インターロック装置及び媒体搬送装置
【課題】
装置内部にアクセスしたオペレータの安全を確実に確保する構成を設けたインターロック装置を提供すること。
【解決手段】
オペレータが装置内部にアクセスしたことを検知する検知手段を危険度合いに対応して複数段設け、装置の危険部位毎にオペレータの安全を確保できる許容範囲内で遅延時間を求めて組み込んだ遅延回路を各駆動部に連結されたインターロック機構に設ける。さらに、媒体の搬送駆動を有する媒体管理装置においては、上記オペレータの安全を確保した上で、媒体現金の管理機能を損なわない遅延時間を求めて遅延回路を構成し、遅延時間内に媒体搬送駆動中断処理を実施することで媒体管理性能を向上し装置に支障を生じないように上記インターロック機構に組み込んだ媒体搬送装置。
装置内部にアクセスしたオペレータの安全を確実に確保する構成を設けたインターロック装置を提供すること。
【解決手段】
オペレータが装置内部にアクセスしたことを検知する検知手段を危険度合いに対応して複数段設け、装置の危険部位毎にオペレータの安全を確保できる許容範囲内で遅延時間を求めて組み込んだ遅延回路を各駆動部に連結されたインターロック機構に設ける。さらに、媒体の搬送駆動を有する媒体管理装置においては、上記オペレータの安全を確保した上で、媒体現金の管理機能を損なわない遅延時間を求めて遅延回路を構成し、遅延時間内に媒体搬送駆動中断処理を実施することで媒体管理性能を向上し装置に支障を生じないように上記インターロック機構に組み込んだ媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部を有する装置などのオペレータ保護のために各駆動部に設けられたインターロック装置に関し、特に、媒体を前記駆動部で搬送する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動部を有する装置においては、インターロック機構が一般的に用いられている。例えば、その装置の内部モジュールの引出し部及び内部モジュールの各部位に設けられたカバーの開閉に連結されたスイッチなどを用いて、モータなどの負荷駆動部の電源電圧の開閉を行うことで、オペレータに危険な動作状態が発生しないようにしている。これにより、仮に装置が動作中であっても、カバーなどが開放されていれば、負荷の駆動電圧が印加されず、すなわち負荷が伝わることはなく、不慮の事故を防止することができる。また、危険と思われる各部位にインターロック機構を装備し、オペレータが動作中に各危険部位にアクセスした時に即時にインターロック機構を作動させてオペレータに危害が加わらないようにしていた。
【0003】
インターロック機構を用いた別な駆動装置としては、特開平7−27508公報(特許文献1)に示されたものがある。この駆動装置は、センサ部とインターロック回路を設けたコントローラ部から成り、電源部の投入をトリガにレーザービームが放射されるように構成されている。さらに、電源部の投入に連結したインターロック回路を作動させてレーザービームが即時に放射されるのではなく、その電源部の投入時点から一定時間遅延した後にレーザービームが放射されるようにインターロック回路が働くセンサ駆動装置を提供したものである。
【0004】
【特許文献1】特開平7−27508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術によれば、オペレータの安全は確保できるが、即時に駆動部を停止するために装置内部の処理において弊害が生じる可能性がある。例えば、即時に駆動を停止したためにデータ処理中のデータが削除される場合や、クローズ処理すること無しに処理が中断され、再起動が出来なくなってしまう場合など、特に媒体搬送装置等、媒体を前記駆動部により搬送させかつ媒体の管理を行なっている装置においては、駆動部の駆動停止が発生した時に、搬送中の媒体の位置が不確定となる可能性がある。
【0006】
さらに、上述のような駆動停止を目的としたインターロック機構を、駆動部にオペレータが直接アクセスされる箇所に設ける構成だけでなく、装置がオペレータのアクセスを検知してからオペレータが駆動部に触れるようになるまでに時間的余裕がある箇所に前記インターロック機構を設けた場合は、前以ってオペレータの危険部位へのアクセスの予想が出来、停止までに遅延時間を設けた構成を付加することが可能となる。
【0007】
本発明の目的は、オペレータの操作の安全性を重視しつつ、装置に支障を与えないように構成したインターロック装置及び媒体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、特に、オペレータが動作中に装置内部へ触れたことを検知する検知手段と、前記検知手段での検知を基に、該アクチュエータに接続された駆動部の駆動を停止するように構成したインターロック機構を備えたインターロック装置において、前記検知手段で操作員の装置へのアクセスを検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセス可能となるまでの時間を上限とした時間内に前記アクチュエータを停止させる遅延時間を設けた遅延回路を、前記インターロック機構に設け、前記装置の危険部位毎に各々配設するように構成したことにある。
【0009】
上記のような構成としたので、オペレータが動作中に装置内部に触れることが可能になったことを検知した時点においては、駆動部等の危険部位に前記オペレータがアクセスするまでに時間的余裕が発生するため、駆動部を停止するインターロック機構に遅延回路を設けて前記余裕時間を考慮して駆動部の停止を作動させるようにしている。また、駆動部等の危険部位に前記オペレータがアクセスするまでに時間的余裕は、部位毎に異なるため、各部位毎に前記遅延時間を予め想定して各々異なる遅延時間を各々の遅延回路に組み込んだことで、常にオペレータの安全を確保しつつ、部位毎に最適な遅延動作を実施出来るように構成されている。
【0010】
さらに、前記検知部は、装置内部の各モジュールに設けた、装置本体から各モジュールを引き出しする動作を検知する引出し検知機構で構成した。
上記構成としたので、動作中に装置本体から各モジュールが引き出された時に、検知機構を作動させることで、それ以後に予想させるオペレータによる危険部位へのアクセスを早期に発見できるため、余裕を持ってインターロック機構を作動させ、駆動部の駆動を停止することが出来る。本構成では、危険度の比較的低い部位として、モジュールの本体からの引出しタイミングを挙げて説明したが、例えば、収納部全体を引き出すタイミングでインターロック機構を動作させる構成でもよく、上述のようなオンオフスイッチの検知からなる機構だけでなく、投受光センサ、人体の微電流を検知するセンサ等に応用することも可能である。また、前記検知部は、モジュール内部に収めるためにモジュール側に設けた引出し検知機構をあげて説明したが、モジュールを搭載する装置本体の扉が開いたことや、アクセスのためのオペレータ操作(暗証番号や鍵など)を使用する構成でもよい。
【0011】
さらには、前記危険部位は、オペレータが装置内部に有する駆動部に直接にアクセス可能となる装置内部の部位を示す構成とした。
上記構成としたので、オペレータが駆動部に直接にアクセス出来る部位は、装置側における危険対策が困難であり、オペレータのアクセスによって、容易くオペレータに危害、障害を加える可能性が高い部位を特に危険部位と称して万全の安全対策を施すように構成している。
【0012】
さらに、前記検知手段と、オペレータが動作中に前記危険部位へ触れたことを検知する第2の検知手段とを備えたインターロック装置において、前記検知部での検知にかかわらず、直接に前記第2の検知手段で検知した場合、即時にアクチュエータを作動させ、駆動部の駆動を停止するように構成した。これにより、例えば、オペレータの通常の装置へのアクセス行為では、考えられないような状態、例えば、検知センサの故障等、駆動部やインターロック機構に設けた電子回路などの電子部品の故障或いは制御部の暴走等、不安定の状態である装置において、オペレータにとって、危険度の比較的低い部位であっても動作中にアクセスさせることで危害、障害を加えることがないように、まず安全性を考慮して、即時に駆動部を停止可能となる。
【0013】
