説明

ウェイト装填カーテン

【課題】可撓性のあるウェイトにより、吊り下げたカーテン生地がまくり上がることがないウェイト装填カーテンを提供する。
【解決手段】ブラス、ステンレス、アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の軽金属で構成された、直径が2.5mm以下の球体からなる複数の錘材と、前記錘材を連結する複数の連結材とを有し、前記錘材と前記連結材は表面処理され、さらに、連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在であるウェイトを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリア用途のカーテンに関する。詳しくは、襞やウェーブ形状を美しく保つと共に、風でまくれた後や、カーテンの開閉時にカーテンの裾全体が綺麗な美観を、すぐに復元することができ、さらに環境上の問題および安全衛生上の問題がなく、しかも、カーテンの縫製後における磁気センサを用いた縫い針の残留検査において、磁気センサが誤動作しないウェイト装填カーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイル地等のシアーカーテンをはじめ、吊り下げたカーテン生地の襞やウェーブ形状を美しく保つために、また、カーテンが風によって、まくり上がることを防ぐために、カーテン本体の裾にウェイトを挿入することが行われている。このようなウェイトとしては、多数の金属小片が所定間隔を置いて装填されて用いられている。例えば、特許文献1には、紐材の途中に一定間隔で金属小片を形成し、その周囲に被覆材を形成することでカーテン用ウェイトを形成し、カーテンに均一な荷重を与えることができるとともに、金属小片はこれを連結する紐材により互いに屈曲可能であり、カーテンに形成されるドレープにも追従させるウェイトが開示されている。また特許文献2では、紐材の途中に一定間隔で金属小片を形成し、その周囲に多層の筒状袋を形成することでカーテン用ウェイトを形成し、カーテンに均一な荷重を与えることができるとともに、金属小片はこれを連結する紐材により互いに屈曲可能で、多層の筒状袋を熱可塑性樹脂とすることで、加熱によりドレープに相当する屈曲を付与することができ、カーテンに形成されるドレープに追従するのみならず、ドレープの形成を誘導するこことができるカーテン用ウェイトが開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1ではカーテンにドレープを形成する紐材に対して曲げ変形が加えられ、少なからず反発力が生じるため、カーテンのドレープ性に抵抗することになる。一方、特許文献2では、筒状袋にドレープに相当する形状を付与するため、カーテンのドレープ形成に寄与することができるが、筒状袋が相当な剛性をもつことになるため、カーテンを畳むあるいは拡げる場合の抵抗力が大きく、カーテンを所望の状態にしようとしても抵抗することになるという問題がある。したがって共に、風でまくれた後や、カーテンの開閉時にカーテンの裾全体に綺麗な美観が戻らないという問題があった。
【0004】
また、ウェイトとして用いられる前記金属小片の材質として、鉛が広く用いられており、鉛は比重が大きいためにウェイトとして適し、また柔らかいためカーテンの布地を傷めにくいという利点もある。しかし、鉛には毒性があるので、製造時や廃棄時における環境への悪影響が懸念されている。
【0005】
そのため、近年、鉛以外の材料よりなるウェイトが検討されている。例えば、特許文献3にはステンレス鋼を用いたウェイトが開示されている。ステンレス鋼には毒性がないので、環境への悪影響はほとんどない。しかし、カーテンを縫製する際に、当然縫い針を使用するが、縫製後のカーテンを磁気センサを用いた検針機にかけ、縫い針の残留検査をする必要がある。その残留検査時にカーテンの裾に縫い込まれたウェイトがステンレス鋼のような、小片サイズの金属部分を備えていると、カーテンを検針機にかけたときに検針機がウェイトの金属部分を検出して反応し、誤作動を起こし、針の残し忘れの検出精度を低下させることになる。
【特許文献1】特開2003−102615号公報
【特許文献2】実用新案登録第3090962号公報
