説明

ウイルスベクターおよびヒト腫瘍抑制遺伝子によって構築された組換え体およびその使用

本発明は、ヒト腫瘍抑制遺伝子を含むように加工された組換え体ウイルス、およびその適用に関する。このDNAクローニング技術によって構築された組換え体は、ウイルスベクターおよびヒト腫瘍抑制遺伝子発現カセットと結合し、特定の遺伝的に加工された細胞株中で増幅および増殖することができ、かつ真核細胞中で腫瘍抑制タンパク質を発現することができる。本発明では、組換え体アデノウイルス-p53DNAは、原核細胞(大腸菌)中での相同組換えによってアデノウイルスベクターおよびヒトp53遺伝子で構築される。ヒトp53遺伝子発現カセットは、プロモーター-p53cDNA-ポリ(A)で構成された特定の配列である。本発明の組換え体p53アデノウイルスは、ヒト悪性腫瘍を治療および防止するのに適用する臨床遺伝子治療生成物として調製され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、遺伝子工学技術、特にヒト腫瘍抑制遺伝子p53およびアデノウイルスベクターの組換えに関する。
【発明の背景】
【0002】
分子生物学技術の発達、特に遺伝子工学技術の進歩により、悪性腫瘍のための遺伝子治療が新しい研究対象になってきた。現在、臨床実験で許可された600を越える遺伝子治療プログラムが存在する。これらの治療の幾つかは将来性が見込まれる肯定的な結果を示している。
【0003】
遺伝子治療に使用されるベクターは、直接的に疾患を治療するのに使用することはできない。一方、遺伝子が標的細胞内に直接的に入り込みかつその中でタンパク質を発現するのは非常に難しいので、疾患を治療するのに使用することができる遺伝子は、潜在的な治療能力のみを有するに過ぎない。この潜在的な治療学的遺伝子を有効化するために、最初にベクターを標的遺伝子と結合させ、次に該遺伝子を標的細胞にトランスフェクションすべきであり、最後に標的遺伝子が細胞内に侵入してタンパク質を発現することができるであろう。従って、遺伝子治療の鍵は、治療学的遺伝子と遺伝子ベクターのための組換え型DNAを構築することである。
【0004】
標的遺伝子発現カセットをそのベクターで組換えるための一般的な方法は、真核細胞内での相同組換えであるが、非常に複雑かつ時間のかかるプロセスである。しかしながら、相同組換えのために原核細胞を使用して組換えベクターを構築すれば、上記問題は解決し得る。癌遺伝子治療の障害は、特異的、ターゲティング的、効率的な遺伝子導入ベクターが無いことである。現在、遺伝子治療研究ではウイルスベクターと非ウイルスベクターを含む2種類のベクターが使用されている。一般的なウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターを含む。アデノウイルスベクターは最も一般的である。その利点は、高いトランスフェクション効率、比較的高い安全性および操作容易性、大きな遺伝子断片を運ぶ能力および高力価のウイルス粒子を調製する能力、産業生産に対する適応性、および分裂期に細胞に感染するだけではなく非分裂期の細胞にも感染する能力を含む。しかしながら、その不利な点は、標的特異的な感染の欠如および免疫原性の生成を含む。従って、遺伝子治療のためにアデノウイルスベクターを改良する必要がある。研究は、E1およびE3領域を欠損しているアデノウイルスベクターによって運ばれる外来遺伝子が、長期間にわたるタンパク質の発現と免疫原性の低下を誘導できることを示す。レトロウイルスベクターは、外来遺伝子を運んで標的細胞ゲノムに組み込むことができ、従って、安定かつ継続的なゲノムの発現が実現する。しかしながら、レトロウイルスは、以下の不利な点:インビトロでの低い複製力価、低いトランスフェクション効率、分裂期の細胞のみへの感染、および潜在的に発癌活性を有する染色体上でのランダムな組換えを有する。遺伝子形質転換に使用される他のウイルスまたは非ウイルスベクターはまた、異なる利点および不利な点を有する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、潜在的に治療学的な遺伝子をそのベクターで組換え、ウイルスベクターとヒト腫瘍抑制遺伝子の組換え体を提供することである。この組換え体は、特別な遺伝子的に加工された細胞中で増幅および増殖することができ、タンパク質を真核細胞中で直接的に発現することができ、癌を抑制および/または治療するのに使用することができる。
【0006】
本発明の目的はまた、組換え体を生成するための方法、ならびに腫瘍の抑制および治療のための医薬を調製する際のその適用を提供することである。
【0007】
本発明は、ウイルスベクターとヒト腫瘍抑制遺伝子の組換え体を提供する。この組換え体は、DNAクローニング技術によってウイルスベクターとヒト腫瘍抑制遺伝子発現カセットで構築されている。得られた生成物は、特別な遺伝子的に加工された細胞中で増幅および増殖することができ、かつ真核細胞中で腫瘍抑制タンパク質を発現することができる組換え体である。
【0008】
組換えベクターは、DNAウイルスまたはRNAウイルスとすることができる。好ましいベクターは、アデノウイルスベクターまたはアデノウイルスベクター配列を含む結合ベクターである。最も好ましいベクターはアデノウイルスベクターである。
【0009】
ヒト腫瘍抑制遺伝子は、任意の腫瘍抑制遺伝子とすることができる。最も好ましいものは、p53である。
【0010】
アデノウイルスベクターおよびp53と結合した組換え体は、以下の配列をもつ組換え型p53アデノウイルスとして定義される。
【0011】
アデノウイルスの右端
