説明

ウィジェット型アプリケーションにおける臨床要素の抽出、保持、及び送信のシステム及び方法

【課題】ウィジェット型アプリケーションにおいて臨床要素の抽出、保持、及び送信を提供する。
【解決手段】臨床データ要素通信システムが、利用者へのグラフィック表示のために複数の臨床情報源から検索される臨床コンテンツを含むユーザ・インタフェイスを含む。ユーザ・インタフェイスは、アプリケーション及び患者データを含む表示されている臨床コンテンツとの利用者相互作用を容易にする。システムは、臨床コンテンツの保持エリアと、臨床コンテンツを受取者へ送信する送信ユニットとを含んでいる。保持エリアは、ユーザ・インタフェイスの一部として表示されて、利用者によって選択されて当該保持エリアに投入された臨床コンテンツを保持する。臨床要素送信ユニットは、保持エリアに投入された臨床コンテンツを受け取り、臨床コンテンツをパッケージ化して、臨床コンテンツを電子的データ・メッセージとして受取者へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
病院又は診療所のような健康管理環境は、病院情報システム(HIS)、放射線科情報システム(RIS)、臨床情報システム(CIS)、及び心血管情報システム(CVIS)のような情報システムや、画像保管及び通信システム(PACS)、図書館情報システム(LIS)、及び電子カルテ(EMR)のような記憶システムを含む。記憶される情報としては、例えば患者の医療履歴、撮像データ、検査結果、診断情報、管理情報、及び/又は予定情報等がある。これらの情報は、集中型で記憶されてもよいし、複数の位置に分割されていてもよい。医師は、健康管理ワークフローの様々な点において患者情報又は他の情報を入手することを欲する場合がある。例えば、手術時及び/又は手術後に、医療従事者は、医療情報システムに記憶されている患者の解剖学的構造の画像のような患者情報にアクセスすることができる。放射線科医及び/又は他の臨床医は、例えば記憶されている画像及び/又は他の情報を検討することができる。
【0002】
PACS及び/又は他のワークステーションを用いて、放射線科医のような臨床医は画像読影のような多様な活動を行なって臨床ワークフローを促進することができる。放射線処置又は心臓医療処置での読影のような解釈は、放射線科医又は心臓医のように患者のディジタル画像を観察する医師の工程である。医師は診断画像の内容に基づいて診断を行ない、電子的に(例えば口述若しくは他の方法を用いて)又は書面で結果を報告する。放射線科医又は心臓医のような医師は典型的には、診断を行なうために他のツールを用いる。他のツールの幾つかの例としては、事前検査及び関連する過去の(履歴)検査及び検査結果、検査室での検査(血液検査等)、アレルギー、病理学検査結果、投薬、注意事項、文書画像、並びに他のツール等が挙げられる。例えば、放射線科医又は心臓医は典型的には、検査結果を解釈するときには検査室情報、電子カルテ、及び健康管理情報のような他のシステムを調べる。
【0003】
現在のPACS及び/又は他の検討用システムは、全ての利用可能な医療情報を利用者のために画面に提供する。しかしながら、この情報は整理されていない。加えて、現状では、これらのデータ要素の何れが重要で何れが重要でないかを利用者に伝える方法が存在しない。データの単なる拾い読み(ブラウジング)は医師のワークフローの著しい妨げとなり、しばしば所望の末端利用者の成果を挙げることができないため、大きな問題を孕む。
【0004】
様々な臨床情報システムを通じて多様な臨床データ及び医療文書記録が入手可能であるが、医療の或る点において情報を見出し、整理して、医師及び他の医療従事者に実効的に提示することは現状では困難である。この課題に関連する無数の困難が存在する。現在のシステム及び方法は、単一のデータ・ソースに対して静的な問い合わせ(クエリ)を行ない、これにより一般的には、関連しているかも知れないし関連していないかも知れず、典型的には不完全な情報を返す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の研究に基づくと、計算機での医師の指示入力の誤りがこの約5年で増大している。2006年の“The Journal of the American Medical Informatics Association”によれば、コンピュータ入力誤りによる意図しない不都合な結果は、次の九つの範疇に大別される(頻度の降順で)。すなわち、1)臨床医のさらなる業務/新たな業務、2)好ましくないワークフロー問題、3)際限のないシステム要求、4)書面の永続性に関連する問題、5)連絡パターン及びの慣行の厄介な変更、6)負の情動、7)新たな種類の誤りの発生、8)権力構造の予期しない変化、並びに9)技術への過剰依存である。利用し難さ及び不十分なユーザ・インタフェイス設計が、これらの範疇の全てではないにせよ殆どに寄与している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの実施形態の例は、ウィジェット型アプリケーションにおける臨床要素の抽出、保持、及び送信を提供するシステム及び方法を提供する。
【0007】
幾つかの例は、適応型ユーザ・インタフェイスを介して適応型の業務中心(work-centered)健康管理サービスを提供するシステム及び方法を提供する。臨床データ要素通信システムの一例が、利用者へのグラフィック表示のために複数の臨床情報源から検索される臨床コンテンツを含むユーザ・インタフェイスを含んでいる。ユーザ・インタフェイスは、アプリケーション及び患者データを含む表示されている臨床コンテンツとの利用者相互作用(対話)を容易にする。このシステムの例はまた、臨床コンテンツの保持エリアと、臨床コンテンツを1又は複数の受取者へ送信する送信ユニットとを含んでいる。保持エリアは、ユーザ・インタフェイスの一部として表示されて、利用者によって選択されて当該保持エリアに投入された臨床コンテンツを保持する。臨床要素送信ユニットは、保持エリアに投入された臨床コンテンツを受け取り、臨床コンテンツをパッケージ化して、臨床コンテンツを電子的データ・メッセージとして1又は複数の受取者へ送信する。
【0008】
また、臨床データ要素通信の方法の一例が、複数の臨床情報源から検索されて利用者に対してグラフィック表示される臨床コンテンツを選択する利用者入力を受け入れるステップであって、臨床コンテンツは臨床アプリケーション及び患者データを含んでいる、受け入れるステップを含んでいる。この方法の例はまた、利用者によって選択されて、ユーザ・インタフェイスの一部として表示される保持エリアに投入された臨床コンテンツを一時的に記憶するステップを含んでいる。この方法の例はさらに、保持エリアから一時的に記憶された臨床コンテンツを含む電子的データ・メッセージを生成するステップを含んでいる。加えて、この方法の例は、電子的データ・メッセージを1又は複数の受取者へ送信するステップを含んでいる。
【0009】
また、コンピュータ可読の媒体の一例が、実行されるとデータ要素通信システムを具現化するコンピュータでの実行のための一組の命令を含んでいる。この一組の命令によって具現化されるシステムは、利用者へのグラフィック表示のために複数の情報源から検索される電子的データ要素を含むユーザ・インタフェイスを含んでいる。ユーザ・インタフェイスは、表示されている電子的データ要素との利用者相互作用を容易にする。このシステムはまた、ユーザ・インタフェイスの一部として表示される保持エリアを含んでいる。保持エリアは、利用者によって選択されて当該保持エリアに投入された1又は複数の電子的データ要素を保持する。システムはさらに、保持エリアに投入された1又は複数の電子的データ要素を受け取り、1又は複数の電子的データ要素をパッケージ化して、1又は複数の電子的データ要素を電子的データ・メッセージとして1又は複数の受取者へ送信するデータ要素送信ユニットを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の幾つかの実施形態による適応型の業務中心健康管理サービスを提供するワークフローを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による適応型ユーザ・インタフェイスの一例を示す図である。
【図3】図2に関連して記載されるユーザ・インタフェイスのようなユーザ・インタフェイスを含むモバイル装置の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による周産期診療における適応型の業務中心ユーザ・インタフェイスのユース・ケースの一例を示す図である。
【図5】本発明の幾つかの実施形態によるユーザ・インタフェイス・アーキテクチャを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるアクティブ・リスニング及び応答能力を含む適応型ユーザ・インタフェイス・システムの一例を示す図である。
【図7】本発明の幾つかの実施形態による適応型の業務中心ユーザ・インタフェイス及び支援アーキテクチャを介した健康管理コンテンツへのアクセスの方法の流れ図である。
【図8】本発明の幾つかの実施形態による1又は複数の臨床要素の選択、選択された要素(1又は複数)の保持、及び選択された臨床要素(1又は複数)の1又は複数の受取者への送信を可能にする保持エリア及びツールの一例を示す図である。
【図9】本発明の幾つかの実施形態による受取者によって受け取られるメッセージであって、図8のツールを介して利用者によって選択された被選択臨床要素に関する展開された詳細を含むメッセージの一例を示す図である。
【図10】本発明の幾つかの実施形態による1又は複数のアプリケーション又はウィジェットからの1又は複数の臨床要素の選択、保持、及び1又は複数の受取者への送信を容易にするウィジェット・システムの一例を示す図である。
【図11】本発明の幾つかの実施形態による1又は複数のアプリケーション又はウィジェットからの1又は複数の臨床要素の選択、保持、及び1又は複数の受取者への送信を容易にする方法の流れ図である。
【図12】本書に記載されるシステム及び方法を具現化するのに用いられ得るプロセッサ・システムの一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以上に述べた概要、及び本発明の幾つかの実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と共に読まれるとさらに十分に理解されよう。本発明を説明する目的で、幾つかの実施形態を図面に示す。但し、本発明は添付図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0012】
幾つかの実施形態は、複数の事業体(エンタープライズ)システムに跨がる末端利用者による情報へのアクセスを提供する。幾つかの実施形態は、末端利用者が健康管理網を横断してシームレスに医療情報にアクセスし、医療情報を入力し、また検索することを可能にする探索主導型、ロール・ベース、ワークフロー・ベース、及び/又は疾患ベースのインタフェイスを提供する。幾つかの実施形態は、個々の需要に合わせて特化され業務ドメイン(work domain)の変化に応答する業務中心インタフェイスを通じて適応型ユーザ・インタフェイス能力を提供する。幾つかの実施形態は、二つの新規の概念を具現化した適応型の業務中心ユーザ・インタフェイス技術ソフトウェア・アーキテクチャを導入する。第一の概念は、「業務中心」の活動の観点からの業務ドメイン、及び「業務中心」の活動を支援する具現化形態を達成する計算機構を特徴付けるために、オントロジー・モデル生成アプローチを用いるものである。第二の概念は、業務中心の特徴付け、及びエンタープライズ・レベルのアプリケーションへのユーザ・インタフェイスの提示機構において、適応型相互作用を利用者指向型及び自動型の両方で提供するものである。
【0013】
健康管理情報システムは、利用者が患者診療の時間線にわたって関連情報を見出して活用し得るときに最も実効的になる。適応型ユーザ・インタフェイスは、セマンティック技術を強化して、例えばドメイン概念、利用者のロール(役割)及びタスク(作業)、並びに情報関係をモデル化することができる。セマンティック・モデルによって、アプリケーションが、利用者及びタスクのコンテキスト情報に基づいてさらに実効的に情報を見出し、整理して、利用者に提示することを可能にする。アプリケーションは、マルチ・コンテンツ及びマルチ・メディア情報を表示する情報ウィジェットのライブラリで構成され得る。加えて、この枠組みによって、利用者が、ウィジェットのレイアウトを特化して、基礎となるデータと相互作用することを可能にする。
【0014】
一例では、新たなレベルの適応型ユーザ・インタフェイス設計が、セマンティック・ウェブ技術を利用することにより達成される。ドメインの概念及び関係はオントロジーの階層として特徴付けられ、上位レベルのオントロジー型構成体に関連付けられて適応型の推論及び拡張性を可能にする。
【0015】
このように、幾つかの実施形態は、個々の需要に合わせて特化され業務ドメインの変化に応答する業務中心アプリケーションを利用者に提示するために、オントロジーのメタデータについて「推論」し得る制御器の利用を介して適応型ユーザ・インタフェイス能力を提供する。目標とされる情報は、アプリケーション・コンテキスト感受型の態様で「外部」データから送り届けられ得る。
【0016】
人間−コンピュータ間の相互作用では、ユーザ・インタフェイス・データ、イベント、及び頻度を表示し、記録して、エピソードとして整理することができる。画面でのデータ配置、エピソード頻度、及び含意関係を算出することにより、幾つかの実施形態の例は、特定アプリケーション向けのエピソード連関を自動的に導いて、従ってアプリケーション・インタフェイスが利用者に対し時宜に適った援助を適応的に与えることを可能にすることができる。相互作用追跡、エピソード識別、利用者パターン認識、利用者意図予測、及び利用者プロファイル更新を含めた適応型ユーザ・インタフェイスを設計することに関連する問題を識別することにより、利用者のために動作して幾つかの認識された計画に基づいてアプリケーションと相互作用し得るインタフェイスが生成される。様々な利用者の需要に適応するために、インタフェイスは、例えば利用者プロファイル及び特定疾患向けワークフローを学習することにより援助を個人別に構成することができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、適応型ユーザ・インタフェイス・システムが、例えば検索エンジン、ウェブ・サーバ、アクティブ・リスナ(能動的聴取者)、情報編成(information composition)エンジン、クエリ・エンジン、データ集計器、文書要約器、プロファイル・コンテキスト・マネージャ、並びに臨床及び管理用ダッシュボードを含んでいる。幾つかの実施形態は、特定利用者向け、特定ロール向け、特定疾患向けの態様で一つの患者カルテ記録全体の完全な像を提供する。幾つかの実施形態では、ユーザ・インタフェイスはまた、データの操作像、データの財務像を提供するように構成されることができ、また任意の形式のデータ集計のためのダッシュボードとなり得る。
