説明

インターホンシステム

【課題】ドアホン子器の消費電力を抑えることで該ドアホン子器が備える電池の寿命を延ばしたインターホンシステムを提供する。
【解決手段】インターホンシステムは、宅外に設置されて電池29により駆動されるドアホン子器2と、宅内に設置されてドアホン子器2との間で通話可能なインターホン親機1とを備える。ドアホン子器2は、無線送受信部22と、マイクロホン24及びスピーカー25を用いて音声通話を行う子器通話部23とを有し、インターホン親機1は、無線送受信部12と、マイクロホン14及びスピーカー15を用いて音声通話を行う親機通話部13とを有している。また、ドアホン子器2は、無線送受信部22からの送信電波強度を自動設定する初期設定モードを有し、初期設定モードにおいてインターホン親機1との間で行った通信結果に基づいて、送信電波強度を通信可能な所定レベルまで低下させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤレス通信によって通話を可能にしたインターホンシステムが提供されている(例えば特許文献1参照)。このインターホンシステムは、玄関などの宅外に設置されるドアホン子器と、宅内に設置されてドアホン子器との間で通話可能なインターホン親機とを備え、ドアホン子器とインターホン親機の間、又はインターホン親機間でワイヤレス通信をすることによって、ドアホン子器からの呼び出しに対する通話、又はインターホン親機間の内線通話を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−252711号公報(段落[0004]−段落[0005]、及び、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に示したインターホンシステムでは、ドアホン子器とインターホン親機の間、及びインターホン親機間の通信をワイヤレス化したことに伴い、施工性の向上を図るためにドアホン子器の動作電源として電池を採用しており、メンテナンス性などの面から電池の寿命を延ばすことが期待されていた。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、ドアホン子器の消費電力を抑えることで該ドアホン子器が備える電池の寿命を延ばしたインターホンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、音声通話を行うための第1の通話手段、及び少なくとも音声信号を無線通信により伝送する第1の無線通信手段を具備し、電池により駆動されるドアホン子器と、音声通話を行うための第2の通話手段、及び少なくとも音声信号を無線通信により伝送する第2の無線通信手段を具備し、ドアホン子器との間で無線通信により相互に伝送される音声信号により該ドアホン子器との間で通話可能なインターホン親機とを備え、ドアホン子器は、第1の無線通信手段からの送信電波強度を自動設定する初期設定モードを有し、該初期設定モードにおいてインターホン親機との間で行った通信結果に基づいて、送信電波強度を通信可能な所定レベルまで低下させることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ドアホン子器は、初期設定モードにおいて電波強度が異なる複数種類の問い合わせ信号をインターホン親機に送信し、各問い合わせ信号に対するインターホン親機からの応答信号の有無に基づいて、インターホン親機との無線通信における電波強度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、通信可能な所定レベルまで電波強度を低下させることによって、ドアホン子器の消費電力を低く抑えることができ、その結果電池の寿命を延ばすことができるという効果がある。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加え、電波強度を測定することなく、簡単な方法で所望の電波強度に設定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態のインターホンシステムの概略ブロック図を示し、(a)はインターホン親機、(b)はドアホン子器、(c)はインターホン副親機である。
【図2】同上のシステム構成図である。
【図3】同上のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るインターホンシステムの実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。本発明に係るインターホンシステムは、例えば住宅などに設置されて来訪者との間で通話を行うために用いられるものである。
【0012】
本実施形態のインターホンシステムは、図2に示すように、玄関などの宅外に設置されるドアホン子器2と、宅内に設置されてドアホン子器2との間で通話可能なインターホン親機1と、インターホン親機1を介してドアホン子器2との間で通話可能な携帯型のインターホン副親機3とを備えている。
