説明

ウェブアプリケーションを備えたクライアントサーバーシステム、及び当該クライアントサーバーシステムにおけるクライアント装置

【課題】ウェブアプリケーションによる印刷設定時にサーバー装置側で印刷用ファイルのイメージ変換処理が繰り返し実行されることによるシステム全体のパフォーマンス低下を効果的に防止することができるクライアントサーバーシステム、及び当該システムにおけるクライアント装置を提供する。
【解決手段】サーバー2は、ウェブアプリケーションAによる印刷設定時の変更指示が反映されたイメージデータ(変更後イメージデータ)を生成するイメージ編集手段D6を備えたリッチインターネットアプリケーションである印刷設定プログラムDを格納している。そして、PC1は、サーバー2に格納された印刷設定プログラムDをダウンロードしてウェブブラウザーB上で実行することにより変更後イメージデータを生成し、それをウェブブラウザーB上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブブラウザーを備えたクライアント及び前記ウェブブラウザー上で動作するウェブアプリケーションを備えたウェブサーバーを含むクライアントサーバーシステム、並びに当該クライアントサーバーシステムにおけるクライアント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブアプリケーションとは、ネットワークを介して接続されたウェブブラウザーからの各種リクエストに応じてウェブサーバー上で実作業を行うアプリケーションのことである。ウェブアプリケーションはバージョンアップが容易であることやクライアント側の環境に依存せずに利用可能であること等の利点から近年急速に普及している。
【0003】
従来、ウェブアプリケーション上の文書をクライアント端末から印刷するためには、クライアント端末にプリンタドライバー等の印刷設定用のソフトウェアをインストールする必要があった。そのため、初めて使用するプリンターから印刷する場合には、それに対応するプリンタドライバーを探してクライアント端末にインストールする必要があったほか、そのプリンタドライバーがクライアント端末のOSに対応していない場合には印刷を実行することができないという問題があった。
【0004】
上記問題に対処するため、ウェブブラウザーから印刷用ファイルをサーバー(プリントサーバー、ウェブサーバー等)に送信し、そのサーバーを介してプリンターへの出力を実行することができるシステムが既に提案されている(特許文献1参照)。同システムによるとウェブブラウザー上の印刷設定に応じてウェブサーバー側でプレビュー用イメージデータが生成されるため、ユーザはウェブブラウザー上でプレビューを確認しながら印刷設定を行うことができる。他方、同システムによるとウェブブラウザー上で印刷設定が変更された場合にはウェブサーバー側で印刷用ファイルを再度ラスター形式のイメージデータに変換し、それをクライアント側にダウンロードする必要があるためシステム全体のパフォーマンスが低下するという問題点が指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−225176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、本発明に目的は、ウェブアプリケーションによる印刷設定時にサーバー装置側で印刷用ファイルのイメージ変換処理が繰り返し実行されることによるシステム全体のパフォーマンス低下を効果的に防止することができるクライアントサーバーシステム、及び当該システムにおけるクライアント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)ウェブブラウザーを備えたクライアント装置及び前記ウェブブラウザー上で動作するウェブアプリケーションを備えたサーバー装置を含むクライアントサーバーシステムであって、前記サーバー装置は、前記ウェブアプリケーション上で印刷されるファイルの印刷設定の変更指示を受け付ける設定手段と、前記変更指示が反映された後の前記ファイルを表すイメージデータである変更後イメージデータを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記変更後イメージデータに基づき前記ファイルのプレビューを表示する表示手段と、を備えたリッチインターネットアプリケーションを格納しており、前記クライアント装置は、前記サーバー装置に格納された前記リッチインターネットアプリケーションをダウンロードして前記ウェブブラウザー上で実行することを特徴とするクライアントサーバーシステム。
【0009】
(2)前記生成手段は、前記変更指示が反映される前の前記ファイルを表すイメージデータである変更前イメージデータを編集することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする上記(1)に記載のクライアントサーバーシステム。
【0010】
(3)前記生成手段は、前記変更前イメージデータの拡大又は縮小、前記変更前イメージデータの再配置、及び前記変更前イメージデータへの他のイメージデータの重ね合わせの少なくとも1つを実行することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする上記(2)に記載のクライアントサーバーシステム。