5-ATGTTTACCGCCACACTCGCAGGGTCTGCACCTGGTGCGGGTCTCATCGTACCTCAGCACCTTCCAGATC70TCTGACATGCGATGTCGACTCGACTGCTTCGCGATGTACGGGCCAGATATACGCGTATCTGAGGGGACTAGGGTGTGTTTAGGCGAAAAGCGGGGCTTCGGTTGTACGCGGTTAGGAGTCCCCTCAGGATATAGTAGTTTCGCTTTTGCATAGGGAGGGGGAAATGTAGTCTTATGCAATACTCTTGTAGTCTTGCAACATGGTAACGATGAGTTAGCAACATGCCTTACAAGGAGAGAAAAAGCACCGTGCATGCCGATTGGTGGAAGTAAGGTGGTACGATCGTGCCTTATTAGGAAGGCAACAGACGGGTCTGACATGGATTGGACGAACCACTGAATTCCGCATTGCAGAGATATTGTATTTAAGTGCCTAGCTCGATACAATAAACGCCATTTGACCATTCACCACATTGGTGTGCACCTCCAAGCTTGGTACCGAGCTCGGATCCCG523CTAGAGCCACCGTCCAGGGAGCAGGTAGCTGCTGGGCTCCGGGGACACTTTGCGTTCGGGCTGGGAGCGTCTTTCCACGACGGTGACACGCTTCCCTGGATTGGCAGCCAGACTGCTTTCCGGGTCACTGCC655ATGGAGGAGCCGCAGTCAGATCCTAGCGTCGAGCCCCCTCTGAGTCAGGAAACATTTTCAGACCTATGGAAACTACTTCCTGAAAACAACGTTCTGTCCCCCTTGCCGTCCCAAGCAATGGATGATTTGATGCTGTCCCCGGACGATATTGAACAATGGTTCACTGAAGACCCAGGTCCAGATGAAGCTCCCAGAATGCCAGAGGCTGCTCCCCCCGTGGCCCCTGCACCAGCAGCTCCTACACCGGCGGCCCCTGCACCAGCCCCCTCCTGGCCCCTGTCATCTTCTGTCCCTTCCCAGAAAACCTACCAGGGCAGCTACGGTTTCCGTCTGGGCTTCTTGCATTCTGGGACAGCCAAGTCTGTGACTTGCACGTACTCCCCTGCCCTCAACAAGATGTTTTGCCAACTGGCCAAGACCTGCCCTGTGCAGCTGTGGGTTGATTCCACACCCCCGCCCGGCACCCGCGTCCGCGCCATGGCCATCTACAAGCAGTCACAGCACATGACGGAGGTTGTGAGGCGCTGCCCCCACCATGAGCGCTGCTCAGATAGCGATGGTCTGGCCCCTCCTCAGCATCTTATCCGAGTGGAAGGAAATTTGCGTGTGGAGTATTTGGATGACAGAAACACTTTTCGACATAGTGTGGTGGTGCCCTATGAGCCGCCTGAGGTTGGCTCTGACTGTACCACCATCCACTACAACTACATGTGTAACAGTTCCTGCATGGGCGGCATGAACCGGAGGCCCATCCTCACCATCATCACACTGGAAGACTCCAGTGGTAATCTACTGGGACGGAACAGCTTTGAGGTGCGTGTTTGTGCCTGTCCTGGGAGAGACCGGCGCACAGAGGAAGAGAATCTCCGCAAGAAAGGGGAGCCTCACCACGAGCTGCCCCCAGGGAGCACTAAGCGAGCACTGCCCAACAACACCAGCTCCTCTCCCCAGCCAAAGAAGAAACCACTGGATGGAGAATATTTCACCCTTCAGATCCGTGGGCGTGAGCGCTTCGAGATGTTCCGAGAGCTGAATGAGGCCTTGGAACTCAAGGATGCCCAGGCTGGGAAGGAGCCAGGGGGGAGCAGGGCTCACTCCAGCCACCTGAAGTCCAAAAAGGGTCAGTCTACCTCCCGCCATAAAAAACTCATGTTCAAGACAGAAGGGCCTGACTCAGACTGA1837CATTCTCCACTTCTTGTTCCCCACTGACAGCCTCCCACCCCCATCTCTCCCTCCCCTGCCATTTTGGGTTTTGGGTCTTTGAACCCTTGCTTGCAATAGGTGTGCGTCAGAAGCACCCAGGACTTCCATTTGCTTTGTCCCGGGGCTCCACTGAACAAGTTGGCCTGCACTGGTGTTTTGTTGTGGGGAGGAGGATGGGGAGTAGGACATACCAGCTTAGATTTTAAGGTTTTTACTGTGAGGGATGTTTGGGAGATGTAAGAAATGTTCTTGCAGTTAAGGGTTAGTTTACAATCAGCCACATTCTAGGTAGGGGCCACTTCACCGTACTAACCAGGGAAGCTGTCCCTCACTGTTGAATTTTCTCTAACTTCAAGGCCCATATCTGTGAAATGCTGGATTTGCCCTACCTCGGAATGCTGGCATTTGCACCTACCTCACAGAGTGCATTGTGAGGGTT2297AATGAAATAATGTACATCTGGCCTTGAAACCACCTTTTATTACATGGGGTCTAGCGGGATCCACTAGTAACGCCGCCAGTGTGCTGGAATTCTGCAGATATCCATCACACTGGCGGCCGCTCGAGCATGCATCTAGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGCTGGGGCTCGAGGGGGATCCCCACGCTAGAGCT2733GACTATAATAATAAAACGCCAACTTTGACCCGGAACGCGGAAAACACCTGAGAAAAACACCTGGGCGAGTCTCCACGTAAACGGTCAAAGTCCCCGCGGCCCTAGACAAATATTA 2848-アデノウイルス5の左端