【特許文献3】特開2003−245193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その課題は、適度な重量を有し、形状の変化に抵抗することのない、可撓性のあるウェイトにより、吊り下げたカーテン生地がまくり上がることが無く、襞やウェーブ形状を美しく保つことができ、さらに環境上の問題および安全衛生上の問題がなく、しかも、カーテンの縫製後における磁気センサを用いた縫い針の残留検査において、磁気センサが誤動作しないウェイト装填カーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、軽金属で構成された、直径が2.5mm以下の球体からなる複数の錘材と、前記錘材を連結する複数の連結材とを有し、前記錘材と前記連結材は表面処理され、さらに、連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在である前記ウェイトを用いることにより前記課題を解決し、以下の手段を提供する。
【0008】
[1]カーテン生地の裾部にウェイトが装填されたカーテンにおいて、前記ウェイトが、直径が2.5mm以下の球体からなる複数の錘材と、前記錘材を連結する複数の連結材とを有し、前記錘材及び前記連結材は表面処理され、さらに、前記錘材と前記連結材との連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在であり、該ウェイトを装填していることを特徴とするウェイト装填カーテン。
【0009】
[2]前記ウェイトを構成する前記錘材及び前記連結材が、ブラス(真鍮)、ステンレス、アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の軽金属からなることを特徴とする前項1に記載のウェイト装填カーテン。
【0010】
[3]前記錘材及び前記連結材の表面処理が金メッキ、銀メッキ、クロムメッキ、ニッケルメッキからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のメッキ処理、または化学的研磨仕上げ、または着色仕上げであることを特徴とする前項1または2に記載のウェイト装填カーテン。
【0011】
[4]前記ウェイトを構成する前記錘材は内側が拡がった連結孔を有し、前記連結材は端部に大径部を有し、前記大径部は前記連結孔内に挿入されるとともに、前記連結孔の径は前記連結材の軸径より大きくかつ前記大径部より小さく形成されていることを特徴とする前項1乃至3に記載のウェイト装填カーテン。
【0012】
[5]前記カーテン生地の裾部に、前記カーテン生地を折り返して形成された袋部を有し、前記ウェイトが前記袋部内に挿通されていることを特徴とする前項1乃至4のいずれかに記載のウェイト装填カーテン。
【0013】
[6]前記ウェイトは前記錘材および前記連結材を収容する被覆チューブを有することを特徴とする前項1乃至5のいずれかに記載のウェイト装填カーテン。
【0014】
[7]前記カーテン生地を折り返して形成する袋部を縫製する際に、挿通された前記ウェイトを被覆するように保護布が前記ウェイトと同時に挿通されていることを特徴とする前項1乃至6のいずれかに記載のウェイト装填カーテン。
【発明の効果】
【0015】
[1]の発明によれば、カーテン生地の裾部に装填されたウェイトが、直径が2.5mm以下の小サイズの球体からなることから、適度な重量を有し、吊り下げたカーテン生地がまくり上がることが無く、襞やウェーブ形状を美しく保つことができ、前記カーテン生地を折り返して形成された袋部内に容易に挿通することができ、異物が装填されていることが、外観上判別し難く、カーテンの外観を美しく保つことができる。また、該ウェイトの材質が透磁性のある金属であっても、ウェイトを構成する複数の錘材の直径が2.5mm以下の小サイズであり、表面処理されていることから、透磁率が1.00μを越える事無く、カーテンの縫製後に、必ず実施される、縫製に使用した針が残っているかどうかの、磁気センサを用いた検針機による縫い針の残留検査使用において、誤作動を防ぎ、針の残し忘れの検出精度を低下させることがない。
【0016】