さらに、前記第2の検知手段は、前記危険部位に設けられたカバーの開閉に連動してオンオフするスイッチから成る構成とすることで、オペレータにとって、駆動部を直接アクセス可能な危険部位においては、カバーなどを設けて直接アクセスできないように構成されている場合が多くある。例えば、装置の故障などで修理、保守などを行なう場合は、動作中の危険部位へのアクセスを前提とした処理中の場合を除いて、上記のカバーを開閉することで危険部位である駆動部等と直接にアクセス可能な場合においては、安全性を最大限に重視して、遅延時間を最小限にした設計を行なっている。そうすることで、オペレータが万が一、危険部への危険を察知していないで危険部にアクセスする場合に発生するオペレータへの危害、障害を防ぐことが出来る。ここでは、危険部位に設けられたカバーの開閉、カバーに設けたチルト部等オンオフセンサの構成を例として説明したが、上述同様に、カバー以外の構成であってもよい。さらには、検知センサにしても、投受光センサ、人体の微電流を検知するものでもよく、オペレータにとって、危険度が高い部位において、人体のアクセスを検知するものであれば全て適用される。また、本構成では、オペレータのアクセスを検知するアクセス検知手段を2段階の構成にしているが、複数段の構成にしてもよい。
【0014】
また媒体を搬送する駆動部と、搬送する媒体を管理する管理手段とを備えた媒体搬送装置において、前記インターロック機構を前記駆動部に備え、前記インターロック機構により駆動部の駆動を停止した時に、前記管理手段が媒体を管理できる最短の遅延時間より遅延時間を長く設けた構成とした。これにより、例えば取引処理装置などのように貨幣などを搬送し、管理することで、取引を自動的に処理する装置など、オペレータの安全のみならず、貨幣の管理が非常に重要となってくる。これらの装置において、上記で述べたように、駆動部の駆動停止が発生した時に、搬送中の媒体の位置を確定させる必要があるため、ある一定時間の遅延を持たせ、その間に中断処理と前記媒体の位置を確定させる処理を実施するなどの工夫が必要となってくる。よって、オペレータの装置へのアクセスを検知してからインターロック機構或いは駆動部の駆動停止を作動させるまでの遅延時間を、ここでは、オペレータの装置へのアクセスを検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセスするまでに、インターロック機構或いは駆動部の駆動停止を作動させる条件を踏まえた上で、出来る限りにおいて、装置の媒体管理が出来る最短の遅延時間を確保できるように前記遅延時間を最大限に考慮した値に設計している。そうすることで、オペレータの安全を確保しつつ、装置の支障を最小限に抑えた緊急時の駆動停止処理を実現できる。ここでは、オペレータなど人体に危害が加わらないように安全性を最優先で考慮した上で、かつ装置としても最大限に支障を生じないように考慮された構成を提供している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オペレータの安全を確保した上で、該インターロック機構の作動による駆動部の駆動停止で生じる装置の支障を最小限にとどめる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1から図13を参照して、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、銀行システムなどの金融機関システムに採用される例えばATM(Automatic Teller Machine)のような自動取引装置に関する。
【0017】
図1は、媒体搬送装置の代表例として自動取引装置1とその自動取引装置1と通信網を介して接続されたシステムとの接続図であり、図2は自動取引装置とホストコンピュータの内部構成図である。本接続図および内部構成図を用いて、概略構造を説明する。
【0018】
自動取引装置(以下ATMとする)1は、金融機関等に設置され、顧客の操作によって現金の入金や出金等の取引を行う自動取引装置であり、回線接続部8によりホストコンピュータ11の回線接続部12に接続されている。ATMは利用者の要求する種々の取引を自動的に実行する装置であり、操作部3、カード/明細票機構部4、通帳機構部5、紙幣入出金機構部6、硬貨入出金機構部7、静脈認証機構部9、そしてこれら各部を制御する制御部2などで構成されている。制御部は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種処理、取引を制御する。
【0019】
以下に各部位の説明を行う。操作部3は画面表示、キー入力検知機能をもっており、主にATMの利用者が取引を行う際、取引操作の誘導画面を表示したり、暗証番号など利用者の操作や指で押されたキー入力を受付ける部分である。尚、操作部3はタッチパネル等により構成された入力兼表示部(入力表示部ともいう)が望ましく、様々な情報を表示画面に表示し、この表示画面に含まれる色々な項目への押下も検知する。カード機構部4は、利用者のカードの挿入又は排出動作、カードの磁気ストライプ又はICチップへのリード又はライト動作、カードエンボス部分のイメージの読取り機能などを有する。また取引した内容を印字部により明細票に印字し、装置内から排出する明細票機構部4を有する。通帳機構部5は利用者の通帳の挿入/排出動作、磁気ストライプのリード/ライト動作、通帳への印字部による印字機能などを有する。紙幣入出金機構部6と硬貨入出金機構部7は、現金の入金や出金機能、現金の鑑別や搬送、収納機能を有し、絶えず現金の管理を行なっている。
【0020】
静脈認証機構部9は、利用者の静脈読取機能、ICカードに登録されている静脈データと読み取った静脈データとの認証機能を有する。そして、上述のように、これらの各部位は制御部2によってその処理が制御される。
【0021】
一方、ATM1と接続するホストコンピュータ(以下ホスト)10はATM1の回線制御部8と接続し、ATM1とのデータの送信または受信を行う回線接続部11を介して接続され、利用者の口座情報などを記憶するファイル部12を制御するホストコンピュータ制御部13とを有する。
【0022】
前記ATM1本体及びモジュールの1構成である硬貨入出金機構部7に設けたインターロック機構の概略構成について、図3、図4を用いて説明する。図3はATM1と硬貨入出金機構部7におけるインターロック機構の一部構成図である。また、図4は側面から見た硬貨入出金機構部7のインターロック機構の一部構成図を示す。
【0023】
ATM1は本体の後面側に、後面開閉部30なる後面開閉扉を設け、硬貨入出金機構部7等の内部モジュールを後面に引き出す機構を設けている。また、硬貨入出金機構部7においては、後面に引き出す時に作動して引出しを検知するオンオフスイッチからなる引出し検知センサA 33、搬送駆動部が剥き出しになった危険部位C'34、該危険部位C'34を上部から覆った板金から成るカバー31、該カバーの開閉のアクセスを検知するカバーアクセス検知センサB 32及び保護部材が設けていない危険部位C 35を図示している。
【0024】
硬貨入出金機構部7の内部詳細機構及び媒体の搬送経路を図5、図6を用いて説明する。図5は硬貨入出金機構部7内の詳細構成図である。図6は硬貨入出金機構部搬送経路(入金)である。硬貨入出金機構部7は、利用客が取引を行なう時に、利用客が硬貨を入金したり或いは硬貨入出金機構部7内に収納された硬貨を出金して利用客との授受行なう入金口50と、前記入金口に集積された硬貨を1枚ずつ分離して内部搬送路に導く一枚分離機構57と、前記分離された硬貨の正貨、偽貨の識別及び金種等を識別する識別機構56と、前記識別された硬貨を取引が確定するまで一時保留する一時保留部53と、前記識別された硬貨を金種別に収納するために金種別に収納エリアを分割した金種別スタッカ54と、前記金種別スタッカに硬貨を導くための入金搬送路52と、前記金種別スタッカ54とは反対に金種混合に一括に硬貨を収納する一括スタッカ51と、取引運用前に出金硬貨として予め硬貨をストックした運用スタッカ55とで構成されている。
【0025】
図6に示したように、硬貨入出金機構部7における入金処理に関する入金経路を順を追って説明する。入金取引を開始するために、利用客は取引で必要な硬貨を入出金口50に投入する(図6の入金搬送路1(60))。入出金口50に投入された硬貨は一枚分離機構57を経て、識別部56へと導かれ、正貨と判断された場合のみ一時保留部53へ一時保留される。ここで、偽貨及び正貨とは判別できない硬貨及び異物は返却口(図示せず)或いは前記入出金口へと返却される(図6の入金搬送路2(61))。取引の確定終了後、取引が成立した場合、一時保留された硬貨は再度、入出金口50に導かれ、一枚分離機構57を経て、識別部56へと導かれる。ここで、硬貨の金種を判別した後、入金搬送路52を経て、各硬貨は金種別スタッカ54内に、金種別毎に分離され各金種エリアに収納される(図6の入金搬送路3(62))。この時、前記金種別スタッカに出金するだけの十分の硬貨が蓄積されていた場合等は、前記一時保留部を介して一括スタッカ51に収納される(図6の入金搬送路4(63))。尚、A及びBで示した部位における説明は後で行なうこととする。ここでは、硬貨入金機構部7の入金処理における入金経路を説明したが、硬貨入出金機構部7が有する機能の一部であり、機構部の種類によっては、出金機能を含むその他様々な機能を有している。
