説明

インフュージョン・セット自己閉塞メカニズム

患者の体から外れたインフュージョン・セットを通る流体の流れを閉塞するデバイス、システムおよび方法。デバイスは、患者の体との接触の喪失を検出するための、そして、それに応じて閉塞メカニズムを作動させるための手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラッグ・デリバリー・システムを介しての薬剤の皮下供給に関し、特に、インフュージョン・セットが患者の体から外れたときに薬剤の流れを遮断することに関する。自己閉塞インフュージョン・セットは、流動阻害に敏感なデリバリー・システムと共に使用し、さもないと薬剤が患者の体外へ放出されてしまうであろう状況下でアラームを始動させてもよい。
【背景技術】
【0002】
既知であるが、自動ドラッグ・デリバリー・システムは、長期に渡って規定用量で薬剤を投与するための、信頼性の高い手段を提供する。これらのシステムは、概して、患者の体へ直接的に取り付け可能なインフュージョン・セットに結合した薬剤ポンプ、そして皮下に薬剤を供給するためのカニューレを含む。通常の状況下においては、薬剤は、制御され一貫した方式でシステムを通過し、患者の体内へ流入する。しかしながら、そのような自動化だけでは、安全とは言えない。ときおり流動阻害(閉塞)が発生して、患者への薬剤の供給が阻害されることがある。そのような問題に対処するために、大抵のドラッグ・デリバリー・システムは、阻害が発生した場合に適当な処置をとるよう、ユーザに対して注意を喚起するように設計された警報システムを含む。流路の閉塞は、薬剤流出路における背圧の急激な上昇を生じるため、誤作動の検出は比較的容易である。
【0003】
しかしながら、インフュージョン・セットが患者の体から外れるなら、より深刻な状況が発生する。このケースでは、検出可能なほどの、流路に沿った作動圧の変化は生じないため、システムは、誤作動の指標を発生させることなく、体外へ薬剤を供給し続けることになる可能性がある。結果として、患者は、必要な薬剤を受けていないという事実に気づかないことになる。この状況は、たとえ日中であっても生命に危険であり、特に就眠時間中には、致命的である。
【0004】
したがって、インフュージョン・セットが体から外れた状況下において、患者への薬剤の供給不能の検出を容易にするインフュージョン・セットの必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、インフュージョン・セットが患者の体から外れたときにインフュージョン・セットを通る流体の流れを閉塞するためのデバイス、システムおよび方法である。
【0006】
本発明の開示によれば、皮膚を通して流体を投与するための、以下のものからなるインフュージョン・セットが提供される。(a)皮膚を通した流体移送のための管腔があるカニューレ。(b)皮膚を通る前記カニューレの挿入位置を維持する保持アレンジメント。そして(c)保持アレンジメントに、そしてカニューレに関連する自己閉塞メカニズム。自己閉塞メカニズムは、以下のように構成される。保持アレンジメントがカニューレの挿入位置を維持しているときには、自己閉塞メカニズムが第一の非閉塞状態に保持され、そして保持アレンジメントがカニューレの挿入位置の維持を喪失したときに、自己閉塞メカニズムは、自己閉塞メカニズムがカニューレを通る流体の流れを少なくとも部分的に閉塞する第二の状態をとる。
【0007】
本発明のもう一つの特徴によれば、カニューレの管腔内には、初期に挿入ニードルが挿入される。この挿入ニードルは、挿入ニードルの撤収前に自己閉塞メカニズムが第二の状態をとることを阻止する。
【0008】
本発明のもう一つの特徴によれば、保持アレンジメントは、インフュージョン・セットの下側に適用される接着剤を含む。
【0009】
本発明のもう一つの特徴によれば、自己閉塞メカニズムは、第二の状態をとるようメカニズムを弾力的に付勢するための付勢エレメントを含む。
【0010】