【0018】
幾つかの実施形態は、適応型の業務中心ユーザ・インタフェイス技術ソフトウェア・アーキテクチャを提供する。このアーキテクチャは、「業務中心」の活動の観点からの業務ドメイン、及び「業務中心」の活動を支援する具現化形態を達成する計算機構を特徴付けるために、オントロジー・モデル生成アプローチを用いるものである。このアーキテクチャはまた、業務中心の特徴付け、及びエンタープライズ・レベルのアプリケーションへのユーザ・インタフェイスの提示機構において、適応型相互作用を利用者指向型及び自動型の両方で提供する。
【0019】
業務中心型ソリューションは、業務を達成する設定されたコンテキストに従って利用者相互作用をカスタマイズすることにより、柔軟で適応自在の態様で業務への支援を提供する統合され特化されたシステムを提供することを支援する。業務中心アプローチの下で、目標とされる業務ドメイン全体の理解を発展させる。例えば、業務ドメインの理解を発展させるのに用いられる質問として、業務ドメインが含んでいるものは何か、業務の目標は何か、業務ドメインに誰が参加しているか、及び参加者はローカルなコンテキストが与えられたときに業務ドメインの目標を如何にして達成するか等が挙げられる。この業務ドメインの理解を用いて、参加者の日々の活動を特徴付けし、従って支援することができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、アクティブ・リスナ・エージェントが、コンピュータ装置、及び/又はユーザ・インタフェイスのようなソフトウェア・アプリケーションのフォアグラウンド及び/又はバックグラウンドで動作して、利用者及びプログラムの活動を監視する。例えば、アクティブ・リスナ・エージェントは、ユーザ・インタフェイスのウィジェットに関係する情報を集めることができる。また、アクティブ・リスナ・エージェントは、例えばユーザ・インタフェイス及びユーザ・インタフェイスのコンテンツに関して利用者によって生成される行動(アクション)に関係する情報を集めることができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、アプリケーション(例えばウィジェット)情報及び利用者相互作用に基づいて、アクティブ・リスナ・エージェントは、現在のコンテキストに基づいて利用者にとって重要な情報及び/又は作用内容(functionality)を識別することができる。一実施形態では、ユーザ・インタフェイスに表示されている1又は複数のデータ要素が予め決められた閾値に達したことをアクティブ・リスナ・エージェントが検出した場合には、アクティブ・リスナは、利用者が十分な情報に基づく決定を下すことを可能にするのを補助する付加的な関連情報を含む1又は複数のウィジェットをユーザ・インタフェイスに自動的に配置する。もう一つの実施形態では、アクティブ・リスナ・エージェントは、アプリケーションとの利用者相互作用に反応することにより利用者を補助することができ、また利用者の行動の結果として表示されているユーザ・インタフェイスにウィジェット(1又は複数)の形態にある付加的な情報及び/又は他の情報を表示することにより付加的な見識を提供する。例えば、利用者が何らかのデータ要素を一つのウィジェットからもう一つのウィジェットへドラッグする(例えばマウス装置を用いた該当要素のカーソル選択及び表示されているインタフェイスを横断する移動を介して)と、アクティブ・リスナ・エージェントはこの情報を、表示されているインタフェイスにおいて、データ要素の構成が利用者が結論(例えば患者の診断及び/又は治療に関する)に到達するのを補助するのに有用な異なるレベルの情報を意味するように再配置することができる(例えば大きさ及び/又は位置)。次いで、アクティブ・リスナ・エージェントは、特定のシナリオにおいて有用であり得る既製の関連ウィジェットをインタフェイスに配置することもできるし、且つ/又はユーザ・インタフェイスにおいてデータ・コンテキストに加えて利用者が変更したウィジェットのコンテンツに基づいて、新たなウィジェットを作成することもできる。
【0022】
予め決められたワークフローに焦点を合わせるよりも寧ろ、アクティブ・リスナは利用者に対し、既知のワークフロー又はプロトコルが存在しないような幾つかの状況において利用者にとって助けとなる付加的な情報を提供する。履歴データ及び/又は他の入力に基づいて、システムは、利用者が情報に基づいた決定を下すのに関連する付加的な情報及び/又は作用内容を利用者に対して表示する。例えばアプリケーション及び/又はインタフェイスのバックグラウンドにおいて、アクティブ・リスナは、表示されているインタフェイスでのデータ要素の活動を監視することができる。これらのデータ要素が何らかの閾値に達すると、アクティブ・リスナは、利用者が情報に基づいた決定を下すのを補助する付加的な情報を、表示されているインタフェイスに配置する。代替的に又は加えて、アクティブ・リスナは、利用者がアプリケーションに変更を加えたときを検出することができる(例えばデータ要素を一つのウィジェットからもう一つのウィジェットにドラッグ&ドロップする、検索を行なう、及び診断を変更する等による)。利用者相互作用のコンテキストを表示されているユーザ・インタフェイスのコンテンツと組み合わせることにより、例えば利用者に関連情報及び/又は作用内容を提供することができる。
【0023】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による適応型の業務中心健康管理サービスを提供するワークフロー100を示す。ワークフロー100は、医師、病院及び診療所等への患者の来診105を含む。患者来診105から、クエリ(query)110が、検査医及び看護師等のような臨床担当者によって発生される。クエリ110は、例えば観察される刺激112と患者コンテキスト114とを含み得る。クエリ110はクエリ・ドライバ115に渡される。クエリ・ドライバ115は、例えば1又は複数のデータ・ソース120及び/又は知識管理サブシステム160に問い合わせることができる。データ・ソース(1又は複数)120は、検査室結果、診断検査(例えばX線、磁気共鳴画像及び超音波等)、患者履歴、保険情報、及び支払請求情報等の1又は複数を含み得る。
【0024】
幾つかの実施形態では、クエリ・ドライバ115は、クエリ強化エンジン(「QUEEN」)を含み、且つ/又はクエリ強化エンジンと通信することができる。情報は、テキスト(例えば報告及び書面)、テーブル(例えばデータベース)、画像(例えばX線及び計算機式断層写真法による走査)、及び動画(例えば手術手順)を含めた複数の形式として表わされ得る。さらに、情報はしばしば、様々なシステムに存在して、ヘテロな(異種のものから成る)環境において記憶され且つ/又は計算される。
【0025】
クエリ強化エンジンは、情報需要(例えば刺激112)及びコンテキスト114に基づいて各種の情報源120から情報を検索するのに用いられ得る。先ず、元のクエリ110及びコンテキスト114に基づいて、QUEENは、情報レジストリに照会することにより、要求された情報を検索するのに何れの情報源(1又は複数)120が最も適当であるかを決定する。
【0026】
一旦、情報源候補(1又は複数)120が識別されたら、クエリ110が発生されて(クエリ強化エンジン115によって)、情報源120に渡されて検索される。異なるデータ・リポジトリ(repository)(ファイル・システム及びデータベース等)が、当該リポジトリの内部のデータを検索するために異なる機構を利用する。情報源120はこれらの検索機構を包含する。
【0027】
検索結果の精度を高めるために、検索に先立ってクエリを修正すると有利な場合がある。クエリ強化は、結果を改善する付加的な項をクエリに加えることを含み得る。クエリの精緻化は、性能を高めるためにクエリに対して項を除去する又は項を置換することを含み得る。QUEEN115は、初期クエリを用いて情報を要求し、次いで、例えば性能を高めるためにクエリを強化し又は精緻化することができる。
【0028】
クエリ110は、1又は複数のデータ・ソース120からのデータと組み合わされて、情報編成エンジン(「ICE」)125に与えられ、クエリ110に応答してデータ・ソース(1又は複数)120からのデータをコンパイルし又はバンドルする。ICE125は、多数の各種データ・ソース120から提示(プレゼンテーション)のための情報をバンドルすることができる。
【0029】
例えば、所与の情報需要について、目下の特定の作業についてセマンティックに意味のある情報のバンドルを形成するために、幾つかの異なる形式の情報が望ましい場合がある。一つのバンドルが1又は複数の形式の情報を含む(例えば患者履歴及び検査室結果)。様々な情報項目を複数の意味単位として整理することを情報編成又はバンドル化と呼ぶ。ICE125は、データ・ソース(1又は複数)120から検索された情報をまとめて、利用者にとって意味のある一つのバンドルとして編成することを担当する。バンドルは、利用者のセマンティックな必要に基づいて編成されることができ、また例えば利用者のプレファレンス(選好)、及び/又はドメインに適した他の知識によって主導され得る。
【0030】
幾つかの実施形態では、ICE125は、編成器(コンポーザ)を用いて、データ・ソース(1又は複数)120から検索された情報を編成する。編成器は、例えば編成判定論理(「CDL」)を用いて情報を編成する。CDLの幾つかの実例としては、例えば集計、冗長な情報の消去、情報の軽量要約、及び結果の融合等が挙げられる。
【0031】
例えばアクティブ・リスナ構成要素を含む制御器が、QUEEN115とICE125との間の相互作用を管理することができる。QUEEN115が情報を検索したら、この情報はICE125に渡されて編成及びバンドル化を施された後に、アプリケーション又は利用者に送り届けられる。アクティブ・リスナ構成要素は、例えばQUEEN115によって検索されてICE125に渡された情報を監視してこの情報に反応することができる。
【0032】
編成時に、何らかの情報が欠落している又は不十分であると決定される場合がある。この場合には、ICE125は、情報が欠落している/不十分であることを制御器に伝えることができる。次いで、制御器は、検索性能を高めるために1又は複数のクエリ110を強化し又は精緻化すべきであるとクエリ・エンジン115に伝えることができる。クエリ(1又は複数)110が再び行なわれて、結果がICE125に返されて編成及びバンドル化を施された後に、例えば利用者に返される。
【0033】
次いで、ICE125は、クエリ110からのコンテキスト情報114に基づいて、要求した利用者のために編成されて特化された関連情報を含むバンドル130を生成する。バンドル130は要約エンジン135に渡される。要約エンジン135は、バンドル130のコンテンツについて多文書要約を提供する。要約については、後にあらためて詳述する。
【0034】
要約エンジン135からの要約による注釈付きの改訂済みバンドル140を用いて、プレゼンテーション145を生成する。プレゼンテーションは、データ・ソース(1又は複数)120のメタデータ検索から返されたテキスト、動画及び画像から成るマルチ・メディア・バンドルを含むことができ、このバンドルは、要約エンジン135からのコンテキスト要約を含む。利用者は、プレゼンテーション145を通じて細部まで深く検討することができる。医師及び/又は看護師のような利用者は、プレゼンテーション145からの情報を用いて、患者をさらに詳細に診断し且つ/又は治療することができる。プレゼンテーション145情報からの利用者の反応及び/又は他のフィードバック150は、後の利用に備えて知識管理サブシステム160に戻され得る。幾つかの実施形態では、知識管理サブシステム160に対するアクティブ・リスナ構成要素が、例えば利用者の反応/フィードバック150に基づいて付加的なコンテンツ及び/又はアプリケーションを更新し且つ/又は提供する。
【0035】
ここで、知識管理サブシステム160についてさらに詳細に説明する。知識管理サブシステム160は、クエリ・ドライバ115がデータ・ソース(1又は複数)120から関連情報を抽出するためのクエリを形成するのを支援する1若しくは複数のツール及び/又は付加的な情報を含んでいる。刺激112及びコンテキスト114のようなクエリ110情報を知識管理サブシステム160に入力して、関連ツール及び/又は情報をクエリ・ドライバ115に提供することができる。代替的に及び/又は加えて、臨床医の反応及び/又は他のフィードバック150をサブシステム160にフィードバックして、さらなる情報を与え、且つ/又は知識管理サブシステム160からのさらなる結果を改善することができる。
【0036】
例えば図1に示すように、知識管理サブシステム160は、1又は複数のダッシュボード161、1又は複数のオントロジー163、手続き及びガイドライン165、共通データ・モデル167、並びに解析部169を含んでいる。知識管理サブシステム160は、知識及び用語管理基盤構造(Knowledge and Terminology Management Infrastructure、「KTMI」)をワークフロー100に与えることができる。オントロジー163は、一つのドメインの内部での概念集合、及びこれらの概念の間の関係の形式的な表現を詳細に記述する。オントロジー163を用いて、ドメインを定義して、当該ドメインの特性を評価することができる。共通データ・モデル167は、特定の環境の内部での各種のデータ・エンティティの間の関係を定義し、データ・エンティティが意味を有するようなコンテキストを確立する。共通データ・モデル167は、ワークフロー100において各アプリケーション及び各データ・ソースをカバーするデータ・モデルを与えて、ワークフロー100の内部でのデータの関係及び意味を定義する。例えば、解析部169を用いて、サブシステム160は、共通データ・モデル167に基づいてダッシュボード(1又は複数)・コンテンツ161、オントロジー(1又は複数)163、及び手続き/ガイドライン165にアクセスして、クエリ・ドライバ115に出力を与えることができる。
【0037】
ここで、要約エンジン135の活動についてさらに詳細に説明する。多文書要約は、同じ主題について書かれた多数のテキストからの情報の抽出(例えば多数の患者にわたる疾患)を目的とした自動式手順である。得られる要約報告によって、検査医及び看護師等のような個々の利用者が、多量の文書に含まれる情報を速やかに知悉することを可能にする。このように、要約エンジン135は、ICE125を補完して、例えば参照をし易くするためにコンテンツを要約して註釈することができる。