【0011】
(4)前記他のイメージデータの各々は、前記ファイルを印刷する印刷装置が有する仕上げ処理機能の各々を表すことを特徴とする上記(3)に記載のクライアントサーバーシステム。
【0012】
(5)前記仕上げ処理機能には、パンチ機能又はステープル機能が含まれることを特徴とする上記(4)に記載のクライアントサーバーシステム。
【0013】
(6)前記生成手段は、前記ファイルを前記変更指示に従ってイメージ変換することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする上記(1)に記載のクライアントサーバーシステム。
【0014】
(7)前記プレビューは、前記ファイルの属性情報を示すアイコンであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のクライアントサーバーシステム。
【0015】
(8)ウェブアプリケーションを備えたサーバー装置を含むクライアントサーバーシステムにおいて、前記サーバー装置に格納されたリッチインターネットアプリケーションをダウンロードしてウェブブラウザー上で実行するクライアント装置であって、前記リッチインターネットアプリケーションは、前記ウェブアプリケーション上で印刷されるファイルの印刷設定の変更指示を受け付ける設定手段と、前記変更指示が反映された後の前記ファイルを表すイメージデータである変更後イメージデータを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記変更後イメージデータに基づき前記ファイルのプレビューを表示する表示手段と、を備えることを特徴とするクライアント装置。
【0016】
(9)前記生成手段は、前記変更指示が反映される前の前記ファイルを表すイメージデータである変更前イメージデータを編集することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする上記(8)に記載のクライアント装置。
【0017】
(10)前記生成手段は、前記変更前イメージデータの拡大又は縮小、前記変更前イメージデータの再配置、及び前記変更前イメージデータへの他のイメージデータの重ね合わせの少なくとも一つを実行することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする上記(9)に記載のクライアント装置。
【0018】
(11)前記他のイメージデータの各々は、前記ファイルを印刷する印刷装置が有する仕上げ処理機能の各々を表すことを特徴とする上記(10)に記載のクライアント装置。
【0019】
(12)前記仕上げ処理機能には、パンチ機能又はステープル機能が含まれることを特徴とする上記(11)に記載のクライアント装置。
【0020】
(13)前記生成手段は、前記ファイルを前記変更指示に従ってイメージ変換することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする上記(8)に記載のクライアント装置。
【0021】
(14)前記プレビューは、前記ファイルの属性情報を示すアイコンであることを特徴とする上記(8)〜(13)のいずれか1つに記載のクライアント装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るクライアントサーバーシステムにおけるサーバー装置は、ウェブアプリケーションによる印刷設定時の変更指示が反映されたイメージデータ(変更後イメージデータ)を生成する手段を備えたリッチインターネットアプリケーションを格納している。そして、本発明に係るクライアントサーバーシステムにおけるクライアント装置は、サーバー装置に格納された上記リッチインターネットアプリケーションをダウンロードしてウェブブラウザー上で実行することにより変更後イメージデータを生成し、それをウェブブラウザー上に表示する。
【0023】
よって、本発明によると、ウェブアプリケーションによる印刷設定時に変更指示が受け付けられた場合であってもクライアント装置側で変更後イメージデータを生成することができるため、サーバー装置側でイメージ変換処理を繰り返し実行する必要がなくなり、結果的に、ウェブアプリケーションによる印刷設定時に発生しうるシステム全体のパフォーマンス低下を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るクライアントサーバーシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るクライアント装置(PC)の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るサーバー装置(サーバー)の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るウェブアプリケーションの機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る印刷設定プログラムの機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るPC及びサーバー間のデータフローを示す概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るプログラム起動処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係るプレビュー表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係るドキュメントファイルのプレビューの一例を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るドキュメントファイルのプレビューの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るクライアントサーバーシステム(以下「CSシステム」という)の構成を示すブロック図である。