【0026】
次に図7〜図10を用いて図5に示したA、Bにおける拡大部位を説明する。図7は図5A部である一時保留部53における内部構造を示す拡大図である。図9は図5B部である入金搬送路52の内部構造を示す拡大図である。さらに、図8は上記A部を拡大した内部構造イメージ図であり、図10は上記B部を拡大した内部構造イメージ図である。拡大部A、Bの内部のように、硬貨の搬送先が分岐した箇所においては、その硬貨の搬送先を振分ける振分け機構を設けている。
【0027】
図7に示された一時保留部53の内部構造においては、フラッパA 70を右側に倒した場合は、硬貨が左側搬送路に搬送され、逆に左側に倒した場合は、硬貨が右側搬送路に搬送される。尚、フラッパA 70にはアクチュエータ(図示無し)に接続され、アクチュエータがON、OFFの状態で回転軸を中心にして左右の搬送路の片方を塞ぐ機構になっている。また、一時保留部53は上部から搬送された硬貨が垂直落下を利用して下部に搬送される構造になっており、異常時におけるインターロック機構により、駆動部の停止が発生した場合、硬貨の搬送中に振分け用として機能しているフラッパA 70が硬貨の搬送制御により作動するのではなく、アクチュエータの動作状態及びフラッパのメカ的構造(例えば、バネの付勢力で片側に引き戻る等)でフラッパA 70が位置することになる。例えば、図7,8に図示したように、搬送中の硬貨が本来、搬送されるべき搬送路に導かれずに、間違った搬送路に導かれる事象が生じてしまう。このため、媒体の通過を各搬送路に設けた複数のセンサで検知することで、媒体の搬送先を記録することで現金管理を行なっている装置においては、上記のように誤搬送された硬貨を管理できなくなってしまうという不具合が発生することになる。
【0028】
また、図9、図10に示された入金搬送路52の内部構造においては、拡大部Bと同様に複数のフラッパが設けられ、搬送されてきた硬貨を識別結果を基に金種が同一の搬送路へと導くための振分けを行なっている。フラッパB 90の動作を例にとってみると、前述と同様にフラッパB 90には、アクチュエータ(図示無し)が接続されており、アクチュエータのON、OFFの状態でフラッパB 90が回転軸を中心にして下右の搬送路の片方を塞ぐ機構になっている。異常時におけるインターロック機構により、駆動部の停止が発生した場合、アクチュエータ停止により、搬送中の硬貨100が一旦その場で停止かつフラッパB 90がバネなどのメカ構造により、元位置(ここでは、左水平位置)に戻った状況になる。その後、オペレータのアクセス終了時の処理として搬送路上の異物を除去する異物除去動作が入り、搬送中の硬貨100がそのまま平行に搬送されることになる。通常は振分け制御においては、下側の搬送路に導かれるべき硬貨であるが、右側の搬送路に導かれてしまうことになる。この誤搬送のため、意図と異なった部位に搬送されることになり、硬貨の管理枚数と現物数が一致しなくなってしまう。さらに、硬貨入出金機構部7において、上記金種別スタッカに収納された硬貨は、出金硬貨として利用客に出金することになり、金額の異なった支払いを行なうという出金障害が発生する。
【0029】
上述した例において、例えば、異常時におけるインターロック機構による駆動停止が発生した場合、現金を管理する管理手段が媒体を管理するための時間を確保することによって、振分け中又は近傍に在る搬送中の硬貨の振分け処理を終了した後で駆動部を停止する、または意図的に振分け処理を中止(または断念)する、などの手段によって上記のような障害或いは現金管理不能状態を克服できる。
【0030】
本例では、フラッパ制御を代表に説明したが、例えば、カード機構部4等においても、カードに記憶されたデータの書き換え中に上記駆動部の停止が行なわれた場合、上記データを消滅する可能性もある。さらに、ATM1のメイン制御を司るメインソフトがパソコンで使用するOSを利用した場合においては、終了時に動作中のタスクを正常に終了させるソフトによるシャットダウン処理を行なうが、駆動部停止による強制的に電源OFFを行なった場合、再起動が出来ない状況あるいは起動しても内部のアプリケーションソフトが壊れて以後使用出来ないという状況が発生する場合も想定出来る。また、現金の管理に必要な時間の遅延を設けた遅延回路をインターロック機構に設けた構成に留まらず、装置内部の各々の制御処理に必要な時間の遅延を遅延回路にインターロック機構に設ける構成も含めて想定している。
【0031】
図11を用いてインターロック回路構成の一例を説明する。図11はインターロック回路構成図である。引出し検知センサA 32はファームによる搬送制御回路110とハードによる搬送制御回路111の並列に接続されている。また、ハードによる搬送制御回路111とカバーアクセス検知センサB 33が論理回路(AND)で接続され、上記論理回路(AND)の出力はアクチュエータ動作許可回路114に接続されている。ファームによる搬送制御回路110は上記アクチュエータ動作許可回路114を内蔵した改良したアクチュエータ制御回路113に接続されている。
【0032】
各々の回路の動作としては、まず、ファームによる搬送制御回路110はソフト制御により、引出し検知センサA 32などの装置のアクセス開始検知があれば、即時に搬送を中断する制御を行なう。また、ハードによる搬送制御回路111はハード制御により、引出し検知センサA 32などの装置のアクセス開始検知があれば内部に設けた遅延回路を用いて所定の遅延時間後にアクチュエータ動作許可回路 114をオフし、装置のセット検知があれば即アクチュエータ動作許可回路 114をオンする制御になっている。また、カバーアクセス検知センサB 33は、アクセスがあった場合、駆動部が露出するため即OFF(L)となりアクチュエータ動作許可回路 114をオフし、カバーが閉まっている状態ではアクチュエータ動作許可回路 114をON(H)状態に制御する。および次段にある論理回路(AND)の構成によって、カバーアクセス検知センサB 33が検知したOFF(L)状態では、引出し検知センサA 32の状態にかかわらず、アクチュエータ動作許可回路 114をオフして駆動部を強制停止するという制御を実現している。
【0033】
図示する点線で囲んだ構成に特に特徴があり、即時に駆動部を停止する回路と、遅延時間を設けて停止する回路に分岐した回路構成を付加している。この回路構成により、駆動部の搬送を制御する改良したアクチュエータ制御回路113は、引出し検知センサA 32で検知後、カバーアクセス検知センサB 33でアクセスがない場合は遅延時間を設けて遅延時間内に搬送を中断する中断処理を実行後に搬送の駆動を停止し、アクセス終了して装置がセットされた場合は即時に搬送の駆動を許可する場合と、上記遅延中にカバーアクセス検知センサB 33でアクセスがあった場合に即時に搬送の駆動を停止する場合と、引出し検知センサA 32の検知状態によらずカバーアクセス検知センサB 33でのアクセス検知により搬送の駆動を停止する場合の3種類の制御を本回路で実施することが出来る。
【0034】
ここで、ハードによる搬送制御回路111に組み込まれている遅延回路について説明する。遅延回路には電子素子を組み合せることで、出力信号において遅延を持たせるように構成されている。遅延時間の算出に関しては、各駆動部とオペレータのアクセスを検知する検知手段の位置関係、危険度合いを基に計算されている。よって、各遅延回路に組み込んだ遅延時間は上記条件を基に各々異なった値を保有している。また、オペレータの安全を最優先とし、その条件下で次に装置の支障を最大限に軽減する構成としたことにより以下の条件を満足することになる。
【0035】
オペレータの装置へのアクセスを検知してから前記アクチュエータを作動させてから、駆動部の駆動が停止するのに要する遅延時間L、
オペレータの装置へのアクセス開始を検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセス可能となるまでに要する時間をLの上限L1、
オペレータの装置へのアクセス開始を検知してから媒体管理状態を維持したまま駆動部が停止するのに要する時間をLの下限L2
とした場合、
遅延時間Lを、遅延時間L1を超えない範囲で最大長の時間に設定。
L1<L2の条件を満たす場合は、カバーなどにより該部位を保護し、L2≦L1の条件を確保する。
