説明

ウインチ回路の異常検出装置および異常検出方法

【課題】ウインチ回路の異常判定を容易に行う。
【解決手段】ウインチ駆動用の油圧モータ12に油圧ポンプ11からの吐出圧を供給するウインチ回路と、ウインチロープ1aの張力を検出する張力検出手段40と、ウインチ回路上の異常判定に関する所定の物理量q,P,Nを検出する物理量検出手段52〜55と、張力検出手段40により検出されたロープ張力に基づき、所定の物理量q,P,Nを算出する物理量算出手段70と、物理量検出手段により検出された物理量と物理量算出手段により算出された物理量とを比較して、ウインチ回路上の異常を判定する異常判定手段70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインチ回路の異常を検出する異常検出装置および異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウインチ回路は、油圧ポンプと、油圧ポンプからの圧油により駆動するウインチ駆動用油圧モータと、油圧ポンプから油圧モータへの圧油の流れを制御する制御弁等からなり、オペレータが制御弁を操作してブームの昇降、吊り荷の巻上げ、巻下げ等を行うように構成される。この種のウインチ回路において、油圧モータからの油の漏れ量が増加した場合には吊り荷が自重で落下するおそれがあり、この吊り荷の落下を防止するようにした装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−263594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、油圧モータからの油の漏れ量の増加等、ウインチ回路上に何らかの異常があっても、その異常発生を容易に検出することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるウインチ回路の異常検出装置は、ウインチ駆動用の油圧モータに油圧ポンプからの吐出圧を供給するウインチ回路と、ウインチロープの張力を検出する張力検出手段と、ウインチ回路上の異常判定に関する所定の物理量を検出する物理量検出手段と、張力検出手段により検出されたロープ張力に基づき、所定の物理量を算出する物理量算出手段と、物理量検出手段により検出された物理量と物理量算出手段により算出された物理量とを比較して、ウインチ回路上の異常を判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする。
ブームに作用する負荷を制限する過負荷防止装置をさらに備え、過負荷防止装置からの信号に基づきロープ張力を検出することもできる。
油圧モータを、可変容量型油圧モータとして構成し、この油圧モータのモータ容量、モータの有効圧力、およびモータ回転速度を上述の物理量とすることもできる。
この場合、検出されたモータ容量と算出されたモータ容量とを比較してモータ容量の異常を判定した後、検出されたモータの有効圧力と算出されたモータの有効圧力とを比較してモータ圧力の異常を判定し、さらにその後、検出されたモータ回転速度と算出されたモータ回転速度とを比較してモータ回転速度の異常を判定することが好ましい。
本発明によるウインチ回路の異常検出方法は、ウインチ回路上の異常判定に関する所定の物理量を検出する工程と、ウインチロープの張力の検出値に基づき、所定の物理量を算出する工程と、検出された物理量と算出された物理量とを比較して、ウインチ回路上の異常を判定する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ウインチ回路上の異常判定に関する物理量を算出し、この算出値と検出値とを比較して異常を判定するので、ウインチ回路における異常を容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1〜図8を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に異常検出装置により異常が検出されるウインチの油圧回路図である。この油圧回路は、ブーム1を起伏するブーム起伏用回路10と、吊り荷2を巻き上げる巻上用回路20とに大別される。
【0008】
ブーム起伏用回路10は、エンジン30により駆動される可変容量型油圧ポンプ11と、この油圧ポンプ11からの圧油により駆動する可変容量型油圧モータ12と、油圧ポンプ11から油圧モータ12への油の流れを制御する方向制御弁13と、方向制御弁13を操作する起伏用操作レバー14と、制御弁13からブリードオフされた圧油の圧力を制御する圧力補償弁15とを有する。
【0009】
