説明

インターホンシステム

【課題】 パン/チルト操作やメッセージを報音することなく、来訪者にカメラの正面に立っていただくよう動作するインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 居室親機2に居住者を模したキャラクタ画像を保存した画像記憶部26を設ける一方、玄関子機1にキャラクタ画像を表示する子機モニタ16を設け、玄関子機1からの呼び出しを受けて居室親機2が応答操作されたら、親機CPU27が画像記憶部26から所定のキャラクタ画像を読み出して子機モニタ14に表示させ、その後親機マイク22からの音声の入力が始まったらキャラクタ画像の複数の状態を読み出して子機モニタ16に順次表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来訪者を撮像するためのカメラを備えたインターホンシステムに関し、特にカメラにパン/チルト機能を操作することなく来訪者の顔の良好な撮像を可能とするインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ向上のために来訪者を撮像するためのカメラを玄関子機に組み込み、居室親機にその撮像映像を表示するモニタを備えたインターホンシステムが普及している。このようなインターホンシステムでは、来訪者の呼出操作を受けて自動でカメラが撮像を開始してその撮像映像が居室親機に表示されるが、来訪者がカメラの前に立たなかったり、立ってくれてもカメラの方を向いてくれない場合があり、そのような場合はカメラをパン/チルト操作して来訪者の顔を確認できるよう操作したり(例えば、特許文献1参照)、パン/チルト機能を持たないシステムではカメラの方向を向いて頂く工夫がなされたものがあった。例えば特許文献2では、玄関子機から「ドアホン子機の正面にお立ちください」とメッセージを報音することで、来訪者に対してカメラが正面に来るよう立つことを促した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−205417号公報
【特許文献2】特開2002−204315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カメラの正面にいない来訪者をパン/チルト機能により確認できるよう操作する形態は操作が面倒であったし、来訪者がそもそも別の方向を向いている場合は顔を確認するのが難しかった。
また、上記特許文献2のアナウンスする形態の場合は、玄関子機を操作した来訪者に対して、メッセージを報音することでカメラの前へ立つよう促すことで、カメラの視野外となる来訪者の割合を減らすことができたが、メッセージの報音による来訪者に対する立ち位置の促しは、来訪者自身がどのような状態で撮像されている判らないため、現状の状態で良いと思い移動しなかったり、正面に立っている来訪者に対してもメッセージを報音することになり、来訪者の気分を害する場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、パン/チルト操作やメッセージを報音することなく、来訪者にカメラの正面に立っていただくよう動作するインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像するためのカメラ、及び居住者を呼び出す呼出ボタン、通話するための子機マイク及び子機スピーカを備えた玄関子機と、カメラの撮像映像を表示する親機モニタ、及び玄関子機からの呼び出しに対して応答するための応答操作部と、来訪者と通話するための親機マイク及び親機スピーカとを備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、居住者を模したキャラクタ画像を保存する画像記憶部を居室親機或いは伝送線を介して居室親機に接続された記憶装置に設けると共に、玄関子機にキャラクタ画像を表示する子機モニタを設け、居室親機に玄関子機からの呼び出しを受けて応答操作部が応答操作されたときに、画像記憶部から所定のキャラクタ画像を読み出して子機モニタに表示させるキャラクタ表示制御部を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、呼び出しを受けた居住者の応答操作に合わせて玄関子機に設けた子機モニタにキャラクタ画像が表示される。よって、来訪者にとっては応答している居住者が表示されているように感じられ、そのキャラクタに注目が行き、カメラの撮像範囲に自然と入るようになる。而も、子機モニタを見るためカメラ方向を向くようになる。結果、パン/チルト操作やアナウンスすること無く来訪者を確認し易い映像が親機モニタに表示される。そして、表示されるのはキャラクタであり居住者自身ではないため、居住者のプライバシーを保護することができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、画像記憶部は、一つのキャラクタに対して複数の状態を表すキャラクタ画像を記憶し、キャラクタ表示制御部は、応答操作部の操作に加えて親機マイクからの音声の入力を検出したらキャラクタの複数の状態を読み出し、親機マイクから音声の入力を検出している間は読み出した複数の状態を子機モニタに順次表示させることを特徴とする。
この構成によれば、居住者が話をしている間は、それに応じて擬似的に居住者を表すキャラクタが動くように表示できる。例えば、口が動くように複数の静止画を順次読み出して表示すれば、キャラクタがあたかも応答しているよう来訪者に感じさせることができ、来訪者はカメラの前に立って会話し易くなる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、画像記憶部は、一つのキャラクタに対して複数の状態を表すキャラクタ画像を記憶し、キャラクタ表示制御部は、応答操作部の操作に加えて子機マイクからの音声の入力を検出したらキャラクタの複数の状態を読み出し、子機マイクから音声の入力を検出している間は読み出した複数の状態を子機モニタに順次表示させることを特徴とする。