【0036】
これを用いて各々の箇所毎に遅延時間を計算して設定している。そして、このような条件を基に遅延時間を求めているため、オペレータの安全は確実に確保された状態で、さらにインターロック機構の作動による駆動部の駆動停止で生じる装置の支障を最小限にとどめたインターロック機構を提供できることになる。
【0037】
次に図12、図13、図14を用いて、各検知センサと搬送の駆動の制御を回路波形から説明する。図12は装置引出し時の遅延インターロック動作と、装置セット時の動作制御を表した回路波形図であり、図13は装置引出した後の遅延時間内にカバーアクセスがあった場合の各動作制御を示した回路波形図であり、図14はイレギュラー操作時の各動作制御を示した回路波形図である。
【0038】
図12における時間の遅延を設けたインターロック機構の基本制御を説明する。引出し検知センサA 32で内部モジュール(ここでは硬貨入出金機構部7)の引き出しを検知した時(120)にハードによる搬送制御回路111で定めた遅延時間の経過後、アクチュエータ動作許可回路114をオフ(L)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を停止させる。それ以後、引出し検知センサA 32で内部モジュールを装置内部に戻したことを検知した時(123)に即時にアクチュエータ動作許可回路114をオン(H)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を許可させるように制御されている。この制御によって、装置内部から内部モジュールの引き出しがあった場合にある一定の遅延を以って駆動部の駆動を停止し、該内部モジュールが装置内部に戻された場合は、即時に駆動部の駆動を許可させる制御が実現する。
【0039】
図13において、上記図12において、装置引出した後の遅延時間内にカバーアクセスがあった場合の各動作制御を説明する。引出し検知センサA 32で内部モジュール(ここでは硬貨入出金機構部7)の引き出しを検知した時(120)にハードによる搬送制御回路111で定めた遅延時間の経過中に、カバーアクセス検知センサB 33で危険部位を保護しているカバー31の開放を検知した時(121)は、上記遅延時間を待たずにアクチュエータ動作許可回路114をオフ(L)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を即時に停止させる。それ以後、カバーアクセス検知センサB 33の閉(H)と引出し検知センサA 32で内部モジュールを装置内部に戻したこと(H)を検知した時(123)に即時にアクチュエータ動作許可回路114をオン(H)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を許可させるように制御されている。この制御によって、装置内部から内部モジュールの引き出しがあった場合で、遅延中に危険部位近傍に第2のアクセスがあった場合は即時に駆動部の駆動を停止し、該内部モジュールへのアクセスを終了し装置内部に戻された場合は、即時に駆動部の駆動を再開させる制御を実現する。
【0040】
図14において、装置引出しを検知しない状態で、危険部近傍に第2のアクセスを検知した場合の各動作制御を説明する。引出し検知センサA 32で内部モジュール(ここでは硬貨入出金機構部7)の引出しを検知していないにもかかわらず、カバーアクセス検知センサB 33で危険部位を保護しているカバー31の開放を検知した時(121)は、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を即時に停止させる。この場合は、装置の設けた各アクセス検知センサの何れかが故障しているか、制御ソフトに異常があるか、装置内部にあるモジュールの機構的異常でのカバーが開いた場合であり、この時にオペレータが装置にアクセスすることは非常に危険な状態である。よって、即時に駆動部を停止する制御を設けている。それ以後、カバーアクセス検知センサB 33が上記カバーの閉鎖を確認した時点で安全であると認識し、駆動部の駆動を即時に許可させるように制御している。この制御によって、何らかの原因で装置内部から内部モジュールの引出しが検知していないのに、危険部位近傍に第2のアクセスがあった場合は即時に駆動部の駆動を停止するが、該第2のアクセスが解除され、安全な状態に戻った場合は、即時に駆動部の駆動を許可させる制御が実現する。
【0041】
また、別制御として、引出し検知センサA 32で内部モジュールの引出しを検知した時(120)にハードによる搬送制御回路111で定めた遅延時間の経過中に、カバーアクセス検知センサB 33で危険部位を保護しているカバー31の開放を検知し、駆動部の制御を即時に停止した後、該カバー31の閉鎖を検知した場合は、上記危険部位への直接なアクセスは考えられないので、即時に駆動部の制御を再開する制御を行なっている。それ以後、引出し検知センサがOFF中であることより、内部モジュールはまだ引き出されたままの状態であることより、遅延回路で定めた所定の遅延時間の経過後に駆動部の駆動を停止する(123)という制御を行なっている。この制御によって、装置内部から内部モジュールの引出しがあった場合で、遅延中に危険部位近傍に第2のアクセスがあった場合は即時に駆動部の駆動を停止させるが、以後第2のアクセスが解除され場合は、即時に駆動部の駆動を再開させて、所定の遅延時間経過に駆動部を停止させるという制御が実現する。
【0042】
上述したように、オペレータなど人体に危害が加わらないように安全性を最優先した設計が成されており、その条件を確保した上で、かつ装置にも支障を生じないように最大限の工夫も考慮された安全性、装置性能双方に秀でた機能を設けたインターロック装置および媒体搬送装置を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】現金自動取引装置とホストコンピュータとの概要図
【図2】現金自動取引装置とホストコンピュータの内部構成図
【図3】現金自動取引装置と硬貨入金機構部7におけるインターロック機構の一部構成図
【図4】側面から見た硬貨入金機構部7のインターロック機構の一部構成図
【図5】硬貨入出金機構部内の詳細構成図
【図6】硬貨入出金機構部搬送経路(入金)
【図7】硬貨入出金機構部における内部構成図(A部拡大部)
【図8】硬貨入出金機構部における内部構成イメージ図(B部拡大部)
【図9】硬貨入出金機構部における内部構成図(A部拡大部)
【図10】硬貨入出金機構部における内部構成イメージ図(B部拡大部)
【図11】インターロック回路構成図
【図12】回路波形図1(装置引出し時の遅延インターロック動作と、装置セット時動作)
【図13】回路波形図2(装置引き出した後の遅延時間内にカバーアクセスがあった場合)
【図14】回路波形図3(イレギュラー操作時の動作)
【符号の説明】
【0044】
1…現金自動取引装置、2…制御部、3…操作部(入力兼表示部)、4…カード機構部・明細票機構部、5…通帳機構部、6…紙幣入出金機構部、7…硬貨入出金機構部、8…回線接続部(現金自動取引装置側)、9…静脈認証機構部、10…ホストコンピュータ、11…回線接続部(ホストコンピュータ側)、12…ファイル部、13…ホストコンピュータ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部を有する装置などのオペレータ保護のために各駆動部に設けられたインターロック装置に関し、特に、媒体を前記駆動部で搬送する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動部を有する装置においては、インターロック機構が一般的に用いられている。例えば、その装置の内部モジュールの引出し部及び内部モジュールの各部位に設けられたカバーの開閉に連結されたスイッチなどを用いて、モータなどの負荷駆動部の電源電圧の開閉を行うことで、オペレータに危険な動作状態が発生しないようにしている。これにより、仮に装置が動作中であっても、カバーなどが開放されていれば、負荷の駆動電圧が印加されず、すなわち負荷が伝わることはなく、不慮の事故を防止することができる。また、危険と思われる各部位にインターロック機構を装備し、オペレータが動作中に各危険部位にアクセスした時に即時にインターロック機構を作動させてオペレータに危害が加わらないようにしていた。
【0003】