【0038】
多文書要約は、未処理データの検討よりも簡潔で包括的な情報報告を作成する。異なる意見をまとめて骨子を作成し、単一の文書の内部で多数の視点から主題を記述する。簡単な要約の目標は、最も関連するソース文書を指示することにより、情報検索を単純化して時間を短縮することにあるが、包括的な多文書要約は要約自体が要求された情報を含むべきであり、従って精緻化が必要とされる場合に元のファイルにアクセスする必要性を限定する。自動要約は、偏りのない結果を与える試みとして、如何なる編集加筆も主観的な人間の介在もなくアルゴリズム的に多数の情報源から抽出される情報を提示する。
【0039】
しかしながら、多文書要約はしばしば、大きい文書集合の範囲内で扱われるテーマが多様であるため、単一の文書を要約するよりも複雑である。要約技術は、主文書の各テーマを完全性、読み易さ及び簡潔さと組み合わせることを目的とする。例えば、米国標準技術局によって毎年行なわれているDocument Understanding Conferencesを通じて開発された多文書要約の評価規準を用いることができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、要約エンジン135は、ソース・テキストを単に短縮するばかりでなく、ソース・テキストの主要な観点を巡って整理された情報を提示して、所与の主題についてのさらに多様な視点を表わす。かかる品質を達成すると、所与の主題の概要にさらに類似した自動式多文書要約を用いることができる。
【0041】
多文書要約規準は、次の1又は複数を含み得る。すなわち、全テキスト・セクションをナビゲートすることを容易にする主コンテンツの骨子を含めた明確な構造、各セクションの内部のテキストが意味のある段落に分割されていること、一般的な観点から特定テーマの観点への緩やかな移行、及び読み易さ等であり、読み易さに関して述べると、自動式概要作成は、例えばそれぞれの文書(例えばウェブ・ページ)からの書面に無関係な「情報雑音」が存在しないこと、概要に述べられても説明されてもいない主題への懸垂参照(参照先のない参照)が存在しないこと、一つの文章を横断するテキスト分断が存在しないこと、及び意味論的な冗長性が存在しないこと等を呈し得る。
【0042】
幾つかの実施形態では、要約アプローチは次の三つのステップを含んでいる。すなわち、1)セグメント分割、2)クラスタ生成/分類、及び3)要約生成である。最初のテキストのセグメント分割は、既存の段落境界に基づいて文書を段落に分割する又は「チャンキング(chunking)」することにより行なわれる。例えば副題及び一行段落はマージされ得る。段落境界が存在しない場合には、例えばN語毎(例えば20語毎)に分割することによりチャンキングを実行することができる。
【0043】
クラスタ生成について述べると、1又は複数の自然言語処理(「NLP」)手法を適用して、例えば二つの語集合の間の類似性を測定することができる。例えば、類似した連語(例えばNグラム)を含む段落を識別し、二つの節(パッセージ)が類似しているか否かを決定する類似度を定義する。例えば、類似度は、余弦関数に似た出力を与えることができる(例えば値が1に近い結果ほど類似性が大きいことを示す)。これらの尺度を用いて、節の対の全てについて節類似性スコアを算出することができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、多くの節が存在するときにはクラスタの全ての組み合わせを検査すると計算コストが高くなる。従って、クラスタ生成は、シード・クラスタ生成及び分類の二段階で行なわれ得る。シード・クラスタ生成では、標的数のクラスタが見出されるまで完全リンク(complete-link)アルゴリズムを用いることができる。例えば、標的数のクラスタはlog(文書数)に等しくすることができる。次いで、分類では、最もよくマッチするシード・クラスタを見出すことにより残りの節を分類する。節が類似性を有しない場合には、この節はごみクラスタに配置される。
【0045】
次いで、要約生成のために、最も特徴的な段落を各々のクラスタから取り出して、「メタ文書」を形成する。次いで、単一文書要約器を用いて、集合全体についての「要約」を作成する。要約は、情報とバンドルされて、バンドル140として与えられる。
【0046】
作動時のワークフロー100の一例として、患者に手術を行なうに先立って、医師が患者は如何なるアレルギーを有するかを知りたいと想定する。患者のアレルギーについての情報は、様々なシステムにおいて文書リポジトリ、ファイル・システム、及びデータベース120の組み合わせを用いて記憶され得る。ICE125を用いて、患者のアレルギーについての多様な情報を見出し、バンドルして、医師に提示する。幾つかの文書の段落の内部に埋め込まれている情報もあれば、例えばデータベースのテーブルに見出される情報もある。システムのデータベースが公開されたときに(例えば連結性フレームワーク(Connectivity Framework)を通じて)、ICE125及びICE125のQUEENエンジンは、データベース120に接続して情報について問い合わせることができる。データベースが特定のシステムについては利用可能でないときにも、このシステムのための文書リポジトリを依然として探索することができる。文書要約器135を用いて、検索された文書の要約を与えて、検索された文書から関係する節をクラスタ化して、関係する患者情報を得る。情報はバンドル140として整理された後に利用者に届けられる。情報は、例えば基礎となるリポジトリから、情報形式、意味性、情報関連性、及び信頼性スコアに基づいて整理され得る。
【0047】
幾つかの実施形態では、ワークフロー100は、クエリ生成エンジン115を用いて連結性フレームワーク構成要素から関連情報を継続的に探索することにより利用者を支援する。続いて、利用者に対する適当なプレゼンテーションのために情報を変換する情報編成エンジン125を通じてこれらの結果を分類してバンドル化する。
【0048】
幾つかの実施形態では、適応型ユーザ・インタフェイス(「UI」)設計が、セマンティック・ウェブ技術を利用することにより達成される。例えば、ドメインの概念及び関係をオントロジーの階層として特徴付けて、上位レベルのオントロジー型構成体に関連付けて適応型の推論及び拡張性を可能にする。
【0049】
コア・オントロジーが、1又は複数の業務中心設計原理から導かれ得る。例えば、実効的なインタフェイスは、特定の形式の問題を解くために設定された業務ドメインに対して利用者が必要とする視点を表わす情報を表示することができる。もう一つの例として、現在の業務コンテキストにおいて利用者にとって最も重要な情報を焦点エリアに表示して、利用者の注意を引くことができる。コンテキストを保存して業務管理を支援するために、表示器の辺縁に参照情報を提供することができる。さらにもう一つの例として、利用者自身の業務オントロジー(例えば用語及び意味)が、インタフェイス表示の情報要素についての一次ソースであるものとする。
【0050】
このように、幾つかの実施形態は、個々の需要に合わせて特化され業務ドメインの変化に応答する業務中心アプリケーションを利用者に提示するために、オントロジーのメタデータについて「推論」し得る制御器の利用を介して適応型ユーザ・インタフェイス能力を提供する。かかるユーザ・インタフェイス能力は、アプリケーション・コンテキスト感受型の態様で目標とされる情報を送り届けるインタフェイスを提供することにより、連結性フレームワークがアクセスし得る「外部」データを拾い読みすることに関連する問題を回避するのを補助する。
【0051】
人間−コンピュータ間の相互作用では、ユーザ・インタフェイス・データ、イベント、及び頻度を表示し、記録して、エピソードとして整理することができる。表示画面に配置されるデータ、エピソード頻度、及び含意関係を算出することにより、特定アプリケーション向けエピソード連関を自動的に導いて、アプリケーション・インタフェイスが利用者に対し時宜に適った援助を適応的に与えるのを可能にすることができる。例えば相互作用追跡、エピソード識別、利用者パターン認識、利用者意図予測、及び利用者プロファイル更新を含めた適応型ユーザ・インタフェイスを設計することに関連する問題を識別することにより、インタフェイスは、利用者のために動作して幾つかの認識された計画に基づいてアプリケーションと相互作用することができる。様々な利用者の需要に適応するために、インタフェイスは、例えば利用者プロファイル及び特定疾患向けワークフローを学習することにより援助を個人別に構成することができる。
【0052】
図2は、本発明の一実施形態による適応型ユーザ・インタフェイス(「UI」)200の一例を示す。UI200は、ログイン及び利用者識別エリア205、患者識別エリア210、警告212、及びウィジェット表示エリア215を含んでいる。利用者識別エリア205は、UI200にアクセスするために現在ログインしている利用者を識別する。患者識別エリア210は、氏名、識別番号、年齢、性別、生年月日、社会保険番号、及び連絡先情報等のような目標患者についての識別情報を提供する。警告212は、患者はアレルギーを有しないという指標のように利用者に注意を促すための患者情報を提供し得る。ウィジェット表示エリア212は、UI200を介して利用され利用者によって配置可能な1又は複数のウィジェットを含む。
【0053】
例えば、図2に示すように、ウィジェット表示エリア212は、ウィジェット220、230、240、250、260、280を含んでいる。ウィジェットは、多様な情報、臨床判定支援、探索能力、及び臨床的作用内容等を提供し得る。例えば図2に示すように、ウィジェット220は、生命徴候/検査室ウィジェットである。生命徴候ウィジェット220は、患者についての1又は複数の生命徴候及び/又は検査室検査結果の視覚的指標を与える。例えば、指標は、血圧221、尿検査223、体重225、ブドウ糖227、及び体温229を含み得る。各々の指標が、型及び値を含む。例えば、血圧指標221は、型222(例えば血圧)及び値224(例えば200/130)を含む。各々の指標221、223、225、227、229が、当該指標から成分情報の重要性を示すための何らかの色及び/又は何らかの大きさを有する。例えば、血圧指標221は、ウィジェット220において最も寸法が大きい指標であって、利用者に対し、他の結果を凌ぐ血圧測定値221の相対的な重要性を視覚的に示している。尿検査223は次に重要であり、以下同様である。もう一つの例として、血圧221を赤色とし、尿検査223を橙色とし、体重225を黄色とし、ブドウ糖227及び体温229の両方を緑色とする。色を用いて、成分値の重篤度又は重要度を示すことができる。例えば、赤色にした血圧221は最大の重要性を意味し、橙色にした尿検査223は次に重要であり、以下同様である。このように、指標の大きさ及び/又は色を共に及び/又は別個に用いて、利用者に対し、患者の生命徴候及び検査室結果の調査に置かれるべき優先順位の直接的な視覚的指標を与えることができる。幾つかの実施形態では、指標の選択によって、指標についての情報を生成するのに用いられたデータ、結果、及び/又は文書(1若しくは複数)を検索する。
【0054】
ウィジェット230は、面談要約、報告、及び画像解析等のような患者に関係する臨床文書の一覧を提供する。文書情報は、文書型231、文書作成者232、文書日付233、文書からの評価234、文書状態235、及び文書に対する行動236を含み得る。例えば、文書ウィジェット230のエントリは、来診要約型231であり、アマンダ・ミラー医師の作成者232によって2008年3月12日の日付233に生成され、子癇前症の可能性との診断234であって、状態235が署名済みであり、行動236が検討であり得る。利用者は、文書エントリを選択して、ウィジェット230に参照されている実際の文書を検索して表示することができる。
【0055】
ウィジェット240は、利用者による検討のための1又は複数の撮像検査を提供する。撮像検査ウィジェット240は、1又は複数の画像244を撮像型246及び評価248と共に含んでいる。例えば、図2に示すように、ウィジェット240は、正常と評価された頭部CT及び正常と評価された胎児超音波画像を含んでいる。
【0056】
ウィジェット250は、患者について識別された1又は複数の問題252、254の視覚的表現を提供する。生命徴候ウィジェット220と同様に、問題指標252、254は、何らかの色及び/又は何らかの大きさを有して、問題指標からの成分情報の重要性を示すことができる。例えば、高血圧問題指標242は赤色にされて他の問題指標254よりも大きい。このように、指標の大きさ及び/又は色を共に及び/又は別個に用いて、利用者に対し、患者問題の調査に置かれるべき優先順位の直接的な視覚的指標を与えることができる。幾つかの実施形態では、問題指標の選択によって、指標についての情報を生成するのに用いられたデータ、結果、及び/又は文書(1若しくは複数)を検索する。
【0057】
ウィジェット260は、患者の来診の1又は複数の理由を利用者に提供する。来診理由ウィジェット260は、理由262と、利用者が付加的な詳細を表示するために理由262を展開する又は付加的な詳細を隠すために理由262を収縮させることを可能にするアイコン264とを含んでいる。理由262は、ウィジェット220、250からの指標と同様に色分けされて、優先順位、重要性、及び重篤性等の視覚的指標を与えることができる。
【0058】
ウィジェット270は、患者に処方された薬物の一覧を提供する。薬物ウィジェット270は、薬物の型272、当該薬物の量274、及び当該薬物の送達機構276を含んでいる。幾つかの実施形態では、薬物の選択は、例えば当該薬物についてのさらなる詳細及び関連する指示を展開することができる。
【0059】
例えば図2に示すように、利用者はカーソル280を操作して、ウィジェットを選択して、ウィジェットを位置285に配置することができる。このように、利用者は表示のためのウィジェットを選択し、次いで、UI200のウィジェット表示エリア215での各ウィジェットのレイアウトを構成することができる。代替的に及び/又は加えて、利用者は、ウィジェット表示エリア215においてウィジェットを再配置して、UI200のレイアウトを修正することができる。例えば、カーソル280を用いて、利用者は、ウィジェット表示エリア215の何らかの地点285に来診理由ウィジェット260を配置することができる。
【0060】
UI200はまた、利用者別ダッシュボード292、患者一覧294、及び設定/プレファレンス・パネル296等のような他の臨床作用内容への1又は複数のリンクを提供することができる。
【0061】
