説明

インピーダンス整合装置、インピーダンス整合方法、キャリブレーション方法

【課題】インピーダンス整合において、インピーダンス整合が配線インダクタンス等による特性インピーダンスからのずれによって制御が不能となることを防ぐことを目的とし、特に安定性の高いシーク制御を行う。
【解決手段】マッチング制御の不良の一要因であるインピーダンス整合回路内の配線インダクタンスの影響を低減するために、インピーダンス整合回路を集中定数でモデル化すると共に配線インダクタンスを未知パラメータとして設定し、この未知パラメータを同定し、同定した未知パラメータを用いてインダクタンス整合回路のインピーダンス可変素子を調整することによってマッチング制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電源と負荷との間において高周波電源のインピーダンスと負荷のインピーダンスとを整合させるインピーダンス整合、並びに、インピーダンス整合回路の集中定数の値を校正するキャリブレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルや半導体集積回路などの製造工程ではプラズマ処理が用いられている。その際に用いるプラズマを安定に発生させるための高周波電源システムにおいて欠かせない技術としてインピーダンス整合(マッチング制御)がある。インピーダンス整合は、電力の送信側と受信側のインピーダンスを伝送ラインの特性インピーダンスに等しくすることによって伝送効率を最大化するものであり、高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路によって高周波電源のインピーダンスと負荷のインピーダンスとを整合させる。
【0003】
インピーダンス整合(マッチング)をとるための機器として、トランスやコンデンサとインダクタンスで構成されるLC回路等が知られている。高周波電源システムは、高周波電源とインピーダンス整合装置(マッチング機器(Matcher))とから成り、インピーダンス整合装置は、高周波電源と負荷とのインピーダンス整合をとるためのLC回路を含むインピーダンス整合回路(マッチングボックス(Matching Box))と、制御装置(コントローラ)から構成される。
【0004】
プラズマ処理に用いるプラズマチャンバーには、プラズマを生成するエネルギー源として、直流電圧やマイクロ波電圧を印加するものの他、無線周波数帯域の高周波電圧を印加するものが知られている。無線周波数帯域の高周波電圧を用いるプラズマチャンバーには、高周波電源のインピーダンスとプラズマチャンバー側のプラズマによる負荷のインピーダンスとを整合させるために、インピーダンス整合装置を設け、これによって負荷から高周波電源への反射電力を最小にして、負荷に供給する電力が最大となるように制御している。
【0005】
インピーダンス整合装置の制御として、フォローイング制御(特許文献1参照)とシーク制御(特許文献2,3参照)が知られている。
【0006】
フォローイング制御は、入力インピーダンスの絶対値と位相をセンサで検出し、この検出値をインピーダンス整合回路にフィードバックして、コンデンサやインダクタンスのインピーダンス可変素子を制御するものであり、入力インピーダンスの絶対値を制御する絶対値制御と、入力インピーダンスの位相を制御する位相制御とを行う。
【0007】
特許文献1には、高周波電源からの高周波電圧と高周波電流の位相差を検出する位相差検出器と、整合インピーダンスと負荷回路インピーダンスとのインピーダンス差を検出するインピーダンス差検出器と、位相差を零にする容量可変の第2の可変コンデンサと、インピーダンス差を零にする容量可変の第1の可変コンデンサとを含む整合回路とを備える構成が示されている。
【0008】
また、シーク制御は、インピーダンス整合がされた状態でのインピーダンス素子の最終的な目標値を算出し、その目標値に向かってインピーダンス素子を変化させる制御である。
【0009】
特許文献2には、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスを演算する入力インピーダンス演算手段と、入力インピーダンスとインピーダンス可変素子のインピーダンスとその他の回路定数を用いて負荷側のインピーダンスを演算する負荷回路側インピーダンス演算手段と、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスを電源側インピーダンスに等しくするために必要なインピーダンス可変素子の調整部の目標位置を演算する調整部目標位置演算手段を備える構成が記載されている。
【0010】
特許文献3には、高周波電源側に進行する進行波に関する情報を検出する高周波情報検出手段と、インピーダンス可変素子の可変値に関する情報を検出する可変素子情報検出手段と、インピーダンス整合装置の特性パラメータを記憶する第1記憶手段と、特性パラメータを用いて進行波および反射波を算出する第1算出手段と、特性パラメータを用いて入力反射係数を算出する第2算出手段と、算出した入力反射係数を記憶する第2記憶手段と、第2記憶手段に記憶した入力反射係数から目標入力反射係数に近い入力反射係数を選定し、選定した入力反射係数に対応するインピーダンス可変素子の可変値情報を特定する特定手段と、特定した可変値に基づいてインピーダンス可変素子のインピーダンスを調整する調整手段が記載されている。
【0011】
また、対象物を目標位置に位置制御する位置決め制御として、シーク制御を行った後、フォローイング制御に切り替えるシーク制御方法が知られている(特許文献4参照)。この特許文献4は、例えば、磁気ディスク装置や光ディスク装置等の媒体記憶装置の位置決めにおいて、ヘッドを目標トラックに移動させるシーク制御に適用されている。このシーク制御では、目標位置の近傍でファイン制御(フォローイング制御)に切り替えることにより、高速の目標位置への移動と高精度の位置決めの両立を実現している。プラズマ処理等に用いる高周波電源システムにおいて、シーク制御とフォローイング制御とを組み合わせるインピーダンス整合については、特許文献5が知られている。
【0012】
図50は従来の高周波電源(RF電源)システムの概略系統図を示している。この高周波電源(RF電源)システムでは、高周波電源(RF電源)100から伝送ライン103を介してプロセスチャンバ102内に高周波電力を供給する。伝送ライン103とプロセスチャンバ102との間には、マッチャー(Matcher)と呼ばれるインピーダンス整合装置101が設けられる。インピーダンス整合装置101は、インピーダンス整合回路(マッチングボックス(Matching Box))と制御装置(コントローラ(Controller))から構成され、インピーダンス整合回路に搭載されているLC回路の入力インピーダンスが高周波電源(RF電源)100の特性インピーダンスとなるように制御することによってインピーダンス・マッチングを行い、高周波電源(RF電源)100とプロセスチャンバ102側のプラズマ負荷とのインピーダンスの整合をとっている。
【0013】
インピーダンス整合回路(マッチングボックス)を入力側からみたときのインピーダンスZinが極座標による以下の式で表されるとき、高周波電源はインピーダンス整合回路によって負荷インピーダンスに対して整合する。
Zin=|50Ω|∠0° …(1)
ここで、高周波電源(RF電源)とインピーダンス整合回路(マッチングボックス)をつなぐ伝送線路の特性インピーダンスは50Ωとしている。
【0014】
式(1)で表される入力インピーダンスを次式(2)で書き直したとき、
Zin=R+jX …(2)
絶対値|Zin|と電圧、電流間の位相差Φはそれぞれ以下の式(3)、(4)で表される。
|Zin|=(R+X1/2 …(3)
Φ=tan−1(X/R) …(4)
【0015】
マッチング制御は、式(3)、(4)で表される絶対値|Zin|と位相差Φを用いることによって行うことができる。
【0016】
図51は、インピーダンス整合回路の集中定数の一構成例を説明するための図であり、入力端と接地との間にはインピーダンス可変素子として可変コンデンサCtが設けられ、入力端と出力端との間にはインピーダンス可変素子としての可変コンデンサCmとインダクタンスLmとが直列接続されている。
【0017】
負荷(Xo、Ro)が変動した場合には、例えば、インピーダンス整合回路内の可変コンデンサCmおよび可変コンデンサCtの2つの可変コンデンサの容量を変化させることでマッチング制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特公平7−10041号公報(第3頁左欄30行〜50行)
【特許文献2】特許第3183914号公報(段落0017,0018)
【特許文献3】特開2006−166412号公報(段落0016)
【特許文献4】特開2008−84103号公報(段落0002〜0006)
【特許文献5】特開2010−41558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来行われているインピーダンス整合(マッチング制御)では、負荷の変動状態によってはマッチング制御が不可能となる場合がある。本願の発明者は、シーク制御の安定性はインピーダンス整合回路(マッチング回路)の集中定数の値に誤差が含まれないことが重要であること、および、この集中定数の誤差の要因としてインピーダンス整合回路内の配線インダクタンスがあることを見出した。
【0020】
従来のマッチング制御において、インピーダンス整合回路の集中定数はコンデンサやコイル等のインピーダンス可変素子あるいは固定のインダクタンス素子等から構成されるものとし、配線インダクタンスはないものとしてインピーダンス可変素子の調整を行っている。
【0021】
このように、配線インダクタンスを考慮せずにマッチング制御を行った場合には、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスは、配線インダクタンスによって特性インピーダンスからずれることになる。この特性インピーダンスからのずれは、不良なマッチング制御の要因となる。このようなマッチング制御の不良は、マッチング制御に要する時間が長くなる他、マッチング制御が不能となるといった問題が発生する要因となる。
【0022】
このような配線インダクタンスによるマッチング制御の不良は、インピーダンス整合回路の配線インダクタンスを求めることで解決することが考えられる。この配線インダクタンス等のインピーダンス整合回路の集中定数は、インピーダンス測定用計測器によって各パラメータを測定することで求めることが考えられるが、回路集中定数の各パラメータを測定するには、各パラメータに対してそれぞれインピーダンス測定用計測器を配置する必要がある。さらに、パラメータを正確に求めるためには、インピーダンス測定用計測器は高い測定精度が求められる。
【0023】
また、インピーダンス測定用計測器を用いた測定は、インピーダンス整合回路を高周波で駆動した状態で行う必要があるため、これらパラメータの測定は高周波測定を行う必要がある。高周波測定ではインピーダンス測定用計測器を設けることによって発生する浮遊容量の影響を考慮する必要があり、正確な測定が困難であるという課題がある。
【0024】
したがって、本発明は上記課題を解決して、インピーダンス整合において、インピーダンス整合が配線インダクタンス等による特性インピーダンスからのずれによって制御が不能となることを防ぐことを目的とし、特に安定性の高いシーク制御を行うことを目的とする。
【0025】
また、インピーダンス整合装置のインピーダンス整合において、インピーダンス整合回路の集中定数のパラメータを、インピーダンス測定用計測器を用意することなく、実際の使用環境で測定することを目的とする。
【0026】
また、インピーダンス整合回路の集中定数のパラメータを、インピーダンス測定用計測器を用意することなく、実際の使用環境でキャリブレーションすることを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0027】
本願発明は、マッチング制御の不良の一要因であるインピーダンス整合回路内の配線インダクタンスの影響を低減するために、インピーダンス整合回路を集中定数でモデル化すると共に配線インダクタンスを未知パラメータとして設定し、この未知パラメータを同定し、同定した未知パラメータを用いてインダクタンス整合回路のインピーダンス可変素子を調整することによってマッチング制御を行う。
【0028】
この未知パラメータの同定を行う際に、インピーダンス整合装置が備えている内部センサを用いることによって、インピーダンス整合回路へのインピーダンス測定用計測器の付加を不要とし、さらに、計測器を付加することで発生する浮遊容量の影響を排除することができる。
【0029】
また、インピーダンス整合装置によって実際にマッチング制御を行うときと同様の使用環境で同定することによって、同定に影響を与える要因を排除することができる。
【0030】
本願発明によれば、未知パラメータを同定することで配線インダクタンスを求めることができ、さらに、求めた配線インダクタンスを考慮に入れてインピーダンス可変素子の調整値を定めることで、配線インダクタンスの影響を低減したマッチング制御を行うことができる。
【0031】
本願発明は、未知パラメータを同定する際に、インダクタンス整合装置が備える内部センサで求めることができる入力インピーダンスの絶対値および位相を用い、インピーダンス整合に使用する高周波電力を印加した状態で行うことによって、インピーダンス測定用計測器を別途に用意する必要がなく、新たな計測器を配置することによる浮遊容量の影響を排除することができる。
【0032】
本願発明は、共通する技術的特徴点を有する複数の態様を含んでいる。本発明の各態様は、インピーダンス整合装置の態様、インピーダンス整合方法の態様、および、キャリブレーション方法の態様の各態様である。
【0033】
なお、キャリブレーション方法の態様は、インピーダンス整合回路のインピーダンス可変素子を、インピーダンス整合回路が有する配線インダクタンスを用いて校正する方法の態様である。このキャリブレーション方法の態様によれば、キャリブレーションを行ったインダクタンス値を用いてインピーダンス可変素子のインダクタンス値を調製することによって、マッチング制御において配線インダクタンスの影響を除去することができる。
【0034】
[インピーダンス整合装置]
本願発明のインピーダンス整合装置の態様は、高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合装置において、インピーダンス整合回路とパラメータ算出部とを備える。
【0035】
インピーダンス整合回路は、高周波電源と負荷との間にインピーダンス可変素子を備え、このインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合する。
【0036】
パラメータ算出部は、負荷インピーダンスが開放状態又は短絡状態においてインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更し、このインピーダンス値の変更に伴って変化する位相について、その位相の正負が反転するときの各インピーダンス値と、インピーダンス整合装置において、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際にインピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべき条件(入力インピーダンス特性条件)とに基づいて、インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0037】
位相反転時に得られるインピーダンス値は、負荷インピーダンスが開放状態で得られるインピーダンス値と、負荷インピーダンスが短絡状態で得られるインピーダンス値との2つの値である。
【0038】
パラメータ算出部は、この2つのインピーダンス値と、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際にインピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべき条件に基づいて、インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出し、未知パラメータを同定する。
【0039】
インピーダンス整合装置は、算出した集中定数パラメータに基づいてインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合する。
【0040】
本願発明のインピーダンス整合装置の態様において、より詳細な構成は、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合装置において、インピーダンス整合回路とインピーダンス制御部と、切り替え部と、測定部と、パラメータ算出部とを備える。
【0041】
インピーダンス整合回路は、高周波電源と負荷との間にインピーダンス可変素子を備え、当該インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合する。
【0042】
インピーダンス制御部は、インピーダンス整合回路のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更し、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御する。
【0043】
切り替え部は、インピーダンス整合回路の出力端の状態を、開放した状態、短絡した状態、負荷に接続した状態の何れかの状態に切り替える。
【0044】
測定部は、負荷インピーダンスが開放状態又は短絡状態においてインピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、各状態においてインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して位相が反転するときの各インピーダンス値を測定する。
【0045】
パラメータ算出部は、インピーダンス整合回路の集中定数パラメータを算出する。このパラメータ算出は、インピーダンス整合回路の出力端が開放した状態において、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値と、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子の第2のインピーダンス値の2つのインピーダンス値に係わる2つの条件、および、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際にインピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべきインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件の、3つの条件に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。入力インピーダンス特性条件は、入力インピーダンスの位相調整又は絶対値調整によって求めることができる。
【0046】
インピーダンス制御部は、パラメータ算出部で算出した集中定数パラメータに基づいてインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合する。
【0047】
パラメータ算出部において、パラメータ算出に用いる3つの条件の内、入力インピーダンス特性条件に係る条件は複数の態様とすることができる。
【0048】
(入力インピーダンス特性条件の第1の態様)
第1の態様の入力インピーダンス特性は、入力インピーダンスの特定値と、この特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる。
【0049】
入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線と、第2のインピーダンス値を通る特性線とが交差する関係で定まり、この交差点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転する時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転する時の第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0050】
(入力インピーダンス特性条件の第2の態様)
第2の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線の傾斜値と、当該傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる。
【0051】
インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスの値とインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの値とを座標軸とする座標上において、入力インピーダンスを表す曲線上において所定の傾斜となる点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0052】
(入力インピーダンス特性条件の第3の態様)
第3の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスの値とインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの値とを座標軸とする座標上において、入力インピーダンスを表す曲線上において、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、当該インピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まる。
【0053】
インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、2つの入力インピーダンス値と、負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0054】
第1〜第3の態様において、入力インピーダンス特性は入力インピーダンスの位相調整又は絶対値調整によって求めることができる。位相調整および絶対値調整は、インピーダンス整合回路が備えるインピーダンス可変素子を変更することで行うことができる。位相調整を行う場合にはインピーダンス可変素子Xmを変更することでインピーダンス整合回路の位相を可変とし、絶対値調整を行う場合にはインピーダンス可変素子Xtを変更することでインピーダンス整合回路の絶対値を可変とする。
【0055】
[インピーダンス整合方法]
本願発明のインピーダンス整合方法の態様は、高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合方法において、3つの条件に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0056】
3つの条件の内、2つの条件は、負荷インピーダンスが開放状態又は短絡状態においてインピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、各状態においてインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して位相が反転するときの各インピーダンス値に係わる条件である。
【0057】
3つ目の条件は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際に、インピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべきインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件である。
【0058】
算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合する。
【0059】
本願発明のインピーダンス整合装置の態様において、より詳細な構成は、高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合方法において、インピーダンス測定工程とパラメータ算出工程とを備える。
【0060】
インピーダンス測定工程は、インピーダンス整合回路の負荷側の出力端を開放し、この開放状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を求める第1の工程と、入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を工程で求めた値に固定した状態において、インピーダンス整合回路の負荷側の出力端を短絡し、この短絡状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子の第2のインピーダンス値を求める第2の工程とを含む。
【0061】
パラメータ算出工程は、インピーダンス測定工程で求めた第1のインピーダンス値と第2のインピーダンス値の2つの条件、および、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際に、インピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべきインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件の3つの条件に基づいて、インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0062】
算出工程で算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合する。
【0063】
パラメータ算出工程において、パラメータ算出に用いる上記した3つの条件の内、インピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件に係る条件は複数の態様とすることができる。
【0064】
(入力インピーダンス特性条件の第1の態様)