【0013】
ドアホン子器2は、図1(b)に示すように、マイクロホン24及びスピーカー25を用いてインターホン親機1又はインターホン副親機3との間で音声通話を行う子器通話部(第1の通話手段)23と、来訪者を撮像するためのカメラ26と、インターホン親機1との無線通信により音声信号及びカメラ26で撮像された画像情報を伝送する無線送受信部(第1の無線通信手段)22と、呼出ボタン27と、全般的な制御を行う制御部21と、電池(例えばリチウムイオン二次電池など)29と、電池29から電力供給を受けて内部電源を生成する電源回路部28とを備えている。すなわち、本実施形態のドアホン子器2は、電池29により駆動されるのである。なお、図2にはドアホン子器2の概略外観図を示しており、子器本体の前面にはカメラ26と呼出ボタン27とがそれぞれ配置されている。
【0014】
インターホン親機1は、図1(a)に示すように、マイクロホン14及びスピーカー15を用いてドアホン子器2との間で音声通話を行う親機通話部(第2の通話手段)13と、ドアホン子器2又はインターホン副親機3との無線通信により音声信号及び上記の画像情報を伝送する無線送受信部(第2の無線通信手段)12と、上記の画像情報を表示するモニター16と、全般的な制御を行う制御部11とを備えている。また、図2にはインターホン親機1の概略外観図を示しており、親機本体の前面にはモニター16と通話ボタン17とがそれぞれ配置されている。したがって、ドアホン子器2からの呼び出しに対して通話ボタン17を押すことで、ドアホン子器2との間で通話が可能になる。なお、通話動作については従来と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0015】
インターホン副親機3は、図1(c)に示すように、マイクロホン34及びスピーカー35を用いてドアホン子器2との間で音声通話を行う副親機通話部33と、インターホン親機3との無線通信により音声信号及び上記の画像情報を伝送する無線送受信部32と、通話操作などの操作を行うための操作ボタン36と、全般的な制御を行う制御部31とを備えている。すなわち、本実施形態のインターホンシステムでは、図2に示すように、インターホン親機1とドアホン子器2の間、及びインターホン親機1とインターホン副親機3の間それぞれで無線通信が行われる。したがって、ドアホン子器2とインターホン副親機3の間で通話する際には、両者の間で伝送される音声信号がインターホン親機1を介して伝送されることになる。
【0016】
なお、本実施形態では、インターホン副親機3として、図2に示すような携帯通話端末を採用しており、したがってインターホン副親機3を用いて通話する際には、受話口38を耳に当てて使用することになる。また、図2中の37はインターホン副親機3のモニターを示している。
【0017】
ここで、本実施形態のドアホン子器2には、無線送受信部22からの送信電波強度を自動設定する初期設定モードが設けられており、この初期設定モードは電源投入時にのみ実行される。そして、初期設定モードにおいて送信電波強度が設定されると、以後は、設定された電波強度でインターホン親機1との無線通信が行われることになる。以下に、その手順について図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、初期設定モードにおいてドアホン子器2の無線送受信部22から送信される問い合わせ信号(インターホン親機1との無線通信における電波強度を設定するための信号)の電波強度が、弱レベル、中レベル、強レベルの3種類の場合について説明する。
【0018】
図示しないスイッチがオンにされるか、又は電池29がセットされて電源が投入されると(ステップS1)、ドアホン子器2の制御部21の動作モードが初期設定モードに設定され、制御部21は弱レベルの問い合わせ信号を無線送受信部22から送信させる(ステップS2)。そして、インターホン親機1の制御部11が弱レベルの問い合わせ信号を受け取った場合には、制御部11は応答信号を無線送受信部12から送信させ(ステップS3)、この応答信号を受け取ったドアホン子器2の制御部21は、インターホン親機1との無線通信における電波強度を弱レベルに設定する(ステップS4)。
【0019】
インターホン親機1の制御部11が弱レベルの問い合わせ信号を受信できなかった場合には、ドアホン子器2に対して応答信号が返信されないので、一定の待ち時間内に応答信号を受信できないことから、ドアホン子器2の制御部21は中レベルの問い合わせ信号を無線送受信部22から送信させる(ステップS5)。そして、インターホン親機1の制御部11が中レベルの問い合わせ信号を受け取った場合には、制御部11は応答信号を無線送受信部12から送信させ(ステップS6)、この応答信号を受け取ったドアホン子器2の制御部21は、インターホン親機1との無線通信における電波強度を中レベルに設定する(ステップS7)。
【0020】