ただし、上記配列において:
1.アデノウイルス5の右端およびアデノウイルス5の左端は、アデノウイルス5の完全配列中に記載されている(Genbank No: NC_001406)
2.1-70:アデノウイルスの右アーム(70番目の塩基はアデノウイルス5遺伝子配列の3328に位置する)
3.71-523:ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTR(プロモーター)
4.524-655:5'非翻訳領域
5.656-1837:p53遺伝子コーディング配列
6.1838-2733:3'非翻訳領域(2298で開始するポリアデノシン(ポリA)尾部)
7.2734-2848:アデノウイルスの左アーム(2734の塩基はアデノウイルス5遺伝子配列の452に位置する)。
【0012】
組換え体の遺伝子発現カセットは、プロモーター-p53 cDNA-ポリアデノシンで構成された特異的な配列である。前記カセットの上流は、任意の真核細胞のプロモーター、原核細胞のプロモーターまたはウイルスプロモーターを含み、前記カセットの下流は、任意の真核細胞ポリアデノシン(ポリA)を含む。
【0013】
本発明の組換え体DNAを以下のように得た。組換え体ウイルスベクターを、相同組換えによって原核細胞中で得た。第1に、組換え体pGT-2を、アデノウイルスとプラスミドpGT-1(両端にアデノウイルスの逆方向末端反復を含む)との大腸菌内での相同組換えによって構築した。第2に、組換え体pGT-3を、pGT-2と人工的配列「アデノウイルスの右アーム/プロモーター-p53 cDNA-ポリアデノシン/アデノウイルスの左アーム」との大腸菌内での相同組換えによって構築した。最後に、エンドヌクレアーゼPacIを使用して原核生物プラスミド配列を切り捨てることによって、組換え体p53アデノウイルスを得た。
【0014】
実際、この組換え体は、相同組換えによって任意の原核細胞中で得られうる。
【0015】
上述の方法によれば、アデノウイルスの両側にある長い末端反復(LTR)をPCRによって増幅し、PacI制限酵素部位をそれぞれに導入した。両LTR断片を、pUC18ベクターにクローン化し、pGT-1組換え体配列を生成した。そして、構築されたpGT-1およびアデノウイルス5を、大腸菌(BJ5183, SiBiono Companyによって保存, 保存番号: P-e012)にコトランスフェクトした。次に、アデノウイルス5遺伝子を、pGT-1で相同的に組換えた。その後、ポジィティブなウイルスクローンを増幅、PCRによってスクリーニングし、制限酵素を使用して試験を行った。最後に、アデノウイルス5完全遺伝子配列を含む組換え体ベクターpGT-2を得た。
【0016】
5'ATGGAGGAGCCGCAGTCAGATCおよび5'ATATCTGCAGAATTCCAGCACをプライマーとして使用し、ヒト腫瘍抑制p53遺伝子をPCRによって増幅した。p53遺伝子の完全な配列(5'および3’非翻訳配列を含む)をベクターpUC19にクローン化し、DNAシークエンシングによって確認した。次に、RSV(ラウス肉腫ウイルス)LTR配列(プロモーター配列を含む)およびBGH
のPA配列およびアデノウイルスのE1配列をPCRによって増幅した。上記各配列の片側にリンカー配列を付着させ、DNAシークエンシングによって確認した。次のPCR反応において、LTRおよびPA配列をp53の5'および3'末端にそれぞれ付着させた。アデノウイルスE1領域およびその上流配列をp53の外側に結合させ、p53遺伝子発現カセットを構築した(図1を参照)。
【0017】
組換え体ベクターpGT-2およびp53遺伝子発現カセットを、相同組換えが起こる大腸菌BJ5183にコトランスフェクトした。次に、ポジィティブなクローンを増幅、PCRによってスクリーニングし、制限酵素反応を介して確認した。得られた組換え体ベクターはpGT-3であり、大部分のアデノウイルス5配列を含む(そのE1領域およびその上流配列の一部がp53発現カセットによって置換された)。組換え体ベクターpGT-3をPacIによって直線化し、pUC18起源の配列を切り捨てた。その後、293細胞(SiBiono Companyによって保存, 保存番号: E-393)にトランスフェクトするためにpGT-3を使用した。組換え体を細胞内にパックし、アデノウイルスシス活性配列およびLTRプロモーターを含むヒト腫瘍抑制遺伝子p53を発現させた。
【0018】
得られた組換え体p53アデノウイルスは、高いトランスフェクション効率を示し、操作が簡単であり、かつ単一プロモーターによって制御されている。
【0019】
この組換え体p53アデノウイルスは、以下の特徴を有している:
該アデノウイルスは、アデノウイルスベクターおよびp53遺伝子人工発現カセットで構築され、
【0020】
1.構造:該アデノウイルスは、他の化学合成医薬、薬草、および遺伝的に加工された医薬とは異なる組換え体生アデノウイルスである。該アデノウイルスは、高い生物学的活性を有し、インビボで直接発現することができ、医療適用において非常に効果的である。アデノウイルスは、大きな遺伝子断片を運ぶことができ、かつ高いトランスフェクション効率を示す。アデノウイルスは、高力価のウイルス粒子として調製することができ、非常に広い宿主範囲をもち、十分に安全であることが解っている。アデノウイルスベクターの免疫原性は、特に修飾後に大きく低下するので、標的遺伝子はインビボで容易に安定化されて発現される。p53人工遺伝子発現カセットでは、p53遺伝子の発現が、アデノウイルスベクターの単一プロモーターによって直接的に制御され、かつポリA尾部シグナルが付加されているので、無傷の発現カセットが構築される。
【0021】