第1の態様の入力インピーダンス特性は、入力インピーダンスの特定値と、この特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる。
【0065】
入力インピーダンス特性条件は、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線と、第2のインピーダンス値を通る特性線とが交差する関係で定まる。
【0066】
この交差点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値による入力インピーダンス特性条件と、前記した負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転する時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転する時の第2のインピーダンス値の2つの条件に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0067】
(入力インピーダンス特性条件の第2の態様)
第2の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線の傾斜値と、当該傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる。
【0068】
入力インピーダンス特性条件は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスの値とインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの値とを座標軸とする座標上において、入力インピーダンスを表す曲線上で所定の傾斜となる点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値により定まる。
【0069】
この入力インピーダンス曲線の傾斜値とインピーダンス可変素子のインピーダンス値による入力インピーダンス特性条件と、前記した負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0070】
(入力インピーダンス特性条件の第3の態様)
第3の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスの値とインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの値とを座標軸とする座標上において、入力インピーダンスを表す曲線上において、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、当該インピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まる。
【0071】
この入力インピーダンス特性条件により定まる、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値および2つの入力インピーダンス値と、前記した負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0072】
[キャリブレーション方法]
本願発明のキャリブレーション方法の態様は、高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を校正する。
【0073】
インピーダンス整合回路の負荷側の出力端のインピーダンスが開放状態又は短絡状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、前記各状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更し、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの位相が反転するときのインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際に、インピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべきインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件とに基づいて、前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出し、算出した集中定数パラメータに基づいてインピーダンス可変素子のインピーダンス値を、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するように校正する。
【0074】
本願発明のキャリブレーション方法の態様において、より詳細には、高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を校正するキャリブレーション方法において、インピーダンス測定工程とパラメータ算出工程とを備える。
【0075】
インピーダンス測定工程は、インピーダンス整合回路の負荷側の出力端を開放し、この開放状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を求める第1の工程と、入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を工程で求めた値に固定した状態において、インピーダンス整合回路の負荷側の出力端を短絡し、この短絡状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子の第2のインピーダンス値を求める第2の工程とを含む。
【0076】
パラメータ算出工程は、インピーダンス測定工程で求めた第1のインピーダンス値と第2のインピーダンス値の2つの条件、および、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際に、インピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべきインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件の3つの条件に基づいて、インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0077】
算出した集中定数パラメータに基づいて、インピーダンス可変素子のインピーダンス値を、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するように校正する。
【0078】
パラメータ算出工程において、パラメータ算出に用いる上記した3つの条件の内、インピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件に係る条件は複数の態様とすることができる。
【0079】
(入力インピーダンス特性条件の第1の態様)
第1の態様の入力インピーダンス特性は、入力インピーダンスの特定値と、特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる。
【0080】
入力インピーダンス特性条件は、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線と、第2のインピーダンス値を通る特性線とが交差する交差点を求める。
【0081】
この交差点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値による入力インピーダンス特性条件と、前記した負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転する時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転する時の第2のインピーダンス値の2つの条件に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する交差点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0082】
(入力インピーダンス特性条件の第2の態様)
第2の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線の傾斜値と、当該傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる。
【0083】
入力インピーダンス特性条件は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスの値とインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの値とを座標軸とする座標上において、入力インピーダンスを表す曲線上で所定の傾斜となる点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を求める。
【0084】
この入力インピーダンス曲線の傾斜値とインピーダンス可変素子のインピーダンス値による入力インピーダンス特性条件と、前記した負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【0085】
(入力インピーダンス特性条件の第3の態様)
第3の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスの値とインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの値とを座標軸とする座標上において、入力インピーダンスを表す曲線上において、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、当該インピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まる。
【0086】
この入力インピーダンス特性条件により定まる、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値および2つの入力インピーダンス値と、前記した負荷インピーダンスの開放状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第1のインピーダンス値、および負荷インピーダンスの短絡状態において入力インピーダンスが位相反転した時の第2のインピーダンス値に基づいてインピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】シーク制御とフォローイング制御による整合制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】シーク制御を説明するためのフローチャートである。
【図3】フォローイング制御を説明するためのフローチャートである。
【図4】本願発明のインピーダンス整合において未知パラメータを算出する概要を説明するためのフローチャートである。
【図5】本願発明のインピーダンス整合において未知パラメータを算出する概要を説明するための説明図である。
【図6】本願発明のインピーダンス整合の方法および構成を説明するための概略構成図である。
【図7】本願発明のインピーダンス整合の方法および構成を説明するためのフローチャートである。
【図8】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路を説明するための回路図である。
【図9】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路を説明するための回路図である。
【図10】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するための図である。
【図11】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するためのフローチャートである。
【図12】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第2の態様を説明するための図である。
【図13】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第2の態様を説明するためのフローチャートである。
【図14】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するための図である。
【図15】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するためのフローチャートである。
【図16】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の変形例を説明するための図である。
【図17】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図18】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路を説明するための回路図である。
【図19】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路を説明するための回路図である。
【図20】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するための図である。
【図21】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するためのフローチャートである。
【図22】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するための図である。
【図23】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するためのフローチャートである。
【図24】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様の他の例を説明するための図である。
【図25】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図26】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第2の態様の他の例を説明するための図である。
【図27】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第2の態様の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図28】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の他の例を説明するための図である。
【図29】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図30】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第2の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の他の例の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図31】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路を説明するための回路図である。
【図32】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路を説明するための回路図である。
【図33】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するための図である。
【図34】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するためのフローチャートである。
【図35】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第2の態様を説明するための図である。
【図36】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するための図である。
【図37】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するための図である。
【図38】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するためのフローチャートである。
【図39】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の変形例を説明するための図である。
【図40】本願発明の入力インピーダンスの位相値調整において、第3の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図41】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するための図である。
【図42】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第1の態様を説明するためのフローチャートである。
【図43】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第2の態様を説明するための図である。
【図44】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第2の態様を説明するためのフローチャートである。
【図45】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するための図である。
【図46】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様を説明するためのフローチャートである。
【図47】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の変形例を説明するための図である。
【図48】本願発明の入力インピーダンスの絶対値調整において、第1の実施例のインピーダンス整合回路の第3の態様の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図49】本発明のインピーダンス整合装置の一構成例を説明するための図である。
【図50】従来の高周波電源(RF電源)システムの概略系統図を示す図である。
【図51】インピーダンス整合回路の集中定数の一構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、シーク制御とフォローイング制御による整合制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【0089】
整合制御の一態様として、シーク制御とフォローイング制御とによってインピーダンス整合を行う整合制御がある。この整合制御では、はじめにパラメータを同定し(S1)、シーク制御によって予測した目標値に向かって可変素子を調整して制御を行い(S2)、入力インピーダンスを目標値の近傍とした後、シーク制御からフォローイング制御に切り替え(S3)、フォローイング制御によって位相と絶対値を変化させてインピーダンスを整合させる(S4)。
【0090】
シーク制御とフォローイング制御との切り替えは、測定で得られたインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値|Zin|と位相差θinに基づいて、これらの値が予め設定しておいた切替範囲内にあるか、あるいは切替範囲外であるかによって、シーク制御を行うかあるいはフォローイング制御を行うかを選択する。
【0091】
このフォローイング制御によって得られた入力インピーダンスが、予め定めた切替範囲外となった場合には、シーク制御に戻る(S5)。
【0092】
図2を用いてシーク制御について説明する。図2はシーク制御を説明するためのフローチャートである。
【0093】
シーク制御は、整合回路の可変素子(可変コンデンサ)の最終的な目標インピーダンス値を算出し、その値に向かって、可変素子(可変コンデンサ)のインピーダンスを変化させる制御である。
【0094】
ここでは、図51に示す回路構成において、コンデンサCt、Cm、およびインダクタンスLmが既知とし、入力インピーダンス|Zin|=|1/Yin|および位相差θinをセンサで検出し、|Zin|=50Ω、θin=0[deg]を満たすXmref、Ctref、Cmrefを求め、Ctref、Cmrefの値を目標インピーダンス値としてコンデンサCtとCmの容量を制御する。
【0095】
図2のフローチャートにおいて、高周波電源から負荷に電力供給が開始された後(S11)、位相差θinが0でない場合(S12)、あるいは入力インピーダンスの絶対値|Zin|が50Ωでない場合には(S13)、センサによって検出した入力インピーダンスの絶対値|Zin|、位相差θinを用いて現在の負荷のインピーダンス(Ro+jXo)を計算により求める(S14)。
【0096】
求めたRoおよびXoを用い、
Xmref=√{(50Ro−Ro)/ω}
Ctref=Xmref/{Ro+(ωXmref)}
Cmref=1/{ω(Lm−Xmref)+ωXo}
の各式に基づいてCtref、Cmrefを求める(S15)。
CtrefおよびCmrefは目標インピーダンス値であり、この値に向けて可変素子CtとCmの値を変化させ、これによって整合を行う(S16)。
【0097】
次に、フォローイング制御について図3のフローチャートを用いて説明する。
反射波電力が0でない場合には、整合処理によってインピーダンス整合が行われる(S21)。フォローイング制御によるインピーダンス整合は、位相制御(S22〜S25)と絶対値制御(S26〜S29)によって行われる。
【0098】
位相制御では、位相差θinが0[deg]でない場合には(S22)、可変コンデンサCmあるいは可変インダクタンスLmを調整することに位相制御を行う。ここでは、可変コンデンサCmの調整によって位相制御を行う場合を示している。
【0099】
位相差θinが負である場合には(S23)、可変コンデンサCm の容量を増加させ(S24)、位相差θinが正である場合には(S23)、可変コンデンサCm の容量を減少させる(S25)。
【0100】
位相差θinが0[deg]である場合には位相制御の動作は行なわず(S22)、S26〜S29によって絶対値制御を行う。
【0101】
インピーダンス制御では、絶対値|Zin|が50[Ω]でない場合には(S26)、可変コンデンサCtを調整することに絶対値制御を行う(S27〜S29)。絶対値|Zin|が50[Ω]よりも大きい場合には(S27)、可変コンデンサCt の容量を増加させ(S28)、絶対値|Zin|が50[Ω]よりも小さい場合には(S27)、可変コンデンサCtの容量を減少させる(S29)。なお、絶対値|Zin|が50[Ω]である場合には絶対値制御の動作は行わない(S26)。
【0102】
また、観測する反射波電力が規定値以下に達した時点で、整合(マッチング)されたと見なし制御動作を一旦停止する。負荷変動などにより、反射波電力が規定値以上に達した場合には、上述した制御動作を再開する。
【0103】
本願発明のインピーダンス整合は、シーク制御を行う前段階において、インピーダンス整合回路の配線インダクタンスによる未知パラメータを同定し、この未知パラメータの同定で得られた配線インダクタンスを用いて、インピーダンス可変素子のインピーダンス値を設定し、シーク制御を開始する(図1のS1)。
【0104】
本願発明のインピーダンス整合において未知パラメータを算出する概要を、図4のフローチャートおよび図5の説明図を用いて説明する。
【0105】
図5(a)において、インピーダンス整合回路2は、高周波電源100と負荷102との間に配置され、高周波電源100と負荷102のインピーダンスを整合する。インピーダンス整合回路2は、インピーダンス可変素子Xm,Xtと、未知パラメータX12,Xml,Xtlを備える。インピーダンス整合回路2の回路構成は、例えば図51で表される。
【0106】
図51に示すインピーダンス整合回路2の回路において、インピーダンス可変素子Xtはインピーダンス整合回路2の入力端と接地との間に接続されるインピーダンス可変素子であり、例えば可変コンデンサCtによって構成することができる。インピーダンス可変素子Xtは入力インピーダンスZinの絶対値を変化させる。
【0107】
インピーダンス可変素子Xmは、インピーダンス整合回路2の入力端と出力端(負荷側)との間に接続されるインピーダンス可変素子であり、例えば、可変コンデンサCmあるいはインダクタンスLmによって構成することができる。インピーダンス可変素子Xmは、入力インピーダンスZinの位相を変化させる。
【0108】
なお、Cm,Lm,およびCtに付されたサフィックスの内、“m”は位相制御を意味するMatchの頭文字を表し、“t”は絶対値制御を意味するTuneの頭文字を表している。
【0109】
一方、未知パラメータXtlはインピーダンス整合回路2の入力端と接地との間の配線インダクタンス等に起因するインピーダンス分であり、インダクタンス分である場合には未知インダクタンスLtlに対応する。未知パラメータXmlはインピーダンス整合回路2の入力端と出力端(負荷側)との間の配線インダクタンス等に起因するインピーダンス分であり、インダクタンス分である場合には未知インダクタンスLmlに対応する。未知パラメータX12は、未知パラメータXtl,Xml以外の配線インダクタンス等に起因するインピーダンス分であり、インダクタンス分である場合には未知インダクタンスL12に対応する。
【0110】
なお、未知パラメータX12,Xml,Xtlと未知インダクタンスL12,Lml,Ltlとは一対一で対応するとは限らず、インダクタンス整合回路の回路構成に応じた対応関係を有している。
【0111】
