説明

インモールドラベル付き容器

【課題】本発明は、シート材の裏面に加飾を施したラベルを容器の側壁へインモールド成形により熱溶着させたインモールドラベル付き容器のラベルを容易に剥離することができるインモールドラベル付き容器を提供することである。
【解決手段】本発明は、容器1の側壁1a面へ印刷されたシート材2のラベルをインモールド成形法により熱溶着させたインモールドラベル付き容器であって、前記容器1の底部1cに脚部1dを設け、前記シート材2の剥がし開始位置となる摘み部2a付近の前記脚部1dの一部が形成されない部分1eがあるインモールドラベル付き容器Aである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に溶着したインモールドラベルを容易に剥離できるようにした容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所望の位置に所望の部分加飾を施すことができる製造方法として、熱成形可能な剥離性フィルムと部分加飾シートとを積層した積層シートとを熱成形する工程と、インサート成形用金型内に熱成形させた積層シートを装着しインサート成形する工程と、インサート成形後、熱成形可能な剥離フィルムを剥離する工程とを有する部分加飾を有するインサート成形体の製造方法が特許文献1に記載されている。
【0003】
また、ラベルを構成するシート材を容易に剥離することができるものとして、樹脂成型体の表面に固着された基材部と、基材部に剥離可能に積層された剥離基材部とを有するラベルの、剥離基材部の縁の少なくとも一部分が、基材部の縁よりも内側に位置するラベルをインモールド成形によって成形したラベル付きインモールド成形品が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−223203号公報
【特許文献2】特開2008−133006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、部分加飾シートの加飾側となる面に、熱成形可能な剥離性フィルムを貼り付けた剥離性フィルムと部分加飾シートとの積層シートを熱成形し、該熱成形後の積層シートをしてインサート成形を行い、得られた射出成形体から剥離性フィルムを剥離することで、部分加飾をする場合の位置合わせを容易にした製造方法であるが、加飾シートと剥離性フィルムの2枚のシートを積層した積層シートを準備する必要があり、シートが2枚となるためコストアップとなる上、2枚分の厚さを考慮した金型構造にする必要がある。また、積層シートを所定の位置にいれてインサート成形後、剥離性フィルムを剥がしとる場合に、熱溶着された積層シートは、成形品の面と一体化されて面一で溶着されてしまうため、剥離性フィルムであっても、成形品と積層シートは面一となるため、剥がし始めを作るために爪でひっかいて剥がそうとしても爪がひっかからず、なかなか剥がすことができない課題がある。
【0006】
更に、特許文献2は、ラベルを構成するシートを容易に剥離することができるインモールド成形品であるが、ラベルは樹脂成形体の表面に固着された基材部と、基材部に剥離可能な積層された剥離基材部の2枚重ねとなるシート材で構成されているものであるので、コストアップとなる上、金型構造についてもラベルが2枚重となるため、薄肉で成形するような容器の蓋の天面や、容器の側壁面にラベルを熱溶着させてインモールド成形するような場合は、成形体の肉厚は、1枚シートのラベルを使用する時よりも肉厚にしなければ、ヒケたり変形しやすくなる不具合が発生するため厚肉で構成する設計が必要となる上、樹脂原料の使用量も多くかかりコストアップとなる課題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、ラベルとなるシート材を1枚構成で使用するものことでコスト削減を行い、かつ、容易に引き剥がしが可能なインモールドラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上端面が開放している合成樹脂製の容器の側壁面へ、片面若しくは両面に印刷されたラベルをインモールド成形法により熱溶着させたインモールドラベル付き容器であって、前記容器の底に脚部を設け、前記ラベルは熱成形可能な剥離性フィルムを有するとともに、前記ラベルの剥がし開始位置となる摘み部付近の前記脚部の一部が形成されない部分があるインモールドラベル付き容器である。
【0009】
前記インモールドラベル付き容器同士がスタッキングすることができるインモールドラベル付き容器である。
【0010】