さらに前記ウェイトが複数の錘材と、前記錘材を連結する複数の連結材とを有し、前記錘材と前記連結材との連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在であることから、前記ウェイトが可撓性を有することとなり、カーテンのドレープ性に抵抗する事無く、襞やウェーブ形状を美しく保つことができる。また、形状の変化にも抵抗することが無く、カーテンを畳むあるいは拡げる場合の抵抗力が小さく、風でまくれた後や、カーテンの開閉時にカーテンの裾全体が綺麗な美観を、すぐに復元することのできるウェイト装填カーテンとなる。
【0017】
[2]の発明によれば、前記ウェイトを構成する前記錘材及び前記連結材が、ブラス(真鍮)、ステンレス、アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の軽金属からなることから、前記錘材及び前記連結材の形状の加工が容易で、適度な重量を有するウェイトとなる。
【0018】
[3]の発明によれば、前記錘材及び前記連結材に金メッキ、銀メッキ、クロムメッキ、ニッケルメッキからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のメッキ処理、または化学的研磨仕上げ、または着色仕上げによる表面処理が施されていることから、表面の好適な滑り具合により、前記カーテン生地を折り返して形成された袋部内に挿通が容易で、挿通時、及び使用時においても前記カーテン生地を傷める事無がない。また、前記錘材及び前記連結材の材質が透磁性のある金属であっても、該表面処理により、検針機による縫い針の残留検査使用において検知されることがない。
【0019】
[4]の発明によれば、前記ウェイトを構成する前記錘材は内側が拡がった連結孔を有し、前記連結材は端部に大径部を有し、前記大径部は前記連結孔内に挿入さ
れるとともに、前記連結孔の径は前記連結材の軸径より大きくかつ前記大径部より小さく形成されていることから、前記ウェイトが、形状の変化に抵抗することが無く、可撓性を有するために、前記錘材と前記連結材との連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在となる。
【0020】
[5]の発明によれば、前記カーテン生地の裾部に、前記カーテン生地を折り返して形成された袋部を有し、前記ウェイトが前記袋部内に挿通されていることから、前記カーテン生地の縦方向に形成された襞やウェーブ形状がピンと張られた状態となり、さらに、裾部に付与された該襞やウェーブ形状が、崩れる事が無い、美しさが保たれたウェイト装填カーテンとなる。
【0021】
[6]の発明によれば、前記ウェイトは前記錘材および前記連結材が被覆チューブで収容されているために、前記ウェイトが前記袋部内に挿通する時、及び使用時の挿通された状態でも、カーテンを傷付ける事無く、美しさ及び安全性の長く保つことができるウェイト装填カーテンとなる。
【0022】
[7]の発明によれば、前記カーテン生地を折り返して形成する袋部を縫製する際に、挿通された前記ウェイトを被覆するように保護布が前記ウェイトと同時に挿通されていることから、別工程で前記錘材および前記連結材を収容加工を施す事無く、前記ウェイトが前記袋部内に挿通する時、及び使用時の挿通された状態でも、カーテンを傷付ける事無く、美しさ及び安全性の長く保つことができるウェイト装填カーテンとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明について、以下に具体的に説明する。図1は、本実施形態のウェイト装填カーテン(1)を示す略図であり、図2は、本実施形態のウェイトを示した概略図である。
【0024】
本発明に係わるウェイト装填カーテン(1)を構成するカーテン生地(2)は、該カーテン生地(2)裾部裾にウェイト(3)を装填できる袋状の収納部位を縫製できるものであれば良く、天然繊維または合成繊維からなる公知の編織物を用いることができる。好ましくは、耐洗濯性等の機能面、経済性、及び外観上の観点等から合成繊維からなる織物が好ましい。
【0025】