さらに、インターホン親機1の制御部11が中レベルの問い合わせ信号を受信できなかった場合には、ドアホン子器2に対して応答信号が返信されないので、一定の待ち時間内に応答信号を受信できないことから、ドアホン子器2の制御部21は強レベルの問い合わせ信号を無線送受信部22から送信させる(ステップS8)。そして、インターホン親機1の制御部11が強レベルの問い合わせ信号を受け取った場合には、制御部11は応答信号を無線送受信部12から送信させ(ステップS9)、この応答信号を受け取ったドアホン子器2の制御部21は、インターホン親機1との無線通信における電波強度を強レベルに設定する(ステップS10)。
【0021】
なお、インターホン親機1の制御部11が強レベルの問い合わせ信号を受信できなかった場合には、ドアホン子器2に対して応答信号が返信されないので、一定の待ち時間内に応答信号を受信できないことから、ドアホン子器2の制御部21はインターホン親機1に対してエラー信号を送信し、インターホン親機1ではモニター16に電波エラーが発生した旨を表示して住居人に知らせることになる(ステップS11)。
【0022】
以後は、初期設定モードで設定された電波強度でインターホン親機1との無線通信を行うことになり、またドアホン子器2は一旦施工されれば移動することはないので、確実に通信を行うことができる。なお、ドアホン子器2やインターホン親機1の位置が変更されたり、電波状況が変わって通信エラーが発生した場合には、スイッチを一旦オフにするか、又は電池29を外して再設定すればよい。
【0023】
而して、本実施形態では、通信可能な所定レベルまで電波強度を低下させることによって、ドアホン子器2の消費電力を低く抑えることができ、その結果電池29の寿命を延ばすことができる。さらに、本実施形態のように電波強度の弱い問い合わせ信号から順に送信し、インターホン親機1からの応答信号があった問い合わせ信号の電波強度を、インターホン親機1との無線通信における電波強度に設定することで、電波強度を測定することなく、簡単な方法で所望の電波強度に設定することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、初期設定モードにおいて電波強度の弱い問い合わせ信号から順に送信した場合について説明したが、例えば電波強度の強い問い合わせ信号から順に送信し、インターホン親機1からの応答信号が途絶える一つ前の問い合わせ信号の電波強度を、インターホン親機1との無線通信における電波強度に設定してもよく、電波強度を通信可能な所定レベルまで低下させることができれば送信順序は問わない。また、本実施形態では、初期設定モードにおいて無線送受信部22から送信する問い合わせ信号が3種類の場合について説明したが、問い合わせ信号は複数であればよく、例えば2種類であってもいいし、4種類以上であってもいい。さらに、本実施形態のインターホンシステムでは、携帯型のインターホン副親機3を設けているが、インターホン副親機3は必ずしも設けなくてもよい。また、ドアホン子器2が備える電池29は二次電池であってもいいし、一次電池であってもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 インターホン親機
2 ドアホン子器
12 無線送受信部(第2の無線通信手段)
13 親機通話部(第2の通話手段)
14 マイクロホン
15 スピーカー
22 無線送受信部(第1の無線通信手段)
23 子器通話部(第1の通話手段)
24 マイクロホン
25 スピーカー
29 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声通話を行うための第1の通話手段、及び少なくとも音声信号を無線通信により伝送する第1の無線通信手段を具備し、電池により駆動されるドアホン子器と、
音声通話を行うための第2の通話手段、及び少なくとも音声信号を無線通信により伝送する第2の無線通信手段を具備し、前記ドアホン子器との間で無線通信により相互に伝送される音声信号により該ドアホン子器との間で通話可能なインターホン親機とを備え、
前記ドアホン子器は、前記第1の無線通信手段からの送信電波強度を自動設定する初期設定モードを有し、該初期設定モードにおいて前記インターホン親機との間で行った通信結果に基づいて、前記送信電波強度を通信可能な所定レベルまで低下させることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記ドアホン子器は、前記初期設定モードにおいて電波強度が異なる複数種類の問い合わせ信号を前記インターホン親機に送信し、各問い合わせ信号に対する前記インターホン親機からの応答信号の有無に基づいて、前記インターホン親機との無線通信における電波強度を設定することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−146803(P2011−146803A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4224(P2010−4224)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】