本発明のもう一つの特徴によれば、付勢エレメントは、板ばねを含む。
【0011】
本発明のもう一つの特徴によれば、自己閉塞メカニズムは、カニューレを閉塞するための絞窄エレメントを含む。
【0012】
本発明のもう一つの特徴によれば、絞窄エレメントは、回転可能に搭載されたカムを含む。
【0013】
本発明のもう一つの特徴によれば、絞窄エレメントは、スライド可能に搭載された絞窄エレメントを含む。
【0014】
本発明のもう一つの特徴によれば、絞窄エレメントは、一体的に偏りのあるカニューレとして具現される。
【0015】
本発明のもう一つの特徴によれば、自己閉塞メカニズムは、カニューレを完全に閉塞するように構成される。
【0016】
また、本発明の教示によれば、対象者の皮膚からインフュージョン・セットが分離したことを検出するための、以下のものからなるシステムが提供される。(a)アウトレット流路の閉塞を検出するためのアレンジメントを含み、液剤の流れを制御式に供給するように構成されたドラッグ・デリバリー・デバイス。(b)対象者の皮膚を通して液剤を供給するためのカニューレを含み、アウトレット流路に結合されたインフュージョン・セット。そして(c)インフュージョン・セットに関連した自己閉塞メカニズム。自己閉塞メカニズムは、カニューレが対象者の皮膚から外れたときに、自己閉塞メカニズムがインフュージョン・セットを通る流体の流れを少なくとも部分的に閉塞するように構成される。
【0017】
また、本発明の教示によれば、インフュージョン・セットを介した患者の皮膚を通る薬の供給中における誤作動の検出を促進するための、以下のステップからなる方法が提供される。(a)ドラッグ・デリバリー・デバイスからインフュージョン・セットを介して患者の皮膚を通る流路を提供するステップ。(b)ドラッグ・デリバリー・デバイスからインフュージョン・セットを介して患者の皮膚を通る流路を提供するステップ。(c)皮膚に対してインフュージョン・セットの一部分を確実に保持するための保持アレンジメントの少なくとも部分的な障害に反応して、流路の少なくとも部分的な閉塞を引き起こすステップ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明を、例としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
【図1】インフュージョン・セットの、絞窄に基づく実施例のカム変形例を示す等角投影図である。
【図2】インフュージョン・セットの、絞窄に基づく実施例のカム変形例の下側を示す等角投影図である。
【図3】絞窄に基づく実施例のカム変形例を示す断面図である。
【図4A】絞窄に基づく実施例のカム変形例を示す概略図であり、被負荷の状態にある板ばねコンフィギュレーションを表す。
【図4B】絞窄に基づく実施例のカム変形例を示す概略図であり、無負荷の状態にある板ばねコンフィギュレーションを表す。
【図5】挿入状態にある、絞窄カム実施例の異型を示す断面図である。
【図6】非閉塞作動状態にある、絞窄カム実施例の異型を示す断面図である。
【図7】外れた閉塞状態にある、絞窄カム実施例の異型を示す断面図である。
【図8】自己閉塞インフュージョン・セットの、絞窄に基づく実施例の、スライド可能なブロック変形例を示す組立分解等角図である。
【図9】閉塞状態にある、組み立て後の図8のインフュージョン・セットを示す断面図である。
【図10】非閉塞状態にある、組み立て後の図8のインフュージョン・セットを示す断面図である。
【図11A】閉塞状態にある、絞窄に基づく実施例の、第二の異型としてのスライド可能なブロックの下側を表す。
【図11B】非閉塞状態にある、絞窄に基づく実施例の、第二の異型としてのスライド可能なブロックの下側を表す。
【図12】自己閉塞インフュージョン・セットの、絞窄に基づく実施例の、第三の異型としてのスライド可能なブロックを示す分解図である。
【図13A】閉塞状態にある、組み立て後の図12のインフュージョン・セットを示す下面図である。
【図13B】非閉塞状態にある、組み立て後の図12のインフュージョン・セットを示す下面図である。