インターロック機構を用いた別な駆動装置としては、特開平7−27508公報(特許文献1)に示されたものがある。この駆動装置は、センサ部とインターロック回路を設けたコントローラ部から成り、電源部の投入をトリガにレーザービームが放射されるように構成されている。さらに、電源部の投入に連結したインターロック回路を作動させてレーザービームが即時に放射されるのではなく、その電源部の投入時点から一定時間遅延した後にレーザービームが放射されるようにインターロック回路が働くセンサ駆動装置を提供したものである。
【0004】
【特許文献1】特開平7−27508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術によれば、オペレータの安全は確保できるが、即時に駆動部を停止するために装置内部の処理において弊害が生じる可能性がある。例えば、即時に駆動を停止したためにデータ処理中のデータが削除される場合や、クローズ処理すること無しに処理が中断され、再起動が出来なくなってしまう場合など、特に媒体搬送装置等、媒体を前記駆動部により搬送させかつ媒体の管理を行なっている装置においては、駆動部の駆動停止が発生した時に、搬送中の媒体の位置が不確定となる可能性がある。
【0006】
さらに、上述のような駆動停止を目的としたインターロック機構を、駆動部にオペレータが直接アクセスされる箇所に設ける構成だけでなく、装置がオペレータのアクセスを検知してからオペレータが駆動部に触れるようになるまでに時間的余裕がある箇所に前記インターロック機構を設けた場合は、前以ってオペレータの危険部位へのアクセスの予想が出来、停止までに遅延時間を設けた構成を付加することが可能となる。
【0007】
本発明の目的は、オペレータの操作の安全性を重視しつつ、装置に支障を与えないように構成したインターロック装置及び媒体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、特に、オペレータが動作中に装置内部へ触れたことを検知する検知手段と、前記検知手段での検知を基に、該アクチュエータに接続された駆動部の駆動を停止するように構成したインターロック機構を備えたインターロック装置において、前記検知手段で操作員の装置へのアクセスを検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセス可能となるまでの時間を上限とした時間内に前記アクチュエータを停止させる遅延時間を設けた遅延回路を、前記インターロック機構に設け、前記装置の危険部位毎に各々配設するように構成したことにある。
【0009】
上記のような構成としたので、オペレータが動作中に装置内部に触れることが可能になったことを検知した時点においては、駆動部等の危険部位に前記オペレータがアクセスするまでに時間的余裕が発生するため、駆動部を停止するインターロック機構に遅延回路を設けて前記余裕時間を考慮して駆動部の停止を作動させるようにしている。また、駆動部等の危険部位に前記オペレータがアクセスするまでに時間的余裕は、部位毎に異なるため、各部位毎に前記遅延時間を予め想定して各々異なる遅延時間を各々の遅延回路に組み込んだことで、常にオペレータの安全を確保しつつ、部位毎に最適な遅延動作を実施出来るように構成されている。
【0010】
さらに、前記検知部は、装置内部の各モジュールに設けた、装置本体から各モジュールを引き出しする動作を検知する引出し検知機構で構成した。
上記構成としたので、動作中に装置本体から各モジュールが引き出された時に、検知機構を作動させることで、それ以後に予想させるオペレータによる危険部位へのアクセスを早期に発見できるため、余裕を持ってインターロック機構を作動させ、駆動部の駆動を停止することが出来る。本構成では、危険度の比較的低い部位として、モジュールの本体からの引出しタイミングを挙げて説明したが、例えば、収納部全体を引き出すタイミングでインターロック機構を動作させる構成でもよく、上述のようなオンオフスイッチの検知からなる機構だけでなく、投受光センサ、人体の微電流を検知するセンサ等に応用することも可能である。また、前記検知部は、モジュール内部に収めるためにモジュール側に設けた引出し検知機構をあげて説明したが、モジュールを搭載する装置本体の扉が開いたことや、アクセスのためのオペレータ操作(暗証番号や鍵など)を使用する構成でもよい。
【0011】
さらには、前記危険部位は、オペレータが装置内部に有する駆動部に直接にアクセス可能となる装置内部の部位を示す構成とした。
上記構成としたので、オペレータが駆動部に直接にアクセス出来る部位は、装置側における危険対策が困難であり、オペレータのアクセスによって、容易くオペレータに危害、障害を加える可能性が高い部位を特に危険部位と称して万全の安全対策を施すように構成している。
【0012】
さらに、前記検知手段と、オペレータが動作中に前記危険部位へ触れたことを検知する第2の検知手段とを備えたインターロック装置において、前記検知部での検知にかかわらず、直接に前記第2の検知手段で検知した場合、即時にアクチュエータを作動させ、駆動部の駆動を停止するように構成した。これにより、例えば、オペレータの通常の装置へのアクセス行為では、考えられないような状態、例えば、検知センサの故障等、駆動部やインターロック機構に設けた電子回路などの電子部品の故障或いは制御部の暴走等、不安定の状態である装置において、オペレータにとって、危険度の比較的低い部位であっても動作中にアクセスさせることで危害、障害を加えることがないように、まず安全性を考慮して、即時に駆動部を停止可能となる。
【0013】
さらに、前記第2の検知手段は、前記危険部位に設けられたカバーの開閉に連動してオンオフするスイッチから成る構成とすることで、オペレータにとって、駆動部を直接アクセス可能な危険部位においては、カバーなどを設けて直接アクセスできないように構成されている場合が多くある。例えば、装置の故障などで修理、保守などを行なう場合は、動作中の危険部位へのアクセスを前提とした処理中の場合を除いて、上記のカバーを開閉することで危険部位である駆動部等と直接にアクセス可能な場合においては、安全性を最大限に重視して、遅延時間を最小限にした設計を行なっている。そうすることで、オペレータが万が一、危険部への危険を察知していないで危険部にアクセスする場合に発生するオペレータへの危害、障害を防ぐことが出来る。ここでは、危険部位に設けられたカバーの開閉、カバーに設けたチルト部等オンオフセンサの構成を例として説明したが、上述同様に、カバー以外の構成であってもよい。さらには、検知センサにしても、投受光センサ、人体の微電流を検知するものでもよく、オペレータにとって、危険度が高い部位において、人体のアクセスを検知するものであれば全て適用される。また、本構成では、オペレータのアクセスを検知するアクセス検知手段を2段階の構成にしているが、複数段の構成にしてもよい。
【0014】
また媒体を搬送する駆動部と、搬送する媒体を管理する管理手段とを備えた媒体搬送装置において、前記インターロック機構を前記駆動部に備え、前記インターロック機構により駆動部の駆動を停止した時に、前記管理手段が媒体を管理できる最短の遅延時間より遅延時間を長く設けた構成とした。これにより、例えば取引処理装置などのように貨幣などを搬送し、管理することで、取引を自動的に処理する装置など、オペレータの安全のみならず、貨幣の管理が非常に重要となってくる。これらの装置において、上記で述べたように、駆動部の駆動停止が発生した時に、搬送中の媒体の位置を確定させる必要があるため、ある一定時間の遅延を持たせ、その間に中断処理と前記媒体の位置を確定させる処理を実施するなどの工夫が必要となってくる。よって、オペレータの装置へのアクセスを検知してからインターロック機構或いは駆動部の駆動停止を作動させるまでの遅延時間を、ここでは、オペレータの装置へのアクセスを検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセスするまでに、インターロック機構或いは駆動部の駆動停止を作動させる条件を踏まえた上で、出来る限りにおいて、装置の媒体管理が出来る最短の遅延時間を確保できるように前記遅延時間を最大限に考慮した値に設計している。そうすることで、オペレータの安全を確保しつつ、装置の支障を最小限に抑えた緊急時の駆動停止処理を実現できる。ここでは、オペレータなど人体に危害が加わらないように安全性を最優先で考慮した上で、かつ装置としても最大限に支障を生じないように考慮された構成を提供している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オペレータの安全を確保した上で、該インターロック機構の作動による駆動部の駆動停止で生じる装置の支障を最小限にとどめる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1から図13を参照して、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、銀行システムなどの金融機関システムに採用される例えばATM(Automatic Teller Machine)のような自動取引装置に関する。