図1のように、本実施形態に係るCSシステムは、クライアント装置としてのPC1、サーバー装置としてのサーバー2、及び印刷装置としてのプリンター3を備えている。
【0027】
ここで、本実施形態に係るPC1にはウェブブラウザーBがインストールされており、サーバー2にはウェブブラウザーB上で動作するウェブアプリケーションAがインストールされている。そして、PC1のユーザは、ウェブブラウザーBを介してウェブアプリケーションを利用することができる。
【0028】
図1のように、PC1、サーバー2、及びプリンター3は、ネットワークNを介して相互通信可能に接続されている。ここで、ネットワークNは、イーサネット(登録商標)やトークンリングやFDDI等の規格に準拠したLANやLANどうしを専用線で接続したWANやインターネット等である。ネットワークNに接続された機器の種類及び台数は図中の例に限定されない。なお、ウェブアプリケーションA実行時のPC1とサーバー2との通信はHTTPにより行われる。
【0029】
続いて、各装置の構成について説明する。ただし、プリンター3はレーザプリンターやインクジェットプリンター等の一般的なプリンターであるため、これについての詳細な説明は省略する。図2は、本実施形態に係るPC1の構成を示すブロック図である。図2のように、PC1は、制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14、及びネットワークインタフェース15を備えており、これらはバス16を介して相互通信可能に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0030】
制御部11は、中央制御装置(CPU)であり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部12は、PC1の基本動作を制御するプログラムやパラメータ等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。記憶部12は、プレビュー表示手段D4(後述)によるプレビュー表示用のイメージデータを格納するためのイメージデータ格納用データベース12aを包含している。
【0031】
表示部13は、ユーザに各種情報を表示するためのLCD等の表示装置である。特に、表示部13は、ウェブブラウザーBによる各種UI(ユーザインタフェース)画面を表示する。入力部14は、ユーザから各種動作指示を取得するためのキーボードやマウス等の入力装置である。ネットワークインタフェース15は、PC1をネットワークNに接続するためのNIC等の通信機器である。
【0032】
続いて、図3は、本実施形態に係るサーバー2の構成を示すブロック図である。図3のように、サーバー2は、制御部21、記憶部22、及びネットワークインタフェース23等を備えており、これらはバス24を介して双方向通信可能に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0033】
制御部21は、中央制御装置(CPU)であり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部22は、サーバー2の基本動作を制御するプログラムやパラメータ等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。記憶部22は、印刷用のドキュメントファイルを格納するためのドキュメントファイル格納用DB22aを包含している。また、記憶部22は、PC1へのダウンロード用の印刷設定プログラムD(後述)を格納している。通信インタフェース23は、サーバー2をネットワークNに接続するためのNIC等の通信機器である。
【0034】
次に、サーバー2にインストールされているウェブアプリケーションAについて説明する。図4は、本実施形態に係るウェブアプリケーションAの機能ブロック図である。図4のように、ウェブアプリケーションAは、ブラウザーBを介してなされたユーザのリクエストに応じて各種処理を実行する各種モジュールに加えて、出力デバイス情報管理手段A1、及びジョブ生成手段A2を備えている。これらの機能について図6を参照して詳細に説明する。図6は、ウェブアプリケーションAと印刷設定プログラムDとの間のデータフローを示す概略図である。
【0035】
出力デバイス情報管理手段A1は、ネットワークN上の印刷装置(プリンター3等)と定期的に通信して各装置の印刷機能や仕上げ処理機能等に関する情報(以下では「デバイス情報」という)を取得する。本実施形態に係るデバイス情報には、各装置の印字領域、ステープル位置、パンチ位置等に関する情報が含まれる。図6のように、出力デバイス情報管理手段A1により取得されたデバイス情報は、ドキュメントファイルの印刷設定時に印刷設定手段D3に送信される。この点についてはさらに後述する。