幾つかの実施形態によって、健康管理情報システムが患者診療の時間線を横断して関連情報を見出して活用することを可能にする。例えば、探索主導型ロール・ベースのインタフェイスによって、末端利用者が、健康管理網を横断してシームレスに医療情報にアクセスし、医療情報を入力し、また検索することを可能にする。適応型ユーザ・インタフェイスが、個々の需要に合わせて特化され、例えば業務ドメインの変化に応答する業務中心インタフェイスを通じて諸能力を提供する。セマンティック技術を強化して、ドメイン概念、利用者のロール及びタスク、並びに情報関係をモデル化することができる。セマンティック・モデルによって、アプリケーションが、利用者及びタスクのコンテキスト情報に基づいてさらに実効的に情報を見出し、整理して、利用者に提示することを可能にする。クエリ及び結果生成のための枠組みを形成する構成要素としては、アプリケーションを構築するためのユーザ・インタフェイス・フレームワーク/構成要素、セマンティック情報及びコンテキストに基づくさらに効率のよい検索、集計、及び情報の編成を可能にするサーバ構成要素、並びにヘテロな情報源を分散環境において接続するデータ・アクセス機構等が挙げられる。
【0062】
Microsoft(商標)ASP.NET、Ajax(商標)、Microsoft(商標)Windows Presentation Foundation、Google(商標)Web Toolkit、Microsoft(商標)Silverlight、Adobe(商標)、及び他を含めた多様なユーザ・インタフェイスのフレームワーク及び技術を用いてアプリケーションを構築することができる。アプリケーションは、例えばマルチ・コンテンツ及びマルチ・メディア情報を表示するための情報ウィジェットのライブラリから構成され得る。加えて、フレームワークによって、利用者が、ウィジェットのレイアウトを特化して、基礎となるデータと相互作用することを可能にする。
【0063】
健康管理情報は、多様なデータベース及び記憶(ストレージ)技術、並びにデータ型を用いて多数のアプリケーションに分散され得る。これらのアプリケーションを横断して存在するデータへの共通のインタフェイス及びアクセスを提供するために連結性フレームワーク(「CF」)を提供し、連結性フレームワークは、共通データ・モデル及び共通サービス・モデル(「CDM」及び「CSM」)、並びにエンタープライズ・サービス・バス(ESB)のようなサービス指向型技術を強化してデータへのアクセスを提供する。
【0064】
図3は、図2に関連して説明したユーザ・インタフェイスのようなユーザ・インタフェイスを含むモバイル装置の例を示す。図3に示すように、モバイル装置310が、グラフィック・ユーザ・インタフェイス320、ナビゲーション装置330、及び例えばインタフェイス320のコンテンツとの相互作用のための1又は複数のツール340を含み得る。モバイル装置310は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ポケット・パーソナル・コンピュータ、及び/又は他の可搬型計算装置を含み得る。モバイル装置310は、例えば外部システムとデータを交換するための通信インタフェイスを含んでいる。
【0065】
モバイル・サービスとウェブ・サービスとの組み合わせを用いて、モバイル装置310を介した情報の送達を行なうことができる。モバイル・ウェブ技術を用いると、ポータビリティ、ユビキタスな連結性、及び位置に基づくサービスを加えて、ウェブに存在する情報及びサービスを強化することができる。アプリケーション及び様々な媒体は別個の貯蔵所(silo)に常駐していなくてもよい。代わりに、これらの装置310に搭載されているアプリケーションは、例えばウェブ2.0アプリケーション、従来のデスクトップ・アプリケーション、マルチ・メディア動画及び音声、並びにモバイル装置(例えば携帯電話)の各要素を収集することができる。適応型ユーザ・インタフェイス・アーキテクチャを用いて、利用者が、例えば必要なときに必要な場所で重要な臨床情報を作成し又は消費することを可能にするモバイル装置用のウィジェットを設計することができる。
【0066】
図4は、本発明の一実施形態による周産期診療における適応型の業務中心ユーザ・インタフェイス400のユース・ケースの一例を示す。図4の例では、35歳の妊婦パトリシア・スミスが3回目の妊娠の34週目にある。診療の全過程を通じて、パトリシアは、初期検査室検査、生命徴候、三次元(「3D」)胎児超音波、及び他の常套検査を含めて典型的な精密検査を受けている。妊娠性糖尿病を除けばパトリシアは正常な妊娠をしており、全ての指標が、出産予定日に健康な男児を出産するであろうことを示す。
【0067】
しかしながら、34週目の予約診療時に、パトリシアの担当産婦人科医は、血圧が以前の測定値145/95に比べて高く、血圧に幾分懸念を感じる。アマンダ・ミラー医師は、心電図(「EKG」)及び尿検査(「UA」)を指示する。パトリシアのEKGは正常洞調律を示すが、UAが、子癇前症を示唆する痕跡量のアルブミンを含めて返ってくる。ミラー医師は、血圧及び腎作用を監視するためにパトリシアに次回の予約を今日から1週間後に入れるように求める。
【0068】
次の週に、パトリシアの血圧は前回の値(150/98)よりも高く、ミラー医師はもう一度尿検査を指示する。UAは再び陽性と返ってくるが、前回と略同じレベルにある。ミラー医師は、念のため血圧が正常なレベルに下がるまで毎週の来診を続けた方がよいと考える。また、ミラー医師はパトリシアに、子癇の一つの警戒徴候は、突然の激しい頭痛であり、頭痛を起こした場合には診療のための直ちに救急病棟に来診するように伝える。
【0069】
週末に開かれた息子の5歳の誕生日パーティで、パトリシアは激しい頭痛を起こす。夫のトムは、直ちに妻を地域の病院の救急病棟(「ED」)に連れて行く。EDの職員は、例えば長期時間線カルテを介してパトリシアのカルテの全てを入手し、パトリシアの症例の様相の全てについて情報を得る。パトリシアの血圧(「BP」)は200/130まで急上昇し、EDの医師は一連の検査すなわちUA、EKG、化学検査(Chem panel)、及び頭部CTを指示する。化学検査及び頭部CTは両方とも正常であるが、ミラー医師が危惧した通り、UAはアルブミン・レベルの上昇(2+)を示す。これらの検査結果及びパトリシアの状態から鑑みて、EDの医師及びミラー医師は、最善の行動の進路は、パトリシアの血圧が治まり次第、帝王切開で分娩を行なうことであると決断する。パトリシアは、高血圧を制御するためのヒドララジン(静注を介して)、及び頭痛のためのタイレノール3を投与されて、手術準備室に搬送される。
【0070】
帝王切開は成功し、パトリシア及びトムは6ポンド4オンスの健康な男児エヴァンを無事授かる。1週間の入院の後に、パトリシア及びエヴァンは退院する。パトリシア及びエヴァンの両者は1週間後にミラー医師の診察を受ける。パトリシアのアルブミン及び血圧は正常に戻っており、血糖レベルも正常になっている。
【0071】
ユーザ・インタフェイス400を用いて、ミラー医師は、患者の識別405に基づいてパトリシアの経過、検査室結果、及び生命徴候等を容易に検討し、入力し、修正することができる。UI400は、パトリシアの生命徴候410を表示し、パトリシアの血圧に懸念があることを大きい赤のアイコン415を通じて視覚的に示す。加えて、異常のある尿検査結果417が医師に対して視覚的に強調される。尿検査の臨床詳細情報410は、陽性425又は陰性427の結果を示すように主要な結果を強調した状態で容易に検討され得る。ミラー医師は、パトリシアについて指示した放射線検査430及び心臓検査440を検討することができ、パトリシアの経過を評価するために以前の経過メモ455を含めて文書450を調べることができる。ミラー医師(及び/又は例えば補助の看護師)はまた、パトリシアの来診の理由460を入力して検討することができる。ヒドララジン及びタイレノール3を処方した後に、ミラー医師は、薬物ウィジェット470を介して投与量及び送達方法を確認すると共に、帝王切開の後に修正することができる。ミラー医師がさらに疑問を感じ、且つ/又は追加情報を検索したい場合には、検索欄480によって検索を行なうことができる。
【0072】
図5は、本発明の幾つかの実施形態によるユーザ・インタフェイス・アーキテクチャ500を示す。アーキテクチャ500は、ユーザ・インタフェイス変換エンジン502、クエリ生成/展開エンジン503、情報編成エンジン509、多文書要約エンジン514、及び連結性フレームワーク545への1又は複数のコネクタ519を含む。アーキテクチャ500のこれらの構成要素は、コンピュータ又は掌中型装置のような処理装置に設けられたユーザ・インタフェイス501を介して利用者によってアクセス可能である。利用者は、例えばユーザ・インタフェイス501を介して情報についてのクエリを発行することができる。
【0073】
クエリ生成/展開エンジン503は、刺激504、1又は複数のクエリ生成器505、並びにクエリ及び収集された文書508を生成するために1又は複数のデータ・ソース507を探索する1又は複数のアクセス機構506を含む。クエリ及び収集された文書508は、アプリケーション510、511、512、513を含む情報編成エンジン509に渡されて、これらのアプリケーションが例えば処理を行なって認知推論を適用し、クエリ及び収集された文書508を整理して、例えばセマンティック・ガイドライン、利用者プレファレンス、及びドメイン関連情報の1又は複数に基づいて、要求を出した利用者にとって意味のある1又は複数のユニットにまとめる。編成器を含むツールセットが、集計、冗長な情報の消去、情報の軽量要約、及び結果の融合のような編成判定論理(「CDL」)を用いて情報を編成することができる。アプリケーションは、例えば1又は複数のデータ主導型アプリケーション510、エンタープライズ・アプリケーション・インタフェイス511、作業/工程主導型アプリケーション512、及び特定データ構造向けアプリケーション513を含み得る。アプリケーション510、511、512、及び/又は513は、新たなデータ型、新たなデータ構造、特定ドメイン向け作業/工程、及び新たなアプリケーション・インタフェイス等に関係する1又は複数のひな型を含み得る。クエリ及び収集された文書508の編成及び処理によって、利用者クエリに応答して情報のバンドル550が生成される。
【0074】
多文書要約エンジン514は、文書のバンドル550を受け取って、文書を節515に分割する。節515は、類似の概念516に基づいてクラスタ化される。次いで、メタ文書517が概念516から形成される。要約518がメタ文書517から生成される。クエリ結果550、メタ文書517、及び/又はメタ文書要約518は、ユーザ・インタフェイス501を介して利用者に与えられ得る。
【0075】
連結性フレームワーク545へのコネクタ519を介して、ユーザ・インタフェイス501及びユーザ・インタフェイス501の各エンジン503、509、514は、例えばインタフェイス501を介した利用者クエリに応答して情報を送受することができる。例えば、クエリ・エンジン503は、連結性フレームワーク545にアクセスして1又は複数のデータ・ソース507に問い合わせを行なうことができる。
【0076】
連結性フレームワーク545は、クライアント・フレームワーク520を含む。クライアント・フレームワーク520は、1又は複数のプロダクト522のためのコンテキスト・マネージャ521、患者検索523、レジストリ・ナビゲータ524、及びビューア525を含む。このようにして、幾つかの実施形態では、連結性フレームワーク520は、ユーザ・インタフェイス501を介して、またユーザ・インタフェイス501とは別個に、情報を観察して情報にアクセスするのを容易にすることができる。連結性フレームワーク545を介して、クエリ・エンジン503、及び/又はユーザ・インタフェイス501の他の部分が、複数の階層を通じて情報及び/又はサービスにアクセスすることができる。
【0077】
階層は、例えばクライアント・フレームワーク階層526、アプリケーション階層528、及び統合階層530を含み得る。クライアント・フレームワーク階層526は、例えば情報の入出力を容易にする1又は複数のクライアント・ウェブ・サーバ527を含む。アプリケーション階層528は、ビジネス・アプリケーション、電子カルテ、エンタープライズ・アプリケーション、及び電子健康管理ポータル等のような事業体及び/又は部署利用に関係する1又は複数のアプリケーション529を含む。統合階層530は、ウェブ・サービス(「WS」)、X12、及び健康管理規格レベル7(「HL7」)等のような多様なメッセージ形式を用いた既定インタフェイス及び/又は特化型インタフェイスのような1又は複数の既製インタフェイス536及び/又はカスタム・インタフェイス537を介して顧客情報技術(「IT」)543と通信する相互運用性強化型プラットフォーム・サーバ535を含む。相互運用性強化型プラットフォーム535は、例えば共通サービス・モデル(CSM)を介してアプリケーション階層528の1又は複数のアプリケーション529と通信することができる。
【0078】
例えば図5に示すように、相互運用性強化型プラットフォーム535は、例えばエンタープライズ・サービス・バス(「ESB」)531、レジストリ、データ及びサービス集合532、構成情報533、及び臨床コンテンツ・ゲートウェイ(「CCG」)・インタフェイス・エンジン534を含む。ESB531は、例えばJava(商標)ビジネス・インテリジェンス(「JBI」)準拠型ESBであってよい。ESB531は、X12、HL7、及びSOAP(単純オブジェクト・アクセス・プロトコル)等のような特定のプロトコル/データ型を用いて例えばメッセージ及び/又は他のデータを送信するウェブ・サービスにアクセスする1又は複数の端点又は位置を含み得る。CSMを用いて、ESB531は、例えばアプリケーション階層528のアプリケーション529との通信を容易にする。ESB531を介して、各レジストリの情報、データ及びサービス・リポジトリ532の情報を、例えばクエリに応答してアプリケーション階層531に与えることができる。構成情報533を用いて、権限を有する利用者、個々の利用者及び/又は利用者のグループ/形式の権限のレベル、セキュリティ構成情報、プライバシー設定、並びに監査情報等のような1又は複数のパラメータを指定することができる。CCGインタフェイス・エンジン531は、顧客のITフレームワーク543からデータを受け取って、例えばレジストリ532、及び/又はアプリケーション階層531のアプリケーション529にデータを与える。
【0079】
例えば図5に示すように、顧客IT543は、サード・パーティの電子メッセージ伝達インタフェイス(「eMPI」)538のためのサポート、地域健康情報機関(「RHIO」)539のためのサポート、1又は複数のサード・パーティのアプリケーション540、事業体間文書共有(「XDS」)リポジトリ541のためのサポート、及びXDSレジストリ542のためのサポート等を含む。相互運用プラットフォーム535と共に顧客IT543を用いて、RHIOゲートウェイ及びサード・パーティのアプリケーション統合を、連結性フレームワーク545への1若しくは複数のインタフェイス及び/又はユーザ・インタフェイス501のクエリ生成/展開エンジン503を介して提供することができる。