操作レバー14を巻上げまたは巻下げ操作すると、その操作量に応じたパイロットポンプ31からのパイロット圧が方向制御弁13に作用し、方向制御弁13が中立位置から巻上げ側または巻下げ側に切り換わる。これにより油圧ポンプ11からの吐出油により油圧モータ12が回転し、起伏ドラム1が巻上げまたは巻下げ駆動して起伏ロープ1aが巻き取りまたは繰り出され、ペンダントロープ5を介してブーム3が起伏する。この場合、方向制御弁13の前後差圧は圧力補償弁15により補償されており、油圧モータ12は負荷の大きさに拘わらず操作レバー14の操作量に応じた速度で駆動される。
【0010】
ブーム起伏用回路10における油圧ポンプ11の吐出量はポンプ流量計51により検出され、モータ容量は容量検出器52により検出され、油圧モータ12に作用する巻上げ側および巻下げ側の駆動圧はそれぞれ圧力センサ53,54により検出され、油圧モータ12の回転数は回転検出器55により検出され、操作レバー14の巻上げおよび巻下げ操作によるパイロット圧はそれぞれ圧力センサ56,57により検出される。
【0011】
一方、巻上用回路20は、エンジン30により駆動される可変容量型油圧ポンプ21と、この油圧ポンプ21からの圧油により駆動する可変容量型油圧モータ22と、油圧ポンプ21から油圧モータ22への油の流れを制御する方向制御弁23と、方向制御弁23を操作する巻上げ用操作レバー24と、制御弁23からブリードオフされた圧油の圧力を制御する圧力補償弁25とを有する。
【0012】
操作レバー24を巻上げまたは巻下げ操作すると、その操作量に応じたパイロットポンプ31からのパイロット圧が方向制御弁23に作用し、方向制御弁23が中立位置から巻上げ側または巻下げ側に切り換わる。これにより油圧ポンプ21からの吐出油により油圧モータ22が回転し、巻上げドラム2が巻上げまたは巻下げ駆動して巻上げロープ2aが巻き取りまたは繰り出され、吊り荷4が昇降する。この場合、方向制御弁23の前後差圧は圧力補償弁25により補償されており、油圧モータ22は負荷の大きさに拘わらず操作レバー24の操作量に応じた速度で駆動される。
【0013】
巻上げ用回路20における油圧ポンプ21の吐出量はポンプ流量計61により検出され、モータ容量は容量検出器62により検出され、油圧モータ22に作用する巻上げ側および巻下げ側の駆動圧はそれぞれ圧力センサ63,64により検出され、油圧モータ22の回転数は回転検出器65により検出され、操作レバー24の巻上げおよび巻下げ操作によるパイロット圧はそれぞれ圧力センサ66,67により検出される。
【0014】
ペンダントロープ5は起伏ロープ1aを介してブーム先端部を支持しており、ペンダントロープ5にはブーム3の自重と吊り荷4の重量に応じたロープ張力が作用する。ペンダントロープ5の張力と起伏ロープ1aの張力および巻上げロープ2aの張力との間には所定の相関関係があり、ペンダントロープ5の張力を求めれば、起伏ロープ1aおよび巻上げロープ2aの張力を求めることができる。
【0015】
図2は、本実施の形態に係る異常検出装置の構成を示すブロック図である。コントローラ70には、上述した流量計51,61、容量検出器52,62、回転検出器55,65、および圧力センサ52,53,56,57,62,63,66,67が接続されている。さらにコントローラ70には、モーメントリミッタなどの過負荷防止装置40が接続されている。
【0016】
過負荷防止装置40は、ブーム角度、ブーム長さ、およびペンダントロープ5に作用するロープ張力により実作業半径とブーム3に作用する実荷重とを演算する。そして、予め定められた限界荷重曲線を用いて実作業半径に対応する限界荷重を求め、この限界荷重と実荷重とを比較して、クレーンが転倒しないようにドラム1,2の駆動を制限する。ここで、ブーム角度はブーム角度計41により検出され、ブーム長さはブーム長さ設定器42により設定され、ロープ張力はロードセル43により検出される。コントローラ70は、各種センサ51〜57,61〜67および過負荷防止装置40からの信号に基づき後述の処理を実行し、運転室内の表示部71に制御信号を出力する。
【0017】
コントローラ70には、予め図3に示すように各油圧モータ12,22の有効圧力(モータ圧力P)とモータ容量qとの関係、および各油圧モータ12,22のモータ容量qと起伏ロープ1aおよび巻上げロープ2aのロープ張力Fとの関係が記憶されている。図3(a)に示すように、モータ容量qは、モータ圧力Pが所定値Paに達するまでは最小qminであり、所定値Paを超えると最大qmaxとなる。すなわち各油圧モータ12,22は容量制御用レギュレータを有し、モータ容量qはモータ圧力Pに応じて制御される。
【0018】
ロープ張力Fはモータ駆動トルクに比例し、モータ駆動トルクは主にモータ容量qとモータ圧力Pと機械効率ηの積(P×q×η)によって表される。そのため、図3(b)に示すようにロープ張力Fは、モータ容量qが最小qminのときは、モータ圧力Pの増加に伴いF1まで増加し、最小qminと最大qmaxの間の範囲では、モータ圧力一定のままモータ容量qの増加に伴いF1からF2まで増加し、モータ容量qが最大qmaxのときは、モータ圧力Pの増加に伴いF2よりさらに増加する。