本願発明は、インピーダンス整合回路の配線インダクタンス等に起因する未知パラメータX12,Xml,Xtlを算出するために3つの条件を用いる。3つの条件の内、2つの条件はインピーダンス可変素子の実測値から求まる2つのインピーダンス値であり、他の1つの条件はインピーダンス整合回路の入力インピーダンス条件であり、インピーダンス整合装置において、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際にインピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべき条件である。
【0112】
2つのインピーダンス値は、インピーダンス整合回路の負荷インピーダンスを固定し(S31)、この状態においてインピーダンス整合回路に高周波電力を印加する(S32)。
【0113】
負荷インピーダンスの固定は、インピーダンス整合回路の負荷側の出力端を開放状態あるいは短絡状態とすることによって行う。インピーダンス整合回路の出力端を開放した場合には、負荷インピーダンスの絶対値は無限大に固定され、一方、インピーダンス整合回路の出力端を短絡した場合には、負荷インピーダンスの絶対値は零に固定される。
【0114】
この負荷インピーダンスを固定した状態において、インピーダンス整合を行う際に用いる高周波電力を供給すると共に、インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更する。インピーダンス可変素子を可変コンデンサCt,Cmで構成した場合には、この可変コンデンサCt,Cmの値を変化させる(S33)。インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更しながら、インピーダンス整合装置が内蔵するセンサによってインピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値|Zin|と位相θを測定する。
【0115】
この測定では、インピーダンス整合回路に対してインピーダンス整合で使用する高周波電力が供給された状態で行われるため、インピーダンス整合を実際に行う使用環境において、入力インピーダンスの絶対値|Zin|と位相θを測定することができる。また、この測定はインピーダンス整合装置が内蔵するセンサによって行われるため、インピーダンス測定用の計測器は不要であり、計測器を別途設けることによる浮遊容量や誤差容量等のインダクタンス分の発生を排除することができる(S34)。
【0116】
入力インピーダンスの絶対値|Zin|および位相θの測定において、入力インピーダンスの位相が反転する時点を検出し、この位相反転時におけるインピーダンス可変素子のインピーダンス値を求める。このインピーダンス可変素子のインピーダンス値は、負荷インピーダンスを無限大に固定したときに得られる値と、負荷インピーダンスを零に固定したときに得られる値の2つの値であり、これら値から未知パラメータを求める2つの条件を定める。
【0117】
図5(b)は、インピーダンス整合回路の出力端を開放した状態を示している。この状態において入力インピーダンスの位相反転時点の可変コンデンサCtの値から、インピーダンス可変素子Xtの値Xtoを求める。なお、Xtoは、インピーダンス整合回路の出力端を開放した状態において位相反転時におけるインピーダンス可変素子Xtがとる値である。なお、可変コンデンサCtとインピーダンス可変素子Xtとの関係は、インピーダンス整合回路の回路構成に応じて定まる関係式で表すことができる。
【0118】
インピーダンス整合回路の出力端を開放した状態において、入力インピーダンスの絶対値をインピーダンス可変素子Xtをパラメータとして変更し、入力インピーダンスの位相が反転するときの条件から、未知パラメータXtl、X12およびXtoは、
Xtl=Xto−X12
で表される。
【0119】
図5(c)は、インピーダンス整合回路の出力端を短絡した状態を示している。インピーダンス可変素子Xtの値を、前段のインピーダンス整合回路の出力端を開放した状態において位相反転時のインピーダンス可変素子Xtの値であるXtoに固定し、次に、インピーダンス整合回路の出力端を短絡した状態において、入力インピーダンスの位相反転時点の可変コンデンサCmの値から、インピーダンス可変素子Xmの値Xmsoを求める。なお、Xmsoは、インピーダンス可変素子Xtの値であるXtoに固定し、インピーダンス整合回路の出力端を短絡した状態において、入力インピーダンスの位相反転時におけるインピーダンス可変素子Xmがとる値である。なお、可変コンデンサCmとインピーダンス可変素子Xmとの関係は、インピーダンス整合回路の回路構成に応じて定まる関係式で表すことができる
【0120】
インピーダンス整合回路の出力端を短絡した状態において、入力インピーダンスの絶対値をインピーダンス可変素子Xmをパラメータとして変更し、入力インピーダンスの位相が反転するときには、未知パラメータXml、X12およびXmsoは、
X12=Xmso+Xml
で表される(S35)。
【0121】
S35で定めた2つのインピーダンス可変素子の条件と、インピーダンス整合回路の入力インピーダンス条件を用いて未知パラメータを算出する。入力インピーダンス条件は、入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致する際に、インピーダンス可変素子のインピーダンス値が満たすべき条件である。
【0122】
ここで、2つのインピーダンス可変素子の条件は、上記した、インピーダンス可変素子Xtの値Xtoと、インピーダンス可変素子X mの値Xmsoである。また、入力インピーダンス特性条件は、例えばインピーダンス可変素子XmあるいはXtが満たすべき条件で表される。なお、インピーダンス可変素子Xmは入力インピーダンスの位相調整を行い、インピーダンス可変素子Xtは入力インピーダンスの絶対値調整を行う。
【0123】
入力インピーダンス特性条件においてインピーダンス可変素子Xmをパラメータとして入力インピーダンスの位相を変えることによって、未知パラメータXmlを求めることができる。一方、入力インピーダンス特性条件においてインピーダンス可変素子Xtをパラメータとして入力インピーダンスの絶対値を変えることによって未知パラメータXtlを求めることができる。
【0124】
入力インピーダンスの位相調整において、入力インピーダンス特性条件から未知パラメータXmlが得られた場合には、X12=Xmso+Xmlの関係から未知パラメータX12を算出することができ、Xtl=Xto−X12の関係から未知パラメータXtlを算出することができる。
【0125】
一方、入力インピーダンスの絶対値調整において、入力インピーダンス特性条件から未知パラメータXtlが得られた場合には、Xtl=Xto−X12の関係から未知パラメータX12を算出することができ、Xml=−Xmso+X12の関係から未知パラメータXmlを算出することができる (S36)。
【0126】
次に、図6の概略構成図および図7のフローチャートを用いて、本願発明のインピーダンス整合の方法および構成を説明する。
【0127】
図6において、インピーダンス整合装置1は、高周波電源100と負荷102との間に接続される。インピーダンス整合装置1は、従来構成と同様にインピーダンス整合回路(マッチングボックス)2と、インピーダンス整合回路2のインピーダンス可変素子を制御するインピーダンス制御部4と、インピーダンス整合回路2の入力インピーダンスZinの絶対値|Zin|および位相θinを測定する測定部3を備える他、インピーダンス整合回路2の出力端の接続を切り替えて、負荷を開放した状態、負荷を短絡した状態、あるいは負荷に接続した状態の各状態に切り替える切り替え部5と、未知パラメータを算出するパラメータ算出部6を備える。また、インピーダンス制御部4は、切り替え部5を切り替える制御機能、パラメータ算出部6で算出したパラメータを用いてインピーダンス可変素子に設定するインピーダンス値を算出する算出機能を備える。
【0128】
パラメータ算出部6は、測定部3で測定した絶対値|Zin|および位相θinを入力する他、インピーダンス制御部4からインピーダンス可変素子の変更値Cm,Ctを入力し、負荷が開放された状態において入力インピーダンスZinが位相反転したときのインピーダンス可変素子の値、および、負荷が短絡された状態において入力インピーダンスZinが位相反転したときのインピーダンス可変素子の値を求め、これらインピーダンス可変素子の値および入力インピーダンス特性条件を用いて未知パラメータX12,Xtl,Xmlを算出し、さらに、未知パラメータX12,Xtl,Xmlと未知インダクタンスL12,Lml,Ltlとの対応関係に基づいて未知インダクタンスL12,Lml,Ltlを算出する。
【0129】
なお、パラメータ算出部6はインピーダンス制御部4と共にインピーダンス制御部7を構成しても良い。
【0130】
図7のフローチャートにおいて、はじめに切り替え部5によってインピーダンス整合回路2の出力端と負荷との接続を切り離して、負荷を開放する(S41)。負荷を開放した状態において、インピーダンス整合回路2の入力端と接地との間のインピーダンス可変素子Xtを変化(tune)させる。このインピーダンス可変素子Xtの変化中において、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの位相変化が反転する時点を検出し、位相反転時のインピーダンス可変素子Xtの値Xtoを求める(S42)。インピーダンス整合回路2のインピーダンス可変素子Xtの値を S42で求めたXtoに固定する(S43)。
【0131】
次に、切り替え部5によってインピーダンス整合回路2の出力端間を接続して、負荷を短絡する(S44)。負荷を短絡した状態において、インピーダンス整合回路2の入力端と出力端(負荷側)との間のインピーダンス可変素子Xmを変化(match)させる。このインピーダンス可変素子Xmの変化中において、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの位相変化が反転する時点を検出し、位相反転時のインピーダンス可変素子Xmの値Xtmsoを求める(S45)。
【0132】
インピーダンス整合回路2の入力インピーダンスの絶対値|Zin|の条件(インピーダンス特性条件)に基づいて、このインピーダンス特性を満足するために必要な入力端と出力端(負荷側)との間のインピーダンス可変素子の未知パラメータXml又はXtlを求める。
【0133】
ここで、インピーダンス可変素子Xmをパラメータとする入力インピーダンスの位相調整によれば未知パラメータXmlが求まり、一方、インピーダンス可変素子Xtをパラメータとする入力インピーダンスの絶対値調整によれば未知パラメータXtlが求まる。インピーダンス特性条件は、入力インピーダンスの絶対値|Zin|がインピーダンス整合回路2の配線インピーダンスX12と一致する条件とすることができる(S46)。
【0134】
S43で求めたXtoおよびS45で求めたXtmso、およびS46で求めたインピーダンス可変素子XmあるいはXtの未知パラメータXml又はXtlの値を用いて、未知パラメータX12,Xtl、Xmlを求め(S47)、未知パラメータX12,Xtl、Xmlと未知インダクタンスL12,Lml,Ltlとの対応関係に基づいて未知インダクタンスL12,Lml,Ltlを算出する(S48)。
【0135】
次に、インピーダンス整合の例について説明する。以下では、入力インピーダンス条件によって未知パラメータを求める際において、インピーダンス可変素子Xmをパラメータとする入力インピーダンスの位相調整による例を図8〜図40を用いて説明し、インピーダンス可変素子Xtをパラメータとする入力インピーダンスの絶対値調整による例を図41〜図48を用いて説明する。
【0136】
図8〜図40を用いた入力インピーダンスの位相調整による例では、インピーダンス整合回路の3つの例について説明する。第1の回路例を図8〜図17に基づいて説明し、第2の回路例を図20〜図30に基づいて説明し、第3の回路例を図32〜図40に基づいて説明し、各回路において未知パラメータX12,Xtl、Xmlを求める態様について3つの態様を示する。
【0137】
また、図41〜図48を用いた入力インピーダンスの絶対値調整による例では、インピーダンス整合回路の第1の回路例について説明する。
【0138】
未知パラメータX12,Xtl、Xmlを求める各態様は、未知パラメータX12,Xtl、Xmlを求める際に、入力インピーダンス特性の条件をそれぞれ異なる形態で行う点で相違するものである。
【0139】
第1の態様の入力インピーダンス特性の条件は、入力インピーダンスの特定値と、この特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる態様であり、第2の態様の入力インピーダンス特性の条件は、入力インピーダンスの傾斜値と、傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる態様であり、第3の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、このインピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まる態様である。
【0140】
「入力インピーダンスの位相調整による制御例」
以下、入力インピーダンスの位相調整による制御例を第1の回路例〜第3の回路例に基づいて説明する。ここで、入力インピーダンスの位相調整は、可変パラメータXmを調整することによって行う。
【0141】
[インピーダンス整合の第1の回路例]
インピーダンス整合の第1の回路例について図8〜図17を用いて説明する。インピーダンス整合回路の第1の回路について図8,図9を用いて説明し、この第1の回路例において未知パラメータを求める3つの態様について図10〜図17を用いて説明する。図10,図11は第1の態様を説明するための図およびフローチャートであり、図12,図13は第2の態様を説明するための図およびフローチャートであり、図14〜図17は第3の態様を説明するための図およびフローチャートである。
【0142】
(第1の回路例の回路構成)
図8(a)は、インピーダンス整合回路の1つの回路構成例を示している。この回路構成では、入力端(図中の左方上方の端子)と接地(図中の下方端子)との間に可変コンデンサCtを接続し、入力端と負荷側の出力端(図中の右方上方の端子)との間に可変コンデンサCmとインピーダンスLmとの直列回路が接続されたT型回路構成である。なお、出力端側に接続されたXoは負荷のインダクタンス分を示し、Roは負荷の抵抗分を示している。インピーダンス整合(マッチング制御)は、可変コンデンサCtおよび可変コンデンサCmの2つの可変コンデンサの容量を変化させることで行われる。
【0143】
図8(b)は、図8(a)に示した回路構成例について、回路内の配線インダクタンス分を考慮した場合の回路構成を示している。この回路構成では、配線インダクタンス分として未知インダクタンスL12,Lml,Ltlを設定している。未知インダクタンスL12はT型回路の入力端側の配線インダクタンス分を表し、未知インダクタンスLtlはT型回路の入力端と接地との間の配線インダクタンス分を表し、未知インダクタンスLmlはT型回路の出力端(負荷側)の配線インダクタンス分を表している。
【0144】
図8(b)において、以下の式(5)〜(10)で表される関係を用いて素子を置き換える。この素子の置き換えによって未知インダクタンスL12,Lml,Ltlは未知パラメータX12,Xml,Xtlに置き換えられ、可変コンデンサCmとインダクタンスLはパラメータLmに置き換えられ、可変コンデンサCtはパラメータXtに置き換えられる。
【0145】
jωLm=j(ωL−1/(ωCm)) …(5)
jXm=jωLm …(6)
jX12=jωL12 …(7)
jXml=jωLml …(8)
jXtl=jωLtl …(9)
−jXt=1/(jωCt) …(10)
【0146】
図8(c)は上記式に基づいて置き換えた未知パラメータX12,Xml,Xtlおよびインピーダンス可変素子のパラメータXm,Xtを用いて書き換えた回路構成を示している。パラメータXm,Xtは、可変コンデンサCm,Ctを変化させることで変えることができる。
【0147】
以下、図8(c)に示す回路構成を用いて、未知パラメータX12,Xml,Xtlを算出する。
【0148】
図9(a)は、図8(c)の回路構成において負荷側を開放した状態を示している。負荷を開放したときの入力インピーダンスZinは以下の式(11)で表される。
Zin=j(X12+Xtl−Xt) …(11)
【0149】
一方、図9(b)は、図8(c)の回路構成において負荷側を短絡した状態を示している。負荷を短絡したときの入力インピーダンスZinは以下の式(12)で表される。
Zin=j(X12−(Xm+Xml)・(Xt−Xtl)/{(Xm+Xml)−(Xt−Xtl)}
…(12)
【0150】
3つの未知パラメータX12,Xml,Xtlに対して、式(11)、(12)の2つの式のみでは連立方程式を解くことができない。そこで、以下に示すように、入力インピーダンスZinのインピーダンス条件を用いて未知パラメータX12,Xml,Xtlを求める。
【0151】
インピーダンス整合回路の負荷を開放した状態において、パラメータXtの変化に伴って変わる入力インピーダンスZinの位相が反転するときのパラメータXtをXtoとすると、以下の式(13)で表される。
X12=Xto−Xtl …(13)
【0152】
なお、上記パラメータXtoは、インピーダンス整合回路の負荷を開放した状態においてインピーダンス整合回路に高周波電力を供給し、コンデンサCtを変えることによってパラメータXtを変化させ、このパラメータXtの変化に伴って変わる入力インピーダンスZinの位相を測定し、位相反転するときのパラメータXtから求めることができる。
【0153】
次に、負荷を短絡した状態で得られる式(12)において、パラメータXtとしてXtoを選択すると以下の式(14)が得られる。
Zin=j(X12−(Xm+Xml)・(Xto−Xtl)/{(Xm+Xml)−(Xto−Xtl)}
…(14)
【0154】
上記式(14)を変形すると以下の式(15)が得られる。
Zin=jX12[1/{1− (Xm+Xml)/X12}] …(15)
上記式(15)は、負荷を短絡した状態における入力インピーダンスZinを表している。式(15)で表される入力インピーダンスZinは図10中の反比例曲線で表される。
【0155】
入力インピーダンスZinの共振点は、式(15)の分母を零として
1/{1− (Xm+Xml)/X12}=0
の式から求めることができる。この式を満たすパラメータXmの値をXmsoとすると以下の式(16)で表される。
Xmso=X12−Xml …(16)
【0156】
Xmsoは、負荷を短絡した状態で位相が反転する時のXmの値であり、図10において(Xmso、0)の座標点で表される。
【0157】
したがって、負荷を開放した状態から未知パラメータX12とXtlの関係が式(13)によって得られ、負荷を短絡した状態から未知パラメータX12とXmlの関係が式(16)によって得られる。
【0158】
以下、入力インピーダンス特性の条件により未知パラメータを求める第1の態様〜第3の態様について説明する。
【0159】
(未知パラメータを求める第1の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件について、未知パラメータを求める第1の態様について説明する。第1の態様の入力インピーダンス特性の条件は、入力インピーダンスの特定値と、この特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる態様である。
【0160】
負荷を短絡した状態の入力インピーダンスZinを表す式(15)において、入力インピーダンスZin=jX12を満たすには、以下の式(17)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(17)
なお、上記関係は、式(15)の分母=1から求められる。上記式(17)を満たすXmの値をXmsAとすると、未知パラメータXmlはXml=−XmsAで表される。
【0161】
また、共振点から得られる式(16)から
X12=Xml+Xmso …(18)
が得られる。
【0162】
式(17)と式(18)から、未知パラメータX12を求める式(19)が得られる。
X12=Xmso−XmsA …(19)
【0163】
式(19)は、図10が示す(Xm,Zin)の座標において、点A(−XmsA,X12)および点C(Xmso,0)を通る直線の特性線を表している。
【0164】
したがって、点A(−XmsA,X12)は、入力インピーダンスZinを表す式(15)で表される反比例曲線と、式(19)で表される直線とが交差する交点を表している。
【0165】
ただし、上記した入力インピーダンスZinが満たす条件は|Zin|=|X12|であり、式(19)から|X12|=|Xmso−XmsA|である。
【0166】
この関係は、図10上において、点C(Xmso,0)から左方上方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をA点とし、このA点から垂線を下ろしたときXm軸と交差する交点がXmsAとなる。
【0167】
また、Xm>Xmsoとなる交点も可能であり、A点と同様にして、点C(Xmso,0)から右方下方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をB点とし、このB点から垂線を下ろしたときXm軸と交差する交点がXmsBとなる。
【0168】
XmsAとXmsBとの関係は次式(20)で表される。
XmsB−Xmso=XmsA+Xmso …(20)
負荷開放時の式(13)を変形して次式(21)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(21)
【0169】
この式(21)を式(19)に代入することによって、未知パラメータXtlを求める式(22)が得られる。
Xtl=Xto−(Xmso−XmsA) …(22)
【0170】
したがって、未知パラメータXmlは入力インピーダンスZinの反比例曲線と直線との交点によって求めることができ、未知パラメータX12は式(19)においてXmsoとXmsAから求めることができ、未知パラメータXtlは式(22)においてXtoとXmsoとXmsAから求めることができる。
【0171】
図11に示すフローチャートを用いて第1の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S51)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S52)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S53)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S54)。
【0172】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S55)。
【0173】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S56)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。この入力インピーダンスZinの実測値から反比例曲線を求める。なお、パラメータXmは、式(5)、(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S57)。
【0174】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S58)。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S59)。
【0175】
(Xm、Zin)の座標系で表される入力インピーダンスZinにおいて、(Xmso,0)の点を通過し傾きが−45°の直線と、入力インピーダンスZinの反比例曲線とが交差する交点のXmの値を求め、XmsA、XmsBとする(S60)。
【0176】
Xml=ωLml、Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとXmsBの値から未知インダクタンスLmlを算出する(S61)。
【0177】
X12=ωL12、X12=Xml+Xmso,Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとXmsoの値から未知インダクタンスL12を算出する(S62)。
【0178】
Xtl=Xto−X12、X12=Xmso−XmsAから得られるXtl=Xto−(Xmso−XmsA)の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmsAとXmsoの値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S63)。
【0179】
(実験例)
上記した第1の実施例において実験例を示す。
実験例の条件は、
入力電力 :W=500W
周波数 :f=13.56MHz
インピーダンス:L=689nH
であり、可変コンデンサCm、Ctの可変領域は以下の表に示される値を備える。
【0180】
【表1】

【0181】
負荷を開放したときに入力インピーダンスZinの絶対値|Zin|の位相が反転するときの可変コンデンサCtの値Ctoは
Cto=899pF
が測定された。このCtoの値を用いて負荷を短絡し、この短絡状態において入力インピーダンスZinの絶対値|Zin|の位相が反転するときの可変コンデンサCmの値Cmsoは、
Cmso=216pF
である。
【0182】
上記のCtoとCmsoの値から、未知パラメータXmsoの値を式(5)、(6)を用いて求めると、
Xmso=4.36Ω
となる。
【0183】
Xmsoの値と、式(15)の入力インピーダンスZinの反比例曲線から、未知パラメータXmsA、XmsBを求めると、
XmsA=-4.69Ω
XmsB=13.42Ω
が得られる。
【0184】
未知インダクタンスLmlは、式(8)、(17)から
Lml=55nH
が得られ、
未知インダクタンスL12は、式(7)、(18)から