【0080】
顧客ITフレームワーク543は、複数の機関に跨がって健康管理情報の記憶、アクセス及び検索自在性を提供するように構成され得る。顧客ITフレームワーク543は、地域社会、地方、国家、及び関連健康管理施設群等にサービスを提供し得る。例えば、顧客ITフレームワーク543は、RHIO539、国民健康情報網(「NHIN」)、及び医療品質向上協会(「MQIC」)等によって具現化され得る。幾つかの実施形態では、顧客IT543は各健康管理情報システムを接続して、安全、持続可能で且つ規格に基づいた態様で各システムを相互運用することを支援する。
【0081】
幾つかの実施形態では、顧客ITフレームワーク543は、例えばEMR能力及び集団調査型(population-based)臨床品質報告システムを含めて、技術的アーキテクチャ、ウェブ・アプリケーション、データ・リポジトリを提供する。このアーキテクチャは、XDSレジストリ542及びリポジトリ541のような文書記憶、クエリ発行、及び連結性のための構成要素を含む。幾つかの実施形態では、XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、例えば医師のための会員制方式のEMRへの選択肢を含み得る。幾つかの実施形態では、XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、患者及び権限を有する医療診療所にとってアクセス可能な患者カルテ・データ及び関連する監査ログを暗号化された形態で記憶するように構成されているデータベース又は他のデータ記憶部として具現化される。一実施形態では、XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、サーバ又はサーバ群として具現化され得る。XDSレジストリ542及びリポジトリ541はまた、別個の物理的位置にある他のサーバ又はサーバ群に接続された一つのサーバ又はサーバ群であってよい。XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、単一の単位、別個の複数の単位、又は別個の形態にある単位の群に相当することができ、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして具現化され得る。XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、複数の情報源から医療情報を受け取ることができる。
【0082】
例えばXDS規格を顧客ITフレームワーク543において用いると、さらに効率よく一様な情報交換のために文書クエリ発行及び記憶を統合することができる。顧客IT543を用いると、品質報告及び調査は、RHIO539及び/若しくは他の環境において、且つ/又はRHIO539及び/若しくは他の環境と共に、統合され得る。顧客IT543は、例えば他の規格に基づくシステムと統合してかかるシステムに適応し得る単一ベンダの統合型システムを提供することができる。
【0083】
顧客ITフレームワーク543を介して、EMR利用者群は、XDSレジストリ542及びリポジトリ541にデータをプールすることに合意し得る。次いで、顧客ITフレームワーク543は、この群に研究用集計データ、患者診断及び治療の最善の実行、並びに品質向上ツール等へのアクセスを提供することができる。
【0084】
XDSは、患者EMRを形成する臨床文書に対して登録、配信、及びアクセスを複数の健康管理事業体に跨がって提供する。XDSは、スケーラブルなアーキテクチャを介して患者文書の記憶、索引作成、及びクエリ/検索のためのサポートを提供する。但し、幾つかの実施形態は、多数の連携ドメイン(共通の方針集合及び単一のレジストリを介して互いに医療コンテンツを共有する方針について合意した健康管理事業体(エンタープライズ)システムの群として定義される)を、各々の連携ドメインが別個の連携ドメインとして自律性を保つが他の関係する連携ドメインとハードウェア及びソフトウェアの一方を共有するようにしてサポートする。XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、各々の連携ドメインに参加する臨床システムを記述するのに用いられる連携ドメイン関係テーブルを保持し得る。一旦、文書への要求が発行されたら、要求発行元は既知であり、この発行元を用いてリポジトリ541の何れの文書(1又は複数)が要求した利用者に公開されるかを決定し、このようにして連携ドメインの自律性を保つ。
【0085】
幾つかの実施形態では、XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、利用履歴を含めた患者カルテについての暗号化された更新トランザクションを記憶する中央データベースに相当する。一実施形態では、XDSレジストリ542及びリポジトリ541はまた、患者カルテを記憶している。XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、暗号化された情報へのアクセスを記憶して制御する。一実施形態では、カルテに特定的な論理構造を用いずにカルテを記憶することができる。かかる態様では、XDSレジストリ542及びリポジトリ541は検索可能でない。例えば、患者のデータを、データのソースにおいて一意の患者所有キーによって暗号化することができる。次いで、データはXDSレジストリ542及びリポジトリ541にアップロードされる。患者のデータは、例えばコンピュータ・ユニットにダウンロードされて、暗号化キーによってローカルで解読され得る。一実施形態では、アクセス用ソフトウェア、例えば患者によって用いられるソフトウェア及び診療所によって用いられるソフトウェアが、暗号化/解読を行なう。
【0086】
幾つかの実施形態では、XDSレジストリ542及びリポジトリ541は、患者の登録及び診療所の登録を保持する。診療所は、XDSレジストリ542及びリポジトリ541に名称、住所、及び他の識別情報によって登録され得る。診療所は、免許に関連付けられる電子的キーを発行されている。診療所はまた、セキュリティ範疇を認められている。セキュリティ範疇は典型的には、診療所の形式に基づく。幾つかの実施形態では、診療所から送られる要求及びデータは、診療所の免許によってディジタル的に署名されて、XDSレジストリ542及びリポジトリ541によって権限を与えられる。患者は、患者識別子及びパスワード・ハッシュによってXDSレジストリ542及びリポジトリ541に登録され得る。患者はまた、氏名、住所、及び他の識別情報によってXDSレジストリ542及びリポジトリ541に登録されてもよい。典型的には、登録された患者は、一意の患者識別子及び暗号化キーを含むトークンを発行される。トークンは、例えば磁気カード、フォブ・カード(fob card)、又は患者を識別するのに用いられ得る他の何らかの装置であってよい。患者は、自分のトークン、並びに一実施形態では利用者識別子及びパスワードを用いて、XDSレジストリ542及びリポジトリ541にアクセスすることができる。
【0087】
幾つかの実施形態では、ユーザ・インタフェイス・アーキテクチャ500の設計は、システムの相互作用性に関係する複数の要因によって誘導される。例えば、一つの要因はシステム状態の可視性である。システムは、妥当な時間内に適当なフィードバックを通じて何が進行しているかについて利用者が情報を得られる状態にすることができる。加えて、もう一つの要因は、システムと「現実世界」との間の一致である。システムは、システム指向の用語ではなく、語、句及び概念が利用者にとって馴染みのある利用者の言語を発することができる。例えば、情報は、現実世界の慣行に従って自然で論理的な順序で現われ得る。加えて、一貫性及び標準に関して述べると、利用者は、異なる語、状況、又は行動が同じ物事を意味するか否かを疑問に感じなくても済むものとする。インタフェイス・アーキテクチャは、例えばプラットフォームの慣行に従うことができる。
【0088】
もう一つの要因例は、利用者の制御及び自由に関するものである。利用者はしばしば、誤ってシステム作用を選択して対話(ダイアログ)を引き延ばさずに望まない状態から去るために分かり易く標識された「非常口」を必要とする。幾つかの実施形態は、例えばシステム・パラメータの構成設定及び情報クエリに関する動作のアンドゥ(取り消し)及びリドゥ(やり直し)をサポートする。
【0089】
もう一つの要因は誤りの予防である。誤り易い条件を解消してもよいし、システムが誤りの状態を調べて、利用者に確認の選択肢を提示してから救済行動を実行してもよい。加えて、幾つかの実施形態は、利用者が誤りを認識し、診断して、修復するのを補助することができる。エラー・メッセージを分かり易い言語(例えばコードは用いない)で表現し、問題を正確に指摘して、例えば解決策を建設的に示唆することができる。システムをドキュメンテーションなしに用いることができる方がよい場合でも、ヘルプ及びドキュメンテーションを提供することが必要な場合がある。あらゆるかかる情報が、例えば検索し易く、利用者の作業に焦点を合わせ、実行されるべき具体的なステップを列挙して、且つ過度に膨大でないものとすることができる。
【0090】
利用者相互作用の容易さに関して述べると、システムは、目的、行動、及び選択肢を可視化することにより利用者の記憶の負担を減少させ又は最小にすることができる。利用者は、対話の一つの部分からもう一つの部分まで情報を覚えておかずに済む。システムの利用のための命令は、可視であるか、適当なときに何時でも容易に検索可能であり得る。さらに、初心者にはしばしば見えない加速器によって、熟練利用者のために相互作用をしばしば加速することができ、システムが非熟練利用者及び熟練利用者の両方の要求を満たし得るようにしている。幾つかの実施形態では、利用者は、頻度の高い行動を特別に構成することができる。加えて、表示される対話は、無関係な情報又は滅多に必要とされない情報を含めないように構成され得る。対話のあらゆる余分な情報単位は、関連のある情報単位と競合して、相対的な見易さを低下させる。
【0091】
幾つかの実施形態は、視覚化方策として、一つの事業体を横断する大きな臨床データ集合にわたる各種のデータ型のためのグラフィック・ユーザ・インタフェイスを提供する。従って、設計要素は、例えば施設構成要素、単一のアクセス探索点、1又は複数の構成要素/ウィジェット、1又は複数のカルテのグリッド/フォーム、予定、臨床データ結果、グラフ、作業一覧、メッセージ発行/共同作業構成要素、マルチ・スケール画像(例えばディープ・ズーム)、1又は複数の外部構成要素、メール、RSSフィード、外部ウェブに基づく臨床ツール(例えばWebMD)等を含み得る。サーバ構成要素は、例えば検索エンジン、ウェブ・サーバ、アクティブ・リスナ、情報編成エンジン、クエリ・エンジン、データ集計器、文書要約器、プロファイル・コンテキスト管理、並びに1又は複数のダッシュボード(例えば臨床及び管理用)等を含み得る。
【0092】
図6は、本発明の一実施形態によるアクティブ・リスニング及び応答能力を含む適応型ユーザ・インタフェイス・システム600の一例を示す図である。システム600は、例えばアクティブ・リスナ・エージェント610、ユーザ・インタフェイス620、コンテンツ630、及び入力640を含む。システム600の構成要素は、例えばソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの様々な別個の及び/又は統合された組み合わせとして具現化され得る。
【0093】
コンテンツ630は、ユーザ・インタフェイス620を介して利用者に表示される。コンテンツ630は、図2及び図4に関して上述したウィジェットのような1又は複数のウィジェット、アプリケーション、データ表示、及び画像等を含み得る。ユーザ・インタフェイス620を介して、利用者は、インタフェイス620に表示されるコンテンツ630に影響を与える入力640を与えることができる。アクティブ・リスナ・エージェント610は、表示されたコンテンツ630及び利用者入力640をユーザ・インタフェイス620のバックグラウンドにおいて監視する。コンテンツ630に基づく利用者入力640に応答して、アクティブ・リスナ・エージェント610は、ユーザ・インタフェイス620を介して既存のコンテンツ630及び入力640に関係するさらに他のコンテンツ630を与えることができる。アクティブ・リスナ・エージェント610は、例えば利用者及び利用者の作業についてのコンテキスト情報に基づいて、情報を見出し、整理して、利用者に提示することができる。
【0094】
例えば、図2に示すように、ユーザ・インタフェイス200は、生命徴候ウィジェット220及び患者問題ウィジェット250のようなコンテンツ630を表示する。利用者が患者の来診理由250を入力する640と、アクティブ・リスナ・エージェント610は、患者の現在の薬物が、患者の問題及び来診理由を検討する医師にとって関心があると決定して、付加的なコンテンツ630を薬物情報ウィジェット270の形態で提供する。
【0095】
もう一つの例として、図4に移り、ユーザ・インタフェイス400は、特に生命徴候/検査室ウィジェット410、薬物ウィジェット470、及び来診理由ウィジェット460のようなコンテンツ630を表示する。アクティブ・リスナ・エージェント610は、コンテンツ630及び利用者入力640を監視することができる。生命徴候/検査室ウィジェット410からの尿検査情報417に基づいて、アクティブ・リスナ・エージェント610は、利用者が尿検査及び関係する検査室結果に関するさらなる臨床詳細情報420に関心を持つ可能性が高いと決定する。このように、例えば臨床検査室詳細パネル420をインタフェイス400を介して提供することができる。
【0096】
幾つかの実施形態では、ウィジェット/アプリケーションのライブラリ及び患者情報から検索される付加情報630を表示することに加え、例えばアクティブ・リスナ・エージェント610は既存のコンテンツ630及び/又は入力640に基づいて新たなコンテンツ630を生成することができる。例えば、利用者が薬物ウィジェット又はアプリケーション(図2に示す薬物ウィジェット270等)から患者薬物情報をドラッグして、この情報を患者問題ウィジェット又はアプリケーション(図2に示す問題ウィジェット250等)まで移動させた場合には、新たなウィジェットを生成して(且つ/又は問題ウィジェットを修正して)、高血圧のような患者問題と、ヒドララジンのような患者によって摂取されている薬物との間の相関を示して、問題に対処することができる。
【0097】
