説明

インテリジェントニップにおける不織布の改良

不織布製品を形成するための方法及び装置であり、材料から不織ウェブを形成する工程と、形成工程に続いて受け取られた不織ウェブをカレンダ手段によってカレンダリングする工程と、を有する。また、その方法は、カレンダ手段の多くのパラメータ及び形成された不織ウェブと関係する情報をセンサから得るための工程と、得られた情報に従いカレンダ手段をコントロールする工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維体を形成するための装置及び方法に関する。詳細には、本発明は、不織布を製造するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布製品の製造は、当分野においてよく知られている。そのような製品は、織る作業又は編み作業といった通常の織布方法を用いずに繊維から直接製造される。すなわち、それは、一体的な不織ウェブを形成するために繊維を堆積させる工程である、エアーレイド法、ドライレイド法、カーディング法、スパンレース法、又はそれらを組み合わせた方法といった不織布製造法によって作られる。
【0003】
また、不織布製品はエアーレイド操作又はカーディング操作によって製造されるが、そこでは、繊維のウェブが沈積させられ、ニードリング又はハイドロエンタングルメントによって該繊維のウェブが不織布製品になるように結合される、又は加工される。ハイドロエンタングルメントでは、高圧水流が繊維のウェブに垂直に当てられ、その水流によって繊維が互いに絡み合う。ニードリングでは、かかりのついたニードルが往復運動する台が使用され、そのニードルのストロークの間にウェブの表面にある繊維が押し込まれて絡み合う。
【0004】
現在、不織布製品、例えば、一般的に熱可塑性樹脂から形成されたスパンボンドのウェブ、構造又は物品を製造するための装置が存在する。そのような装置の1つが、1998年9月29日に公表された特許文献1に開示されており、該文献はここにおいて本発明に組み込まれる。これらは一般的に、糸状体のカーテンを出すための出糸部と、熱可塑性フィラメントを形成するために該糸状体のカーテンを冷却する空気吹き付け工程のための空気吹きつけ口と、を有している。熱可塑性フィラメントは、それから一般的に、熱可塑性フィラメントを空気力学的に伸張するためのプロセスエアーによって空気力学的に引っ張られ、そして拡散器を通過した後、内的に絡み合ったフィラメントを収集してウェブを形成するための連続した環状ふるいベルトの上に沈積される。それから、そのようにして形成されたウェブ、構造又は物品は移送されて、さらに加工される。
【0005】
不織物体を製造するためのメルトブロー法では、まず熱可塑性形成ポリマーが押し出し成形機のなかに入れられ、それからダイ幅インチ当たり約20から40という小さな開口部を有するリニアダイを通過する。集束した熱風の流れが、固化しつつあるフィラメントを形成するために、押し出されたポリマーの流れを急激に弱める。固化しつつあるフィラメントは連続的に、高速で吹くエアーによってテイクアップスクリーンの上に、又は織物体又は不織物体の他の層の上に吹き付けられ、そのようにしてメルトブローウェブは形成される。
【0006】
スパンボンド法とメルトブロー法は、SMSといった適用において組み合わされることが可能である。SMSにおいては、スパンボンド法によって作られた材料の最初の層が、ベルト又はコンベア状に形成される。ベルトは一般的に、均一な表面をしており、及びスパンボンド工程の間にウェブを正しく形成するために空気浸透性を有している。スパンボンド材料は、最初のスパンボンドのビームにおいてウェブを形成するために堆積形成領域にあるベルトの上に沈積される。プレッシャーニップ、又は熱風ナイフを利用するシステムが、ウェブに作用する予ボンド圧力(pre−bonding pressure)及び/又は温度を強めることを助ける。熱可塑性繊維を形成ベルトの上に配置することを補助するために、吸引ボックスがベルトの下部に配置されており、それはベルトに吸引力をもたらしている。スパンボンド加工において必要とされるエアフローは、適切なサイズの吸引ポンプに結合された吸引ボックスによって、システムに提供される。
【0007】
次に、メルトブローのビームにおいて、短く小さな繊維がスパンボンドのウェブ層の上に吹き付けられる。メルトブロー工程の間、一般的には、予圧縮(precompaction)プレスロールは必要でない。最終的に、プレスロールをかけられた第2のスパンボンドのビームは、第2のスパンボンド層を、メルトブロー層及び第1のスパンボンド層から形成されたウェブの上に適用する。それから、スパンボンド−メルトブロー−スパンボンドという構成をした材料は、カレンダーニップ又は乾燥機構(不図示)を通過することで固まる。