前記摘み部と反対位置の前記ラベルの一部に接着層を施したインモールドラベル付き容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上端面が開放している合成樹脂製の容器の側壁面へ、片面若しくは両面に印刷されたラベルをインモールド成形法により熱溶着させたインモールドラベル付き容器であって、前記容器の底に脚部を設け、前記ラベルは熱成形可能な剥離性フィルムを有するとともに、前記ラベルの剥がし開始位置となる摘み部付近の前記脚部の一部が形成されない部分があるインモールドラベル付き容器であるので、摘み部を摘みあげることで容易にシート材の引き剥がしを可能とするインモールドラベル付き容器を提供することができる。また、シート材を2枚重ねにしたクーポンラベルのようなラベルにせずとも、1枚のシート材の裏面に文字やイラスト、写真などの加飾を施すことで、安価で提供できるクーポンラベルのような機能をもつインモールドラベル付き容器を提供することができる。
【0012】
更に、本発明は、前記インモールドラベル付き容器同士がスタッキングすることができるインモールドラベル付き容器であるので、梱包形態を小さくすることが可能であり、輸送コストの削減が可能であるインモールドラベル付き容器を提供することができる。
【0013】
また、前記摘み部と反対位置の前記ラベルの一部に接着層を施したインモールドラベル付き容器であるので、1枚のシート材の裏面に文字やイラスト、写真などの加飾を施した加飾内容を確認する場合に、ラベルの片方が容器と接着されていることで、カールしているラベルを摘み部の方をもって開くだけでラベルの裏面に加飾されている内容を一面に開いた状態で確認することができるので、ラベルの裏面を見やすいインモールドラベル付き容器を提供することができる。更に、ラベルをすべてはがし取る必要はなく、容器についた状態で、容器を廃棄することができ、剥がし後のラベルが散らばりゴミになることもないインモールドラベル付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を示すインモールドラベル付き容器の斜視図である。
【図2】図1を底部からみた斜視図である。
【図3】シート材を容器の側壁に溶着させていない成形品を示す斜視図である。
【図4】図1の摘み部を摘みあげてシート材を引き剥がす状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の成形方法1を示す断面図である。
【図6】本発明の成形方法2を示す断面図である。
【図7】本発明の成形方法3を示す断面図である。
【図8】本発明の成形方法4を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2において、本発明のインモールドラベル付き容器Aは、上端面が開放しているポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂製の容器1の側壁1a面へ、片面若しくは両面に印刷された熱成形可能な剥離性フィルムとなる合成樹脂材のシート材2を熱溶着し貼りつけたインモールドラベル付き容器Aである。また、上端面には外方へ突出したツバ状のフランジ部1bを形成している。更に、前記容器1の底部1cから側壁1aに沿って下方に突出した脚部1dを設けており、前記脚部1dの一部には、前記脚部1dが形成されない部分1eを設けている。図2に示すように、前記脚部1dが形成されない部分1eに前記シート材2の角に位置する端部の摘み部2aが被さるように形成される。
【0016】
前記シート材2の素材については、合成樹脂材からなる伸縮可能なユポシートやユポシートと同調する素材を使用することで、成形時に熱が加えられたシート材2が伸長され側壁1aに仮接着され、しわなどが発生しないインモールドラベル付き容器Aとなる。前記シート材2の表面はもちろんのこと、前記シート材2の裏面にも文字や模様や写真などを印刷し加飾を施すことができる。
【0017】
また、前記シート材2の摘み部2aと反対位置のシート材2裏面の一部に接着層を施すことで、シート材2を引き剥がした場合に、シート材2の一部が側壁1aに接着されたままの状態で残るので、クーポン機能付きラベルの用途でシート材2の裏面に加飾や文字を施した装飾内容をユーザーがめくって確認した後も、シート材2は側壁1aの一部と接着されたままで残るのでゴミにならずに容器1と一緒に廃棄することができる。
【0018】