本発明に係わるカーテン裾部に装填されたウェイト(3)は、複数の錘材(4)と、前記錘材を連結する複数の連結材(5)を有し、前記錘材(4)と前記連結材(5)との連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在であることを特徴とする。前記連結部分が回動自在であることから、ウェイト装填カーテン(1)のドレープ性に抵抗する事無く、また、形状変化に対する抵抗力が生じにくく、適度な重量と相俟って、襞やウェーブ形状を美しく保ち、風でまくれた後や、ウェイト装填カーテン(1)の開閉時にカーテンの裾全体が綺麗な美観を、すぐに復元することができる。また、ウェイト装填カーテン(1)を畳むあるいは拡げる場合の抵抗力が小さく、ウェイト装填カーテン(1)を所望の状態に容易にすることができる。前記連結部分が回動自在でなければ、ウェイト装填カーテン(1)の裾部が直線状に、或いは捩れて襞やウェーブ形状を美しく保つことができない。また、襞やウェーブ形状を美しく保ったまま、ウェイト装填カーテン(1)を折り畳む事や、拡げることが困難となる。
【0026】
前記錘材(4)と前記連結材(5)との連結部分は、各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在な構造としては、錘材(4)に形成された連結孔に連結材が遊びをもって緩く挿通する構造、具体的には錘材(4)の連結孔が大径で連結材(5)の軸径が小径であるものなどが利用できる。このように本発明では、複数の錘材(4)が各々の間の連結材(5)で互いに連結されているとともに、各連結材(5)とその両側の錘材(4)は互いの軸線が傾く方向へ相対移動しても、各々が回動することで抵抗力を生じることがない。
【0027】
本発明において、前記錘材(4)は内側が拡がった連結孔を有し、前記連結材(5)は端部に大径部を有し、前記大径部は前記連結孔内に挿入されるとともに、前記連結孔の径は前記連結材の軸径より大きくかつ前記大径部より小さく形成されていることが望ましい。このように本発明では、大径部と連結孔とにより抜け止めが行われるとともに、連結材(5)の軸径が連結孔よりも小さいため、連結孔に対して連結材(5)は自由に傾斜可能である。
【0028】
尚、このような錘材(4)及び連結材(5)を含む構造としては、いわゆるボールチェーンとして市販されているものを利用することができる。錘材(4)として、ボール状、立方体状、円筒状、両端が半球形とされた円筒状、紡錘状など、中空状に形成された形状が利用できる。一方、連結材(5)としては、円形、矩形あるいは多角形状など任意の断面形状の棒材が利用できる。連結材(5)の端部に形成される大径部としては、錘材(4)に形成される連結孔に抜け止めがなされるような大きな径が一方向にでもあればよく、連結材(5)を軸方向に圧縮し径方向に膨出させて直径を全周にわたって大きくしたもの、あるいは連結材を側方から圧縮して平坦化することで特定方向の径寸法のみを大きくしたものが利用できる。
【0029】
本発明における錘材(4)及び連結材(5)は、ブラス(真鍮)、ステンレス、アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の軽金属から構成される。該軽金属は比重が2.0〜8.0であり、複数の錘材(4)の直径が2.5mm以下の小サイズの球体からなることから、10〜30g/mと適度な重量を有し、ウェイト装填カーテン(1)裾部にウェイト(3)として挿入することにより、吊り下げたカーテン生地(2)がまくり上がることが無く、異物が装填されていることが、外観上判別し難く、ウェイト装填カーテン(1)の外観を美しく保つことができる。さらに、前記カーテン生地(2)の縦方向に形成された襞やウェーブ形状が、極端に下方向に引っ張られ過ぎる事無く、適度にピンと張られた状態となり、さらに、裾部に付与された該襞やウェーブ形状が、崩れる事が無い、美しさが保たれたウェイト装填カーテン(1)となる。さらに本発明に係わるウェイト(3)であれば、遮光カーテンや防音カーテンなどの重量のある厚手のカーテンに装填しても、十分に吊り下げたカーテンの襞やウェーブ形状を美しく保つことができる。構成する軽金属としては、加工性、経済性からブラス(真鍮)が好ましい。
【0030】
カーテン生地(2)に装填するウェイト(3)が軽いとカーテンに自然な伸びを与えにくく、風によるまくり上がりが生じ易い。また、ウェイト(3)が重いとカーテン生地の縦方向に形成された襞やウェーブ形状が崩れ美観の保てないカーテンとなる。さらに、複数の錘材(4)の直径が2.5mmを超えるとウェイト装填カーテン(1)の裾が膨らみ、商品価値が低下する場合がある。
【0031】