【0036】
ジョブ生成手段A2は、ドキュメントファイル格納用DB22a内のドキュメントファイルを印刷装置により処理可能な形式の印刷データ(印刷ジョブ)に変換する。図6のように、ジョブ生成手段A2により生成された印刷ジョブは印刷処理のためにプリンター3等の印刷装置に送信される。
【0037】
次に、サーバー2の記憶部22に格納されている印刷設定プログラムPについて説明する。本実施形態に係る印刷設定プログラムDは、HTML5やMicrosoft Silverlight(登録商標)やAdobe Flash(登録商標)等を用いたリッチインターネットアプリケーション(以下「RIA」という)であり、後述するようにサーバー2からPC1にダウンロードされてPC1のウェブブラウザー上で実行される。
【0038】
図5は、印刷設定プログラムDの機能ブロック図である。図5のように、印刷設定プログラムDは、ファイル読込手段D1、出力デバイス選択手段D2、印刷設定手段D3、プレビュー表示手段D4、イメージ変換手段D5、イメージ編集手段D6を備えている。これらの構成要素について図6を参照して説明する。
【0039】
ファイル読込手段D1は、ウェブブラウザーBを介してユーザから印刷用のドキュメントファイルの選択結果を受け付ける。より具体的に、ファイル読込手段D1は、ウェブブラウザーB上にドキュメントファイル選択用のUI画面(不図示)を表示し、同UI画面上でユーザに印刷用のドキュメントファイルを選択させる。図6のように、ユーザにより選択されたドキュメントファイルは、イメージ変換手段D5に送信されるとともに、ネットワークNを介してウェブサーバー2に送信され、ドキュメントデータ格納用DB22aに格納される。
【0040】
出力デバイス選択手段D2は、ウェブブラウザーBを介してユーザからドキュメントファイルを印刷する印刷装置の選択結果を受け付ける。より具体的に、出力デバイス選択手段D2は、ウェブブラウザーB上に出力デバイス選択用のUI画面(不図示)を表示し、同UI画面上でユーザにドキュメントファイルを印刷する印刷装置を選択させる。図6のように、ユーザによる印刷装置の選択結果は印刷設定手段D3に送信される。
【0041】
印刷設定手段D3は、ウェブブラウザーBを介してユーザからドキュメントファイルの印刷設定の変更指示を受け付ける。より具体的に、印刷設定手段D3は、ウェブブラウザーB上に印刷設定用のUI画面(不図示)を表示し、同UI画面上でユーザにドキュメントファイルの印刷設定の変更指示を入力させる。図6のように、印刷設定手段D3により受け付けられたイメージ編集手段D6に送信される。
【0042】
なお、印刷設定手段D3は、ユーザにより選択された印刷装置のデバイス情報を参照し、そのデバイス情報に応じてカスタマイズされたUI画面を表示することができる。ここでいう「カスタマイズされた印刷設定UI画面」とは、その印刷装置に未搭載の機能(両面印刷、ステープル、パンチ等)に関連するボタンやチェックボックス等が選択されないようにグレーアウト表示されたUI画面のことを指す。
【0043】
プレビュー表示手段D4は、イメージデータ格納用DB12a内のイメージデータに基づき、ウェブブラウザーB上にドキュメントファイルのプレビューを表示する。より具体的に、プレビュー表示手段D4は、印刷設定手段D3により変更指示が受け付けられるまではイメージ変換手段D5により最初に生成されたイメージデータに基づくプレビューを表示し、変更指示が受け付けられた後はイメージ編集手段D6により当該変更指示が反映された後のイメージデータに基づくプレビューを表示する。以下では、イメージ編集手段D6により変更指示が反映された後のイメージデータを「変更後イメージデータ」と称し、変更指示が反映される前のイメージデータ(すなわち、イメージ変換手段D5により最初に生成されたイメージデータ)を「変更後イメージデータ」との対比のために「変更前イメージデータ」と称することにする。
【0044】
イメージ変換手段D5は、ファイル読込手段D1から受信したドキュメントファイルのイメージ変換(ラスタライズ)によりプレビュー用のイメージデータを生成する。図6のように、イメージ変換手段D5により生成されたイメージデータは、記憶部12内のイメージデータ格納用DB12aに格納される。
【0045】
なお、イメージ変換を実行する際には制御部11に大きな負荷がかかるので、本実施形態に係るイメージ変換手段D5は、PC1(印刷設定プログラムD)側ではなくサーバー2(ウェブアプリケーションA)側に設けられてもよい。この場合、後述するプレビュー表示処理における制御部11の負荷を軽減することができる。そして、サーバー2側で生成された変換前イメージデータは、ネットワークN経由でPC1に送信され、イメージデータ格納用DB12aに格納されることになる。
【0046】
図9、10は、イメージ変換手段D5により生成された変更前イメージデータに基づくプレビューの一例を示す概略図である。イメージ変換手段D5は、図9のようなドキュメントファイルの印刷結果をそのまま示すイメージデータを生成することもできるし、図10のようなドキュメントファイルの属性情報(ファイル名、用紙サイズ等)のみを示すアイコンを生成することもできる。この他、イメージ変換手段D5は、ドキュメントファイルをベクター変換することによりベクター形式のイメージデータを生成することもできる。