【0008】
不織布製品は、その製品の工業的特性が好ましく発揮される様々な分野において広く使用されている。これらのタイプの製品は、伝統的な織布又は編布とは異なるものであり、その製品の繊維やフィラメントは、伝統的な織工程又は編工程を用いることなしに、繊維が密着したウェブへと統合されている。化学的又は熱的ボンディングといった他のプロセスと組み合わされた、不織ウェブの繊維要素の絡み合わせ方は、製品の望ましい完全性、機能性、及び見た目の良さをもたらす。
【0009】
一般的に、不織布製品は、化学的バインダ又はフィラメント融合を用いる又は用いることなしに強力な結合構造をもたらすために、相互的に関係するように配置されて絡まり合った繊維から作られている。その製品は、製品の平均領域密度より高い領域密度(単位領域当たりの重さ)を有する、絡み合った繊維領域の繰り返しパターンを有してよく、そして互いに絡み合った繊維は、複数の密度の高い絡み合った領域の間に広がり、密度の高い絡み合った領域において互いにランダムに絡み合っている。局所的な絡み合い領域は、隣接する高密度領域よりも低密度の領域を規定している複数の隣接した絡み合い領域の間に広がっている繊維によって、互いに結合している。実質的に繊維から自由である隙間のパターンは、密度の高い絡み合い領域と互いに結合した繊維の内部又はその間において規定される。幾つかの製品において、密度の高い絡み合い領域は、規則的なパターンで配列されており、通常の織布のものと同様の外見を有する不織布製品を提供するために、繊維の秩序だった集まりによって1つにされているのであるが、その繊維は絡み合い領域から絡み合い領域へと製品を通してランダムに伸張している。秩序だった集まりの繊維は実質的に、互いが平行に又はランダムに沈積されてよい。形態としては、不織布の異なる厚い領域に配置された秩序だった繊維の集まりによって互いに結合した絡み合う繊維の領域を備える複合繊維構造を有する不織布製品があり、それは、服飾用品及び服の材料を含む衣料、及び雑巾といった産業用製品に特に適している。
【0010】
上述したように不織ウェブは加工され、互いに関係することによって絡まった状態になった繊維は製品になる。“絡まった状態になる”で意味されることは、構造の個々の繊維がパターン構造において各々の位置から移動しにくいということだけではなく、該繊維が繊維同士で、及び/又は製品の他の繊維と相互に関係することによって、そのような動きに対して物理的に抵抗力を有するということも意味している。繊維は、繊維の平均領域密度よりも高密度である絡み合った繊維領域において絡まった状態になり、また、そのような繊維の相互関係はどこでも生じる。
【0011】
“相互に関係している”とは、繊維が互いに絡み合っているもつれた状態をした構造の全ての方向に、該繊維が互いに折れ、曲がり、前後にねじれているということを意味している。
【0012】
ニードリングといった機械的絡ませ工程は、繊維の単層又は複数層を互いに、又は基体をニードル織機又は繊維絡ませ機と呼ばれる装置にある多数のかかりの付いたニードルで繊維のウェブを突き刺すことによって、繊維を拘束及び固定する。この作業によって、繊維層の表面からその内部へとウェブ層の体部を通して繊維が押し込まれる。このようにウェブの内部で繊維を絡み合わせることによって強度が向上するのであるが、その工程には時間がかかり、及びニードルは繊維にダメージを与え、繊維を早く摩滅させてしまう。
【0013】
そういった問題を回避するために、ハイドロエンタングルメント(又は“スパンレース法”)による加工法が開発されており、それは、高圧水の小さな直径で高密度のジェットのエネルギーにより、従来のニードル織機における絡み合わせ動作に似た作業を行うことが可能である。その方法は、まず前述したやり方で繊維ウェブを形成し、その後に、高圧の非常に速い水流手段によって繊維を絡み合わせることを含む。水流の幾つかの列が、可動ワイヤ又は布によって支持されている繊維ウェブに対して向けられている。それから、絡み合わされた繊維ウェブは乾燥される。材料として使用される繊維は、合成短繊維又は再生短繊維、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン又は同様のもの、セルロース又は他の天然繊維又はそれらの材料を組み合わせた混合物であってよい。スパンレース法では、リーズナブルなコストで高品質な物品を製造することが可能であり、それは高吸収能力を有している。それは、医療における使い捨て材として衛生等を目的として、家庭用又は産業用の雑巾材料として使用することが可能である。
【0014】