L12=106nH
が得られる。
【0185】
未知インダクタンスXtoの値は、負荷開放時の可変コンデンサCtの値を用いて、
Xto=13.06Ω
が得られる。未知インダクタンスLtlは、式(9),(22)を用いて求めると、
Ltl=47nH
となる。
【0186】
なお、上記した第1の実施例のインピーダンスの条件としてL=689nHを設定しているが、このインダクタンスLの値は一例であり、この値に限られるものではない。
【0187】
インピーダンスLmは、式(5)によってインダクタンスLと可変コンデンサCmの関係で表される。また、インピーダンスLmは式(8)、(17)の関係から未知インダクタンスLmlとの間にLm=−Lmlの関係があることから、未知インダクタンスLmlは、インダクタンスLと可変コンデンサCmとの関係で表される。したがって、未知インダクタンスLmlは、可変コンデンサCmの可変領域内であればインダクタンスLの値を任意に定めることができる。したがって、第1の実施例のL=689nHの値は一例であり、この値に限られるものではない。
【0188】
(未知パラメータを求める第2の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第2の態様について説明する。第2の態様の入力インピーダンス特性の条件は、入力インピーダンスの傾斜値と、傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる態様である。
【0189】
前記したように、入力インピーダンスZin=jX12を満たす条件は式(17)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(17)
【0190】
この式(17)の関係は、入力インピーダンスZinの微分値δZin/δXmが1となる条件によって同様に表される。図12はこの関係を示し、次式(23)で表される。
δZin/δXm=1 …(23)
式(23)を満たすパラメータXmは、
Xm=−Xml …(24)
Xm=2X12−Xml …(25)
である。
【0191】
上記パラメータXmlをそれぞれXmsA,XmsBとすると、入力インピーダンスZinにおいて傾きが1となる点Aおよび点Bの座標はそれぞれ(XmsA、X12)、(XmsB、−X12)で表され、XmsA=−Xml、XmsB=2X12−Xmlで表される。
【0192】
この関係からX12は、
X12=(XmsA+XmsB)/2 …(26)
で表される。
【0193】
負荷開放時の式(13)を変形して次式(21)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(21)
式(21)と式(26)から未知パラメータXtlを求める式(27)が得られる。
Xtl=Xto−(XmsA+XmsB)/2 …(27)
【0194】
したがって、未知パラメータXmlは、第1の態様の反比例曲線と直線とが交差する条件に代えて、入力インピーダンスZinの傾きが1となる条件によって求めることができ、未知パラメータXtlは式(27)においてXtoとXmsAとXmsBから求めることができる。
【0195】
図13に示すフローチャートを用いて第2の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S71)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S72)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S73)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S74)。
【0196】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S75)。
【0197】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S76)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(5)、(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S77)。
【0198】
入力インピーダンスZinの変化において、傾斜が1となるときの可変コンデンサCmsA、CmsBを求める。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値からパラメータXmsA、XmsBを算出する(S78)。
【0199】
(Xm、Zin)の座標系で表される入力インピーダンスZinにおいて、入力インピーダンスZinの傾きが1となるXm=−Xml、Xm=2X12−Xmlの関係から、Xml=−XmsA、2X12−Xml=XmsBとする。
ここで、未知パラメータXml、X12は、
Xml=−XmsA
X12=(XmsA+XmsB)/2
によって算出される(S79)。
【0200】
Xml=ωLml、Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとmsBの値から未知インダクタンスLmlを算出する(S80)。
【0201】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S81)。
【0202】
Xtl=Xto−X12の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータX12の値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S82)。
【0203】
(未知パラメータを求める第3の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第3の態様について図14を用いて説明する。第3の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、このインピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まる態様である。
【0204】
第3の態様は、入力インピーダンスZin=jX12を満たす条件を、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2から求めるものである。
【0205】
入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のインダクタンスZ1,Z2は以下の式(28)、(29)で表される。
Z1=jX12/(1−(Xm1+Xml)/X12) …(28)
Z2=jX12/(1−(Xm2+Xml)/X12) …(29)
【0206】
なお、Xm1とXm2は(Xm,Zin)の座標系で表される入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のXmの値であり、Xmlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=X12となるXmの値である。
【0207】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXmlは、上記式(28)、(29)から以下の式で表される。
X12=((Z1・Z2/(Z2−Z1)・(Xm2−Xm1))1/2 …(30)
Xml=X12−Xm1−X12/Z1 …(31)
Xml=X12−Xm2−X12/Z2 …(32)
【0208】
負荷開放時の式(13)を変形して次式(21)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(21)
【0209】
したがって、未知パラメータXml,X12は、入力インピーダンスZin上の任意の2点におけるXmlおよびZinの値に基づいて式(30)〜(32)を用いて求めることができ、未知パラメータXtlは式(21)においてXtoとX12を代入することで求めることができる。
【0210】
図15に示すフローチャートを用いて第3の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S91)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S92)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S93)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S94)。
【0211】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S95)。
【0212】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S96)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(5)、(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる。
【0213】
第3の態様では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCmについて任意の値Cm1,Cm2に対する入力インピーダンスZ1およびZ2を測定する(S97)。
【0214】
可変コンデンサの値Cm1,Cm2に対応するパラメータXmはそれぞれXm1,Xm2であり、式(5)のωLm=(ωL−1/ωCm)、および式(8)のXm=Lmの関係を用いて算出することができる(S98)。
【0215】
パラメータXm1に対する入力インピーダンスZ1の絶対値|Z1|、およびはパラメータXm2に対する入力インピーダンスZ2の絶対値|Z2|は次式(33)、(34)で表される。
|Z1|=X12/(1−(Xm1+Xml)/X12) …(33)
|Z2|=X12/(1−(Xm2+Xml)/X12) …(34)
【0216】
上記式(33)、(34)の関係から、未知パラメータX12およびXmlは以下の式(35)、(36)で表される。
X12=[{Z1・Z2/(Z2−Z1)}・(Xm2−Xm1)]1/2 …(35)
Xml=X12−Xm1−X12/Z1 …(36)
【0217】
未知パラメータX12は、式(35)にZ1,Z2、およびXm2,Xm1を代入することによって求めることができ、未知パラメータXmlは式(36)にZ1,Xm1,X12を代入することによって求めることができる(S99)。
【0218】
Xml=ωLmlの関係を用いて、未知パラメータXmlから未知インダクタンスLmlを算出する(S100)。
【0219】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S101)。
【0220】
Xtl=Xto−X12の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータX12の値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S102)。
【0221】
図16,図17は第3の態様の変形例であり、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2に少なくとも1点を特定点とする例である。
【0222】
図16に示す例では、特定点としてパラメータXm=0の点Fを設定する場合を示す。他方の1点はパラメータXm=Xm3の点Gを設定する。
【0223】
入力インピーダンスZin上の2点(点F、点G)のインダクタンスZ0,Z3の絶対値は以下の式(37)、(38)で表される。
|Z0|=X12/(X12−Xml) …(37)
|Z2|=X12/(X12−Xm3−Xml) …(38)
【0224】
なお、Xm3は入力インピーダンスZin上の任意の1点(点G)のXmの値であり、Xmlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=X12となるXmの値である。
【0225】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXmlは、上記式(37)、(38)から以下の式で表される。
X12=((Z0・Z3/(Z3−Z0))・(Xm3)1/2 …(39)
Xml=X12−X12/Z0 …(40)
【0226】
負荷開放時の式(13)を変形して次式(21)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(21)
【0227】
したがって、未知パラメータXml,X12は、入力インピーダンスZin上の2点におけるXmlおよびZinの値に基づいて式(39),(40)を用いて求めることができ、未知パラメータXtlは式(21)においてXtoとX12から求めることができる。
【0228】
図17に示すフローチャートを用いて第3の態様の変形例による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S111)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S112)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S113)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S114)。
【0229】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S115)。
【0230】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S116)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(5)、(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる。
【0231】
第3の態様の変形例では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCmについて、パラメータXmを0とするCm0と任意に定めたCm3に対する入力インピーダンスZ0およびZ3を測定する(S117)。
【0232】
可変コンデンサの値Cm0,Cm3とパラメータXm1,Xm2との関係は、式(5)のωLm=(ωL−1/ωCm)、および式(8)のXm=Lmの関係を用いて算出することができる(S118)。
【0233】
パラメータXmが0であるときの入力インピーダンスZ0の絶対値|Z0|、およびはパラメータXm3に対する入力インピーダンスZ3の絶対値|Z3|は次式(41)、(42)で表される。
|Z0|=X12/(X12−Xml) …(41)
|Z3|=X12/(X12−Xm3−Xml) …(42)
【0234】
上記式(41)、(42)の関係から、未知パラメータX12およびXmlは以下の式(43)、(44)で表される。
X12=[{Z0・Z3/(Z3−Z0)}・Xm3]1/2 …(43)
Xml=X12−X12/Z0 …(44)
【0235】
未知パラメータX12は、式(43)にZ0,Z3、およびXm3を代入することによって求めることができ、未知パラメータXmlは式(44)にZ0,X12を代入することによって求めることができる(S119)。
【0236】
Xml=ωLmlの関係を用いて、未知パラメータXmlから未知インダクタンスLmlを算出する(S120)。
【0237】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S121)。
【0238】
Xtl=Xto−X12の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータX12の値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S122)。
【0239】
[インピーダンス整合の第2の回路例]
インピーダンス整合の第2の回路例について図18〜図30を用いて説明する。図18,図19は、第2の回路例のインピーダンス整合回路を説明するための図であり、図20〜図30は、第2の回路例において未知パラメータを求める態様を説明するための図である。
【0240】
図20,図21は第1の態様を説明するための図およびフローチャートであり、図22,図23は第3の態様を説明するための図およびフローチャートである。なお、ここでは、第1の態様と第3の態様について説明する。
【0241】
また、図24〜図30は第1の態様〜第3の態様について、他の例を説明するための図およびフローチャートである。
【0242】
(第2の回路例の回路構成)
図18(a)は、インピーダンス整合回路の第2の回路例の回路構成を示している。この回路構成では、入力端(図中の左方上方の端子)と接地(図中の下方端子)との間に可変コンデンサCtと、可変コンデンサCmとインピーダンスLmとの直列回路とが接続されるT型回路構成であり、可変コンデンサCmとインピーダンスLmとの直列回路は、入力端(図中の左方上方の端子)と出力端(図中の右上方の端子)との間に接続され、可変コンデンサCtは負荷と並列接続される。なお、出力端側に接続されたXoは負荷のインダクタンス分を示し、Roは負荷の抵抗分を示している。インピーダンス整合(マッチング制御)は、可変コンデンサCtおよび可変コンデンサCmの2つの可変コンデンサの容量を変化させることで行われる。
【0243】
図18(b)は、図18(a)に示した回路構成について、回路内の配線インダクタンス分を考慮した場合の回路構成を示している。この回路構成では、配線インダクタンス分として未知インダクタンスL12,Lml,Ltlを設定している。未知インダクタンスL12は出力端側の配線インダクタンスを表し、未知インダクタンスLtlは可変コンデンサCtが設けられる配線の配線インダクタンス分を表し、未知インダクタンスLmlは可変コンデンサCmが設けられる配線の配線インダクタンス分を表している。
【0244】
ここで、以下の式(45)〜(50)で表される関係を用いて素子を置き換える。この素子の置き換えによって未知インダクタンスL12,Lml,Ltlは未知パラメータX12,Xml,Xtlに置き換えられ、可変コンデンサCmとインダクタンスLはパラメータLmに置き換えられ、可変コンデンサCtはパラメータXtに置き換えられる。
jωLm=j(ωL−1/(ωCm)) …(45)
jXm=jωLm …(46)
jX12=jωL12 …(47)
jXml=jωLml …(48)
jXtl=jωLtl …(49)
−jXt=1/(jωCt) …(50)
また、負荷RはR=0又はR=R0で純抵抗とする。
【0245】
図18(c)は上記式に基づいて置き換えた未知パラメータX12,Xml,XtlおよびパラメータXm,Xtを用いて書き換えた回路構成を示している。パラメータXm,Xtは、可変コンデンサCm,Ctを変化させることで変えることができる。
【0246】
以下、図18(c)に示す回路構成を用いて、未知パラメータX12,Xml,Xtlを算出する。
【0247】
図19(a)は、図18(c)の回路構成において負荷側を開放した状態を示している。負荷を開放したときの入力インピーダンスZinは以下の式(51)で表される。
Zin=j(Xml+Xm+Xtl−Xt) …(51)
【0248】
一方、図19(b)は、図18(c)の回路構成において負荷側を短絡した状態を示している。負荷を短絡したときの入力インピーダンスZinは以下の式(52)で表される。
Zin=j(Xm+Xml)+jX12(Xml+Xm)/(X12+Xml+Xm) …(52)
【0249】
3つの未知パラメータX12,Xml,Xtlに対して、式(51)、(52)の2つの式のみでは連立方程式を解くことができない。そこで、以下に示すように、入力インピーダンスZinのインピーダンス条件を用いて未知パラメータX12,Xml,Xtlを求める。
【0250】
インピーダンス整合回路の負荷を開放した状態において、パラメータXtの変化に伴って変わる入力インピーダンスZinの位相が反転するときのパラメータXtをXtoとすると、以下の式(53)で表される。
Xto=Xml+Xtl+Xm …(53)
【0251】
なお、上記パラメータXtoは、インピーダンス整合回路の負荷を開放した状態においてインピーダンス整合回路に高周波電力を供給し、コンデンサCtを変えることによってパラメータXtを変化させ、このパラメータXtの変化に伴って変わる入力インピーダンスZinの位相を測定し、位相反転するときのパラメータXtから求めることができる。
【0252】
次に、負荷を短絡した状態で得られる式(52)において、パラメータXtとしてXtoを選択すると、入力インピーダンスZinは以下の式(54)が得られる。
Zin=j[(Xml+Xm)・(2X12+Xml+Xm)/(X12+Xml+Xm)] …(54)
【0253】
上記式(54)は、負荷を短絡した状態における入力インピーダンスZinを表している。式(54)で表される入力インピーダンスZinは図20中の反比例曲線で表される。
入力インピーダンスZinの共振点は、式(54)の分母を零とする
X12+Xml+Xm=0 …(55)
の式から求めることができる。
【0254】
この式(55)を満たすパラメータXmの値をXmsoとすると以下の式(56)で表される。
Xmso=−X12−Xml …(56)
【0255】
Xmsoは、負荷を短絡した状態で位相が反転する時のXmの値であり、図20において(Xmso、0)=(−X12−Xml,0)の座標点Cで表される。
【0256】
したがって、負荷を開放した状態から未知パラメータXmlとXtlの関係が式(53)によって得られ、負荷を短絡した状態から未知パラメータX12とXmlの関係が式(56)によって得られる。
【0257】
(未知パラメータを求める第1の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって、未知パラメータを求める第1の態様について説明する。第1の態様の入力インピーダンス特性の条件は、入力インピーダで定まる態様である。
【0258】
負荷を短絡した状態の入力インピーダンスZinを表す式(54)において、入力インピーダンスZin=X12を満たすには、以下の式(57)の関係が必要となる。
(Xml+Xm)+(Xml+Xm)・X12−X12=0 …(57)
【0259】
上記式(57)を満たすXmの値をXmsA,XmsBとすると、未知パラメータXmlはXml=XmsA,XmsBで表される。
【0260】
また、共振点から得られる式(56)から
X12=−Xml−Xmso …(58)
が得られる。
【0261】
式(57)を満たすXm(XmsA,XmsB)は、
K・X12=−Xml−Xm …(59)
K=(−1±√5)/2 …(60)
により表される。
【0262】
式(56)と式(59)から、未知パラメータX12を求める式(61)が得られる。
(K−1)・X12=Xmso−XmsA …(61)
【0263】
式(61)は、図20に示す(Xm,Zin)の座標において、点A(XmsA,(K−1)X12)および点C(Xmso,0)を通る直線の特性線を表している。
【0264】
したがって、点A(XmsA,(K−1)X12)は、入力インピーダンスZinを表す式(57)で表される反比例曲線と、式(61)で表される直線とが交差する交点を表している。
【0265】
ただし、上記した入力インピーダンスZinが満たす条件は|Zin|=|X12|であり、式(61)から|(K−1)・X12|=|−Xmso−XmsA|である。
【0266】
この関係は、図20上において、点C(Xmso,0)から左方上方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をA点とし、このA点から垂線を下ろしたときXm軸と交差する交点がXmsAとなる。
【0267】
また、Xm>Xmsoとなる交点も可能であり、A点と同様にして、点C(Xmso,0)から右方下方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をB点とし、このB点から垂線を下ろしたときXm軸と交差する交点がXmsBとなる。
【0268】
負荷開放時の式(53)を変形して次式(62)が得られる。
Xtl=Xto−Xm−Xml …(62)
【0269】
式(62)から未知パラメータXtlを求める式(63)が得られる。
Xtl=Xto+−Xmso−XmsA …(63)
【0270】
したがって、未知パラメータXmlは入力インピーダンスZinの反比例曲線と直線との交点によってXmsAによって求めることができ、未知パラメータX12は式(61)においてXmsoとXmsAから求めることができ、未知パラメータXtlは式(63)においてXto,XmsA,Xmsoを用いて求めることができる。
【0271】
図21に示すフローチャートを用いて第1の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S131)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S132)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S133)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S134)。
【0272】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S135)。
【0273】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S136)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。この入力インピーダンスZinの実測値から反比例曲線を求める。 なお、パラメータXmは、式(45)、(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S137)。