【図14】(A)及び(B)は、自己閉塞インフュージョン・セットの、絞窄に基づく実施例の、第三の異型としてのスライド可能なブロックを示す図であり、各々、閉塞および非閉塞状態にある、統合ヒンジ・アレンジメントを示す。
【図15】絞窄に基づく自己閉塞インフュージョン・セットのバネ異型を示す断面図であり、挿入状態を示す。
【図16】絞窄に基づく自己閉塞インフュージョン・セットのバネ異型を示す断面図であり、非閉塞作動状態を示す。
【図17】絞窄に基づく自己閉塞インフュージョン・セットのバネ異型を示す断面図であり、外れた閉塞状態を示す。
【図18】自己閉塞インフュージョン・セットの、遮断に基づく実施例の、第一の形態を示す組立分解等角図である。
【図19】作動非閉塞状態にある、組み立て後の図18のインフュージョン・セットを示す断面図である。
【図20】図19のインフュージョン・セットを示す詳細な断面図である。
【図21】組み立て後の、作動非閉塞状態にある図18のインフュージョン・セットを示す断面図である。
【図22】図21のインフュージョン・セットを示す詳細な断面図である。
【図23】挿入状態にあるインフュージョン・セットの、遮断に基づく実施例の、第二の変形例を示す断面図である。
【図24】作動非閉塞状態にあるインフュージョン・セットの、遮断に基づく実施例の、第二の変形例を示す断面図である。
【図25】閉塞状態にあるインフュージョン・セットの、遮断に基づく実施例の、第二の変形例を示す断面図である。
【図26】非閉塞作動状態にある、捩れに基づく実施例を示す断面図である。
【図27】外れた閉塞状態にある、捩れに基づく実施例を示す断面図である。
【図28】自動薬剤デリバリー・システムを示す等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、カニューレが患者から外れたときにインフュージョン・セットを通過する流動を自動的に閉塞するのための、ドラッグ・デリバリー・システムのためのメカニズム、システム、そして対応する方法である。
【0020】
本発明による種々の実施例の原理および作用は、図面およびその説明を参照することによって、より良く理解することができる。本文においては、本発明のメカニズムを、多数の非限定的な例を参照して説明する。図面を参照して、閉塞方式に基づく三つの一般的な実施例を、以下のように説明する。
【0021】
図1から図7を参照して説明する第一の実施例は、流路を絞る、すなわち、流れを実質的に閉塞するのに十分な外力を加えて、流路の壁を変形させる。
【0022】
図8から図25を参照して説明する第二の実施例は、流路を実質的に遮断するように妨害物を導入する。
【0023】
図26および図27を参照して説明する第三の実施例は、流路の形状をねじる、あるいは変形させる。その箇所は、カニューレの突起部分でもよい。
【0024】
上記のグループの一つに該当する特定な閉塞メカニズムを参照して、本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されないことに注意すべきである。以下の説明から明らかなように、薬剤供給流路の一部を選択的に閉塞する、どのような効果的なメカニズムでも利用可能である。
【0025】
模範的な実施例の詳細について述べる前に、上記のように、すべての種々の実施例は、本発明のデバイス、システムおよび方法に対応し、共通の作用原理を共有することを理解すべきである。特に上述したように、ドラッグ・デリバリー・システムが、流路の遮断を検出してユーザに警報を発生するアレンジメントを含むことは、一般的であるが、インフュージョン・セットの体からの不注意な分離は、確実に検出するのがより困難である。この問題に対処するため、本発明は、インフュージョン・セットが体から外れたときに、インフュージョン・セットを通過する流れを遮断するように構成された自己閉塞メカニズムによって改造したインフュージョン・セットを提供する。これは、分離の検出困難な状態を、閉塞という検出が容易な状態へ変換することによって、誤作動の検出およびユーザへの適時の警告を促進する。