ハイドロエンタングルメント工程は、初期材料(initial material)及び/又は使用されるベルト/パターニング数を変化させることで多くの違った製品を製造するために使用されることが可能である。初期材料は、互いに関係を有するようにランダムに沈積された、又は様々な配置で沈積されている緩んだ繊維からなるウェブ、マット、バット又は同様のものよりなる。ここで用いられている“繊維”という用語は、全てのタイプの繊維状材料を包含するであり、それは天然製でも合成製でもよく、フィブリッド(fibrids)、紙繊維、短繊維及び連続したフィラメントを含む。短繊維と長繊維を適切に組み合わせることによって、特性を向上させることができる。短繊維と適切な連続した繊維性糸状体との組み合わせによって強化された製品が得られるのであり、ここで“糸状体”という用語は、連続したフィラメント、及び真っ直ぐ又はカールしている、通常の布に用いられる繊維の様々な形態を含んでおり、他の望ましい製品は、初期材料において、著しくカールした及び/又は弾力性のある繊維を使用することで得られる。特に、望ましくパターンがつけられた不織布製品は、引き延ばし、曲がり、縮み、又は長さにおける他の変化を行うことができる潜在能力を有する繊維を含有する初期材料を使用し、繊維の自由長(free−length)を変化させるように繊維の潜在特性を向上させるために、不織構造にパターンをつけることによって作られる。初期材料は、1つのタイプの繊維の潜在特性を活性化させて特別な効果を得るために、異なるタイプの繊維、例えば縮むことが可能な繊維と縮むことができない繊維と、を含んでいてよい。
【特許文献1】米国特許第5814349号明細書
【特許文献2】米国特許第5836242号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
不織布の形成及び加工に関するこれらの方法はそれぞれ利点を有しているが、現在の製造システムでは、異なる製造工程又は加工工程を用いて広範な不織ウェブ特性を得ることが可能なシステム又は方法を提供することができない。さらに、このシステムでは、製造及び加工の間に不織布の異なる操作及び物理的条件を検知するためのシステム又は方法を提供することができないし、及び、製造の間に検知値に基づいてパラメータを変更する又は最適化することもできない。
【0016】
従って、本発明の第1の目的は、シューカレンダを使用することによって、不織ウェブ製品の特性を修正するための手段を提供することである。
【0017】
更なる目的は、形成された不織布製品の特性を変化させるための、不織ウェブ製造における操作特性を利用するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1つの特徴は、材料を受け取り、不織ウェブを形成するための形成手段と、形成された不織ウェブを修正するためのシューカレンダと、を有する不織布製品を形成するための装置である。その装置は、多くのシューカレンダのパラメータ又は形成された不織ウェブと関係する情報を検知するためのセンサ手段を含み、及び、シューカレンダは前記センサ手段から得られたセンサ情報に従ってコントロールされて作動する。
【0019】
本発明の更なる特徴は、不織布製品を形成する方法である。その方法は、材料から不織ウェブを形成する工程と、シューカレンダニップで不織ウェブをカレンダリングする工程と、を有する。また、その方法は、多くのシューカレンダニップのパラメータ又は形成された不織ウェブに関する情報をセンサから得る工程を含む。加えて、不織ウェブがカレンダニップに入る前に、シューカレンダニップを通過するウェブに与えられた効果を強化するために繊維ウェブを加熱又は“予め整える”ために、熱いエアーの流れ又は他の熱源が不織ウェブに向けられる、又は繊維ウェブの間を通過するのであり、そして前記効果とは、繊維及び不織ウェブの緻密化、再成形、及び形状固定化であるが、効果はそれらに限定されはしない。
【0020】
これらの及び他の目的及び利点は、本発明によってもたらされる。この点において、本発明は、不織ウェブの密度、構造、及び繊維/フィラメント密着性を修正するための方法に関するものであり、それは特定の圧力データ、温度、及び/又は速度を変化させることができるインテリジェントシューカレンダによる加工によってなされる。
【0021】
これより、本発明の目的及び利点は、付属の図面を参考しながら、下記の記載によって理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず、図面を参照するが、図1には、一般的な不織布製造システム10において存在する幾つかの加工及び製造工程が示されている。それらは一緒に示されているが、実際には、システム10の諸要素は、1つの不織布の製造において使用されてもよいし、使用されなくてもよい。示されているように、システム10は、幾つかの異なる加工段階を有している。加えて、図1は、不織布製造における、又は理論的な不織布製造ラインにおいて様々な製造及び加工要素と関係したシューカレンダ14のための様々な可能的な位置を示している。
