【0006】
これら通信系のインターフェースはパーソナルコンピュータなどに代表されるようにネットワークに接続される機器には必ず装備されるため、プロ用から民生用機器まで幅広い分野での需要が見込まれ、インターフェースに使用する専用ICチップなどの単価を抑えることができる。特にイーサーネット(登録商標)用に開発された通信用部品はパーソナルコンピュータのマザーボードにあらかじめ組み込まれて設計されるなど、小型・低価格化が著しい。また、広帯域ネットワークの開発に伴い、小型・安価で且つ高速伝送能力のあるインターフェースデバイスが開発されている。
【0007】
よって、上記のように幅広く用いられる通信用インターフェースデバイスを映像用途にも用いることができれば、小型で低コストの映像インターフェースを開発することができると考えられる。しかしながら、これら通信用イーサーネット(登録商標)用部品は、通信系に固有の伝送周波数やプロトコルを利用するものであり、そのままでは実時間映像用のインターフェースには使用できない。例えば、フレーム単位でデータ転送する動画用実時間インターフェースでは伝送レートが60Hzの整数倍になる必要があり、さらに映像フォーマットの水平ライン周波数に同期した伝送が行われる必要があるが、上記の通信系の伝送レートではこれらの条件を満たさないからである。
【0008】
例えば、通信分野の技術を映像分野に応用した動画用実時間インターフェースの例として、周波数帯(9.95Gbps〜11.1Gbps)を動作範囲とする光トランシーバーを用いた10.692Gbpsインターフェースが報告されている(例えば非特許文献1を参照)。この方式は、通信系に開発された光モジュール及びそのドライバー部分を用い、上記周波数範囲で実時間動画用インターフェースに適した周波数で駆動したものである。
【0009】
しかしながら、上記技術では、伝送するデータが独自プロトコルであるため、先に列挙した既存の通信系プロトコルと整合性がない。つまり、上記技術を用いても、既存の通信用インターフェースを活用することができない。従って、通信系のインターフェースとの互換性を高めた実時間動画用インターフェースを開発するためには、通信系インターフェースのプロトコルを採用し、さらに通信系インターフェースの内部信号処理を考慮した映像フォーマットを採用する必要がある。
【0010】
また、動画用映像システムでは解像度の向上やダイナミックレンジの拡大などにより、実時間インターフェースに求められるデータレートが増大し、次世代テレビ方式として開発が進められているスーパーハイビジョンでは約80Gbpsのデータレートが必要となる。このことから、通信分野で開発されている100Gbイーサーネット(登録商標)の技術を超高精細映像の伝送に応用できれば、小型で安価な映像用インターフェースが開発できると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】SMPTE規格 S435−1,2,3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、通信分野で開発された伝送システムで映像信号を伝送することには多くの利点があるにも拘らず、十分に要件を満たすシステムは存在していなかった。よって本発明では、次世代のテレビ方式として開発が進められている超高精細映像信号を、通信系のプロトコルであるイーサーネット(登録商標)規格に対応させる動画用インターフェース装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による、水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置は、映像信号のフレームフォーマットを分割して、サブフレームフォーマットを生成するサブフレームフォーマット生成部と、サブフレームフォーマットから1ワードが64ビットである64Bストリームを生成する64B変換部と、64Bストリームを64B/66B符号化して66Bストリームを生成する64B/66B符号化部と、66Bストリームを周期的にブロック化して該ブロックの間にダミーデータを挿入するブロック分割部と、ダミーデータを周期的にアライメント信号に置き換えるアライメント挿入部と、アライメント挿入部の出力を並列−直列変換する並列−直列変換部と、並列−直列変換部の出力の異なる2系統を結合する結合器とを備え、水平ワード数を前記ストリーム変換部により変換し、さらにダミーデータを挿入した後の1ラインワード数を、変換後の1ラインのワード数としたときに、ダミーデータの周期は変換後の1ラインのワード数の約数であり、且つ、アライメント信号の周期の約数とすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるインターフェース装置において、アライメント信号の周期は16384ワードであり、変換後の1ラインのワード数は576ワードであり、ダミーデータの周期は64ワードであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるインターフェース装置において、映像フレームフォーマットは、1フレームの水平ワード数が8064ワードかつ垂直ライン数が4521ラインであり、かつ前記映像信号は60フレームレート/秒であり、サブフレームフォーマット生成部は、映像フレームフォーマットをカラム単位で順次16に分割し、504ワード×4521ラインのサブフレームフォーマットを出力し、64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする。