【0019】
このようにモータ容量qとモータ圧力Pとロープ張力Fとの間には一定の対応関係があり、ロープ張力Fがわかれば、モータ容量qとモータ圧力Pを算出することができる。このモータ容量qとモータ圧力Pの算出値が実測値から大きくずれている場合には、回路上に何らかの異常があると判定できる。
【0020】
コントローラ70には、さらに図4に示すような制御弁13,23の開口特性も記憶されている。図4において、特性aはタンクへと通じる通路の開口面積を、特性bはモータ12,22へと通じる通路の開口面積をそれぞれ示しており、各開口面積はスプールのストロークにより変化する。これによりスプールストローク量に応じた制御弁13,23の開口面積を算出することができる。
【0021】
制御弁13,23の前後差圧は圧力補償弁15,25により圧力補償されているため、開口面積を算出できれば油圧モータ12,22に供給されるモータ流量を算出することができ、さらにモータ容量qを用いてモータ回転数Nを算出することができる。このモータ回転数Nの算出値が実測値から大きくずれている場合には、回路上に何らかの異常があると判定できる。
【0022】
図5は、コントローラ70で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えばエンジンキースイッチのオンによりスタートする。ステップS100では、モータ容量qの異常を判定するモータ容量異常判定処理を実行する。ステップS200では、モータ圧力Pの異常を判定するモータ圧力異常判定処理を実行する。ステップS300では、モータ速度Nの異常を判定するモータ速度異常判定処理を実行する。ステップS400では、各判定処理による判定結果を表示部71に出力する出力処理を実行する。以下、各ステップの処理を詳細に説明する。なお、以下では、とくにブーム起伏用回路10の異常判定について説明する。
【0023】
図6は、ステップS100のモータ容量異常判定処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS101では、容量検出器52により検出されたモータ容量qの実測値を読み込む。ステップS102では、過負荷防止装置40からの信号により起伏ロープ1aの張力Fを検出する。ステップS103では、予め記憶された図3の関係を用いて、ロープ張力Fに対応したモータ容量qを算出する。
【0024】
ステップS104では、モータ容量qの実測値(ステップS101)と算出値(ステップS103)との差(絶対値)が所定の基準値α1より大きいか否かを判定する。基準値α1より大きいときはステップS105に進み、モータ容量qが異常と判定する。基準値α1以下のときはステップS106に進み、モータ容量qが正常と判定する。
【0025】
図7は、ステップS200のモータ圧力異常判定処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS201では、圧力検出器53,54により検出された圧力を読み込み、両者の差圧であるモータ圧力(有効圧力)Pの実測値を求める。ステップS202では、予め記憶された図3の関係を用いて、ステップS102のロープ張力Fに対応したモータ圧力Pを算出する。この場合、モータ圧力Pを算出するためにはモータ容量qが必要となるが、モータ容量qはステップS101の実測値を用いる。
【0026】
ステップS203では、モータ圧力Pの実測値(ステップS201)と算出値(ステップS202)との差(絶対値)が所定の基準値α2より大きいか否かを判定する。基準値α2より大きいときはステップS204に進み、モータ圧力Pが異常と判定する。基準値α2以下のときはステップS205に進み、モータ圧力Pが正常と判定する。
【0027】
図8は、ステップS300のモータ速度異常判定処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS301では、回転検出器55により検出されたモータ回転数Nの実測値を読み込む。ステップS302では、圧力センサ56,57により検出されたパイロット圧を読み込む。検出されたパイロット圧は、制御弁13のスプールストローク量に対応しており、ステップS303では、予め記憶された図4の関係を用いて、スプールストローク量に応じた制御弁13の開口面積を算出する。ステップS304では、この開口面積と流量計51によって検出されたポンプ流量とにより、油圧モータ12に供給されるモータ流量を算出する。
【0028】
ステップS305では、モータ流量を、容量検出器52により検出されたモータ容量qで除算してモータ回転数Nを算出する。ステップS306では、モータ回転数Nの実測値(ステップS301)と算出値(ステップS305)の差が所定の基準値α3より大きいか否かを判定する。基準値α3より大きいときはステップS307に進み、モータ回転数Nが異常と判定する。基準値α3以下のときはステップS308に進み、モータ回転数Nが正常と判定する。