【0023】
例えば、シューカレンダ14は、カーディング、エアーレイド、スパンボンド、メルトブロー、及びウェットレイド工程のいずれか1つ以上を有する形成装置12又は16のすぐ後ろにある不織ウェブ製造ライン上に配置されることが可能である。別法では、シューカレンダ14は、スパンレース、乾燥機、又は熱ボンディング工程のいずれかを有することが可能なウェブ加工段階18又は20のどちらかの後に配置されてもよい。
【0024】
一般的に、図6に示されているようなシューカレンダ14は、使用されるシステム、及び望まれる不織布の特性に応じて、加熱カレンダ、防縮カレンダ、縮充カレンダとして機能するように構成されてよい。カレンダ自体は一般的に、布がニップを通過するときに、布に対して均一の圧力を加えるために、2つ以上のロールを有する、又は1つのロールと1つのシューを有する。抄紙機において使用されるカレンダシュープレスに関する更なる考察及び記載は、特許文献2に見つけることが可能であり、ここにおいて該文献は本発明に組み込まれる。しかし、この文献では、抄紙機において一般的に使用されるカレンダシステムが示されており、それは図5に示されている。この形態においては、カレンダシュープレス又はカレンダシュー14は、加熱されたロール11と固定梁(不図示)によって支持された、反対側にある実質的に固定された状態のプレスシュー30とによって規定されている。カレンダベルト24は、プレスシュー30の周囲をエンドレス状態で走行している。ベルト24にかかる摩擦力の減少は、プレスシュー20上にオイルフィルム手段を適用するという既知のやり方によってなされ、その場合、ベルト24は不浸透性を有している。
【0025】
防縮加工は、布の縮みを防ぐために使用される一般的な技術である。同様に、縮充は、熱、圧力、及び水や潤滑剤といった添加物を組み合わせて、繊維の強度を高めるために繊維を絡み合わせるために使用されるプロセスである。これら双方のプロセスが、一度特別な製造工程として配置されたら、カレンダの特性は大体固定する。すなわち、それらは容易に変更できるものではなく、そして事実、製造工程の間において容易に監視することもできない。製造工程の間ずっと機械のセッティングに頼ることは常に望ましいことではなく、実時間の情報に応じて製造工程の間に不織布に付与される様々な力を変更する能力を有することは、無駄を省き、製造工程の生産性を向上させるためには望ましく、かつ必要なことである。
【0026】
本発明の1つの特徴は、不織ウェブの加工を改善するために、及びウェブに望ましい特性及び技術的仕様を与えるために、シューカレンダを使用するという点にある。例えば、カレンダリングは、布の厚さを変えることによって布の全体密度に影響を与えるために使用される。また、加熱することによって、布の表面に滑らかさを与える。また、そのようなシステムは、スパンレース/絡み合わせ効果を向上させ、また特定のウェブの風合いを獲得することを容易にする。これは、例えば、図1に示されているように、ハイドロエンタングルメント工程18及び乾燥工程20を組み合わせて上述したようにシューカレンダを使用することによって達成される。
【0027】
さらに、不織布の望ましい特性が知られている場合、例えば、望ましい特性が繰り返し低密度ウェブ領域によって形成される繰り返し高密度領域である場合、製造ラインの速度が知られている又は解明可能な場合、図3に示されているグラフは、カレンダが望ましく生み出すであろう圧力又は温度の曲線の一例を示している。コンピュータ又は“インテリジェント”システムを使用することで得られたこの参照ポイント、つまり、そのグラフは、望ましい不織布が製造されるようにカレンダのセッティングを変更するために、コントロール曲線として使用されることが可能である。
【0028】
そのようなシステムは図6に示されており、そこでは、不織布22がシューカレンダ14を通過して加工されている。センサはプレッシャーロール50、アーチ状シュー30、又はカレンダベルト24のいずれか1つ以上に組み込まれている。そのセンサは、信号ライン28によって示されている信号を生み出す。信号は、コンピュータ又はデータプロセッサ26へと送られ、それは信号を読みとり、受け取った実際のデータと、例えば図3のグラフに示されているモデルデータとを比較し、それから、その比較に基づいて温度、圧力、速度、又は同様のものの値を増加させる又は減少させるようにシューカレンダ14を指示するために、シューカレンダ14にコントロール信号32を送る。こうすることで、プロセスフィードバック/コントロール循環が作られるのであり、もし望むのであれば、望ましい作動パラメータで自動的にシューカレンダ14が作動するようにすることも可能である。
【0029】