【0047】
イメージ編集手段D6は、印刷設定手段D3から送信された変更指示に従ってイメージデータ格納用DB12a内の変更前イメージデータを編集することにより変更後イメージデータを生成する。より具体的に、イメージ編集手段D6は、ドキュメントファイルを再度ラスタライズするのではなく、変更前イメージデータを拡大/縮小するか、変更前イメージデータを再配置するか、又は変更前イメージデータに他のイメージデータを重ね合わせることにより変更後イメージデータを生成する。ここでいう「他のイメージデータ」とは、ユーザにより選択された印刷装置に搭載された各種仕上げ処理機能(パンチ機能、ステープル機能等)を表すイメージ部品のことを指しており、これはPC1の記憶部12等に予め格納されている。
【0048】
次に、本実施形態に係るCSシステムの動作の概要について説明する。図7は、本実施形態に係るPC1により印刷設定プログラムDを起動して印刷設定UI画面を表示するための処理(以下「プログラム起動処理」という)の手順を示すフローチャートである。本処理は印刷設定の開始指示を受け付けたときに実行される。なお、図7のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記録部12内のROMに制御プログラムとして記憶されており、動作開始時にRAMに読み出されて実行される。
【0049】
先ず、PC1は、ウェブブラウザーBからサーバー2のURLにアクセスすることにより、ネットワークN経由でサーバー2に接続する(S101)。そして、PC1は、サーバー2の記録部22に格納されている印刷設定プログラムDがダウンロード済みであるか否かを判定する(S102)。
【0050】
ここで、印刷設定プログラムDがダウンロード済みである場合は(S102のYES)、記憶部12内の印刷設定プログラムDを起動し(S104)、印刷設定プログラムDがダウンロード済みでない場合は(S102のNO)、サーバー2に格納された印刷設定プログラムDを記憶部12にダウンロードした後に(S103)、その印刷設定プログラムDを起動する(S104)。なお、S101〜S104の手順は上述したようにウェブアプリケーションA上での印刷設定時に実行される代わりに、ウェブブラウザーBによるウェブアプリケーションAの起動時に実行されることとしてもよい。
【0051】
続いて、PC1は、出力デバイス選択手段D2によりドキュメントファイルを印刷する印刷装置の選択結果を受け付ける(S105)。そして、PC1は、サーバー2の出力デバイス情報管理手段A1から、選択された印刷装置のデバイス情報を取得する(S106)。その後、PC1は、印刷設定手段D3により、S106で取得したデバイス情報に応じてカスタマイズされた印刷設定UI画面を生成し、それをウェブブラウザーB上に表示してから(S107)一連の処理を終了する(エンド)。
【0052】
続いて、図8は、本実施形態に係るPC1により印刷用のドキュメントファイルのプレビューを表示するための処理(以下「プレビュー表示処理」という)の手順を示すフローチャートである。図8のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部12内のROMに制御プログラムとして記憶されており、動作開始時にRAMに読み出されて実行される。
【0053】
先ず、PC1は、ファイル読込手段D1によりドキュメントファイルの選択結果を受け付けたら(S201)、イメージ変換手段D5により当該ドキュメントファイルのイメージ変換(ラスタライズ)を実行する(S202)。そして、PC1は、イメージ変換手段D5により生成した変更前イメージデータをイメージデータ格納用DB12aに格納する(S203)。
【0054】
ここで、イメージ変換手段D5がPC1側ではなくサーバー2側に設けられている場合は、S201で選択されたドキュメントファイルがネットワークN経由でサーバー2に送信され、サーバー2側でイメージ変換が実行される。そして、サーバー2側で生成された変更前イメージデータがネットワークN経由でPC1に送信され、イメージデータ格納用DB12aに格納される。
【0055】
続いて、PC1は、プレビュー表示手段D4により、イメージデータ格納用DB12a内の変更前イメージデータに基づきドキュメントファイルのプレビューを表示する(S204)。その後、PC1は、印刷設定手段D3により印刷設定の変更指示を受け付ける(S205)。ここで、変更指示を受け付けなかった場合は(S205のNO)そのまま一連の処理を終了する(エンド)。
【0056】
他方、変更指示を受け付けた場合は(S205のYES)、イメージ編集手段D6によりイメージデータ格納用DB12a内の変更前イメージデータを編集することで変更後イメージデータを生成する(S206)。例えば、変更指示により変更される設定項目が「ページ割付」や「片面/両面」等である場合には、変更前イメージデータの拡大/縮小、及び再配置を実行することにより変更後イメージデータを生成する。
【0057】