【0026】
本文では、インフュージョン・システムを通過する流れが典型的に完全に閉塞される好適実施例を介して本発明を説明するが、本発明の範囲は、部分的な閉塞を生じる実施例も含むことに注意すべきである。薬剤供給流路内の背圧の上昇を生じるに十分な不完全な閉塞は、多くのドラッグ・デリバリー・システムも、介在が必要なエラー状態として検出可能であるため、本発明の文脈においても使用できる。
【0027】
注意すべきは、用語「分離した」あるいは「外れた」が、カニューレの位置に影響を与えるほどにインフュージョン・セットと体との間の接触が失われたことに言及することである。したがって、この定義の目的として、インフュージョンが接触を失ったほとんど直後にカニューレは必然的に患者の体から抜かれることになるため、カニューレと共にインフュージョン・セットが体との接触を完全に失う状況と、インフュージョン・セットが接触を失うがカニューレが挿入されたままであるという状況との間には全く区別がない。さらに、インフュージョン・セットが、体との接触を部分的に留めるが、もはやカニューレの、信頼性の高い位置づけを提供しない状態も、「分離した」あるいは「外れた」として言及する。
【0028】
さらに、使用の用語に関して、用語「自己閉塞」は、インフュージョン・セットを通過する流れを遮断するための、手作業による介入の必要性を排除する、インフュージョン・セット内に含まれる、あるいは外部的に関連するエレメントの組み合わせによって提供される機能に言及する。
【0029】
特定のケースでは、インフュージョン・セットの体からの分離を感知したら、電気的に操作可能な、または他の遠隔操作可能な流動停止デバイスを作動させてもよい。
【0030】
以下は、本文で提示するすべての実施例に共通する構造の概略的な説明である。
【0031】
自己閉塞インフュージョン・セットは、皮膚を通して流体を投与するためのデバイスであり、皮膚を通しての流体移送のための管腔を持つカニューレ、皮膚を通したカニューレ挿入位置を維持できるよう体へのインフュージョン・セットの取り付けを提供する保持アレンジメント、そして保持アレンジメントとカニューレとに関連した自己閉塞メカニズムを含む。これによって、自己閉塞メカニズムは、保持アレンジメントが体へのインフュージョン・セットの取り付けを提供し、自己閉塞メカニズムが第一の非閉塞状態に保持され、もし保持アレンジメントが体への取り付けの提供をやめた場合、自己閉塞メカニズムが、カニューレを通過する流れを遮断する第二の状態を自己閉塞メカニズムが採るように構成される。本発明は、以下の実施例から明白になることであるが、流路に沿うどの箇所においても流路を閉塞することによって、カニューレを通る流れを遮断する。
【0032】
さて、図1から図4を参照する。本発明による絞窄に基づく実施例の第一のカム形式は、カニューレ3、カニューレ3を通る流体の流れを閉塞するための絞窄カム4、患者の体への近接を検出するためのカム・レバー5、カム・レバー凹所6、そしてカム・レバー5を付勢するための板ばね7を含む。絞窄カム4は、カム4がカニューレ3を絞窄する箇所へ第一の方向で回転できるよう、また、反対方向に回転することによってカニューレ3からカム4が遠のくよう、角度的自由度を持って、ユニットの下側に回転可能に取り付けられている。
【0033】
カム・レバー5は、ユニットの下側によって定義される水平面に対する、レバーの実質的に垂直な運動が、絞窄カム4の角運動へ変換されるよう、絞窄カム4に結合されている。カム・レバー5は、レバー5がカム・レバー凹所6内に収容されているときに絞窄カム5がカニューレ3から離れて位置し、そしてカム・レバー5が凹所6の外にあるときに絞窄カムがカニューレ3を閉塞するように位置するよう、絞窄カム4に配置される。板ばね7は、カム・レバー5のデフォルト位置がレバー凹所6の外であるようにカム・レバー5を付勢する。患者の体にインフュージョン・ユニットを保持するために、インフュージョン・ユニットの底面8に接着剤が適用される。絞窄カム4は、図4Aおよび図4Bに示す時計回りの方向に、または図2および図3に示す反時計回りの方向内に回転することによってカニューレ3を絞るように設定可能である。カニューレを十分に締めつけるのに必要なトルクの量は、カニューレ3の壁の変形の容易さについての関数である。