【0029】
以上の異常判定処理が終了すると、ステップS400で判定結果を表示部71に出力し、表示部71の表示を制御する。この場合、モータ容量異常(ステップS105)、モータ圧力異常(ステップ204)、モータ回転数異常(ステップS307)と判定されると、表示部71は各異常に対応した異なる警報を表示する。例えば表示部71に警報ランプを3カ所設置し、各異常に対応してそれぞれ異なる警報ランプを点灯する。これにより異常箇所が複数ある場合であっても、オペレータはその異常箇所を認識できる。
【0030】
本実施の形態の動作をまとめると次のようになる。
まず、コントローラ70はモータ容量異常判定処理(ステップS100)を実行する。例えば容量制御用レギュレータが故障すると、モータ圧力Pの変化に追従してモータ容量qが変化しなくなり、モータ容量qの実測値と推定値の差が基準値α1よりも大きくなる。この場合、モータ容量異常と判定され(ステップS105)、表示部71に所定の警報が表示される(ステップS400)。これによりオペレータはモータ容量qが異常であることを認識できる。
【0031】
モータ容量異常判定処理が終了すると、コントローラ70はモータ圧力異常判定処理(ステップS200)を実行する。例えばシール部の摩耗等により油圧モータ12からの圧油の漏れ量が多くなると、モータ12の機械効率ηが低下するため、所定のモータ駆動トルクを出力するために必要なモータ圧力P(実測値)が増加する。この場合、モータ圧力Pの実測値と推定値の差が基準値α2よりも大きくなって、モータ圧力異常と判定され(ステップS204)、表示部71に所定の警報が表示される。これによりオペレータはモータ圧力Pが異常であることを認識できる。
【0032】
モータ圧力異常判定処理が終了すると、コントローラ70はモータ速度異常判定処理(ステップS300)を実行する。例えば制御弁13や圧力補償弁15が故障すると、制御弁13にパイロット圧が作用してもそれに見合ったモータ流量が流れない。この場合、モータ回転数Nの実測値と推定値の差が基準値α3よりも大きくなって、モータ回転数異常と判定され(ステップS307)、表示部71に所定の警報が表示される。これによりオペレータはモータ回転数Nが異常であることを認識できる。
【0033】
このようにモータ容量異常判定処理、モータ圧力異常判定処理、モータ速度異常判定処理を順次行うことで、モータ回路上の異常箇所を絞り込むことができ、異常箇所の特定が可能となる。この場合、モータ圧力異常判定処理およびモータ速度異常判定処理では、モータ容量qの実測値を用いてモータ圧力Pおよびモータ回転数Nを算出し(ステップS202,S305)、異常判定するため、モータ容量qが異常である場合にも、モータ圧力とモータ回転数の異常を検出することができ、複数箇所の異常を同時に検出できる。
【0034】
本実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)ロープ張力Fに基づきモータ容量q、モータ圧力P、モータ回転数Nを算出し、これら算出値と実測値とをそれぞれ比較して、その差が基準値α1〜α3より大きいときに、ウインチ回路の異常と判定するようにした。これによりウインチ回路における異常を容易に検出することができる。そのため、異常発生後、早期に各種メンテナンス等を行うことができ、油圧機器に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
(2)過負荷防止装置40からの信号によりロープ張力Fを検出するので、ロープ張力Fを検出するためのセンサを追加する必要がない。そのため、構成を簡素化することができ、ウインチ回路の異常発生の検出が一層容易である。
(3)モータ容量異常判定処理、モータ圧力異常判定処理、モータ速度異常判定処理を順次行うので、異常箇所の絞り込みが容易である。
(4)異常判定処理における判定結果を表示部71に表示するので、オペレータは異常を容易に認識できる。
(5)この際、各異常に対応して異なった表示とするので、オペレータは異常箇所を容易に認識することができ、効率よくメンテナンスを行うことができる。
【0035】
なお、上記実施の形態では、過負荷防止装置40からの信号に基づきロープ張力Fを検出したが、他の張力検出手段によりロープ張力Fを検出してもよい。モータ容量qとモータ圧力Pとモータ回転数Nについて、それぞれ異常を判定したが、他の物理量について異常を判定してもよい。したがって、容量検出器52,62、圧力センサ53,54,63,64、回転検出器55,65以外を物理量検出手段としてもよい。
【0036】