特に、図6に示されているシステムに関して言えば、それはシューカレンダのシューによって不織ウェブに加えられている圧力を変更する能力を有している。シュープレスにおいて、シューは油圧を使用することによって上昇する又は下降することが可能なピストン又は梁の上に固定されている。ピストンにかかる油の量を増やす又は減らすことによって、シュープレスはカレンダの反対側にあるプレスロールに近づいたり離れたりする。加えて、対のロールはまた、ニップの負荷を増し、ニップ圧力を増大させることが可能なように動くこともできる。ある時間間隔において圧力を変更することによって圧力の波形が作られ、不織ウェブにおいて高密度領域と低密度領域を交互に作り出すことが可能となる。この方法によって、不織布の物理的な特性を変化させることが可能である。さらに、そのような使用法とは対照的にカレンダを通常のように使用することもでき、その場合、MD方向とCD方向の双方において均一な特性を有する不織布を望ましく製造することが可能である。他の変形態、例えば(加熱ロールの中央線に対する)特別なシュー配置も不織布を製造するのに有用であるし、前述の圧力の波形が不織布製品に表面特性(例えば、滑らかさ)を付与する又は高めるために使用されるようにシューをコントロール又は設計してもよい。シューの圧力を変化させるための他の方法、すなわちその位置を変えたり、その設計を変更したりすることは、当然、当業者には明らかなことである。
【0030】
センサを使用することで、システムに、カレンダプロセスを通して不織布製品に付与される特性を解明させることが可能となった。例えば、本発明の1つの実施形態では、温度を監視するために、熱電温度計がカレンダロール又はシューの表面に埋め込まれており、また、カレンダプロセスの間に不織布に加えられる圧力を監視するピエゾ水晶といった変換器を包含することも可能である。同様に、製造ラインの速度を解明するために回転速度計が使用されてもよいし、さらに、製造及び加工の間に不織布に加えられる引っ張り力を解明するために他の装置が使用されてもよい。
【0031】
さらに、上述した情報又はデータを収集することによって、圧力、温度、又は速度が製造の間に変化する方法及びシステムを提供することも可能である。別法では、それらの値が、不織布において望ましい効果を生み出すために、パターンを繰り返す又は繰り返さないように、長期間にわたって変更されることが可能である。図2〜4は、不織布の製造の間に不織布製造ラインにおいて望ましいシューカレンダニップにおける圧力データの例を示している。その圧力データに従って圧力を増加させる又は減少させることによって、布のCD方向にわたる布の密度が変更されてよい。これは、MD方向において再現するパターンを作るために繰り返し変更されてよい。基体において繰り返されるその密度の変化は、シンプルな美的外観、すなわちコントロールされたウィッキング表面(wicking surface)又は3−D形状を含む望ましい特性を作り上げるために使用されることが可能である。
【0032】
また、速度は望ましいように布を引き延ばす又は縮めるために変更されてよい。こうすることで、布の局所的な基体重量を変化させてよい。以上のように使用することは可能であるが、不織布の内部に、不織布が丸められた状態の物品から平坦な状態の物品へと切断される又はプレスされる場所を提供することは制限されはしない。
【0033】
こういったプロセスによって、1つのシューカレンダで、不織ウェブの密度、構造、および繊維/フィラメントの接着を修正することが可能であり、すなわち、それは特定の圧力、温度、及び/又は速度が変化する、1つ以上の“インテリジェント”シューニップによってなされるのである。結果として、シューカレンダ14は、熱カレンダ、防縮カレンダ、又は縮充カレンダとして作動することが可能となる。
【0034】
以上のように、本発明によって、その目的及び利点は実現され、及びその好ましい実施形態がこれまで開示及び記載されてきたが、その範囲及び目的はそれらの記載によって限定されるものではなく、それは付属の請求項によって決定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に従う、不織布製品の製造ラインにおけるシューカレンダの様々な位置を示している理論上の不織布製造ラインの側面図である。
【図2】本発明の教示を組み込んだ、シューニップデータの一例の図である。
【図3】本発明の教示を組み込んだ、シューニップデータの一例の図である。
【図4】本発明の教示を組み込んだ、シューニップデータの一例の図である。
【図5】紙及び紙板製品の製造において使用される標準的なシューカレンダである。
【図6】本発明の1つの実施形態に従う、シューカレンダの断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 不織布製造システム