【0034】
さて、デバイスの作用を説明する。デフォルト・コンフィギュレーションにおいて、カム・レバー5はレバー凹所6から突出し、絞窄カム4は、その閉塞位置に配置される。ユニットを取り付ける際、患者の体によってカム・レバー5がカム・レバー凹所6内へ押し込まれるので、それに応じて、絞窄カム4がカニューレ3から離れるように回転する。このため、薬剤の流れは拘束されないことになる。カニューレ3は、図6に符号11で最も明確に示す挿入ニードルで、患者の体へ挿入される。ユニットが患者の体から外れると、絞窄レバー5は付勢位置へ自由に回転し、絞窄カムがカニューレ3を絞窄するのに十分な力を適用する箇所へと、絞窄カム5を回転させる。結果として生じる圧力上昇が、その後、システム従来の圧力感応アラームを始動する。
【0035】
図5から図7は、カニューレ3を閉塞するための揺動可能に取り付けた絞窄レバー5、そして絞窄レバー5をデフォルト閉塞位置へ付勢するための圧縮ばね10を含む、絞窄に基づく実施例の第二のカム変形例を表す。
【0036】
絞窄エレメント5を可変に付勢できるよう、ユニットの基部によって定義される水平面に対してほぼ水平な角度で、圧縮ばね10が配置されている。圧縮ばねは、取り付けられる間は患者の体に最小の力を適用するが、回転が生じると、カニューレ3へ増大した力を適用し、絞窄レバーが最大回転角度に達成したとき、カニューレ3には最大絞窄力が適用される。この機能は、絞窄エレメント5とバネ10との間の角度が増加するに連れ、バネ10から絞窄エレメント5へ作用する力の水平成分が増加することから得られる。この特徴は、絞窄エレメント5が、なおもカニューレ3を絞窄するのに十分なトルクを生じさせるが、インフュージョン・セットを体から押しのけることがないことを保証する。注意すべきは、可変的に付勢するという特徴は、患者の体との接触の喪失を検出するためにバイアス・エレメントを採用するすべての実施例に取り入れられることが好ましい、ということである。
【0037】
図8から図10は、絞窄に基づく実施例のスライド可能なブロック形式を図解する。これは、インフュージョン・セット・ハウジング20、スライド可能なブロック構造21、カニューレ24、患者の体への近接を検出するためのレバー22、レバー22の実質的に垂直な運動をスライド可能なブロック構造21の側方運動へ変換するための、レバー22に結合したギヤ付き回転軸26、そしてデフォルト閉塞位置へスライド可能なブロック構造23を弾力的に付勢するための圧縮ばね23を含む。スライド可能なブロック構造23は、ギヤ付き回転軸26と噛み合う歯付き接合面25、バネ・ガイド27、そしてユニット・ハウジング20の内壁に沿って対応するリップ構造と係合するリップ構造28を含む。スライド可能なブロック構造21は、ユニットの全長に沿って水平にスライドするよう、インフュージョン・セット・ハウジング20内に配置される。この水平移動は、対応するユニット・ハウジング・リップ(図示せず)と連通するブロック構造リップ28によって提供される。ブロック構造27内に配置された圧縮ばね23は、ブロック構造21をデフォルト閉塞位置へ弾力的に付勢する。レバー22を取り付けたギヤ付き回転軸26は、取付レバー22の実質的に垂直な運動をブロック構造21の側方運動へ、そしてその逆方向へ変換するよう、ブロック構造の歯付き接合面25に載置される。レバー22は、ブロック構造21がそのデフォルト閉塞位置にあるときにレバー22が対応してユニットの下側から突出し、レバー22がユニットの下側へ回転して入るときにブロック構造21がカニューレ24から側方へ遠ざかって液体の自由な流れを可能とするよう、配置される。すべてのスライド可能なブロック実施例は、ユニット・ハウジングの内壁に沿って適当に配置された対応リップに沿って滑動することに注意すべきである。