【0274】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S138)。式(45),(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S139)。
【0275】
(Xm、Zin)の座標系において、入力インピーダンスZin=X12を満たす条件から、(Xmso,0)の点を通過し傾きが45°の直線と、入力インピーダンスZinの反比例曲線とが交差する交点のXmの値を求め、XmsAとする(S140)。
【0276】
Xml=ωLml、Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAの値から未知インダクタンスLmlを算出する(S141)。
【0277】
X12=ωL12、(K−1)・X12=−Xml−Xmso、Xml=XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとXmsoの値から未知インダクタンスL12を算出する(S142)。
【0278】
Xtl=Xto−Xm−Xmlの関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmsAの値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S143)。
【0279】
(未知パラメータを求める第3の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第3の態様について説明する。
【0280】
第3の態様は、図22に示すように、入力インピーダンスZin=X12を満たす条件を、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2から求めるものである。
【0281】
入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のインダクタンスZ1,Z2は以下の式(64)、(66)で表される。
Z1=−j{(Xml+Xm1)}/{X12−(Xml+Xm1)} …(64)
Z2=−j{(Xml+Xm2)}/{X12−(Xml+Xm2)} …(65)
なお、Xm1とXm2は入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のXmの値であり、Xmlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=0となるXmの値である。
【0282】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXmlは、上記式(64)、(65)から以下の式で表される。
X12=((K+1)/(K−1))・Xm1 …(66)
Xml=(K−1)/(K+1)・X12 …(67)
K=((|Z1|−2)/(|Z2|−2))1/2 …(68)
【0283】
負荷開放時の式(53)を変形して次式(62)が得られる。
Xtl=Xto−Xm−Xml …(62)
【0284】
式(62)から未知パラメータXtlを求める式(63)が得られる。
Xtl=Xto+−Xmso−XmsA …(63)
【0285】
したがって、未知パラメータXml,X12は、入力インピーダンスZin上の任意の2点におけるXmlおよびZinの値に基づいて式(64)〜(68)を用いて求めることができ、未知パラメータXtlは式(63)においてXto,Xmso,XmsAを代入することで求めることができる。
【0286】
図23に示すフローチャートを用いて第3の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S151)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S152)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S153)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S154)。
【0287】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S155)。
【0288】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S156)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(45)、(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる。
【0289】
第3の態様では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCmについて任意の値Cm1,Cm2に対する入力インピーダンスZ1およびZ2を測定する(S157)。
【0290】
可変コンデンサの値Cm1,Cm2に対応するパラメータXmはそれぞれXm1,Xm2であり、式(45)のωLm=(ωL−1/ωCm)、および式(48)のXm=ωLmの関係を用いて算出することができる(S158)。
【0291】
パラメータXm1に対する入力インピーダンスZ1の絶対値|Z1|、およびはパラメータXm2に対する入力インピーダンスZ2の絶対値|Z2|は次式(69)、(70)で表される。
|Z1|=(Xml+Xm1)/{X12−(Xml+Xm1)} …(69)
|Z2|=(Xml+Xm2)/{X12−(Xml+Xm2)} …(70)
【0292】
上記式(69)、(70)の関係から、未知パラメータX12およびXmlは以下の式(71)、(72)で表される。
X12=((Z1・Z2・(Xm2−Xm1)/(Z2−Z1))1/2 …(71)
Xml=X12−Xm1−X12/Z1 …(72)
【0293】
未知パラメータX12は、式(71)にZ1,Z2、およびXm2,Xm1を代入することによって求めることができ、未知パラメータXmlは式(72)にZ1,Xm1,X12を代入することによって求めることができる(S159)。
【0294】
Xml=ωLmlの関係を用いて、未知パラメータXmlから未知インダクタンスLmlを算出する(S160)。
【0295】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(161)。
【0296】
Xtl=Xto−2Xmlの関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmlの値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S162)。
【0297】
次に、第2の回路例の回路構成において、入力インピーダンスZinが満たす条件として前記したX12を“0”とした場合について説明する。
【0298】
(未知パラメータを求める第1の態様において入力インピーダンス条件をZin=0とする例)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって、未知パラメータを求める第1の態様の他の例について説明する。ここで示す例は、入力インピーダンスZinの条件において、Zinを“0”とした例である。図18に示す第2の回路例において、負荷側を短絡した場合(図19(b))には、未知パラメータX12を“0”として入力インピーダンスZin=0とすることができる。
【0299】
負荷を短絡した状態の入力インピーダンスZinを表す式(54)において、入力インピーダンスZin=0を満たすには、以下の式(73)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(73)
【0300】
なお、上記関係は、式(54)の分子=0から求められる。上記式(73)を満たすXmの値をXmsAとすると、未知パラメータXmlはXml=XmsAで表される。
【0301】
また、共振点から得られる式(56)から
X12=Xml+Xmso …(74)
が得られる。
【0302】
式(73)と式(74)から、未知パラメータX12を求める式(75)が得られる。
X12=Xmso+XmsA …(75)
【0303】
式(75)は、図24が示す(Xm,Zin)座標系で表される入力インピーダンスZinにおいて、点A(−XmsA,0)および点C(Xmso,0)を通る直線を表している。
【0304】
したがって、点A(−XmsA,0)は、入力インピーダンスZinを表す式(54)で表される反比例曲線と、式(75)で表される直線とが交差する交点を表している。
【0305】
ただし、上記した入力インピーダンスZinが満たす条件は|Zin|=0であり、式(59)から|X12|=|Xmso+XmsA|である。
【0306】
この関係は、図24上において、Xm軸上において点Aと点Cとの距離関係を示し、点C(Xmso,0)を通り傾きが0°の直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をA点とし、このA点のXm軸上の値がXmsAとなる。
この例では、反比例曲線と交差する点は点Aのみである。
【0307】
負荷開放時の式(53)を変形して次式(76)が得られる。
Xtl=Xto−Xm−Xml …(76)
【0308】
式(57)を式(76)に代入することによって、未知パラメータXtlを求める式(77)が得られる。
Xtl=Xto−2Xml …(77)
【0309】
したがって、未知パラメータXmlは入力インピーダンスZinの反比例曲線と直線との交点によってXmsAによって求めることができ、未知パラメータX12は式(75)においてXmsoとXmsAから求めることができ、未知パラメータXtlは式(76)においてXtoとXmlから求めることができる。
【0310】
図25に示すフローチャートを用いて第1の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S171)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S172)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S173)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S174)。
【0311】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S175)。
【0312】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S176)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。この入力インピーダンスZinの実測値から反比例曲線を求める。 なお、パラメータXmは、式(45)、(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S177)。
【0313】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S178)。式(45),(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S179)。
【0314】
(Xm、Zin)の座標系において、入力インピーダンスZin=0を満たす条件から、(Xmso,0)の点を通過し傾きが0°の直線と、入力インピーダンスZinの反比例曲線とが交差する交点のXmの値を求め、XmsAとする(S180)。
【0315】
Xml=ωLml、Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAの値から未知インダクタンスLmlを算出する(S181)。
【0316】
X12=ωL12、X12=Xml+Xmso,Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとXmsoの値から未知インダクタンスL12を算出する(S182)。
【0317】
Xtl=Xto−2Xmlの関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmsAの値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S183)。
【0318】
(未知パラメータを求める第2の態様において入力インピーダンス条件をZin=0とする例)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第2の態様において、入力インピーダンス条件をZin=0とする例を説明する。
【0319】
前記したように、負荷を短絡した状態の入力インピーダンスZinを表す式(54)において、入力インピーダンスZin=0を満たすには式(78)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(78)
【0320】
この式(78)の関係は、図26に示され、次式(79)で表される、入力インピーダンスZinの微分値δZin/δXmが0となる条件を満たしている。
δZin/δXm=0 …(79)
式(79)を満たすパラメータXmは
Xm=−Xml …(80)
Xm=2X12−Xml …(81)
である。
【0321】
上記パラメータXmlをそれぞれXmsA,XmsBとすると、入力インピーダンスZinにおいて傾きが0となる点Aおよび点Bの座標はそれぞれ(XmsA,0)、(XmsB,4X12)で表される。XmsA=−Xml、XmsB=2X12−Xmlで表される。
【0322】
ここで、点Bの座標はZinの絶対値が4X12となり、入力インピーダンスZin=0を満たさない。そこで、入力インピーダンスZinの微分値δZin/δXmが0となる条件を満たすパラメータXmの内で、入力インピーダンスZin=0を満たすパラメータはパラメータXmsA=−Xmlとなる。
【0323】
また、XmsA=−Xml、およびXmsB=2X12−Xmlの関係から、未知パラメータX12は次式(82)で表される。
X12=(XmsB−XmsA)/2 …(82)
【0324】
また、未知パラメータXtlについては前記した第1の態様と同様の式(77)で求めることができる。
Xtl=Xto−2Xml …(77)
【0325】
したがって、未知パラメータXmlは入力インピーダンスZinの傾きが0となるXmsAによって求めることができ、未知パラメータX12は式(82)においてXmsAとXmsBから求めることができ、未知パラメータXtlは式(77)においてXtoとXmlから求めることができる。
【0326】
図27に示すフローチャートを用いて第2の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S191)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S192)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S193)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S194)。
【0327】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S195)。
【0328】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S196)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(45)、(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S197)。
【0329】
入力インピーダンスZinの変化において、傾斜が0となるときの可変コンデンサCmsA、CmsBを求める。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値からパラメータXmsA、XmsBを算出する(S198)。
【0330】
(Xm、Zin)の座標系において、入力インピーダンスZinの傾きが0となるXm=−Xml、Xm=2X12−Xmlの関係から、Xml=−XmsA、2X12−Xml=XmsBとする。
ここで、未知パラメータXml、X12は、
Xml=−XmsA
X12=(XmsB−XmsA)/2
によって算出される(S199)。
【0331】
Xml=ωLml、Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAの値から未知インダクタンスLmlを算出する(S200)。
【0332】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S201)。
【0333】
Xtl=Xto−2Xmlの関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmlの値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S202)。
【0334】
(未知パラメータを求める第3の態様において入力インピーダンス条件をZin=0とする例)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第3の態様において、入力インピーダンス条件をZin=0とする例を説明する。
【0335】
この第3の態様は、入力インピーダンスZin=0を満たす条件を、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2から求めるものである。
【0336】
図28に示すように、入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のインダクタンスZ1,Z2は以下の式(83)、(84)で表される。
Z1=−j{(Xml+Xm1)}/{X12−(Xml+Xm1)} …(83)
Z2=−j{(Xml+Xm2)}/{X12−(Xml+Xm2)} …(84)
なお、Xm1とXm2は入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のXmの値であり、Xmlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=0となるXmの値である。
【0337】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|が0となる点Aにおいて、X12およびXmlは、上記式(83)、(84)から以下の式で表される。
X12=((Z1・Z2・(Xm2−Xm1)/(Z2−Z1))1/2 …(85)
Xml=X12−Xm1−X12/Z1 …(86)
Xml=X12−Xm2−X12/Z2 …(87)
【0338】
負荷開放時の式(53)を変形して次式(88)が得られる。
Xtl=Xto−Xm−Xml …(88)
【0339】
負荷を短絡した状態の入力インピーダンスZinを表す式(54)において、入力インピーダンスZin=0を満たすには、以下の式(89)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(89)
式(89)を式(88)に代入することによって、未知パラメータXtlを求める式(90)が得られる。
Xtl=Xto−2Xml …(90)
【0340】
したがって、未知パラメータXml,X12は、入力インピーダンスZin上の任意の2点におけるXmlおよびZinの値に基づいて式(85)〜(87)を用いて求めることができ、未知パラメータXtlは式(90)においてXtoとXmlを代入して求めることができる。
【0341】
図29に示すフローチャートを用いて第3の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S211)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S212)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S213)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S214)。
【0342】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S215)。
【0343】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S216)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(45)、(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる。
【0344】
第3の態様では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCmについて任意の値Cm1,Cm2に対する入力インピーダンスZ1およびZ2を測定する(S217)。
【0345】
可変コンデンサの値Cm1,Cm2に対応するパラメータXmはそれぞれXm1,Xm2であり、式(45)のωLm=(ωL−1/ωCm)、および式(48)のXm=ωLmの関係を用いて算出することができる(S218)。
【0346】
パラメータXm1に対する入力インピーダンスZ1の絶対値|Z1|、およびはパラメータXm2に対する入力インピーダンスZ2の絶対値|Z2|は次式(91)、(92)で表される。
|Z1|=(Xml+Xm1)/{X12−(Xml+Xm1)} …(91)
|Z2|=(Xml+Xm2)/{X12−(Xml+Xm2)} …(92)
【0347】
上記式(91)、(92)の関係から、未知パラメータX12およびXmlは以下の式(93)、(94)で表される。
X12=((Z1・Z2・(Xm2−Xm1)/(Z2−Z1))1/2 …(93)
Xml=X12−Xm1−X12/Z1 …(94)
【0348】
未知パラメータX12は、式(93)にZ1,Z2、およびXm2,Xm1を代入することによって求めることができ、未知パラメータXmlは式(94)にZ1,Xm1,X12を代入することによって求めることができる(S219)。
【0349】
Xml=ωLmlの関係を用いて、未知パラメータXmlから未知インダクタンスLmlを算出する(S220)。
【0350】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S221)。
【0351】
Xtl=Xto−2Xmlの関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmlの値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S222)。
【0352】
次に、第3の態様の変形例を説明する。図30は第3の態様の変形例を説明するためのフローチャートであり、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2を特定点とする例である。
【0353】
ここでは、特定点としてパラメータXm=0の点を設定する場合を示す。他方の1点はパラメータXm=Xm3の点を設定する。
【0354】
入力インピーダンスZin上の2点(点F、点G)のインダクタンスZ0,Z3の絶対値は以下の式(95)、(96)で表される。
|Z0|=Xml/(X12−Xml) …(95)
|Z2|=(Xml+Xm3)/(X12−(Xm3+Xml)) …(96)
なお、Xm3は入力インピーダンスZin上の任意の1点(点G)のXmの値であり、Xmlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=X12となるXmの値である。
【0355】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXmlは、上記式(75)、(76)から以下の式で表される。
X12=((Z0・Z3/(Z3−Z0))・(Xm3)1/2 …(97)
Xml=X12−X12/Z0 …(98)
【0356】
負荷を短絡した状態の入力インピーダンスZinを表す式(54)において、入力インピーダンスZin=0を満たすには、以下の式(89)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(89)
式(89)を式(88)に代入することによって、未知パラメータXtlを求める式(90)が得られる。
Xtl=Xto−2Xml …(90)
負荷開放時の式(53)を変形して次式(99)が得られる。
Xtl=Xto−Xm−Xml …(99)
【0357】
入力インピーダンスZin=0を満たすために満たすべきXml=−Xmの関係を式(99)に代入することによって、未知パラメータXtlを求める式(100)が得られる。
Xtl=Xto−2Xml …(100)
【0358】
したがって、未知パラメータXml,X12は、入力インピーダンスZin上の任意の2点におけるXmlおよびZinの値に基づいて式(97),(98)を用いて求めることができ、未知パラメータXtlは式(100)においてXtoとXmlを代入して求めることができる。
【0359】
図30に示すフローチャートを用いて第3の態様の変形例による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S231)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S232)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S233)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S234)。
【0360】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S235)。
【0361】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S236)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(45)、(46)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる。