【0016】
また、本発明によるインターフェース装置において、映像フレームフォーマットは、1フレームの水平ワード数が8064ワードかつ垂直ライン数が4524ラインであり、かつ映像信号は60/1.001フレームレート/秒であり、サブフレームフォーマット生成部は、映像フレームフォーマットをカラム単位で順次16に分割し、504ワード×4524ラインのサブフレームフォーマットを出力し、64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるインターフェース装置において、映像フレームフォーマットの各水平ラインの先頭から16カラムに第1同期信号を備え、さらに実際の有効画素領域の手前の16カラムに第2同期信号を備え、サブフレームフォーマット生成部で16分割されたサブフレームフォーマットの各々に第1同期信号および第2同期信号が含まれていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明によるインターフェース装置において、映像フレームフォーマットは、1フレームの水平ワード数が4032ワードかつ垂直ライン数が2261ラインであり、かつ映像信号は60フレームレート/秒であり、サブフレームフォーマット生成部は、映像フレームフォーマットをカラム単位で順次4つに分割し、1008ワード×2261ラインのサブフレームフォーマットを出力し、64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする。
【0019】
また、本発明によるインターフェース装置において、映像フレームフォーマットは、1フレームの水平ワード数が4032ワードかつ垂直ライン数が2262ラインであり、かつ映像信号は60/1.001フレームレート/秒であり、サブフレームフォーマット生成部は、映像フレームフォーマットをカラム単位で順次4つに分割し、1008ワード×2261ラインのサブフレームフォーマットを出力し、64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする。
【0020】
また、本発明によるインターフェース装置において、映像フレームフォーマットの各水平ラインの先頭から4カラムに第1同期信号を備え、さらに実際の有効画素領域の手前の4カラムに第2同期信号を備え、サブフレームフォーマット生成部で4分割されたサブフレームフォーマットの各々に第1同期信号および第2同期信号が含まれていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明による、伝送信号を入力して、映像フレームフォーマットの映像信号を出力するインターフェース装置は、伝送信号を2系統に分配する分配器と、分配器の出力を直列−並列変換するデシリアライザーと、デシリアライザーによって並列化されたレーンの歪みを補正するアライメントロック部と、レーンの整列を直すレーンリオーダー部と、レーン中のアライメント信号およびダミーデータを除去するアライメント除去部と、アライメント除去部の出力を64B/66B復号する64B/66B復号部と、64B/66B復号部の出力から、サブフレームフォーマットを再生するサブフレーム再生部と、異なる16系統のサブフレームフォーマットから映像フレームフォーマットを合成するフレーム合成部とを備え、ダミーデータの周期はアライメント信号の周期の約数であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、次世代のテレビ方式として開発が進められている超高精細映像信号を、通信系のプロトコルであるイーサーネット(登録商標)規格に対応させる動画用インターフェース装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるインターフェース装置の概略図である。
【図2】本発明によるフレームフォーマットの分割方法を説明する図である。
【図3】本発明による64B/66B符号化に係る信号処理を説明する図である。
【図4】本発明によるアライメントマーカー挿入に係る信号処理を説明する図である。
【図5】本発明によるインターフェース装置の概略図である。
【図6】本発明によるフレームフォーマットの分割方法を説明する図である。
【図7】本発明による64B/66B符号化に係る信号処理を説明する図である。
【図8】本発明によるアライメントマーカー挿入に係る信号処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施例1]
図1は、本発明の実施に係るインターフェース装置の基本ブロック図を示す。図1に記載の各部における信号処理の詳細な説明は後段にするものとして、以下では、本願発明の基本的処理の流れを説明する。
【0025】
本発明による送信側インターフェース装置1は、サブフレームフォーマット生成部2と64B変換部3と64B/66B符号化部4とスクランブル部5とブロック分割部6とアライメント挿入部7と並列−直列変換8部と結合器9とを備える。