【0038】
上記のように、実施例、そしてそれらの変形例の各々におけるデバイスの作用は類似している。
【0039】
図11は、絞窄に基づく実施例の、第二のスライド可能なブロック変形例を図解する。これは、カニューレ24、患者の体への近接を、スライド可能なブロック構造21のカニューレへの近接へ変換するための折り畳み可能なエレメント、スライド可能なブロック構造21、そしてスライド可能なブロック構造21をデフォルト閉塞位置へ付勢するための圧縮ばね23を含む。折り畳み可能なエレメント29は、部分的に折れた、あるいは完全に拡張したコンフィギュレーションのいずれかをとるように構成された、二つの連続して揺動可能に結合されたセグメントを含む。折り畳み可能なエレメント29は、スライド可能なブロック構造がそのデフォルト閉塞位置内にあるとき、部分的に折れた突出コンフィギュレーションをとるよう、そして、スライド可能なブロック構造21が非閉塞位置にあるとき、完全に拡張した非突出コンフィギュレーションをとるよう作用する。
【0040】
図12から図14は、各々の接合部で効果的なヒンジを形成するよう一体的に結合された三セグメント構造を採用する、絞窄に基づく実施例の第三のスライド可能なブロック変形例を図解する。この変形例は、カニューレ24を絞るためのスライド可能な絞窄エレメント40、患者の体への近接の位置を、スライド絞窄エレメント40の対応する位置へ変換するための位置変換部材41および39、そして絞窄エレメント40をデフォルト閉塞位置へ付勢するための圧縮ばね23を含む。患者の体への取り付け前における圧縮ばね23は、絞窄エレメント40を、ユニット・ハウジング20の内壁に沿って配置されたトラックに沿ってスライドするように付勢するため、カニューレ21を閉塞しながら、さらにエレメント41を、インテグラル・ジョイント42で旋回させて、ある角度に配置する。その結果、近接エレメント39は、インテグラル・ジョイント43で揺動し、ユニットの下側から離れる。これは、患者の体へ取り付けられていないときにユニットがとるデフォルト閉塞位置である。患者の体への取り付けると、これらのエレメントは、逆の方向へ揺動して絞窄エレメント40を非閉塞位置へスライドさせるので、インフュージョン・セットを通過する液体の流れが拘束されることはない。
【0041】
図15から図17は、閉塞エレメントとして板ばね45を採用する、絞窄に基づく実施例のバネ変形例を図解する。板ばねは、インフュージョン・セットが患者の体に取り付けられていないとき、カニューレ46に対して、それを閉塞するよう板ばねが弾力的に付勢され、そして、インフュージョン・セットが患者の体に取り付けられたとき、液体の流れが拘束されないよう体が板ばねをカニューレから押しのけるように構成される。
【0042】
図18および図22は、インフュージョン・セットを通過する流体の流れを遮断するためにスリーブ隔膜を利用する、遮断に基づく実施例の第一の形式を図解する。この実施例は、カニューレ50、絞窄レバー51、圧縮ばね56、フロー・キャピラリ54、スリーブ形隔膜53、隔膜53の下端を係止するためのブロック構造57、隔膜53の高さを調節するための垂直に変位可能なカラー52、そして隔膜溝55を含む。スリーブは、ブロック構造57の周りに垂直に配置される。ブロック構造57を取り囲む下端は、ブロック構造57に固定され、そして上端は折り返され、折った内側部分の外側に沿って下方へ延びて、変位可能なカラー52に固定される。そのようなコンフィギュレーションは、変位可能なカラー52が上方へ、または下方へ移動するのに応じて、高くなる、あるいは低くなる高さ調節可能な隔膜53を提供する。インフュージョン・セット内には、隔膜の運動の線上に、円形溝55が形成されている。隔膜がその最上位に位置するとき、隔膜の折った部分はこの溝に噛み合う。
【0043】