2.応用:組換え体p53アデノウイルスは、広域抗腫瘍医薬である。該アデノウイルスを、多くの悪性腫瘍を治療するのに使用することができる。臨床第II相試験は、該アデノウイルスが、特に頭部および頸部の扁平上皮癌ならびに肺癌についての顕著な治療効果を有することを示した。組換え体p53アデノウイルスは、特に腫瘍の再発を防止するのに効果的である。臨床第I相試験および3年後の術後観察は、この組換え体p53アデノウイルスが、癌ワクチンとして喉頭癌患者の術後再発を防ぐことを示した。
【0022】
本発明の組換え体p53アデノウイルスを、多くの悪性腫瘍の治療のための医薬にすることができる。そして、該アデノウイルスを、腫瘍形成および腫瘍の術後の再発の防止のための医薬にすることができる。
【0023】
また、この組換え体を、静脈内注射、動脈内注射、腫瘍内注射、筋肉内注射、皮下注射、および胸水または腹水内注射のための医薬にすることができる。
【0024】
初めに、本発明の組換え体p53アデノウイルスを、特定の遺伝的に加工された細胞にトランスフェクトするために使用した。次に、細胞を増殖、濃縮、溶解させ、これを臨床等級の組換え体p53アデノウイルス抗腫瘍注射液に精製した。
【0025】
本発明に使用される293細胞(ATCC CRL-1573、第32世代、ATCCから入手、June 13th, 1997)は、アデノウイルス5(Ad5)DNAによってトランスフォームされ、かつAd5の5'末端からゲノムの11%(E1aを含む)を含んだヒト胎児腎上皮細胞からスクリーニングされた。この細胞は、アデノウイルスによる感染に対して高い許容性を示し、アデノウイルスの増殖に対しても許容性を示した。
【0026】
組換え体p53アデノウイルスを、臨床第I相試験において12人の中期または進行期の喉頭癌患者に対して適用した。該患者は、治療後31〜36月間にわたって再訪した。結果は、組換え体p53アデノウイルスを適用することが非常に安全であることを示した。12人の患者の中で再発は認められなかった。近年、中期または進行期の患者の3年生存率はわずかに44%であり、術後6〜12ヶ月の再発率は20%である。本発明の臨床試験は、この組換え体が、癌の治療だけでなく腫瘍の防止に使用できることを示した。臨床第II相試験は2001年から行われている。治療の効果は非常に有望である。図9〜13の結果は、本発明の組換え体が、伝統的な治療(化学療法および放射線療法)に対して非応答性である患者を効果的に治療することを示した。
【0027】
本発明の主要な貢献は、多くの腫瘍細胞を抑制できるヒト腫瘍抑制遺伝子p53を利用することにある。p53遺伝子が腫瘍組織に感染するのを助けるE1-アデノウイルスに抑制遺伝子をクローン化し、腫瘍に感染させた。その後、抑制遺伝子を、腫瘍組織の増殖を阻害または腫瘍細胞を死滅できるp53タンパク質として発現させた。本発明はまた、この組換え体p53アデノウイルス生成物を調製するための方法を提供し、p53タンパク質のインビトロでの不安定性(半減期=20分間)によって引き起こされる問題を解決する
組換え体p53アデノウイルスはヒト腫瘍抑制遺伝子p53を運び、これを腫瘍細胞中で直接的に発現させるので、遺伝的に加工された組換え体生成物(ここではp53タンパク質)がインビトロで調製できないという問題を解決する。腫瘍の治療のためにアデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスを使用すると、p53タンパク質をインビボにおいて持続的かつ高効率で発現させることができる。さらに、リン酸化、折り畳み、および重合を含む分子レベルでのタンパク質の修飾は、真核細胞と同様である。本発明の組換え体p53アデノウイルスは、真核細胞内でのp53遺伝子の発現を仲介するために使用することができ、前記組換え体を腫瘍に直接導入し、ヒト腫瘍抑制因子p53タンパク質を生成する源として患者に効果的に使用することができる。この方法は外来p53遺伝子をヒトの体にうまく導入し、該遺伝子が腫瘍組織内で強発現することを可能にした。これは、腫瘍および他の疾患の遺伝子治療を可能にした。
【0028】
以下の実施形態に基づいて本発明についてさらに説明する。本発明のプラクティスはこれらの実施形態に制限されない。
【0029】
実験1:
図1および2に記載された、組換え体p53アデノウイルスの構成および特徴
【0030】
1.2つのプライマーを、p53cDNAの公開された完全長配列に基づいて設計した。
【0031】
2つのプライマーは、5’ ATGGAGGAGCCGCAGTCAGATCおよび5’ ATATCTGCAGAATTCCAGCACであった。リンカー配列を両末端に付着させた。ヒトp53遺伝子を、HeLa細胞cDNAを鋳型として使用してPCR反応によって増幅した。実験条件は以下の通りである:
第1サイクルでは、94℃で4分間にわたってDNAを変性させ、58℃で1分間にわたってアニーリングし、72℃で2分間にわたって伸長させた。残りのサイクルの各々では、94℃で1分間にわたってDNAを変性させ、58℃で1分間にわたってアニーリングし、72℃で2分間にわたって伸長させた。合計30サイクルを行った。大量のp53遺伝子断片を得た。p53遺伝子を、アガロースゲル電気泳動を使用して分析した。p53遺伝子の完全な配列をゲルから抽出、精製し、制限酵素によって切断し、同じ酵素によって切断されたpUC19ベクターに挿入した。その後、前記断片の配列を決定した。試験対象の翻訳領域の配列および予測されるアミノ酸配列は、GenBank Acc XM_058834の配列と同一である。最後に、前記断片を制限酵素によって開裂して再回収した。
【0032】
2.LTRおよびPA配列をPCRによって増幅した。これらのプライマーは各々:
5’ TCTGACATGCGATGTCGACTCG,
5’ CGGCAGTGACCCGGAAAGCAG;
5’ TCACAGAGTGCA TTGTGAGGG,
5’ GCTCTAGCGTGGGGATCCC.