ロープ張力Fとモータ容量qとモータ圧力Pとの関係(図3)、および制御弁13,23の開口面積特性(図4)を予めコントローラ70に記憶し、これらの関係を用いてモータ容量q、モータ圧力P、モータ回転数Nを算出したが、物理量算出手段としてのコントローラ70における処理はこれに限らない。例えばロードセル43の検出値とモータ容量等との関係を予め記憶し、ロードセル43の検出値から直接モータ容量等を算出してもよい。モータ容量等の実測値と算出値との差が基準値より大きいか否かにより異常判定するようにしたが、実測値と算出値を比較して異常判定するのであれば、異常判定手段の構成はこれに限らない。
【0037】
異常判定結果を表示部71に表示するようにしたが、例えばクレーンに通信手段を搭載し、異常判定結果を通信手段を介して基地局に送信するようにしてもよい。上記実施の形態では、ブーム起伏用回路10と巻上用回路20の異常判定について説明したが、他のウインチ回路の異常判定も同様に行うことができる。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の異常検出装置に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態にウインチの油圧回路図。
【図2】本実施の形態に係る異常検出装置の構成を示すブロック図。
【図3】(a)は油圧モータのモータ圧力とモータ容量との関係を示す図、(b)はモータ容量とロープ張力との関係を示す図。
【図4】図1の制御弁の開口特性を示す図。
【図5】図2のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【図6】図5のモータ容量異常判定処理の詳細を示すフローチャート。
【図7】図5のモータ圧力異常判定処理の詳細を示すフローチャート。
【図8】図5のモータ速度異常判定処理の詳細を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0039】
12,22 油圧モータ
13,23 制御弁
40 過負荷防止装置
43 ロードセル
51,61 流量計
52,62 容量検出器
55,65 回転検出器
53,54,56,57,63,64,66,67 圧力センサ
70 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインチ駆動用の油圧モータに油圧ポンプからの吐出圧を供給するウインチ回路と、
ウインチロープの張力を検出する張力検出手段と、
ウインチ回路上の異常判定に関する所定の物理量を検出する物理量検出手段と、
前記張力検出手段により検出されたロープ張力に基づき、前記所定の物理量を算出する物理量算出手段と、
前記物理量検出手段により検出された物理量と前記物理量算出手段により算出された物理量とを比較して、ウインチ回路上の異常を判定する異常判定手段とを備えることを特徴とするウインチ回路の異常検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウインチ回路の異常検出装置において、
ブームに作用する負荷を制限する過負荷防止装置をさらに備え、
前記張力検出手段は、前記過負荷防止装置からの信号に基づきロープ張力を検出することを特徴とするウインチ回路の異常検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のウインチ回路の異常検出装置において、
前記油圧モータは、可変容量型油圧モータであり、
前記所定の物理量は、この油圧モータのモータ容量、モータの有効圧力、およびモータ回転速度であることを特徴とするウインチ回路の異常検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載のウインチ回路の異常検出装置において、
前記判定手段は、検出されたモータ容量と算出されたモータ容量とを比較してモータ容量の異常を判定した後、検出されたモータの有効圧力と算出されたモータの有効圧力とを比較してモータ圧力の異常を判定し、さらにその後、検出されたモータ回転速度と算出されたモータ回転速度とを比較してモータ回転速度の異常を判定することを特徴とするウインチ回路の異常検出装置。
【請求項5】
ウインチ回路上の異常判定に関する所定の物理量を検出する工程と、
ウインチロープの張力の検出値に基づき、前記所定の物理量を算出する工程と、
前記検出された物理量と前記算出された物理量とを比較して、ウインチ回路上の異常を判定する工程とを備えることを特徴とするウインチ回路の異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−44700(P2008−44700A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219871(P2006−219871)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)