また、変更指示により変更される設定項目が「ステープル」や「パンチ」等である場合には変更前イメージデータにこれらの機能に対応するイメージ部品を重ね合わせることにより変更後イメージデータを生成する。この際、図7のS106において取得したデバイス情報にステープル位置(「左上」、「右上」等)に関する情報が含まれている場合には、そのステープル位置に合わせてイメージ部品を重ね合わせることが好ましい。
【0058】
S206で生成された変更後イメージデータはイメージデータ格納用DB12aに格納される。なお、S202で生成された変更前イメージデータは、その後もユーザによる変更指示が繰り返される可能性があるので、変更後イメージデータとともにイメージデータ格納用DB12a内に保持されることが好ましい。また、S206では、イメージ編集手段D6の代わりにイメージ変換手段D5により変更後イメージデータを生成することとしてもよい。この場合、制御部11に大きな負荷がかかるものの、再度のイメージ変換(ラスタライズ)を実行することで、より正確に変更指示を反映した変更後イメージデータを生成することができる。
【0059】
その後、PC1は、イメージデータ格納用DB12a内の変更後イメージデータに基づきプレビューを表示する(S207)。すなわち、S207では、イメージ編集手段D6(又はイメージ変換手段D5)により生成された変更後イメージデータに基づき、変更指示が反映されたドキュメントファイルのプレビューが表示される。その後、PC1は一連の処理を終了する(エンド)。
【0060】
なお、変更後の印刷設定により印刷装置側で印刷エラーが発生する場合、プレビュー表示手段D4は、変更後イメージデータの代わりに、又は変更後イメージデータに加えて、その印刷エラーに関する情報(エラーメッセージ等)を表示することができる。例えば、変更後の印刷設定においてステープル処理機能が指定されているにもかかわらず印刷装置に同機能が未搭載であるような場合には、プレビュー表示手段D4は「ステープル処理を実行することはできません。」というエラーメッセージを表示することができる。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るCSシステムにおけるサーバー2は、ウェブアプリケーションAによるドキュメントファイルの印刷設定時に受け付けた変更指示が反映されたイメージデータ(変更後イメージデータ)を生成する手段(「イメージ編集手段D6」)を備えたリッチインターネットアプリケーションを格納している。そして、本実施形態に係るCSシステムにおけるPC1は、サーバー2に格納された上記リッチインターネットアプリケーションをダウンロードしてウェブブラウザーB上で実行することにより変更後イメージデータを生成し、それをウェブブラウザーB上に表示することができる。
【0062】
よって、本実施形態によると、ウェブアプリケーションA上で印刷設定の変更指示が受け付けられた場合であってもPC1側で変更後イメージデータを生成することができるため、サーバー2側でイメージ変換処理(ラスタライズ)を繰り返し実行する必要がなくなり、結果的に、ウェブアプリケーションAによる印刷設定時に発生しうるシステム全体のパフォーマンス低下を効果的に防止することができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲において種々改変することができる。例えば、本発明に係るクライアント装置は、ウェブブラウザー上でダウンロードしたプログラムを実行可能なデバイスであればいかなるものであってもよく、スマートフォンやタブレット端末等であってもよい。また、本発明に係るサーバー装置は、一般的なPCであってもよいしネットワーク上の印刷装置等に内蔵されたコンピューターであってもよい。また、本発明に係る印刷装置は、印刷機能に加えてスキャン機能やコピー機能等を備えたMFPであってもよい。
【0064】
なお、本発明に係るCSシステムを構成する各装置は、上記手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、上記手順を記述したプログラムによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、各装置を作動させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。ここで、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、記録装置に内蔵されたROMやハードディスク等に転送される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、各装置の一機能としてソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 PC、
11 制御部、
12 記憶部、
12a イメージデータ格納用DB、
13 表示部、
14 入力部、
15 ネットワークインタフェース、
2 サーバー、
21 制御部、
22 記憶部、
22a ドキュメントファイル格納用DB、
23 ネットワークインタフェース、
3 プリンター、
A ウェブアプリケーション、
A1 出力デバイス情報管理手段、
A2 ジョブ生成手段、
B ウェブブラウザー、
D 印刷設定プログラム、
D1 ファイル読込手段、
D2 出力デバイス選択手段、
D3 印刷設定手段、
D4 プレビュー表示手段、
D5 イメージ変換手段、