【0026】
送信側インターフェース装置1への入力信号は、赤、緑、青の3チャンネルで60フレーム/秒、8064画素×4521ライン、また、各画素(すなわち各ワード)のビット深さは12ビットとする。
【0027】
先ず、サブフレームフォーマット生成部2によってこのフレームフォーマットを分割し、サブフレームフォーマットを生成する。ここでは、フレームを16分割し、分割された各サブフレームフォーマットは、それぞれ同様の信号処理を後段で行うものとする。
【0028】
その後、ストリーム変換部3にて、分割されたサブフレームの映像信号を1ワードが64ビットのストリームに変換する。
【0029】
次に、64B/66B符号化部4では、64ビットのストリームを64B/66B符号化方式によって伝送用符号化する。
【0030】
その後、スクランブル処理部5によってスクランブル処理をし、ブロック分配部6ではブロック分配をする。このブロック分配では、ダミーデータを挿入する役割を兼ねる。
【0031】
そして、アライメント挿入部7で、IEEE P802.3ba2008に規定される方式でアライメント信号を挿入する。シリアライザー8では、並列一直列信号変換して5Gbpsの近傍のデータレート(5.15611008Gbps)が得られる。
【0032】
この信号列を結合器9にて2系統束ねることにより、通信用途で用いられる場合の標準データレート10.3125Gbpsの±100ppm以内の差である10.31222016Gbpsの信号が得られる。すなわち、上記パラメータおよび信号処理により、光デバイス、ロジックデバイス等に大きな変更なく、通信用デバイスを動作させることが可能となる。
【0033】
なお、受信機側インターフェース装置10では、送信機側インターフェース装置1と逆の処理が行われ、フレームフォーマットが再生される。すなわち、分配器11にて信号を2系統に分配し、デシリアライザー12にて直列―並列変換をし、アライメントロック部13にてレーンの歪みを補正し、レーンリオーダー部14にてレーンの整列を直し、アライメント除去部15では挿入されているアライメントマーカーおよびダミーデータを除去し、デスクランブル部16では送信時のスクランブルを解き、64B/66B復号部17にて64B/66B符号を復号し、64Bストリームから赤、緑、青の各12ビットチャンネルサブフレームを再生し、フレームフォーマット合成部18にて16分割されたサブフレームフォーマットを合成して、元の映像フレームフォーマットを再生する。
【0034】
次に、図2から図4を用いて、本発明によるインターフェース装置における各部の信号処理に関する詳細な説明を行う。
【0035】
図2は、本発明実施に用いるフレームフォーマットの例である。このフレームフォーマットは水平7680画素×垂直4320ラインの有効画素領域を含み、全体として水平8064画素×垂直4521ラインのフレームフォーマットを構成する。このフレームフォーマットを、水平504画素×垂直4521ラインの16サブフレームフォーマットに分割する。なお、この信号処理は、図1におけるサブフレームフォーマット生成部2における信号処理に対応する。
【0036】
図2に示すように、このフレームフォーマットの先頭カラムから第16カラム目までには第1の同期コードが挿入されており、また、有効画素領域が開始する直前の16カラムにも第2の同期コードが挿入されている。この第1および第2の同期コードはハイビジョン用インターフェースHD−SDIで用いられているEAVおよびSAVと同様にフレーム/ラインの先頭、および有効画素領域の開始/終了を表すよう予め決められた映像タイミングコードである。
【0037】
このフレームフォーマットを、カラムごとに順次16のサブフレームフォーマットに分割する。その結果、このサブフレームフォーマットは水平画素504×垂直ライン4521ラインで構成され、各サブフレームフォーマットの先頭カラム及び有効画素領域直前のカラムには、それぞれ第1及び第2の同期コードが挿入されている。なお12ビット深さの画素データの内、有効画素領域内の映像データに16〜4079を割り当て、0〜15、4080〜4095のデータ範囲を同期コードに使用する。
【0038】
図3は、上記サブフレーム信号を64B/66B符号化処理し、1ワード66ビットの567ワード×4521ラインの映像信号を生成するまでの処理を示す。すなわち、図3における信号処理は、図1における、ストリーム変換部3、64B/66B符号化部4、およびスクランブル処理部5における信号処理に対応する。
【0039】
まず、赤、緑、青チャンネルの3チャンネル各12ビットから、36ビット幅のデータストリームを作成する。次に、この36ビット幅のデータストリームの16ワード分のデータを用いて、72ビット幅のデータストリームを8レーン作成し、その後、1ワードが64ビットのストリームを9レーン生成する。
【0040】
その後、各64ビット幅のストリーム信号は64B/66B符号化方式で決められた既定のスクランブル処理をし、2ビットの同期ビットを付加して、1ワード66ビットの567ワード×4521ラインの信号(フレームレートは30fps)に変換される。
【0041】