本発明における錘材(4)及び連結材(5)は表面処理することが望ましい。前記表面処理としては金メッキ、銀メッキ、クロムメッキ、ニッケルメッキからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のメッキ処理が挙げられる。該メッキ処理方法は一般的な方法でよく、加工性、経済性によりクロムメッキが好ましい。該メッキ処理することにより、前記錘材(4)及び連結材(5)の表面が好適な滑り具合となり、前記カーテン生地を折り返して形成された袋部内に挿通が容易で、挿通時、及び使用時においても前記カーテン生地を傷める事無がない。
【0032】
もう一つの表面処理として、化学的研磨仕上げが挙げられる。前記化学的研磨仕上げとは、酸などの混合液へ浸せきさせ、汚れた表面を溶解し新しい表面を露出させ光沢を得る方法である。従来カーテンに金属のウェイトを使用した場合、使用時の寒気による霜で前記錘材(4)及び連結材(5)が錆びて、さらにカーテンの開閉による摩擦によって、カーテンが汚れてしまう問題があるが、該前記化学的研磨仕上げを施すことにより、前記錘材(4)及び連結材(5)は錆びにくく、カーテンの美観を永く保たせる効果がある。前記化学的研磨仕上げとしては錆び止めの効果の優れるキリンス仕上げが好ましい。
【0033】
さらに、もう一つの表面処理として、着色仕上げが挙げられる。前記着色仕上げはラッカー等で錘材(4)及び連結材(5)の表面を着色する表面処理方法で、前記錘材(4)及び連結材(5)の表面が好適な滑り具合となり、前記カーテン生地を折り返して形成された袋部内に挿通が容易で、挿通時、及び使用時においても前記カーテン生地を傷める事無がなく、前記錘材(4)及び連結材(5)は錆びにくく、カーテンの美観を永く保たせる効果がある。さらに、化学的研磨仕上げと併用することにより、前記効果が顕著となる。
【0034】
前記メッキ処理、化学的研磨仕上げ、着色仕上げからなる表面処理を施すことにより、前記錘材及び前記連結材の材質が透磁性のある金属であっても、該メッキ処理により、透磁性を弱める事となり、検針機による縫い針の残留検査使用において検知されることがない。
【0035】
従来ウェイトに使用されていた鉛には、毒性があるので、製造時や廃棄時における環境への悪影響が懸念されていた。一方本発明に係わるウェイト(3)を構成するステンレス、アルミニウム、ブラス(真鍮)からなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の軽金属は毒性が無く、本発明に係わるウェイト(3)が装填されたウェイト装填カーテン(1)は環境上の問題および安全衛生上の問題が無いカーテンとなる。
【0036】
ところで、カーテンは縫製後に、もしも、カーテン布地内に縫い針が残留していると、カーテンの包装時、取り付け時、使用時などに、残留した縫い針によって、包装作業者、取り付け業者、使用者などを傷付ける恐れがある。そのため、縫製後のカーテンに対して、磁気センサによって、縫い針が残留していないかどうかの検査を行なっている。
【0037】
ところが、磁性を有する金属のウェイト(3)を採用すると、縫い針が残留していなくても、磁気センサが磁性を有する金属のウェイト(3)の磁性に反応して、縫い針検出信号を出力してしまうことがある。
【0038】
本発明に係わるウェイト(3)を構成する前記軽金属は、一定の透磁性を有するが、前記ウェイト(3)を構成する複数の錘材(4)の直径を2.5mm以下の球体とすること、及び表面にメッキ処理を施すことから、前記ウェイト(3)の透磁率が1.00μ以下となり、縫い針の残留検査において誤動作を防止することができる。透磁率とは、磁場(磁界)の強さ H と磁束密度 B との間の関係を B = μ H で表わした時の比例定数 μ である。値が大きいほど磁気を通し易くなる。透磁率が1.00μ以下であることから、ウェイト装填カーテン(1)内にウェイト(3)を装填した後に、磁気センサによる縫い針の残留検査を実施しても、ウェイト(3)の磁性が小さいために、磁気センサが誤って縫い針の検出信号を発することがなく、縫い針が残留している場合のみ、磁気センサが正確に反応して、確実に縫い針の残留の有無を検出することができる。透磁率が1.00μを超えると、ウェイト(3)に着磁性が表れて、縫い針の残留検査で磁気センサが反応して、誤った検出結果が得られる恐れがあるので、このような誤動作を防止することができない。
【0039】