この構成によれば、来訪者が話をしている間は、それに応じて擬似的に居住者を表すキャラクタが動くように表示できる。例えば、うなずくように複数の静止画を順次読み出して表示すれば、キャラクタがあたかも来訪者の話を聞いているように感じさせることができ、来訪者はカメラの前に立って会話し易くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、呼び出しを受けた居住者の応答操作に合わせて玄関子機に設けた子機モニタにキャラクタ画像が表示される。よって、来訪者にとっては応答している居住者が表示されているように感じられ、そのキャラクタに注目が行き、カメラの撮像範囲に自然と入るようになる。而も、子機モニタを見るためカメラ方向を向くようになる。結果、パン/チルト操作やアナウンスすること無く来訪者を確認し易い映像が親機モニタに表示される。そして、表示されるのはキャラクタであり居住者自身ではないため、居住者のプライバシーを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の玄関子機及び居室親機を回路ブロックで示した構成図である。
【図3】子機モニタに表示されるキャラクタを示す図である。
【図4】子機モニタに表示されるキャラクタの変化を示す遷移図である。
【図5】キャラクタの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1,図2は本発明に係るインターホンシステムの一例を示し、図1は概略構成図、図2は図1の各機器を回路ブロックで示している。図1,図2において、1は玄関に設置されて居住者を呼び出して通話するための玄関子機、2は居室に設置されて玄関子機1からの呼び出しに対して応答するための居室親機である。両者は伝送線L1を介して接続されている。
【0012】
そして玄関子機1は、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン11、来訪者が居住者と通話するための子機マイク12及び子機スピーカ13、来訪者を撮像するためのカメラ14、カメラ14で撮像した映像を処理して居室親機2に送信するための映像処理部15、キャラクタを表示するための子機モニタ16及び画像処理部17、玄関子機1の各部を制御する子機CPU18、居室親機2と通信するための子機IF19等を備えている。
【0013】
また居室親機2は、来訪者の呼び出しに応答するための応答操作や、キャラクタを選択する等の各種設定をおこなうためのタッチパネルから成る操作部21、居住者が来訪者と通話するための親機マイク22及び親機スピーカ23、カメラ14が撮像した映像を出画するための親機モニタ24及び映像処理部25、キャラクタ画像を記憶する画像記憶部26、居室親機2の各部を制御する親機CPU27、玄関子機1と通信するための親機IF28等を備えている。
そして、図3は子機モニタ16に表示されるキャラクタを示し、画像記憶部26には、子機モニタ16及び親機モニタ24に表示する文字画像に加えて図3に示す居住者画像の代わりに使用するためのキャラクタ画像が記憶されている。
【0014】
このように構成されたインターホンシステムについて、以下動作を説明する。来訪者が、居住者を呼び出すために呼出ボタン11を押下すると、子機CPU18の制御により呼出信号が子機IF19、伝送線L1を介して居室親機2に送信される。また、子機CPU18はカメラ14を起動して来訪者を撮像した映像信号を呼出信号と同様の経路で居室親機2に送信する。
【0015】
居室親機2では、親機IF28を介して親機CPU27が呼出信号を受信したら、親機スピーカ23から呼出音を鳴動させて呼出状態に移行する。また、伝送された映像信号は、親機IF28から映像処理部25に伝送され、親機CPU27の制御で親機モニタ24に表示される。
【0016】
図4は子機モニタ16の表示の変化を示し、以下この図4を参照して説明する。図4において(a)は呼出中であることを表示している状態、(b)は呼び出しを受けた居住者が応答操作した状態、(c)は居住者が喋っている時の状態、(d)は来訪者が喋っている時の状態を示している。
呼出信号を受けて呼出状態に移行した親機CPU27は、画像記憶部26から「呼出中」の画像を読み出して呼出信号と逆の経路で玄関子機1に送信する。これにより子機CPU18は、映像処理部15を制御して待ち受け状態であった子機モニタ14を起動して、図4(a)に示すように受信した「呼出中」の表示を行い、居室親機2において呼び出しを実施している呼出状態であることを表示させる。
【0017】
その後、玄関子機1からの呼び出しを認識した居住者が、操作部21の中の応答ボタンを操作すると、親機CPU27は玄関子機1と居室親機2の間の通話路を形成し、画像記憶部26に記憶されている複数のキャラクタ画像から所定の1枚を読み出して「呼出中」の画像と同様の経路で子機モニタ16に伝送し、「呼出中」に換えて子機モニタ16に表示させる。図2(b)はこの表示状態を示している。
【0018】
引き続き、例えば居住者が親機マイク22に対して、「はい、どちらさまですか?」等の音声を入力すると、形成された通話路により玄関子機1の子機スピーカ13から入力された音声が報音される。また、このとき親機CPU27は親機マイク22からの音声入力を検知して、画像記憶部26に記憶されているキャラクタ画像の中の所定の複数のキャラクタ画像を読み出して、子機モニタ16に所定の時間間隔で表示させる。この表示は親機マイク22から音声入力が検知される間継続される。これにより、子機スピーカ13において、「はい、どちらさまですか?」等の居住者の音声が報音されている間、図4(c)に示すように、例えばキャラクタの口が閉じているものと開いているものが交互に表示される。