リンカー配列を5'プライマーおよび3'プライマーにそれぞれ付着させた。 LTRおよびPAを、上記に記載した同じアニーリング条件下でPCRによって増幅させた。増幅された断片を精製し、配列決定によって確認を行った。
【0033】
3.アデノウイルスE1配列を、上記に記載した同じ条件下でPCR反応によって別個に増幅した。BamHIおよびEcoRIの制限酵素部位を両末端のプライマーと連結させた。前記断片を増幅後にシークエンシングによって試験した。
【0034】
4.工程1からの断片と工程2からの断片を、PCR反応によってそれぞれ反応させて連結した。実験条件は上述した通りである。PCR産物LTR-p53-PAを得た。得られた配列をシークエンシングによって試験した。
【0035】
5.工程3からの断片と工程4からのLTR-p53-PAを、T4 DNAリガーゼによって連結した。得られた配列がp53遺伝子カセットである。
【0036】
6.アデノウイルスの両末端からの逆方向末端反復(IRT)配列を、上述したのと同じ実験条件下でPCRによって増幅した。シークエンシングによって試験された後、得られた断片をpUC18ベクターにクローン化した。これによって組換え体ベクターpGT-1を得た。
【0037】
7.組換え体ベクターpGT-1および野生型アデノウイルス5(ATCC-VR-5、アデノウイルス75、力価:10(6.75) TCID(50)/ml)DNAを、大腸菌BJ5183にコトランスフェクトした。30分間にわたって4℃で維持した後、トランスフェクションを行う細菌を、50秒間にわたって42℃で熱ショックを与え、その後1分間にわたって再び4℃で維持した。最後に、細菌を1ml LB培地に加えて1時間にわたってインキュベートした。加工された細菌を、アンピシリンを含む寒天培地上に播種し、24時間にわたってインキュベートした。単一のクローンを、無菌のつま楊枝でつつき、これをLB培地の入ったボトルに入れ、24時間にわたってインキュベーションした。プラスミドを通常の方法によって抽出し、PacIの酵素的消化によってスクリーニングした。ポジィティブクローンはpGT-2(Ad5の全配列を含む)である。
【0038】
8.組換え体ベクターpGT-2およびp53遺伝子カセットを、大腸菌BJ5183にコトランスフェクトした。インキュベーション、スクリーニングおよびキャラクタリゼーションの方法条件は上述した通りである。ポジィティブクローンは、アデノウイルス全遺伝子配列および挿入されたp53遺伝子発現カセットを含むpGT-3である。クローンをPacIによって直線化した後にpUC18起源のベクター配列を切り捨てた。
【0039】
9.ポジィティブな直線状のプラスミドをCsClによって精製し、CaCl2方法を使用して293細胞にトランスフェクトした。細胞を7日後に収集した。細胞を15分間にわたって1000rpmで遠心分離した。上清を捨てた。細胞を37℃および-80℃で3回溶解させた。30分間にわたって4000rpmで再び遠心分離を行った。沈殿物を捨てた。上清を細胞に再び感染させ、ウイルスを増幅し、上述に記載されたのと同じ方法で溶解した。得られた上清を、16時間にわたって4℃、60000rpm、CsClで密度勾配遠心分離した。組換え体アデノウイルスのバンドをNo.7針によって抽出した。DNA断片をN1Hバッファーに加え、Spectra MW6000透析バック中に4時間にわたって4℃で透析した。DNA溶液を0.25μmフィルターを通過させることによって滅菌し、パックして-80℃で貯蔵した。得られた生成物の一部を、プラーク検定およびウイルス粒子力価試験に使用した。
【0040】
10.組換え体アデノウイルスの構造安定性試験。ウイルスのゲノムDNAを複製の数世代後に得た。5’CCACGACGGTGACACGCTTCおよび5’CAAGCAAGGGTTCAAAGACであるp53の両末端からのプライマーを使用してPCRによってDNA断片を増幅した。アガロースゲル電気泳動の結果を図3に示した。組換え体p53アデノウイルスの両側のアデノウイルスのアームを、プライマーとして設計した:5' TTT CTC AGG TGT TTT CCG C および 5' CAT CGT ACC TCA GCA CCT TC。PCRの結果を図4に示した。上記結果は、組換え体p53アデノウイルスの構造が、複製の多くの世代後に安定していることを示した。
【0041】
11.Hep-2およびH1299細胞中でのp53発現試験。組換え体p53をトランスフェクトした36時間後、Hep-2およびH1299細胞を伝統的な方法によって溶解させた。p53タンパク質特異的な抗体を使用したウェスタンブロットの結果を図5に示した。
【0042】
12.組換え体p53アデノウイルスをHep-2細胞に感染後36時間にわたる遺伝子導入Hep-2細胞についての組換え体p53アデノウイルスの時間および投与量の効果。研究は、組換え体DNAの異なる投与量および異なる感染時間でのHep-2細胞についての異なる殺傷効果について焦点を合わせた。細胞をフェノールブルーによって染色し、死細胞をカウントした。結果を図6および7に示した。
【0043】
実験2:
腫瘍細胞についての組換え体p53アデノウイルスの殺傷効果:組換え体p53アデノウイルスをHep-2細胞に一般的な方法によってトランスフェクトした。