尚、磁気センサの感度を低下させれば、より磁性の高いウェイト(3)でも磁気センンサに反応し難くする事は可能だが、ウェイト(3)に比較して、縫い針は体積が小さく、縫い針を磁気センサで検出することが困難となり、却って誤作動の原因となる。
【0040】
本発明において、前記カーテン生地(2)の下端縁に、前記カーテン生地(2)を折り返して形成された袋部を有し、前記ウェイト(3)は前記袋部内に挿通されている構造とすることができる。該構造により、前記カーテン生地(2)に対して前記ウェイト(3)を装着する際に、構造を簡単にでき、かつ装着を確実にでき、さらに前記ウェイト(3)を覆い隠して外観性をも向上することができる。
【0041】
本発明において、前記ウェイト(3)は前記錘材(4)および前記連結材(5)を収容する被覆チューブを有することが望ましい。前記ウェイト(3)の錘材(4)および連
結材(5)が被覆チューブで被覆されるため、金属製の前記ウェイト(3)による前記カーテン生地(2)への損傷を防ぎ、また、前記ウェイト(3)が金属製で表面に酸化物の汚れ等を生じるような場合でも、この酸化物がカーテン生地に染み出す等の不都合を回避することができる。被覆チューブは、繊維を編んだパイピングクロス、合成樹脂製チューブ、その他の可撓性の連続筒状材であれば適宜利用することができるが、変形に対する反力が小さく、かつ錘材(3)及び連結材(4)に生じる酸化被膜の脱落粉末等を通さない材質であることが望ましい。
【0042】
本発明において、前記カーテン生地(2)を折り返して形成する袋部を縫製する際に、縫製前に前記ウェイト(3)を挿通し、挿通された前記ウェイト(3)を被覆するように保護布が前記ウェイトと同時に挿通されているが望ましい。別工程で前記ウェイト(3)を被覆する収容加工を施す事無く、容易に前記ウェイト(3)の錘材(4)および連結材(5)を前記保護布で被覆することができるため金属製の前記ウェイト(3)による前記カーテン生地(2)への損傷を防ぎ、また、前記ウェイト(3)が金属製で表面に酸化物の汚れ等を生じるような場合でも、この酸化物がカーテン生地に染み出す等の不都合を回避することができる。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
<実施例1>ブラス(真鍮)の薄板材にクロムメッキを施し、さらにキリンス仕上げを行い、直径が1.5mmの球形に成形し、対向する位置に一対の連結孔が形成された錘材が、クロムメッキを施し、さらにキリンス仕上げを行い、ブラス(真鍮)の薄板材で形成された棒状材であり、中間の軸部に対して両端に大径部が形成された連結材により連結し、前記錘材と前記連結材との連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在のボールチェーン状のウェイトを用意した。さらに前記ボールチェーン状のウェイトをポリエステル繊維を編んだパイピングクロスにより被覆した。次に、カーテン生地としてポリエステル繊維からなる織物を準備し、カーテン生地の下端である生地端部を上方へ折り返し、カーテン生地の途中部分に沿わされた上で、縫い糸により互いに縫い付け袋部を形成した。前記ウェイトをこの袋部の内部に挿通しウェイト装填カーテンを作成した。
【0045】
<実施例2>錘材の直径を2.3mmの球形に成形し、保護布と同時に袋部に挿通したこと以外実施例1と全く同様にしてウェイト装填カーテンを得た。
【0046】
<実施例3>ボールチェーン状のウェイトを被覆せずに、袋部を縫製する際に、縫製前に前記ウェイトを挿通し、挿通された前記ウェイトを被覆するように保護布が前記ウェイトと同時に挿通したこと以外実施例1と全く同様にしてウェイト装填カーテンを得た。
【0047】
<比較例1>ウェイトとして、直径が1.5mmの略円柱形のステンレス小片を10cm間隔を置いて袋部の内部に挿通したこと以外実施例1と全く同様にしてウェイト装填カーテンを得た。
【0048】
<比較例2>錘材の直径を3.2mmの球形に成形し、保護布と同時に袋部に挿通したこと以外実施例1と全く同様にしてウェイト装填カーテンを得た。
【0049】
上記のようにして得られた各ウェイト装填カーテンに対して下記評価法に基づいて形状安定性、縫い針の残留検査の精度を調べた。その結果を表1に示す。
【0050】