【0017】
図1は、媒体搬送装置の代表例として自動取引装置1とその自動取引装置1と通信網を介して接続されたシステムとの接続図であり、図2は自動取引装置とホストコンピュータの内部構成図である。本接続図および内部構成図を用いて、概略構造を説明する。
【0018】
自動取引装置(以下ATMとする)1は、金融機関等に設置され、顧客の操作によって現金の入金や出金等の取引を行う自動取引装置であり、回線接続部8によりホストコンピュータ11の回線接続部12に接続されている。ATMは利用者の要求する種々の取引を自動的に実行する装置であり、操作部3、カード/明細票機構部4、通帳機構部5、紙幣入出金機構部6、硬貨入出金機構部7、静脈認証機構部9、そしてこれら各部を制御する制御部2などで構成されている。制御部は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種処理、取引を制御する。
【0019】
以下に各部位の説明を行う。操作部3は画面表示、キー入力検知機能をもっており、主にATMの利用者が取引を行う際、取引操作の誘導画面を表示したり、暗証番号など利用者の操作や指で押されたキー入力を受付ける部分である。尚、操作部3はタッチパネル等により構成された入力兼表示部(入力表示部ともいう)が望ましく、様々な情報を表示画面に表示し、この表示画面に含まれる色々な項目への押下も検知する。カード機構部4は、利用者のカードの挿入又は排出動作、カードの磁気ストライプ又はICチップへのリード又はライト動作、カードエンボス部分のイメージの読取り機能などを有する。また取引した内容を印字部により明細票に印字し、装置内から排出する明細票機構部4を有する。通帳機構部5は利用者の通帳の挿入/排出動作、磁気ストライプのリード/ライト動作、通帳への印字部による印字機能などを有する。紙幣入出金機構部6と硬貨入出金機構部7は、現金の入金や出金機能、現金の鑑別や搬送、収納機能を有し、絶えず現金の管理を行なっている。
【0020】
静脈認証機構部9は、利用者の静脈読取機能、ICカードに登録されている静脈データと読み取った静脈データとの認証機能を有する。そして、上述のように、これらの各部位は制御部2によってその処理が制御される。
【0021】
一方、ATM1と接続するホストコンピュータ(以下ホスト)10はATM1の回線制御部8と接続し、ATM1とのデータの送信または受信を行う回線接続部11を介して接続され、利用者の口座情報などを記憶するファイル部12を制御するホストコンピュータ制御部13とを有する。
【0022】
前記ATM1本体及びモジュールの1構成である硬貨入出金機構部7に設けたインターロック機構の概略構成について、図3、図4を用いて説明する。図3はATM1と硬貨入出金機構部7におけるインターロック機構の一部構成図である。また、図4は側面から見た硬貨入出金機構部7のインターロック機構の一部構成図を示す。
【0023】
ATM1は本体の後面側に、後面開閉部30なる後面開閉扉を設け、硬貨入出金機構部7等の内部モジュールを後面に引き出す機構を設けている。また、硬貨入出金機構部7においては、後面に引き出す時に作動して引出しを検知するオンオフスイッチからなる引出し検知センサA 33、搬送駆動部が剥き出しになった危険部位C'34、該危険部位C'34を上部から覆った板金から成るカバー31、該カバーの開閉のアクセスを検知するカバーアクセス検知センサB 32及び保護部材が設けていない危険部位C 35を図示している。
【0024】
硬貨入出金機構部7の内部詳細機構及び媒体の搬送経路を図5、図6を用いて説明する。図5は硬貨入出金機構部7内の詳細構成図である。図6は硬貨入出金機構部搬送経路(入金)である。硬貨入出金機構部7は、利用客が取引を行なう時に、利用客が硬貨を入金したり或いは硬貨入出金機構部7内に収納された硬貨を出金して利用客との授受行なう入金口50と、前記入金口に集積された硬貨を1枚ずつ分離して内部搬送路に導く一枚分離機構57と、前記分離された硬貨の正貨、偽貨の識別及び金種等を識別する識別機構56と、前記識別された硬貨を取引が確定するまで一時保留する一時保留部53と、前記識別された硬貨を金種別に収納するために金種別に収納エリアを分割した金種別スタッカ54と、前記金種別スタッカに硬貨を導くための入金搬送路52と、前記金種別スタッカ54とは反対に金種混合に一括に硬貨を収納する一括スタッカ51と、取引運用前に出金硬貨として予め硬貨をストックした運用スタッカ55とで構成されている。
【0025】
図6に示したように、硬貨入出金機構部7における入金処理に関する入金経路を順を追って説明する。入金取引を開始するために、利用客は取引で必要な硬貨を入出金口50に投入する(図6の入金搬送路1(60))。入出金口50に投入された硬貨は一枚分離機構57を経て、識別部56へと導かれ、正貨と判断された場合のみ一時保留部53へ一時保留される。ここで、偽貨及び正貨とは判別できない硬貨及び異物は返却口(図示せず)或いは前記入出金口へと返却される(図6の入金搬送路2(61))。取引の確定終了後、取引が成立した場合、一時保留された硬貨は再度、入出金口50に導かれ、一枚分離機構57を経て、識別部56へと導かれる。ここで、硬貨の金種を判別した後、入金搬送路52を経て、各硬貨は金種別スタッカ54内に、金種別毎に分離され各金種エリアに収納される(図6の入金搬送路3(62))。この時、前記金種別スタッカに出金するだけの十分の硬貨が蓄積されていた場合等は、前記一時保留部を介して一括スタッカ51に収納される(図6の入金搬送路4(63))。尚、A及びBで示した部位における説明は後で行なうこととする。ここでは、硬貨入金機構部7の入金処理における入金経路を説明したが、硬貨入出金機構部7が有する機能の一部であり、機構部の種類によっては、出金機能を含むその他様々な機能を有している。
【0026】
次に図7〜図10を用いて図5に示したA、Bにおける拡大部位を説明する。図7は図5A部である一時保留部53における内部構造を示す拡大図である。図9は図5B部である入金搬送路52の内部構造を示す拡大図である。さらに、図8は上記A部を拡大した内部構造イメージ図であり、図10は上記B部を拡大した内部構造イメージ図である。拡大部A、Bの内部のように、硬貨の搬送先が分岐した箇所においては、その硬貨の搬送先を振分ける振分け機構を設けている。
【0027】
図7に示された一時保留部53の内部構造においては、フラッパA 70を右側に倒した場合は、硬貨が左側搬送路に搬送され、逆に左側に倒した場合は、硬貨が右側搬送路に搬送される。尚、フラッパA 70にはアクチュエータ(図示無し)に接続され、アクチュエータがON、OFFの状態で回転軸を中心にして左右の搬送路の片方を塞ぐ機構になっている。また、一時保留部53は上部から搬送された硬貨が垂直落下を利用して下部に搬送される構造になっており、異常時におけるインターロック機構により、駆動部の停止が発生した場合、硬貨の搬送中に振分け用として機能しているフラッパA 70が硬貨の搬送制御により作動するのではなく、アクチュエータの動作状態及びフラッパのメカ的構造(例えば、バネの付勢力で片側に引き戻る等)でフラッパA 70が位置することになる。例えば、図7,8に図示したように、搬送中の硬貨が本来、搬送されるべき搬送路に導かれずに、間違った搬送路に導かれる事象が生じてしまう。このため、媒体の通過を各搬送路に設けた複数のセンサで検知することで、媒体の搬送先を記録することで現金管理を行なっている装置においては、上記のように誤搬送された硬貨を管理できなくなってしまうという不具合が発生することになる。
【0028】
また、図9、図10に示された入金搬送路52の内部構造においては、拡大部Bと同様に複数のフラッパが設けられ、搬送されてきた硬貨を識別結果を基に金種が同一の搬送路へと導くための振分けを行なっている。フラッパB 90の動作を例にとってみると、前述と同様にフラッパB 90には、アクチュエータ(図示無し)が接続されており、アクチュエータのON、OFFの状態でフラッパB 90が回転軸を中心にして下右の搬送路の片方を塞ぐ機構になっている。異常時におけるインターロック機構により、駆動部の停止が発生した場合、アクチュエータ停止により、搬送中の硬貨100が一旦その場で停止かつフラッパB 90がバネなどのメカ構造により、元位置(ここでは、左水平位置)に戻った状況になる。その後、オペレータのアクセス終了時の処理として搬送路上の異物を除去する異物除去動作が入り、搬送中の硬貨100がそのまま平行に搬送されることになる。通常は振分け制御においては、下側の搬送路に導かれるべき硬貨であるが、右側の搬送路に導かれてしまうことになる。この誤搬送のため、意図と異なった部位に搬送されることになり、硬貨の管理枚数と現物数が一致しなくなってしまう。さらに、硬貨入出金機構部7において、上記金種別スタッカに収納された硬貨は、出金硬貨として利用客に出金することになり、金額の異なった支払いを行なうという出金障害が発生する。