11 ロール
12 形成装置
14 シューカレンダ
16 形成装置
18 ウェブ加工段階(ハイドロエンタングルメント工程)
20 ウェブ加工段階(乾燥工程)
22 不織布
24 カレンダベルト
26 コンピュータ又はデータプロセッサ
28 信号ライン
30 プレスシュー
32 コントロール信号
50 プレッシャーロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布製品を形成するための装置であって、
前記装置は、
材料を受け取り、その材料から不織ウェブを形成するための形成手段と、
形成された不織ウェブを受け取るためのカレンダ手段と、
からなり、前記カレンダ手段が不織ウェブに作用し、前記カレンダ手段はシューカレンダからなることを特徴とする不織布製品を形成するための装置。
【請求項2】
前記カレンダ手段が有する1つ以上のパラメータに関係する、又は形成された不織ウェブから得られるセンサ情報のためのセンサ手段から更になり、前記カレンダ手段は、前記センサ手段から得られたセンサ情報に従ってコントロールされることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カレンダ手段は、形成区間又は前記装置のウェブ加工区間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記形成手段は、カーディング、エアーレイド、スパンボンド、メルトブロー、スパンレース、又はウェットレイド操作であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ウェブ加工手段は、乾燥又は熱ボンディング操作であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記カレンダ手段は、プロセスフィードバック/コントロール循環によって、前記センサ手段から得られるセンサ情報に従ってコントロールされることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記パラメータは、前記カレンダ手段又は前記形成された不織ウェブの伸張部の圧力、温度、速度を含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記カレンダ手段の操作パラメータを調節するための、前記装置に設けられたコントロール駆動手段から更になり、コントロール手段は、前記センサ手段に反応し、前記コントロール駆動手段と操作的に結合されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項9】
不織布製品を形成する方法であって、
前記方法は、
材料から不織ウェブを形成する工程と、
形成工程に続いて受け取られた不織ウェブをカレンダ手段によってカレンダリングする工程と、
を有し、カレンダ手段はシューカレンダであることを特徴とする不織布製品を形成する方法。
【請求項10】
カレンダ手段の有する多くのパラメータに関係する、又は形成された不織ウェブから得られた情報をセンサから獲得する工程と、
前記情報に従ってカレンダ手段をコントロールする工程と、
を更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記形成工程は、カーディング、エアーレイド、スパンボンド、メルトブロー、スパンレース、又はウェットレイド操作であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
乾燥又は熱ボンディングによって前記不織布を固める工程を更に有することを特徴とする請求項10の方法。
【請求項13】
前記情報を獲得する前記工程は、自動的になされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記パラメータは、カレンダの圧力、温度、又は速度を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
プロセスフィードバック/コントロール循環の方法によって、カレンダの前記パラメータを調節する工程から更になることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−503277(P2009−503277A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522835(P2008−522835)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/027252
【国際公開番号】WO2007/018960
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】