【0044】
各群の細胞のカウントは上記と同様とした。細胞を以下の群に分けた:1.ブランク対照群;2.MOI 200;3.MOI 150;4.MOI 100;5.MOI 50;6.MOI 10;7.GFPウイルスMOI 200;8.GFPウイルスMOI 150。細胞をトランスフェクション後36時間にわたってインキュベーションした。腫瘍細胞についての組換え体p53アデノウイルスの殺傷効果は、MOIが50よりも大きいときには顕微鏡下で観察することができる。効果は投与量とともに増加した。顕微鏡下で細胞が収縮して死滅していくのが観察された。結果を図8に示す。
【0045】
実験3:
組換え体p53アデノウイルスの臨床効果(鼻咽頭癌):
図9は、食品医薬品局によって指定された特定の病院での医療試験において組換え体p53アデノウイルスが適用されたことを示す。また、組換え体p53アデノウイルスの治療前および治療後の鼻咽頭癌患者のCT写真を示した。左側の写真は治療前の癌を示し、右側の写真は治療後の縮小した癌を示す(87%まで、ネクローシスが腫瘍組織において認められた)。
【0046】
臨床第II相試験を受けた患者は60人を超えた。臨床治療効果は顕著であった。
【0047】
実験4:
組換え体p53アデノウイルスの臨床効果(肺癌):
図10は、臨床第II相試験における肺癌についての組換え体p53アデノウイルスの治療効果を示す。この実験の女性患者は、肺の腺癌、左胸の胸水を患っており、肝臓転移、骨転移、および脳転移を伴っている。抽出および化学療法の多数の適用後に大量の胸水が再発生した。しかしながら、彼女を組換え体p53アデノウイルスで治療して1月後、彼女の胸水は完全に消えた。
【0048】
実験5:
組換え体p53アデノウイルスの臨床効果(甲状腺癌):
図11は、臨床第II相試験における甲状腺癌についての組換え体p53アデノウイルスの治療効果を示す。この実験の女性患者は、術後1年で再発した甲状腺癌を患っている。彼女は右上頸部にリンパ転移を伴っており、低度の分化扁平上皮癌として診断された。放射線療法、化学療法および温熱療法の1年後、何ら肯定的な効果は認められなかった。癌が気管を圧迫したので彼女は呼吸困難に陥り始めた。この患者に組換え体p53アデノウイルスを8回にわたって注入した後、癌は著しく減少した(48%まで)。
【0049】
実験6:
組換え体p53アデノウイルスの臨床効果(頸部癌):
図12は、臨床第II相試験における頸部癌についての組換え体p53アデノウイルスの治療効果を示す。この実験の癌患者は、病理学的に扁平上皮癌として診断された。この患者に組換え体p53アデノウイルスを8回にわたって注入した後、癌は著しく減少した(91%まで)。3ヶ月後に癌は完全に消滅した。
【0050】
実験7:
組換え体p53アデノウイルスの臨床効果(食道癌の転移):
図13は、臨床第II相試験における食道癌の転移についての組換え体p53アデノウイルスの治療効果を示す。この実験における鎖骨上リンパ節転移を伴う食道癌の患者は、病理学的に扁平上皮癌として診断された。放射線療法後の効果は認められなかった。この患者に組換え体p53アデノウイルスを8回にわたって注入した後、癌は著しく減少した(29%まで)。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】図1は、組換え体p53アデノウイルスの構築の模式的なプロセスを示す。
【図1B】図1は、組換え体p53アデノウイルスの構築の模式的なプロセスを示す。
【図2】図2は、組換え体p53アデノウイルスの生産についての実験手順の流れ図を示す。
【図3】図3は、鋳型としてp53cDNA、プライマーとして5'CCACGACGGTGACACGCTTC3'および5'CAAGCAAGGGTTCAAAGAC3'を使用して、数世代の継代後の組換え体p53アデノウイルスのPCR増幅のアガロースゲル電気泳動の結果を示す。この結果は組換え体p53アデノウイルスの安定性を確認する。
【図4】図4は、組換え体p53アデノウイルス(SiBiono Companyによって保存、保存番号:No-1、以下同じ。)を感染させた293細胞から36時間以前に得られたウイルスDNAのPCR増幅のアガロースゲル電気泳動の結果を示す。
【図5】図5は、細胞に組換え体p53アデノウイルスを36時間にわたって感染させた後の293細胞からの細胞溶解物のウェスタンブロット分析の結果を示す。
【図6】図6は、Hep-2細胞についての組換え体p53アデノウイルスの異なる投与量の殺傷効果の曲線ダイアグラムを示す。
【図7】図7は、Hep-2細胞についての組換え体p53アデノウイルスの増殖阻害効果の曲線ダイアグラムを示す。
【図8】図8は、細胞に組換え体p53アデノウイルスを感染後36時間以前のHep-2細胞の顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、鼻咽頭癌を治療する組換え体p53アデノウイルスの臨床効果を表わすCT写真を示す(フェーズII)。
【図10】図10は、肺癌を治療する組換え体p53アデノウイルスの臨床効果を表わすCT写真を示す(フェーズII)。
【図11】図11は、甲状腺癌を治療する組換え体p53アデノウイルスの臨床効果を表わすCT写真を示す(フェーズII)。