図4は、上記信号処理の続きを説明するための図である。すなわち、上記の1ワード66ビットの567ワード×4521ラインの信号から、10.31222016Gbpsの信号が得るまでを説明する。
【0042】
上記の567ワード×4521ラインの信号は、(図1におけるブロック分割部6が備える)FIFOメモリを用いたデータレート変換処理により、63ワードに1ワードの割合でダミーデータが挿入される。このダミーデータは水平信号の整数倍の周期で挿入されるため、挿入されたダミーデータは図4に示すように映像フレーム内ではカラム状に整列する。ここでは映像データ63ワードに対して、1つのダミーデータを挿入するため、ダミーデータは64ワード周期となる。
【0043】
次に同期をとるためのアライメント信号を挿入する。IEEE P802.3ba2008に規定されているように、アライメント信号の間隔が16383ワードになるようにアライメント信号を挿入する。先に挿入したダミーデータの周期は64ワードであり、これは16384ワード周期の約数となっているので、周期的に(この場合256ダミーデータ毎に)ダミーデータをアライメント信号に置き換えると、IEEE P802.3ba2008に規定されたアライメント信号間隔が得られる。
【0044】
このようにして生成された信号列を2系統用い、並列−直列変換して伝送することにより、IEEE P802.3ba2008で規定された通信系インターフェースで使用される標準伝送レート10.3125Gbpsの近傍の伝送レートを持つ信号が得られる。
【0045】
なお、受信機側ではこの逆の処理を逆に行えばもとの映像信号を生成することができるので、ここでは信号処理の詳細な説明を省略する。
【0046】
以上は8064画素×4521ライン、60フレーム/秒のフレームフォーマットについての実施例を示した。フレームレートが60/1.001フレーム/秒の場合には8064画素×4524ラインのフレームフォーマットを採用し、同様の信号処理方法を採用することで、データレートが10.3125Gbps±400ppmの範囲内でインターフェース装置を構築することが可能である。
【0047】
[実施例2]
図5は、本発明のもう1つの実施に係るインターフェース装置の基本ブロック図を示す。以下では、実施例1と重複する部分は同一符号を付することによって適宜省略して説明する。
【0048】
本発明による送信側インターフェース装置1は、サブフレームフォーマット生成部2と64B変換部3と64B/66B符号化部4とスクランブル部5とブロック分割部6とアライメント挿入部7と並列−直列変換8部と結合器9とを備える。
【0049】
本実施例で利用する送信側インターフェース装置1への入力信号は、赤、緑、青の3チャンネルで60フレーム/秒、4032ワード×2261ライン、また、各画素(すなわち各ワード)のビット深さは12ビットとする。
【0050】
先ず、サブフレームフォーマット生成部2によってこのフレームフォーマットを分割し、サブフレームフォーマットを生成する。ここでは、フレームを4分割し、分割された各サブフレームフォーマットは、それぞれ同様の信号処理を後段で行うものとする。
【0051】
その後、ストリーム変換部3にて、分割されたサブフレームの映像信号を、1ワードが64ビットのストリームに変換し、次に、64B/66B符号化部4にて、64ビットのストリームを64B/66B符号化方式によって伝送用符号化する。その後、スクランブル処理部5によってスクランブル処理をし、ブロック分配部6ではブロック分配をする。このブロック分配では、ダミーデータを挿入する役割を兼ねる。
【0052】
そして、アライメント挿入部7で、IEEE P802.3ba2008に規定される方式でアライメント信号を挿入する。並列一直列変換部8では、並列一直列信号変換して5Gbpsの近傍のデータレート(5.15725056Gbps)が得られる。
【0053】
この信号列を結合器9にて2系統束ねることにより、通信用途で用いられる場合の標準データレート10.3125Gbpsの±200ppm以内の差である10.31450112Gbpsの信号が得られる。すなわち、上記パラメータおよび信号処理により、光デバイス、ロジックデバイス等に大きな変更なく、通信用デバイスを動作させることが可能となる。
【0054】
次に、図6から図8を用いて、本発明の実施に係るインターフェース装置における各部の信号処理に関する詳細な説明を行う。
【0055】
図2は、本発明実施に用いるフレームフォーマットの例である。このフレームフォーマットは水平3840画素×垂直2160ラインの有効画素領域を含み、全体として水平4032画素×垂直2261ラインのフレームフォーマットを構成する。このフレームフォーマットを、水平1008画素×垂直2261ラインの4つのサブフレームフォーマットに分割する。なお、この信号処理は、図5におけるサブフレームフォーマット生成部2における信号処理に対応する。
【0056】
図6に示すように、このフレームフォーマットの先頭カラムから第4カラム目までには第1の同期コードが挿入されており、また、有効画素領域が開始する直前の4カラムにも第2の同期コードが挿入されている。この第1および第2の同期コードはハイビジョン用インターフェースHD−SDIで用いられているEAVおよびSAVと同様にフレーム/ラインの先頭、および有効画素領域の開始/終了を表すよう予め決められた映像タイミングコードである。