この表示の変化により、あたかもキャラクタの口が動いているように表示されるため、来訪者にとっては応答している居住者が表示されているように感じられ、そのキャラクタに注目が行き、カメラの撮像範囲に自然と入るようになる。而も、子機モニタ16を見るためカメラ方向を向くようになる。結果、パン/チルト操作やアナウンスすること無く来訪者を確認し易い映像が親機モニタ24に表示される。そして、表示されるのはキャラクタであり居住者自身ではないため、居住者のプライバシーを保護することができる。
また、居住者が話をしている間は、それに応じて擬似的に居住者を表すキャラクタの口が動き、キャラクタがあたかも応答しているよう来訪者に感じさせることができ、来訪者はカメラの前に立って会話し易くなる。
【0019】
また、この応答を受けて来訪者が要件等を伝えるために喋り始めると、子機マイク12からの入力された音声が、形成されている通話路により居室親機2に伝送され、親機スピーカ23から報音される。また、このとき親機CPU27はこの来訪者音声を検知して、画像記憶部26から特定の複数のキャラクタ画像を読み出して子機モニタ16に表示させる。これにより、来訪者が喋っている間、図4(d)に示すようにうなずくように変化するキャラクタ画像が表示される。
これにより、来訪者が話をしている間は、それに応じて擬似的に居住者を表すキャラクタがうなずくように複数の静止画を順次読み出して表示するので、キャラクタがあたかも来訪者の話を聞いているように感じさせることができ、来訪者はカメラの前に立って会話し易くなる。また、居住者にとっては自己の映像ではなくキャラクタであるためプライバシーを保つことができる。
【0020】
尚、上記実施例では、居住者の擬似画像として簡素な形のキャラクタ画像を使用しているが、犬や猫などペットの写真や絵を用いて動作させても良い。また、例えば図5に示すように、より人物の顔に近いキャラクタを用いても良い。
また、来訪者が喋っている間はうなずく動作を行うキャラクタを使用しているが、他の動作、例えば瞬きをするようなキャラクタ表示としても良い。
更に、集合住宅で使用されるインターホンシステムのように、通話する機器の間に通話路を制御するための制御機が設けられているようなシステムでは、制御機に画像記憶部を設けた記憶装置としても良い。
また、画像記憶部26に記憶される画像データは、複数準備して居住者の好みに応じて選択できるよう構成しても良いし、居室親機2等に別途パーソナルコンピュータ等を接続可能として書き換え/追加できるよう構成しても良い。更に、子機モニタ16に表示するキャラクタ画像は、居室親機2側に指紋認証や顔画像認証等の個人識別手段を備えて、応答する居住者(家族)ごとに使用するキャラクタを使い分けることも可能である。
また、居室親機2はハンズフリー応答する構成として説明したが、ハンドセットを使用して応答する構成であっても同様に子機モニタ16にキャラクタ画像を表示できる。
【符号の説明】
【0021】
1・・玄関子機、2・・居室親機、11・・呼出ボタン、12・・子機マイク、13・・子機スピーカ、14・・カメラ、16・・子機モニタ、18・・子機CPU、21・・操作部(応答操作部)、22・・親機マイク、23・・親機スピーカ、24・・親機モニタ、26・・画像記憶部、27・・親機CPU(キャラクタ表示制御部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するためのカメラ、及び居住者を呼び出す呼出ボタン、通話するための子機マイク及び子機スピーカを備えた玄関子機と、前記カメラの撮像映像を表示する親機モニタ、及び前記玄関子機からの呼び出しに対して応答するための応答操作部と、来訪者と通話するための親機マイク及び親機スピーカとを備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、
居住者を模したキャラクタ画像を保存する画像記憶部を前記居室親機或いは伝送線を介して居室親機に接続された記憶装置に設けると共に、前記玄関子機に前記キャラクタ画像を表示する子機モニタを設け、
前記居室親機に前記玄関子機からの呼び出しを受けて前記応答操作部が応答操作されたときに、前記画像記憶部から所定のキャラクタ画像を読み出して前記子機モニタに表示させるキャラクタ表示制御部を設けたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記画像記憶部は、一つのキャラクタに対して複数の状態を表すキャラクタ画像を記憶し、
前記キャラクタ表示制御部は、応答操作部の操作に加えて前記親機マイクからの音声の入力を検出したらキャラクタの複数の状態を読み出し、前記親機マイクから音声の入力を検出している間は読み出した複数の状態を前記子機モニタに順次表示させることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記画像記憶部は、一つのキャラクタに対して複数の状態を表すキャラクタ画像を記憶し、
前記キャラクタ表示制御部は、応答操作部の操作に加えて前記子機マイクからの音声の入力を検出したらキャラクタの複数の状態を読み出し、前記子機マイクから音声の入力を検出している間は読み出した複数の状態を前記子機モニタに順次表示させることを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−204865(P2012−204865A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64751(P2011−64751)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】