【0362】
第3の態様の変形例では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCmについて、パラメータXmを0とするCm0と任意に定めたCm3に対する入力インピーダンスZ0およびZ3を測定する(S237)。
【0363】
可変コンデンサの値Cm0,Cm3とパラメータXm1,Xm2との関係は、式(5)のωLm=(ωL−1/ωCm)、および式(48)のXm=ωLmの関係を用いて算出することができる(S238)。
【0364】
パラメータXmが0であるときの入力インピーダンスZ0の絶対値|Z0|、およびはパラメータXm3に対する入力インピーダンスZ3の絶対値|Z3|は次式(101)、(102)で表される。
|Z0|=Xml/(X12−Xml) …(101)
|Z3|=(Xml+Xm3)/(X12−Xm3−Xml) …(102)
【0365】
上記式(101)、(102)の関係から、未知パラメータX12およびXmlは以下の式(103)、(104)で表される。
X12=[{Z0・Z3/(Z3−Z0)}・Xm3]1/2 …(103)
Xml=X12−X12/Z0 …(104)
【0366】
未知パラメータX12は、式(103)にZ0,Z3、およびXm3を代入することによって求めることができ、未知パラメータXmlは式(104)にZ0,X12を代入することによって求めることができる(S239)。
【0367】
Xml=ωLmlの関係を用いて、未知パラメータXmlから未知インダクタンスLmlを算出する(S240)。
【0368】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S241)。
【0369】
Xtl=Xto−2Xmlの関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータX12の値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S242)。
【0370】
[インピーダンス整合の第3の実施例]
インピーダンス整合の第3の実施例について図31〜図40を用いて説明する。第3の実施例のインピーダンス整合回路について図31,図32を用いて説明し、第3の実施例において未知パラメータを求める3つの態様について図33〜図40を用いて説明する。図33,図34は第1の態様を説明するための図およびフローチャートであり、図35,図36は第2の態様を説明するための図およびフローチャートであり、図37〜図40は第3の態様を説明するための図およびフローチャートである。
【0371】
(第3の実施例の回路構成)
図31(a)は、インピーダンス整合回路の第3の実施例の1つの回路構成を示している。この回路構成では、入力端(図中の左方上方の端子)と接地(図中の下方端子)との間に可変コンデンサCtを接続し、負荷側の出力端(図中の右方上方の端子)と接地(図中の下方端子)の間に可変コンデンサCmとインピーダンスLmとの直列回路が接続されたT型回路構成である。なお、出力端側に接続されたXoは負荷のインダクタンス分を示し、Roは負荷の抵抗分を示している。インピーダンス整合(マッチング制御)は、可変コンデンサCtおよび可変コンデンサCmの2つの可変コンデンサの容量を変化させることで行われる。
【0372】
図31(b)は、図31(a)に示した回路構成について、回路内の配線インダクタンス分を考慮した場合の回路構成を示している。この回路構成では、配線インダクタンス分として未知インダクタンスL12,Lml,Ltlを設定している。未知インダクタンスL12はT型回路の接地側の配線インダクタンス分を表し、未知インダクタンスLtlはT型回路の入力端の配線インダクタンス分を表し、未知インダクタンスLmlはT型回路の出力端(負荷側)の配線インダクタンス分を表している。
【0373】
ここで、以下の式(105)〜(110)で表される関係を用いて素子を置き換える。この素子の置き換えによって未知インダクタンスL12,Lml,Ltlは未知パラメータX12,Xml,Xtlに置き換えられ、可変コンデンサCmとインダクタンスLはパラメータLmに置き換えられ、可変コンデンサCtはパラメータXtに置き換えられる。
jωLm=j(ωL−1/(ωCm)) …(105)
jXm=jωLm …(106)
jX12=jωL12 …(107)
jXml=jωLml …(108)
jXtl=jωLtl …(109)
−jXt=1/(jωCt) …(110)
また、負荷RはR=0又はR=R0で純抵抗とする。
【0374】
図31(c)は上記式に基づいて置き換えた未知パラメータX12,Xml,XtlおよびパラメータLm,Xtを用いて書き換えた回路構成を示している。パラメータLm,Xtは、可変コンデンサCm,Ctを変化させることで変えることができる。
【0375】
以下、図31(c)に示す回路構成を用いて、未知パラメータX12,Xml,Xtlを算出する。
【0376】
図32(a)は、図31(c)の回路構成において負荷を開放した状態を示している。負荷を開放したときの入力インピーダンスZinは以下の式(111)で表される。
Zin=j(X12+Xtl−Xt) …(111)
【0377】
一方、図32(b)は、図31(c)の回路構成において負荷を短絡した状態を示している。負荷を短絡したときの入力インピーダンスZinは以下の式(112)で表される。
Zin=j(Xtl−Xt+[X12・(Xm+xml)/{X12+(Xm+xml)}]) …(112)
【0378】
3つの未知パラメータX12,Xml,Xtlに対して、式(111)、(112)の2つの式のみでは連立方程式を解くことができない。そこで、以下に示すように、入力インピーダンスZinのインピーダンス条件を用いて未知パラメータX12,Xml,Xtlを求める。
【0379】
インピーダンス整合回路の負荷を開放した状態において、パラメータXtの変化に伴って変わる入力インピーダンスZinの位相が反転するときのパラメータXtをXtoとすると、以下の式(113)で表される。
X12=Xto−Xtl …(113)
【0380】
なお、上記パラメータXtoは、インピーダンス整合回路の負荷を開放した状態においてインピーダンス整合回路に高周波電力を供給し、コンデンサCtを変えることによってパラメータXtを変化させ、このパラメータXtの変化に伴って変わる入力インピーダンスZinの位相を測定し、位相反転するときのパラメータXtから求めることができる。
【0381】
次に、負荷を短絡した状態で得られる式(112)において、パラメータXtとしてXtoを選択すると以下の式(114)が得られる。
Zin=j(Xtl−Xto+[X12・(Xm+xml)/{X12+(Xm+xml)}]) …(114)
上記式(92)を変形すると以下の式(115)が得られる。
Zin=j[X12/{X12+(Xml+Xm)}] …(115)
【0382】
上記式(115)は、負荷を短絡した状態における入力インピーダンスZinを表している。式(115)で表される入力インピーダンスZinは図33中の反比例曲線で表される。
【0383】
入力インピーダンスZinの共振点は、式(115)の分母を零として
X12+(Xml+Xm)=0
の式から求めることができる。この式を満たすパラメータXmの値をXmsoとすると以下の式(116)で表される。
Xmso=−X12−Xml …(116)
【0384】
Xmsoは、負荷を短絡した状態で位相が反転する時のXmの値であり、図33において(Xmso、0)の座標点で表される。
【0385】
したがって、負荷を開放した状態から未知パラメータX12とXtlの関係が式(113)によって得られ、負荷を短絡した状態から未知パラメータX12とXmlの関係が式(116)によって得られる。
【0386】
(未知パラメータを求める第1の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件について、未知パラメータを求める第1の態様について説明する。
【0387】
負荷を短絡した状態の入力インピーダンスZinを表す式(115)において、入力インピーダンスZin=jX12を満たすには、以下の式(117)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(117)
【0388】
上記式(117)を満たすXmの値をXmsAとすると、未知パラメータXmlはXml=−XmsAで表される。
【0389】
また、共振点から得られる式(116)から
X12=−Xml−Xmso …(118)
が得られる。
【0390】
式(117)と式(118)から、未知パラメータX12を求める式(119)が得られる。
X12=−Xmso+XmsA …(119)
【0391】
式(119)は、図33が示す(Xm,Zin)の座標において、点A(−XmsA,X12)および点C(Xmso,0)を通る直線を表している。
【0392】
したがって、点A(−XmsA,X12)は、入力インピーダンスZinを表す式(115)で表される反比例曲線と、式(118)で表される直線とが交差する交点を表している。
【0393】
ただし、上記した入力インピーダンスZinが満たす条件は|Zin|=|X12|であり、式(119)から|X12|=|−Xmso+XmsA|である。
【0394】
この関係は、図33上において、点C(Xmso,0)から左方上方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をA点とし、このA点から垂線を下ろしたときXm軸と交差する交点がXmsAとなる。
【0395】
また、Xm>Xmsoとなる交点も可能であり、A点と同様にして、点C(Xmso,0)から右方下方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をB点とし、このB点から垂線を下ろしたときXm軸と交差する交点がXmsBとなる。
【0396】
XmsAとXmsBとの関係は次式(120)で表される。
XmsB+Xmso=XmsA−Xmso …(120)
【0397】
負荷開放時の式(113)を変形して次式(121)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(121)
【0398】
この式(119)を式(121)に代入することによって、未知パラメータXtlを求める式(122)が得られる。
Xtl=Xto−(−Xmso+XmsA) …(122)
【0399】
したがって、未知パラメータXmlは入力インピーダンスZinの反比例曲線と直線との交点によって求めることができ、未知パラメータX12は式(119)においてXmsoとXmsAから求めることができ、未知パラメータXtlは式(122)においてXtoとXmsoとXmsAから求めることができる。
【0400】
図34に示すフローチャートを用いて第1の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S251)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S252)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S253)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S254)。
【0401】
式(110)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S255)。
【0402】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S256)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。この入力インピーダンスZinの実測値から反比例曲線を求める。 なお、パラメータXmは、式(105)、(106)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S257)。
【0403】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S258)。式(105)、(106)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S259)。
【0404】
(Xm、Zin)の座標系において、(Xmso,0)の点を通過し傾きが−45°の直線と、入力インピーダンスZinの反比例曲線とが交差する交点のXmの値を求め、XmsA、XmsBとする(S260)。
【0405】
Xml=ωLml、Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとmsBの値から未知インダクタンスLmlを算出する(S261)。
【0406】
X12=ωL12、X12=−Xml−Xmso,Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとXmsoの値から未知インダクタンスL12を算出する(S262)。
【0407】
Xtl=Xto+X12、X12=−Xmso+XmsAから得られるXtl=Xto+(−Xmso+XmsA)の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmsAとXmsoの値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S263)。
【0408】
(未知パラメータを求める第2の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第2の態様について説明する。
【0409】
前記したように、入力インピーダンスZin=jX12を満たす条件は式(117)の関係が必要となる。
Xml=−Xm …(117)
【0410】
この式(117)の関係は、図35に示す入力インピーダンスZinの微分値δZin/δXmが1となる条件によって同様に表される。この関係は次式(118)で表される。
δZin/δXm=1 …(118)
【0411】
式(118)を満たすパラメータXmは
Xm=−Xml …(119)
Xm=−2X12−Xml …(120)
である。
【0412】
上記パラメータXmlをそれぞれXmsA,XmsBとすると、入力インピーダンスZinにおいて傾きが1となる点Aおよび点Bの座標はそれぞれ(XmsA、X12)、(XmsB、−X12)で表される。XmsA=−Xml、XmsB=−2X12−Xmlで表される。
【0413】
この関係からX12は
X12=(−XmsA+XmsB)/2 …(121)
で表される。
【0414】
負荷開放時の式(113)を変形して次式(122)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(122)
【0415】
式(121)と式(122)から未知パラメータXtlを求める式(123)が得られる。
Xtl=Xto−(−XmsA+XmsB)/2 …(123)
【0416】
したがって、未知パラメータXmlは、第1の態様の反比例曲線と直線とが交差する条件に代えて、入力インピーダンスZinの傾きが1となる条件によって求めることができ、未知パラメータXtlは式(123)においてXtoとXmsAとXmsBから求めることができる。
【0417】
図36に示すフローチャートを用いて第2の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S271)、入力端の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S272)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S273)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S274)。
【0418】
式(110)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S275)。
【0419】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S276)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(105)、(106)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S277)。
【0420】
入力インピーダンスZinの変化において、傾斜が1となるときの可変コンデンサCmsA、CmsBを求める。式(105),(106)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値からパラメータXmsA、XmsBを算出する(S278)。
【0421】
(Xm、Zin)の座標系において、入力インピーダンスZinの傾きが1となるXm=−Xml、Xm=−2X12−Xmlの関係から、Xml=−XmsA、−2X12−Xml=XmsBとする。
ここで、未知パラメータXml、X12は、
Xml=−XmsA …(124)
X12=(−XmsA+XmsB)/2 …(125)
によって算出される(S279)。
【0422】
Xml=ωLml、Xml=−XmsAの関係を用いて、未知パラメータXmsAとmsBの値から未知インダクタンスLmlを算出する(S280)。
【0423】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S281)。
【0424】
Xtl=Xto−X12の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータX12の値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S282)。
【0425】
(未知パラメータを求める第3の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第3の態様について図37、38を用いて説明する。
【0426】
第3の態様は、入力インピーダンスZin=jX12を満たす条件を、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2から求めるものである。
【0427】
図37において、入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のインダクタンスZ1,Z2は以下の式(126)、(127)で表される。
Z1=j[X12/{X12+(Xm1+Xml)}] …(126)
Z2=j[X12/{X12+(Xm2+Xml)}] …(127)
なお、Xm1とXm2は入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のXmの値であり、Xmlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=X12となるXmの値である。
【0428】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXmlは、上記式(126)、(127)から以下の式で表される。
X12=((Z1・Z2/(Z2−Z1)・(Xm2−Xm1))1/2 …(128)
Xml=X12−Xm1−X12/Z1,Xml=X12−Xm2−X12/Z2
…(129)
【0429】
負荷開放時の式(113)を変形して次式(122)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(122)
【0430】
したがって、未知パラメータXml,X12は、入力インピーダンスZin上の任意の2点におけるXmlおよびZinの値に基づいて式(127)〜(129)を用いて求めることができ、未知パラメータXtlは式(122)においてXtoとX12を代入することで求めることができる。
【0431】
図38に示すフローチャートを用いて第3の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S291)、入力端の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S292)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S293)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S294)。
【0432】
式(110)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S295)。
【0433】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S296)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(105)、(106)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる。
【0434】
第3の態様では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCmについて任意の値Cm1,Cm2に対する入力インピーダンスZ1およびZ2を測定する(S297)。
【0435】
可変コンデンサの値Cm1,Cm2に対応するパラメータXmはそれぞれXm1,Xm2であり、式(110)のωLm=(ωL−1/ωCm)、および式(106)のXm=Lmの関係を用いて算出することができる(S298)。
【0436】
パラメータXm1に対する入力インピーダンスZ1の絶対値|Z1|、およびはパラメータXm2に対する入力インピーダンスZ2の絶対値|Z2|は次式(130)、(131)で表される。
Z1=j[X12/{X12+(Xm1+Xml)}] …(130)
Z2=j[X12/{X12+(Xm2+Xml)}] …(131)
【0437】
上記式(130)、(131)の関係から、未知パラメータX12およびXmlは以下の式(132)〜(134)で表される。
X12=((Z1・Z2/(Z2−Z1)・(Xm2−Xm1))1/2 …(132)
Xml=X12−Xm1−X12/Z1 …(133)
Xml=X12−Xm2−X12/Z2 …(134)
【0438】
未知パラメータX12は、式(132)にZ1,Z2、およびXm2,Xm1を代入することによって求めることができ、未知パラメータXmlは式(133)にZ1,Xm1,X12を代入、あるいは式(134)にZ2,Xm2,X12を代入することによって求めることができる(S299)。
【0439】
Xml=ωLmlの関係を用いて、未知パラメータXmlから未知インダクタンスLmlを算出する(S300)。
【0440】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S301)。
【0441】
Xtl=Xto−X12の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータX12の値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S302)。
【0442】
図39,図40は第3の態様の変形例であり、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2の少なくとも1点を特定点とする例である。
【0443】
図39に示す例では、特定点としてパラメータXm=0の点Fを設定する場合を示す。他方の1点はパラメータXm=Xm3の点Gを設定する。
【0444】
入力インピーダンスZin上の2点(点F、点G)のインダクタンスZ0,Z3の絶対値は以下の式(135)、(136)で表される。
|Z0|=X12/(X12+Xml) …(135)
|Z3|=X12/(X12+Xm3+Xml) …(136)
なお、Xm3は入力インピーダンスZin上の任意の1点(点G)のXmの値であり、Xmlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=X12となるXmの値である。
【0445】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXmlは、上記式(135)、(136)から以下の式で表される。
X12=((Z0・Z3/(Z3−Z0))・(Xm3)1/2 …(137)
Xml=X12−X12/Z0 …(138)
【0446】
負荷開放時の式(113)を変形して次式(139)が得られる。
Xtl=Xto−X12 …(139)
【0447】
したがって、未知パラメータXml,X12は、入力インピーダンスZin上の2点におけるXmlおよびZinの値に基づいて式(137),(138)を用いて求めることができ、未知パラメータXtlは式(113)においてXtoとX12から求めることができる。
【0448】
図40に示すフローチャートを用いて第3の態様の変形例による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S311)、入力端の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S312)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S313)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S314)。
【0449】
式(110)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S315)。
【0450】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S316)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(105)、(106)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる。
【0451】