【0057】
このフレームフォーマットを、カラムごとに順次4つのサブフレームフォーマットに分割する。その結果、このサブフレームフォーマットは水平画素1008×垂直ライン2261ラインで構成され、各サブフレームフォーマットの先頭カラム及び有効画素領域直前のカラムには、それぞれ第1及び第2の同期コードが挿入されている。なお12ビット深さの画素データの内、有効画素領域内の映像データに16〜4079を割り当て、0〜15、4080〜4095のデータ範囲を同期コードに使用する。
【0058】
図7は、上記サブフレーム信号を64B/66B符号化処理し、1ワード66ビットの567ワード×4521ラインの映像信号を生成するまでの処理を示す。すなわち、図3における信号処理は、図5における、ストリーム変換部3、64B/66B符号化部4、およびスクランブラ処理部5における信号処理に対応する。
【0059】
まず、赤、緑、青チャンネルの3チャンネル各12ビットから、36ビット幅のデータストリームを作成する。次に、この36ビット幅のデータストリームの16ワード分のデータを用いて、72ビット幅のデータストリームを8レーン作成し、その後、1ワードが64ビットのストリームを9レーン生成する。
【0060】
その後、各64ビット幅のストリーム信号は64B/66B符号化方式で決められた既定のスクランブル処理をし、2ビットの同期ビットを付加して、1ワード66ビットの567ワード×4522ラインの信号(フレームレートは30fps)に変換される。
【0061】
図8は、上記信号処理の続きを説明するための図である。すなわち、上記の1ワード66ビットの567ワード×4522ラインの信号から、10.31450112Gbpsの信号が得るまでを説明する。
【0062】
上記の567ワード×4522ラインの信号は、(図5におけるブロック分割部6が備える)FIFOメモリを用いたデータレート変換処理により、63ワードに1ワードの割合でダミーデータが挿入される。このダミーデータは水平信号の整数倍の周期で挿入されるため、挿入されたダミーデータは図4に示すように映像フレーム内ではカラム状に整列する。ここでは映像データ63ワードに対して、1つのダミーデータを挿入するため、ダミーデータは64ワード周期となる。
【0063】
次に同期をとるためのアライメント信号を挿入する。IEEE P802.3ba2008に規定されているように、アライメント信号の間隔が16383ワードになるようにアライメント信号を挿入する。先に挿入したダミーデータの周期は64ワードであり、これは16384ワード周期の約数となっているので、周期的に(この場合256ダミーデータ毎に)ダミーデータをアライメント信号に置き換えると、IEEE P802.3ba2008に規定されたアライメント信号間隔が得られる。
【0064】
このようにして生成された信号列を2本用い、並列−直列変換して伝送することにより、IEEE P802.3ba2008で規定された通信系インターフェースで使用される標準伝送レート10.3125Gbpsの近傍の信号が得られる。
【0065】
以上は4032画素×2261ライン、60フレーム/秒のフレームフォーマットについての実施例を示した。フレームレートが60/1.001フレーム/秒の場合には4032画素×2262ラインのフレームフォーマットを採用し、同様の信号処理方法を採用することで、データレートが10.3125Gbps±400ppmの範囲内でインターフェース装置を構築することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、次世代のテレビ方式として開発が進められている超高精細映像信号を、通信系のインターフェースであるイーサーネット(登録商標)プロトコルに対応させる用途に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 送信側インターフェース装置
2 サブフレームフォーマット生成部
3 64B変換部
4 64B/66B符号化部
5 スクランブル部
6 ブロック分割部
7 アライメント挿入部
8 並列−直列変換部
9 結合器
10 受信側インターフェース装置
11 分割器
12 デシリアライザー
13 アライメントロック部
14 レーンリオーダー
15 アライメント除去部
16 デスクランブル部
17 64B/66B復号部
18 フレームフォーマット合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平ワード数および垂直ライン数からなる映像フレームフォーマットの映像信号を入力して、伝送信号を出力するインターフェース装置であって、
前記映像信号のフレームフォーマットを分割して、サブフレームフォーマットを生成するサブフレームフォーマット生成部と、
前記サブフレームフォーマットから1ワードが64ビットである64Bストリームを生成する64B変換部と、
前記64Bストリームを64B/66B符号化して66Bストリームを生成する64B/66B符号化部と、
前記66Bストリームを周期的にブロック化して該ブロックの間にダミーデータを挿入するブロック分割部と、
前記ダミーデータを周期的にアライメント信号に置き換えるアライメント挿入部と、