インフュージョン・セットの本体を通るキャピラリ・ボアが、流路54として機能する。ボアは隔膜溝55と交差するように配置されているため、隔膜がその最低位置にあるとき、隔膜の折った部分の上面は、流路の壁の底部として機能する。隔膜がその最上位に位置すると、隔膜は隔膜溝55に噛み合うため、液体の通過を遮断する。変位可能なカラー52は、弾力的に付勢されたレバー51にピボット結合されているため、患者の体からインフュージョン・セットが外れた際、カラー52を上方へ変位させる。これによって、流路54は閉塞される。
【0044】
図23から図25は、ストッパを利用する、遮断に基づく実施例の第二の変形例を図解する。この変形例は、カニューレ60、カニューレ・インレット64、流路61、カニューレ・インレット64を閉塞するためのストッパ62、そして垂直方向62の可動性を提供する変位可能なストッパ・マウント63。ストッパ62は、密封材料から、カニューレ・インレットを閉塞するように形成されているため、カニューレを介した液体の通過を阻止する。ストッパ62は、垂直に下方へ延びるストッパ・マウント63上に取り付けられる。ストッパを支持するマウント63は、インフュージョン・セットが患者の体に取り付けられると底部端が体に載置されて、ストッパ62をカニューレ・インレット64の上方へ配置する。このため、カニューレを通る液体の流れは、拘束されないことになる。ストッパ・マウント63は、体との接触を失うとすぐに垂直下方へ移動するため、結果的に、取り付けられたストッパをカニューレ・インレット64上へ降下させることになり、流路は遮断される。マウント63は、下方へ移動するよう、バネ(図示せず)によって付勢されるため、閉塞位置がデフォルト位置である。
【0045】
図26から図27は、各々、非閉塞状態および閉塞状態において作用する自己捩れカニューレ70を利用する、自己捩れ実施例を図解する。カニューレ70は、その非捩れコンフィギュレーションで挿入される。そして患者の体から脱離すると、捩れ点で結合しているカニューレの二つの部分間に、液体の通過を阻止するのに十分な、実質的に90°の角度を形成する捩れコンフィギュレーションをとる。この機能は、恒久的な捩れ閉塞コンフィギュレーションと、一時的に有効な実質的にストレートなコンフィギュレーションとを確立するように形状記憶ポリマーからカニューレ70を形成することによって、達成される。患者の体内への挿入後、自然な体熱によって、休止中の捩れコンフィギュレーションが目覚めるが、そのようなコンフィギュレーションをとることは、患者の体によって抑制される。しかし、カニューレ70は、体から外れるとすぐに自由になり、捩れ閉塞コンフィギュレーションをとることができる。択一的に、この機能は、カニューレ70を、挿入ニードルによって真っ直ぐで有効なコンフィギュレーションへ変形させるに十分な柔軟性を持つ捩れコンフィギュレーションに形成することによって達成してもよい。
【0046】
この捩れ実施例の変形例は、図11Aおよび図11Bに最も明確に示すように、扁平な面と鋭利な端部との間で絞窄が生じる絞窄メカニズムを利用する。そのような絞窄ジオメトリーは、カニューレを鋭く曲げるため、流路を閉塞する。
【0047】
図28は、本発明が作動する薬剤デリバリー・システムを表す。図解するように、システムは、粘着パッチ77を介して患者の体に取り付け可能なインフュージョン・セット76へ連結した薬剤ポンプ75を含む。除去を容易にするために、プル・タブ78が設けられている。
【0048】
言うまでもなく、上記の説明は、例としてのみ機能することを意図しており、添付の請求項に定義する本発明の範囲において、多くの他の実施例が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を通して流体を投与するためのインフュージョン・セットであって、
(a)皮膚を通した流体移送のための管腔があるカニューレ、
(b)皮膚を通る前記カニューレの挿入位置を維持する保持アレンジメント、そして
(c)前記保持アレンジメントに、そして前記カニューレに関連する自己閉塞メカニズムからなり、