【0029】
上述した例において、例えば、異常時におけるインターロック機構による駆動停止が発生した場合、現金を管理する管理手段が媒体を管理するための時間を確保することによって、振分け中又は近傍に在る搬送中の硬貨の振分け処理を終了した後で駆動部を停止する、または意図的に振分け処理を中止(または断念)する、などの手段によって上記のような障害或いは現金管理不能状態を克服できる。
【0030】
本例では、フラッパ制御を代表に説明したが、例えば、カード機構部4等においても、カードに記憶されたデータの書き換え中に上記駆動部の停止が行なわれた場合、上記データを消滅する可能性もある。さらに、ATM1のメイン制御を司るメインソフトがパソコンで使用するOSを利用した場合においては、終了時に動作中のタスクを正常に終了させるソフトによるシャットダウン処理を行なうが、駆動部停止による強制的に電源OFFを行なった場合、再起動が出来ない状況あるいは起動しても内部のアプリケーションソフトが壊れて以後使用出来ないという状況が発生する場合も想定出来る。また、現金の管理に必要な時間の遅延を設けた遅延回路をインターロック機構に設けた構成に留まらず、装置内部の各々の制御処理に必要な時間の遅延を遅延回路にインターロック機構に設ける構成も含めて想定している。
【0031】
図11を用いてインターロック回路構成の一例を説明する。図11はインターロック回路構成図である。引出し検知センサA 32はファームによる搬送制御回路110とハードによる搬送制御回路111の並列に接続されている。また、ハードによる搬送制御回路111とカバーアクセス検知センサB 33が論理回路(AND)で接続され、上記論理回路(AND)の出力はアクチュエータ動作許可回路114に接続されている。ファームによる搬送制御回路110は上記アクチュエータ動作許可回路114を内蔵した改良したアクチュエータ制御回路113に接続されている。
【0032】
各々の回路の動作としては、まず、ファームによる搬送制御回路110はソフト制御により、引出し検知センサA 32などの装置のアクセス開始検知があれば、即時に搬送を中断する制御を行なう。また、ハードによる搬送制御回路111はハード制御により、引出し検知センサA 32などの装置のアクセス開始検知があれば内部に設けた遅延回路を用いて所定の遅延時間後にアクチュエータ動作許可回路 114をオフし、装置のセット検知があれば即アクチュエータ動作許可回路 114をオンする制御になっている。また、カバーアクセス検知センサB 33は、アクセスがあった場合、駆動部が露出するため即OFF(L)となりアクチュエータ動作許可回路 114をオフし、カバーが閉まっている状態ではアクチュエータ動作許可回路 114をON(H)状態に制御する。および次段にある論理回路(AND)の構成によって、カバーアクセス検知センサB 33が検知したOFF(L)状態では、引出し検知センサA 32の状態にかかわらず、アクチュエータ動作許可回路 114をオフして駆動部を強制停止するという制御を実現している。
【0033】
図示する点線で囲んだ構成に特に特徴があり、即時に駆動部を停止する回路と、遅延時間を設けて停止する回路に分岐した回路構成を付加している。この回路構成により、駆動部の搬送を制御する改良したアクチュエータ制御回路113は、引出し検知センサA 32で検知後、カバーアクセス検知センサB 33でアクセスがない場合は遅延時間を設けて遅延時間内に搬送を中断する中断処理を実行後に搬送の駆動を停止し、アクセス終了して装置がセットされた場合は即時に搬送の駆動を許可する場合と、上記遅延中にカバーアクセス検知センサB 33でアクセスがあった場合に即時に搬送の駆動を停止する場合と、引出し検知センサA 32の検知状態によらずカバーアクセス検知センサB 33でのアクセス検知により搬送の駆動を停止する場合の3種類の制御を本回路で実施することが出来る。
【0034】
ここで、ハードによる搬送制御回路111に組み込まれている遅延回路について説明する。遅延回路には電子素子を組み合せることで、出力信号において遅延を持たせるように構成されている。遅延時間の算出に関しては、各駆動部とオペレータのアクセスを検知する検知手段の位置関係、危険度合いを基に計算されている。よって、各遅延回路に組み込んだ遅延時間は上記条件を基に各々異なった値を保有している。また、オペレータの安全を最優先とし、その条件下で次に装置の支障を最大限に軽減する構成としたことにより以下の条件を満足することになる。
【0035】
オペレータの装置へのアクセスを検知してから前記アクチュエータを作動させてから、駆動部の駆動が停止するのに要する遅延時間L、
オペレータの装置へのアクセス開始を検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセス可能となるまでに要する時間をLの上限L1、
オペレータの装置へのアクセス開始を検知してから媒体管理状態を維持したまま駆動部が停止するのに要する時間をLの下限L2
とした場合、
遅延時間Lを、遅延時間L1を超えない範囲で最大長の時間に設定。
L1<L2の条件を満たす場合は、カバーなどにより該部位を保護し、L2≦L1の条件を確保する。
【0036】
これを用いて各々の箇所毎に遅延時間を計算して設定している。そして、このような条件を基に遅延時間を求めているため、オペレータの安全は確実に確保された状態で、さらにインターロック機構の作動による駆動部の駆動停止で生じる装置の支障を最小限にとどめたインターロック機構を提供できることになる。
【0037】
次に図12、図13、図14を用いて、各検知センサと搬送の駆動の制御を回路波形から説明する。図12は装置引出し時の遅延インターロック動作と、装置セット時の動作制御を表した回路波形図であり、図13は装置引出した後の遅延時間内にカバーアクセスがあった場合の各動作制御を示した回路波形図であり、図14はイレギュラー操作時の各動作制御を示した回路波形図である。
【0038】
図12における時間の遅延を設けたインターロック機構の基本制御を説明する。引出し検知センサA 32で内部モジュール(ここでは硬貨入出金機構部7)の引き出しを検知した時(120)にハードによる搬送制御回路111で定めた遅延時間の経過後、アクチュエータ動作許可回路114をオフ(L)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を停止させる。それ以後、引出し検知センサA 32で内部モジュールを装置内部に戻したことを検知した時(123)に即時にアクチュエータ動作許可回路114をオン(H)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を許可させるように制御されている。この制御によって、装置内部から内部モジュールの引き出しがあった場合にある一定の遅延を以って駆動部の駆動を停止し、該内部モジュールが装置内部に戻された場合は、即時に駆動部の駆動を許可させる制御が実現する。
【0039】
図13において、上記図12において、装置引出した後の遅延時間内にカバーアクセスがあった場合の各動作制御を説明する。引出し検知センサA 32で内部モジュール(ここでは硬貨入出金機構部7)の引き出しを検知した時(120)にハードによる搬送制御回路111で定めた遅延時間の経過中に、カバーアクセス検知センサB 33で危険部位を保護しているカバー31の開放を検知した時(121)は、上記遅延時間を待たずにアクチュエータ動作許可回路114をオフ(L)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を即時に停止させる。それ以後、カバーアクセス検知センサB 33の閉(H)と引出し検知センサA 32で内部モジュールを装置内部に戻したこと(H)を検知した時(123)に即時にアクチュエータ動作許可回路114をオン(H)し、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を許可させるように制御されている。この制御によって、装置内部から内部モジュールの引き出しがあった場合で、遅延中に危険部位近傍に第2のアクセスがあった場合は即時に駆動部の駆動を停止し、該内部モジュールへのアクセスを終了し装置内部に戻された場合は、即時に駆動部の駆動を再開させる制御を実現する。