幾つかの実施形態では、修正された及び/又は新たに作成されたウィジェット及び/又は他のアプリケーションを後の利用に備えて保存することができる。例えば、利用者がウィジェットを保存することもできるし、且つ/又はシステムがウィジェットを自動的に保存することもできる。例えば、ウィジェットを一般的に保存することもできるし、且つ/又は特定の利用者、モード、及びグループ等に関して保存することもできる。
【0098】
図7は、本発明の幾つかの実施形態による臨床コンテンツとの適応型ユーザ・インタフェイス作用のための方法の流れ図700を示す。
【0099】
ブロック710では、利用者による検討のためにコンテンツを表示する。例えば、患者に関係する臨床コンテンツを、患者の電子カルテ情報へのアクセスのような利用者要求に応答してユーザ・インタフェイスを介して利用者に表示することができる。
【0100】
ブロック720では、利用者入力を受け入れる。例えば、ユーザ・インタフェイスを介して、利用者は、表示されている情報を修正し、表示されているアプリケーションと相互作用し、情報を追加し、さらなる情報を要求する等を行なうことができる。例えば、利用者入力は、患者についての情報の要求、ウィジェットの起動、及びユーザ・インタフェイスの表示での情報の配置等を含み得る。利用者入力は、刺激及びコンテキストのような患者面談に関する情報を含み得る。利用者入力は、利用者によって直接提供されることもできるし、且つ/又は例えばインタフェイスを介して利用者のために表示されている他のアプリケーション若しくはウィジェットを介して抽出されることもできる。
【0101】
ブロック730では、コンテンツ及び入力を監視する。例えば、アクティブ・リスナが、ユーザ・インタフェイスを介してコンテンツ及び活動を「聴取」し又は監視して、利用パターン、関心のある主題、並びに表示されているアプリケーション及び/又はコンテンツに対する変更等を識別することができる。
【0102】
ブロック740では、付加的なコンテンツを提供する。例えば、表示されているコンテンツ及びコンテンツとの利用者相互作用に基づいて、アクティブ・リスナは、利用者にとって有用であると考えられる付加的なコンテンツを提供する。
【0103】
ブロック750では、コンテンツを修正する。例えば、表示されているコンテンツ(例えばアプリケーション及びデータ)との利用者相互作用に基づいて、コンテンツを修正することができる。例えば、患者データを、インタフェイスを介して利用者によって更新することができる。もう一つの例として、利用者は、一つのアプリケーションからもう一つのアプリケーションへ情報を入力し且つ/又は伝達して、新たなアプリケーション(例えば新たなユーザ・インタフェイス・ウィジェット)を作成し、且つ/又は既存のアプリケーションを修正することができる。
【0104】
ブロック760では、修正後のコンテンツを利用者に提供する。例えば、更新済み患者データ、新たなアプリケーション、及び修正後アプリケーション等をユーザ・インタフェイスを介して利用者に提供する。例えば、サムネール、リンク、要約、及び/又は他のデータ表現をユーザ・インタフェイスを介して利用者にグラフィック的に提供することができる。サムネール、リンク、及び要約等の選択によって、例えば利用者による検討のためのさらなるレベルの詳細情報、並びに/又はソース文書の検索及び表示を生成することができる。加えて、新たなウィジェットを、監視されているコンテンツ及び/又は行動に基づいてライブラリから選択して表示することができる。代替的に又は加えて、インタフェイスを介した利用者による利用のために既存のウィジェット及び/又は他の情報から新たなウィジェットを作成することができる。修正後の情報は、例えば後の利用に備えて保存され得る。
【0105】
方法700の各ステップの1又は複数は、例えばハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアの一組の命令として、単独で又は組み合わせて具現化され得る。幾つかの例は、メモリ、ハード・ディスク、DVD、又はCDのようなコンピュータ可読の媒体に常駐して汎用コンピュータ又は他の処理装置において実行される一組の命令として提供され得る。
【0106】
幾つかの例は、これらのステップの1又は複数を省いていてもよいし、且つ/又は列挙されている順序とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。例えば、幾つかのステップは幾つかの例では実行されない場合がある。さらにもう一つの例として、幾つかのステップを、上で列挙したものとは異なる同時を含めた時間的な順序で実行してもよい。
【0107】
このように、幾つかの実施形態は、例えば単一のアクセス点、モダリティ交差型のデータ・アクセス、XDS準拠、プッシュ・プル能力、合意型構築、透明性、利用によって強化される知識管理、プラットフォーム交差型(ウェブ及びモバイル等)のアクセス容易性、並びに利用者の情報空間のシステム・レベル像を含めた複数の利点を提供する。
【0108】
幾つかの実施形態は、多様な臨床アプリケーションのためのアーキテクチャ及びフレームワークを提供する。このフレームワークは、限定しないがグラフィック・ユーザ・インタフェイス(GUI)等を含むフロント・エンド構成要素を含むことができ、また様々な程度までシン(thin)・クライアント・システムであってもシック(thick)・クライアント・システムであってもよく、例えば幾つか又は全てのアプリケーション及び処理が、クライアントのワークステーションにおいて、サーバにおいて、且つ/又は部分的にクライアントのワークステーションにおいて及び部分的にサーバにおいて、実行される。
【0109】
本書に記載されるユーザ・インタフェイス・システム及び方法の例は、病院情報システム(「HIS」)、放射線情報システム(「RIS」)、画像保管及び通信システム(「PACS」)、心血管情報システム(「CVIS」)、図書館情報システム(「LIS」)、事業体臨床情報システム(「ECIS」)、電子カルテ・システム(「EMR」)、及び検査室結果/指示システム等のような1又は複数の臨床情報システムと共に用いられ得る。かかるシステムは、例えばソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアとして具現化され得る。幾つかの具現化形態では、これらのシステムの1又は複数は、シン・クライアント及び/又はダウンロード可能なソフトウェアという解決策を介して遠隔で具現化され得る。さらに、1又は複数の構成要素を共に組み合わせ且つ/又は具現化することができる。
【0110】
幾つかの実施形態では、アクティブ・リスナ・エージェントが、コンピュータ装置、及び/又はユーザ・インタフェイスのようなソフトウェア・アプリケーションのフォアグラウンド及び/又はバックグラウンドで動作して、利用者及びプログラムの活動を監視する。例えば、アクティブ・リスナ・エージェントは、ユーザ・インタフェイスにおけるウィジェットに関係する情報を集めることができる。また、アクティブ・リスナ・エージェントは、例えばユーザ・インタフェイス及びユーザ・インタフェイスのコンテンツに関して利用者によって生成される行動に関係する情報を集めることができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、アプリケーション(例えばウィジェット)情報及び利用者相互作用に基づいて、アクティブ・リスナ・エージェントは、現在のコンテキストに基づいて利用者にとって重要な情報及び/又は作用内容を識別することができる。一実施形態では、ユーザ・インタフェイスに表示されている1又は複数のデータ要素が予め決められた閾値に達したことをアクティブ・リスナ・エージェントが検出した場合には、アクティブ・リスナは、利用者が十分な情報に基づく決定を下すことを可能にするのを補助する付加的な関連情報を含む1又は複数のウィジェットをユーザ・インタフェイスに自動的に配置する。もう一つの実施形態では、アクティブ・リスナ・エージェントは、アプリケーションとの利用者相互作用に反応することにより利用者を補助することができ、また利用者の行動の結果として表示されているユーザ・インタフェイスにウィジェット(1又は複数)の形態にある付加的な情報及び/又は他の情報を表示することにより付加的な見識を提供する。例えば、利用者が何らかのデータ要素を一つのウィジェットからもう一つのウィジェットへドラッグする(例えばマウス装置を用いた該当要素のカーソル選択及び表示されているインタフェイスを横断する移動を介して)と、アクティブ・リスナ・エージェントはこの情報を、表示されているインタフェイスにおいて、データ要素の構成が利用者が結論(例えば患者の診断及び/又は治療に関する)に到達するのを補助するのに有用な異なるレベルの情報を意味するように再配置することができる(例えば大きさ及び/又は位置)。次いで、アクティブ・リスナ・エージェントは、特定のシナリオにおいて有用であり得る既製の関連ウィジェットをインタフェイスに配置することもできるし、且つ/又はユーザ・インタフェイスにおいてデータ・コンテキストに加えて利用者が変更したウィジェットのコンテンツに基づいて、新たなウィジェットを作成することもできる。
【0112】
予め決められたワークフローに焦点を合わせるよりも寧ろ、アクティブ・リスナは利用者に対し、既知のワークフロー又はプロトコルが存在しないような幾つかの状況において利用者にとって助けとなる付加的な情報を提供する。履歴データ及び/又は他の入力に基づいて、システムは、利用者が情報に基づいた決定を下すのに関連する付加的な情報及び/又は作用内容を利用者に対して表示する。例えばアプリケーション及び/又はインタフェイスのバックグラウンドにおいて、アクティブ・リスナは、表示されているインタフェイスでのデータ要素の活動を監視することができる。これらのデータ要素が何らかの閾値に達すると、アクティブ・リスナは、利用者が情報に基づいた決定を下すのを補助する付加的な情報を、表示されているインタフェイスに配置する。代替的に又は加えて、アクティブ・リスナは、利用者がアプリケーションに変更を加えたときを検出することができる(例えばデータ要素を一つのウィジェットからもう一つのウィジェットにドラッグ&ドロップする、検索を行なう、及び診断を変更する等による)。利用者相互作用のコンテキストを表示されているユーザ・インタフェイスのコンテンツと組み合わせることにより、例えば利用者に関連情報及び/又は作用内容を提供することができる。
【0113】
幾つかの実施形態では、データ要素通信(「DEC」)ウィジェット(例えば「ベルクロ」ウィジェット)によって、利用者が、ユーザ・インタフェイスの画面の他の任意のウィジェットから任意の臨床要素(1又は複数)を選択し又は引き出して、選択された臨床要素(1又は複数)をDECウィジェットの「保持ビン」又は保持エリアに投入することを可能にする。臨床要素は、例えば患者情報、他の臨床詳細情報、及び/又は要約表現の背後に隠されている詳細データの要約表現を表わし得る。臨床要素(1若しくは複数)及び/又は関連情報の選択及び送信は、単独で、且つ/又は例えば上述のアクティブ・リスナ・エージェントのようなアクティブ・リスナ・エージェントと共に実行され得る。例えば、幾つかの実施形態では、アクティブ・リスナ・エージェントは、幾つかの規則、規準、及び観察された利用パターン等に基づいて保持エリア800を自動的に埋めることができる。
【0114】
例えば図8に示すように、DECウィジェットの保持エリア800が、ECG表現805、脳MR画像又は画像系列810、及び臨床詳細情報815等を含んでいる。表現805、810、815等は、例えば基礎となる臨床コンテンツへのグラフィック参照及び/又はリンクを提供する(図1〜図7に関して上に記載されるウィジェットの1又は複数に関して等)。保持ビン又はエリア800と共に動作するツール又はウィジェットによって、利用者が、保持エリア800の情報を電子メール及び/又は他の方法で送信する適当な人物(1又は複数)を選択することを可能にする。宛先(1又は複数)820を指定して、送ろうとしているデータを記述する付加的な情報又は詳細825を与えることができる。利用者は、「メッセージ送信(Send Message)」を選択してメッセージを受取者(1又は複数)に送信することができる。幾つかの実施形態では、保持エリア800は、メッセージ・エリア825を含んでいてもよいし、メッセージ・エリア825に含まれていてもよい。
【0115】
受取者がメッセージを受け取るときには、電子メール及び/又は他の送信は、送信側利用者が選択した情報、並びに幾つかの実施形態ではウィジェット・オブジェクト805、810、815等によって表わされるメッセージに埋め込まれている詳細情報を含み得る。メッセージを、利用者の電子メール受信ボックスにおいて受け取ることもできるし、データベース・レコードとして追加することもできるし、ユーザ・インタフェイス・ウィジェット等として生成することもできる。メッセージはまた、健康管理情報システム、電子カルテ、電子的指示システム、電子的処理システム、データ記憶部又はアーカイブ等に転送され得る。
【0116】
幾つかの実施形態では、グラフィック表現(例えば様々な大きさの色付きの四角形)を詳細データと置き換える。例えば、図9に示すように、受取者に送信される電子メール900が、図8に示す保持エリア800からのECG表現805、脳MR画像810、及び臨床詳細情報815に関する展開された詳細を含む。電子メール900は、患者情報905、臨床詳細情報910、MR画像915、及び患者ECGデータ920を含んでいる。
【0117】
幾つかの実施形態では、メッセージ900からの情報を、例えば他のアプリケーション又はインタフェイスへ転送することができる。例えば、受取者は、メッセージ900から内容を抽出して、この内容をユーザ・インタフェイス・ウィジェット、記憶、他の送信、及び/又は他のアプリケーションへ転送して処理させることができる。もう一つの例として、メッセージ900はウィジェット又はアプリケーションによって受け取られてもよく、ウィジェット又はアプリケーションは内容を受取者のために表示し、且つ/又は/メッセージ900の内容を処理して、1又は複数のアプリケーション及び/又は記憶に配信する。
【0118】