前記アライメント挿入部の出力を並列−直列変換する並列−直列変換部と、
前記並列−直列変換部の出力の異なる2系統を結合する結合器とを備え、
前記水平ワード数を前記ストリーム変換部により変換し、さらに前記ダミーデータを挿入した後の1ラインワード数を、変換後の1ラインのワード数としたときに、前記ダミーデータの周期は前記変換後の1ラインのワード数の約数であり、且つ、前記アライメント信号の周期の約数であることを特徴とするインターフェース装置。
【請求項2】
前記アライメント信号の周期は16384ワードであり、
前記変換後の1ラインのワード数は576ワードであり、
前記ダミーデータの周期は64ワードであることを特徴とする、請求項1に記載のインターフェース装置。
【請求項3】
前記映像フレームフォーマットは、1フレームの前記水平ワード数が8064ワードかつ垂直ライン数が4521ラインであり、かつ前記映像信号は60フレームレート/秒であり、
前記サブフレームフォーマット生成部は、前記映像フレームフォーマットをカラム単位で順次16に分割し、504ワード×4521ラインのサブフレームフォーマットを出力し、
前記64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインターフェース装置。
【請求項4】
前記映像フレームフォーマットは、1フレームの前記水平ワード数が8064ワードかつ垂直ライン数が4524ラインであり、かつ前記映像信号は60/1.001フレームレート/秒であり、
前記サブフレームフォーマット生成部は、前記映像フレームフォーマットをカラム単位で順次16に分割し、504ワード×4524ラインのサブフレームフォーマットを出力し、
前記64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインターフェース装置。
【請求項5】
前記映像フレームフォーマットの各水平ラインの先頭から16カラムに第1同期信号を備え、さらに実際の有効画素領域の手前の16カラムに第2同期信号を備え、
前記サブフレームフォーマット生成部で16分割された前記サブフレームフォーマットの各々に前記第1同期信号および前記第2同期信号が含まれていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のインターフェース装置。
【請求項6】
前記映像フレームフォーマットは、1フレームの前記水平ワード数が4032ワードかつ垂直ライン数が2261ラインであり、かつ前記映像信号は60フレームレート/秒であり、
前記サブフレームフォーマット生成部は、前記映像フレームフォーマットをカラム単位で順次4つに分割し、1008ワード×2261ラインのサブフレームフォーマットを出力し、
前記64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインターフェース装置。
【請求項7】
前記映像フレームフォーマットは、1フレームの前記水平ワード数が4032ワードかつ垂直ライン数が2262ラインであり、かつ前記映像信号は60/1.001フレームレート/秒であり、
前記サブフレームフォーマット生成部は、前記映像フレームフォーマットをカラム単位で順次4つに分割し、1008ワード×2261ラインのサブフレームフォーマットを出力し、
前記64B変換部は、赤、緑、青の各チャンネルの12ビット幅を束ねた36ビットの画素データを2フレーム毎16画素単位で64ビット幅の信号に変換することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインターフェース装置。
【請求項8】
前記映像フレームフォーマットの各水平ラインの先頭から4カラムに第1同期信号を備え、さらに実際の有効画素領域の手前の4カラムに第2同期信号を備え、
前記サブフレームフォーマット生成部で4分割された前記サブフレームフォーマットの各々に前記第1同期信号および前記第2同期信号が含まれていることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載のインターフェース装置。
【請求項9】
伝送信号を入力して、映像フレームフォーマットの映像信号を出力するインターフェース装置であって、
前記伝送信号を2系統に分配する分配器と、
前記分配器の出力を直列−並列変換するデシリアライザーと、
前記デシリアライザーによって並列化されたレーンの歪みを補正するアライメントロック部と、
前記レーンの整列を直すレーンリオーダー部と、
前記レーン中のアライメント信号およびダミーデータを除去するアライメント除去部と、
前記アライメント除去部の出力を64B/66B復号する64B/66B復号部と、
前記64B/66B復号部の出力から、サブフレームフォーマットを再生するサブフレーム再生部と、
異なる16系統の前記サブフレームフォーマットから前記映像フレームフォーマットを合成するフレーム合成部とを備え、
前記ダミーデータの周期は前記アライメント信号の周期の約数であることを特徴とするインターフェース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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