【0040】
図14において、装置引出しを検知しない状態で、危険部近傍に第2のアクセスを検知した場合の各動作制御を説明する。引出し検知センサA 32で内部モジュール(ここでは硬貨入出金機構部7)の引出しを検知していないにもかかわらず、カバーアクセス検知センサB 33で危険部位を保護しているカバー31の開放を検知した時(121)は、危険部位C'34及び危険部位C 35の駆動部の駆動を即時に停止させる。この場合は、装置の設けた各アクセス検知センサの何れかが故障しているか、制御ソフトに異常があるか、装置内部にあるモジュールの機構的異常でのカバーが開いた場合であり、この時にオペレータが装置にアクセスすることは非常に危険な状態である。よって、即時に駆動部を停止する制御を設けている。それ以後、カバーアクセス検知センサB 33が上記カバーの閉鎖を確認した時点で安全であると認識し、駆動部の駆動を即時に許可させるように制御している。この制御によって、何らかの原因で装置内部から内部モジュールの引出しが検知していないのに、危険部位近傍に第2のアクセスがあった場合は即時に駆動部の駆動を停止するが、該第2のアクセスが解除され、安全な状態に戻った場合は、即時に駆動部の駆動を許可させる制御が実現する。
【0041】
また、別制御として、引出し検知センサA 32で内部モジュールの引出しを検知した時(120)にハードによる搬送制御回路111で定めた遅延時間の経過中に、カバーアクセス検知センサB 33で危険部位を保護しているカバー31の開放を検知し、駆動部の制御を即時に停止した後、該カバー31の閉鎖を検知した場合は、上記危険部位への直接なアクセスは考えられないので、即時に駆動部の制御を再開する制御を行なっている。それ以後、引出し検知センサがOFF中であることより、内部モジュールはまだ引き出されたままの状態であることより、遅延回路で定めた所定の遅延時間の経過後に駆動部の駆動を停止する(123)という制御を行なっている。この制御によって、装置内部から内部モジュールの引出しがあった場合で、遅延中に危険部位近傍に第2のアクセスがあった場合は即時に駆動部の駆動を停止させるが、以後第2のアクセスが解除され場合は、即時に駆動部の駆動を再開させて、所定の遅延時間経過に駆動部を停止させるという制御が実現する。
【0042】
上述したように、オペレータなど人体に危害が加わらないように安全性を最優先した設計が成されており、その条件を確保した上で、かつ装置にも支障を生じないように最大限の工夫も考慮された安全性、装置性能双方に秀でた機能を設けたインターロック装置および媒体搬送装置を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】現金自動取引装置とホストコンピュータとの概要図
【図2】現金自動取引装置とホストコンピュータの内部構成図
【図3】現金自動取引装置と硬貨入金機構部7におけるインターロック機構の一部構成図
【図4】側面から見た硬貨入金機構部7のインターロック機構の一部構成図
【図5】硬貨入出金機構部内の詳細構成図
【図6】硬貨入出金機構部搬送経路(入金)
【図7】硬貨入出金機構部における内部構成図(A部拡大部)
【図8】硬貨入出金機構部における内部構成イメージ図(B部拡大部)
【図9】硬貨入出金機構部における内部構成図(A部拡大部)
【図10】硬貨入出金機構部における内部構成イメージ図(B部拡大部)
【図11】インターロック回路構成図
【図12】回路波形図1(装置引出し時の遅延インターロック動作と、装置セット時動作)
【図13】回路波形図2(装置引き出した後の遅延時間内にカバーアクセスがあった場合)
【図14】回路波形図3(イレギュラー操作時の動作)
【符号の説明】
【0044】
1…現金自動取引装置、2…制御部、3…操作部(入力兼表示部)、4…カード機構部・明細票機構部、5…通帳機構部、6…紙幣入出金機構部、7…硬貨入出金機構部、8…回線接続部(現金自動取引装置側)、9…静脈認証機構部、10…ホストコンピュータ、11…回線接続部(ホストコンピュータ側)、12…ファイル部、13…ホストコンピュータ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが動作中に装置内部へ触れたことを検知する検知手段と、
前記検知手段での検知を基に、該アクチュエータに接続された駆動部の駆動を停止するように構成したインターロック機構を備えたインターロック装置において、
前記検知手段でオペレータの装置へのアクセスを検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセス可能な状態となる最短時間を上限とした時間内に前記アクチュエータ停止させる遅延回路を、前記インターロック機構に設け、前記装置の危険部位毎に各々配設したインターロック装置。
【請求項2】
前記検知部は、装置内部の各モジュールに設けた、装置本体から各モジュールを引き出しする動作を検知する引き出し検知機構である請求項1記載のインターロック装置。
【請求項3】
前記危険部位は、オペレータが装置内部に有する駆動部に直接にアクセス可能となる装置内部の部位を示す請求項1〜2記載のインターロック装置。
【請求項4】
オペレータが動作中に前記危険部位へ触れることが可能になったことを検知する第2の検知手段を備え、
前記検知部で検知にかかわらず、直接に前記第2の検知手段で検知した場合、即時にアクチュエータを作動させ、駆動部の駆動を停止するように構成した請求項1〜3記載のインターロック装置。
【請求項5】
前記第2の検知手段は、前記危険部位に設けられたカバーの開閉に連動してオンオフするスイッチである請求項4記載のインターロック装置。
【請求項6】
媒体を搬送する駆動部と、搬送する媒体を管理する管理手段と、
前記インターロック機構を前記駆動部に備え、
前記インターロック機構により駆動部の駆動を停止した時に、前記管理手段が媒体を管理できる最短の遅延時間より、前記最短時間を上限とした前記時間を長く設けた請求項1〜5記載の媒体搬送装置。
【請求項1】
オペレータが動作中に装置内部へ触れたことを検知する検知手段と、
前記検知手段での検知を基に、該アクチュエータに接続された駆動部の駆動を停止するように構成したインターロック機構を備えたインターロック装置において、
前記検知手段でオペレータの装置へのアクセスを検知してから該オペレータが装置内部の駆動部にアクセス可能な状態となる最短時間を上限とした時間内に前記アクチュエータ停止させる遅延回路を、前記インターロック機構に設け、前記装置の危険部位毎に各々配設したインターロック装置。
【請求項2】
前記検知部は、装置内部の各モジュールに設けた、装置本体から各モジュールを引き出しする動作を検知する引き出し検知機構である請求項1記載のインターロック装置。
【請求項3】
前記危険部位は、オペレータが装置内部に有する駆動部に直接にアクセス可能となる装置内部の部位を示す請求項1〜2記載のインターロック装置。
【請求項4】
オペレータが動作中に前記危険部位へ触れることが可能になったことを検知する第2の検知手段を備え、
前記検知部で検知にかかわらず、直接に前記第2の検知手段で検知した場合、即時にアクチュエータを作動させ、駆動部の駆動を停止するように構成した請求項1〜3記載のインターロック装置。
【請求項5】
前記第2の検知手段は、前記危険部位に設けられたカバーの開閉に連動してオンオフするスイッチである請求項4記載のインターロック装置。
【請求項6】
媒体を搬送する駆動部と、搬送する媒体を管理する管理手段と、
前記インターロック機構を前記駆動部に備え、
前記インターロック機構により駆動部の駆動を停止した時に、前記管理手段が媒体を管理できる最短の遅延時間より、前記最短時間を上限とした前記時間を長く設けた請求項1〜5記載の媒体搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−94927(P2007−94927A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285877(P2005−285877)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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