図10は、本発明の幾つかの実施形態による1又は複数のアプリケーション又はウィジェットからの1又は複数の臨床要素の選択、保持、及び1又は複数の受取者への送信を容易にするウィジェット・システム1000の一例を示す。システム1000は、コンテンツ1020を含むユーザ・インタフェイス1010を含む。コンテンツ1020は、アプリケーション/ウィジェット、臨床データ、及び外部システム/情報へのリンク/接続等を含み得る。インタフェイス1010はまた、臨床要素送信ユニット1030を含み、且つ/又は臨床要素送信ユニット1030への接続を有する。臨床要素送信ユニット1030は、利用者選択、並びに/又は1若しくは複数の規則及びプレファレンス等を用いた自動選択の何れかを介してコンテンツ1020を受け取る。臨床要素送信ユニット1030は、単独で、且つ/又は例えば上述のアクティブ・リスナ・エージェントのようなアクティブ・リスナ・エージェントと共に用いられ得る。臨床要素送信ユニット1030は選択されたコンテンツ1020をパッケージ化して、受取者1040へ送信する。選択されたコンテンツ1020の送信は、例えば臨床データ要素の表現及び/若しくは基礎となる詳細、並びに/又は他の情報を含み得る。受取者1040は、1又は複数の医師(例えば医師のコンピュータ)、アプリケーション/ウィジェット、インタフェイス、及びデータ記憶部等を含み得る。システム1000の各構成要素は、例えばハードウェア、ソフトウェア、及び/若しくはファームウェアとして、単独で且つ/又は様々な組み合わせで具現化され得る。システム1000がソフトウェアのみにおいて具現化される範囲まででは、システム1000の構成要素(例えばユーザ・インタフェイス1010、コンテンツ1020、臨床要素送信ユニット1030、及び/又は受取者1040)の1又は複数が、有形の媒体に記憶されている機械可読の命令を含む。また、例えばシステム1000の構成要素の任意のものが、特定応用向け集積回路(「ASIC」)及び/又は他の論理回路のようなハードウェアによって具現化され得る。
【0119】
図11は、本発明の幾つかの実施形態による1又は複数のアプリケーション又はウィジェットからの1又は複数の臨床要素の選択、保持、及び1又は複数の受取者への送信を容易にする方法1100の流れ図を示す。
【0120】
ブロック1110では、利用者が、ユーザ・インタフェイスを介して表示され且つ/又はアクセス可能な要素を選択する。臨床要素は、例えば患者情報、他の臨床詳細情報、及び/又は要約表現の背後に隠されている詳細データの要約表現を表わし得る。例えば、利用者は、ユーザ・インタフェイスの放射線ウィジェットからMR画像系列(例えば図8に示す脳MR画像810)の表現を選択することができる。
【0121】
ブロック1120では、利用者は、選択された臨床要素をユーザ・インタフェイス画面の保持用又は一時的記憶エリアに投入する。例えば、利用者は、MR画像系列の表現のような選択された臨床要素を、DECウィジェットのようなユーザ・インタフェイスのウィジェットの保持エリアにドラッグ&ドロップすることができる。
【0122】
ブロック1130では、利用者は、選択された臨床要素の送信のための1又は複数の受取者を選択する。例えば、ユーザ・インタフェイス・ツール又はウィジェットによって、利用者が保持ビン(例えば図8に示す保持エリア800)の情報を電子メール及び/又は他の方法で送信する適当な人物(1又は複数)を選択することを可能にする。宛先(1又は複数)を指定して、例えば送ろうとしている臨床要素(1又は複数)及び/又は他の情報を記述する付加的な情報又は詳細を与えることができる。
【0123】
ブロック1140では、選択された臨床要素を選択された受取者(1又は複数)へ送信する。例えば、利用者は、ユーザ・インタフェイスのウィジェットを介して「メッセージ送信」を選択して、1若しくは複数の選択された臨床要素及び/又は付加的な情報を含むメッセージを所期の受取者(1又は複数)に送信することができる。
【0124】
ブロック1150では、受取者が、送信された臨床要素を受け取る。受取者がメッセージを受け取るときには、電子メール及び/又は他の送信は、送信側利用者が選択した情報、並びに幾つかの実施形態ではメッセージに埋め込まれている詳細情報(例えば図8に示すウィジェット・オブジェクト805、810、815によって表わされる情報等)を含み得る。幾つかの実施形態では、メッセージにドラッグ&ドロップされたグラフィック表現(例えば様々な大きさの色付きの四角形)を基礎となる詳細データと置き換えてもよい。例えば、図9に示すように、受取者に送信された電子メール900は、図8に示す保持エリア800からのECG表現805、脳MR画像810、及び臨床詳細情報815に関する展開された詳細を含む。電子メール900は、例えば患者情報905、臨床詳細情報910、MR画像915、及び患者ECGデータ920を含んでいる。このように、幾つかの実施形態では、臨床要素のグラフィック表現を送信メッセージに含めることにより、表現の基礎となるコンテンツが含められて、情報を観察する権限を有する1又は複数の人物、情報システム、アーカイブ、及び電子カルテ等を含めて1又は複数の受取者に送信される。幾つかの実施形態では、メッセージからの情報を、例えば他のアプリケーション又はインタフェイスに転送することができる。
【0125】
方法1100の1又は複数の構成要素は、例えばハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアの一組の命令として、単独で又は組み合わせて具現化され得る。幾つかの例は、メモリ、ハード・ディスク、DVD、又はCDのようなコンピュータ可読の媒体に常駐して、汎用コンピュータ又は他の処理装置において実行される一組の命令として提供され得る。
【0126】
幾つかの例は、これらのステップの1又は複数を省いていてもよいし、且つ/又は列挙されている順序とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。例えば、幾つかのステップは幾つかの例では実行されない場合がある。さらにもう一つの例として、幾つかのステップを、上で列挙したものとは異なる同時を含めた時間的な順序で実行してもよい。
【0127】
図12は、本書に記載されるシステム及び方法を具現化するのに用いられ得るプロセッサ・システム1210の一例のブロック図である。図12に示すように、プロセッサ・システム1210はプロセッサ1212を含んでおり、プロセッサ1212は相互接続バス1214に結合されている。プロセッサ1212は、例えば任意の適当なプロセッサ、処理ユニット、又はマイクロプロセッサであってよい。図12には示していないが、システム1210はマルチ・プロセッサ・システムであってもよく、従ってプロセッサ1212と同等又は類似しており相互接続バス1214に結合されて連絡する1又は複数の付加的なプロセッサを含み得る。
【0128】
図12のプロセッサ1212は、メモリ制御器1220及び入出力(「I/O」)制御器1222を含むチップセット1218に結合されている。周知のように、チップセットは典型的には、I/O作用及びメモリ管理作用、並びにチップセット1218に結合されている1又は複数のプロセッサによってアクセス可能であり又は用いられる複数の汎用及び/又は特殊目的のレジスタ及びタイマ等を提供する。メモリ制御器1220は、プロセッサ1212(又は多数のプロセッサが存在する場合には複数のプロセッサ)がシステム・メモリ1224及び大容量記憶メモリ1225にアクセスすることを可能にする作用を果たす。
【0129】
システム・メモリ1224は、例えば、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、フラッシュ・メモリ及び読み取り専用メモリ(ROM)等のような所望の任意の形式の揮発性及び/又は非揮発性メモリを含み得る。大容量記憶メモリ1225は、ハード・ディスク・ドライブ、光学式ドライブ、及びテープ記憶装置等を含めた所望の任意の形式の大容量記憶装置を含み得る。
【0130】
I/O制御器1222は、プロセッサ1212が、I/Oバス1232を介して周辺入出力(「I/O」)装置1226及び1228、並びに網インタフェイス1230と通信することを可能にする作用を果たす。I/O装置1226及び1228は、例えばキーボード、ビデオ・ディスプレイ又はモニタ、及びマウス等のような所望の任意の形式のI/O装置であってよい。網インタフェイス1230は、プロセッサ・システム1210がもう一つのプロセッサ・システムと通信することを可能にする例えばイーサネット(商標)装置、非同期転送モード(「ATM」)装置、802.11装置、DSLモデム、ケーブル・モデム、及び携帯電話用モデム等であってよい。
【0131】
メモリ制御器1220及びI/O制御器1222は図12ではチップセット1218の内部の別個のブロックとして示されているが、これらのブロックによって果たされる作用は、単一の半導体回路の内部で一体化されていてもよいし、2以上の別個の集積回路を用いて具現化されてもよい。
【0132】
このように、幾つかの実施形態は、複数の事業体(エンタープライズ)システムに跨がる末端利用者による情報へのアクセスを提供する。幾つかの実施形態は、末端利用者が健康管理網を横断してシームレスに医療情報にアクセスし、医療情報を入力し、また検索することを可能にする探索主導型、ロール・ベース、ワークフロー・ベース、及び/又は疾患ベースのインタフェイスという技術的効果を提供する。幾つかの実施形態は、個々の需要に合わせて特化され業務ドメインの変化に応答する業務中心インタフェイスを通じて適応型ユーザ・インタフェイス能力を提供する。幾つかの実施形態は、適応型の業務中心ユーザ・インタフェイス技術ソフトウェア・アーキテクチャを導入し、このアーキテクチャは、「業務中心」の活動の観点からの業務ドメイン、及び「業務中心」の活動を支援する具現化形態を達成する計算機構を特徴付けるために、オントロジー・モデル生成アプローチを用いると共に、業務中心の特徴付け、及びエンタープライズ・レベルのアプリケーションへのユーザ・インタフェイスの提示機構において、適応型相互作用を利用者指向型及び自動型の両方で提供する。幾つかの実施形態は、単純化されたグラフィック・ベースの保持エリア及びメッセージ伝達システムを介して臨床コンテンツを権限を有する利用者へ転送するという技術的効果を提供する。幾つかの実施形態は、臨床データのグラフィック指標を、基礎となる臨床データ自体を含むメッセージへ変換して、もう一つのシステムへのメッセージ伝達及び/又は送信を行なう。
【0133】
幾つかの実施形態は、セマンティック技術を強化して、例えばドメイン概念、利用者のロール及びタスク、並びに情報関係をモデル化する適応型ユーザ・インタフェイスを提供する。セマンティック・モデルによって、アプリケーションが、利用者及びタスクのコンテキスト情報に基づいてさらに実効的に情報を見出し、整理して、利用者に提示することを可能にする。アプリケーションは、マルチ・コンテンツ及びマルチ・メディア情報を表示するための情報ウィジェットのライブラリから構成され得る。加えて、この枠組みによって、利用者が、ウィジェットのレイアウトを特化して、基礎となるデータと相互作用することを可能にする。
【0134】
幾つかの実施形態は、アプリケーションからの1又は複数の臨床要素の抽出、保持、及び受取者への送信を容易にするシステム及び方法を提供する。幾つかの実施形態は、ユーザ・インタフェイスにおける臨床コンテンツのグラフィック表現を電子的メッセージを介して受取者に与えられる詳細な臨床コンテンツへ変換するという技術的効果を提供する。
【0135】
幾つかの実施形態は、以上に述べた作用内容を具現化する方法、システム、及び任意の機械可読の媒体におけるコンピュータ・プログラムを思量している。幾つかの実施形態は、既存のコンピュータ・プロセッサを用いて、又はこの目的若しくは他の目的のために組み入れられた特殊目的のコンピュータ・プロセッサによって、又は例えば結線システム及び/若しくはファームウェア・システムによって具現化され得る。
【0136】
以上に述べたシステムの構成要素及び/又は方法のステップの1又は複数は、例えばハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアの一組の命令として、単独で又は組み合わせて具現化され得る。幾つかの実施形態は、メモリ、ハード・ディスク、DVD、又はCDのようなコンピュータ可読の媒体に常駐して、汎用コンピュータ又は他の処理装置において実行される一組の命令として提供され得る。本発明の幾つかの実施形態は、方法ステップの1又は複数を省いていてもよいし、且つ/又は列挙された順序とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。例えば、幾つかのステップは本発明の幾つかの実施形態では実行されない場合がある。さらにもう一つの例として、幾つかのステップを、上で列挙したものとは異なる同時を含めた時間的な順序で実行してもよい。
【0137】
幾つかの実施形態は、コンピュータ実行可能な命令又はデータ構造を担持し又は記憶したコンピュータ可読の媒体を含んでいる。かかるコンピュータ可読の媒体は、汎用若しくは特殊目的のコンピュータ、又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であってよい。例として述べると、かかるコンピュータ可読の媒体は、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュ、CD−ROM若しくは他の光学的ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望のプログラム・コードをコンピュータ実行可能な命令若しくはデータ構造の形態で担持し若しくは記憶するのに用いることができ、汎用若しくは特殊目的のコンピュータ、又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスされ得る他の任意の媒体を含み得る。上述の組み合わせもまたコンピュータ可読の媒体の範囲に含まれる。コンピュータ実行可能な命令は例えば、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、又は特殊目的処理機械に、何らかの作用又は作用群を果たさせるような命令及びデータを含んでいる。
【0138】
一般的には、コンピュータ実行可能な命令は、特定のタスクを実行し又は特定の抽象的なデータ型を具現化するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント及びデータ構造等を含んでいる。コンピュータ実行可能な命令、関連するデータ構造、及びプログラム・モジュールは、本書に開示された幾つかの方法及びシステムのステップを実行するプログラム・コードの例を表わしている。かかる実行可能な命令の特定の系列又は関連するデータ構造は、かかるステップに記載された作用を具現化する対応する動作の例を表わしている。
【0139】
本発明の各実施形態は、プロセッサを有する1又は複数のリモート・コンピュータへの論理的接続を用いて網化された環境で実施され得る。論理的接続は、本書において限定ではなく例示のために提示される構内網(LAN)及び広域網(WAN)を含み得る。かかる網環境は、オフィス内又は企業内コンピュータ網、イントラネット及びインターネットとして普及しており、広範な異なる通信プロトコルを用いることができる。当業者は、かかる網計算機環境が典型的には、パーソナル・コンピュータ、掌中型装置、マルチ・プロセッサ・システム、マイクロプロセッサ方式又はプログラム可能型の消費者向け電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、及びメインフレーム・コンピュータ等を含めて、多くの形式のコンピュータ・システム構成を包含することを認められよう。本発明の各実施形態はまた、通信網を介してリンクされる(結線リンク、無線リンク、又は結線リンク若しくは無線リンクの組み合わせのいずれかによる)ローカル及びリモートの処理装置によってタスクが実行される分散型計算機環境で実施されてもよい。分散型計算機環境では、プログラム・モジュールはローカル及びリモートの両方のメモリ記憶装置に位置していてよい。