第3の態様の変形例では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCmについて、パラメータXmを0とするCm0と任意に定めたCm3に対する入力インピーダンスZ0およびZ3を測定する(S317)。
【0452】
可変コンデンサの値Cm0,Cm3とパラメータXm1,Xm2との関係は、式(105)のωLm=(ωL−1/ωCm)、および式(106)のXm=Lmの関係を用いて算出することができる(S318)。
【0453】
パラメータXmが0であるときの入力インピーダンスZ0の絶対値|Z0|、およびパラメータXm3に対する入力インピーダンスZ3の絶対値|Z3|は次式(140)、(141)で表される。
|Z0|=X12/(X12+Xml) …(140)
|Z3|=X12/(X12+Xm3+Xml) …(141)
【0454】
上記式(140)、(141)の関係から、未知パラメータX12およびXmlは以下の式(142)、(143)で表される。
X12=((Z0・Z3/(Z3−Z0))・(Xm3)1/2 …(142)
Xml=X12−X12/Z0 …(143)
【0455】
未知パラメータX12は、式(137)にZ0,Z3、およびXm3を代入することによって求めることができ、未知パラメータXmlは式(138)にZ0,X12を代入することによって求めることができる(S319)。
【0456】
Xml=ωLmlの関係を用いて、未知パラメータXmlから未知インダクタンスLmlを算出する(S320)。
【0457】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S321)。
【0458】
Xtl=Xto−X12の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータX12の値から未知インピーダンスXtlを算出し、Xtl=ωLtlの関係から未知インダクタンスLtlを算出する(S322)。
【0459】
「入力インピーダンスの絶対値調整による制御例」
次に、入力インピーダンスの絶対値調整による制御例を、前記した第1の回路例に基づいて説明する。ここでは、インピーダンス整合の回路は図8、9で示した回路例を用い、未知パラメータを求める3つの態様について図41〜図48を用いて説明する。図41,図42は第1の態様を説明するための図およびフローチャートであり、図42,図43は第2の態様を説明するための図およびフローチャートであり、図44〜図48は第3の態様を説明するための図およびフローチャートである。
【0460】
第1の回路例の回路構成は、前記図8,9を用いて説明した構成と同様である。そこで、ここでは回路構成について、式のみについて示し、詳細な説明は省略する。
【0461】
負荷を開放したときの入力インピーダンスZinは以下の式(144)で表される。
Zin=j(X12+Xtl−Xt) …(144)
【0462】
負荷を短絡したときの入力インピーダンスZinは以下の式(145)で表される。
Zin=j(X12−(Xm+Xml)・(Xt−Xtl)/{(Xm+Xml)−(Xt−Xtl)}
…(145)
【0463】
インピーダンス整合回路の負荷を開放した状態において、入力インピーダンスZinの位相が反転するときのパラメータXtをXtoとすると、以下の式(146)で表される。
X12=Xto−Xtl …(146)
【0464】
負荷を短絡した状態で得られる式(145)において、パラメータXtとしてXtoを選択すると以下の式(147)となる。
Zin=j(X12−(Xm+Xml)・(Xto−Xtl)/{(Xm+Xml)−(Xto−Xtl)}
…(147)
【0465】
上記式(147)を変形すると以下の式(148)が得られる。
Zin=jX12[1/{1+ (Xm+Xml)/X12}] …(148)
式(15)は、負荷を短絡した状態における入力インピーダンスZinを表している。
【0466】
入力インピーダンスZinの共振点は、式(148)の分母を零として
1+ (Xm+Xml)/X12=0
の式から求めることができる。この式を満たすパラメータXmの値をXmsoとすると以下の式(149)で表される。
Xmso=X12−Xml …(149)
【0467】
したがって、負荷を開放した状態から未知パラメータX12とXtlの関係が式(146)によって得られ、負荷を短絡した状態から未知パラメータX12とXmlの関係が式(149)によって得られる。
【0468】
以下、絶対値調整において、入力インピーダンス特性の条件により未知パラメータを求める第1の態様〜第3の態様について説明する。ここで、入力インピーダンスの絶対値調整は、パラメータXtを調整することで行う。
【0469】
(未知パラメータを求める第1の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件について、絶対値調整によって未知パラメータを求める第1の態様について説明する。第1の態様の入力インピーダンス特性の条件は、入力インピーダンスの特定値と、この特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる態様である。
【0470】
上記したように、パラメータXtをXtoとしたとき、インピーダンス整合回路の短絡した状態において入力インピーダンスZinの位相が反転するときのパラメータXmはXmsoである。ここで、パラメータXmをXmsoに固定して、パラメータXtを変化させる絶対値調整によって入力インピーダンスZinを調整する。
【0471】
パラメータXmをXmsoに固定して式(145)を変形すると、
Zin=j(X12−(Xmso+Xml)・(Xto−Xtl)/{(Xmso+Xml)−(Xto−Xtl)}
…(150)
となる。ここで、式(149)を代入すると、入力インピーダンスZinは、
Zin=jX12(1/(1+(Xtl−Xt)/X12))…(151)
となる。
【0472】
ここで、入力インピーダンスZinは、(Xtl−Xt)/X12)=−1のときに無限大となる反比例曲線となる。このとき、パラメータXtは以下の式(152)で表される。
Xt=X12+xtl …(152)
入力インピーダンスZinがjX12となるのは、式(151)の分母が1となる条件から、パラメータXtはXt=Xtlとなるときである。
【0473】
この時のパラメータXtをXtsAとすると、
Xtl=XtsA …(153)
となる。
【0474】
式(152)を変形したX12=Xto−Xtlに式(153)を代入すると、未知パラメータX12は以下の式(154)で表される。
X12=Xto−XtsA …(154)
【0475】
式(154)は、図41に示す(Xt,Zin)の座標系において、点A(XtsA,X12)および点C(Xto,0)を通る直線の特性線を表している。
【0476】
したがって、点A(−XtsA,X12)は、入力インピーダンスZinを表す式(151)で表される反比例曲線と、式(154)で表される直線とが交差する交点を表している。
【0477】
ただし、上記した入力インピーダンスZinが満たす条件は|Zin|=|X12|であり、式(154)から|X12|=|Xto−XtsA|である。
【0478】
この関係は、図41上において、点C(Xto,0)から左方上方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をA点とし、このA点から垂線を下ろしたときXt軸と交差する交点がXtsAとなる。
【0479】
また、Xt>Xtsoとなる交点も可能であり、A点と同様にして、点C(Xto,0)から右方下方に45°の傾きの直線を引き、入力インピーダンスZinを実測して得られる曲線との交点をB点とし、このB点から垂線を下ろしたときXt軸と交差する交点がXtsBとなる。
【0480】
XtsAとXtsBとの関係は次式(155)で表される。
XtsB−Xto=XtsA+Xto …(155)
【0481】
式(154)を式(149)に代入することによって、未知パラメータXmlを求める式(156)が得られる。
Xml=Xto−(Xmso+XtsA) …(156)
【0482】
したがって、未知パラメータXtlは入力インピーダンスZinの反比例曲線と直線との交点によって求めることができ、未知パラメータX12は式(154)においてXtoとXtsAから求めることができ、未知パラメータXtmは式(156)においてXtoとXmsoとXtsAから求めることができる。
【0483】
図42に示すフローチャートを用いて第1の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S331)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S332)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S333)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S334)。
【0484】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S335)。
【0485】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S336)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。この入力インピーダンスZinの実測値から反比例曲線を求める。なお、パラメータXmは、式(5)、(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S337)。
【0486】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S338)。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S339)。
【0487】
Cmsoを固定し、可変インダクタンスCtを変化させながらXtを変えて入力インピーダンスZinを測定し、Xtに対する入力インピーダンスZinの反比例曲線を求める(S340)。
【0488】
(Xt、Zin)の座標系で表される入力インピーダンスZinにおいて、(Xto,0)の点を通過し傾きが−45°の直線と、入力インピーダンスZinの反比例曲線とが交差する交点のXtの値を求め、未知パラメータXtlとしてXtsA、XtsBを求める(S341)。
【0489】
Xtl=ωLtl、Xtl=−XtsAの関係を用いて、未知パラメータXtsAとXtsBの値から未知インダクタンスLtlを算出する(S342)。
【0490】
X12=ωL12、X12=Xto−XtsAの関係を用いて、未知パラメータXtsAとXtoの値から未知インダクタンスL12を算出する(S343)。
【0491】
Xml=Xto−(Xmso+XtsA)の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXtsAとXmsoの値から未知インピーダンスXmlを算出し、Xml=ωLmlの関係から未知インダクタンスLmlを算出する(S344)。
【0492】
(未知パラメータを求める第2の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第2の態様について説明する。第2の態様の入力インピーダンス特性の条件は、入力インピーダンスの傾斜値と、傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まる態様である。
【0493】
前記したように、入力インピーダンスZin=jX12を満たす条件として、Xtl=Xtlの関係が必要となる。
【0494】
このXtl=Xtlの関係は、図43に示すように、入力インピーダンスZinの微分値δZin/δXtが1となる条件によって同様に表される。この関係は次式(157)で表される。
δZin/δXt=1 …(157)
式(158)を満たすパラメータXtは、
Xt=Xtl …(158)
Xt=2X12+Xtl …(159)
である。
【0495】
上記パラメータXtlをそれぞれXtsA,XtsBとすると、入力インピーダンスZinにおいて傾きが1となる点Aおよび点Bの座標はそれぞれ(XtsA、X12)、(XtsB、−X12)で表され、XtsA=−Xtl、XtsB=2X12−Xtlで表される。
【0496】
この関係からX12は、
X12=(XtsA−XtsB)/2 …(160)
で表される。
未知パラメータXmlは第1の態様と同様に式(156)で表される。
Xml=Xto−(Xmso+XtsA) …(156)
【0497】
したがって、未知パラメータXtlは、第1の態様の反比例曲線と直線とが交差する条件に代えて、入力インピーダンスZinの傾きが1となる条件によって求めることができ、未知パラメータX12は式(160)において、XtsA,XtsBから求めることができ、未知パラメータXtmは式(156)においてXtoとXmsAとXmsBから求めることができる。
【0498】
図44に示すフローチャートを用いて第2の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S351)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S352)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S353)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S354)。
【0499】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S355)。
【0500】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S356)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(5)、(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる (S357)。
【0501】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S358)。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S359)。
【0502】
Cmsoを固定し、可変インダクタンスCtを変化させながらXtを変えて入力インピーダンスZinを測定し、Xtに対する入力インピーダンスZinの反比例曲線を求める(S360)。
【0503】
入力インピーダンスZinの変化において、傾斜が1となるときの可変コンデンサCtsA、CtsBを求める。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCtの値から未知パラメータXtlとしてXtsA、XtsBを求める(S361)。
【0504】
(Xm、Zin)の座標系で表される入力インピーダンスZinにおいて、入力インピーダンスZinの傾きが1となるXt=Xtl、Xt=2X12+Xtlの関係から、Xtl=XtsA、2X12+Xtl=XtsBとする。
ここで、未知パラメータX12は、
X12=(XtsA−XtsB)/2
によって算出される(S362)。
【0505】
Xtl=ωLl、Xtl=XtsAの関係を用いて、未知パラメータXtsAとXtsBの値から未知インダクタンスLtlを算出する(S363)。
【0506】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S364)。
【0507】
Xml=Xto−(Xmso+XtsA)の関係を用いて、パラメータXtoおよび未知パラメータXmso、XtsAの値から未知インピーダンスXmlを算出し、Xml=ωLmlの関係から未知インダクタンスLmlを算出する(S365)。
【0508】
(未知パラメータを求める第3の態様)
次に、入力インピーダンスZinが満たす条件によって未知パラメータを求める第3の態様について図45を用いて説明する。第3の態様の入力インピーダンス特性は、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、このインピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まる態様である。
【0509】
第3の態様は、入力インピーダンスZin=jX12を満たす条件を、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2から求めるものである。
【0510】
入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のインダクタンスZ1,Z2は以下の式(161)、(162)で表される。
Z1=jX12/(Xtl−Xt1+X12) …(161)
Z2=jX12/(Xtl−Xt2+X12) …(162)
【0511】
なお、Xt1とXt2は、(Xt,Zin)の座標系で表される入力インピーダンスZin上の任意の2点(点D、点E)のXtの値であり、Xtlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=X12となるXtの値である。
【0512】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXtl(XtsA、XtsB)は、上記式(161)、(162)から以下の式で表される。
X12=((Z1・Z2/(Z2−Z1)・(Xt2−Xt1))1/2 …(163)
Xtl=X12+Xt1−X12/Z1 …(164)
Xtl=X12+Xt2−X12/Z2 …(165)
【0513】
未知パラメータXmlは第1の態様と同様に式(156)で表される。
Xml=Xto−(Xmso+XtsA) …(156)
【0514】
したがって、未知パラメータXtl,X12は、入力インピーダンスZin上の任意の2点におけるXt1,Xt2およびZinの値に基づいて式(163)〜(165)を用いて求めることができ、未知パラメータXmlは式(156)においてXtoとXmsAとXmsBから求めることができる。
【0515】
図46に示すフローチャートを用いて第3の態様による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S371)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S372)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S373)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S374)。
【0516】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S375)。
【0517】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S376)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める。なお、パラメータXmは、式(5)、(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmの値から換算することができる(S377)。
【0518】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S378)。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S379)。
【0519】
第3の態様では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCtについて任意の値Ct1,Ct2に対する入力インピーダンスZ1およびZ2を測定する(S380)。
【0520】
可変コンデンサの値Ct1,Ct2に対応するパラメータXtはそれぞれXt1,Xt2であり、式(9)のXtl=ωLtl、および式(10)の−jXt=1/(jωCt)の関係を用いて算出することができる(S381)。
【0521】
パラメータXt1に対する入力インピーダンスZ1の絶対値|Z1|、およびはパラメータXt2に対する入力インピーダンスZ2の絶対値|Z2|は次式(166)、(167)で表される。
|Z1|=X12/(X12+Xtl−Xt1) …(166)
|Z2|=X12/(X12+Xtl−Xt2) …(167)
【0522】
上記式(166)、(167)の関係から、未知パラメータX12およびXtlは以下の式(168)、(169)で表される。
X12=[{Z1・Z2/(Z2−Z1)}・(Xt2−Xt1)]1/2 …(168)
Xtl=X12+Xt1−X12/Z1 …(169)
【0523】
未知パラメータX12は、式(168)にZ1,Z2、およびXt2,Xt1を代入することによって求めることができ、未知パラメータXtlは式(169)にZ1,Xt1,X12を代入することによって求めることができる(S382)。
【0524】
Xtl=ωLtlの関係を用いて、未知パラメータXtlから未知インダクタンスLtlを算出する(S383)。
【0525】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S384)。
【0526】
Xml=Xto−(Xmso+XtsA)の関係を用いて、パラメータXtoおよびXmos、XtsAの値から未知インピーダンスXmlを算出し、Xml=ωLtlの関係から未知インダクタンスLmlを算出する(S385)。
【0527】
図47,図48は第3の態様の変形例であり、入力インピーダンスZin上の任意の2点のインダクタンスZ1,Z2に少なくとも1点を特定点とする例である。
【0528】
ここでは、特定点としてパラメータXt=0の点Fを設定する場合を示す。他方の1点はパラメータXt=Xt3の点Gを設定する。
【0529】
入力インピーダンスZin上の2点(点F、点G)のインダクタンスZ0,Z3の絶対値は以下の式(170)、(171)で表される。
|Z0|=X12/(Xtl+X12) …(170)
|Z2|=X12/(Xtl−Xt3+Xt2) …(171)
【0530】
なお、Xt3は(Xt,Zin)の座標系で表される入力インピーダンスZin上の任意の1点(点G)のXtの値であり、Xtlは入力インピーダンスZin上において|Zin|=X12となるXtの値である。
【0531】
入力インピーダンスZin上において前記|Zin|がX12となる点Aにおいて、X12およびXtl(XtsA,XtsB)=は、上記式(170)、(171)から以下の式で表される。
X12=±((Z0・Z3/(Z3−Z0))・(Xt3)1/2 …(173)
Xtl=X12+Xtl−X12/Z0 …(174)
【0532】
したがって、未知パラメータXtl,X12は、入力インピーダンスZin上の2点におけるXtlの値およびZinの値に基づいて式(173),(174)を用いて求めることができ、未知パラメータXtmは、Xml=Xto−(Xmso+XtsA)の関係を用いてパラメータXtoおよびXmos、XtsAから求めることができる。
【0533】
図48に示すフローチャートを用いて第3の態様の変形例による手順を説明する。
はじめに、インピーダンス整合回路の負荷を開放し(S391)、入力端と接地間の可変コンデンサCtを変化させながら入力インピーダンスZinの位相を測定し(S392)、位相が反転するときの可変コンデンサCtの値を求める。このCtの値をCtoとする(S393)。インピーダンス整合回路の可変コンデンサCtの値をCtoに固定する(S394)。
【0534】
式(10)で表される−Xt=1/ωCtの関係を用いて、Ctoに相当するパラメータXtoを算出する(S395)。
【0535】
次に、インピーダンス整合回路の負荷を短絡する(S396)。負荷を短絡した状態で、高周波電源からインピーダンス整合を行う際の高周波電力を供給し、可変コンデンサCmを変化させながら入力インピーダンスZinを測定し、パラメータXmに対する入力インピーダンスZinの実測値を求める(S397)。
【0536】
入力インピーダンスZinの位相が反転するときの可変コンデンサCmを求める。このCmの値をCmsoとする(S398)。式(5),(6)の関係に基づいて可変コンデンサCmsoからパラメータXmsoを算出する(S399)。
【0537】
第3の態様では、入力インピーダンスZinの測定において、可変コンデンサCtについて任意の値Ct0,Ct3に対する入力インピーダンスZ0およびZ3を測定する(S400)。
【0538】
可変コンデンサの値Ct0,Ct3に対応するパラメータXtはそれぞれXt01,Xt3であり、式(9)のXtl=ωLtl、および式(10)の−jXt=1/(jωCt)の関係を用いて算出することができる(S401)。
【0539】
パラメータXt0(=0)に対する入力インピーダンスZ0の絶対値|Z0|、およびはパラメータXt3に対する入力インピーダンスZ3の絶対値|Z3|は次式(175)、(176)で表される。
|Z0|=X12/(X12+Xtl) …(175)
|Z3|=X12/(X12+Xtl−Xt3) …(176)
【0540】
上記式(175)、(176)の関係から、未知パラメータX12およびXtlは以下の式(177)、(178)で表される。
X12=[{Z0・Z3/(Z3−Z0)}・Xt3]1/2 …(177)
Xtl=X12−X12/Z0 …(178)
【0541】
未知パラメータX12は、式(177)にZ0,Z3、およびXt3を代入することによって求めることができ、未知パラメータXtlは式(178)にZ0,X12を代入することによって求めることができる(S402)。
【0542】
Xtl=ωLtlの関係を用いて、未知パラメータXtlから未知インダクタンスLtlを算出する(S403)。
【0543】
X12=ωL12の関係を用いて、未知パラメータX12の値から未知インダクタンスL12を算出する(S404)。
【0544】