(形状安定性試験)各カーテンを吊るし、襞やウェーブ形状、風によるまくれる状態を目視により次の基準で評価した。◎:襞や円弧上のウェ−ブが認められ、風によって大きくまくれない。○:襞や円弧上のウェ−ブが認められるが、風によって少しまくれる。△:襞や円弧上のウェ−ブが認められず、風によって大きくまくれない。×:襞や円弧上のウェ−ブが認められず、風によって大きくまくれる。
【0051】
(縫い針の残留検査の精度試験)ウェイトが装填された各カーテン10枚を検針機にかけ、残留している金属片を検知し、縫い針の残留検査の精度を求め、次の基準で評価した。○ :ウェイトを検知しなかった。× :ウェイトを検知した。
【0052】
【表1】

【0053】
表1から明らかなように、実施例1〜3のカーテンは、いずれも形状安定性、縫い針の残留検査の精度に優れたウェイト装填カーテンであった。
【0054】
これに対し、比較例1は形状安定性が不十分で、比較例2は縫い針の残留検査の精度が不十分であり、ウェーブ形状がやや崩れたウェイト装填カーテンであった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係わるウェイト装填カーテンの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるウェイトの概略図である。
【符号の説明】
【0056】
1………ウェイト装填カーテン2………カーテン生地3………ウェイト4………錘材5………連結材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン生地の裾部にウェイトが装填されたカーテンにおいて、前記ウェイトが、直径が2.5mm以下の球体からなる複数の錘材と、前記錘材を連結する複数の連結材とを有し、前記錘材及び前記連結材は表面処理され、さらに、前記錘材と前記連結材との連結部分は各々の連結方向軸線が互いに傾く方向へ回動自在であり、該ウェイトを装填していることを特徴とするウェイト装填カーテン。
【請求項2】
前記ウェイトを構成する前記錘材及び前記連結材が、ブラス(真鍮)、ステンレス、アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の軽金属からなることを特徴とする請求項1に記載のウェイト装填カーテン。
【請求項3】
前記錘材及び前記連結材の表面処理が金メッキ、銀メッキ、クロムメッキ、ニッケルメッキからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のメッキ処理、または化学的研磨仕上げ、または着色仕上げであることを特徴とする請求項1または2に記載のウェイト装填カーテン。
【請求項4】
前記ウェイトを構成する前記錘材は内側が拡がった連結孔を有し、前記連結材は端部に大径部を有し、前記大径部は前記連結孔内に挿入されるとともに、前記連結孔の径は前記連結材の軸径より大きくかつ前記大径部より小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のウェイト装填カーテン。
【請求項5】
前記カーテン生地の裾部に、前記カーテン生地を折り返して形成された袋部を有し、前記ウェイトが前記袋部内に挿通されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のウェイト装填カーテン。
【請求項6】
前記ウェイトは前記錘材および前記連結材を収容する被覆チューブを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のウェイト装填カーテン。
【請求項7】
前記カーテン生地を折り返して形成する袋部を縫製する際に、挿通された前記ウェイトを被覆するように保護布が前記ウェイトと同時に挿通されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のウェイト装填カーテン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−110180(P2011−110180A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268358(P2009−268358)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】