【0140】
本発明の各実施形態の全体システム又は各部分を具現化する例示的なシステムは、処理ユニット、システム・メモリ、及びシステム・メモリを含む様々なシステム構成要素を処理ユニットに結合するシステム・バスを含むコンピュータの形態にある汎用計算機装置を含み得る。システム・メモリは読み出し専用メモリ(ROM)及びランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含み得る。コンピュータはまた、磁気ハード・ディスクに対する読み書きを行なう磁気ハード・ディスク・ドライブ、取り外し可能な磁気ディスクに対する読み書きを行なう磁気ディスク・ドライブ、及びCD−ROM又は他の光学的媒体のような取り外し可能な光ディスクに対する読み書きを行なう光ディスク・ドライブを含み得る。これらのドライブ及び関連するコンピュータ可読の媒体は、コンピュータ実行可能な命令、データ構造、プログラム・モジュール、及びコンピュータの他のデータの不揮発性記憶を提供する。
【0141】
実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変形を施し、また均等構成を置換し得ることが理解されよう。加えて、本発明の範囲から逸脱せずに、特定の状況又は材料を本発明の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に属する全ての実施形態を包含するものとする。
【符号の説明】
【0142】
100:適応型の業務中心健康管理サービスを提供するワークフロー
105:来診
110:クエリ
112:刺激
114:患者コンテキスト
115:クエリ・ドライバ
120:データ・ソース
125:情報編成エンジン
130:バンドル
135:要約エンジン
140:改訂済みバンドル
150:利用者の反応/フィードバック
160:知識管理サブシステム
145:プレゼンテーション
161:ダッシュボード
163:オントロジー
165:手続き及びガイドライン
167:共通データ・モデル
169:解析部
200:適応型ユーザ・インタフェイス
205:ログイン及び利用者識別エリア
210:患者識別エリア
212:警告
215:ウィジェット表示エリア
220:生命徴候/検査室ウィジェット
221:血圧
222:血圧指標の型
223:尿検査
224:血圧指標の値
225:体重
227:ブドウ糖
229:体温
230:臨床文書ウィジェット
231:文書型
232:文書作成者
233:文書日付
234:文書からの評価
235:文書状態
236:文書に対する行動
240:撮像検査ウィジェット
244:画像
246:撮像型
248:評価
250:問題ウィジェット
252、254:問題
260:来診理由ウィジェット
262:理由
264:アイコン
270:薬物ウィジェット
272:薬物の型
274:薬物の量
276:薬物の送達機構
280:カーソル
285:カーソルの位置
292:利用者別ダッシュボード
294:患者一覧
296:設定/プレファレンス・パネル
310:モバイル装置
320:グラフィック・ユーザ・インタフェイス
330:ナビゲーション装置
340:ツール
400:ユーザ・インタフェイス
405:患者の識別
410:生命徴候
415:アイコン
417:尿検査結果
420:臨床詳細情報
425:陽性の結果
427:陰性の結果
430:放射線検査
440:心臓検査
450:文書
455:以前の経過メモ
460:来診理由
470:薬物ウィジェット
480:検索欄
500:ユーザ・インタフェイス・アーキテクチャ
501:ユーザ・インタフェイス
502:ユーザ・インタフェイス変換エンジン
503:クエリ生成/展開エンジン
504:刺激
505:クエリ生成器
506:アクセス機構
507:データ・ソース
508:クエリ及び収集された文書
509:情報編成エンジン
510:データ主導型アプリケーション
511:エンタープライズ・アプリケーション・インタフェイス
512:作業/工程主導型アプリケーション
513:特定データ構造向けアプリケーション
514:多文書要約システム
515:節
516:概念
517:メタ文書
518:メタ文書要約
519:コネクタ
520:クライアント・フレームワーク
521:コンテキスト・マネージャ
522:プロダクト
523:患者検索
524:レジストリ・ナビゲータ
525:ビューア
526:クライアント・フレームワーク階層
527:クライアント・ウェブ・サーバ
528:アプリケーション階層
529:アプリケーション
530:統合階層
531:エンタープライズ・サービス・バス(「ESB」)
532:レジストリ、データ及びサービス集合
533:構成情報
534:臨床コンテンツ・ゲートウェイ(「CCG」)・インタフェイス・エンジン
535:相互運用性強化型プラットフォーム・サーバ
536:既製インタフェイス
537:特化型インタフェイス
538:電子メッセージ伝達インタフェイス(「eMPI」)
539:地域健康情報機関(「RHIO」)
540:サード・パーティのアプリケーション
541:事業体間文書共有(「XDS」)リポジトリ
542:XDSレジストリ
543:顧客情報技術(「IT」)
545:連結性フレームワーク
550:クエリ結果の情報バンドル
550:文書のバンドル
600:適応型ユーザ・インタフェイス・システム
610:アクティブ・リスナ・エージェント
620:ユーザ・インタフェイス
630:コンテンツ
640:入力
700:臨床コンテンツとの適応型ユーザ・インタフェイス作用のための方法
800:保持エリア
805:ECG表現
810:脳MR画像又は画像系列
815:臨床詳細情報
820:宛先
825:付加的な情報又は詳細
900:電子メール
905:患者情報
910:臨床詳細情報
915:MR画像
920:患者ECGデータ
1000:臨床要素の選択、保持、及び送信を容易にするウィジェット・システム
1010:ユーザ・インタフェイス
1020:コンテンツ
1030:臨床要素送信ユニット
1040:受取者
1100:臨床要素の選択、保持、及び送信を容易にする方法
1210:プロセッサ・システム
1212:プロセッサ
1214:相互接続バス
1218:チップセット
1220:メモリ制御器
1222:入出力(I/O)制御器
1224:システム・メモリ
1225:大容量記憶メモリ
1226、1228:周辺入出力(I/O)装置
1230:網インタフェイス
1232:I/Oバス
【図9B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者へのグラフィック表示のために複数の臨床情報源から検索される臨床コンテンツを含んでおり、臨床アプリケーション及び患者データを含む前記表示されている臨床コンテンツとの利用者相互作用を容易にするユーザ・インタフェイスと、
該ユーザ・インタフェイスの一部として表示される保持エリアであって、前記利用者により選択されて当該保持エリアに投入された臨床コンテンツを保持する保持エリアと、
該保持エリアに投入された前記臨床コンテンツを受け取り、該臨床コンテンツをパッケージ化して、該臨床コンテンツを電子的データ・メッセージとして1又は複数の受取者へ送信する臨床要素送信ユニットと
を備えた臨床データ要素通信システム。
【請求項2】
ユーザ・インタフェイスと共に動作して利用者及びアプリケーションの活動を監視するアクティブ・リスナ・エージェントであって、臨床コンテンツを選択して、予め決められた規準及び観察された利用パターンの少なくとも一方に基づいて前記保持エリアを埋めることを自動的に行なうアクティブ・リスナ・エージェントをさらに含んでいる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記選択される臨床コンテンツは、基礎となる臨床データのグラフィック表現を含んでおり、前記臨床要素送信ユニットは、前記グラフィック表現に対応する前記基礎となる臨床データを含む前記電子的データ・メッセージを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1又は複数の受取者は、臨床医の電子メール受取者、アプリケーション、及び電子的データ記憶部の少なくとも一つを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記臨床コンテンツは、患者生命徴候情報、画像データ、臨床報告、及び臨床指示の少なくとも一つを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
利用者が、前記臨床要素送信ユニットを介して前記選択される臨床コンテンツと共に送信するための電子メッセージを編成することを可能にするメッセージ・エリアをさらに含んでいる請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
受取者が、前記電子的データ・メッセージから前記選択される臨床コンテンツを抽出することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
複数の臨床情報源から検索されて利用者にグラフィック表示される臨床コンテンツを選択する利用者入力を受け入れるステップであって、前記表示される臨床コンテンツは臨床アプリケーション及び患者データを含んでいる、受け入れるステップと、
前記利用者により選択されて、前記ユーザ・インタフェイスの一部として表示される保持エリアに投入された臨床コンテンツを一時的に記憶するステップと、
前記保持エリアから前記一時的に記憶された臨床コンテンツを含む電子的データ・メッセージを生成するステップと、
前記電子的データ・メッセージを1又は複数の受取者へ送信するステップと
を備えた臨床データ要素通信の方法。
【請求項9】
前記電子的データ・メッセージを前記1又は複数の受取者の一つにおいて受け取って、該受取者に対して出力するために前記電子的データ・メッセージから前記臨床コンテンツを抽出するステップをさらに含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
臨床コンテンツを選択して、予め決められた規準及び観察された利用パターンの少なくとも一方に基づいて前記保持エリアを埋めることを自動的に行なうステップをさらに含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記選択される臨床コンテンツは、基礎となる臨床データのグラフィック表現を含んでおり、前記臨床要素送信ユニットは、前記グラフィック表現に対応する前記基礎となる臨床データを含む前記電子的データ・メッセージを生成する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記1又は複数の受取者は、臨床医の電子メール受取者、アプリケーション、及び電子的データ記憶部の少なくとも一つを含んでいる、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記臨床コンテンツは、患者生命徴候情報、画像データ、臨床報告、及び臨床指示の少なくとも一つを含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
実行されるとデータ要素通信システムを具現化するコンピュータでの実行のための一組の命令を含むコンピュータ可読の媒体であって、前記システムは、
利用者へのグラフィック表示のために複数の情報源から検索される電子的データ要素を含んでおり、前記表示されている電子的データ要素との利用者相互作用を容易にするユーザ・インタフェイスと、
該ユーザ・インタフェイスの一部として表示される保持エリアであって、前記利用者により選択されて当該保持エリアに投入された1又は複数の電子的データ要素を保持する保持エリアと、
該保持エリアに投入された前記1又は複数の電子的データ要素を受け取り、該1又は複数の電子的データ要素をパッケージ化して、該1又は複数の電子的データ要素を電子的データ・メッセージとして1又は複数の受取者へ送信するデータ要素送信ユニットと
を含んでいる、コンピュータ可読の媒体。
【請求項15】
ユーザ・インタフェイスと共に動作して利用者及びアプリケーションの活動を監視するアクティブ・リスナ・エージェントであって、1又は複数の電子的データ要素を選択して、予め決められた規準及び観察された利用パターンの少なくとも一方に基づいて前記保持エリアを埋めることを自動的に行なうアクティブ・リスナ・エージェントをさらに含んでいる請求項14に記載のコンピュータ可読の媒体。
【請求項16】
前記1又は複数の選択される電子的データ要素は、基礎となるデータのグラフィック表現を含んでおり、前記データ要素送信ユニットは、前記グラフィック表現に対応する前記基礎となるデータを含む前記電子的データ・メッセージを生成する、請求項14に記載のコンピュータ可読の媒体。
【請求項17】
前記1又は複数の受取者は、電子メール受取者、アプリケーション、及び電子的データ記憶部の少なくとも一つを含んでいる、請求項14に記載のコンピュータ可読の媒体。
【請求項18】
前記1又は複数の電子的データ要素は、患者生命徴候情報、画像データ、臨床報告、及び臨床指示の少なくとも一つを含んでいる、請求項14に記載のコンピュータ可読の媒体。
【請求項19】
利用者が、前記臨床要素送信ユニットを介して前記1又は複数の選択される電子的データ要素と共に送信するための電子的メッセージを編成することを可能にするメッセージ・エリアをさらに含んでいる請求項14に記載のコンピュータ可読の媒体。
【請求項20】
受取者が、前記電子的データ・メッセージから前記1又は複数の選択される電子的データ要素を抽出することができる、請求項14に記載のコンピュータ可読の媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−510670(P2012−510670A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538640(P2011−538640)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/065262
【国際公開番号】WO2010/062830
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】