前記保持アレンジメントが前記カニューレの挿入位置を維持しているときに前記自己閉塞メカニズムは第一の非閉塞状態に保持され、そして前記保持アレンジメントが前記カニューレの挿入位置の維持をやめたならば、前記自己閉塞メカニズムは、前記自己閉塞メカニズムが前記カニューレを通る流体の流れを少なくとも部分的に閉塞する第二の状態をとるように前記自己閉塞メカニズムが構成される、インフュージョン・セット。
【請求項2】
さらに、前記カニューレの管腔内へ初期に挿入される挿入ニードルからなり、前記挿入ニードルは、前記挿入ニードルの撤収前に前記自己閉塞メカニズムが前記第二の状態をとることを阻止する、請求項1のインフュージョン・セット。
【請求項3】
前記保持アレンジメントが、前記インフュージョン・セット・ユニットの下側に適用される接着剤を含む、請求項1のインフュージョン・セット。
【請求項4】
前記自己閉塞メカニズムが、前記第二の状態をとるよう前記メカニズムを弾力的に付勢するための付勢エレメントを含む、請求項1のインフュージョン・セット。
【請求項5】
前記付勢エレメントが板ばねを含む、請求項4のインフュージョン・セット。
【請求項6】
前記自己閉塞メカニズムが、前記カニューレを閉塞するための絞窄エレメントを含む、請求項1のインフュージョン・セット。
【請求項7】
前記絞窄エレメントが、回転可能に搭載されたカムを含む、請求項6のインフュージョン・セット。
【請求項8】
前記絞窄エレメントが、スライド可能に搭載された絞窄エレメントを含む、請求項6のインフュージョン・セット。
【請求項9】
前記絞窄エレメントが、一体的に偏りのあるカニューレとして具現される、請求項1のインフュージョン・セット。
【請求項10】
前記自己閉塞メカニズムが、前記カニューレを完全に閉塞するように構成される、請求項1のインフュージョン・セット。
【請求項11】
対象者の皮膚からインフュージョン・セットが分離したことを検出するためのシステムであって、
(a)アウトレット流路の閉塞を検出するためのアレンジメントを含み、液剤の流れを制御式に供給するように構成されたドラッグ・デリバリー・デバイス、
(b)対象者の皮膚を通して液剤を供給するためのカニューレを含み、前記アウトレット流路に結合したインフュージョン・セット、そして
(c)前記インフュージョン・セットに関連した自己閉塞メカニズムからなり、前記カニューレが対象者の皮膚から外されたときに自己閉塞メカニズムが、前記インフュージョン・セットを通る流体の流れを少なくとも部分的に閉塞するように前記自己閉塞メカニズムが構成される、システム。
【請求項12】
インフュージョン・セットを介した患者の皮膚を通る薬の供給中における誤作動の検出を促進するための方法であって、
(a)インフュージョン・セットを介してドラッグ・デリバリー・デバイスから患者の皮膚を通る流路を提供するステップ、
(b)ドラッグ・デリバリー・デバイスからインフュージョン・セットを介して患者の皮膚を通る流路を提供するステップ、そして
(c)皮膚に対してインフュージョン・セットの一部を確実に保持するための前記保持アレンジメントの少なくとも部分的な障害に反応して、流路の少なくとも部分的な閉塞を引き起こすステップからなる、方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2010−526578(P2010−526578A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507059(P2010−507059)
【出願日】平成20年5月11日(2008.5.11)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000647
【国際公開番号】WO2008/139464
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509287854)メディックス−セット リミテッド (1)
【Fターム(参考)】