Xml=Xto−(Xmso+XtsA)の関係を用いて、パラメータXtoおよびXmos、XtsAの値から未知インピーダンスXmlを算出し、Xml=ωLtlの関係から未知インダクタンスLmlを算出する(S405)。
【0545】
以下、本発明のインピーダンス整合装置の一構成例について図49を用いて説明する。
インピーダンス整合装置1は、高周波電源100と負荷102と、これらの間をつないでインピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路2と備える。図49に示す構成例では上記した第1の実施例に相当するものである。インピーダンス整合回路2は、入力側(高周波電源側)において並列接続される可変コンデンサCtと、入力側と出力側(負荷側)との間で直列接続される可変コンデンサCmおよびインダクタンスLmとを備え、逆L字型整合回路を構成している。可変コンデンサCtは絶対値制御を行う可変素子であり、可変コンデンサCmおよびインダクタンスLmは位相制御を行う可変素子である。なお、位相制御は、可変コンデンサCmのみあるいはインダクタンスLmを可変素子としてもよい。また、CmとLmを入れ替えた構成としてもよい。
【0546】
以下では、可変コンデンサCmを可変素子として位相制御を行う例について説明する。
【0547】
このインピーダンス整合回路2の可変コンデンサCtは、この可変領域の%位置θx(t)を検出する検出器2aと、可変コンデンサCtの容量を変える駆動機構2cを備える。また、可変コンデンサCmは、この可変領域の%位置θx(t)を検出する検出器2bと、可変コンデンサCmの容量を変える駆動機構2dを備える。
【0548】
可変コンデンサCtおよび可変コンデンサCmがバリコン素子で構成される場合には、可変領域の%位置θxはバリコン素子の電極位置であり、駆動機構は電極を駆動するモータ機構とすることができる。
【0549】
高周波電源100とインピーダンス整合回路2との間の伝送線路上には、インピーダンス検出手段3a、位相検出手段3b、および反射電力検出手段3cを含む測定部3を設け、インピーダンス整合回路2の入力インピーダンスの絶対値|Zin|、および位相差θinを検出する。なお、インピーダンス検出手段3a、位相検出手段3bは、電圧検出器、電流検出器、電圧値と電流値とから絶対値|Zin|と位相差θinを算出する演算手段によって構成することができる。また、反射電力検出手段3cは、電圧検出器、電流検出器、電圧値と電流値とから反射電力を算出する演算手段によって構成することができる。
【0550】
インピーダンス整合装置1は制御部7を備え、当該制御部7はインピーダンス整合回路2のマッチング制御を行うインピーダンス制御部4と、インピーダンス整合回路2が備える配線インダクタンス等のパラメータを算出するパラメータ算出部6と、インピーダンス制御部4の負荷状態を切り替える切り替え制御手段8を備える。
【0551】
インピーダンス制御部4は、フォローイング制御を行うフォローイング制御手段4A、シーク制御を行うシーク制御手段4B、フォローイング制御とシーク制御とを切り替える制御切替手段4Cを備える。
【0552】
インピーダンス整合回路2のインピーダンス調整は、インピーダンス整合回路2が備える可変コンデンサCtおよび可変コンデンサCmの容量を制御することによって行う。可変コンデンサCtおよび可変コンデンサCmの容量の制御は、フォローイング制御あるいはシーク制御を切り替えて行う。フォローイング制御はフォローイング制御手段4Aにより行われ、シーク制御はシーク制御手段4Bによって行われる。
【0553】
フォローイング制御とシーク制御の切り替えは、制御切替手段4Cによって行う。制御切替手段4Cは、入力インピーダンスの絶対値|Zin|および位相差θinについて、何れの制御を選択して切り替えるか定めるための切替範囲を定める設定値を備え、インピーダンス検出手段3aで検出した入力インピーダンスの絶対値|Zin|と、位相検出手段3bで検出した位相差θinとを切替範囲と比較することで行う。
【0554】
フォローイング制御手段4Aは、可変コンデンサCmの容量を制御して位相制御を行う位相制御手段4aと、可変コンデンサCtの容量を制御して絶対値制御を行う絶対値制御手段4bと、これらを切り替えるための制御選択手段4cを備える。
【0555】
制御選択手段4cは、インピーダンス検出手段3aで検出した入力インピーダンスの絶対値|Zin|と、位相検出手段3bで検出した位相差θinとを入力し、絶対値|Zin|と特性インピーダンス(例えば、50Ω)との比較、および、位相差θinと0[deg](あるいは[rad])との比較を行い、位相制御手段4aによる位相制御あるいは絶対値制御手段4bによる絶対値制御を選択する。
【0556】
また、フォローイング制御手段4Aは反射電力検出手段3cで検出した反射電力を監視し、入力インピーダンス制御の過程で、反射電力が規定値以下となったところで整合(マッチング)が完了したものとみなし、制御動作を一旦停止させ、また、負荷変動によって、反射電力が規定値を超えた場合には、再度インピーダンスの制御を行って整合(マッチング)を行う。
【0557】
シーク制御手段4Bは、パラメータ算出部6内に設けた換算手段6aで換算した可変コンデンサCm、Ct、インダクタンスLmを入力すると共に、インピーダンス検出手段3aで検出した入力インピーダンスの絶対値|Zin|と、位相検出手段3bで検出した位相差θinとを入力して、可変素子の目標インピーダンス値であるCtref、Cmref、Lmrefを算出し、この算出したCtrefによって可変コンデンサCtの駆動機構2cを駆動してCtの容量を制御し、また、算出したCmrefによって可変コンデンサCmの駆動機構2dを駆動してCmの容量を制御する。
【0558】
なお、シーク制御手段4Bによって可変素子の目標インピーダンス値であるLmrefによって可変インダクタンスのLmを制御してもよい。なお、図49に示す構成図にはインダクタンス値を制御する機構については示していない。
【0559】
換算手段6aは、検出器2aで検出した可変コンデンサCtの可変領域の%位置θx(t)から可変コンデンサCtの容量を換算し、検出器2bで検出した可変コンデンサCmの可変領域の%位置θx(m)から可変コンデンサCmの容量を換算する。また、インダクタンスのLmは、既知の値を格納しておく他、可変インダクタンスの場合には、検出器から検出した値から前記したコンデンサと同様に換算することができる。
【0560】
ここで、換算手段6a、フォローイング制御手段4A,シーク制御手段4B,制御切替手段4Cは、インピーダンス制御部4を構成し、インピーダンス整合回路2のインピーダンス調整を制御する。
【0561】
制御部7は、パラメータ算出部6を備える。パラメータ算出部6は、インピーダンス検出部3aで検出した入力インピーダンスの絶対値|Zin|と、位相検出手段3bで検出した位相差θinとを入力して、インピーダンス整合回路2の配線インダクタンスに係わるパラメータを算出し、算出したパラメータから換算した配線インダクタンスに基づいて、可変素子の目標インピーダンス値であるCtref、Cmref、Lmrefを補償し、シーク制御に用いる。
【0562】
本発明のインピーダンス整合装置に適用することができるインピーダンス整合回路は、前記した各回路の構成例に限られるものではなく、また、構成に用いる可変素子の個数も任意に定めることができる。
【0563】
本発明の各構成例によれば、インピーダンス整合装置を実際に使用する環境のままで行うことができ、また、測定計測方法や計測器の影響を受けることなくパラメータを測定し、インピーダンス整合を行うことができる。
【0564】
上記の説明では、高周波電源として13.56MHz、特性インピーダンスとして50Ωの例を示しているが、本発明のインピーダンス整合装置および整合方法は、これに限らず他の高周波電源や特性インピーダンスの場合にも適用することができる。
【0565】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0566】
本発明は、液晶パネルや半導体集積回路などの製造工程におけるプラズマ処理に適用することができる。
【符号の説明】
【0567】
1 インピーダンス整合装置
2 インピーダンス整合回路
2a 検出器
2b 検出器
2c 駆動機構
2d 駆動機構
3 測定部
3a インピーダンス検出手段
3b 位相検出手段
3c 反射電力検出手段
4 インピーダンス制御部
4A フォローイング制御手段
4B シーク制御手段
4C 制御切替手段
4a 位相制御手段
4b 絶対値制御手段
4c 制御選択手段
5 切り替え部
6 パラメータ算出部
6a 換算手段
7 インピーダンス制御部
8 切り替え制御手段
100 高周波電源
101 インピーダンス整合装置
102 負荷(プロセスチャンバ)
103 伝送ライン
Cm 可変コンデンサ
Ct 可変コンデンサ
L インダクタンス
L12,Lml,Ltl 未知インダクタンス
Lm インダクタンス
X インピーダンス可変素子
X12,Xml,Xtl 未知パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合装置において、
高周波電源と負荷との間にインピーダンス可変素子を備え、当該インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合回路と、
負荷インピーダンスが開放状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値の位相が反転するときのインピーダンス値と、
負荷インピーダンスが短絡状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値の位相が反転するときのインピーダンス値と、
前記インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致するためのインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件とに基づいて、前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出するパラメータ算出部とを備え、
前記算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合することを特徴とする、インピーダンス整合装置。
【請求項2】
高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合装置において、
高周波電源と負荷との間にインピーダンス可変素子を備え、当該インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合回路と、
前記インピーダンス整合回路のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更し、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御するインピーダンス制御部と、
前記インピーダンス整合回路の出力端の状態を、開放した状態、短絡した状態、負荷に接続した状態の何れかの状態に切り替える切り替え部と、
負荷インピーダンスが開放状態又は短絡状態においてインピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、各状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して位相が反転するときの各インピーダンス値を測定する測定部と、
前記インピーダンス整合回路の集中定数パラメータを算出するパラメータ算出部とを備え、
前記パラメータ算出部は、
前記インピーダンス整合回路の出力端が開放した状態において、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値と、
前記インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態において、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子の第2のインピーダンス値との2つのインピーダンス値、
および、
前記インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致するためのインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件の3つの条件に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出し、
前記インピーダンス制御部は、前記パラメータ算出部で算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合することを特徴とする、インピーダンス整合装置。
【請求項3】
前記パラメータ算出部において、集中定数パラメータを算出するための前記3つの条件において、
前記入力インピーダンス特性条件は、前記入力インピーダンスの特定値と、当該特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まり、
入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線と、前記第2のインピーダンス値を通る直線とが交差する関係であり、
当該交差点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項2に記載のインピーダンス整合装置。
【請求項4】
前記パラメータ算出部において、集中定数パラメータを算出するための前記3つの条件の内の前記入力インピーダンス特性条件は、前記入力インピーダンスの傾斜値と、当該傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まり、
入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線上において所定の傾斜となる点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項2に記載のインピーダンス整合装置。
【請求項5】
前記パラメータ算出部において、集中定数パラメータを算出するための前記3つの条件の内の前記入力インピーダンス特性条件は、
インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、当該インピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まり、
インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と前記2つの入力インピーダンス値と、前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項2に記載のインピーダンス整合装置。
【請求項6】
高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合方法において、
インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、
負荷インピーダンスが開放状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値の位相が反転するときのインピーダンス値と、
負荷インピーダンスが短絡状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値の位相が反転するときのインピーダンス値と、
前記インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致するためのインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件とに基づいて、前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出し、
前記算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合することを特徴とする、インピーダンス整合方法。
【請求項7】
高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更することによって、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値と位相とを制御して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するインピーダンス整合方法において、
前記インピーダンス整合回路の出力端を開放し、当該開放状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を求める第1の工程と、
前記入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を工程で求めた値に固定した状態において、前記インピーダンス整合回路の出力端を短絡し、当該短絡状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子の第2のインピーダンス値を求める第2の工程とを含むインピーダンス測定工程と、
前記インピーダンス測定工程で求めた第1のインピーダンス値と前記第2のインピーダンス値の2つの条件、および、
前記インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致するためのインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件の3つの条件に基づいて、前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出するパラメータ算出工程とを備え、
前記算出工程で算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を変更して高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合することを特徴とする、インピーダンス整合方法。
【請求項8】
前記パラメータ算出工程において、
前記入力インピーダンス特性条件は、前記入力インピーダンスの特定値と、当該特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まり、
入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線と、前記第2のインピーダンス値を通る直線とが交差する交差点を求め、
当該交差点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項7に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項9】
前記パラメータ算出工程において、
前記入力インピーダンス特性条件は、前記入力インピーダンスの傾斜値と、当該傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まり、
入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線上において所定の傾斜となる点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を求め、
当該傾斜点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項7に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項10】
前記パラメータ算出工程において、
前記入力インピーダンス特性条件は、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、当該インピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まり、
インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値の測定値と、前記インピーダンス測定工程で求めた前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値とに基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項7に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項11】
高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を校正するキャリブレーション方法において、
インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、
負荷インピーダンスが開放状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値の位相が反転するときのインピーダンス値と、
負荷インピーダンスが短絡状態において前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値の位相が反転するときのインピーダンス値と、
前記インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致するためのインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件とに基づいて、前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出し、
前記算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するように校正することを特徴とする、キャリブレーション方法。
【請求項12】
高周波電源と負荷との間に設けたインピーダンス整合回路内のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を校正するキャリブレーション方法において、
前記インピーダンス整合回路の出力端を開放し、当該開放状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を求める第1の工程と、
前記入力端と接地との間のインピーダンス可変素子の第1のインピーダンス値を工程で求めた値に固定した状態において、前記インピーダンス整合回路の出力端を短絡し、当該短絡状態において、インピーダンス整合を行う際の高周波電力を印加し、入力インピーダンスの位相が反転する時の入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子の第2のインピーダンス値を求める第2の工程とを含むインピーダンス測定工程と、
前記インピーダンス測定工程で求めた第1のインピーダンス値と前記第2のインピーダンス値の2つの条件、および、前記インピーダンス整合回路の入力インピーダンスの絶対値が配線インピーダンスの絶対値と一致するためのインピーダンス整合回路の入力インピーダンス特性条件の3つの条件に基づいて、前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出するパラメータ算出工程とを備え、
前記算出した集中定数パラメータに基づいて前記インピーダンス可変素子のインピーダンス値を、高周波電源と負荷とのインピーダンスを整合するように校正することを特徴とする、キャリブレーション方法。
【請求項13】
前記パラメータ算出工程において、
前記入力インピーダンス特性条件は、前記入力インピーダンスの特定値と、当該特定値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まり、
入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線と、前記第2のインピーダンス値を通る直線とが交差する交差点を求め、
当該交差点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項12に記載のキャリブレーション方法。
【請求項14】
前記パラメータ算出工程において、
前記入力インピーダンス特性条件は、前記入力インピーダンスの傾斜値と、当該傾斜値となるインピーダンス可変素子のインピーダンス値との関係で定まり、
入力端と出力端との間のインピーダンス可変素子のインピーダンスと入力インピーダンスとが形成する座標上において、インピーダンス整合回路の出力端が短絡した状態での入力インピーダンスの曲線上において所定の傾斜となる点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値を求め、
当該傾斜点のインピーダンス可変素子のインピーダンス値と、前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値に基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項12に記載のキャリブレーション方法。
【請求項15】
前記パラメータ算出工程において、
前記入力インピーダンス特性条件は、インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値と、当該インピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値との関係で定まり、
インピーダンス可変素子の任意の2つのインピーダンス値に対する2つの入力インピーダンス値の測定値と、前記インピーダンス測定工程で求めた前記第1のインピーダンス値および第2のインピーダンス値とに基づいて前記インピーダンス整合回路に定めた集中定数パラメータを算出することを特徴とする、請求項12に記載のキャリブレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2013−12958(P2013−12958A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144897(P2011−144897)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)