図3に示す容器1は、前記シート材2を容器1の側壁1aに貼り付けていない状態の成形品単体の容器1である。図3に示すように脚部1dの一部には、手指の先端が通るぐらいの形成されない部分1eがある。前記容器1の側壁1aに、シート材2を被せていると、図2に示すように脚部1dが形成されない部分1eに摘み部2aが被さった状態になる。前記形成されない部分1eから手指で摘んで摘みあげることにより、図4に示すように、シート材2を容易に引き剥がしすることができる。よって、子供やお年寄りや手先が器用でない人でも、簡単に摘み部2aを摘みあげてシート材2の裏面に描かれたイラストや文字などの画像を見ることができるインモールドラベル付き容器Aを提供することができる。
【0019】
図5及び図6に示すように、前記シート材2を前記容器1の側壁1a形状に対応するキャビティYの内面に載置後、図7に示すようにキャビティYがゲートパットZ側へ可動をする。前記前記ゲートパットZ側には、樹脂射出器Z1から合成樹脂材を射出部Z2へ注入して成形する機能を有している。また、脚部1dが成形される一部には、脚部1dの一部が形成されない部分1eを設けるために、図8に示すようにスライドコアZ3が前記キャビティYと前記ゲートパットZの間で挟み込まれる形で設置される。前記スライドコアZ3は、左右に可動するので、キャビティYの内面に載置後した前記シート材2の一部に密着した状態で、前記キャビティYとスライドコアZ3で挟み込んでいる。
【0020】
図5乃至図8に示すように、前記キャビティYがゲートパットZの方へ可動しその後、コアXがキャビティYの方へ可動し突き合って金型が型締めし、前記樹脂射出器Z1から合成樹脂材を射出部Z2から注入して射出成形法により成形することで本発明のインモールドラベル付き容器Aが形成される。尚、前記樹脂射出器Z1はコアX側に設置しても良い。
【0021】
クーポン機能付きラベルとは、二枚重ねになったシート材の上層にあるシート材を引き剥がしめくることで、下層のシート材の表面に加飾されている印刷が現れるようなラベルの構成が一般的であるが、本発明に用いるシート材2は、一枚のシート材2の表面と裏面の両方に印刷などの加飾を施し、一枚のみのシート材2を引き剥がしめくることで、裏面に加飾された印刷内容をみることができるものであり、一般的な二枚重ねになったシート材を用いたクーポン機能付きの容器と同様の役目を安価で実現できるものである。
【0022】
また、一般的な二枚重ねになったシート材を用いたクーポン機能付きラベルをインモールド成形により形成した場合、二枚分のラベルの厚さを加味した金型構造にしなければならず、それ専用に金型を製作する必要が生じるが、すでに0.5mm以上の肉厚となる容器用の金型を保有している場合は、わざわざ専用の金型を製作せずとも、本発明に用いるシート材2を使うことで、保有金型を利用して、安価なクーポン機能付きのインモールドラベル付き容器Aを提供することが可能になる。
【0023】
そのため、プリンやゼリーなどの開口部が広口の容器1で肉厚が0.5mm〜0.80mmの薄肉成形となる容器1の側壁1aにもインモールド成形によるシート材2を熱溶着して一体成形することは可能であるので、対象物が薄肉成形である容器1などにも、安価で提供できるクーポン機能付きのインモールドラベル付容器Aを手軽に提供することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 容器
1a 側壁
1b フランジ部
1c 底部
1d 脚部
1e 形成されない部分
2 シート材
2a 摘み部
A インモールドラベル付き容器
X コア
Y キャビティ
Z ゲートパット
Z1 樹脂射出器
Z2 射出部
Z3 スライドコア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端面が開放している合成樹脂製の容器の側壁面へ、片面若しくは両面に印刷されたラベルをインモールド成形法により熱溶着させたインモールドラベル付き容器であって、前記容器の底に脚部を設け、前記ラベルは熱成形可能な剥離性フィルムを有するとともに、前記ラベルの剥がし開始位置となる摘み部付近の前記脚部の一部が形成されない部分があることを特徴とするインモールドラベル付き容器。
【請求項2】
前記インモールドラベル付き容器同士がスタッキングすることを特徴とする請求項1記載のインモールドラベル付き容器。
【請求項3】
前記摘み部と反対位置の前記ラベルの一部に接着層を施したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のインモールドラベル付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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