【図12】図12は、頸部癌を治療する組換え体p53アデノウイルスの臨床効果を表わすCT写真を示す(フェーズII)。
【図13】図13は、食道癌を治療する組換え体p53アデノウイルスの臨床効果を表わすCT写真を示す(フェーズII)。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNAクローニング技術によってウイルスベクターおよびヒト腫瘍抑制遺伝子発現カセットで構築された組換え体ウイルスであって、特定の遺伝的に加工された細胞中で増幅および増殖し、かつ真核細胞中で腫瘍抑制タンパク質を発現する組換え体ウイルス。
【請求項2】
前記ベクターが、DNAウイルスまたはRNAウイルスである請求項1の組換え体。
【請求項3】
前記ベクターが、アデノウイルスベクターまたはアデノウイルスベクター配列を含む結合ベクターである請求項2の組換え体。
【請求項4】
前記ヒト腫瘍抑制遺伝子が、複数の腫瘍抑制遺伝子のいずれか1つであり得る請求項1の組換え体。
【請求項5】
前記ヒト腫瘍抑制遺伝子が、p53である請求項4の組換え体。
【請求項6】
アデノウイルスベクターおよびp53遺伝子を含む組換え体が以下の配列を有する請求項1の組換え体:
アデノウイルス5の右端
-ATGTTTACCGCCACACTCGCAGGGTCTGCACCTGGTGCGGGTCTCATCGTACCTCAGCACCTTCCAGATC70TCTGACATGCGATGTCGACTCGACTGCTTCGCGATGTACGGGCCAGATATACGCGTATCTGAGGGGACTAGGGTGTGTTTAGGCGAAAAGCGGGGCTTCGGTTGTACGCGGTTAGGAGTCCCCTCAGGATATAGTAGTTTCGCTTTTGCATAGGGAGGGGGAAATGTAGTCTTATGCAATACTCTTGTAGTCTTGCAACATGGTAACGATGAGTTAGCAACATGCCTTACAAGGAGAGAAAAAGCACCGTGCATGCCGATTGGTGGAAGTAAGGTGGTACGATCGTGCCTTATTAGGAAGGCAACAGACGGGTCTGACATGGATTGGACGAACCACTGAATTCCGCATTGCAGAGATATTGTATTTAAGTGCCTAGCTCGATACAATAAACGCCATTTGACCATTCACCACATTGGTGTGCACCTCCAAGCTTGGTACCGAGCTCGGATCCCG523CTAGAGCCACCGTCCAGGGAGCAGGTAGCTGCTGGGCTCCGGGGACACTTTGCGTTCGGGCTGGGAGCGTCTTTCCACGACGGTGACACGCTTCCCTGGATTGGCAGCCAGACTGCTTTCCGGGTCACTGCC655ATGGAGGAGCCGCAGTCAGATCCTAGCGTCGAGCCCCCTCTGAGTCAGGAAACATTTTCAGACCTATGGAAACTACTTCCTGAAAACAACGTTCTGTCCCCCTTGCCGTCCCAAGCAATGGATGATTTGATGCTGTCCCCGGACGATATTGAACAATGGTTCACTGAAGACCCAGGTCCAGATGAAGCTCCCAGAATGCCAGAGGCTGCTCCCCCCGTGGCCCCTGCACCAGCAGCTCCTACACCGGCGGCCCCTGCACCAGCCCCCTCCTGGCCCCTGTCATCTTCTGTCCCTTCCCAGAAAACCTACCAGGGCAGCTACGGTTTCCGTCTGGGCTTCTTGCATTCTGGGACAGCCAAGTCTGTGACTTGCACGTACTCCCCTGCCCTCAACAAGATGTTTTGCCAACTGGCCAAGACCTGCCCTGTGCAGCTGTGGGTTGATTCCACACCCCCGCCCGGCACCCGCGTCCGCGCCATGGCCATCTACAAGCAGTCACAGCACATGACGGAGGTTGTGAGGCGCTGCCCCCACCATGAGCGCTGCTCAGATAGCGATGGTCTGGCCCCTCCTCAGCATCTTATCCGAGTGGAAGGAAATTTGCGTGTGGAGTATTTGGATGACAGAAACACTTTTCGACATAGTGTGGTGGTGCCCTATGAGCCGCCTGAGGTTGGCTCTGACTGTACCACCATCCACTACAACTACATGTGTAACAGTTCCTGCATGGGCGGCATGAACCGGAGGCCCATCCTCACCATCATCACACTGGAAGACTCCAGTGGTAATCTACTGGGACGGAACAGCTTTGAGGTGCGTGTTTGTGCCTGTCCTGGGAGAGACCGGCGCACAGAGGAAGAGAATCTCCGCAAGAAAGGGGAGCCTCACCACGAGCTGCCCCCAGGGAGCACTAAGCGAGCACTGCCCAACAACACCAGCTCCTCTCCCCAGCCAAAGAAGAAACCACTGGATGGAGAATATTTCACCCTTCAGATCCGTGGGCGTGAGCGCTTCGAGATGTTCCGAGAGCTGAATGAGGCCTTGGAACTCAAGGATGCCCAGGCTGGGAAGGAGCCAGGGGGGAGCAGGGCTCACTCCAGCCACCTGAAGTCCAAAAAGGGTCAGTCTACCTCCCGCCATAAAAAACTCATGTTCAAGACAGAAGGGCCTGACTCAGACTGA1837CATTCTCCACTTCTTGTTCCCCACTGACAGCCTCCCACCCCCATCTCTCCCTCCCCTGCCATTTTGGGTTTTGGGTCTTTGAACCCTTGCTTGCAATAGGTGTGCGTCAGAAGCACCCAGGACTTCCATTTGCTTTGTCCCGGGGCTCCACTGAACAAGTTGGCCTGCACTGGTGTTTTGTTGTGGGGAGGAGGATGGGGAGTAGGACATACCAGCTTAGATTTTAAGGTTTTTACTGTGAGGGATGTTTGGGAGATGTAAGAAATGTTCTTGCAGTTAAGGGTTAGTTTACAATCAGCCACATTCTAGGTAGGGGCCACTTCACCGTACTAACCAGGGAAGCTGTCCCTCACTGTTGAATTTTCTCTAACTTCAAGGCCCATATCTGTGAAATGCTGGATTTGCCCTACCTCGGAATGCTGGCATTTGCACCTACCTCACAGAGTGCATTGTGAGGGTT2297AATGAAATAATGTACATCTGGCCTTGAAACCACCTTTTATTACATGGGGTCTAGCGGGATCCACTAGTAACGCCGCCAGTGTGCTGGAATTCTGCAGATATCCATCACACTGGCGGCCGCTCGAGCATGCATCTAGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGCTGGGGCTCGAGGGGGATCCCCACGCTAGAGCT2733GACTATAATAATAAAACGCCAACTTTGACCCGGAACGCGGAAAACACCTGAGAAAAACACCTGGGCGAGTCTCCACGTAAACGGTCAAAGTCCCCGCGGCCCTAGACAAATATTA 2848-アデノウイルス5の左端
ただし、上記配列において:
1)アデノウイルス5の右端およびアデノウイルス5の左端は、アデノウイルス5の完全配列中に記載されている(Genbank No: NC_001406)
2)1-70:アデノウイルスの右アーム(70番目の塩基はアデノウイルス遺伝子配列の3328に位置する)
3)71-523:ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTR(プロモーター)
4)524-655:5'末端非翻訳領域
5)656-1837:p53遺伝子コーディング配列
6)1838-2733:3'末端非翻訳領域(2298で開始するポリアデノシン尾部)
7)2734-2848:アデノウイルスの左アーム(2734の塩基はアデノウイルス5遺伝子配列の452に位置する)。
【請求項7】
前記組換え体の遺伝子発現カセットが、プロモーター-p53cDNA-ポリアデノシンで構成された特定の配列である請求項1の組換え体。
【請求項8】
前記遺伝子発現カセットの上流が、任意の真核細胞のプロモーター、原核細胞のプロモーターまたはウイルスプロモーターであり、かつ下流が、任意の真核遺伝子ポリアデノシン残基(ポリA尾部)である請求項7の組換え体。
【請求項9】
相同組換えによって原核細胞中に得られる請求項1の組換え体であって、前記相同組換えが、
1)組換え体pGT-2を、アデノウイルスとプラスミドpGT-1(アデノウイルスの両末端にある2つの逆方向末端反復を含む)との大腸菌内での相同組換えによって得る工程と、
2)組換え体pGT-3を、pGT-2と人工的配列「アデノウイルスの右アーム/プロモーター-p53cDNA-ポリA/アデノウイルスの左アーム」との大腸菌内での相同組換えによって得る工程と、
3)組換え体p53アデノウイルスを、エンドヌクレアーゼPacIを使用して原核生物の配列を切り捨てることによって得る工程と
を含む組換え体。
【請求項10】
前記組換え体が、相同組み換えによって任意の原核細胞中に得られる請求項9の組換え体。
【請求項11】
悪性腫瘍を治療するための医薬を調製するために使用される請求項1の組換え体。
【請求項12】
腫瘍を防止するかまたは腫瘍の術後の再発を防止するための医薬を調製するために使用される請求項1の組換え体。
【請求項13】
静脈内注射、動脈内注射、腫瘍内注射、筋肉内注射、皮下注射、器官内注射、および胸水または腹水内注射のための医薬を調製するために使用される請求項1の組換え体。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2007−523604(P2007−523604A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504215(P2006−504215)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000465
【国際公開番号】WO2004/078987
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505337261)
【出願人】(505337283)
【Fターム(参考)】