D6 イメージ編集手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブブラウザーを備えたクライアント装置及び前記ウェブブラウザー上で動作するウェブアプリケーションを備えたサーバー装置を含むクライアントサーバーシステムであって、
前記サーバー装置は、前記ウェブアプリケーション上で印刷されるファイルの印刷設定の変更指示を受け付ける設定手段と、前記変更指示が反映された後の前記ファイルを表すイメージデータである変更後イメージデータを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記変更後イメージデータに基づき前記ファイルのプレビューを表示する表示手段と、を備えたリッチインターネットアプリケーションを格納しており、
前記クライアント装置は、前記サーバー装置に格納された前記リッチインターネットアプリケーションをダウンロードして前記ウェブブラウザー上で実行することを特徴とするクライアントサーバーシステム。
【請求項2】
前記生成手段は、前記変更指示が反映される前の前記ファイルを表すイメージデータである変更前イメージデータを編集することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする請求項1に記載のクライアントサーバーシステム。
【請求項3】
前記生成手段は、前記変更前イメージデータの拡大又は縮小、前記変更前イメージデータの再配置、及び前記変更前イメージデータへの他のイメージデータの重ね合わせの少なくとも1つを実行することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする請求項2に記載のクライアントサーバーシステム。
【請求項4】
前記他のイメージデータの各々は、前記ファイルを印刷する印刷装置が有する仕上げ処理機能の各々を表すことを特徴とする請求項3に記載のクライアントサーバーシステム。
【請求項5】
前記仕上げ処理機能には、パンチ機能又はステープル機能が含まれることを特徴とする請求項4に記載のクライアントサーバーシステム。
【請求項6】
前記生成手段は、前記ファイルを前記変更指示に従ってイメージ変換することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする請求項1に記載のクライアントサーバーシステム。
【請求項7】
前記プレビューは、前記ファイルの属性情報を示すアイコンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のクライアントサーバーシステム。
【請求項8】
ウェブアプリケーションを備えたサーバー装置を含むクライアントサーバーシステムにおいて、前記サーバー装置に格納されたリッチインターネットアプリケーションをダウンロードしてウェブブラウザー上で実行するクライアント装置であって、
前記リッチインターネットアプリケーションは、前記ウェブアプリケーション上で印刷されるファイルの印刷設定の変更指示を受け付ける設定手段と、前記変更指示が反映された後の前記ファイルを表すイメージデータである変更後イメージデータを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記変更後イメージデータに基づき前記ファイルのプレビューを表示する表示手段と、を備えることを特徴とするクライアント装置。
【請求項9】
前記生成手段は、前記変更指示が反映される前の前記ファイルを表すイメージデータである変更前イメージデータを編集することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする請求項8に記載のクライアント装置。
【請求項10】
前記生成手段は、前記変更前イメージデータの拡大又は縮小、前記変更前イメージデータの再配置、及び前記変更前イメージデータへの他のイメージデータの重ね合わせの少なくとも一つを実行することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする請求項9に記載のクライアント装置。
【請求項11】
前記他のイメージデータの各々は、前記ファイルを印刷する印刷装置が有する仕上げ処理機能の各々を表すことを特徴とする請求項10に記載のクライアント装置。
【請求項12】
前記仕上げ処理機能には、パンチ機能又はステープル機能が含まれることを特徴とする請求項11に記載のクライアント装置。
【請求項13】
前記生成手段は、前記ファイルを前記変更指示に従ってイメージ変換することにより前記変更後イメージデータを生成することを特徴とする請求項8に記載のクライアント装置。
【請求項14】
前記プレビューは、前記ファイルの属性情報を示すアイコンであることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1つに記載のクライアント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−3799(P2013−3799A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133608(P2011−133608)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】